JPWO2004018752A1 - 電動開口装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
電動開口装置の制御技術は、1以上の製織要素の条件を設定し、設定された製織条件に応じて各電動モータのトルク制限値を求め、求めたトルク制限値を電動モータ毎に設定することを特徴とする。これにより、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷及び摩耗等による寿命の低下を回避し、製織性を高める。
Description
本発明は、綜絖枠毎に電動モータを備えた電動開口装置の制御方法に関する。
電動開口装置において、電動モータの位置制御ループ、速度制御ループ又は電流制御ループのループゲインを開口パターンに応じて設定し、開口パターンに対する過小のループゲインによる綜絖枠の応答遅れを原因にして製織不能になることを回避する技術が知られている(特開平11−241250号公報)。
しかし、上記の従来技術では、ループゲインは開口パターンに応じて変更されるが、電動モータの最大トルクを適切に制御することができないから、ループゲインの設定条件によっては綜絖枠の加減速が許容値を越えて、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷及び摩耗等による寿命の低下を招く。そのため、織機の回転速度を下げざるを得ない。
しかし、上記の従来技術では、ループゲインは開口パターンに応じて変更されるが、電動モータの最大トルクを適切に制御することができないから、ループゲインの設定条件によっては綜絖枠の加減速が許容値を越えて、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷及び摩耗等による寿命の低下を招く。そのため、織機の回転速度を下げざるを得ない。
本発明の目的は、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷及び摩耗等による寿命の低下を回避し、製織性を高めることにある。
本発明に係る制御方法は、いずれも、複数の綜絖枠のそれぞれを専用の電動モータで駆動させると共に予め定められるトルク制限値にしたがって電動モータの出力トルクが制限される形式の電動開口装置の制御に適用される。
本発明に係る第1の制御方法は、少なくとも1つの製織要素の設定態様に応じて電動モータのトルク制限値を求め、求めたトルク制限値を電動モータに設定することを含む。
第1の制御方法において、前記製織要素の設定態様に応じてトルク制限値が予め複数設定されると共に、電動モータのトルク制限値を求めるに際し、製織要素の設定態様に応じて選択されたトルク制限値を設定することができる。また好ましくは、製織要素の設定態様に対応するトルク制限値を算出するための複数の係数が製織要素毎に設定されており、電動モータのトルク制限値を求めるに際し、各製織要素に製織要素の設定態様に対応する係数を選択すると共に、選択された複数の係数から演算によりトルク制限値を求めて設定することができる。
本発明に係る第2の制御方法は、各電動モータのトルク制限値を、綜絖枠の番号に応じて設定することを含む。
本発明に係る第3の制御方法は、少なくとも1つの製織要素の設定対応及び綜絖枠の番号に応じて電動モータのトルク制限値を求めて設定することを含む。より好ましくは、製織要素の設定態様及び綜絖枠の番号に対応してトルク制限値に関する係数が予め係数化されていると共に、電動モータのトルク制限値を、製織要素の設定態様及び綜絖枠の番号に対応して選択される係数から演算により求めて設定することができる。
本発明に係る第4の制御方法は、製織運転中における製織要素のうち少なくとも1つの設定態様が切換可能にされると共に、製織運転中には、製織要素の設定態様の切り換わりに対応して電動モータのトルク制限値を求めて設定することを含む。
上記の代わりに、第4の制御方法において、前記トルク制限値は、製織要素の設定態様の切り換わりに対応して複数設定されており、製織運転中の前記設定態様の切り換わり時には、前記設定態様の切り換わりに対応するトルク制限値を選択して前記トルク制限値として設定することを含むことができる。
第4の制御方法において、前記製織要素には、数ピック前から前記切換わり時に至るまでの開口運動の連続性、開口曲線の構成要素、前記切換わり時からの開口運動の方向、綜絖枠に作用する外力及び織機の回転数を含むグループから選択される少なくとも1つを含むことができる。
上記第2、第3及び第4の制御方法において、いずれも、製織運転中における複数の製織要素の各設定態様を切換可能にされると共に、トルク制限値の係数が各設定態様に対応して各製織要素に複数設定されており、前記設定態様の切り換わりに対応するトルク制限値を各製織要素に選択すると共に、製織運転中の前記設定態様の切り換わり時には、選択された複数の係数から演算により求めたトルク制限値を設定することを含むことができる。
本発明に係る第5の制御方法は、主軸の回転角速度が加速又は減速される第1の過程と前記主軸の回転角速度が維持される第2の過程とに対応させて前記電動モータの出力トルク制限値を予め設定しておき、開口装置の駆動時の前記第1及び第2の過程においてはそれらの過程に対応する出力トルク制限値に基づいて駆動モータの出力トルクを制限して前記電動モータを駆動させることを含む。
上記専用の電動モータは、織機の主軸用駆動モータとは別個に開口装置に備えられている。そのような電動モータは、予め定められた開口曲線にしたがって及び主軸の回転にともなって駆動させることができる。
上記のトルク制限値は、トルク値と電流とが対応するから、最大トルク値及び最大電流値のいずれであってもよい。瞬間的な運転であるならば、瞬時最大トルク又は瞬時最大電流とすることができる。
製織要素としては、開口パターン、ドウェル角、織機の回転数、開口量、織布の幅、経糸の張力、経糸の本数等をあげることができる。
本発明によれば、専用の電動モータのトルク制限値を、設定した製織条件、綜絖枠の枠番又は設定したトルク制限値に応じて、最適な値に設定することができるから、過大なトルクによる綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷、及び、過小なトルクによる綜絖枠の応答遅れを原因とする製織不良を生じない。すなわち、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷、及び、過小なトルクによる綜絖枠の応答遅れを生じることなく、最適な製織性を得ることができる。
本発明に係る制御方法は、いずれも、複数の綜絖枠のそれぞれを専用の電動モータで駆動させると共に予め定められるトルク制限値にしたがって電動モータの出力トルクが制限される形式の電動開口装置の制御に適用される。
本発明に係る第1の制御方法は、少なくとも1つの製織要素の設定態様に応じて電動モータのトルク制限値を求め、求めたトルク制限値を電動モータに設定することを含む。
第1の制御方法において、前記製織要素の設定態様に応じてトルク制限値が予め複数設定されると共に、電動モータのトルク制限値を求めるに際し、製織要素の設定態様に応じて選択されたトルク制限値を設定することができる。また好ましくは、製織要素の設定態様に対応するトルク制限値を算出するための複数の係数が製織要素毎に設定されており、電動モータのトルク制限値を求めるに際し、各製織要素に製織要素の設定態様に対応する係数を選択すると共に、選択された複数の係数から演算によりトルク制限値を求めて設定することができる。
本発明に係る第2の制御方法は、各電動モータのトルク制限値を、綜絖枠の番号に応じて設定することを含む。
本発明に係る第3の制御方法は、少なくとも1つの製織要素の設定対応及び綜絖枠の番号に応じて電動モータのトルク制限値を求めて設定することを含む。より好ましくは、製織要素の設定態様及び綜絖枠の番号に対応してトルク制限値に関する係数が予め係数化されていると共に、電動モータのトルク制限値を、製織要素の設定態様及び綜絖枠の番号に対応して選択される係数から演算により求めて設定することができる。
本発明に係る第4の制御方法は、製織運転中における製織要素のうち少なくとも1つの設定態様が切換可能にされると共に、製織運転中には、製織要素の設定態様の切り換わりに対応して電動モータのトルク制限値を求めて設定することを含む。
上記の代わりに、第4の制御方法において、前記トルク制限値は、製織要素の設定態様の切り換わりに対応して複数設定されており、製織運転中の前記設定態様の切り換わり時には、前記設定態様の切り換わりに対応するトルク制限値を選択して前記トルク制限値として設定することを含むことができる。
第4の制御方法において、前記製織要素には、数ピック前から前記切換わり時に至るまでの開口運動の連続性、開口曲線の構成要素、前記切換わり時からの開口運動の方向、綜絖枠に作用する外力及び織機の回転数を含むグループから選択される少なくとも1つを含むことができる。
上記第2、第3及び第4の制御方法において、いずれも、製織運転中における複数の製織要素の各設定態様を切換可能にされると共に、トルク制限値の係数が各設定態様に対応して各製織要素に複数設定されており、前記設定態様の切り換わりに対応するトルク制限値を各製織要素に選択すると共に、製織運転中の前記設定態様の切り換わり時には、選択された複数の係数から演算により求めたトルク制限値を設定することを含むことができる。
本発明に係る第5の制御方法は、主軸の回転角速度が加速又は減速される第1の過程と前記主軸の回転角速度が維持される第2の過程とに対応させて前記電動モータの出力トルク制限値を予め設定しておき、開口装置の駆動時の前記第1及び第2の過程においてはそれらの過程に対応する出力トルク制限値に基づいて駆動モータの出力トルクを制限して前記電動モータを駆動させることを含む。
上記専用の電動モータは、織機の主軸用駆動モータとは別個に開口装置に備えられている。そのような電動モータは、予め定められた開口曲線にしたがって及び主軸の回転にともなって駆動させることができる。
上記のトルク制限値は、トルク値と電流とが対応するから、最大トルク値及び最大電流値のいずれであってもよい。瞬間的な運転であるならば、瞬時最大トルク又は瞬時最大電流とすることができる。
製織要素としては、開口パターン、ドウェル角、織機の回転数、開口量、織布の幅、経糸の張力、経糸の本数等をあげることができる。
本発明によれば、専用の電動モータのトルク制限値を、設定した製織条件、綜絖枠の枠番又は設定したトルク制限値に応じて、最適な値に設定することができるから、過大なトルクによる綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷、及び、過小なトルクによる綜絖枠の応答遅れを原因とする製織不良を生じない。すなわち、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷、及び、過小なトルクによる綜絖枠の応答遅れを生じることなく、最適な製織性を得ることができる。
図1は、本発明に係る制御装置の一実施例を示す電気回路のブロック図である。
図2は、図1の装置による開口パターン(A)とサーボモータの駆動トルクの一例を示す図である。
図3は、図1の装置による開口パターン(A)とサーボモータの駆動トルクの他の例を示す図である。
図4は、本発明に係る制御装置の他の実施例を示す開口装置の全体構成図である。
図5は、図4に示す開口制御装置における位置指令部の詳細を示すブロック図である。
図6は、開口曲線の設定例を示す図である。
図7は、図4に示す位置制御部の詳細を示すブロック図である。
図8は、図7に示す電流制御回路の詳細を示すブロックを示す図である。
図9は、図7に示す電流制御回路のタイミングチャートを示す図である。
図10は、図9に示すタイミングチャートに続くタイミングチャートを示す図である。
図11は、図5に示す開口選択指令回路の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
図12は、図11に示すフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
図13は、図12に示すフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
図14は、図13に示すフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
図2は、図1の装置による開口パターン(A)とサーボモータの駆動トルクの一例を示す図である。
図3は、図1の装置による開口パターン(A)とサーボモータの駆動トルクの他の例を示す図である。
図4は、本発明に係る制御装置の他の実施例を示す開口装置の全体構成図である。
図5は、図4に示す開口制御装置における位置指令部の詳細を示すブロック図である。
図6は、開口曲線の設定例を示す図である。
図7は、図4に示す位置制御部の詳細を示すブロック図である。
図8は、図7に示す電流制御回路の詳細を示すブロックを示す図である。
図9は、図7に示す電流制御回路のタイミングチャートを示す図である。
図10は、図9に示すタイミングチャートに続くタイミングチャートを示す図である。
図11は、図5に示す開口選択指令回路の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
図12は、図11に示すフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
図13は、図12に示すフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
図14は、図13に示すフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
[第1の実施例]
図1を参照するに、電動開口装置の制御装置10は、織機の主制御装置12と、主制御装置12に接続された設定器14と、設定器14に設定された各種の設定条件S1を主制御装置12から受けてトルク制限レベルすなわちトルク制限値S2を綜絖枠16毎に算出する開口制御装置18と、綜絖枠16毎に備えられたサーボアンプ20と、綜絖枠16毎に備えられたサーボモータ22と、各サーボモータ22の回転角度を表す回転角度信号θ1を開口制御装置18に出力するエンコーダ24とを含む。
図1は、1つの綜絖枠16と、その綜絖枠16に対応するサーボアンプ20と、その綜絖枠16を駆動させる電動モータとしてのサーボモータ22と、そのサーボモータ22の回転角度信号θ1を発生するエンコーダ24とを示すにすぎない。しかし、実際には、複数の綜絖枠16が備えられていると共に、サーボアンプ20とサーボモータ22とエンコーダ24とが綜絖枠16毎に備えられている。
すなわち、1つの開口制御装置18には、綜絖枠16の枠枚数に対応されて複数のサーボアンプ20が接続される。そして発明で言うところの、電動モータはサーボモータ22に、駆動装置はサーボアンプ20に、制御回路は主制御装置12及び開口制御装置18にそれぞれ対応している。またサーボモータ22の出力軸と綜絖枠16との間には、ベル・クランク等で構成され出力軸の回転運動を往復運動に変換する公知の往復運動変換機構が介装されている。
主制御装置12は、織機に用いられている一般的な主制御装置と同様に、エンコーダ26からの主軸の回転角度を表す回転角度信号θ0と、各種の製織情報とを用いて、開口装置、緯入れ装置、緯糸測長貯留装置、緯入れ装置、経糸張力調整装置、織布巻取装置等、織機の各種の機械装置を制御する。
設定器14には、織機主軸の回転角度に対応して予め設定される綜絖枠16の運動曲線を決定するため、開口運動態様を設定するために綿入れ1ピック毎に上口開口又は下口開口のいずれかに定められる開口パターン、ドエル角、経糸開口量等の経糸開口運動のパラメータが、各綜絖枠16に設定されると共に、織機の回転数、開口量、織布幅、経糸張力、経糸のf本数等の製織要素の設定データが設定される。上記列記したこれらの製織要素は、綜絖枠を駆動するサーボモータ22の負荷に関するものであり、主制御装置12において、綜絖枠16と各種の製織要素とを綜絖枠毎に係数化した複数の係数の読み出しに用いられる。読み出された係数は、設定条件S1として綜絖枠毎に開口制御装置18に供給される。
それらの係数は、例えば、製織性と綜絖枠の駆動部品との耐久性が最も均衡するように、試験、計算等により係数化されており、また主制御装置12に予め設定されている。主制御装置12は、設定器14に設定された複数の製織要素の設定機能(設定データ)を基に、対応する複数の係数を読み出し、読み出した係数を設定条件S1として開口制御装置18に出力する。
設定器14は、上記した開口運動のパラメータや開口装置のクロスタイミング等のパラメータを基に、主軸回転角度に対応する開口曲線が綜絖枠毎に予め作成しており、主制御装置12を経由して開口制御装置18に送り込む。送り込まれた開口曲線は開口制御装置18に記憶されている。
このため開口制御装置18は、上記対応される開口曲線に基づき、入力される主軸回転角度信号θ0に対応する図示しない、駆動量信号を、綜絖枠を駆動する各サーボアンプ20,20,…に対し出力する。他方、各サーボアンプ20,20,…には、サーボモータ22,22,…に対応するエンコーダ24からの回転角度信号θ1が入力されている。
各サーボアンプ20,20,…は、開口制御装置18から入力される主軸の回転角度に対応される駆動量信号にしたがいつつ、これと同様に入力される後述されるような製織要素に対応する係数により決定されるトルク制限値信号S2に対応して出力トルク(電流)を制限する制御、つまり出力電流を上記制限値に制限して各サーボモータ22,22,…に供給することにより、各綜絖枠16,16,…をそれぞれ駆動することができる。
また、織機運転、停止等の図示しない織機制御信号が開口制御装置18に主制御装置12から入力されており、開口制御装置18は、入力に対応して駆動量信号及びトルク制限値を出力して各綜絖枠を駆動することも可能である。
係数化は、以下表1のように行うことができる。ただし、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷及び摩耗等による寿命の低下と、製織性との、いずれか一方を特に考慮してもよく、そのため、表1における係数の大小を逆にする場合もある。
ここで、綜絖枠の枠番とは、織機上に並び設けられる複数の綜絖枠に対し付される番号であり、例えば、織前側に近いものから遠ざかる方向に昇順するように付されている。例えば、表1では係数は運動量の大きい枠番の大きい綜絖枠ほど小さく設定されているが、これとは逆に運動量の大きい枠番の大きい綜絖枠ほど係数を大きく設定して、大きい枠番の綜絖枠の加減速時の応答遅れを小さくし、製織性を良くしてもよい。
間欠的な開口パターン(1/2・2/1、1/3・3/1等)は、加減速時に追随遅れを生じやすく、十分な開口量を得ることができない。そのため、そのような開口パターンの場合、係数値を大きくして、加速力や減速時の制動力を大きくする。停止時間の長いより間欠的な開口パターン(1/4・4/1、1/5・5/1等)は、綜絖枠の停止時間が長いから、係数を大きくして加減速時の電流値を大きくしても、焼損しない。
平開口の開口パターン(1/1)は、綜絖枠が連続して運動するから、加速力や減速時の制動力は小さくてもよい。したがって、係数値を小さく抑え、連続運動のための消費電力が大きくなることを抑える。換言すれば、係数値を小さくし、消費電力が減少した分、織機の回転速度を上げても焼損しない。
枠番は、枠番が大きい綜絖枠(経糸の移動方向後方つまり上流側の綜絖枠)ほど、経糸開口量が大きく設定されているから、主軸1回転当たりの運動量が大きくなることから、大きい枠番ほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
織布幅は、これが広いほど、綜絖枠が大きくなり、加減速時の運動エネルギーが大きくなるから、織布幅が大きいほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
ドウェル角は、これが大きいほど、綜絖枠の移動時間が短くなって、加減速の程度が大きくなるから、ドウェル角が大きいほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
織機の回転速度は、織機が高速であるほど、加減速が大きくなるから、回転速度が大きいほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
上記のような、開口パターン、枠番、織布幅、ドウェル角等の開口運動の構成要素、織機の回転速度の係数化のまとめを表1に示し、具体的な係数値の一例を表2に示す。
開口制御装置18は、主制御装置12から供給される設定条件S1及び外部装置から供給される綜絖枠16の最終の枠番S3(すなわち装着される綜絖枠枚数に対応される)を内部メモリーに一時的に記憶し、記憶している設定条件S1及び最終の枠番S3を基に、トルク制限値を綜絖枠毎に算出する。
トルク制限値の算出は、設定条件S1及び最初の枠番1から最終の枠番S3までの係数値を綜絖枠毎に設定器14の内部から取り出し、それらの係数値を綜絖枠毎に対応する電動モータの瞬間最大トルク(又は、瞬間最大電流)に乗算し、綜絖枠毎のトルク制限値を得ることにより、行うことができる。
表2は、瞬間最大トルクをサーボモータ22の定格トルクの200%としたときの係数値の一例を示す。この場合、トルク制限値は次式により得ることができる。
トルク制限値=定格トルク×200%×各係数・・・(1)
算出されたトルク制限値は、トルク制限値として、開口制御装置18の内部メモリーに綜絖枠毎に記憶される。
開口制御装置18は、記憶しているトルク制限値S2を対応するサーボアンプ20に供給する。
各サーボアンプ20は、開口制御装置18から供給される図示しない駆動量信号及びトルク制限値S2を基に、トルク又は電流値が制限値を越えないように、対応するサーボモータ22を位置制御しつつ駆動させる。各サーボアンプ20は、対応するサーボモータ22をトルク又は電流値に対応する制限値を超えないように駆動するように制御する。
以下に示す図2及び図3は、綜絖枠が上口開口位置から下降し再び上昇して元の位置に戻る際にサーボモータが連続的に1方向に駆動される開口装置を例とし、実際の綜絖枠の位置(開口曲線)とそのときの駆動トルク値をそれぞれ示している。
図2は、平開口(平織り)のときの枠番が12番目の綜絖枠用の開口パターン1/1の一例を(A)に示し、そのときのサーボモータ22の駆動トルクを(B)に示す。図2(A)及び(B)のいずれにおいても、横軸は主軸の回転角度(時間)を示す。図2(A)の横軸上の0°は筬打ちのタイミングを示し、このとき主軸の回転角度は0°である。
図2(A)において、係数及びトルク制限値は以下の通りである。
開口パターン(1/1)=0.6
枠番(第12枠)=0.9
織布幅(190cm)=1.0
ドウェル(なし)=1.0
回転数(900rpm)=0.8
トルク制限値=定格トルク×200%×0.6×0.9×1×1×0.8=定格トルク×86.4%
図2(B)において、上側の各平坦領域は加速時であり、下側の各平坦領域は減速時である。
図3は、枠番が1番目の綜絖枠用の開口パターン1/3の一例を(A)に示し、そのときのサーボモータ22の駆動トルクを(B)に示す。図3(A)及び(B)のいずれにおいても、横軸は主軸の回転角度(時間)を示す。図3(A)の横軸上の0°は筬打ちのタイミングを示し、このとき主軸の回転角度は0°である。
図3(A)において、係数及びトルク制限値は以下の通りである。
開口パターン(1/3)=0.8
枠番(第1枠)=1.0
織布幅(190cm)=1.0
ドウェル(なし)=1.0
回転数(550rpm)=0.95
トルク制限値=定格トルク×200%×0.8×1×1×1×0.95=定格トルク×152%
図3(B)においても、上側の各平坦領域は加速時であり、下側の各平坦領域は減速時である。
表3及び表4は、表2のように製織要素の設定態様に応じて係数化してトルク制限値を演算するのではなく、綜絖枠の番号(枠番)のトルク制限値を予め設定する場合の例を示す。表3は平開口パターン1/1のトルク制限値を綜絖枠毎に予め設定する場合の一例を示す。表4は、綜絖枠毎のトルク制限値を開口パターン毎に予め設定する場合の一例を示す。
上記した実施例で、トルク制限値を求める際、製織要素は上記列記したもの全てとし各対応される各係数値の演算(乗算)結果によりトルク制限値を算出するようにしているが、より簡略化するならば、上記列記したもののうち比較的に影響度の大きい1以上の条件に対応して算出すればよい。また、トルク制限値を上記求める綜絖枠を全線絖枠としてもよいし、一部の綜絖枠のみとしてもよい。
[第2の実施例]
以下に示す電動開口装置は、第1の実施例装置に対し、織機運転中にトルク制限値を切り換え可能に構成される例である。さらに付言するならば、複雑な組織の織物に対しても開口曲線等の駆動に関するデータの記憶容量をより節約可能な開口制御装置を具体的に示している。
図4を参照するに、電動開口装置の制御装置30は、織機の主軸32の回転角度を検出するエンコーダのような角度検出器34が出力する主軸32の回転角度信号θ0に基づいて、複数の綜絖枠36のそれぞれに一対一の形に対応された電動モータ38の回転角度(回転量)を制御することにより、電動モータ38に連結されたクランク44の回転角度を制御する。本実施例では、綜絖枠36の数は、例えば8つである。
制御装置30は、主軸32の回転角度信号θ0が入力されて第1から第8の綜絖枠36,36,…の上下方向の位置を個々に指示する位置指令部40と、位置指令部40から出力される第1から第8までの位置制御信号Sp1,Sp2,…,Sp8が入力される第1から第8の位置制御部42,42,…とを備える。
位置制御部42は、開口モータとしての電動モータ38に一対一の形に対応されている。電動モータ38は、綜絖枠36に一対一に対応されている。各電動モータ38として、第1の実施例と同様のサーボモータを用いることができる。
各電動モータ38は、対応する位置制御部42からの駆動電力により回転を制御される。電動モータ38は、その出力軸の回転力により、開口運動用のクランク44を回転させ、連結ロッド46を介して、対応する綜絖枠36を上下動させる。
上下動される綜絖枠36は、それに取り付けられた複数の綜絖48を介して複数の経糸50に開口運動をさせる。したがって、クランク44、連結ロッド46及び綜絖枠36が相当の質量を有するから、それらを、停止状態から回転運動や上下運動をさせるとき、それらの運動をしている状態から運動を停止させるとき等には、大きな慣性力が電動モータ38に作用する。
図5を参照して、位置指令部40について説明する。
位置指令部40は、織機の主軸32の回転に同期した状態で後述する開口パターンに基づいて第1から第8までの電動モータ38の回転をモータ毎に制御するために、第1から第8までの位置制御信号Sp1,Sp2,…,Sp8と、電動モータ38のトルクをモータ毎に制限する第1から第8までのトルク制限値S21,S22,…,S28とを出力する。
このため、位置指令部40は、位置制御信号Spnを出力する駆動量出力回路52と、トルク制限値S2nを出力するトルク制限値発生回路54と、開口曲線を指示する選択指令信号Skを出力する開口選択指令回路56とを備える。ただし、n=1,…,mであり、mは演算される綜絖枠の枚数である。
開口選択指令回路56は、主軸32の回転角度信号θ0に基づいて主軸32が正転又は逆転し所定の角度を通過したことにより、前進歩進信号F及び後退歩進信号Rを主軸32の回転方向に応じて選択的に出力する歩進信号発生器58と、各綜絖枠36に対応する主軸の1回転分の開口パターンを記憶している開口指令設定器60と、前進歩進信号F及び後退歩進信号Rと開口指令設定器60に設定されている開口パターンとを用いて各綜絖枠36を上下動させるための開口曲線の番号を選択する選択制御器62とを備える。
開口パターンは、綜絖枠36の上昇及び下降を表すパターンであり、綜絖枠36の開口運動方向の指示に用いられる。開口曲線は、上下運動時における綜絖枠36の上下方向における位置を表す曲線であり、綜絖枠36の開口運動の速度指令に用いられる。
歩進信号発生器58は、主軸32が正転していると共に主軸32の回転角度信号θ0が110°になると、主軸32が正転し、110°を通過したことを意味するパルス状の前進歩進信号Fを発生し、主軸32が逆転していると共に主軸32の回転角度信号θ0が110°になると、主軸32が逆転し、110°を通過したことを意味するパルス状の後退歩進信号Rを発生する。
前進歩進信号Fは、選択制御器62とトルク制限値発生回路54とに供給される。後退歩進信号Rは選択制御器62に供給される。
開口指令設定器60には、各綜絖枠36に対応する1開口ステップ分の開口パターンが複数ピックにわたって予め設定されて記憶されている。
表5に示すように、本実施例における開口パターンは、各綜絖枠36が上昇位置にあるべきこと(表5においてカッコの外に”1”で示す)及び下降位置にあるべきこと(表5においてカッコの外に”0”で示す)を示す記号で表されている。
選択制御器62は、開口ステップの値を保持すると共に、入力する前進歩進信号F又は後退歩進号Rに応じて開口ステップの値(ピックカウント値)を加算又は減算する算出回路を有する。このため、選択制御器62は、歩進信号発生器58から前進歩進信号F又は後退歩進信号Rが入力するたびに、ピックカウント値を”1”だけ加算又は減算する。
選択制御器62は、また、ピックカウント値が上限リピート値(又は下限リピート値である0)に達すると、ピックカウント値を0(又は上限リピートの値)に戻す。
選択制御器62は、ピックカウント値を用いて設定器60に記憶されている開口パターンを綜絖枠36毎に読み出し、読み出した開口パターンに対応する開口曲線を指示する選択指令信号Skを綜絖枠36毎に駆動量出力回路52とトルク制限値発生回路54とに出力する。
駆動量出力回路52は、切換制御器64の他に、1開口ステップの開始のタイミングを示すタイミング信号Stを発生するタイミング発生器66と、主軸32の回転角度信号θ0に対応する各綜絖枠36の上下方向の位置を示す開口曲線が設定されている開口曲線設定器68とを備える。
タイミング発生器66は、例えば、主軸回転角度θ0が120°のとき、パルス状のタイミング信号Stを発生する。タイミング信号Stは、切換制御器64とトルク制限値発生回路54とに供給される。
タイミング発生器66は、入力される回転角度信号θ0が120°になるたびに「オン」になるパルス状のタイミング信号Stを切換制御器64へ出力する。
図6に示すように、開口曲線設定器68には、織機1回転分すなわち主軸の回転角度が0°から360°までの間の綜絖枠36の位置を設定するための複数の開口曲線が予め設定されて記憶されている。それらの開口曲線は、主軸32の回転角度信号θ0に対応する各綜絖枠36の上下方向における位置を示すべく綜絖枠36の移動方向毎に予め定められた綜絖枠移動パターン(1)、(2)及び(3)に個々に対応されており、切換制御器64に読み出される。
綜絖枠移動パターン(1)、(2)及び(3)は、それぞれ、綜絖枠36が上から下へ移動するとき、綜絖枠36が下から上へ移動するとき、及び実線で示すように上から上へのとき(すなわち移動しないとき)又は破線で示すように下から下へのとき(すなわち移動しないとき)に対応されている。
開口曲線設定器68には、また、主軸回転角度に対する電動モータ38の出力軸ひいてはクランク44の回転角度を示す目標位相曲線(図6参照)が予め設定されて記憶されている。
綜絖枠36が上から下へ移動するときと下から上へ移動するときとの電動モータの回転方向が同一方向であるから、綜絖枠移動パターン(1)及び(2)のときの電動モータ38の目標位相曲線はいずれも右上がりとなる。
図6において、横軸は主軸32の回転角度信号θ0を示す。また、開口曲線、目標移相曲線及び回転量パルスの欄における縦軸は、それぞれ、綜絖枠36の上下位置、電動モータ38の回転角度及びパルスの波高値を示す。
したがって、綜絖枠移動パターン(1)の目標位相曲線は、電動モータ38の回転角度すなわちクランク44の回転角度を、主軸32の回転角度信号θ0=0°の時点から次の開口ステップの回転角度信号θ0=0°から15°前(345°)の時点までは0°から180°に直線的に増加させ、その後主軸32の回転角信号θ0=0°の時点まで(残りの15°の間)は180°に維持する曲線とされている。
綜絖枠移動パターン(2)の目標位相曲線は、クランク44の回転角度を、主軸32の回転角度信号θ0=0°の時点から15°の時点までは180°に維持し、その後次の開口ステップの主軸32の回転角度信号θ0=0°の時点までは180°から360°に直線的に増加させる曲線とされている。
切換制御器64は、入力される選択指令信号Sknに応じて開口曲線を選択すると共に、主軸32の回転角度信号θ0に対する電動モータ38の回転角度が図6に示す目標位相曲線になるように、各電動モータ38に応じたパルス状の位置制御信号Spnを位置制御部42へ出力する。
具体的には、切換制御器64は、主軸32の回転角度信号θ0とタイミング信号Stと第1から第8までの選択指令信号Sknとを基に、設定器68に記憶されている開口曲線を綜絖枠毎に読み出し、読み出した開口曲線を基に綜絖枠36に個々に対応する第1から第8までの位置制御信号Spnを主軸32の回転角度信号θ0に対応して発生する。
トルク制限値発生回路54は、電動モータ38の定格トルク制限値の例えば120%、70%及び30%に対応するトルク制限値を設定して記憶しているトルク制限要素設定器72と、トルク制限要素設定器72から読み出したトルク制限値を位置制御部42に出力するトルク制限値発生器74とを備えている。
より具体的には、トルク制限値発生回路54は、主軸32が1回転する期間を1運動期間としたとき、開口運動の連続性に対応して、トルク制限値をランクA,B及びCのいずれかに切り換える。トルク制限値のランクA,B及びCは、A>B>Cの関係を有し、ランクAは連続定格値(100%)又はその近傍置に設定する値か、短時間定格値を超えない範囲であると共に連続定格値よりも高い値に設定される(例えば120%)。
ランクAは、電動モータ38の運転の開始及び停止のときに、電動モータ38を確実に駆動させることができるように、電動モータ38の定格電流の120%に設定されている。
ランクBは、電動モータ38が連続運動をしている間、電動モータ38の発熱が抑えられ、慣性力が利用され省エネルギーになるように、電動モータ38の定格電流の70%に設定されている。
ランクCは、電動モータ38が停止状態を維持している間、トルク制限値をさらに小さくして電動モータ38の定格電流の30%に設定されている。
ランクA,B,Cの具体的な数値は、一例であり、電動モータの仕様等に実状に合わせて適切に定められる。
トルク制限値発生器74は、前進歩進信号Fの発生時(110°)に更新される開口曲線の選択指令信号Skと過去の数開口パターン前の選択指令信号Skとから、後述するように、開口運動の連続性を判別してトルク制限値S2をタイミング信号Stが発生するとき(120°)に出力している。
トルク制限値発生器74は、(A)織機の運転開始後の所定ピック数(本実施例では3ピック)に達するまでは、トルク制限値を電動モータ38の定格トルクの120%にする、運転開始時の動作と、(B)その後、1ピック単位で指令され、直前のピック、その直前の前のピック及び現在のピックに対応する開口選択指令(開口曲線の選択指令)の出力形態から開口運動の連続性から、トルク制限値を電動モータ38の定格トルクの120%(ランクA)、70%(ランクB)及び30%(ランクC)のグループのいずれかにする、連続運転時の動作とを行う。
図7に示すように、各位置制御部42は、位置制御信号Spnとトルク制限値S2nとに基づいて電動モータ38をフィードバック制御することにより、電動モータ38の回転角度ひいてはクランクの回転角度及び綜絖枠の上下運動を制御する。各電動モータ38の回転角度は、エンコーダ76において電動モータ38の回転に応じて発生されるパルス信号Seとして検出される。
各位置制御部42は、これに対応する電動モータ38の回転角度を表すパルス信号Seを、偏差検出回路78に受けると共に、速度信号変換回路83を介して速度制御回路80に受け、さらに回転角度変換回路85を介して電流制御回路82に受け、それにより位置制御信号Spnに応じて電動モータ38の回転角度を制御する。
速度信号変換回路83は、周波数・電圧変換回路であり、入力されるパルス信号Seをその周波数に応じた電圧に変換して実際の速度を表す速度信号Svを発生する。回転角度変換回路85は、入力するパルス信号Seを、計数して、電動モータ38の回転角度を表す角度信号θtを発生する。
偏差検出回路78は、位置制御信号Spとパルス信号Seとを受ける。一方内蔵される正逆カウンターに、両信号Spn及びSeが入力されるための正逆カウンターは2つのパルス信号の入力数の偏差を検出し、検出した偏差を偏差信号ΔPとして速度制御回路80に出力する。
速度制御回路80は、これに入力される偏差信号ΔPと速度信号Svとを基に速度偏差を算出し、算出した速度偏差を速度偏差信号ΔVとして電流制御回路82に出力する。
電流制御回路82は、速度偏差信号ΔV、電流センサ81で検出した電流値信号Sifとから2つの偏差に対応する電流指令値を算出する。そして電流制御回路82は、トルク制限値S2を超えないように決定される電流指令値と角度信号θtに基づき電動モータ38に電流を出力することによりトルク制限を行い、電動モータ38の電流制御を行う。
これにより、位置制御部42は、電動モータ38の出力トルク値がトルク制限値S2を超えないように電動モータ38に供給する電流を制限する。すなわち、電流制御回路82は、速度偏差信号ΔVに応じてかつ出力トルクがトルク制限値S2の範囲に制御された状態で電動モータ38を駆動することができる。
より具体的には、図8に示すように、電流制御回路82は、速度偏差信号ΔVに対応する電流指令値Ιを演算して加算点86の加算端子に出力する電流算出器84と、電動モータ38に流れる電流を表す電流値信号Sifに電流ループゲインgを乗じた値を加算点86の減算端子に出力する乗算器88と、加算点86で算出された結果を示す偏差電流値ΔIがトルク制限値S2を超えない範囲内の電流指令値信号Siを出力するリミッタ回路90と、電流指令値信号Siに基づくと共に電動モータ38の電気的角度信号θtが所定の角度範囲内に位置するように電動モータ38に供給する電流を発生する電流発生回路92とを備えている。
以上の制御装置30は、図9及び図10に示すタイミングチャートのように綜絖枠36を上下動させる。
図9及び図10は、開口パターン(1/3・3/1)としたときの、第1の綜絖枠36における上記の連続運転時の動作フローを時系列的に示すタイムチャートである。
図10に示すタイムチャートは、織機の運転期間中に開口運動の切換タイミングにおいて前回の開口ステップにおける開口パターンと今回の開口ステップにおけるそれとの比較の結果により開口運動の連続性を判別してトルク制限値を決定する例である。図9に示すタイムチャートは、図10に対してさらに、織機運転開始時における加速時とそれ以降の定常回転状態とで異なるトルク制限値を決定する例である。このような動作は後述される図11から図14までに示すフローチャートにより実現される。
図9及び図10は、第1の綜絖枠36において、横軸は主軸32の回転角度信号θ0を示し、縦軸は(A)運転開始信号So、(B)前進歩進信号F、(C)開口ステップの番号、(D)開口選択指令回路56から出力される選択指令信号Skにより指定される綜絖枠移動パターンの番号、(E)タイミング信号St、(F)綜絖枠36の上下方向の開口量、(G)電動モータ38に出力される駆動パルスの状態、及び(H)トルク制限値を示す。
また、トルク制限値発生器74は、制御運転中に図11から図14に示すフローチャートにしたがってトルク制限値を定める。
図11から図14を参照して、連続運転時における制御装置30の動作を説明する。
開口ステップ番号(すなわちピックカウント値)が”1”でありかつ主軸角度が300°の状態で停止している織機を想定する。図9は、綜絖枠36の枠番が1(すなわち最前列)である第1の綜絖粋36に対する動作タイミングチャートを示している。この状態で停止している織機において、選択制御器62は、表5に示されるように開口ステップ番号1における状態“0”の選択指令信号Skを出力しており、第1の綜絖枠36は、位置指令部40からパルス状に出力された位置指令信号SP1によりやや下口開口状態にされる位置に既に移動されて織機主軸の回転角度θ0に対し同期された状態にある。
図9は、織機の回転速度が定常回転数に達している運転期間において、トルク制御値発生器74が、綜絖枠36の枠番1の開口運動の連続性を判別して対応するトルク制限値を切り換える例であると共に、織機運転開始後から運転開始後より複数ピック(図示例では3ピック)までの期間において、トルク制御値発生器74が慣性力による綜絖枠の駆動遅れを避けるために上記に代えて常に高いトルク制限値に切り換える例である。
(1)織機の運転開始の直後のピックの説明
織機の運転開始前において、トルク制限値発生器74の回転数変更用のフラグAは「オフ」にされている。
上記状態において、図9に示すように、主軸32の回転角度信号θ0が例えば300°のときに、作業者により運転開始信号Soが一時的に「オン」にされる。
このとき、開口パターンは表5に示す開口ステップ番号1になっているから、位置指令部40は、第1の綜絖枠36を下死点へ移動させるべく位置制御信号Spを出力する。
このときの、織機の運転開始直後のピック(第1番目のピック)のトルク制限値は、以下のように算出される。
運転開始信号Soが「オン」になると、織機の運転が開始される。これにより、図11に示すように、トルク制限値発生器74は、フラグAが「オン」であるか「オフ」であるかを判定する(ステップ101)。
図11から図14までのフローチャートのような制御処理は、運転開始信号Soの入力や回転数変更信号SAの入力の入力時のほか、織機運転中では、前進歩進信号Fが発生される(110°を通過する)たびに実行される。また後述するフラグAは、運転開始信号Soの入力又は回転数変更信号SAの入力によりセットされるフラグである。
トルク制限値発生器74は、ステップ101における判定の結果、「オン」であると、Bを経由して図12に示す開口曲線選択処理フローへ移行し、フラグAが「オフ」であると、「オン」の運転開始信号Soが入力したか否かの判定に移行する(ステップ102)。
トルク制限値発生器74は、ステップ102における判定の結果、「オン」の運転開始信号Soの入力であると、Bを経由して図12に示す開口曲線選択処理フローに移行し、それ以外であると、Aを経由して図13に示す回転数変更処理フローに移行する。
図12に示す開口曲線選択処理フローにおいて、トルク制限値発生器74は、フラグAが「オン」であるか「オフ」であるかを再度判定する(ステップ201)。
このステップ201を実行する時点においては、上述のようにフラグAが既に「オフ」になっているはずであるが、「オン」になっているときもある。
このため、ステップ201における判定の結果、フラグAが「オフ」であると、トルク制限値発生器74は、フラグAを「オン」にすると共に、選択制御器62のピックカウント値を”0”にし(ステップ202)、次いでトルク制限値発生器74のトルク制限値IL0を電動モータ38の定格トルクの120%(すなわち、ランクA)に設定する(ステップ203)。
これにより、トルク制限値IL0がランクAの値に設定される。その後、トルク制限値発生器74は、図14に示すステップ401へ移行する。
図14に示すように、ステップ401において、直ちに、トルク制限値IL0をトルク制限値ILに更新し、トルク制限値発生器74は、トルク制限値ILをトルク制限値S2として位置制御部42へ出力した後、織機の運転開始の直後のピック(換言すると、運転開始後のファーストピック)のトルク制限値の算出を終了する。
一方、駆動量出力回路52の切換制御器64は、図9(G)及び図6における(1)の回転量パルス波形に示すような位置制御信号Sp1を第1の位置制御部42へ出力する。
上記の結果、第1の位置制御部42は、位置制御信号Sp1とトルク制限値S21とに基づいて、第1の電動モータ38をランクAすなわち定格トルクの120%に設定されたトルク制限値S2以下の範囲内の電流で駆動させる。
直前まで停止していた第1の電動モータ38は位置制御信号Spに基づいて急に駆動されるが、回転運動していないクランク44の大きな慣性力が電動モータ38に作用する。
しかし、トルク制限値S21が定格トルクの120%とされるランクAに設定されているから、電動モータ38が一時的に過負荷状態になっても、定格電流より大きな電流が電動モータ38に流れるから、電動モータ38は、強力な回転力(トルク)でクランク44を回転させて、綜絖枠36を上から下へ迅速に移動させる。
(2)織機の運転開始の直後の第2番目及び第3番目のピックの説明
この場合、制御装置30は、主軸32の回転角度信号θ0が110°になったとき、歩進信号発生器58からパルス状の前進歩進信号Fを出力させる(図9(B)参照)。
選択制御器62は、表5の開口ステップ2及び3に対応する設定値を選択し、表5の(2)の開口曲線の選択指令信号Skを出力する。
他方、トルク信号発生器74では、ステップ101においてフラグAが「オン」であると判定し、またステップ201における判定の結果、フラグAが「オン」になっていると、制御装置30は、図12に示すように、ピックカウント値を”1”増加させる(ステップ204)。その結果、カウント値は1又は2になる。
次いで、トルク制限値発生器74は、直前のピックの選択指令信号Skの1つ前のピックの選択指令信号Skと、直前の選択指令信号Skと現在の選択指令信号Skとを、それぞれ、第3次選択指令、第2次選択指令及び第1次選択指令として、記憶する(ステップ205)。
現在が、運転開始後、第2番目のピックであれば、第3次選択指令は記憶されていない。第2番目のピックにおける第1次及び第2次選択指令は、表5に示す綜絖枠36の上下方向の位置を示す”1”又は”0”の値に保持される。第3番目のピックにおける第1次,第2次及び第3次の選択司令は、それぞれ、”1”,”1”,”0”の値に保持される。
次いで、トルク制限値発生器74は、ピックカウント値が所定の値(本実施例では3)に達しているかを判断し(ステップ206)、その後ステップ401へ移行する。
上記の結果、2ピック目及び3ピック目においては、トルク制限値IL0が第1番目のピックの値(ランクAの値)が設定されているから、ステップ401においては、トルク制限値ILの値をランクAの値のままとし、また、トルク制限値発生器74は、タイミング信号Stの入力をまって、トルク制限値S2として出力する。
(3)織機の運転開始の直後の第4番目のピックの説明
この場合、制御装置30は、ステップ101においてフラグAが「オン」であると判定し、ステップ201においてフラグAが「オン」と再度判定し、その後ステップ204においてトルク制限値発生器74のピックカウント値を”1”増加させる。その結果、トルク制限値発生器74のピックカウント値は3になる。
次いで、トルク制限値発生器74は、ステップ205において、直前のピックの選択指令信号Skの1つ前のピックの選択指令信号Skと、直前の選択指令信号Skと現在の選択指令信号Skとを、それぞれ、第3次選択指令、第2次選択指令及び第1次選択指令として記憶する。
この時点におけるピック番号が運転開始後から第4番目のピックであるから、第1次から第3次までの選択指令信号Skがすでにトルク制限値発生器74に記憶されている。
次いで、トルク制限値発生器74は、ステップ206においてトルク制限値発生器74のピックカウント値が所定の値(本実施例では3)に達しているかを判断する。
その結果、トルク制限値発生器74は、ピックカウント値が所定の値に達しているため、フラグAを「オフ」にし、その後図13に示すステップ302に移行する。
図13に示すように、トルク制限値発生器74は、トルク制限値を設定するためにステップ302において、第1次選択指令及び第2次選択指令が同じであるか否かを判断する。
トルク制限値発生器74は、第1次選択指令と第2次選択指令とが異なれば、ステップ303において、また第1次選択指令と第2次選択指令とが同じであれば、ステップ304において、それぞれ、第2次選択指令と第3次選択指令とが同じか否かを判断する。
ステップ303における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが異なるが第2次選択指令と第3次選択指令とが同じであると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクAの値に設定して(ステップ305)、ステップ401に移行する。
ステップ302における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが異なると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクBの値に設定して、ステップ401に移行する。
第2次選択指令と第3次選択指令とも異なる場合には、トルク制限値IL0の値をランクBの値に設定して(ステップ306)、ステップ401へ移行する。
ステップ304における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが同じであると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクCの値に設定して(ステップ307)、ステップ401に移行する。
ステップ304における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが異なると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクAの値に設定して(ステップ308)、ステップ401に移行する。
ステップ401においてトルク制限値ILの値をトルク制限値IL0の値とし、また、トルク制限値発生器74は、タイミング信号Stの入力をまって、トルク制限値S2として出力する。
例えば、製織運転中に静止している綜絖枠について、開口ステップ番号が1つ増加されたことにより新たに綜絖粋の移動(開口運動)が発生するときには、ステップ305を通過することによりランクAのトルク制限値が選択されることにより綜絖枠の移動開始に必要なトルクが出力可能にされる。
また開口ステップ番号が1つ増加されても綜絖枠の移動が発生しないときには、ステップ307を通過することによりランクCのトルク制限値が選択されて綜絖枠の位置を保持するために必要な程度の出力トルクに制限することができる。
また製織運転中に移動している綜絖枠が、開口ステップ番号が1つ増加されたことによりそのまま綜絖枠の移動(開口運動)を継続するときには、ステップ306を通過することによりランクBのトルク制限値が選択されて出力トルクが制限されるため、開口曲線に正確に追従するための減速および加速に係わる無駄な動作が制限される。この結果、慣性力を有効に活用して綜絖枠を駆動することができる。
また綜絖枠の移動が発生せず静止状態になるときには、ステップ308を通過することにより、ランクAのトルク制限値が選択されて移動している綜絖枠を静止させるために必要な減速トルクが出力可能にされる。
このように、開口ステップが1つ増加されるたびに、過去の2ピック及び今後の1ピックにおける綜絖枠の運動の連続性を判別し、(綜絖粋の静止も含む)綜絖枠の運動が連続性を有するとき、より具体的には過去の2ピック及び今後の1ピックの綜絖枠が移動を続けるとき又は静止を続けるとき、これらに対応して今後の1ビック期間におけるトルク制限値を低く設定する。
また、綜絖枠の運動が連続性を有しないとき、より具体的には過去の2ピックで移動した綜絖枠が今後の1ピックでは移動せず静止されるときあるいは過去の2ピックにおいて静止していた綜絖枠が今後の1ピックで移動されるとき、これらに対応して今後の1ピック期間におけるトルク制限値を高く設定される。
換言すれば、ステップ301からステップ401の処理を経由することにより、綜絖枠の運動が連続性を有するときにトルク制限値が低めに設定される結果、無駄な減速や加速が抑えられて綜絖枠の移動中の作用力(慣性力)を生かした駆動が行われ、また綜絖枠の移動や静止のためにトルクが必要な時期にはトルク制限値が高めに設定されることにより必要なトルクを出力できるため、省エネ効果を高めることができる。
綜絖枠の運動の連続性の有無に対応してトルク制限値を設定しているが、例えば、今後1ビックの綜絖枠の運動態様に対応して、静止から移動開始する場合と移動中から静止する場合とで異なるトルク制限値を設定することも可能である。
(4)連続運転時の動作の説明
この場合、織機の運転がすでに開始されており、制御装置30は、主軸32の回転角度信号θ0が110°になったとき、歩進信号発生器58からパルス状の前進歩進信号Fを出力するから、トルク制限値発生器74は、上記したフローチャートの処理を再度実行する。しかも運転開始信号Soが図9(A)に示すように「オフ」にされており、その上先のステップ207においてフラグAが既に「オフ」にされているから、トルク制限値発生器74は、フラグAの判別をするステップ101において「オフ」と判断して、トルク制限値発生器74はステップ102へ進む。
トルク制限値発生器74は、ステップ102においては、上述のように運転開始信号Soが「オフ」になっており、また、主軸32の回転数変更指令が入力されていないことから、トルク制限値発生器74は、図13に示すステップ301に移行する。
図13に示すように、トルク制限値発生器74は、ステップ301において、直前のピックの選択指令信号Skの1つ前のピックの選択指令信号Skと、直前の選択指令信号Skと現在の選択指令信号Skとを、それぞれ、第3次選択指令、第2次選択指令及び第1次選択指令として記憶して、ステップ302に移行する。
トルク制限値発生器74は、ステップ302,303,304では、既に述べたように、第1次、第2次及び第3次の選択指令が同じであるか否かを判断し、その結果に応じて、ステップ305,306,307又は308に移行し、トルク制限値IL0をランクA,B及びCのいずれかに設定し、その後ステップ401に移行する。
ステップ401において、トルク制限値ILの値をトルク制限値IL0の値とし、また、トルク制限値発生器74は、タイミング信号Stの入力をまって、トルク制限値S2として出力させる。したがって、全開口ステップ数が8とされ、表5に示される開口パターンが第1から第8の綜絖枠に対する開口パターンが表5に示すように設定されたとき、トルク制限値発生器74は、各開口ステップにおいて表6に示すようなランクに対応するトルク制限値S2を各綜絖枠毎に出力する。
以上の制御装置30(トルク制限値発生器74)は以下のように変形してもよい。
開口運動の連続性を、運転中に判別する換わりに、運転前に予め判別してピック数に応じてトルク制限値に対する選択信号を発生可能にし、運転中は、ピックカウント値をもとに選択信号を発生させ、トルク制限値を切り換えてもよい。
製織運転中の切り替わりは、製織要素について上記した開口運動の連続性に限らず、以下のものを考慮してトルク制限値を決定してもよいし、2以上組み合わせてもよい。
例えば、前記第1の実施例と同様、トルク制限値を算出するための係数を後述する製織要素の設定態様に予め定めておき、各製織要素に設定態様に対応して選択された係数からトルク制限値を演算により求めて設定する。このような場合のトルク制限値は、製織運転に先立ち各設定態様の組合せに対応されるトルク制限値を演算により予め求めておき、製織運転中にはこれらを選択することにより設定する方法が望ましいが、製織運転中に設定態様が切り換わるたびに演算して設定してもよい。
例えば、製織運転中のドエル角度(最大開口状態に維持する角度)、開口運動のクロスタイミング、開口量等の開口曲線の構成要素が異なる開口曲線を選択するようにしてもよい。この場合、トルク制限値もこれら開口曲線に応じて設定し、切り換えるようにすれば良く、例えば、駆動期間を短くした開口曲線を選択したときは、トルク制限値を高めに設定してもよい。
綜絖枠36の運動方向(上から下又は下から上)に応じてトルク制限値を切り換えてもよい。より具体的には、綜絖枠36の自重が電動モータ38の回転に大きく作用される場合、トルク制限値を低めに設定してもよい。
緯糸の打込性を向上させるために、織機の運転中に緯入れピックに応じて経糸張力を変更する。そのような変更に対応させて開口装置の上記トルク制限値を切り換えてもよい。より具体的には、経糸張力が低下したときは、トルク制限値も低めに設定する。
緯入れの難易性が異なる複数の種類の緯糸を緯入れするために、織機の運転中に緯入れピックに対応させて織機の主軸32の回転数を変更するとき、その変更に対応させてトルク制限値を切り換える。より具体的には、主軸32の回転速度が遅いときは、トルク制限値は低めに設定する。この場合、図11に示すステップ102において、電動開口装置の制御装置30は、ステップ101においてフラグAが「オフ」になっており、またステップ102において主軸32の回転数の変化を判断し、主軸32の回転数が変化したと判断した場合には、運転開始信号Soが「オン」になったときと同様に、図12のステップ201を経てステップ202へ移行する。
トルク制限値の切換について、上記した第2の実施例では、織機の主軸32が1回転する毎に切換可能にされているが、1回転未満あるいは1回転以上の所定角度、さらには2回転以上の複数回転単位で切り換えるようにしてもよい。
トルク制限値の切り換えは、開口運動の連続性の変化を判定してもよいし、織物の組織の切り替わりに対応させてもよい。
例えば、平組織(すなわち定常運転中、綜絖枠が静止しない、常に運動状態にある)の場合の運転開始時に対応する第1の過程に対し、定常回転速度到達後の第2の過程で、低めのトルク制限値に切り換えてもよい。
緯入れの難易性により織機回転数を緯入れピックに対応させて変更する織機の場合、織機回転数の変更に対応してトルク制限値を切り換えるようにしてもよい。この場合、織機回転数の切換信号がトルク制限値発生回路に入力される。
トルク制限値の切換は、主軸32の回転角度により切り換えてもよいが、基準角度からの経過時間により切り換えるようにしてもよい。
上記した第2の実施例について、第1の実施例のように、トルク制限値を綜絖枠の番号(枠番)を考慮して異なるように設定してもよい。
開口制御装置の内部構成は、図示のように一連の処理についてハードウェアによる処理をしてもよいし、マイコンとソフトウェアとによる処理をしてもよい。
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
図1を参照するに、電動開口装置の制御装置10は、織機の主制御装置12と、主制御装置12に接続された設定器14と、設定器14に設定された各種の設定条件S1を主制御装置12から受けてトルク制限レベルすなわちトルク制限値S2を綜絖枠16毎に算出する開口制御装置18と、綜絖枠16毎に備えられたサーボアンプ20と、綜絖枠16毎に備えられたサーボモータ22と、各サーボモータ22の回転角度を表す回転角度信号θ1を開口制御装置18に出力するエンコーダ24とを含む。
図1は、1つの綜絖枠16と、その綜絖枠16に対応するサーボアンプ20と、その綜絖枠16を駆動させる電動モータとしてのサーボモータ22と、そのサーボモータ22の回転角度信号θ1を発生するエンコーダ24とを示すにすぎない。しかし、実際には、複数の綜絖枠16が備えられていると共に、サーボアンプ20とサーボモータ22とエンコーダ24とが綜絖枠16毎に備えられている。
すなわち、1つの開口制御装置18には、綜絖枠16の枠枚数に対応されて複数のサーボアンプ20が接続される。そして発明で言うところの、電動モータはサーボモータ22に、駆動装置はサーボアンプ20に、制御回路は主制御装置12及び開口制御装置18にそれぞれ対応している。またサーボモータ22の出力軸と綜絖枠16との間には、ベル・クランク等で構成され出力軸の回転運動を往復運動に変換する公知の往復運動変換機構が介装されている。
主制御装置12は、織機に用いられている一般的な主制御装置と同様に、エンコーダ26からの主軸の回転角度を表す回転角度信号θ0と、各種の製織情報とを用いて、開口装置、緯入れ装置、緯糸測長貯留装置、緯入れ装置、経糸張力調整装置、織布巻取装置等、織機の各種の機械装置を制御する。
設定器14には、織機主軸の回転角度に対応して予め設定される綜絖枠16の運動曲線を決定するため、開口運動態様を設定するために綿入れ1ピック毎に上口開口又は下口開口のいずれかに定められる開口パターン、ドエル角、経糸開口量等の経糸開口運動のパラメータが、各綜絖枠16に設定されると共に、織機の回転数、開口量、織布幅、経糸張力、経糸のf本数等の製織要素の設定データが設定される。上記列記したこれらの製織要素は、綜絖枠を駆動するサーボモータ22の負荷に関するものであり、主制御装置12において、綜絖枠16と各種の製織要素とを綜絖枠毎に係数化した複数の係数の読み出しに用いられる。読み出された係数は、設定条件S1として綜絖枠毎に開口制御装置18に供給される。
それらの係数は、例えば、製織性と綜絖枠の駆動部品との耐久性が最も均衡するように、試験、計算等により係数化されており、また主制御装置12に予め設定されている。主制御装置12は、設定器14に設定された複数の製織要素の設定機能(設定データ)を基に、対応する複数の係数を読み出し、読み出した係数を設定条件S1として開口制御装置18に出力する。
設定器14は、上記した開口運動のパラメータや開口装置のクロスタイミング等のパラメータを基に、主軸回転角度に対応する開口曲線が綜絖枠毎に予め作成しており、主制御装置12を経由して開口制御装置18に送り込む。送り込まれた開口曲線は開口制御装置18に記憶されている。
このため開口制御装置18は、上記対応される開口曲線に基づき、入力される主軸回転角度信号θ0に対応する図示しない、駆動量信号を、綜絖枠を駆動する各サーボアンプ20,20,…に対し出力する。他方、各サーボアンプ20,20,…には、サーボモータ22,22,…に対応するエンコーダ24からの回転角度信号θ1が入力されている。
各サーボアンプ20,20,…は、開口制御装置18から入力される主軸の回転角度に対応される駆動量信号にしたがいつつ、これと同様に入力される後述されるような製織要素に対応する係数により決定されるトルク制限値信号S2に対応して出力トルク(電流)を制限する制御、つまり出力電流を上記制限値に制限して各サーボモータ22,22,…に供給することにより、各綜絖枠16,16,…をそれぞれ駆動することができる。
また、織機運転、停止等の図示しない織機制御信号が開口制御装置18に主制御装置12から入力されており、開口制御装置18は、入力に対応して駆動量信号及びトルク制限値を出力して各綜絖枠を駆動することも可能である。
係数化は、以下表1のように行うことができる。ただし、綜絖枠の駆動部品や電動モータの損傷及び摩耗等による寿命の低下と、製織性との、いずれか一方を特に考慮してもよく、そのため、表1における係数の大小を逆にする場合もある。
ここで、綜絖枠の枠番とは、織機上に並び設けられる複数の綜絖枠に対し付される番号であり、例えば、織前側に近いものから遠ざかる方向に昇順するように付されている。例えば、表1では係数は運動量の大きい枠番の大きい綜絖枠ほど小さく設定されているが、これとは逆に運動量の大きい枠番の大きい綜絖枠ほど係数を大きく設定して、大きい枠番の綜絖枠の加減速時の応答遅れを小さくし、製織性を良くしてもよい。
間欠的な開口パターン(1/2・2/1、1/3・3/1等)は、加減速時に追随遅れを生じやすく、十分な開口量を得ることができない。そのため、そのような開口パターンの場合、係数値を大きくして、加速力や減速時の制動力を大きくする。停止時間の長いより間欠的な開口パターン(1/4・4/1、1/5・5/1等)は、綜絖枠の停止時間が長いから、係数を大きくして加減速時の電流値を大きくしても、焼損しない。
平開口の開口パターン(1/1)は、綜絖枠が連続して運動するから、加速力や減速時の制動力は小さくてもよい。したがって、係数値を小さく抑え、連続運動のための消費電力が大きくなることを抑える。換言すれば、係数値を小さくし、消費電力が減少した分、織機の回転速度を上げても焼損しない。
枠番は、枠番が大きい綜絖枠(経糸の移動方向後方つまり上流側の綜絖枠)ほど、経糸開口量が大きく設定されているから、主軸1回転当たりの運動量が大きくなることから、大きい枠番ほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
織布幅は、これが広いほど、綜絖枠が大きくなり、加減速時の運動エネルギーが大きくなるから、織布幅が大きいほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
ドウェル角は、これが大きいほど、綜絖枠の移動時間が短くなって、加減速の程度が大きくなるから、ドウェル角が大きいほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
織機の回転速度は、織機が高速であるほど、加減速が大きくなるから、回転速度が大きいほど、係数値を小さくして、駆動部品の破損を防ぐ。
上記のような、開口パターン、枠番、織布幅、ドウェル角等の開口運動の構成要素、織機の回転速度の係数化のまとめを表1に示し、具体的な係数値の一例を表2に示す。
開口制御装置18は、主制御装置12から供給される設定条件S1及び外部装置から供給される綜絖枠16の最終の枠番S3(すなわち装着される綜絖枠枚数に対応される)を内部メモリーに一時的に記憶し、記憶している設定条件S1及び最終の枠番S3を基に、トルク制限値を綜絖枠毎に算出する。
トルク制限値の算出は、設定条件S1及び最初の枠番1から最終の枠番S3までの係数値を綜絖枠毎に設定器14の内部から取り出し、それらの係数値を綜絖枠毎に対応する電動モータの瞬間最大トルク(又は、瞬間最大電流)に乗算し、綜絖枠毎のトルク制限値を得ることにより、行うことができる。
表2は、瞬間最大トルクをサーボモータ22の定格トルクの200%としたときの係数値の一例を示す。この場合、トルク制限値は次式により得ることができる。
トルク制限値=定格トルク×200%×各係数・・・(1)
算出されたトルク制限値は、トルク制限値として、開口制御装置18の内部メモリーに綜絖枠毎に記憶される。
開口制御装置18は、記憶しているトルク制限値S2を対応するサーボアンプ20に供給する。
各サーボアンプ20は、開口制御装置18から供給される図示しない駆動量信号及びトルク制限値S2を基に、トルク又は電流値が制限値を越えないように、対応するサーボモータ22を位置制御しつつ駆動させる。各サーボアンプ20は、対応するサーボモータ22をトルク又は電流値に対応する制限値を超えないように駆動するように制御する。
以下に示す図2及び図3は、綜絖枠が上口開口位置から下降し再び上昇して元の位置に戻る際にサーボモータが連続的に1方向に駆動される開口装置を例とし、実際の綜絖枠の位置(開口曲線)とそのときの駆動トルク値をそれぞれ示している。
図2は、平開口(平織り)のときの枠番が12番目の綜絖枠用の開口パターン1/1の一例を(A)に示し、そのときのサーボモータ22の駆動トルクを(B)に示す。図2(A)及び(B)のいずれにおいても、横軸は主軸の回転角度(時間)を示す。図2(A)の横軸上の0°は筬打ちのタイミングを示し、このとき主軸の回転角度は0°である。
図2(A)において、係数及びトルク制限値は以下の通りである。
開口パターン(1/1)=0.6
枠番(第12枠)=0.9
織布幅(190cm)=1.0
ドウェル(なし)=1.0
回転数(900rpm)=0.8
トルク制限値=定格トルク×200%×0.6×0.9×1×1×0.8=定格トルク×86.4%
図2(B)において、上側の各平坦領域は加速時であり、下側の各平坦領域は減速時である。
図3は、枠番が1番目の綜絖枠用の開口パターン1/3の一例を(A)に示し、そのときのサーボモータ22の駆動トルクを(B)に示す。図3(A)及び(B)のいずれにおいても、横軸は主軸の回転角度(時間)を示す。図3(A)の横軸上の0°は筬打ちのタイミングを示し、このとき主軸の回転角度は0°である。
図3(A)において、係数及びトルク制限値は以下の通りである。
開口パターン(1/3)=0.8
枠番(第1枠)=1.0
織布幅(190cm)=1.0
ドウェル(なし)=1.0
回転数(550rpm)=0.95
トルク制限値=定格トルク×200%×0.8×1×1×1×0.95=定格トルク×152%
図3(B)においても、上側の各平坦領域は加速時であり、下側の各平坦領域は減速時である。
表3及び表4は、表2のように製織要素の設定態様に応じて係数化してトルク制限値を演算するのではなく、綜絖枠の番号(枠番)のトルク制限値を予め設定する場合の例を示す。表3は平開口パターン1/1のトルク制限値を綜絖枠毎に予め設定する場合の一例を示す。表4は、綜絖枠毎のトルク制限値を開口パターン毎に予め設定する場合の一例を示す。
上記した実施例で、トルク制限値を求める際、製織要素は上記列記したもの全てとし各対応される各係数値の演算(乗算)結果によりトルク制限値を算出するようにしているが、より簡略化するならば、上記列記したもののうち比較的に影響度の大きい1以上の条件に対応して算出すればよい。また、トルク制限値を上記求める綜絖枠を全線絖枠としてもよいし、一部の綜絖枠のみとしてもよい。
[第2の実施例]
以下に示す電動開口装置は、第1の実施例装置に対し、織機運転中にトルク制限値を切り換え可能に構成される例である。さらに付言するならば、複雑な組織の織物に対しても開口曲線等の駆動に関するデータの記憶容量をより節約可能な開口制御装置を具体的に示している。
図4を参照するに、電動開口装置の制御装置30は、織機の主軸32の回転角度を検出するエンコーダのような角度検出器34が出力する主軸32の回転角度信号θ0に基づいて、複数の綜絖枠36のそれぞれに一対一の形に対応された電動モータ38の回転角度(回転量)を制御することにより、電動モータ38に連結されたクランク44の回転角度を制御する。本実施例では、綜絖枠36の数は、例えば8つである。
制御装置30は、主軸32の回転角度信号θ0が入力されて第1から第8の綜絖枠36,36,…の上下方向の位置を個々に指示する位置指令部40と、位置指令部40から出力される第1から第8までの位置制御信号Sp1,Sp2,…,Sp8が入力される第1から第8の位置制御部42,42,…とを備える。
位置制御部42は、開口モータとしての電動モータ38に一対一の形に対応されている。電動モータ38は、綜絖枠36に一対一に対応されている。各電動モータ38として、第1の実施例と同様のサーボモータを用いることができる。
各電動モータ38は、対応する位置制御部42からの駆動電力により回転を制御される。電動モータ38は、その出力軸の回転力により、開口運動用のクランク44を回転させ、連結ロッド46を介して、対応する綜絖枠36を上下動させる。
上下動される綜絖枠36は、それに取り付けられた複数の綜絖48を介して複数の経糸50に開口運動をさせる。したがって、クランク44、連結ロッド46及び綜絖枠36が相当の質量を有するから、それらを、停止状態から回転運動や上下運動をさせるとき、それらの運動をしている状態から運動を停止させるとき等には、大きな慣性力が電動モータ38に作用する。
図5を参照して、位置指令部40について説明する。
位置指令部40は、織機の主軸32の回転に同期した状態で後述する開口パターンに基づいて第1から第8までの電動モータ38の回転をモータ毎に制御するために、第1から第8までの位置制御信号Sp1,Sp2,…,Sp8と、電動モータ38のトルクをモータ毎に制限する第1から第8までのトルク制限値S21,S22,…,S28とを出力する。
このため、位置指令部40は、位置制御信号Spnを出力する駆動量出力回路52と、トルク制限値S2nを出力するトルク制限値発生回路54と、開口曲線を指示する選択指令信号Skを出力する開口選択指令回路56とを備える。ただし、n=1,…,mであり、mは演算される綜絖枠の枚数である。
開口選択指令回路56は、主軸32の回転角度信号θ0に基づいて主軸32が正転又は逆転し所定の角度を通過したことにより、前進歩進信号F及び後退歩進信号Rを主軸32の回転方向に応じて選択的に出力する歩進信号発生器58と、各綜絖枠36に対応する主軸の1回転分の開口パターンを記憶している開口指令設定器60と、前進歩進信号F及び後退歩進信号Rと開口指令設定器60に設定されている開口パターンとを用いて各綜絖枠36を上下動させるための開口曲線の番号を選択する選択制御器62とを備える。
開口パターンは、綜絖枠36の上昇及び下降を表すパターンであり、綜絖枠36の開口運動方向の指示に用いられる。開口曲線は、上下運動時における綜絖枠36の上下方向における位置を表す曲線であり、綜絖枠36の開口運動の速度指令に用いられる。
歩進信号発生器58は、主軸32が正転していると共に主軸32の回転角度信号θ0が110°になると、主軸32が正転し、110°を通過したことを意味するパルス状の前進歩進信号Fを発生し、主軸32が逆転していると共に主軸32の回転角度信号θ0が110°になると、主軸32が逆転し、110°を通過したことを意味するパルス状の後退歩進信号Rを発生する。
前進歩進信号Fは、選択制御器62とトルク制限値発生回路54とに供給される。後退歩進信号Rは選択制御器62に供給される。
開口指令設定器60には、各綜絖枠36に対応する1開口ステップ分の開口パターンが複数ピックにわたって予め設定されて記憶されている。
表5に示すように、本実施例における開口パターンは、各綜絖枠36が上昇位置にあるべきこと(表5においてカッコの外に”1”で示す)及び下降位置にあるべきこと(表5においてカッコの外に”0”で示す)を示す記号で表されている。
選択制御器62は、開口ステップの値を保持すると共に、入力する前進歩進信号F又は後退歩進号Rに応じて開口ステップの値(ピックカウント値)を加算又は減算する算出回路を有する。このため、選択制御器62は、歩進信号発生器58から前進歩進信号F又は後退歩進信号Rが入力するたびに、ピックカウント値を”1”だけ加算又は減算する。
選択制御器62は、また、ピックカウント値が上限リピート値(又は下限リピート値である0)に達すると、ピックカウント値を0(又は上限リピートの値)に戻す。
選択制御器62は、ピックカウント値を用いて設定器60に記憶されている開口パターンを綜絖枠36毎に読み出し、読み出した開口パターンに対応する開口曲線を指示する選択指令信号Skを綜絖枠36毎に駆動量出力回路52とトルク制限値発生回路54とに出力する。
駆動量出力回路52は、切換制御器64の他に、1開口ステップの開始のタイミングを示すタイミング信号Stを発生するタイミング発生器66と、主軸32の回転角度信号θ0に対応する各綜絖枠36の上下方向の位置を示す開口曲線が設定されている開口曲線設定器68とを備える。
タイミング発生器66は、例えば、主軸回転角度θ0が120°のとき、パルス状のタイミング信号Stを発生する。タイミング信号Stは、切換制御器64とトルク制限値発生回路54とに供給される。
タイミング発生器66は、入力される回転角度信号θ0が120°になるたびに「オン」になるパルス状のタイミング信号Stを切換制御器64へ出力する。
図6に示すように、開口曲線設定器68には、織機1回転分すなわち主軸の回転角度が0°から360°までの間の綜絖枠36の位置を設定するための複数の開口曲線が予め設定されて記憶されている。それらの開口曲線は、主軸32の回転角度信号θ0に対応する各綜絖枠36の上下方向における位置を示すべく綜絖枠36の移動方向毎に予め定められた綜絖枠移動パターン(1)、(2)及び(3)に個々に対応されており、切換制御器64に読み出される。
綜絖枠移動パターン(1)、(2)及び(3)は、それぞれ、綜絖枠36が上から下へ移動するとき、綜絖枠36が下から上へ移動するとき、及び実線で示すように上から上へのとき(すなわち移動しないとき)又は破線で示すように下から下へのとき(すなわち移動しないとき)に対応されている。
開口曲線設定器68には、また、主軸回転角度に対する電動モータ38の出力軸ひいてはクランク44の回転角度を示す目標位相曲線(図6参照)が予め設定されて記憶されている。
綜絖枠36が上から下へ移動するときと下から上へ移動するときとの電動モータの回転方向が同一方向であるから、綜絖枠移動パターン(1)及び(2)のときの電動モータ38の目標位相曲線はいずれも右上がりとなる。
図6において、横軸は主軸32の回転角度信号θ0を示す。また、開口曲線、目標移相曲線及び回転量パルスの欄における縦軸は、それぞれ、綜絖枠36の上下位置、電動モータ38の回転角度及びパルスの波高値を示す。
したがって、綜絖枠移動パターン(1)の目標位相曲線は、電動モータ38の回転角度すなわちクランク44の回転角度を、主軸32の回転角度信号θ0=0°の時点から次の開口ステップの回転角度信号θ0=0°から15°前(345°)の時点までは0°から180°に直線的に増加させ、その後主軸32の回転角信号θ0=0°の時点まで(残りの15°の間)は180°に維持する曲線とされている。
綜絖枠移動パターン(2)の目標位相曲線は、クランク44の回転角度を、主軸32の回転角度信号θ0=0°の時点から15°の時点までは180°に維持し、その後次の開口ステップの主軸32の回転角度信号θ0=0°の時点までは180°から360°に直線的に増加させる曲線とされている。
切換制御器64は、入力される選択指令信号Sknに応じて開口曲線を選択すると共に、主軸32の回転角度信号θ0に対する電動モータ38の回転角度が図6に示す目標位相曲線になるように、各電動モータ38に応じたパルス状の位置制御信号Spnを位置制御部42へ出力する。
具体的には、切換制御器64は、主軸32の回転角度信号θ0とタイミング信号Stと第1から第8までの選択指令信号Sknとを基に、設定器68に記憶されている開口曲線を綜絖枠毎に読み出し、読み出した開口曲線を基に綜絖枠36に個々に対応する第1から第8までの位置制御信号Spnを主軸32の回転角度信号θ0に対応して発生する。
トルク制限値発生回路54は、電動モータ38の定格トルク制限値の例えば120%、70%及び30%に対応するトルク制限値を設定して記憶しているトルク制限要素設定器72と、トルク制限要素設定器72から読み出したトルク制限値を位置制御部42に出力するトルク制限値発生器74とを備えている。
より具体的には、トルク制限値発生回路54は、主軸32が1回転する期間を1運動期間としたとき、開口運動の連続性に対応して、トルク制限値をランクA,B及びCのいずれかに切り換える。トルク制限値のランクA,B及びCは、A>B>Cの関係を有し、ランクAは連続定格値(100%)又はその近傍置に設定する値か、短時間定格値を超えない範囲であると共に連続定格値よりも高い値に設定される(例えば120%)。
ランクAは、電動モータ38の運転の開始及び停止のときに、電動モータ38を確実に駆動させることができるように、電動モータ38の定格電流の120%に設定されている。
ランクBは、電動モータ38が連続運動をしている間、電動モータ38の発熱が抑えられ、慣性力が利用され省エネルギーになるように、電動モータ38の定格電流の70%に設定されている。
ランクCは、電動モータ38が停止状態を維持している間、トルク制限値をさらに小さくして電動モータ38の定格電流の30%に設定されている。
ランクA,B,Cの具体的な数値は、一例であり、電動モータの仕様等に実状に合わせて適切に定められる。
トルク制限値発生器74は、前進歩進信号Fの発生時(110°)に更新される開口曲線の選択指令信号Skと過去の数開口パターン前の選択指令信号Skとから、後述するように、開口運動の連続性を判別してトルク制限値S2をタイミング信号Stが発生するとき(120°)に出力している。
トルク制限値発生器74は、(A)織機の運転開始後の所定ピック数(本実施例では3ピック)に達するまでは、トルク制限値を電動モータ38の定格トルクの120%にする、運転開始時の動作と、(B)その後、1ピック単位で指令され、直前のピック、その直前の前のピック及び現在のピックに対応する開口選択指令(開口曲線の選択指令)の出力形態から開口運動の連続性から、トルク制限値を電動モータ38の定格トルクの120%(ランクA)、70%(ランクB)及び30%(ランクC)のグループのいずれかにする、連続運転時の動作とを行う。
図7に示すように、各位置制御部42は、位置制御信号Spnとトルク制限値S2nとに基づいて電動モータ38をフィードバック制御することにより、電動モータ38の回転角度ひいてはクランクの回転角度及び綜絖枠の上下運動を制御する。各電動モータ38の回転角度は、エンコーダ76において電動モータ38の回転に応じて発生されるパルス信号Seとして検出される。
各位置制御部42は、これに対応する電動モータ38の回転角度を表すパルス信号Seを、偏差検出回路78に受けると共に、速度信号変換回路83を介して速度制御回路80に受け、さらに回転角度変換回路85を介して電流制御回路82に受け、それにより位置制御信号Spnに応じて電動モータ38の回転角度を制御する。
速度信号変換回路83は、周波数・電圧変換回路であり、入力されるパルス信号Seをその周波数に応じた電圧に変換して実際の速度を表す速度信号Svを発生する。回転角度変換回路85は、入力するパルス信号Seを、計数して、電動モータ38の回転角度を表す角度信号θtを発生する。
偏差検出回路78は、位置制御信号Spとパルス信号Seとを受ける。一方内蔵される正逆カウンターに、両信号Spn及びSeが入力されるための正逆カウンターは2つのパルス信号の入力数の偏差を検出し、検出した偏差を偏差信号ΔPとして速度制御回路80に出力する。
速度制御回路80は、これに入力される偏差信号ΔPと速度信号Svとを基に速度偏差を算出し、算出した速度偏差を速度偏差信号ΔVとして電流制御回路82に出力する。
電流制御回路82は、速度偏差信号ΔV、電流センサ81で検出した電流値信号Sifとから2つの偏差に対応する電流指令値を算出する。そして電流制御回路82は、トルク制限値S2を超えないように決定される電流指令値と角度信号θtに基づき電動モータ38に電流を出力することによりトルク制限を行い、電動モータ38の電流制御を行う。
これにより、位置制御部42は、電動モータ38の出力トルク値がトルク制限値S2を超えないように電動モータ38に供給する電流を制限する。すなわち、電流制御回路82は、速度偏差信号ΔVに応じてかつ出力トルクがトルク制限値S2の範囲に制御された状態で電動モータ38を駆動することができる。
より具体的には、図8に示すように、電流制御回路82は、速度偏差信号ΔVに対応する電流指令値Ιを演算して加算点86の加算端子に出力する電流算出器84と、電動モータ38に流れる電流を表す電流値信号Sifに電流ループゲインgを乗じた値を加算点86の減算端子に出力する乗算器88と、加算点86で算出された結果を示す偏差電流値ΔIがトルク制限値S2を超えない範囲内の電流指令値信号Siを出力するリミッタ回路90と、電流指令値信号Siに基づくと共に電動モータ38の電気的角度信号θtが所定の角度範囲内に位置するように電動モータ38に供給する電流を発生する電流発生回路92とを備えている。
以上の制御装置30は、図9及び図10に示すタイミングチャートのように綜絖枠36を上下動させる。
図9及び図10は、開口パターン(1/3・3/1)としたときの、第1の綜絖枠36における上記の連続運転時の動作フローを時系列的に示すタイムチャートである。
図10に示すタイムチャートは、織機の運転期間中に開口運動の切換タイミングにおいて前回の開口ステップにおける開口パターンと今回の開口ステップにおけるそれとの比較の結果により開口運動の連続性を判別してトルク制限値を決定する例である。図9に示すタイムチャートは、図10に対してさらに、織機運転開始時における加速時とそれ以降の定常回転状態とで異なるトルク制限値を決定する例である。このような動作は後述される図11から図14までに示すフローチャートにより実現される。
図9及び図10は、第1の綜絖枠36において、横軸は主軸32の回転角度信号θ0を示し、縦軸は(A)運転開始信号So、(B)前進歩進信号F、(C)開口ステップの番号、(D)開口選択指令回路56から出力される選択指令信号Skにより指定される綜絖枠移動パターンの番号、(E)タイミング信号St、(F)綜絖枠36の上下方向の開口量、(G)電動モータ38に出力される駆動パルスの状態、及び(H)トルク制限値を示す。
また、トルク制限値発生器74は、制御運転中に図11から図14に示すフローチャートにしたがってトルク制限値を定める。
図11から図14を参照して、連続運転時における制御装置30の動作を説明する。
開口ステップ番号(すなわちピックカウント値)が”1”でありかつ主軸角度が300°の状態で停止している織機を想定する。図9は、綜絖枠36の枠番が1(すなわち最前列)である第1の綜絖粋36に対する動作タイミングチャートを示している。この状態で停止している織機において、選択制御器62は、表5に示されるように開口ステップ番号1における状態“0”の選択指令信号Skを出力しており、第1の綜絖枠36は、位置指令部40からパルス状に出力された位置指令信号SP1によりやや下口開口状態にされる位置に既に移動されて織機主軸の回転角度θ0に対し同期された状態にある。
図9は、織機の回転速度が定常回転数に達している運転期間において、トルク制御値発生器74が、綜絖枠36の枠番1の開口運動の連続性を判別して対応するトルク制限値を切り換える例であると共に、織機運転開始後から運転開始後より複数ピック(図示例では3ピック)までの期間において、トルク制御値発生器74が慣性力による綜絖枠の駆動遅れを避けるために上記に代えて常に高いトルク制限値に切り換える例である。
(1)織機の運転開始の直後のピックの説明
織機の運転開始前において、トルク制限値発生器74の回転数変更用のフラグAは「オフ」にされている。
上記状態において、図9に示すように、主軸32の回転角度信号θ0が例えば300°のときに、作業者により運転開始信号Soが一時的に「オン」にされる。
このとき、開口パターンは表5に示す開口ステップ番号1になっているから、位置指令部40は、第1の綜絖枠36を下死点へ移動させるべく位置制御信号Spを出力する。
このときの、織機の運転開始直後のピック(第1番目のピック)のトルク制限値は、以下のように算出される。
運転開始信号Soが「オン」になると、織機の運転が開始される。これにより、図11に示すように、トルク制限値発生器74は、フラグAが「オン」であるか「オフ」であるかを判定する(ステップ101)。
図11から図14までのフローチャートのような制御処理は、運転開始信号Soの入力や回転数変更信号SAの入力の入力時のほか、織機運転中では、前進歩進信号Fが発生される(110°を通過する)たびに実行される。また後述するフラグAは、運転開始信号Soの入力又は回転数変更信号SAの入力によりセットされるフラグである。
トルク制限値発生器74は、ステップ101における判定の結果、「オン」であると、Bを経由して図12に示す開口曲線選択処理フローへ移行し、フラグAが「オフ」であると、「オン」の運転開始信号Soが入力したか否かの判定に移行する(ステップ102)。
トルク制限値発生器74は、ステップ102における判定の結果、「オン」の運転開始信号Soの入力であると、Bを経由して図12に示す開口曲線選択処理フローに移行し、それ以外であると、Aを経由して図13に示す回転数変更処理フローに移行する。
図12に示す開口曲線選択処理フローにおいて、トルク制限値発生器74は、フラグAが「オン」であるか「オフ」であるかを再度判定する(ステップ201)。
このステップ201を実行する時点においては、上述のようにフラグAが既に「オフ」になっているはずであるが、「オン」になっているときもある。
このため、ステップ201における判定の結果、フラグAが「オフ」であると、トルク制限値発生器74は、フラグAを「オン」にすると共に、選択制御器62のピックカウント値を”0”にし(ステップ202)、次いでトルク制限値発生器74のトルク制限値IL0を電動モータ38の定格トルクの120%(すなわち、ランクA)に設定する(ステップ203)。
これにより、トルク制限値IL0がランクAの値に設定される。その後、トルク制限値発生器74は、図14に示すステップ401へ移行する。
図14に示すように、ステップ401において、直ちに、トルク制限値IL0をトルク制限値ILに更新し、トルク制限値発生器74は、トルク制限値ILをトルク制限値S2として位置制御部42へ出力した後、織機の運転開始の直後のピック(換言すると、運転開始後のファーストピック)のトルク制限値の算出を終了する。
一方、駆動量出力回路52の切換制御器64は、図9(G)及び図6における(1)の回転量パルス波形に示すような位置制御信号Sp1を第1の位置制御部42へ出力する。
上記の結果、第1の位置制御部42は、位置制御信号Sp1とトルク制限値S21とに基づいて、第1の電動モータ38をランクAすなわち定格トルクの120%に設定されたトルク制限値S2以下の範囲内の電流で駆動させる。
直前まで停止していた第1の電動モータ38は位置制御信号Spに基づいて急に駆動されるが、回転運動していないクランク44の大きな慣性力が電動モータ38に作用する。
しかし、トルク制限値S21が定格トルクの120%とされるランクAに設定されているから、電動モータ38が一時的に過負荷状態になっても、定格電流より大きな電流が電動モータ38に流れるから、電動モータ38は、強力な回転力(トルク)でクランク44を回転させて、綜絖枠36を上から下へ迅速に移動させる。
(2)織機の運転開始の直後の第2番目及び第3番目のピックの説明
この場合、制御装置30は、主軸32の回転角度信号θ0が110°になったとき、歩進信号発生器58からパルス状の前進歩進信号Fを出力させる(図9(B)参照)。
選択制御器62は、表5の開口ステップ2及び3に対応する設定値を選択し、表5の(2)の開口曲線の選択指令信号Skを出力する。
他方、トルク信号発生器74では、ステップ101においてフラグAが「オン」であると判定し、またステップ201における判定の結果、フラグAが「オン」になっていると、制御装置30は、図12に示すように、ピックカウント値を”1”増加させる(ステップ204)。その結果、カウント値は1又は2になる。
次いで、トルク制限値発生器74は、直前のピックの選択指令信号Skの1つ前のピックの選択指令信号Skと、直前の選択指令信号Skと現在の選択指令信号Skとを、それぞれ、第3次選択指令、第2次選択指令及び第1次選択指令として、記憶する(ステップ205)。
現在が、運転開始後、第2番目のピックであれば、第3次選択指令は記憶されていない。第2番目のピックにおける第1次及び第2次選択指令は、表5に示す綜絖枠36の上下方向の位置を示す”1”又は”0”の値に保持される。第3番目のピックにおける第1次,第2次及び第3次の選択司令は、それぞれ、”1”,”1”,”0”の値に保持される。
次いで、トルク制限値発生器74は、ピックカウント値が所定の値(本実施例では3)に達しているかを判断し(ステップ206)、その後ステップ401へ移行する。
上記の結果、2ピック目及び3ピック目においては、トルク制限値IL0が第1番目のピックの値(ランクAの値)が設定されているから、ステップ401においては、トルク制限値ILの値をランクAの値のままとし、また、トルク制限値発生器74は、タイミング信号Stの入力をまって、トルク制限値S2として出力する。
(3)織機の運転開始の直後の第4番目のピックの説明
この場合、制御装置30は、ステップ101においてフラグAが「オン」であると判定し、ステップ201においてフラグAが「オン」と再度判定し、その後ステップ204においてトルク制限値発生器74のピックカウント値を”1”増加させる。その結果、トルク制限値発生器74のピックカウント値は3になる。
次いで、トルク制限値発生器74は、ステップ205において、直前のピックの選択指令信号Skの1つ前のピックの選択指令信号Skと、直前の選択指令信号Skと現在の選択指令信号Skとを、それぞれ、第3次選択指令、第2次選択指令及び第1次選択指令として記憶する。
この時点におけるピック番号が運転開始後から第4番目のピックであるから、第1次から第3次までの選択指令信号Skがすでにトルク制限値発生器74に記憶されている。
次いで、トルク制限値発生器74は、ステップ206においてトルク制限値発生器74のピックカウント値が所定の値(本実施例では3)に達しているかを判断する。
その結果、トルク制限値発生器74は、ピックカウント値が所定の値に達しているため、フラグAを「オフ」にし、その後図13に示すステップ302に移行する。
図13に示すように、トルク制限値発生器74は、トルク制限値を設定するためにステップ302において、第1次選択指令及び第2次選択指令が同じであるか否かを判断する。
トルク制限値発生器74は、第1次選択指令と第2次選択指令とが異なれば、ステップ303において、また第1次選択指令と第2次選択指令とが同じであれば、ステップ304において、それぞれ、第2次選択指令と第3次選択指令とが同じか否かを判断する。
ステップ303における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが異なるが第2次選択指令と第3次選択指令とが同じであると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクAの値に設定して(ステップ305)、ステップ401に移行する。
ステップ302における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが異なると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクBの値に設定して、ステップ401に移行する。
第2次選択指令と第3次選択指令とも異なる場合には、トルク制限値IL0の値をランクBの値に設定して(ステップ306)、ステップ401へ移行する。
ステップ304における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが同じであると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクCの値に設定して(ステップ307)、ステップ401に移行する。
ステップ304における判定の結果、第2次選択指令と第3次選択指令とが異なると、トルク制限値発生器74は、トルク制限値IL0の値をランクAの値に設定して(ステップ308)、ステップ401に移行する。
ステップ401においてトルク制限値ILの値をトルク制限値IL0の値とし、また、トルク制限値発生器74は、タイミング信号Stの入力をまって、トルク制限値S2として出力する。
例えば、製織運転中に静止している綜絖枠について、開口ステップ番号が1つ増加されたことにより新たに綜絖粋の移動(開口運動)が発生するときには、ステップ305を通過することによりランクAのトルク制限値が選択されることにより綜絖枠の移動開始に必要なトルクが出力可能にされる。
また開口ステップ番号が1つ増加されても綜絖枠の移動が発生しないときには、ステップ307を通過することによりランクCのトルク制限値が選択されて綜絖枠の位置を保持するために必要な程度の出力トルクに制限することができる。
また製織運転中に移動している綜絖枠が、開口ステップ番号が1つ増加されたことによりそのまま綜絖枠の移動(開口運動)を継続するときには、ステップ306を通過することによりランクBのトルク制限値が選択されて出力トルクが制限されるため、開口曲線に正確に追従するための減速および加速に係わる無駄な動作が制限される。この結果、慣性力を有効に活用して綜絖枠を駆動することができる。
また綜絖枠の移動が発生せず静止状態になるときには、ステップ308を通過することにより、ランクAのトルク制限値が選択されて移動している綜絖枠を静止させるために必要な減速トルクが出力可能にされる。
このように、開口ステップが1つ増加されるたびに、過去の2ピック及び今後の1ピックにおける綜絖枠の運動の連続性を判別し、(綜絖粋の静止も含む)綜絖枠の運動が連続性を有するとき、より具体的には過去の2ピック及び今後の1ピックの綜絖枠が移動を続けるとき又は静止を続けるとき、これらに対応して今後の1ビック期間におけるトルク制限値を低く設定する。
また、綜絖枠の運動が連続性を有しないとき、より具体的には過去の2ピックで移動した綜絖枠が今後の1ピックでは移動せず静止されるときあるいは過去の2ピックにおいて静止していた綜絖枠が今後の1ピックで移動されるとき、これらに対応して今後の1ピック期間におけるトルク制限値を高く設定される。
換言すれば、ステップ301からステップ401の処理を経由することにより、綜絖枠の運動が連続性を有するときにトルク制限値が低めに設定される結果、無駄な減速や加速が抑えられて綜絖枠の移動中の作用力(慣性力)を生かした駆動が行われ、また綜絖枠の移動や静止のためにトルクが必要な時期にはトルク制限値が高めに設定されることにより必要なトルクを出力できるため、省エネ効果を高めることができる。
綜絖枠の運動の連続性の有無に対応してトルク制限値を設定しているが、例えば、今後1ビックの綜絖枠の運動態様に対応して、静止から移動開始する場合と移動中から静止する場合とで異なるトルク制限値を設定することも可能である。
(4)連続運転時の動作の説明
この場合、織機の運転がすでに開始されており、制御装置30は、主軸32の回転角度信号θ0が110°になったとき、歩進信号発生器58からパルス状の前進歩進信号Fを出力するから、トルク制限値発生器74は、上記したフローチャートの処理を再度実行する。しかも運転開始信号Soが図9(A)に示すように「オフ」にされており、その上先のステップ207においてフラグAが既に「オフ」にされているから、トルク制限値発生器74は、フラグAの判別をするステップ101において「オフ」と判断して、トルク制限値発生器74はステップ102へ進む。
トルク制限値発生器74は、ステップ102においては、上述のように運転開始信号Soが「オフ」になっており、また、主軸32の回転数変更指令が入力されていないことから、トルク制限値発生器74は、図13に示すステップ301に移行する。
図13に示すように、トルク制限値発生器74は、ステップ301において、直前のピックの選択指令信号Skの1つ前のピックの選択指令信号Skと、直前の選択指令信号Skと現在の選択指令信号Skとを、それぞれ、第3次選択指令、第2次選択指令及び第1次選択指令として記憶して、ステップ302に移行する。
トルク制限値発生器74は、ステップ302,303,304では、既に述べたように、第1次、第2次及び第3次の選択指令が同じであるか否かを判断し、その結果に応じて、ステップ305,306,307又は308に移行し、トルク制限値IL0をランクA,B及びCのいずれかに設定し、その後ステップ401に移行する。
ステップ401において、トルク制限値ILの値をトルク制限値IL0の値とし、また、トルク制限値発生器74は、タイミング信号Stの入力をまって、トルク制限値S2として出力させる。したがって、全開口ステップ数が8とされ、表5に示される開口パターンが第1から第8の綜絖枠に対する開口パターンが表5に示すように設定されたとき、トルク制限値発生器74は、各開口ステップにおいて表6に示すようなランクに対応するトルク制限値S2を各綜絖枠毎に出力する。
以上の制御装置30(トルク制限値発生器74)は以下のように変形してもよい。
開口運動の連続性を、運転中に判別する換わりに、運転前に予め判別してピック数に応じてトルク制限値に対する選択信号を発生可能にし、運転中は、ピックカウント値をもとに選択信号を発生させ、トルク制限値を切り換えてもよい。
製織運転中の切り替わりは、製織要素について上記した開口運動の連続性に限らず、以下のものを考慮してトルク制限値を決定してもよいし、2以上組み合わせてもよい。
例えば、前記第1の実施例と同様、トルク制限値を算出するための係数を後述する製織要素の設定態様に予め定めておき、各製織要素に設定態様に対応して選択された係数からトルク制限値を演算により求めて設定する。このような場合のトルク制限値は、製織運転に先立ち各設定態様の組合せに対応されるトルク制限値を演算により予め求めておき、製織運転中にはこれらを選択することにより設定する方法が望ましいが、製織運転中に設定態様が切り換わるたびに演算して設定してもよい。
例えば、製織運転中のドエル角度(最大開口状態に維持する角度)、開口運動のクロスタイミング、開口量等の開口曲線の構成要素が異なる開口曲線を選択するようにしてもよい。この場合、トルク制限値もこれら開口曲線に応じて設定し、切り換えるようにすれば良く、例えば、駆動期間を短くした開口曲線を選択したときは、トルク制限値を高めに設定してもよい。
綜絖枠36の運動方向(上から下又は下から上)に応じてトルク制限値を切り換えてもよい。より具体的には、綜絖枠36の自重が電動モータ38の回転に大きく作用される場合、トルク制限値を低めに設定してもよい。
緯糸の打込性を向上させるために、織機の運転中に緯入れピックに応じて経糸張力を変更する。そのような変更に対応させて開口装置の上記トルク制限値を切り換えてもよい。より具体的には、経糸張力が低下したときは、トルク制限値も低めに設定する。
緯入れの難易性が異なる複数の種類の緯糸を緯入れするために、織機の運転中に緯入れピックに対応させて織機の主軸32の回転数を変更するとき、その変更に対応させてトルク制限値を切り換える。より具体的には、主軸32の回転速度が遅いときは、トルク制限値は低めに設定する。この場合、図11に示すステップ102において、電動開口装置の制御装置30は、ステップ101においてフラグAが「オフ」になっており、またステップ102において主軸32の回転数の変化を判断し、主軸32の回転数が変化したと判断した場合には、運転開始信号Soが「オン」になったときと同様に、図12のステップ201を経てステップ202へ移行する。
トルク制限値の切換について、上記した第2の実施例では、織機の主軸32が1回転する毎に切換可能にされているが、1回転未満あるいは1回転以上の所定角度、さらには2回転以上の複数回転単位で切り換えるようにしてもよい。
トルク制限値の切り換えは、開口運動の連続性の変化を判定してもよいし、織物の組織の切り替わりに対応させてもよい。
例えば、平組織(すなわち定常運転中、綜絖枠が静止しない、常に運動状態にある)の場合の運転開始時に対応する第1の過程に対し、定常回転速度到達後の第2の過程で、低めのトルク制限値に切り換えてもよい。
緯入れの難易性により織機回転数を緯入れピックに対応させて変更する織機の場合、織機回転数の変更に対応してトルク制限値を切り換えるようにしてもよい。この場合、織機回転数の切換信号がトルク制限値発生回路に入力される。
トルク制限値の切換は、主軸32の回転角度により切り換えてもよいが、基準角度からの経過時間により切り換えるようにしてもよい。
上記した第2の実施例について、第1の実施例のように、トルク制限値を綜絖枠の番号(枠番)を考慮して異なるように設定してもよい。
開口制御装置の内部構成は、図示のように一連の処理についてハードウェアによる処理をしてもよいし、マイコンとソフトウェアとによる処理をしてもよい。
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
Claims (10)
- 複数の綜絖枠のそれぞれを専用の電動モータで駆動させると共に、予め定められるトルク制限値にしたがって前記電動モータの出力トルクが制限される形式の電動開口装置の制御方法であって、
少なくとも1つの製織要素の設定態様に応じて電動モータのトルク制限値を求め、求めたトルク制限値を電動モータに設定することを含む、電動開口装置の制御方法。 - 前記製織要素の設定態様に応じてトルク制限値が予め複数設定されると共に、電動モータのトルク制限値を求めるに際し、製織要素の設定態様に応じて選択されたトルク制限値を設定することを含む、請求項1に記載の制御方法。
- 前記製織要素の設定態様に対応するトルク制限値を算出するための複数の係数が製織要素毎に設定されており、電動モータのトルク制限値を求めるに際し、各製織要素に製織要素の設定態様に対応する係数を選択すると共に、選択された複数の係数から演算により求めたトルク制限値を設定することを含む、請求項1に記載の制御方法。
- 複数の綜絖枠のそれぞれを専用の電動モータで駆動させると共に、予め定められるトルク制限値にしたがって前記電力モータの出力トルクが制限される形式の電動開口装置の制御方法であって、
電動モータのトルク制限値を、綜絖枠の番号に応じて設定することを含む、電動開口装置の制御方法。 - 複数の綜絖枠のそれぞれを専用の電動モータで駆動させると共に、予め定められるトルク制限値にしたがって前記電動モータの出力トルクが制限される形式の電動開口装置の制御方法であって、
少なくとも1つの製織要素の設定態様及び綜絖枠の番号に応じて電動モータのトルク制限値を求めて設定することを含む、電動開口装置の制御方法。 - 複数の綜絖枠のそれぞれを専用の電動モータで駆動させると共に定められるトルク制限値にしたがって前記電動モータの出力トルクが制限させる形式の電動開口装置の制御方法であって、製織運転中における製織要素のうち少なくとも1つの設定態様が切換可能にされると共に、製織運転中には、製織要素の設定態様の切り換わりに対応して電動モータのトルク制限値を求めて設定することを含む、電動開口装置の制御方法。
- 前記トルク制限値は、製織要素の設定態様の切り換わりに対応して複数設定されており、製織運転中の前記設定態様の切り換わり時には、前記設定態様の切り換わりに対応するトルク制限値を選択して前記トルク制限値として設定することを含む、請求項6に記載の電動開口装置の制御方法。
- 前記製織要素には、数ピック前から前記切換わり時に至るまでの開口運動の連続性、開口曲線の構成要素、切換わり時からの開口運動の方向、綜絖枠に作用する外力及び織機の回転数を含むグループから選択される少なくとも1つを含む、請求項7に記載の制御方法。
- 製織運転中における複数の製織要素の各設定態様を切換可能にされると共に、トルク制限値の係数が各設定態様に対応して各製織要素に複数設定されており、前記設定態様の切り換わりに対応するトルク制限値を各製織要素に選択すると共に、製織運転中の前記設定態様の切り換わり時には、選択された複数の係数から演算により求めたトルク制限値を設定することを含む、請求項6から8のいずれか1項に記載の電動開口装置の制御方法。
- 複数の綜絖枠のそれぞれを専用の電動モータにより駆動させると共に、予め定められるトルク制限値にしたがって前記電動モータの出力トルクが制限される形式の電動開口装置の制御方法であって、
主軸の回転角速度が加速又は減速される第1の過程と前記主軸の回転角速度が維持される第2の過程とに対応させて前記電動モータの出力トルク制限値を予め設定しておき、開口装置の駆動時の前記第1及び第2の過程においてはそれらの過程に対応する出力トルク制限値に基づいて駆動モータの出力トルクを制限して前記電動モータを駆動させることを含む、電動開口装置の制御方法。
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