JP3689960B2 - 織機における開口制御方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、織機における開口制御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1枚の綜絖枠と1つの専用の駆動モータとを1対1で連結し、複数枚の綜絖枠を専用モータで別々に駆動する開口制御装置が特開平5−25751号公報、特開平6−322644号公報に開示されている。
【0003】
特開平5−25751号公報及び特開平6−322644号公報のいずれの装置においても、織機主軸の回転角度に応じた駆動モータの目標回転量と実際の回転量との偏差を検出し、この検出された偏差を解消するように駆動モータを回転制御している。この場合、特開平5−25751号公報の装置では偏差に追従させてループゲインを調整し、特開平6−322644号公報の装置では綜絖枠の運動位置に基づいてループゲインを調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−25751号公報の装置では偏差の大小に応じてループゲインの大小を調整しており、駆動モータは織機の主軸に対して精度良く追従する。しかし、織機主軸は筬打ち、経糸張力変動等によって回転変動を起こしている。そのため、織機の主軸に回転変動が生じた場合には駆動モータが追従し、駆動モータは余計な加減速を繰り返す。駆動モータのこのような動作は電力消費の増大を招く。
【0005】
特開平6−322644号公報の装置では、高精度制御を要求される経糸閉口時にはループゲインを大きくし、高精度制御を要求されない経糸開口時にはループゲインを小さくしている。しかし、織機の定常運転時に制御精度の切り換えを行なうのは制御系の安定性の欠如に繋がり、綜絖枠の運動が円滑性を欠く。
【0006】
本発明は、織機主軸モータから独立した開口駆動モータによって綜絖枠を駆動する開口装置において電力消費を抑制しつつ綜絖枠の運動の安定性を向上することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのために請求項1の発明では、織機主軸モータの回転制御パターンを用意し、この回転制御パターンを用いて織機主軸モータの作動を制御すると共に、前記回転制御パターンに基づいて開口用回転制御パターンを生成し、この開口用回転制御パターンを用いて開口駆動モータの作動を制御するようにした。
【0008】
請求項1の発明によれば、織機主軸モータの回転制御パターンから生成された開口用回転制御パターンに基づいて作動される開口駆動モータの動作は、織機主軸モータの実際の動作から影響を受けない。従って、筬打ち反力等による織機主軸モータの回転変動が開口駆動モータに波及することはない。
【0009】
請求項2の発明では、織機の定速運転時にのみ前記開口用回転制御パターンを用いて開口駆動モータの作動を制御するようにした。
織機の回転角度と綜絖枠の運動位置との高精度の同期を要求されない織機の定速運転時には開口駆動モータは織機主軸モータの回転制御パターンから生成された開口用回転制御パターンに従って作動される。
【0010】
請求項3の発明では、織機主軸モータの回転制御パターンを設定する回転制御パターン設定手段と、前記設定された回転制御パターンに基づいて開口用回転制御パターンを生成する開口用回転制御パターン生成手段と、前記回転制御パターンに基づいて織機主軸モータの作動を制御する主制御手段と、前記開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータの作動を制御する従制御手段とを備えた開口制御装置を構成した。
【0011】
開口用回転制御パターン生成手段によって生成された開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータを作動制御する従制御手段の作動制御は、回転制御パターンに基づいて主制御手段の作動制御を受ける織機主軸モータの動作の影響を受けない。
【0012】
請求項4の発明では、織機の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、この運転状態検出手段が織機の定速運転状態を検出したときにのみ前記開口用回転制御パターン生成手段が開口用回転制御パターンを生成するようにした。
【0013】
運転状態検出手段が織機の定速運転状態を検出したときにのみ従制御手段が開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータを作動制御する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、綜絖枠11の下方には開口駆動モータ12が配置されている。開口駆動モータ12はサーボモータ型の変速駆動モータである。開口駆動モータ12の出力軸にはクランク円板13が止着されており、クランク円板13と綜絖枠11の下枠とはコネクティングロッド14を介して連結されている。クランク円板13及びコネクティングロッド14はクランク機構を構成し、開口駆動モータ12の一方向への回転がクランク機構を介して綜絖枠11の上下動に変換される。開口駆動モータ12は従制御手段となる開口制御装置C1の指令制御を受ける。
【0016】
開口制御装置C1は、入力装置15によって入力される開口パターンを記憶する開口用回転制御パターン生成回路16と、開口駆動モータ12をフィードバック制御する駆動回路17とからなる。入力装置15及び開口用回転制御パターン生成回路16は開口用回転制御パターン生成手段を構成する。駆動回路17は、開口駆動モータ12に組み込まれたロータリエンコーダ121から得られる回転角度情報に基づいて開口駆動モータ12をフィードバック制御する。
【0017】
サーボモータ型の変速駆動モータである織機主軸モータ18は、主制御手段となる織機制御装置C2の指令制御を受ける。織機制御装置C2は、入力装置19によって入力される織機回転制御パターンを記憶する織機回転制御パターン記憶回路20と、織機の運転状態を検出する運転状態検出回路21と、織機回転制御パターン記憶回路20から織機回転制御パターンを読み出して指令する織機回転制御パターン指令回路22と、織機主軸モータ18をフィードバック制御する駆動回路23とからなる。入力装置19及び織機回転制御パターン記憶回路20は回転制御パターン設定手段を構成する。運転状態検出回路21は織機の運転状態を検出する運転状態検出手段を構成する。駆動回路23は織機主軸モータ18に組み込まれたロータリエンコーダ181から得られる回転角度情報に基づいて織機主軸モータ18をフィードバック制御する。
【0018】
織機回転制御パターン記憶回路20には第1の織機回転制御パターン、第2の織機回転制御パターン及び第3の織機回転制御パターンが入力される。第1の織機回転制御パターンは製織開始時の織機主軸モータ18の増速パターンである。第2の織機回転制御パターンは織機の定速運転時の織機主軸モータ18の定速パターンである。第3の織機回転制御パターンは製織停止に至る織機主軸モータ18の減速パターンである。織機回転制御パターン指令回路22は、運転状態検出回路21の検出結果に基づいて第1、第2及び第3の織機回転制御パターンのいずれかを選択する。運転状態検出回路21には織機の目標運転速度Voが入力装置19によって入力される。運転状態検出回路21には起動スイッチ24、停止スイッチ25、製織停止信号発生器26及びロータリエンコーダ181が信号接続されている。製織停止信号発生器26は緯入れミス検出器、経糸切断検出器等の製織異常検出手段を表す。
【0019】
図2のフローチャートは織機制御装置C2による織機主軸モータ制御プログラムを表し、図3のフローチャートは開口制御装置C1による開口制御プログラムを表す。
【0020】
起動スイッチ24をONすると、運転状態検出回路21がこのON信号の入力に応答して織機運転状態を起動状態と判断して織機回転制御パターン記憶回路20に起動状態の情報を送る。織機回転制御パターン指令回路22はこの情報に基づいて織機回転制御パターン記憶回路20から第1の織機回転制御パターンを読み出して駆動回路23及び開口用回転制御パターン生成回路16に出力する。駆動回路23は第1の織機回転制御パターンに基づいて織機主軸モータ18を作動し、製織が開始される。開口用回転制御パターン生成回路16は第1の織機回転制御パターンから開口用回転制御パターンを生成する。駆動回路17は生成された開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータ12を作動する。この開口用回転制御パターンは開口駆動モータ12の回転を第1の織機回転制御パターンに同期させ、開口駆動モータ12は織機主軸モータ18の実際の動作の影響を受けることなく設定された開口パターンに従って綜絖枠11を上下動する。
【0021】
運転状態検出回路21はロータリエンコーダ181から得られる織機主軸モータ18の回転角度情報に基づいて織機運転速度Vxを算出している。織機運転速度Vxが目標運転速度Voに達すると、運転状態検出回路21は織機運転状態を定速運転と判断して織機回転制御パターン記憶回路20に定速運転の情報を送る。織機回転制御パターン指令回路22はこの情報に基づいて織機回転制御パターン記憶回路20から第2の織機回転制御パターンを読み出して駆動回路23及び開口用回転制御パターン生成回路16に出力する。駆動回路23は第2の織機回転制御パターンに基づいて織機主軸モータ18を作動し、定速の製織が行われる。開口用回転制御パターン生成回路16は第2の織機回転制御パターンから開口用回転制御パターンを生成する。駆動回路17は生成された開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータ12を作動する。この開口用回転制御パターンは開口駆動モータ12の回転を第2の織機回転制御パターンに同期させ、開口駆動モータ12は織機主軸モータ18の実際の動作の影響を受けることなく設定された開口パターンに従って綜絖枠11を上下動する。
【0022】
停止スイッチ25のON操作あるいは製織停止信号発生器26からの製織停止信号の出力があると、運転状態検出回路21は織機運転状態を停止に至る減速状態と判断して織機回転制御パターン記憶回路20に減速状態の情報を送る。織機回転制御パターン指令回路22はこの情報に基づいて織機回転制御パターン記憶回路20から第3の織機回転制御パターンを読み出して駆動回路23及び開口用回転制御パターン生成回路16に出力する。駆動回路23は第3の織機回転制御パターンに基づいて織機主軸モータ18を減速し、製織が停止する。開口用回転制御パターン生成回路16は第3の織機回転制御パターンから開口用回転制御パターンを生成する。駆動回路17は生成された開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータ12を作動する。この開口用回転制御パターンは開口駆動モータ12の回転を第3の織機回転制御パターンに同期させ、開口駆動モータ12が減速から停止に至る織機主軸モータ18の実際の動作の影響を受けることはない。
【0023】
第1の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1)織機主軸モータ18の第1、第2及び第3の回転制御パターンから生成された開口用回転制御パターンに基づいて作動される開口駆動モータ12の動作は、織機主軸モータ18の実際の動作から影響を受けない。従って、筬打ち反力等による織機主軸モータ18の回転変動が開口駆動モータ12に波及することはない。従って、綜絖枠11の開口運動が織機1回転中の変動発生にもかかわらず円滑になる。このような円滑性は電力消費の低減をもたらす。
(2)織機の定速運転時の制御系が安定し、綜絖枠11の開口運動が安定する。
【0024】
次に、図4〜図6の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。図5のフローチャートは織機制御装置C2による織機主軸モータ制御プログラムを表し、図6のフローチャートは開口制御装置C1による開口制御プログラムを表す。
【0025】
この実施の形態では、織機制御装置C2を構成する選択回路27が起動スイッチ24、停止スイッチ25、製織停止信号発生器26からの信号入力に応答して織機回転制御パターン記憶回路20に記憶された第1、第2及び第3の織機回転制御パターンのいずれかの使用の選択を行なう。起動スイッチ24がONすると、運転状態検出手段となる選択回路27は第1の織機回転制御パターンを選択して織機回転制御パターン指令回路22に送る。開口制御装置C1を構成する開口用回転制御パターン生成回路28はロータリエンコーダ181から得られる回転角度情報に基づいて開口駆動モータ12の作動を制御する。この制御では、開口駆動モータ12が織機の回転変動に追従する。
【0026】
選択回路27には所定時間tが入力装置19によって入力されている。起動スイッチ24のON後の経過時間が所定時間tに達すると、選択回路27は第2の織機回転制御パターンを選択して織機回転制御パターン指令回路22及び開口用回転制御パターン生成回路28に送る。開口用回転制御パターン生成回路28は第2の織機回転制御パターンから開口用回転制御パターンを生成する。駆動回路17は生成された開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータ12を作動する。この開口用回転制御パターンは開口駆動モータ12の回転を第2の織機回転制御パターンに同期させ、開口駆動モータ12は織機主軸モータ18の実際の動作の影響を受けることなく設定された開口パターンに従って綜絖枠11を上下動する。
【0027】
停止スイッチ25のON操作あるいは製織停止信号発生器26からの製織停止信号の出力があると、選択回路27は第3の織機回転制御パターンを選択して織機回転制御パターン指令回路22に送る。開口用回転制御パターン生成回路28はロータリエンコーダ181から得られる回転角度情報に基づいて開口駆動モータ12の作動を制御する。この制御では、開口駆動モータ12が織機の回転変動に追従する。
【0028】
第2の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1)織機の回転角度と綜絖枠11の運動位置との高精度の同期を要求されない織機の定速運転時にのみ開口駆動モータ12が織機主軸モータ18の第2の回転制御パターンから生成された回転制御パターンに従って作動される。即ち、織機の起動から定速運転までの変速期間及び定速運転から停止までの変速期間では開口駆動モータ12か織機主軸モータ18の実際の動作に追随するが、第1の実施の形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0029】
前記した各実施の形態では、設定された第1、第2及び第3の織機回転制御パターンで織機主軸モータ18を精度良く作動させるためにフィードバックシステムが用いられているが、フィードバック制御することなく織機主軸モータ18を速度制御する構成も可能である。
【0030】
又、本発明では、織機の回転位置を検出すると共に、綜絖枠の開口状態を検出し、両検出結果に基づいて織機の回転位置と綜絖枠の開口状態との同期性の判定を行なうようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、織機主軸モータを制御するための回転制御パターンに基づいて開口用回転制御パターンを生成し、この開口用回転制御パターンを用いて開口駆動モータの作動を制御するようにした発明では、電力消費を抑制しつつ綜絖枠の運動の安定性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す開口装置と制御ブロック図との組合せ図。
【図2】織機制御プログラムを表すフローチャート。
【図3】開口制御プログラムを表すフローチャート。
【図4】第2の実施の形態を示す開口装置と制御ブロック図との組合せ図。
【図5】織機制御プログラムを表すフローチャート。
【図6】開口制御プログラムを表すフローチャート。
【符号の説明】
11…綜絖枠、12…開口駆動モータ、16,28…開口用回転制御パターン生成手段となる開口用回転制御パターン生成回路、18…織機主軸モータ、20…回転制御パターン設定手段を構成する織機回転制御パターン記憶回路、21…運転状態検出手段となる運転状態検出回路、27…運転状態検出手段となる選択回路、C1…従制御手段となる開口制御装置、C2…主制御手段となる織機制御装置。

Claims (4)

  1. 織機主軸モータから独立した開口駆動モータによって綜絖枠を駆動する開口装置を備えた織機において、
    織機主軸モータの回転制御パターンを用意し、この回転制御パターンを用いて織機主軸モータの作動を制御すると共に、前記回転制御パターンに基づいて開口用回転制御パターンを生成し、この開口用回転制御パターンを用いて開口駆動モータの作動を制御する織機における開口制御方法。
  2. 織機の定速運転時にのみ前記開口用回転制御パターンを用いて開口駆動モータの作動を制御する請求項1に記載の織機における開口制御方法。
  3. 織機主軸モータから独立した開口駆動モータによって綜絖枠を駆動する開口装置を備えた織機において、
    織機主軸モータの回転制御パターンを設定する回転制御パターン設定手段と、
    前記設定された回転制御パターンに基づいて開口用回転制御パターンを生成する開口用回転制御パターン生成手段と、
    前記回転制御パターンに基づいて織機主軸モータの作動を制御する主制御手段と、
    前記開口用回転制御パターンに基づいて開口駆動モータの作動を制御する従制御手段とを備えた織機における開口制御装置。
  4. 織機の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、この運転状態検出手段が織機の定速運転状態を検出したときにのみ前記開口用回転制御パターン生成手段が開口用回転制御パターンを生成する請求項3に記載の織機における開口制御装置。
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