JPWO2004002809A1 - 車体補強材配設構造 - Google Patents
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Abstract
本発明は、自動車の車体を構成するパネルを組み合わせて形成された自動車構造物内または車体内部に補強材を配設して構成された車体補強材配設構造を提供する。補強材としては、パネルの内面に少なくとも部分的に沿って、パネルとの間に所定の間隔をあけて配置された部分を有する板状支持体を設け、この板状支持体の、パネルに沿って配置された部分とパネルとの間に、加熱発泡性を有する樹脂成形体を配置する。樹脂成形体は、発泡する前には、板状支持体上に支持されて、パネルの内面との間に隙間をあけて位置し、発泡後には、板状支持体とパネルとの間を満たしてパネルに密着するように配置する。
Description
本発明は、自動車の車体において、2つ以上のパネルを組み合わせて形成された自動車構造物または車体内に補強材を配設して構成された車体補強材配設構造に関する。
自動車の車体において、それを構成する少なくとも2つの車体部材(車体パネル)、すなわちインナーパネルやアウターパネルを組み合わせて形成された自動車構造物または車体、例えばピラーなどを補強する方法として、従来より、R/F(リンフォース)とアウター鋼板との間に補強材として発泡充填材を充填する方法が知られている。従来の方法では、発泡充填材は、自動車構造物または車体内全体に充填されているか、あるいは、例えばナイロン性のサポート部材によって自動車構造物または車体内を区画し、区画された部分内に発泡充填材が充填されている。
このような従来技術としては、例えば、WO96/07016号(特表平11−505777号)公報や、特開平3−208777号(特許登録2748683号)公報に詳しい開示がある。これらの従来技術では、自動車の車体パネルによって形成されたピラー部などの閉じられた空間の一部を仕切り、仕切られた部分内に硬質の発泡充填材を配設している。この補強方法によれば、車両重量を大幅に増すことなく、車体骨格の剛性を強くし、車体パネルの曲げ剛性を強くすることができる。
このような車体補強材配設構造においては、ピラーなどの補強材配設構造体が、曲げ応力を受けた際、急激に降伏することなく徐々に破壊されていくように、高い靭性を有することが好ましい。それによって、自動車の衝突の際の安全性を高めることができる。また、補強材を配設することによって車体重量を大きく増大させることなく、高い剛性、および高い靭性を与えることができるようにする、すなわち、補強材を剛性や靭性を高めることができるように効率よく配設することが望まれる。
また、従来技術において、発泡充填材については、自動車の車体パネルの塗装工程において必須である防錆液浸漬処理(ED液含浸処理)を行う際、その処理温度において発泡するものを用いることが知られている。このような発泡充填材を用いることは、車体の製造を効率化でき、好ましい。
しかしながら、従来技術では、上述のように剛性や靭性を高めるように補強材を効率的に配設することについて、詳細な考察がなされた経緯がない。したがって、補強材の配設は最適なものであるとは考えられない。
また、従来技術では、上述の防錆液浸漬処理を行うのに先立つ、製造工程の初期において、発泡を開始する前の発泡充填材がその一面を車体パネルの内面に接着されて、または密着させられた状態で配設されている。この方法では、車体パネルの、発泡充填材が接する内面には、浸漬工程において防錆液が接することができず、したがって防錆液が浸漬されない。その結果、この内面に経時的に錆が生じることがわかってきている。このように錆が発生すると、発泡充填材と車体パネルとの接着力が低下し、その結果、発泡充填材を配設することによって、剛性や靭性を高める効果が低下してしまう。また、異音が発生するなどの悪影響が生じる懸念もある。
このような従来技術としては、例えば、WO96/07016号(特表平11−505777号)公報や、特開平3−208777号(特許登録2748683号)公報に詳しい開示がある。これらの従来技術では、自動車の車体パネルによって形成されたピラー部などの閉じられた空間の一部を仕切り、仕切られた部分内に硬質の発泡充填材を配設している。この補強方法によれば、車両重量を大幅に増すことなく、車体骨格の剛性を強くし、車体パネルの曲げ剛性を強くすることができる。
このような車体補強材配設構造においては、ピラーなどの補強材配設構造体が、曲げ応力を受けた際、急激に降伏することなく徐々に破壊されていくように、高い靭性を有することが好ましい。それによって、自動車の衝突の際の安全性を高めることができる。また、補強材を配設することによって車体重量を大きく増大させることなく、高い剛性、および高い靭性を与えることができるようにする、すなわち、補強材を剛性や靭性を高めることができるように効率よく配設することが望まれる。
また、従来技術において、発泡充填材については、自動車の車体パネルの塗装工程において必須である防錆液浸漬処理(ED液含浸処理)を行う際、その処理温度において発泡するものを用いることが知られている。このような発泡充填材を用いることは、車体の製造を効率化でき、好ましい。
しかしながら、従来技術では、上述のように剛性や靭性を高めるように補強材を効率的に配設することについて、詳細な考察がなされた経緯がない。したがって、補強材の配設は最適なものであるとは考えられない。
また、従来技術では、上述の防錆液浸漬処理を行うのに先立つ、製造工程の初期において、発泡を開始する前の発泡充填材がその一面を車体パネルの内面に接着されて、または密着させられた状態で配設されている。この方法では、車体パネルの、発泡充填材が接する内面には、浸漬工程において防錆液が接することができず、したがって防錆液が浸漬されない。その結果、この内面に経時的に錆が生じることがわかってきている。このように錆が発生すると、発泡充填材と車体パネルとの接着力が低下し、その結果、発泡充填材を配設することによって、剛性や靭性を高める効果が低下してしまう。また、異音が発生するなどの悪影響が生じる懸念もある。
本発明の目的は、補強材を配設することによって、自動車構造物または車体の重量を大きく増大させることなく、自動車構造物または車体の剛性および靭性を、自動車の衝突時の安全性を高めるのに十分に高めることができる車体補強材配設構造を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明者は、自動車構造物または車体内部に補強材となる発泡充填材として、発泡性を有する樹脂成形体を配設し、その曲げ破壊に関する詳細な試験を行い、これを解析した。その結果、軽量でありながら、高い剛性を有し、曲げ応力を受けた際に、急激に降伏することなく靭性をもって徐々に破壊されていく安全性の高い破壊の仕方をする車体補強材配設構造を究明するに至った。しかも、この車体補強材配設構造では、配設する補強材をできるだけ少なくして、すなわち補強材を効率的に配設して、このような優れた特性を得ることができる。
すなわち、本発明者は、このように優れた特性を有する車体補強材配設構造を構成する上で重要な要件となるものは以下であることを見出した。
1.樹脂成形体としては、その物性値の中で、特に圧縮強度とせん断強度の大きなものを用いるのが、剛性や靭性を高める上で重要である。具体的には、圧縮強度は10MPa以上、せん断強度は1MPa以上であることが好ましく。本発明者は、樹脂成形体のこれらの物性値をこの値以上とすることによって、車体を補強する効果を十分に得られることを実験によって確認した。そのほかに、ヤング率も大きいことが好ましい。
なお、上記の実験では、圧縮強度については、直径30mm×高さ30mmの円柱状の試験片に圧縮速度20mm/minで圧縮力を加えて評価した。また、せん断強度については、面積625mm2(25×25mm)、厚さ1mm〜6mmの試験片にせん断速度50mm/minでせん断力を加えて評価した。
2.樹脂成形体は、自動車構造物または車体の断面二次モーメントが高くなるように配置すれば、効率良く剛性や靭性を高めることができる。すなわち、例えば、一定の重量の樹脂成形体を配設する場合、樹脂成形体を中心軸からできるだけ遠くに配置することが好ましい。
また、樹脂成形体の板厚を単に厚くしても、重量が増加する割には断面二次モーメントが高くならず、ある程度以上厚くしても、剛性や靭性を大きく高めることは期待できない。本発明者は、このことを実験によって確認し、その結果、配設する樹脂成形体の板厚は1mm〜4mm、特に4mmとするのが好ましいということを見出した。
また、上記の1項の特性条件を満たすような硬い樹脂成形体では、一般に、圧縮強度に比べて引張りに対する強度がかなり弱い。このため、車体の変形時に引張り力が作用する部位に樹脂成形体を配設しても、剛性や靭性を高める効果は乏しいことが新たに分かった。
3.樹脂成形体は、自動車への最終的な配設状態、すなわち発泡した後の状態において、その表面を、自動車構造物または車体を形成する車体パネルにできるだけ広い面積にわたって密着させて配設することが好ましい。そして、このように席着した樹脂成形体と車体パネルとの間のせん断接着力が高いことが好ましい。これらの条件を満たすことによって、車体の剛性や靭性を大きく高めることができる。
これに関連して、経時的にせん断接着力が低下するのを防止するために、車体パネルの、樹脂成形体の密着する部分が塗装工程において防錆液に浸漬処理されていることが好ましい。それによって、車体パネルの接着部に錆が発生するのを防止し、長期間に亘って高いせん断接着力を維持することができる。このように、車体パネルの、樹脂成形体が密着する内面に、塗装工程において防錆液を浸漬させるためには、発泡前の樹脂成形体を車体パネルの内面との間に小さな隙間をあけて配置する必要がある。
4.上記の1項に示したように圧縮強度やせん断強度が高い、したがって硬い樹脂成形体は、一般に脆く、大きく変形させた場合には破壊されてしまいやすい。すなわち、このような樹脂成形体は、単体では、変形が進むにつれて、クラックが入り、ついには自己の形状を維持できなくなり、このために樹脂成形体を配設した自動車構造物または車体の強度が急激に低下してしまう場合がある。そこで、このような樹脂成形体を車体の補強材として用いる場合には、自動車構造物内または車体内部を仕切り、樹脂成形体を車体パネルの内面に隣接する仕切られた空間内に保持する支持体として、薄く、展伸性に優れた、または破壊に至らずにたわむ量の大きい板状支持体を用いることが好ましい。このような板状支持体は、車体の変形時には、破壊することなく、車体の変形に追従して変形し、樹脂成形体を車体パネルの内面に隣接する空間内に保持した状態を維持する。それによって、樹脂成形体にクラックが生じても、樹脂成形体を車体パネルに密着した状態に維持することができ、加わる応力が樹脂成形体内へと伝達され、分散される状態を維持することができる。したがって、このような板状支持体を用いることによって、車体の変形過程において長期に亘って、自動車構造物または車体の剛性を高く保つことができる。
このような知見に基づいて構成された、本発明の車体補強材配設構造では、補強材は、自動車構造物または車体を構成するパネルの内面に少なくとも部分的に沿って、該パネルとの間に所定の間隔をあけて配置された部分を有する板状支持体と、板状支持体の、パネルに沿って配置された部分とパネルとの間に配置された、加熱発泡性を有する樹脂成形体とから構成されている。この樹脂成形体は、発泡後には、板状支持体とパネルとの間を満たしてパネルに密着している。
このように、樹脂成形体をパネルに密着させて配設することによって、自動車構造物または車体の剛性と靭性を高めることができる。さらに、樹脂成形体を板状支持体によってパネルに面する領域に保持することによって、自動車構造物または車体が大きく変形しても、樹脂成形体をパネルに密着した状態に保ち、自動車構造物または車体が変形する過程において長期に亘って、自動車構造物または車体の剛性を樹脂成形体によって高めた状態に維持することができ、すなわち靭性を高めることができる。したがって、本発明の構成によれば、自動車構造物または車体は、曲げ応力を受けた際に、急激に降伏することなく靭性をもって破壊されていき、それによって、自動車の衝突時の安全性を大きく高めることができる。
また、樹脂成形体をパネルに隣接する領域に設けることによって、自動車構造物または車体の剛性および靭性を効率的に高めることができる。すなわち、本発明の構成によれば、少量の樹脂成形体を用いて、したがって自動車構造物または車体の重量を大きく増大させることなく自動車構造物または車体の剛性および靭性を大きく高めることができる。
また、本発明の車体補強材配設構造において、樹脂成形体は、発泡する前には、板状支持体上に支持されて、パネルの内面との間に隙間を開けて位置している。この構成によれば、防錆液含浸処理時に、発泡後に樹脂成形体が密着する、パネルの内面に防錆液を接触させることができ、パネルの内面に防錆液含浸処理を容易に施すことができる。このように防錆液含浸処理を施すことによって、樹脂成形体の密着面で経時的に錆が発生し、錆によって樹脂成形体とパネルの接着力が低下するのを防止することができる。したがって、この構成によれば、長期に亘って、自動車構造物または車体の剛性や靭性を高く保つことができる。
本発明の車体補強材配設構造において、樹脂成形体と板状支持体とは、インサート成形によって一体的に形成することができる。あるいは、樹脂成形体と板状支持体とは別体として形成し、両者に係合する係合片によって互いに固定してもよい。このように、樹脂成形体と板状支持体とを予め互いに固定しておくことによって、樹脂成形体の発泡前に、樹脂成形体と車体パネルの内面との間に隙間があけられた状態を安定して維持し、車体パネルの内面に良好に防錆液含浸処理を施すことができる。
さらに、板状支持体は、板状支持体とパネルとに係合する係合片によってパネルに対する相対位置を規制して配置することができ、それによって、樹脂成形体の発泡前に、樹脂成形体と車体パネルの内面との間に隙間があけられた状態をより安定して維持することができる。また、この場合、板状支持体の、係合片が係合する固定部は、パネルとの間に隙間をあけて配置するのが好ましい。この構成によれば、この隙間部分のパネルに防錆液含浸処理を施すことが可能となり、また、発泡した樹脂成形体を充填することができ、それによって、パネルのこの固定部の強度を高めることができる。
また、樹脂成形体の位置規制は、板状支持体および/または樹脂成形体を、パネルに設けた留め構造部によって位置規制する、または、板状支持体および/または樹脂成形体を、溶接、接着、または融着によってパネルに固定することによって行ってもよい。さらに、板状支持体、樹脂成形体、および車体パネルに係合する係合片によって、板状支持体と樹脂成形体との間の相対位置規制と、これらと車体パネルとの間の位置規制を同時に行ってもよい。
また、本発明の構成においては、樹脂成形体によって、自動車構造物内または車体内部を仕切るようにパネルの内面間に延びる少なくとも1つの中間壁を形成してもよい。中間壁を形成することによって、特に、偏平な形状の自動車構造物または車体の場合、その剛性や靭性をさらに効果的に高めることができる。
中間壁を設ける場合、樹脂成形体の、中間壁を構成する部分の周囲には、これを挟むように板状支持体を設けてもよい。中間壁が、パネルの内面の、樹脂成形体を沿うように設けた部分から、樹脂成形体を設けていない部分に延びている場合、板状支持体は、樹脂成形体を設けていない部分側の端部で、この端部を包むように延びていてもよい。このように樹脂成形体を包むように延びる部分は、パネルの内面との間に隙間を開けて配置するのが好ましい。この構成によれば、パネルの内面の、中間壁のこの端部が最終的に密着する部分に防錆液含浸処理を施すことが可能となり、また、発泡時に樹脂成形体をこの隙間の間に充填してパネルの内面に密着させることができ、それによって、この部分の強度を高めることができる。
樹脂成形体としては、一般的な自動車パネルの防錆液浸漬処理温度である150〜205℃の温度で発泡膨張する特性を有するものを用いるのが有利である。この場合、樹脂成形体は防錆液含浸処理時に加熱発泡するので、発泡させるために樹脂成形体を加熱する処理を別に行わなくても済み、車体の製造効率を高めることができる。
樹脂成形体は、上述のように、発泡完了後の圧縮強度が10MPa以上、せん断強度が1MPa以上であることが好ましく、また、パネルとの間のせん断接着力が4MPa以上であることが好ましい、これらの条件を満足することによって、自動車構造物または車体に優れた剛性、靭性を与えることができ、自動車の衝突時の安全性を十分に高めることができる。
板状支持体としては、厚さが好ましくは0.3mm未満であり、展伸率が5〜10%以上である金属板を用いるのが好ましい。このように薄く、展伸率の高い板状支持体を用いれば、自動車構造物または車体が大きく変形しても、板状支持体は破壊することなく自動車構造物または車体の変形に追従して変形する。したがって、この板状支持体によって、変形過程において長期に亘って、樹脂成形体をパネルの内面に密着させた状態に保持することができ、自動車構造物または車体の剛性を高く維持することができる。
また、板状支持体は、金属板以外に、耐熱性の樹脂を用い、薄く、樹脂成形体に比べて、破壊に至らずにたわむ量の大きいものとして形成してもよい。この構成の場合でも、板状支持体は、自動車構造物または車体の変形過程において長期に亘って、樹脂成形体をパネルの内面に密着させた状態に保持する働きをする。このような板状支持体を構成する樹脂としては、特に、66ナイロンを用いることができる。
板状支持体は、自動車構造物または車体が変形していく過程で、樹脂成形体にクラックが生じた後の十分長い間、特に、自動車構造物または車体の曲げ変位が10mm以上、特には20mm以上になるまで、破壊することなく、自動車構造物または車体に追従して変形するものとすることが好ましい。本発明の車体補強材配設構造では、このようにすることによって、自動車構造物または車体が変形していく過程で、樹脂成形体にクラックが生じた後の十分長い間、自動車構造物または車体の曲げ荷重が10kN以上に維持されるようにすることが好ましい。
この目的を達成するため、本発明者は、自動車構造物または車体内部に補強材となる発泡充填材として、発泡性を有する樹脂成形体を配設し、その曲げ破壊に関する詳細な試験を行い、これを解析した。その結果、軽量でありながら、高い剛性を有し、曲げ応力を受けた際に、急激に降伏することなく靭性をもって徐々に破壊されていく安全性の高い破壊の仕方をする車体補強材配設構造を究明するに至った。しかも、この車体補強材配設構造では、配設する補強材をできるだけ少なくして、すなわち補強材を効率的に配設して、このような優れた特性を得ることができる。
すなわち、本発明者は、このように優れた特性を有する車体補強材配設構造を構成する上で重要な要件となるものは以下であることを見出した。
1.樹脂成形体としては、その物性値の中で、特に圧縮強度とせん断強度の大きなものを用いるのが、剛性や靭性を高める上で重要である。具体的には、圧縮強度は10MPa以上、せん断強度は1MPa以上であることが好ましく。本発明者は、樹脂成形体のこれらの物性値をこの値以上とすることによって、車体を補強する効果を十分に得られることを実験によって確認した。そのほかに、ヤング率も大きいことが好ましい。
なお、上記の実験では、圧縮強度については、直径30mm×高さ30mmの円柱状の試験片に圧縮速度20mm/minで圧縮力を加えて評価した。また、せん断強度については、面積625mm2(25×25mm)、厚さ1mm〜6mmの試験片にせん断速度50mm/minでせん断力を加えて評価した。
2.樹脂成形体は、自動車構造物または車体の断面二次モーメントが高くなるように配置すれば、効率良く剛性や靭性を高めることができる。すなわち、例えば、一定の重量の樹脂成形体を配設する場合、樹脂成形体を中心軸からできるだけ遠くに配置することが好ましい。
また、樹脂成形体の板厚を単に厚くしても、重量が増加する割には断面二次モーメントが高くならず、ある程度以上厚くしても、剛性や靭性を大きく高めることは期待できない。本発明者は、このことを実験によって確認し、その結果、配設する樹脂成形体の板厚は1mm〜4mm、特に4mmとするのが好ましいということを見出した。
また、上記の1項の特性条件を満たすような硬い樹脂成形体では、一般に、圧縮強度に比べて引張りに対する強度がかなり弱い。このため、車体の変形時に引張り力が作用する部位に樹脂成形体を配設しても、剛性や靭性を高める効果は乏しいことが新たに分かった。
3.樹脂成形体は、自動車への最終的な配設状態、すなわち発泡した後の状態において、その表面を、自動車構造物または車体を形成する車体パネルにできるだけ広い面積にわたって密着させて配設することが好ましい。そして、このように席着した樹脂成形体と車体パネルとの間のせん断接着力が高いことが好ましい。これらの条件を満たすことによって、車体の剛性や靭性を大きく高めることができる。
これに関連して、経時的にせん断接着力が低下するのを防止するために、車体パネルの、樹脂成形体の密着する部分が塗装工程において防錆液に浸漬処理されていることが好ましい。それによって、車体パネルの接着部に錆が発生するのを防止し、長期間に亘って高いせん断接着力を維持することができる。このように、車体パネルの、樹脂成形体が密着する内面に、塗装工程において防錆液を浸漬させるためには、発泡前の樹脂成形体を車体パネルの内面との間に小さな隙間をあけて配置する必要がある。
4.上記の1項に示したように圧縮強度やせん断強度が高い、したがって硬い樹脂成形体は、一般に脆く、大きく変形させた場合には破壊されてしまいやすい。すなわち、このような樹脂成形体は、単体では、変形が進むにつれて、クラックが入り、ついには自己の形状を維持できなくなり、このために樹脂成形体を配設した自動車構造物または車体の強度が急激に低下してしまう場合がある。そこで、このような樹脂成形体を車体の補強材として用いる場合には、自動車構造物内または車体内部を仕切り、樹脂成形体を車体パネルの内面に隣接する仕切られた空間内に保持する支持体として、薄く、展伸性に優れた、または破壊に至らずにたわむ量の大きい板状支持体を用いることが好ましい。このような板状支持体は、車体の変形時には、破壊することなく、車体の変形に追従して変形し、樹脂成形体を車体パネルの内面に隣接する空間内に保持した状態を維持する。それによって、樹脂成形体にクラックが生じても、樹脂成形体を車体パネルに密着した状態に維持することができ、加わる応力が樹脂成形体内へと伝達され、分散される状態を維持することができる。したがって、このような板状支持体を用いることによって、車体の変形過程において長期に亘って、自動車構造物または車体の剛性を高く保つことができる。
このような知見に基づいて構成された、本発明の車体補強材配設構造では、補強材は、自動車構造物または車体を構成するパネルの内面に少なくとも部分的に沿って、該パネルとの間に所定の間隔をあけて配置された部分を有する板状支持体と、板状支持体の、パネルに沿って配置された部分とパネルとの間に配置された、加熱発泡性を有する樹脂成形体とから構成されている。この樹脂成形体は、発泡後には、板状支持体とパネルとの間を満たしてパネルに密着している。
このように、樹脂成形体をパネルに密着させて配設することによって、自動車構造物または車体の剛性と靭性を高めることができる。さらに、樹脂成形体を板状支持体によってパネルに面する領域に保持することによって、自動車構造物または車体が大きく変形しても、樹脂成形体をパネルに密着した状態に保ち、自動車構造物または車体が変形する過程において長期に亘って、自動車構造物または車体の剛性を樹脂成形体によって高めた状態に維持することができ、すなわち靭性を高めることができる。したがって、本発明の構成によれば、自動車構造物または車体は、曲げ応力を受けた際に、急激に降伏することなく靭性をもって破壊されていき、それによって、自動車の衝突時の安全性を大きく高めることができる。
また、樹脂成形体をパネルに隣接する領域に設けることによって、自動車構造物または車体の剛性および靭性を効率的に高めることができる。すなわち、本発明の構成によれば、少量の樹脂成形体を用いて、したがって自動車構造物または車体の重量を大きく増大させることなく自動車構造物または車体の剛性および靭性を大きく高めることができる。
また、本発明の車体補強材配設構造において、樹脂成形体は、発泡する前には、板状支持体上に支持されて、パネルの内面との間に隙間を開けて位置している。この構成によれば、防錆液含浸処理時に、発泡後に樹脂成形体が密着する、パネルの内面に防錆液を接触させることができ、パネルの内面に防錆液含浸処理を容易に施すことができる。このように防錆液含浸処理を施すことによって、樹脂成形体の密着面で経時的に錆が発生し、錆によって樹脂成形体とパネルの接着力が低下するのを防止することができる。したがって、この構成によれば、長期に亘って、自動車構造物または車体の剛性や靭性を高く保つことができる。
本発明の車体補強材配設構造において、樹脂成形体と板状支持体とは、インサート成形によって一体的に形成することができる。あるいは、樹脂成形体と板状支持体とは別体として形成し、両者に係合する係合片によって互いに固定してもよい。このように、樹脂成形体と板状支持体とを予め互いに固定しておくことによって、樹脂成形体の発泡前に、樹脂成形体と車体パネルの内面との間に隙間があけられた状態を安定して維持し、車体パネルの内面に良好に防錆液含浸処理を施すことができる。
さらに、板状支持体は、板状支持体とパネルとに係合する係合片によってパネルに対する相対位置を規制して配置することができ、それによって、樹脂成形体の発泡前に、樹脂成形体と車体パネルの内面との間に隙間があけられた状態をより安定して維持することができる。また、この場合、板状支持体の、係合片が係合する固定部は、パネルとの間に隙間をあけて配置するのが好ましい。この構成によれば、この隙間部分のパネルに防錆液含浸処理を施すことが可能となり、また、発泡した樹脂成形体を充填することができ、それによって、パネルのこの固定部の強度を高めることができる。
また、樹脂成形体の位置規制は、板状支持体および/または樹脂成形体を、パネルに設けた留め構造部によって位置規制する、または、板状支持体および/または樹脂成形体を、溶接、接着、または融着によってパネルに固定することによって行ってもよい。さらに、板状支持体、樹脂成形体、および車体パネルに係合する係合片によって、板状支持体と樹脂成形体との間の相対位置規制と、これらと車体パネルとの間の位置規制を同時に行ってもよい。
また、本発明の構成においては、樹脂成形体によって、自動車構造物内または車体内部を仕切るようにパネルの内面間に延びる少なくとも1つの中間壁を形成してもよい。中間壁を形成することによって、特に、偏平な形状の自動車構造物または車体の場合、その剛性や靭性をさらに効果的に高めることができる。
中間壁を設ける場合、樹脂成形体の、中間壁を構成する部分の周囲には、これを挟むように板状支持体を設けてもよい。中間壁が、パネルの内面の、樹脂成形体を沿うように設けた部分から、樹脂成形体を設けていない部分に延びている場合、板状支持体は、樹脂成形体を設けていない部分側の端部で、この端部を包むように延びていてもよい。このように樹脂成形体を包むように延びる部分は、パネルの内面との間に隙間を開けて配置するのが好ましい。この構成によれば、パネルの内面の、中間壁のこの端部が最終的に密着する部分に防錆液含浸処理を施すことが可能となり、また、発泡時に樹脂成形体をこの隙間の間に充填してパネルの内面に密着させることができ、それによって、この部分の強度を高めることができる。
樹脂成形体としては、一般的な自動車パネルの防錆液浸漬処理温度である150〜205℃の温度で発泡膨張する特性を有するものを用いるのが有利である。この場合、樹脂成形体は防錆液含浸処理時に加熱発泡するので、発泡させるために樹脂成形体を加熱する処理を別に行わなくても済み、車体の製造効率を高めることができる。
樹脂成形体は、上述のように、発泡完了後の圧縮強度が10MPa以上、せん断強度が1MPa以上であることが好ましく、また、パネルとの間のせん断接着力が4MPa以上であることが好ましい、これらの条件を満足することによって、自動車構造物または車体に優れた剛性、靭性を与えることができ、自動車の衝突時の安全性を十分に高めることができる。
板状支持体としては、厚さが好ましくは0.3mm未満であり、展伸率が5〜10%以上である金属板を用いるのが好ましい。このように薄く、展伸率の高い板状支持体を用いれば、自動車構造物または車体が大きく変形しても、板状支持体は破壊することなく自動車構造物または車体の変形に追従して変形する。したがって、この板状支持体によって、変形過程において長期に亘って、樹脂成形体をパネルの内面に密着させた状態に保持することができ、自動車構造物または車体の剛性を高く維持することができる。
また、板状支持体は、金属板以外に、耐熱性の樹脂を用い、薄く、樹脂成形体に比べて、破壊に至らずにたわむ量の大きいものとして形成してもよい。この構成の場合でも、板状支持体は、自動車構造物または車体の変形過程において長期に亘って、樹脂成形体をパネルの内面に密着させた状態に保持する働きをする。このような板状支持体を構成する樹脂としては、特に、66ナイロンを用いることができる。
板状支持体は、自動車構造物または車体が変形していく過程で、樹脂成形体にクラックが生じた後の十分長い間、特に、自動車構造物または車体の曲げ変位が10mm以上、特には20mm以上になるまで、破壊することなく、自動車構造物または車体に追従して変形するものとすることが好ましい。本発明の車体補強材配設構造では、このようにすることによって、自動車構造物または車体が変形していく過程で、樹脂成形体にクラックが生じた後の十分長い間、自動車構造物または車体の曲げ荷重が10kN以上に維持されるようにすることが好ましい。
図1aおよび図1bは、本発明の第1の実施形態の車体補強材配設構造を有する、車体の角柱状部の断面図であり、図1aは樹脂成形体の発泡前、図1bは樹脂成形体の発泡後の状態を示している。
図2は、図1bの角柱状部の斜視図である。
図3は、図1aの角柱状部の、板状支持体の固定部を示す斜視図である。
図4は、樹脂成形体および板状支持体の固定方法が図1aとは異なる他の構成例を示す断面図である。
図5は、図1aのさらに他の構成例を示す断面図である。
図6aおよび図6bは、図5の構成において、樹脂成形体および板状支持体を固定する、車体構成部材側に設けられた留め構造部の一構成例を示す模式図であり、図6aは斜視図、図6bは図6aのピン状部の断面図である。
図7aおよび図7bは、車体構成部材側に設けられた留め構造部の他の構成例を示す模式図であり、図7aは斜視図、図7bは図7aのつば状部の断面図である。
図8は、図1aのさらに他の構成例を示す断面図である。
図9は、図1aのさらに他の構成例を示す断面図である。
図10aおよび図10bは、本発明の第2の実施形態の車体補強材配設構造を有する、車体の角柱状部の断面図であり、図10aは樹脂成形体の発泡前、図10bは樹脂成形体の発泡後の状態を示している。
図11a、図11b、および図11cは、図10の角柱状部の中間壁の部分を示す図であり、図11aは、樹脂成形体の発泡前の分解斜視図、図11bは断面図、図11cは、樹脂成形体の発泡後の断面図である。
図12は、図10aの変形例の角柱状部の断面図である。
図13は、図10aの他の変形例の柱状部の断面図である。
図14は、図10aのさらに他の変形例の角柱状部の断面図である。
図15は、本発明の実施例において、角柱状部の曲げ試験を行っている様子を示す斜視図である。
図16aおよび図16bは、本発明の実施例において、曲げ試験を行った際の、変位に対する曲げ荷重の変化を示すグラフである。
図17aから図17dは、曲げ試験を行った際の角柱状部の破壊の様子を示す模式図である。
図2は、図1bの角柱状部の斜視図である。
図3は、図1aの角柱状部の、板状支持体の固定部を示す斜視図である。
図4は、樹脂成形体および板状支持体の固定方法が図1aとは異なる他の構成例を示す断面図である。
図5は、図1aのさらに他の構成例を示す断面図である。
図6aおよび図6bは、図5の構成において、樹脂成形体および板状支持体を固定する、車体構成部材側に設けられた留め構造部の一構成例を示す模式図であり、図6aは斜視図、図6bは図6aのピン状部の断面図である。
図7aおよび図7bは、車体構成部材側に設けられた留め構造部の他の構成例を示す模式図であり、図7aは斜視図、図7bは図7aのつば状部の断面図である。
図8は、図1aのさらに他の構成例を示す断面図である。
図9は、図1aのさらに他の構成例を示す断面図である。
図10aおよび図10bは、本発明の第2の実施形態の車体補強材配設構造を有する、車体の角柱状部の断面図であり、図10aは樹脂成形体の発泡前、図10bは樹脂成形体の発泡後の状態を示している。
図11a、図11b、および図11cは、図10の角柱状部の中間壁の部分を示す図であり、図11aは、樹脂成形体の発泡前の分解斜視図、図11bは断面図、図11cは、樹脂成形体の発泡後の断面図である。
図12は、図10aの変形例の角柱状部の断面図である。
図13は、図10aの他の変形例の柱状部の断面図である。
図14は、図10aのさらに他の変形例の角柱状部の断面図である。
図15は、本発明の実施例において、角柱状部の曲げ試験を行っている様子を示す斜視図である。
図16aおよび図16bは、本発明の実施例において、曲げ試験を行った際の、変位に対する曲げ荷重の変化を示すグラフである。
図17aから図17dは、曲げ試験を行った際の角柱状部の破壊の様子を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1a,1b,2は、本発明の第1の実施形態の車体補強材配設構造を示している。この車体補強材配設構造は、アウターパネル1とインナーパネル2によって形成された、断面が実質的に正方形の角柱状部に、補強材として樹脂成形体3とそれを支持する板状支持体4を配設して構成されている。
板状支持体4は、アウターパネル1によって構成される、自動車の外側に位置する壁と、それに隣接する両側の壁の内面に対して一定の間隔をあけて面する3つの壁部を有している。樹脂成形体3は、板状支持体4の、この3つの壁部の外面に接して、アウターパネル1とインナーパネル2によって形成された外側の壁および両側の壁との間に配置されている。
この構成において、アウターパネル1とインナーパネル2は、自動車の車体を構成する車体パネルであり、これらには、通常、厚さ0.7〜1.2mmの鋼板が用いられる。本実施形態の車体補強材配設構造は、これらの車体パネルによって外壁が構成された中空の角柱状部における構造であり、このような角柱状部は例えば、断面内のり50mm×50mm〜50mm×120mm程度のピラー部などとして形成される。
樹脂成形体3は、加熱発泡性の樹脂を射出成形して構成されている。樹脂成形体3としては、成形形状の自由度が高く、前述のように、発泡後の硬さについての物性値が一定値以上、すなわち、圧縮強度が10MPa以上、せん断強度が1MPa以上のものが適している。また、樹脂成形体3としては、自動車の車体パネルの一般的な防錆液浸漬処理温度150〜205℃において、発泡を開始するものが適し、発泡による体積膨張率が150〜250%程度のものが適している。
上記の特性を総合的に満たす樹脂成形体としては、WO00/27920号明細書に記載された樹脂を射出成形したものがある。この材料を発泡させて防錆液浸漬処理された自動車パネルに密着させ、材料と自動車パネルの間のせん断接着力を測定した結果、接着面積625mm2、樹脂成形体3の厚さ5mmの条件で測定して、8MPa以上確保されていることが確認された(なお、この測定結果は、車体塗装後の焼付け工程において、加熱温度160〜170℃、20〜30分の焼付けを行った後の結果である。)。せん断接着力が高く維持されているほど、発泡した樹脂成形体が自動車車体の変形過程において長い間車体パネルに密着しつづけるため好ましい。
なお、せん断接着力が高い場合、せん断試験において接着面で剥離が生じる前に樹脂成形体の材料内破断(いわゆる材破)が生じる場合がある。これは、非常に高いせん断接着力が確保されていることを意味しており、好ましい結果である。
板状支持体4としては、厚さが薄く、軽量で、展伸性に富み、大きな変形に追随して変形し、容易に破断しない構成のものが適している。このような特性を有するものとするため、板状支持体4としては、金属板、特にアルミ板が適しており、厚さは好ましくは0.3mm未満で、展伸率は5〜10%以上であるのが適している。アルミ板以外には亜鉛引き鋼板、油面鋼板などを用いることも可能である。あるいは、板状支持体4は、金属板以外に、耐熱性樹脂、例えば66ナイロンを用い、薄く、樹脂成形体4よりも破壊に至らずにたわむ量の大きいものとして形成してもよい。
次に、これらの補強材の配設について説明する。
樹脂成形体3と板状支持体4とは、前述のように対面する面同士を接触させた状態で予め結合させておく。これは、樹脂成形体3を板状支持体4上に一体的に成形する、すなわち、例えばインサート成形することによって行うことができる。あるいは、樹脂成形体3を板状支持体4とは別体として成形し、板状支持体4上に接着して、または係合させて結合させてもよい。
次に、このように互いに結合された樹脂成形体3と板上支持体4を角柱状部内に配置する。板状支持体4には、角柱状部内に配置した時に、インナーパネル2によって構成される、自動車の内側に位置する壁に面する両端部が角柱状部の中央側にこの壁に沿って折り曲げられて固定部4aが形成されている。固定部4aは、角柱状部の内側の壁から離れる方向に、樹脂成形体3の端部よりも数mmずれた位置で折り曲げられて形成されており、したがって、樹脂成形体3は、固定部4よりも、角柱状部の内側の壁側に突き出ている。
固定部4aには、図3に示すように、楕円形の開口4bが形成され、また、インナーパネルには、この開口4bに対応する位置に、同様に楕円形の開口2aが形成されている。これらの開口4b,2aにクリップ(係合片)5が通される。このクリップ5の一方の端部には、開口4b,2aの短径よりも大きい径を有する円筒状部が形成されている。クリップ5の他方の端部は二股に分かれており、この二股に分かれた脚部は、互いに反対側に延びた後、上方に湾曲した形状になっている。これらの脚部は弾性変形可能である。
このクリップ5は、脚部が延びている方向を開口4b,2aの長径方向に揃えた状態で、開口4b,2a内に通される。その後、クリップ5を90°回転させることによって、各脚部の先端が開口2aの短径方向の縁に当接する。このようにすると、板状支持体4には、クリップ5の脚部の弾性力によって、固定部4aを角柱状部の内側の壁側に押し付ける方向に力が加えられる。これによって、樹脂成形体3と板状支持体4は、樹脂成形体3の端部がインナーパネル2に押し付けられた状態で固定される。
この際、樹脂成形体3の端部は、前述のように、固定部4aより突出しているので、図1aに示すように、固定部4aとインナーパネル2との間には数mm程度の小さな隙間6が形成されている。また、このように樹脂成形体3と板状支持体4を固定した状態で、樹脂成形体3と角柱状部の、外側の壁およびその両側の壁との間には数mm程度の小さな隙間7が形成されている。この隙間7は、樹脂成形体3の発泡前の厚さと板状支持体4の固定位置を調整することによって確保することができる。
このように補強材、すなわち樹脂成形体3と板状支持体4が固定された車体パネル、すなわちアウターパネル1とインナーパネル2には、その後、防錆液浸漬処理が施される。この工程では、角柱状部の、アウターパネル1およびインナーパネル2の内面と樹脂成形体との間に隙間7が確保されているため、この内面にも防錆液が接触し、浸漬させられる。また、板状支持体4の固定部4aとインナーパネル2の内面との間の隙間6にも防錆液が侵入し、内面のこの部分にも防錆液が浸漬させられる。
この際、樹脂成形体3は、防錆液浸漬処理温度に加熱されることによって、発泡、膨張し、図1b,2に示すように、角柱状部の壁と板状支持体4との間は、膨張した樹脂成形体3によって完全に満たされる。これは、板状支持体4の固定部4aとインナーパネル2との間の隙間6についても同様であり、図1bに示すように、発泡後、隙間6は樹脂成形体3によって満たされている。このように角柱状部の外壁の内面に接触するまで膨張した樹脂成形体3は、この内面に密着し接着される。
以上のように、本実施形態の構成では、アウターパネル1とインナーパネル2によって構成される角柱状部内に、圧縮強度、せん断強度が十分に高い樹脂成形体3を配設することによって、角柱状部の剛性や靭性を効果的に高めることができる。また、樹脂成形体3を角柱状部の外壁に沿った領域に配置することによって、角柱状部の剛性や靭性を、比較的少量の樹脂成形体3を用いて効果的に高めることができる。樹脂成形体3は、特に、自動車の衝突事故の際に、圧縮力が加わる可能性が比較的高い、外側の壁、およびその両側の壁の内面に接して設けられており、これによって、事故時の角柱状部の変形を効果的に抑えることができる。
さらに、本実施形態では、樹脂成形体3を展伸性の高い、または破壊に至らずにたわむ量の大きい板状支持体3によって、角柱状部の外壁の内面に接触する領域に保持している。この構成によれば、角柱状部が大きく変形しても、板状支持体4は、その変形に追従して変形し、このため、樹脂成形体3を角柱状部の外壁の内面に接触する領域に保持した状態を維持することができる。それによって、上述のような物性値を有し、したがって比較的硬い樹脂成形体3が大きく変形して、クラックが入るなどしても、樹脂成形体3を角柱状部の外壁の内面に接着した状態に維持することができる。このため、角柱状部の剛性を樹脂成形体3によって高める効果を、角柱状部の変形過程において比較的長期に亘って維持することができる。
また、本実施形態の構成では、最終的に、発泡後の樹脂成形体3が接着される、角柱状部の外壁の内面に、樹脂成形体3の発泡前に防錆液が浸漬される。このため、長期に亘って、この部分に錆が発生するのを防止して、樹脂成形体3の接着力を維持することができ、したがって、樹脂成形体3によって、角柱状の剛性、靭性を高める効果を維持することができる。
なお、本実施形態は、断面形状が実質的に正方形の角柱状部に適用した例を示したが、四角、五角などの他の断面形状を有する柱状部にも有効に適用できる。また、断面形状の角部がいくらか丸くなった柱状部に対しても、本実施形態の構成は有効である。また、本実施形態の補強材配設構造は、角柱状部に限らず、自動車の種々の構造物内や、車体内部の種々の場所に設けることが可能である。
また、樹脂成形体3、板状支持体4の固定方法は、上述の方法に限られることはなく、種々の方法が考えられる。他の固定方法によって樹脂成形体3、板状支持体4を固定した他の構成例の模式図を図4〜9に示す。
図4は、板状支持体4の端部を側壁側に向かって折り曲げて固定部4aを形成し、この固定部4aにクリップ5を係合させた構成例を示している。この構成では、固定部4aは、柱状部の長さ方向に断続的に形成し、発泡した樹脂成形体3が固定部4aの途切れた部分を通って隙間6内に充填されるようにすることができる。また、発泡前の樹脂成形体3の端部に、固定部4aの途切れた部分を通って延びる凸部を形成し、この凸部がインナーパネル2に接する構成としてもよい。
図5は、インサート成形などによって互いに固定された樹脂成形体3と板状支持体4のコの字状の組み立て体を、クリップを用いずに固定した構成を示している。この構成では、板状支持体4の端部の少なくとも一部はインナーパネル2から離れるようにし、その隙間に発泡した樹脂成形体3が充填されるように構成してもよい。コの字状の組み立て体の固定方法としては、溶接、接着、または融着によって、樹脂成形体3、板状支持体4、または両者をインナーパネル2に固定する方法が考えられる。
また、クリップを用いずに固定する方法としては、この他に、アウターパネル1やインナーパネル2などの車体を構成している部材側に留め構造部を設ける方法が考えられる。図6a,6bは、このような留め構造部の一構成例を示している。この例では、インナーパネル2の、樹脂成形体3の端部が接する位置に、上方に向かって尖ったピン状部2aが形成されている。このピン状部2aに樹脂成形体3の端部を突き刺すことによって、樹脂成形体3を固定することができる。
また、図7a,7bには、留め構造部の他の構成例を示している。この構成では、インナーパネル2の、柱状部の長さ方向の両端部に、内側に向かって斜めに立ち上がるように形成されたつば状部2bが設けられている。樹脂成形体3と板状支持体4の組み立て体は、両端のつば状部2bの間に、つば状部2bを弾性変形させて挟み込んで配置する。これによって、この組み立て体は、つば状部2bの復原力によって押えられて固定される。
図8は、樹脂成形体3と板状支持体4を別体として形成し、両者を貫通するクリップ5bを用いて、両者を互いに固定した構成例を示している。図9は、樹脂成形体3と板状支持体4、さらにアウターパネル1を貫通するクリップ5cを用いて、樹脂成形体3と板状支持体4を固定した構成例を示している。
樹脂成形体3と板状支持体4の固定方法は、以上のような例に限られず、公知の他の方法を用いて固定してもよい。
(第2の実施形態)
図10a,10bに、本発明の第2の実施形態の車体補強材配設構造を示す。本実施形態の車体補強材配設構造は、断面形状が長方形の角柱状部内に、樹脂成形体3と板状支持体4を配設して構成されている。樹脂成形体3は、角柱状部の外壁の内面に沿った領域に加えて、長辺の中央で短辺方向に延びる領域にも配設され、樹脂成形体3の、このように長辺の中央に配設された部分は、その周りを包むように配設された板状支持体4と共に、中間壁10を形成している。
板状支持体4の、中間壁10を構成する部分の、インナーパネル2によって構成された、自動車の内側の壁寄りの端部は、角柱状部の、この内側の壁の内面との間に数mm程度の隙間11をあけて位置している。板状支持体4のこの端部には、図11a,11b,11cに示すように、複数の開口4cが形成されている。発泡前の樹脂成形体3の、中間壁10を構成する部分の端部には、図11a,図11bに示すように、この開口4cを通って延び、インナーパネル2の内面に接している複数の凸部3aが形成されている。
このように樹脂成形体3を配置した状態で、防錆液浸漬処理を行うと、発泡し膨張した樹脂成形体3は、中間壁10の端部において、図10b,11cに示すように、隙間11を埋めるように充填される。この際、隙間11が設けられているために、このようにして樹脂成形体3の、中間壁10を構成する部分の端部が接着される領域にも防錆液が浸漬され、その部分に錆が生じるのを防ぐことができる。
本実施形態の構成では、中間壁10を設けることによって、車体の変形の際、中間壁10に荷重の一部を支えさせることができ、角柱状部の剛性や靭性をより高めることができる。また、板状支持体4や樹脂成形体3が、角柱状部の長辺方向の中央部で折れ曲がって、アウターパネル1から離れてしまうのを防止することができる。それによって、変形過程において長期にわたって、樹脂成形体3による補強効果を維持することができる。
本実施形態の構成は、断面形状が細長い形状である角柱状部、特に、断面形状の長辺の長さが短辺の長さの2倍程度以上である角柱状部に対して特に有効である。すなわち、このように断面形状が細長い形状である場合、断面形状の長辺の中央付近で強度が弱くなりがちであるが、中間壁10を設けることによって、弱くなりがちな部分の強度を効果的に高めることができる。
なお、図10a,10bには、板状支持体4は、第1の実施形態におけるのと同様に、角柱状部の側方の壁に沿った部分の端部の位置で固定されている構成を示したが、図12に示すように、中間壁10の端部の位置で固定する構成としてもよい。この構成では、インナーパネル2に設ける、クリップ5用の開口の数が比較的少なくて済む。したがって、この横成は、インナーパネル2の形状のために、多くの開口を形成するのが困難な場合に有効である。
図12に示す構成では、板状支持体4の端部は固定されていない。このように板状支持体4の端部をフリーにしておいても、樹脂成形体3を発泡、膨張させた後には、樹脂成形体3が角柱状部の内面に接着されるため、この部分の強度は十分に高くすることができる。
また、本実施形態の構成は、図13に示すように、断面形状の一部の角が丸くなった柱状部に対しても有効に適用することができる。この場合にも、樹脂成形体3と板状支持体4を配設することによって、この柱状部の剛性や靭性を効果的に高めることができる。
また、図14に示すように、さらに偏平度が高く、特に長辺の長さが短辺の3倍以上である断面形状を有する角柱状部に補強材を配設する場合には、複数の中間壁10を設けてもよい。それによって、角柱状部全体の強度を効果的に高めることができる、また、この構成では、図14に例示しているように、中間壁10のいくつかには、その周りの板状支持体4の端部に、第1の実施形態において説明したような固定部4aを形成し、それをクリップ5によって固定してもよい。
(第1の実施形態)
図1a,1b,2は、本発明の第1の実施形態の車体補強材配設構造を示している。この車体補強材配設構造は、アウターパネル1とインナーパネル2によって形成された、断面が実質的に正方形の角柱状部に、補強材として樹脂成形体3とそれを支持する板状支持体4を配設して構成されている。
板状支持体4は、アウターパネル1によって構成される、自動車の外側に位置する壁と、それに隣接する両側の壁の内面に対して一定の間隔をあけて面する3つの壁部を有している。樹脂成形体3は、板状支持体4の、この3つの壁部の外面に接して、アウターパネル1とインナーパネル2によって形成された外側の壁および両側の壁との間に配置されている。
この構成において、アウターパネル1とインナーパネル2は、自動車の車体を構成する車体パネルであり、これらには、通常、厚さ0.7〜1.2mmの鋼板が用いられる。本実施形態の車体補強材配設構造は、これらの車体パネルによって外壁が構成された中空の角柱状部における構造であり、このような角柱状部は例えば、断面内のり50mm×50mm〜50mm×120mm程度のピラー部などとして形成される。
樹脂成形体3は、加熱発泡性の樹脂を射出成形して構成されている。樹脂成形体3としては、成形形状の自由度が高く、前述のように、発泡後の硬さについての物性値が一定値以上、すなわち、圧縮強度が10MPa以上、せん断強度が1MPa以上のものが適している。また、樹脂成形体3としては、自動車の車体パネルの一般的な防錆液浸漬処理温度150〜205℃において、発泡を開始するものが適し、発泡による体積膨張率が150〜250%程度のものが適している。
上記の特性を総合的に満たす樹脂成形体としては、WO00/27920号明細書に記載された樹脂を射出成形したものがある。この材料を発泡させて防錆液浸漬処理された自動車パネルに密着させ、材料と自動車パネルの間のせん断接着力を測定した結果、接着面積625mm2、樹脂成形体3の厚さ5mmの条件で測定して、8MPa以上確保されていることが確認された(なお、この測定結果は、車体塗装後の焼付け工程において、加熱温度160〜170℃、20〜30分の焼付けを行った後の結果である。)。せん断接着力が高く維持されているほど、発泡した樹脂成形体が自動車車体の変形過程において長い間車体パネルに密着しつづけるため好ましい。
なお、せん断接着力が高い場合、せん断試験において接着面で剥離が生じる前に樹脂成形体の材料内破断(いわゆる材破)が生じる場合がある。これは、非常に高いせん断接着力が確保されていることを意味しており、好ましい結果である。
板状支持体4としては、厚さが薄く、軽量で、展伸性に富み、大きな変形に追随して変形し、容易に破断しない構成のものが適している。このような特性を有するものとするため、板状支持体4としては、金属板、特にアルミ板が適しており、厚さは好ましくは0.3mm未満で、展伸率は5〜10%以上であるのが適している。アルミ板以外には亜鉛引き鋼板、油面鋼板などを用いることも可能である。あるいは、板状支持体4は、金属板以外に、耐熱性樹脂、例えば66ナイロンを用い、薄く、樹脂成形体4よりも破壊に至らずにたわむ量の大きいものとして形成してもよい。
次に、これらの補強材の配設について説明する。
樹脂成形体3と板状支持体4とは、前述のように対面する面同士を接触させた状態で予め結合させておく。これは、樹脂成形体3を板状支持体4上に一体的に成形する、すなわち、例えばインサート成形することによって行うことができる。あるいは、樹脂成形体3を板状支持体4とは別体として成形し、板状支持体4上に接着して、または係合させて結合させてもよい。
次に、このように互いに結合された樹脂成形体3と板上支持体4を角柱状部内に配置する。板状支持体4には、角柱状部内に配置した時に、インナーパネル2によって構成される、自動車の内側に位置する壁に面する両端部が角柱状部の中央側にこの壁に沿って折り曲げられて固定部4aが形成されている。固定部4aは、角柱状部の内側の壁から離れる方向に、樹脂成形体3の端部よりも数mmずれた位置で折り曲げられて形成されており、したがって、樹脂成形体3は、固定部4よりも、角柱状部の内側の壁側に突き出ている。
固定部4aには、図3に示すように、楕円形の開口4bが形成され、また、インナーパネルには、この開口4bに対応する位置に、同様に楕円形の開口2aが形成されている。これらの開口4b,2aにクリップ(係合片)5が通される。このクリップ5の一方の端部には、開口4b,2aの短径よりも大きい径を有する円筒状部が形成されている。クリップ5の他方の端部は二股に分かれており、この二股に分かれた脚部は、互いに反対側に延びた後、上方に湾曲した形状になっている。これらの脚部は弾性変形可能である。
このクリップ5は、脚部が延びている方向を開口4b,2aの長径方向に揃えた状態で、開口4b,2a内に通される。その後、クリップ5を90°回転させることによって、各脚部の先端が開口2aの短径方向の縁に当接する。このようにすると、板状支持体4には、クリップ5の脚部の弾性力によって、固定部4aを角柱状部の内側の壁側に押し付ける方向に力が加えられる。これによって、樹脂成形体3と板状支持体4は、樹脂成形体3の端部がインナーパネル2に押し付けられた状態で固定される。
この際、樹脂成形体3の端部は、前述のように、固定部4aより突出しているので、図1aに示すように、固定部4aとインナーパネル2との間には数mm程度の小さな隙間6が形成されている。また、このように樹脂成形体3と板状支持体4を固定した状態で、樹脂成形体3と角柱状部の、外側の壁およびその両側の壁との間には数mm程度の小さな隙間7が形成されている。この隙間7は、樹脂成形体3の発泡前の厚さと板状支持体4の固定位置を調整することによって確保することができる。
このように補強材、すなわち樹脂成形体3と板状支持体4が固定された車体パネル、すなわちアウターパネル1とインナーパネル2には、その後、防錆液浸漬処理が施される。この工程では、角柱状部の、アウターパネル1およびインナーパネル2の内面と樹脂成形体との間に隙間7が確保されているため、この内面にも防錆液が接触し、浸漬させられる。また、板状支持体4の固定部4aとインナーパネル2の内面との間の隙間6にも防錆液が侵入し、内面のこの部分にも防錆液が浸漬させられる。
この際、樹脂成形体3は、防錆液浸漬処理温度に加熱されることによって、発泡、膨張し、図1b,2に示すように、角柱状部の壁と板状支持体4との間は、膨張した樹脂成形体3によって完全に満たされる。これは、板状支持体4の固定部4aとインナーパネル2との間の隙間6についても同様であり、図1bに示すように、発泡後、隙間6は樹脂成形体3によって満たされている。このように角柱状部の外壁の内面に接触するまで膨張した樹脂成形体3は、この内面に密着し接着される。
以上のように、本実施形態の構成では、アウターパネル1とインナーパネル2によって構成される角柱状部内に、圧縮強度、せん断強度が十分に高い樹脂成形体3を配設することによって、角柱状部の剛性や靭性を効果的に高めることができる。また、樹脂成形体3を角柱状部の外壁に沿った領域に配置することによって、角柱状部の剛性や靭性を、比較的少量の樹脂成形体3を用いて効果的に高めることができる。樹脂成形体3は、特に、自動車の衝突事故の際に、圧縮力が加わる可能性が比較的高い、外側の壁、およびその両側の壁の内面に接して設けられており、これによって、事故時の角柱状部の変形を効果的に抑えることができる。
さらに、本実施形態では、樹脂成形体3を展伸性の高い、または破壊に至らずにたわむ量の大きい板状支持体3によって、角柱状部の外壁の内面に接触する領域に保持している。この構成によれば、角柱状部が大きく変形しても、板状支持体4は、その変形に追従して変形し、このため、樹脂成形体3を角柱状部の外壁の内面に接触する領域に保持した状態を維持することができる。それによって、上述のような物性値を有し、したがって比較的硬い樹脂成形体3が大きく変形して、クラックが入るなどしても、樹脂成形体3を角柱状部の外壁の内面に接着した状態に維持することができる。このため、角柱状部の剛性を樹脂成形体3によって高める効果を、角柱状部の変形過程において比較的長期に亘って維持することができる。
また、本実施形態の構成では、最終的に、発泡後の樹脂成形体3が接着される、角柱状部の外壁の内面に、樹脂成形体3の発泡前に防錆液が浸漬される。このため、長期に亘って、この部分に錆が発生するのを防止して、樹脂成形体3の接着力を維持することができ、したがって、樹脂成形体3によって、角柱状の剛性、靭性を高める効果を維持することができる。
なお、本実施形態は、断面形状が実質的に正方形の角柱状部に適用した例を示したが、四角、五角などの他の断面形状を有する柱状部にも有効に適用できる。また、断面形状の角部がいくらか丸くなった柱状部に対しても、本実施形態の構成は有効である。また、本実施形態の補強材配設構造は、角柱状部に限らず、自動車の種々の構造物内や、車体内部の種々の場所に設けることが可能である。
また、樹脂成形体3、板状支持体4の固定方法は、上述の方法に限られることはなく、種々の方法が考えられる。他の固定方法によって樹脂成形体3、板状支持体4を固定した他の構成例の模式図を図4〜9に示す。
図4は、板状支持体4の端部を側壁側に向かって折り曲げて固定部4aを形成し、この固定部4aにクリップ5を係合させた構成例を示している。この構成では、固定部4aは、柱状部の長さ方向に断続的に形成し、発泡した樹脂成形体3が固定部4aの途切れた部分を通って隙間6内に充填されるようにすることができる。また、発泡前の樹脂成形体3の端部に、固定部4aの途切れた部分を通って延びる凸部を形成し、この凸部がインナーパネル2に接する構成としてもよい。
図5は、インサート成形などによって互いに固定された樹脂成形体3と板状支持体4のコの字状の組み立て体を、クリップを用いずに固定した構成を示している。この構成では、板状支持体4の端部の少なくとも一部はインナーパネル2から離れるようにし、その隙間に発泡した樹脂成形体3が充填されるように構成してもよい。コの字状の組み立て体の固定方法としては、溶接、接着、または融着によって、樹脂成形体3、板状支持体4、または両者をインナーパネル2に固定する方法が考えられる。
また、クリップを用いずに固定する方法としては、この他に、アウターパネル1やインナーパネル2などの車体を構成している部材側に留め構造部を設ける方法が考えられる。図6a,6bは、このような留め構造部の一構成例を示している。この例では、インナーパネル2の、樹脂成形体3の端部が接する位置に、上方に向かって尖ったピン状部2aが形成されている。このピン状部2aに樹脂成形体3の端部を突き刺すことによって、樹脂成形体3を固定することができる。
また、図7a,7bには、留め構造部の他の構成例を示している。この構成では、インナーパネル2の、柱状部の長さ方向の両端部に、内側に向かって斜めに立ち上がるように形成されたつば状部2bが設けられている。樹脂成形体3と板状支持体4の組み立て体は、両端のつば状部2bの間に、つば状部2bを弾性変形させて挟み込んで配置する。これによって、この組み立て体は、つば状部2bの復原力によって押えられて固定される。
図8は、樹脂成形体3と板状支持体4を別体として形成し、両者を貫通するクリップ5bを用いて、両者を互いに固定した構成例を示している。図9は、樹脂成形体3と板状支持体4、さらにアウターパネル1を貫通するクリップ5cを用いて、樹脂成形体3と板状支持体4を固定した構成例を示している。
樹脂成形体3と板状支持体4の固定方法は、以上のような例に限られず、公知の他の方法を用いて固定してもよい。
(第2の実施形態)
図10a,10bに、本発明の第2の実施形態の車体補強材配設構造を示す。本実施形態の車体補強材配設構造は、断面形状が長方形の角柱状部内に、樹脂成形体3と板状支持体4を配設して構成されている。樹脂成形体3は、角柱状部の外壁の内面に沿った領域に加えて、長辺の中央で短辺方向に延びる領域にも配設され、樹脂成形体3の、このように長辺の中央に配設された部分は、その周りを包むように配設された板状支持体4と共に、中間壁10を形成している。
板状支持体4の、中間壁10を構成する部分の、インナーパネル2によって構成された、自動車の内側の壁寄りの端部は、角柱状部の、この内側の壁の内面との間に数mm程度の隙間11をあけて位置している。板状支持体4のこの端部には、図11a,11b,11cに示すように、複数の開口4cが形成されている。発泡前の樹脂成形体3の、中間壁10を構成する部分の端部には、図11a,図11bに示すように、この開口4cを通って延び、インナーパネル2の内面に接している複数の凸部3aが形成されている。
このように樹脂成形体3を配置した状態で、防錆液浸漬処理を行うと、発泡し膨張した樹脂成形体3は、中間壁10の端部において、図10b,11cに示すように、隙間11を埋めるように充填される。この際、隙間11が設けられているために、このようにして樹脂成形体3の、中間壁10を構成する部分の端部が接着される領域にも防錆液が浸漬され、その部分に錆が生じるのを防ぐことができる。
本実施形態の構成では、中間壁10を設けることによって、車体の変形の際、中間壁10に荷重の一部を支えさせることができ、角柱状部の剛性や靭性をより高めることができる。また、板状支持体4や樹脂成形体3が、角柱状部の長辺方向の中央部で折れ曲がって、アウターパネル1から離れてしまうのを防止することができる。それによって、変形過程において長期にわたって、樹脂成形体3による補強効果を維持することができる。
本実施形態の構成は、断面形状が細長い形状である角柱状部、特に、断面形状の長辺の長さが短辺の長さの2倍程度以上である角柱状部に対して特に有効である。すなわち、このように断面形状が細長い形状である場合、断面形状の長辺の中央付近で強度が弱くなりがちであるが、中間壁10を設けることによって、弱くなりがちな部分の強度を効果的に高めることができる。
なお、図10a,10bには、板状支持体4は、第1の実施形態におけるのと同様に、角柱状部の側方の壁に沿った部分の端部の位置で固定されている構成を示したが、図12に示すように、中間壁10の端部の位置で固定する構成としてもよい。この構成では、インナーパネル2に設ける、クリップ5用の開口の数が比較的少なくて済む。したがって、この横成は、インナーパネル2の形状のために、多くの開口を形成するのが困難な場合に有効である。
図12に示す構成では、板状支持体4の端部は固定されていない。このように板状支持体4の端部をフリーにしておいても、樹脂成形体3を発泡、膨張させた後には、樹脂成形体3が角柱状部の内面に接着されるため、この部分の強度は十分に高くすることができる。
また、本実施形態の構成は、図13に示すように、断面形状の一部の角が丸くなった柱状部に対しても有効に適用することができる。この場合にも、樹脂成形体3と板状支持体4を配設することによって、この柱状部の剛性や靭性を効果的に高めることができる。
また、図14に示すように、さらに偏平度が高く、特に長辺の長さが短辺の3倍以上である断面形状を有する角柱状部に補強材を配設する場合には、複数の中間壁10を設けてもよい。それによって、角柱状部全体の強度を効果的に高めることができる、また、この構成では、図14に例示しているように、中間壁10のいくつかには、その周りの板状支持体4の端部に、第1の実施形態において説明したような固定部4aを形成し、それをクリップ5によって固定してもよい。
次に、各実施形態に従って実施例の車体補強材配設構造を構成し、また、実施例に対比される比較例の車体補強材配設構造を構成して、これらに対して曲げ試験を行った結果について、説明する。
本実施例では、第1の実施形態に従って、図1a,1bに示すような車体補強材配設構造を有する角柱状車体モデルを作製した。
この角柱状車体モデルは、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×50mmの十分に長い四角柱状部として構成した。この角柱状車体モデルを構成する外壁の内の3つの内面沿いに、厚さ0.15mm、展伸率10%のアルミ板を板状支持体4として配設した。
板状支持体4と車体パネルとの間に、樹脂成形体3として、シーカ社製のSikaReinforcer(商品名)を配設した。この樹脂成形体3の厚さは4mmとした。この樹脂成形体の発泡温度は150℃、発泡後の圧縮強度は22MPa(直径50mm、高さ100mmの円柱状の試験片を用いて測定)、せん断強度は4MPa(接着面積625mm2、厚さ3mmの試験片を用いて測定)である。
このように板状支持体4と共に樹脂成形体3を配設した角柱状車体モデルを温度170℃の電気炉内に20分放置して、樹脂成形体3を発泡、硬化させ、板状支持体4と車体パネルの間に隙間なく充填させた。この際の樹脂成形体3のみかけの発泡倍率はおよそ150%、発泡完了後の車体パネルとのせん断接着力は、7〜9MPaであった。
(比較例1−1〜1−3)
実施例1と対比されるものとして、比較例1−1〜1−3の3種の角柱状車体モデルを作製した。これらの角柱状車体モデルは、実施例1と同様に、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×50mmの十分に長い四角柱状部として構成した。
比較例1−1の角柱状車体モデルは、内部に補強材を一切配設しない構成とした。比較例1−2では、板状支持体4として、実施例1に比べて展伸率の低い、厚さ0.15mmの鋼板を用いた。この鋼板の展伸率は4%である。比較例1−3では、樹脂成形体3として、実施例1に比べて、発泡後の圧縮強度およびせん断強度が低いものを用いた。この樹脂成形体の、発泡後の圧縮強度は8MPa、せん断強度は0.6MPaである。
これら実施例1と比較例1−1〜1−3の構成をまとめて表1に示す。
この角柱状車体モデルは、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×50mmの十分に長い四角柱状部として構成した。この角柱状車体モデルを構成する外壁の内の3つの内面沿いに、厚さ0.15mm、展伸率10%のアルミ板を板状支持体4として配設した。
板状支持体4と車体パネルとの間に、樹脂成形体3として、シーカ社製のSikaReinforcer(商品名)を配設した。この樹脂成形体3の厚さは4mmとした。この樹脂成形体の発泡温度は150℃、発泡後の圧縮強度は22MPa(直径50mm、高さ100mmの円柱状の試験片を用いて測定)、せん断強度は4MPa(接着面積625mm2、厚さ3mmの試験片を用いて測定)である。
このように板状支持体4と共に樹脂成形体3を配設した角柱状車体モデルを温度170℃の電気炉内に20分放置して、樹脂成形体3を発泡、硬化させ、板状支持体4と車体パネルの間に隙間なく充填させた。この際の樹脂成形体3のみかけの発泡倍率はおよそ150%、発泡完了後の車体パネルとのせん断接着力は、7〜9MPaであった。
(比較例1−1〜1−3)
実施例1と対比されるものとして、比較例1−1〜1−3の3種の角柱状車体モデルを作製した。これらの角柱状車体モデルは、実施例1と同様に、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×50mmの十分に長い四角柱状部として構成した。
比較例1−1の角柱状車体モデルは、内部に補強材を一切配設しない構成とした。比較例1−2では、板状支持体4として、実施例1に比べて展伸率の低い、厚さ0.15mmの鋼板を用いた。この鋼板の展伸率は4%である。比較例1−3では、樹脂成形体3として、実施例1に比べて、発泡後の圧縮強度およびせん断強度が低いものを用いた。この樹脂成形体の、発泡後の圧縮強度は8MPa、せん断強度は0.6MPaである。
これら実施例1と比較例1−1〜1−3の構成をまとめて表1に示す。
本実施例では、第2の実施形態に従って、図10a,10bに示すような車体補強材配設構造を有する角柱状車体モデルを作製した。
この角柱状車体モデルは、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×120mmの十分に長い四角柱状部として構成した。この角柱状車体モデルを構成する外壁の内の3つの内面沿いに、厚さ0.15mm、展伸率10%のアルミ板を板状支持体4として配設した。
板状支持体4と車体パネルとの間に、樹脂成形体3として、シーカ社製のSikaReinforcer(商品名)を配設した。この樹脂成形体3の厚さは4mmとした。この樹脂成形体の発泡温度は150℃、発泡後の圧縮強度は22MPa(直径50mm、高さ100mmの円柱状の試験片を用いて測定)、せん断強度は4MPa(接着面積625mm2、厚さ3mmの試験片を用いて測定)である。
このように板状支持体4と共に樹脂成形体3を配設した角柱状車体モデルを温度170℃の電気炉内に20分放置して、樹脂成形体3を発泡、硬化させ、板状支持体4と車体パネルの間に隙間なく充填させた。この際の樹脂成形体3のみかけの発泡倍率はおよそ150%、発泡完了後の車体パネルとのせん断接着力は8〜9MPaであった。
(比較例2−1〜2−3)
実施例2と対比されるものとして、比較例2−1〜2−3の3種の角柱状車体モデルを作製した。これらの角柱状車体モデルは、実施例2と同様に、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×120mmの十分に長い四角柱状部として構成した。
比較例2−1は、中間板を設けない構成とした。比較例2−2では、板状支持体4として、比較例2に比べて展伸率の低い、厚さ0.15mmの鋼板を用いた。この鋼板の展伸率は5%である。比較例2−3では、樹脂成形体3として、実施例2に比べて、発泡後の圧縮強度およびせん断強度が低いものを用いた。この樹脂成形体の、発泡後の圧縮強度は8MPa、せん断強度は0.6MPaである。
これら実施例2と比較例2−1〜2−3の構成をまとめて表2に示す。
(曲げ試験による評価)
各実施例、比較例の角柱状車体モデルを、図15に示すように、アウターパネル1によって構成される外側の壁を上に向けて支持台20上に載せ、長さ方向の両端部で支持し、押圧装置21を用いて、角柱状車体モデルの支持点間の中央に上方から押圧力を加え、曲げ試験を実施した。支持台20としては、両端の支持部の間隔が500mmのものを用いた。押圧装置21としては、径120mmの半円筒形の押圧子21aを有するものを用い、この押圧子21aを20mm/sで移動させて押圧力を加えた。
図16a,16bのグラフは、この曲げ試験において、角柱状車体モデルを変位させていった時の、押圧子21aに加わる荷重、すなわち曲げ荷重の変化を示している。また、図17a〜17dは、この曲げ試験において、実施例1の角柱状車体モデルが破壊されていくのを目視観測した結果を示している。
図17aは、角柱状車体モデルの、変位を開始する前の状態を示している(図16aの符号Aで示す時点に相当)。この状態から角柱状車体モデルを曲げていくと、角柱状車体モデルは、ある程度の変位量までは、ほぼ弾性的に変形し、この間は、曲げ荷重は変位量にほぼ比例して増加していく。
変形が弾性限界近く(図16aの符号Bで示す時点に相当)になると、図17bに示すように、変形の中心付近の領域25で、樹脂成形体3の、発泡によって形成されたセル(気泡)が潰れ始める。この際、樹脂成形体3は、その接着力によってアウターパネル1および板状支持体4に密着した状態に保たれる。また、板状支持体4はアウターパネル1の変形に追従して変形し、それによって、樹脂成形体3はアウターパネル1に接するように押えられる。その結果、樹脂成形体3はアウターパネル1および板状支持体4に密着した状態に安定して保たれる。このように密着した樹脂成形体3によって、アウターパネル1の応力が分散される結果、角柱状車体モデルの剛性が高められる。
角柱状車体モデルを、弾性限界を超えてさらに変形させていくと、図17cに示すように、セルの潰れは変形の中心から外側へと広がっていく。また、この際、アウターパネル1には、しわが生じるのが観測される。このように変形が進んでも、板状支持体4がアウターパネル1の変形に追従して変形し、樹脂成形体3はアウターパネル1に接するように押えられるため、樹脂成形体3は、変形過程において長期に亘って、アウターパネル1に密着した状態に保たれる(図16aの符号Cで示す時点付近までに相当)。このようにアウターパネル1に密着した樹脂成形体3によって、角柱状車体モデルの剛性は、長期に亘って比較的高い一定の強さに保たれ、その結果、図16aに示すように、変位量を大きくしていっても、曲げ荷重は、比較的大きなほぼ一定の値に保たれる。
角柱状車体モデルをさらに大きく変形させていくと(図16aの符号C以降に相当)、図17dに示すように、樹脂成形体3にクラック(ひび割れ)が発生し、アウターパネル1および板状支持体4との間に、符号26で示すように剥離が生じる。この結果、角柱状車体モデルの曲げ剛性は低下し始めるが、樹脂成形体3が板状支持体4によってアウターパネル1に隣接する領域内に引き続き保持されるため、樹脂成形体3への応力の伝達、分散は継続される。このため、曲げ剛性は急激に低下することはなく、曲げ剛性の低下は低く抑えられる。
このように、実施例1の角柱状車体モデルの曲げ剛性は、変形過程において長期に亘って比較的高い一定の値に保たれる。図16aのグラフにおいて、曲げ荷重が、曲げ変位が10mmから25mmまでの広い領域にわたって、10kN程度のほぼ一定の値に保たれているのが、このことを裏付けている。
(評価結果)
図16aに示すように、補強材を配設していない比較例1−1の構成では、曲げ剛性値そのものが小さく、比較的小さな荷重で変形してしまうことが分かる。また、比較的小さな変形量の段階で、曲げ荷重は急激に減少している。これは、自動車の衝突によって荷重が加わった場合について考えると、車体の角柱状部が、ある程度曲がった後、小さな力が加わっただけで容易に変形し、したがって急速に変形が進んでしまうことを意味しており、安全上、好ましくない。
また、図16bに示すように、長辺の長さが短辺の長さの2倍以上である偏平な断面形状を有する角柱状部に対して、中間壁10を設けていない比較例2−1では、中間壁10を設けた場合に比べて曲げ剛性が低いことが分かる。このことから、偏平な角柱状部に対しては、適宜中間壁を設けることが、角柱状部の剛性を高める上で効果的であることが分かる。
板状支持体4として展伸率が低い(5%未満)のものを用いた比較例1−2,2−2では、変位が小さいうちは、実施例とほぼ同様の高い剛性が得られたが、変位量が大きくなり、この例では、10〜15mmを越えると、急速に曲げ荷重が低下する傾向があることが分かる。この曲げ荷重の低下は、試験後のサンプルを分解して確認した結果、板状支持体4が破断して樹脂成形体3が崩落したために生じたものであることが分かった。このことから、展伸率の高い板状支持体4を用いることによって、剛性を、変位過程において長期に亘って高く維持する効果が得られることが分かる。
樹脂成形体3として、圧縮強度およびせん断強度が低く、すなわちより軟らかいものを用いた比較例1−3,2−3では、曲げ荷重値は変位に対して、長期に亘って一定の値に保たれている。これは、樹脂成形体3のひび割れなどが発生しにくいためと考えられる。しかし、比較例1−3,2−3では、実施例1,2に比べて、曲げ荷重の絶対値が小さく、安全上、十分とは言えないことが確認された。このことから、樹脂成形体3の圧縮強度およびせん断強度を本発明におけるように十分に高くすることによって、柱状部の強度を十分に高めることができることが分かる。
この角柱状車体モデルは、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×120mmの十分に長い四角柱状部として構成した。この角柱状車体モデルを構成する外壁の内の3つの内面沿いに、厚さ0.15mm、展伸率10%のアルミ板を板状支持体4として配設した。
板状支持体4と車体パネルとの間に、樹脂成形体3として、シーカ社製のSikaReinforcer(商品名)を配設した。この樹脂成形体3の厚さは4mmとした。この樹脂成形体の発泡温度は150℃、発泡後の圧縮強度は22MPa(直径50mm、高さ100mmの円柱状の試験片を用いて測定)、せん断強度は4MPa(接着面積625mm2、厚さ3mmの試験片を用いて測定)である。
このように板状支持体4と共に樹脂成形体3を配設した角柱状車体モデルを温度170℃の電気炉内に20分放置して、樹脂成形体3を発泡、硬化させ、板状支持体4と車体パネルの間に隙間なく充填させた。この際の樹脂成形体3のみかけの発泡倍率はおよそ150%、発泡完了後の車体パネルとのせん断接着力は8〜9MPaであった。
(比較例2−1〜2−3)
実施例2と対比されるものとして、比較例2−1〜2−3の3種の角柱状車体モデルを作製した。これらの角柱状車体モデルは、実施例2と同様に、車体パネルとして厚さ0.7mmの2枚の鋼板を用い、これらを組み合わせ、断面形状が50mm×120mmの十分に長い四角柱状部として構成した。
比較例2−1は、中間板を設けない構成とした。比較例2−2では、板状支持体4として、比較例2に比べて展伸率の低い、厚さ0.15mmの鋼板を用いた。この鋼板の展伸率は5%である。比較例2−3では、樹脂成形体3として、実施例2に比べて、発泡後の圧縮強度およびせん断強度が低いものを用いた。この樹脂成形体の、発泡後の圧縮強度は8MPa、せん断強度は0.6MPaである。
これら実施例2と比較例2−1〜2−3の構成をまとめて表2に示す。
(曲げ試験による評価)
各実施例、比較例の角柱状車体モデルを、図15に示すように、アウターパネル1によって構成される外側の壁を上に向けて支持台20上に載せ、長さ方向の両端部で支持し、押圧装置21を用いて、角柱状車体モデルの支持点間の中央に上方から押圧力を加え、曲げ試験を実施した。支持台20としては、両端の支持部の間隔が500mmのものを用いた。押圧装置21としては、径120mmの半円筒形の押圧子21aを有するものを用い、この押圧子21aを20mm/sで移動させて押圧力を加えた。
図16a,16bのグラフは、この曲げ試験において、角柱状車体モデルを変位させていった時の、押圧子21aに加わる荷重、すなわち曲げ荷重の変化を示している。また、図17a〜17dは、この曲げ試験において、実施例1の角柱状車体モデルが破壊されていくのを目視観測した結果を示している。
図17aは、角柱状車体モデルの、変位を開始する前の状態を示している(図16aの符号Aで示す時点に相当)。この状態から角柱状車体モデルを曲げていくと、角柱状車体モデルは、ある程度の変位量までは、ほぼ弾性的に変形し、この間は、曲げ荷重は変位量にほぼ比例して増加していく。
変形が弾性限界近く(図16aの符号Bで示す時点に相当)になると、図17bに示すように、変形の中心付近の領域25で、樹脂成形体3の、発泡によって形成されたセル(気泡)が潰れ始める。この際、樹脂成形体3は、その接着力によってアウターパネル1および板状支持体4に密着した状態に保たれる。また、板状支持体4はアウターパネル1の変形に追従して変形し、それによって、樹脂成形体3はアウターパネル1に接するように押えられる。その結果、樹脂成形体3はアウターパネル1および板状支持体4に密着した状態に安定して保たれる。このように密着した樹脂成形体3によって、アウターパネル1の応力が分散される結果、角柱状車体モデルの剛性が高められる。
角柱状車体モデルを、弾性限界を超えてさらに変形させていくと、図17cに示すように、セルの潰れは変形の中心から外側へと広がっていく。また、この際、アウターパネル1には、しわが生じるのが観測される。このように変形が進んでも、板状支持体4がアウターパネル1の変形に追従して変形し、樹脂成形体3はアウターパネル1に接するように押えられるため、樹脂成形体3は、変形過程において長期に亘って、アウターパネル1に密着した状態に保たれる(図16aの符号Cで示す時点付近までに相当)。このようにアウターパネル1に密着した樹脂成形体3によって、角柱状車体モデルの剛性は、長期に亘って比較的高い一定の強さに保たれ、その結果、図16aに示すように、変位量を大きくしていっても、曲げ荷重は、比較的大きなほぼ一定の値に保たれる。
角柱状車体モデルをさらに大きく変形させていくと(図16aの符号C以降に相当)、図17dに示すように、樹脂成形体3にクラック(ひび割れ)が発生し、アウターパネル1および板状支持体4との間に、符号26で示すように剥離が生じる。この結果、角柱状車体モデルの曲げ剛性は低下し始めるが、樹脂成形体3が板状支持体4によってアウターパネル1に隣接する領域内に引き続き保持されるため、樹脂成形体3への応力の伝達、分散は継続される。このため、曲げ剛性は急激に低下することはなく、曲げ剛性の低下は低く抑えられる。
このように、実施例1の角柱状車体モデルの曲げ剛性は、変形過程において長期に亘って比較的高い一定の値に保たれる。図16aのグラフにおいて、曲げ荷重が、曲げ変位が10mmから25mmまでの広い領域にわたって、10kN程度のほぼ一定の値に保たれているのが、このことを裏付けている。
(評価結果)
図16aに示すように、補強材を配設していない比較例1−1の構成では、曲げ剛性値そのものが小さく、比較的小さな荷重で変形してしまうことが分かる。また、比較的小さな変形量の段階で、曲げ荷重は急激に減少している。これは、自動車の衝突によって荷重が加わった場合について考えると、車体の角柱状部が、ある程度曲がった後、小さな力が加わっただけで容易に変形し、したがって急速に変形が進んでしまうことを意味しており、安全上、好ましくない。
また、図16bに示すように、長辺の長さが短辺の長さの2倍以上である偏平な断面形状を有する角柱状部に対して、中間壁10を設けていない比較例2−1では、中間壁10を設けた場合に比べて曲げ剛性が低いことが分かる。このことから、偏平な角柱状部に対しては、適宜中間壁を設けることが、角柱状部の剛性を高める上で効果的であることが分かる。
板状支持体4として展伸率が低い(5%未満)のものを用いた比較例1−2,2−2では、変位が小さいうちは、実施例とほぼ同様の高い剛性が得られたが、変位量が大きくなり、この例では、10〜15mmを越えると、急速に曲げ荷重が低下する傾向があることが分かる。この曲げ荷重の低下は、試験後のサンプルを分解して確認した結果、板状支持体4が破断して樹脂成形体3が崩落したために生じたものであることが分かった。このことから、展伸率の高い板状支持体4を用いることによって、剛性を、変位過程において長期に亘って高く維持する効果が得られることが分かる。
樹脂成形体3として、圧縮強度およびせん断強度が低く、すなわちより軟らかいものを用いた比較例1−3,2−3では、曲げ荷重値は変位に対して、長期に亘って一定の値に保たれている。これは、樹脂成形体3のひび割れなどが発生しにくいためと考えられる。しかし、比較例1−3,2−3では、実施例1,2に比べて、曲げ荷重の絶対値が小さく、安全上、十分とは言えないことが確認された。このことから、樹脂成形体3の圧縮強度およびせん断強度を本発明におけるように十分に高くすることによって、柱状部の強度を十分に高めることができることが分かる。
Claims (22)
- 自動車の車体において、2つ以上のパネルを組み合わせて形成された自動車構造物内または車体内部に補強材を配設して構成された車体補強材配設構造であって、
前記補強材は、前記パネルの内面に少なくとも部分的に沿って、該パネルとの間に所定の間隔をあけて配置された部分を有する板状支持体と、該板状支持体の、前記パネルに沿って配置された部分と前記パネルとの間に配置された、加熱発泡性を有する樹脂成形体とから構成され、
前記樹脂成形体は、発泡する前には、前記板状支持体上に支持されて、前記パネルの内面との間に隙間を開けて位置しており、発泡後には、前記板状支持体と前記パネルとの間を満たして前記パネルに密着している車体補強材配設構造。 - 前記樹脂成形体が密着する、前記パネルの内面が防錆液浸漬処理を施されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体と前記板状支持体とは、インサート成形によって一体的に形成されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体と前記板状支持体とは、両者に係合する係合片によって互いに固定されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体は、該板状支持体と前記パネルとに係合する係合片によって前記パネルに対する相対位置を規制されて配置されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体の、前記係合片が係合する固定部は、前記パネルとの間に隙間をあけて配置されている、請求項5に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体および/または前記樹脂成形体は、溶接、接着、または融着によって前記パネルに固定されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体および/または前記樹脂成形体は、前記パネルに設けられた留め構造部によって前記パネルに対する相対位置を規制されて配置されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体および前記樹脂成形体は、該板状支持体、該樹脂成形体、および前記車体パネルに係合する係合片によって前記パネルに対する相対位置を規制されて配置されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体は、前記自動車構造物内または前記車体内部を仕切るように前記パネルの内面間に延びる少なくとも1つの中間壁を形成している、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 少なくとも1つの前記中間壁は、前記樹脂成形体の、前記パネルに沿って配置された部分から、それに対向する、前記パネルの内面上まで延びており、前記板状支持体は、前記樹脂成形体の、前記中間壁を形成する部分の両側面に沿って延びる部分と、該部分間を前記中間壁の、前記パネルの内面上へと延びる側の端部で連結する部分とを有し、該連結する部分は、前記パネルの内面との間に隙間をあけて配置されている、請求項10に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体は、一般的な自動車パネルの防錆液浸漬処理温度において発泡膨張する特性を有する、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体は150〜205℃の温度で発泡膨張する特性を有する、請求項12に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体の発泡完了後の圧縮強度が10MPa以上、せん断強度が1MPa以上である、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体と前記パネルとの間のせん断接着力が4MPa以上である、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体は、厚さが0.3mm未満であり、展伸率が5〜10%以上である金属板から構成されている、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体は、耐熱性の樹脂から構成され、前記樹脂成形体に比べて、破壊に至らずにたわむ量が大きい、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記板状支持体を構成する樹脂は66ナイロンである、請求項17に記載の車体補強材配設構造。
- 前記自動車構造物または前記車体が変形していく過程で、前記樹脂成形体にクラックが生じた後の十分長い間、前記板状支持体は前記自動車構造物または前記車体の変形に追従して変形し、前記樹脂成形体を前記パネルの内面との間に保持した状態に保たれる、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記樹脂成形体は、前記自動車構造物または前記車体が曲げ変位10mm以上、特には20mm以上に変位するまで、前記樹脂成形体を前記パネルの内面との間に保持した状態に保たれる、請求項19に記載の車体補強材配設構造。
- 前記自動車構造物または前記車体が変形していく過程で、前記樹脂成形体にクラックが生じた後の十分長い間、前記自動車構造物または前記車体の曲げ荷重が10kN以上に維持される、請求項1に記載の車体補強材配設構造。
- 前記自動車構造物または前記車体の曲げ荷重は、前記自動車構造物または前記車体が曲げ変位10mm以上、特には20mm以上に変位するまで、10kN以上に維持される、請求項20に記載の車体補強材配設構造。
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