JPWO2003091342A1 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

熱可塑性樹脂(A)100重量部、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)0.1〜30重量部、アルカリ金属塩および二価以上の金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩(C)0.0005〜5重量部、並びに、フッ素系樹脂(D)0.05〜2重量部を含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供する。

Description

技術分野
本発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
背景技術
熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート系樹脂は、優れた耐衝撃性、耐熱性、電気的特性などにより、電気・電子部品、OA機器、家庭用品あるいは建築材料として広く用いられている。ポリカーボネート系樹脂は、ポリスチレン系樹脂などに比べると高い難燃性を有しているが、電気・電子部品、OA機器などの分野を中心に、さらに高い難燃性を要求される分野があり、各種難燃剤の添加により、その改善が図られている。たとえば、有機ハロゲン系化合物や有機リン系化合物の添加が従来広く行なわれている。しかし、有機ハロゲン系化合物や有機リン系化合物の多くは毒性の面で問題があり、特に有機ハロゲン系化合物は、燃焼時に腐食性ガスを発生するという問題があった。このようなことから、近年、非ハロゲン・非リン系難燃剤による難燃化の要求が高まりつつある。
非ハロゲン・非リン系難燃剤としては、ポリオルガノシロキサン系化合物(シリコーンともいう)の利用が提案されている。たとえば、特開昭54−36365号公報には、モノオルガノポリシロキサンからなるシリコーン樹脂を非シリコーンポリマーに混練することで難燃性樹脂が得られることが記載されている。
特公平3−48947号公報には、シリコーン樹脂と第IIA族金属塩の混合物が熱可塑性樹脂に難燃性を付与すると記載されている。
特開平8−113712号公報には、ポリオルガノシロキサン100重量部とシリカ充填剤10〜150重量部とを混合することによって調製したシリコーン樹脂を熱可塑性樹脂に分散させることで難燃性樹脂組成物を得る方法が記載されている。
特開平10−139964号公報には、重量平均分子量が1万以上27万以下の溶剤に可溶なシリコーン樹脂を芳香環を含有する非シリコーン樹脂に添加することで難燃性樹脂組成物が得られることが記載されている。
しかしながら、前記公報記載のシリコーン樹脂は、難燃性の付与の効果が認められるが不十分で、それを補うため量を増やすと樹脂組成物の耐衝撃性を悪化させ、難燃性および耐衝撃性のバランスがとれた難燃性樹脂組成物を得ることが困難という課題がある。
特開2000−17029号公報には、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合した複合ゴム系難燃剤を熱可塑性樹脂に配合することで難燃性樹脂組成物が得られることが記載されている。
特開2000−226420号公報には、芳香族基を有するポリオルガノシロキサンとビニル系重合体との複合粒子にビニル系単量体をグラフトしたポリオルガノシロキサン系難燃剤を熱可塑性樹脂に配合することで難燃性樹脂組成物が得られることが記載されている。
特開2000−264935号公報には、0.2μm以下のポリオルガノシロキサン粒子にビニル系単量体をグラフト重合したポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合することで難燃性樹脂組成物が得られることが記載されている。
特開2000−17029号公報、特開2000−226420号公報及び特開2000−264935号公報に記載のいずれの難燃性樹脂組成物も、耐衝撃性は満足できるレベルであるが、難燃性が不十分であることから、難燃性−耐衝撃性バランスが悪いという課題を有している。
また特開2000−264935号公報においてはポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体をスプレー乾燥法により粉体として回収できることが述べられているが、具体的な組成物は例示されていない。本発明者らが検討を行った範囲では、スプレー乾燥により回収したポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体では難燃性能は発現するが、別の課題、すなわち塩凝固法により回収したものに比べてその粉体特性が悪く、特に耐ブロッキング性が不十分なことが見いだされた。
発明の要約
本発明の目的は、非ハロゲン・非リン系であって、難燃性と耐衝撃性がともに優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
また本発明は同時に、熱安定性に代表される成形性を損なうことなく耐ブロッキング性が良好な熱可塑性樹脂用難燃剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、特定のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体と特定の金属塩とフッ素系樹脂を併用して熱可塑性樹脂に配合することにより、難燃性と耐衝撃性がともに優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られること、ならびに、熱安定性を損なうことなく耐ブロッキング性が良好な熱可塑性樹脂用難燃剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
熱可塑性樹脂(A)100重量部、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)0.1〜30重量部、アルカリ金属塩および二価以上の金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩(C)0.0005〜5重量部、並びに、フッ素系樹脂(D)0.05〜2重量部を含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第1項)、
熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂であり、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)の配合量が、前記ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部であり、金属塩(C)が含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩および/または含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩であり、その配合量が、前記ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して合計で0.001〜5重量部である請求の範囲第1項記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第2項)、
金属塩(C)として、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩と含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩の両方を含有する請求の範囲第2項記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第3項)、
二価以上の金属塩がアルカリ土類金属塩である請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第4項)、
ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)は、当該共重合体全量を100重量部として、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)40〜95重量部の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)100〜20重量%およびその他の共重合可能な単量体(B−5)0〜80重量%からなる単量体(B−3)0〜10重量部を1段以上重合し、さらにビニル系単量体(B−4)5〜50重量部を1段以上重合して得られるものであることを特徴とする請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第5項)、
ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、体積平均粒子径が0.008〜0.6μmのものである請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第6項)、
ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、3官能以上のシラン化合物を用いずに製造されるものである範囲第1〜6項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第7項)、
ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)がラテックス状のものである請求の範囲第1〜7項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第8項)、
ビニル系単量体(B−4)は、当該単量体のみからなる重合体の溶解度パラメーターが9.15〜10.15(cal/cm1/2を示すものであることを特徴とする請求の範囲第1〜8項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第9項)、
ビニル系単量体(B−4)が、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびカルボキシル基含有ビニル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体である請求の範囲第1〜9項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第10項)、
含硫黄有機化合物が、スルホンアミド、(アルキル)芳香族スルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸、脂肪族スルホン酸およびジフェニルスルホンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求の範囲第2〜10項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第11項)、
含硫黄有機化合物が、(アルキル)芳香族スルホン酸であることを特徴とする請求の範囲第2〜10項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第12項)、
さらに酸化防止剤(E)を2重量部以下含むことを特徴とする請求の範囲第1〜12項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第13項)、
酸化防止剤(E)が、イソシアヌル環構造を分子内に有する1種以上の酸化防止剤と、1種以上の他の酸化防止剤との組み合わせであることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求の範囲第14項)、
請求の範囲第3項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、凝固法により、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、熱可塑性樹脂(A)、前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、及び、フッ素系樹脂(D)を溶融混練することを特徴とする方法(請求の範囲第15項)、
ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、並びに、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用難燃剤(請求の範囲第16項)、
請求の範囲第16項記載の熱可塑性樹脂用難燃剤を製造する方法であって、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、凝固法により、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、及び、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を混合することを特徴とする方法(請求の範囲第17項)である。
以下に本発明を詳述する。
発明の詳細な開示
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)100重量部、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)0.1〜30重量部、アルカリ金属塩および二価以上の金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩(C)0.0005〜5重量部、並びに、フッ素系樹脂(D)0.05〜2重量部を含有するものである。
前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)は、熱可塑性樹脂(A)に配合して用いることで、得られる成形体の難燃性と耐衝撃性を改良するものである。本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部用いる。これよりも少ない場合には難燃性・耐衝撃性がともに発現せず、多すぎると難燃性の低下と、成形体の耐熱温度の低下をもたらすので好ましくない。好ましくは0.5重量部以上であり、より好ましくは0.7重量部以上であり、さらに好ましくは1重量部以上である。また、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは6重量部以下、特に好ましくは4重量部以下である。
前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)は、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上重合して得られるものである。好ましくは、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)全量を100重量部として、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)40〜95重量部の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)100〜20重量%およびその他の共重合可能な単量体(B−5)0〜80重量%からなる単量体(B−3)0〜10重量部を1段以上重合し、さらにビニル系単量体(B−4)5〜50重量部を1段以上重合して得られるものである。
ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、光散乱法または電子顕微鏡観察から求められる体積平均粒子径が、好ましくは0.008μm以上であり、より好ましくは0.01μm以上であり、さらに好ましくは0.1μm以上である。また、好ましくは0.6μm以下であり、より好ましくは0.38μm以下であり、さらに好ましくは0.3μm以下である。該体積平均粒子径が0.008μm未満のものを得ることは困難な傾向にあり、0.6μmを超える場合には、難燃性が悪くなる傾向にある。
ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、トルエン不溶分量(該粒子0.5gをトルエン80mlに室温で24時間浸漬した場合のトルエン不溶分量)が95%以下、さらには50%以下、とくには20%以下であるものが難燃性・耐衝撃性の点から好ましい。
なお、本発明におけるポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、ポリオルガノシロキサンのみからなる粒子だけでなく、他の(共)重合体を5重量%以下を含んだ変性ポリオルガノシロキサンを含んだ概念である。すなわち、ポリオルガノシロキサン粒子は、粒子中に、たとえば、ポリアクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体などを5重量%以下含有してもよい。
前記ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の具体例としては、ポリジメチルシロキサン粒子、ポリメチルフェニルシロキサン粒子、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体粒子などが挙げられる。ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、たとえば、(1)オルガノシロキサン、(2)2官能シラン化合物、(3)オルガノシロキサンと2官能シラン化合物、(4)オルガノシロキサンとビニル系重合性基含有シラン化合物、(5)オルガノシロキサンとラジカル反応性基含有シラン化合物、(6)2官能シラン化合物とビニル系重合性基含有シラン化合物、(7)2官能シラン化化合物とラジカル反応性基含有シラン化合物、(8)オルガノシロキサン、2官能シラン化合物及びビニル系重合性基含有シラン化合物、(9)オルガノシロキサン、2官能シラン化合物及びラジカル反応性基含有シラン化合物、あるいは、(10)オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、ビニル系重合性基含有シラン化合物及びラジカル反応性基含有シラン化合物、等を重合する、あるいは、これらに更に3官能以上のシラン化合物を加えて重合することにより得ることができる。なお「2官能シラン化合物」とは、ケイ素原子に結合した水酸基及び加水分解性基の合計個数が2個のシラン化合物のことをいう。また「3官能以上のシラン化合物」とは、ケイ素原子に結合した水酸基及び加水分解性基の合計個数が3個以上のシラン化合物のことをいう。
前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物はポリオルガノシロキサン鎖の主骨格を構成する成分である。オルガノシロキサンの具体例としては、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8)など、2官能シラン化合物の具体例としては、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでは、経済性および難燃性が良好という点から、D4またはD3〜D7の混合物もしくはD3〜D8の混合物を70〜100%、さらには80〜100%を含み、残りの成分としてはジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが0〜30%、さらには0〜20%を含むものが好ましく用いられる。
前記ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物は、前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、3官能以上のシラン化合物などと共重合し、共重合体の側鎖または末端にビニル系重合性基もしくはラジカル反応性基を導入するための成分であり、このビニル系重合性基もしくはラジカル反応性基は、後述する分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)から形成される(共)重合体と化学結合する際のグラフト活性点として作用する。さらには、ラジカル重合開始剤によってグラフト活性点間をラジカル反応させて架橋結合を形成させることができ架橋剤としても使用できる成分でもある。このときのラジカル重合開始剤は後述のグラフト重合において使用され得るものと同じものが使用できる。なお、ラジカル反応によって架橋させたばあいでも、一部はグラフト活性点として残るのでグラフトは可能である。
前記ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物の具体例としては、たとえば、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン化合物、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシランなどのビニルフェニル基含有シラン化合物、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有シラン化合物、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどのメルカプト基含有シラン化合物等が挙げられる。これらのなかでは(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン化合物、ビニル基含有シラン化合物、メルカプト基含有シラン化合物が経済性の点から好ましく用いられる。ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記ビニル系重合性基含有シラン化合物がトリアルコキシシラン型である場合には、次に示す3官能以上のシラン化合物の役割も有する。
前記3官能以上のシラン化合物は、前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物などと共重合することによりポリオルガノシロキサンに架橋構造を導入してゴム弾性を付与するための成分、すなわちポリオルガノシロキサンの架橋剤として用いられる。もしくは、ポリオルガノシロキサンの分子量を高める成分として用いられる。具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランなどの4官能、3官能のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。これらのなかではテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシランが架橋効率の高さの点から好ましく用いられる。
前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、ビニル系重合性基含有シラン化合物、ラジカル反応性基含有シラン化合物および3官能以上のシラン化合物の重合時の使用割合は、通常、オルガノシロキサンおよび/または2官能シラン化合物(オルガノシロキサンと2官能シラン化合物との割合は、通常重量比で100/0〜0/100、さらには100/0〜70/30)50〜99.9%、さらには60〜99.5%、ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物0〜40%、さらには0.5〜30%、3官能以上のシラン化合物0〜50%、さらには0〜39%であるのが好ましい。なお、ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物、3官能以上のシラン化合物は同時に0%になることはなく、いずれかは0.1%以上使用するのが好ましい。
前記オルガノシロキサンおよび2官能シラン化合物の使用割合があまりにも少なすぎる場合には、配合して得られた樹脂組成物がもろくなる傾向がある。また、あまりにも多い場合には、難燃性や耐衝撃性が発現されにくくなったり、成形体の外観に不良が生じたりする傾向にある。また、前記ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物、前記3官能以上のシラン化合物の割合があまりにも少ない場合には、難燃性や耐衝撃性の発現効果が低くなったり、または成形体の外観に不良が生じ、また、あまりにも多い場合には、配合して得られた樹脂組成物が脆くなる傾向がある。
また前記3官能以上のシラン化合物は前述したトルエン不溶分量を高める場合が多いので、難燃性・耐衝撃性の観点から、前記3官能以上のシラン化合物を用いず、前記ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物のみを前記オルガノシロキサンおよび/または2官能シラン化合物とともに用いることが好ましい。
前記ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、たとえば、前記オルガノシロキサン、2官能シラン化合物、ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物、必要に応じて使用される3官能以上のシラン化合物等からなるポリオルガノシロキサン形成成分を乳化重合することにより製造することが好ましい。
前記乳化重合は、たとえば、前記ポリオルガノシロキサン形成成分および水を乳化剤の存在下で機械的剪断により水中に乳化分散して酸性状態にすることで行なうことができる。この場合、機械的剪断により数μm以上の乳化液滴を調製した場合には、重合後に得られるポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の体積平均粒子径は使用する乳化剤の量、前記乳化液滴の径、後述する無機酸あるいは有機酸の種類と量などにより0.02〜0.6μmの範囲で制御することができる。
また、粒子径分布の狭いポリオルガノシロキサン粒子を製造する場合、後述するグラフト重合時に用いるのと同様のビニル系単量体(例えばスチレン、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルなど)を通常の乳化重合法により(共)重合してなるビニル系(共)重合体をシード粒子として用いて、その存在下に、たとえば前記ポリオルガノシロキサン形成成分、水および乳化剤を機械的剪断により乳化して得られた、数μm以上の乳化液滴からなるエマルジョンを酸性状態で乳化重合する方法を用いることができる。このようにして得られたポリオルガノシロキサン粒子は、前述と同様の方法により体積平均粒子径が0.01〜0.5μmで、かつ粒子径分布の変動係数が10〜60%に制御可能である。
なお、前記数μm以上の乳化液滴は、ホモミキサーなど高速撹拌機を使用することにより調製することができる。
前記ポリオルガノシロキサン形成成分の乳化重合は、1段階で行ってよく、または多段階に分けて行ってもよい。
前記乳化重合では、酸性状態下で乳化能を失わない乳化剤が用いられる。具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸ナトリウム、(ジ)アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。乳化剤は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかで、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸ナトリウム、(ジ)アルキルスルホコハク酸ナトリウムがエマルジョンの乳化安定性が比較的高いことから好ましい。さらに、アルキルベンゼンスルホン酸およびアルキルスルホン酸はポリオルガノシロキサン形成成分の重合触媒としても作用するので特に好ましい。
酸性状態は、系に硫酸や塩酸などの無機酸やアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸を添加することで得られ、pHは生産設備を腐食させないことや適度な重合速度が得られるという点で1〜3に調整することが好ましく、さらに1.0〜2.5に調整することがより好ましい。
重合のための加熱は適度な重合速度が得られるという点で60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
なお、酸性状態下ではポリオルガノシロキサンの骨格を形成しているSi−O−Si結合は切断と生成の平衡状態にあり、この平衡は温度によって変化するので、ポリオルガノシロキサン鎖の安定化のために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液の添加により中和することが好ましい。さらには、該平衡は、低温になるほど生成側により、高分子量または高架橋度のものが生成しやすくなるので、高分子量または高架橋度のものを得るためには、ポリオルガノシロキサン形成成分の重合を60℃以上で行ったあと室温以下に冷却して5〜100時間程度保持してから中和することが好ましい。
かくして、得られるポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、たとえば、オルガノシロキサンあるいは2官能シラン化合物、更にこれらにビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物を加えて重合し形成された場合、それらは通常ランダムに共重合してビニル系重合性基あるいはラジカル反応性基を有した重合体となる。また、3官能以上のシラン化合物を共重合したばあい、架橋された網目構造を有したものとなる。また、後述するグラフト重合時に用いられるようなラジカル重合開始剤によってビニル系重合性基間をラジカル反応により架橋させたばあい、ビニル系重合性基間が化学結合した架橋構造を有し、かつ一部未反応のビニル系重合性基が残存したものとなる。
前記プロセスで得られたポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上グラフト重合させることによりポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)が得られる。なお前記グラフト重合では、グラフト共重合体の枝にあたる部分(ここでは、前記多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)の(共)重合体)が幹成分(ここではポリオルガノシロキサン粒子(B−1))にグラフトせずに枝成分だけで単独に重合して得られるいわゆるフリーポリマーも副生し、グラフト共重合体とフリーポリマーの混合物として得られるが、本発明においてはこの両者を併せてグラフト共重合体という。
かくなるグラフト共重合体(B)に用いる分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)は、前記グラフト共重合体(B)のアセトン不溶分量の増加を抑制し難燃性を向上させる成分である。前記多官能性単量体(B−2)は、その他の共重合可能な単量体(B−5)と混合した単量体(B−3)として用いることも可能である。このとき、前記多官能性単量体(B−2)の前記単量体(B−3)に対する割合は100〜20重量%が好ましく、より好ましくは100〜50重量%である(対応して前記共重合可能な単量体(B−5)の前記単量体(B−3)に対する割合は0〜80重量%が好ましく、より好ましくは0〜50重量%である)。前記単量体(B−3)中における前記多官能性単量体(B−2)の割合が少なすぎると、難燃性が十分でなくなる。
前記多官能性単量体(B−2)の具体例としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、フタル酸ジアリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。多官能性単量体(B−2)は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらの中では、経済性および効果の点でとくにメタクリル酸アリルの使用が好ましい。前記その他の共重合可能な単量体(B−5)としては、後述するビニル系単量体(B−4)と同様のものを例示することができる。共重合可能な単量体(B−5)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記グラフト共重合体(B)に用いるビニル系単量体(B−4)は、後述する熱可塑性樹脂(A)との混練に際して前記グラフト共重合体(B)を良好に前記熱可塑性樹脂中に分散させ、耐衝撃性を発現させる成分である。
前記ビニル系単量体(B−4)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、パラブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有ビニル系単量体などが挙げられる。ビニル系単量体(B−4)は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。なかでもスチレンなどの芳香族ビニル系単量体とアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体の混合物、メタクリル酸メチル、あるいはメタクリル酸メチルを主成分としたそのアクリル酸メチル、アクリロニトリルなどとの混合物が少量で耐衝撃性を発現できることから好ましい。
特に、前記ビニル系単量体(B−4)は、前記ビニル系単量体(B−4)のみからなる重合体の溶解度パラメーターが好ましくは9.15(cal/cm1/2以上のものであり、より好ましくは9.17(cal/cm1/2以上のものであり、さらに好ましくは9.20(cal/cm1/2以上のものである。また、好ましくは10.15(cal/cm1/2以下のものであり、より好ましくは10.10(cal/cm1/2以下のものであり、さらに好ましくは10.05(cal/cm1/2以下のものである。溶解度パラメーターが前記範囲から外れると難燃性・耐衝撃性がともに低下する傾向にある。
なお、溶解度パラメーターは、John Wiley&Son社出版「ポリマーハンドブック」1999年、第4版、セクションVII第682〜685頁に記載のグループ寄与法でSmallのグループパラメーターを用いて算出した値である。たとえば、ポリメタクリル酸メチル(繰返単位分子量100g/mol、密度1.19g/cmとして)9.25[(cal/cm1/2]、ポリメタクリル酸ブチル(繰返単位分子量142g/mol、密度1.06g/cmとして)9.47[(cal/cm1/2]、ポリアクリル酸メチル(繰返単位分子量86g/mol、密度1.19g/cmとして)9.47[(cal/cm1/2]、ポリアクリル酸ブチル(繰返単位分分子量128g/mol、密度1.06g/cmとして)8.97[(cal/cm1/2]、ポリスチレン(繰返単位分子量104、密度1.05g/cmとして)9.03[(cal/cm1/2]、ポリアクリロニトリル(繰返単位分子量53、密度1.18g/cmとして)12.71[(cal/cm1/2]である。なお、各重合体の密度は、VCH社出版の「ウルマンズ エンサイクロペディア オブ インダストリアル ケミストリー(ULLMANN’S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY)」1992年、第A21巻、第169頁記載の値を用いた。また、共重合体の溶解度パラメーターδcは、重量分率5%未満の場合は主成分の値を用い、重量分率5%以上の場合では重量分率で加成性が成立するとした。すなわち、m種類のビニル系単量体からなる共重合体を構成する個々のビニル系単量体の単独重合体の溶解度パラメーターδnとその重量分率Wnとから式(1)により算出できる。
Figure 2003091342
たとえば、スチレン75%とアクリロニトリル25%からなる共重合体の溶解度パラメーターは、ポリスチレンの溶解度パラメーター9.03[(cal/cm1/2]、とポリアクリロニトリルの溶解度パラメーター12.71[(cal/cm1/2]を用いて式(1)に代入して9.95[(cal/cm1/2]の値が得られる。
また、ビニル系単量体を2段階以上で、かつ各段階においてビニル系単量体の種類や組成を変えて重合した場合には、得られるグラフト共重合体中のビニル系重合体成分の溶解度パラメーターδsは、最終的に得られたビニル系重合体成分の全重量を各段階で得られたビニル系重合体成分の重量で割った値、すなわち重量分率を用いることで加成性が成立するとした。すなわち、q段階で重合し、各段階で得られた重合体の溶解度パラメータδiとその重量分率Wiとから式(2)により算出できる。
Figure 2003091342
たとえば、2段階で重合し、1段階目にスチレン75%とアクリロニトリル25%からなる共重合体が50重量部得られ、2段階目にメタクリル酸メチルの重合体が50重量部得られたとすると、この2段階の重合で得られた重合体の溶解度パラメーターは、スチレン75%とアクリロニトリル25%共重合体の溶解度パラメーター9.95[(cal/cm1/2]とポリメタクリル酸メチルの溶解度パラメーター9.25[(cal/cm1/2]を用いて式(2)に代入して9.60[(cal/cm1/2]の値が得られる。
かくなるグラフト共重合体(B)においては、前記グラフト共重合体全体を100重量部としてポリオルガノシロキサン粒子(B−1)40重量部以上(より好ましくは63重量部以上)、95重量部以下(より好ましくは85重量部以下)、多官能性単量体(B−2)とその他の共重合可能な単量体(B−5)からなる単量体(B−3)0〜10重量部(より好ましくは0〜7重量部)、及び、ビニル系単量体(B−4)5重量部以上(より好ましくは7重量部以上)、50重量部以下(より好ましくは30重量部以下)を用いることが好ましい。ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の割合がこれより多い(対応してビニル系単量体(B−4)がこれより少ない)と、グラフト共重合体(B)が熱可塑性樹脂(A)に良好に分散せず、耐衝撃性が低下する場合が多い。逆に少なすぎる(対応して単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)が多すぎる)と、難燃性が低下する傾向がある。前記単量体(B−3)の割合が多すぎると、最終的に得られる成形体の耐衝撃性が低下する傾向がある。
前記グラフト共重合体(B)のアセトン不溶分量(該グラフト共重合体1gをアセトン80mlに室温で48時間浸漬した場合のアセトン不溶分量)は、80重量%以上、好ましくは85重量%以上、さらには90重量%以上のものが難燃化効果が良好な点から好ましい。かくなるグラフト共重合体(B)を得るにはビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物を適切に選択するか、もしくは多官能性単量体(B−2)を十分な量用いる必要がある。
前記適切なビニル系重合性基含有シラン化合物として、たとえば、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン化合物を選択することができる。この場合には、多官能性単量体(B−2)を用いずともグラフト共重合体(B)のアセトン不溶分量が80%以上のものを得ることができる。
また、前記ビニル系重合性基含有シラン化合物あるいはラジカル反応性基含有シラン化合物として、たとえば、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシランなどのビニルフェニル基含有シラン化合物、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有シラン化合物、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどのメルカプト基含有シラン化合物を選択した場合には、グラフト共重合体(B)全体を100重量部として多官能性単量体(B−2)とその他の共重合可能な単量体(B−5)からなる単量体(B−3)を1.5〜8重量部用いることが好ましく、より好ましくは2.5〜7重量部用いる。前記単量体(B−3)が少なすぎるとアセトン不溶分量が80%を下まわって難燃性が低下し、多すぎると最終的に得られる成形体の耐衝撃性が低下する場合がある。
本発明のグラフト共重合体(B)を得るには、通常のシード乳化重合が適用でき、簡便で好ましい方法としてラテックス状にあるポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に前記単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上でラジカル(グラフト)重合する方法が挙げられる。このラジカル重合は、ラジカル重合開始剤を熱分解することにより反応を進行させる方法でも、また、還元剤を使用するレドックス系での反応などとくに限定なく行なうことができる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、ラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、シクロヘキサンノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられる。このうち、乳化重合における取り扱いやすさから有機過酸化物または無機過酸化物が特に好ましい。
また、前記レドックス系で使用される還元剤としては硫酸第一鉄/グルコース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/デキストロース/ピロリン酸ナトリウム、または硫酸第一鉄/ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート/エチレンジアミン酢酸塩などの混合物などが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、用いられる単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)の合計100重量部として、または、多段階で重合を行う場合には各段で使用する単量体100重量部として、通常0.005〜20重量部、好ましくは0.01〜10重量部であり、とくに好ましくは0.04〜5重量部であるのが好ましい。多段階で重合を行う場合、各段のラジカル重合開始剤の種類と使用量は同じであってもよいし、異なっていてもよい。前記ラジカル重合開始剤の量が少ないと反応速度が低く、生産効率がわるくなる傾向があり、多すぎると反応中の発熱が大きくなり生産が難しくなる傾向がある。
また、ラジカル重合の際に要すれば連鎖移動剤も使用できる。連鎖移動剤は通常の乳化重合で用いられているものであればよく、とくに限定はされない。t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンなどが例示できる。
連鎖移動剤は任意成分であるが、使用する場合の使用量は、用いられる単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)の合計100重量部として、または、多段階で重合を行う場合には各段で使用する単量体100重量部として、0.01〜5重量部であることが好ましい。多段階で重合を行う場合、各段の連鎖移動剤の種類と使用量は同じであってもよいし、異なっていてもよい。前記連鎖移動剤の量が0.01重量部未満の場合には用いた効果が得られず、5重量部をこえると重合速度が遅くなり生産効率が低くなる傾向がある。
重合時の反応温度は、制御の容易さの観点から通常30〜120℃であるのが好ましい。
前記重合では、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)がビニル系重合性基あるいはラジカル反応性基を含有する場合には、これらがグラフト反応点となり、前記単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)がラジカル重合する際にグラフトが形成される。ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)にビニル重合性基あるいはラジカル反応性基が存在しないばあい、特定のラジカル開始剤、たとえばt−ブチルパーオキシラウレートなどを用いれば、ケイ素原子に結合したメチル基などの有機基から水素を引く抜き、生成したラジカルによって単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)が重合しグラフトが形成される。さらに、単量体(B−3)をグラフト重合した後さらにビニル系単量体(B−4)をグラフト重合する場合には、ビニル系単量体(B−4)がラジカル重合開始剤によって重合する際に、単量体(B−3)と同じようにポリオルガノシロキサン粒子(B−1)と反応するだけでなく、単量体(B−3)中の多官能性単量体(B−2)によって形成された重合体中に存在する不飽和結合にも反応してビニル系単量体(B−4)によるグラフトが形成される。
グラフト共重合体(B)がラテックス状である場合の粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.10μm以上であり、また、好ましくは0.7μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.35μm以下である。粒子径が小さすぎても大きすぎても耐衝撃性が低下する傾向がある。
グラフト共重合体(B)がラテックス状である場合の粒子径分布の変動係数は、好ましくは100%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは40%以下である。変動係数が大きすぎると難燃性が低下する場合がある。変動係数の下限は限定されず、小さいほど好ましいが、実質的に5%以下のものを得るのは困難である。
乳化重合によって得られたグラフト共重合体(B)は、通常の方法、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウムなどの二価以上の金属の無機塩を添加することなどによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法(凝固法)により取得することができる。上記凝固法としては特に限定されず、種々の凝固法を使用することができるが、上記二価以上の金属の無機塩を添加する方法が、難燃性、耐衝撃性及び耐ブロッキング性の観点から特に好ましい。上記二価以上の金属の無機塩としては、特に経済的に安価に入手でき、さらに取扱い上の安全性および環境への配慮の点から、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属の無機塩を用いることが好ましい。これら二価以上の金属の無機塩を適用することにより、乳化重合時に用いた乳化剤がほぼ定量的にそれの二価以上の金属塩に変換され、当該金属塩がグラフト共重合体(B)に含まれることになる。生成した乳化剤由来の二価以上の金属塩は、本発明のグラフト共重合体(B)の粉体特性、特に耐ブロッキング性を改良する成分として有効である。
本発明ではまた、スプレー乾燥法も使用できる。スプレー乾燥法によるグラフト共重合体(B)の粉体としての回収は、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を添加しながら行ってもよい。添加の方法は、前記二価以上の金属塩の粉体のまま、もしくは水性分散液として、いずれの形で用いてもかまわない。水性分散液の形で添加する場合にはさらに乾燥を継続させて最終的に実質的な程度にまで水分を除去する。ここで実質的な程度とは、回収されたグラフト共重合体(B)と含硫黄有機化合物の金属塩の混合物に含まれる水分の重量分率が5重量%以下、好ましくは2重量%以下であることを言う。前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩の添加はラテックスに対して行うのではなく、乾燥中のスプレー粒子に対して、あるいは得られたパウダーに対して行うことが好ましい。ラテックスに対して添加すると、ノズルつまりなどが生じスプレー乾燥できなくなる場合がある。
スプレー乾燥法において含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を粉体の状態で添加すると、凝固法におけるほど微細に混合できないため、耐ブロッキング性改良効果が凝固法に比べて劣る場合がある。スプレー乾燥法において含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を水性分散液の状態で添加する場合にも、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩は水溶性が低いためにスラリーとして添加することになる場合があり、この際も耐ブロッキング性改良効果が凝固法に比べて劣る場合がある。
本発明に用いる金属塩(C)は、アルカリ金属塩および二価以上の金属塩からなる群より選択される少なくとも1種のものであればよい。難燃性及び耐衝撃性、さらに耐ブロッキング性の観点から、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、および/または、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩が好ましい。特に、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物が、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩と含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩の両方を含有する態様が好ましい。
本発明に用いることができる含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩は、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)と併用することで相乗的に難燃性能を高めることができる。前記アルカリ金属塩は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記含硫黄有機化合物としては、好ましくは、スルホン酸、スルホンアミド、硫酸エステル等が挙げられる。このうち、難燃性の観点から、より好ましくはスルホン酸が選ばれ、特に好ましくは、(アルキル)芳香族スルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸、脂肪族スルホン酸、ジフェニルスルホンスルホン酸が選ばれる。前記アルカリ金属塩の金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、好ましくはナトリウム又はカリウムである。
(アルキル)芳香族スルホン酸としては、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ジクロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが選択され、これらのカリウム塩、ナトリウム塩等が特に好ましく用いられる。
パーフルオロアルカンスルホン酸は、好ましくは炭素数1〜19の、より好ましくは炭素数4〜8のパーフルオロアルカン基を有するスルホン酸であり、より好ましくはパーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロメチルブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸などが選択され、これらのナトリウム塩、カリウム塩等が特に好ましく用いられる。
脂肪族スルホン酸としては、例えば、ドデシルスルホン酸などのアルキルスルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸、ジドデシルスルホコハク酸などのジアルキルスルホコハク酸などが好ましく選択され、それらのカリウム塩、ナトリウム等が好ましく用いられる。
ジフェニルスルホンスルホン酸としては、例えば、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸、4・4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸、ジフェニルスルホン−3・3’−ジスルホン酸が好ましく選択され、これらのジナトリウム塩、ジカリウム塩等が好ましく用いられる。
スルホンアミドとしては、例えば、サッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミド等が挙げられ、これらのカリウム塩,ナトリウム塩等が好ましく用いられる。
硫酸エステルとしては、ドデシル硫酸のモノエステルに代表されるアルキル硫酸のモノエステルなどが挙げられ、これらのカリウム塩,ナトリウム塩等が好ましく用いられる。
上記のうち、少しでも塩素または臭素を含まないという観点から、および難燃性能が少量で発現できるという点から、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、パーフルオロブタンスルホン酸のカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のカリウム塩が特に好ましく使用される。ドデシルベンゼンスルホン酸に代表される(アルキル)芳香族スルホン酸のナトリウム塩が、工業的に安価に入手して利用でき、最も好ましい。
本発明に用いることができる含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩は、得られる難燃性熱可塑性樹脂組成物の熱安定性を損なうことなく、本発明のグラフト共重合体(B)を粉体として回収する際の粉体特性、特に耐ブロッキング性を改良することができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。ここで用いる含硫黄有機化合物は、前述の含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩で用いるものと同一であって良く、別の化合物を用いても差し支えない。含硫黄有機化合物以外の化合物の金属塩の添加は成形時の着色を引き起こすなど、得られる熱可塑性樹脂組成物の熱安定性を損ない、場合によっては成形そのものが実施できないほどに熱可塑性樹脂の劣化を引き起こすため好ましくない。また、含硫黄有機化合物の一価の金属塩だけでは十分な耐ブロッキング性改良効果を得ることが困難である。好ましくは前述の含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩において例示したのと同様の含硫黄有機化合物を選択し、そのアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩などを用いる。
前記金属塩(C)は、合計として、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して0.0005重量部以上(好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.004重量部以上)、5重量部以下(好ましくは0.8重量部以下、より好ましくは0.2重量部以下)用いる。前記金属塩(C)は少ないと効果がなく、多いと成形時に樹脂焼けなどの成形不良が発生する。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対してさらに酸化防止剤(E)を含めることで、その難燃性能を高めることができる。配合量は2重量部以下が好ましく、0.8重量部以下がより好ましく、0.7重量部以下がさらに好ましい。2重量部より多く用いた場合には、耐衝撃性が低下する傾向がある。下限は0.05重量部以上が好ましい。酸化防止剤の作用機構は不明だが、成形時の熱可塑性樹脂の分解もしくはポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)のグラフト成分の分解防止に寄与しているものと推定される。酸化防止剤(E)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤(E)としては、イソシアヌル環構造を分子内に有する1種以上の酸化防止剤と、1種以上の他の酸化防止剤とを組み合わせて用いることが特に効果的である。全酸化防止剤中のイソシアヌル環構造を分子内に有する1種以上の酸化防止剤の割合は、10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。また、90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。この範囲より多くても少なくても、難燃性の改良効果は得られにくく、むしろ悪化させる場合がある。イソシアヌル環構造を分子内に有する酸化防止剤としては、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトを例示することができる。他の酸化防止剤としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートなどのジアルキルチオプロピオネートなどを例示することができる。
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)としては特に限定されず、耐衝撃性の観点から、特に、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−アクリルゴム−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、アクリロニトリル−アクリル/シリコーン複合ゴム−スチレン共重合体、アクリロニトリル−アクリル/シリコーン複合ゴム−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−アクリル/シリコーン複合ゴム−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体およびポリアミドからなる群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明において、前記熱可塑性樹脂(A)は、ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。前記ポリカーボネート系樹脂とは、ポリカーボネート樹脂を70重量%以上、より好ましくは85重量%以上含むものが好ましく、実質的にポリカーボネート樹脂が単独である場合が最も好ましい。ここで実質的にポリカーボネート樹脂が単独であるとは、少なくともポリカーボネート樹脂を95重量%以上含んでなることを意味する。ポリカーボネート樹脂が前述の割合にある場合には良好な難燃性と耐衝撃性がバランスよく得られ、その効果はポリカーボネート系樹脂の比率が高まるほどよく、実質的にポリカーボネート系樹脂が単独である場合に最大となる。ポリカーボネート系樹脂中のポリカーボネート樹脂以外の成分としては、上記の熱可塑性樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカーボネート樹脂としては、特に限定されるものはなく種々のものを挙げることができる。通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。すなわち、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、すなわち、二価フェノールとホスゲンの反応、二価フェノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換法により反応させて製造されたものを使用することができる。
二価フェノールとしては、色々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。
特に好ましい二価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどであり、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。
この他、二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などがある。また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノールなどが用いられる。
また、前記ポリカーボネート系樹脂としては、ポリエステル−ポリカーボネート樹脂などの共重合体あるいは、種々のポリカーボネート系樹脂の混合物を用いることもできる。前記のごとく共重合体を用いる場合には、ポリマー中のカーボネート単位の割合が前述の割合となるようにする。
前記ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は、下限として13000以上が好ましく、15000以上がより好ましい。上限としては25000以下が好ましく、22000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。粘度平均分子量が低すぎると耐衝撃性が悪くなる傾向にあり、また粘度平均分子量が高くなりすぎると成形加工性が悪くなる傾向にある。なお、粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10−5Mv0.83の式にて算出する値である。また、分子量の異なるポリカーボネート樹脂をブレンドしてもよい。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、さらにフッ素系樹脂(D)を配合することができる。前記フッ素系樹脂は、UL−94試験などの燃焼試験時に溶融した樹脂が滴下する(ドリップともいう)のを防止する機能を担うものである。滴下防止効果が大きい点で好ましい具体例として、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロエチレン共重合体などのフッ素化ポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂などを挙げることができる。フッ素系樹脂(D)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系樹脂(D)は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、2重量部以下、好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.6重量部以下の量を用いる。フッ素系樹脂は多く用いるほど滴下防止効果が大きいが、多すぎるとコストが高くなりすぎる一方で滴下防止効果が飽和し、好ましくない。また前記フッ素系樹脂(D)は、0.05重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは0.2重量部以上の量を用いる。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、さらに、顔料、充填剤、耐衝撃改良剤、前記酸化防止剤(E)以外の酸化防止剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、滑剤、高分子滑剤などを配合することができる。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各成分を混合し、溶融混練することにより製造することができるが、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)が金属塩(C)を含有する場合には、金属塩(C)を別途添加する必要はないが、別途添加してもよい。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物が、金属塩(C)として、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩と含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩の両方を含有する場合には、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、次いで、二価以上の金属の無機塩を用いる凝固法により、乳化剤由来の含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、熱可塑性樹脂(A)、前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、及び、フッ素系樹脂(D)を溶融混練することにより製造するのが好ましい。溶融混練の際には、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を別途追加してもよい。
また、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、次いで、スプレー乾燥法により、乳化剤由来の含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、熱可塑性樹脂(A)、前記含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩、及び、フッ素系樹脂(D)を溶融混練することにより製造することもできる。溶融混練の際には、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を別途追加してもよい。
さらに、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、次いで、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を添加しながらのスプレー乾燥法により、乳化剤由来の含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、及び、前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、熱可塑性樹脂(A)、前記含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩及び含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、及び、フッ素系樹脂(D)を溶融混練することにより製造することもできる。溶融混練の際には、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩及び/又は含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を別途追加してもよい。
かくして、得られた難燃性熱可塑性樹脂組成物は、難燃性・耐衝撃性に優れたものである。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、他の難燃剤を配合してもよい。たとえば、併用する難燃剤として非ハロゲン・非リン系という点で好ましい具体例としては、有機シリコーン化合物および/またはシリカ、特にポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体以外の芳香族基含有有機シリコーン化合物が挙げられる。その他に、シアヌル酸、シアヌル酸メラミンなどのトリアジン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛などのホウ素系化合物などを挙げることができる。また、トリフェニルホスフェート、縮合リン酸エステル、安定化赤リンなどのリン系化合物との併用も可能である。この場合は、リン系難燃剤の組成物において、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物を用いることでリン系難燃剤を減らすことができるメリットがある。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる成形法、すなわち、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などにより成形され、特に限定されないが、たとえば、デスクトップ型コンピューター、ノート型コンピューター、タワー型コンピューター、プリンター、コピー機、FAX機、携帯電話、PHS、TV、ビデオデッキ等の各種OA/情報/家電機器のハウジングおよびシャーシー部品、各種建材部材および各種自動車部材などの難燃性および耐衝撃性が必要となる用途に供される。
得られた成形品は耐衝撃性および難燃性に優れたものとなる。
本発明の熱可塑性樹脂用難燃剤は、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、並びに、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含有するものである。各成分については上述したものと同様である。本発明の熱可塑性樹脂用難燃剤は、粉体特性、特に耐ブロッキング性に優れているため取扱いが容易であり、かつ、上述の熱可塑性樹脂に配合することにより難燃性−耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂用難燃剤は、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、二価以上の金属の無機塩を用いる凝固法により、乳化剤由来の含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、及び、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を混合することにより製造することができる。溶融混練の際には、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を別途追加してもよい。
また、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、次いで、スプレー乾燥法により、乳化剤由来の含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、前記含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、及び、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を混合することにより製造することもできる。上記混合の際には、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を別途追加してもよい。
さらに、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、次いで、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を添加しながらのスプレー乾燥法を行うことにより製造することもできる。
発明を実施するための最良の形態
本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。以下「部」は「重量部」を表す。
なお、以下の実施例および比較例における測定および試験はつぎのように行った。
[固形分含有率]
ラテックスを120℃の熱風乾燥機で2時間乾燥し、(ラテックスを130℃で2時間乾燥した後の残渣の重量)/(乾燥前のもとのラテックス重量)として算出した。
[重合転化率]
(仕込み総量(部)×固形分含有率−(乳化剤仕込み量(部)+無機酸及び/又は有機酸仕込み量(部)+ラジカル重合開始剤仕込み量(部)))/(仕込み単量体量(部))として算出した。
[トルエン不溶分量]
ラテックスから乾燥させて得られたポリオルガノシロキサン粒子の固体0.5gを室温にてトルエン80mlに24時間浸漬し、12000rpmにて60分間遠心分離してポリオルガノシロキサン粒子のトルエン不溶分の重量分率(%)を測定した。
[アセトン不溶分量]
グラフト共重合体1gを室温にてアセトン80mlに48時間浸漬し、18000rpmにて10分間遠心分離して、沈殿部をグラフト共重合体のアセトン不溶分量(%)として求めた。
[体積平均粒子径]
ポリオルガノシロキサン粒子およびグラフト共重合体の体積平均粒子径をラテックスの状態で測定した。測定装置として、リード&ノースラップインスツルメント(LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS)社製のMICROTRAC UPAを用いて、光散乱法により体積平均粒子径(μm)および粒子径分布の変動係数(標準偏差/体積平均粒子径(%))を測定した。
[耐衝撃性]
ASTM D−256に準じて、ノッチつき1/8インチバーを用いて−10℃でのアイゾット試験により評価した。
[難燃性]
UL94 V試験により評価した。ただし、評価には1.6mm厚に加えて1.2mm厚の試験片を用いた。
[耐ブロッキング性]
グラフト共重合体組成物の粉体30gを直径50mmの筒状の容器に入れ、40℃で1kg/cmの加重を3時間かけてブロックを作り、このブロックをホソカワミクロン株式会社製のパウダーテスターPEEにより60Hzの振動を100秒間与えて崩壊させ、18メッシュのふるいを通過した粉体の全粉体量に対する割合を求めた。数値が高いほど耐ブロッキング性が高いことを示す。
(参考例1) ポリオルガノシロキサン粒子(S−1)の製造
次の成分からなる水溶液をホモミキサーにより8000rpmで5分間撹拌してエマルジョンを調製した。
成分 量(部)
純水 250
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS) 1.0
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4) 97
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン 3
このエマルジョンを撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに一括して仕込んだ。系を撹拌しながら、10%ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)水溶液1部(固形分)を添加し、80℃に約40分かけて昇温後、80℃で10時間反応させた。その後、25℃に冷却して、20時間放置後、系のpHを水酸化ナトリウムで6.5に戻して重合を終了し、ポリオルガノシロキサン粒子(S−1)を含むラテックスを得た。重合転化率、ポリオルガノシロキサン粒子のラテックスの体積平均粒子径およびトルエン不溶分量を測定した結果を表1に示す。
(参考例2) ポリオルガノシロキサン粒子(S−2)の製造
撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、
成分 量(部)
純水 186
SDBS 2
を仕込んだ。
つぎに、系をチッ素置換しながら70℃に昇温し、純水4部と過硫酸カリウム(KPS)0.1部からなる水溶液を添加してから、つづいて
成分 量(部)
スチレン(St) 0.5
アクリル酸ブチル(BA) 1.5
t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.15
からなる混合液を1時間で連続追加して、1時間撹拌して重合を完結させて、St−BA共重合体のラテックスを得た。重合転化率は99%であった。得られたラテックスの固形分含有率は2.0%、体積平均粒子径0.02μmであった。また、このときの変動係数は39%であった。St−BA共重合体のトルエン不溶分量は0%であった。
別途、つぎの成分からなる混合物をホモミキサーで8000rpmで5分間撹拌してポリオルガノシロキサン形成成分のエマルジョンを調製した。
成分 量(部)
水 70
SDBS 0.5
D4 95
メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン(MPDS) 5
つづいて、St−BA共重合体を含むラテックスを80℃に保ち、系に10%DBSA水溶液1.2部(固形分)を添加したのち、上記ポリオルガノシロキサン形成成分のエマルジョンを一括で添加した後15時間撹拌を続けたのち、25℃に冷却して25時間放置した。その後、水酸化ナトリウムでpHを6.4にして重合を終了し、ポリオルガノシロキサン粒子(S−2)を含むラテックスを得た。重合転化率、ポリオルガノシロキサン粒子のラテックスの体積平均粒子径およびトルエン不溶分量を測定した結果を表1に示す。該ポリオルガノシロキサン粒子は、ポリオルガノシロキサン成分98重量%およびSt−BA共重合体成分2重量%からなる。
(参考例3) ビニル系シード粒子(Sv−1)の製造
参考例2のポリオルガノシロキサン粒子(S−2)を製造する途中段階のSt−BA共重合体をビニル系シード粒子(Sv−1)とした。このビニル系シード粒子(Sv−1)の体積平均粒子径およびトルエン不溶分量を測定した結果を表1に示す。
Figure 2003091342
(参考例4〜12)
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口および温度計を備えた5口フラスコに、純水300部(ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)ラテックスからの持ち込み分を含む)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.4部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.01部、硫酸第一鉄0.0025部および表2に示されるポリオルガノシロキサン粒子(B−1)ラテックスを仕込み、系を撹拌しながら窒素気流下に50℃まで昇温させた。50℃到達後、表2に示される単量体(B−3)とラジカル重合開始剤の混合物を、表2に示される追加時間で追加したのち、50℃で1時間撹拌を続けた。その後、さらに表2に示される単量体(B−4)とラジカル重合開始剤の混合物を、表2に示される追加時間で滴下追加し、追加終了後4時間撹拌を続けることによってグラフト共重合体のラテックスを得た。ここで、参考例4〜6に関しては、単量体(B−3)混合物の追加は省略して単量体(B−4)混合物の追加を行った。
続いて、ラテックスを純水で希釈し、固形分濃度を15%にしたのち、2%塩化カルシウム水溶液2.5部(固形分)を添加して、凝固スラリーを得た。凝固スラリーを撹拌しながら98℃まで加熱し、その後50℃まで冷却して脱水、50℃の熱風乾燥機で72時間乾燥させてポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−1〜SG−9)の粉体を得た。重合転化率、アセトン不溶分量を表2に示す。
Figure 2003091342
なお表中AlMAはメタクリル酸アリル、BAはアクリル酸ブチル、MAはアクリル酸メチル、MMAはメタクリル酸メチル、Stはスチレン、ANはアクリロニトリル(以上、単量体)、CHPはクメンハイドロパーオキサイド、TBPはt−ブチルハイドロパーオキサイド、TBPIPCはt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(以上、ラジカル重合開始剤)であり、重合体SPはビニル系単量体(B−4)の重合体の溶解度パラメーターを本明細書記載の方法で求めた値を示す。
(参考例13〜15)
参考例7において用いたポリオルガノシロキサン粒子(B−1)ラテックスのかわりに表2に示されたビニル系シード粒子(Sv−1)ラテックスを用いたこと、単量体(B−3)混合物および単量体(B−4)混合物を表2に示されたとおりとしたこと、および単量体(B−4)混合物の滴下追加中2時間ごとにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部(15%水溶液)を追加したこと以外には、参考例7と同様とし、グラフト共重合体(SG’−1〜3)の粉体を得た。ここで、参考例14および15に関しては、単量体(B−3)混合物の追加は省略して単量体(B−4)混合物の追加を行った。重合転化率、アセトン不溶分量を表2に示す。
(参考例16)
参考例7において用いたポリオルガノシロキサン粒子(B−1)ラテックスのかわりに表2に示されたビニル系シード粒子(Sv−1)ラテックスを用いたこと、単量体(B−3)混合物および単量体(B−4)混合物を表2に示されたとおりとしたこと、および単量体(B−3)混合物の滴下追加中2時間ごとにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部(15%水溶液)を追加したこと以外には、参考例7と同様とし、グラフト共重合体(SG’−4)を得た。重合転化率、アセトン不溶分量を表2に示す。
(参考例17)
参考例13において用いたビニル系シード粒子(Sv−1)ラテックスのかわりにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部(20%水溶液)を用いたこと、単量体(B−3)混合物および単量体(B−4)混合物を表2に示されたとおりとしたこと以外は、参考例13と同様とし、グラフト共重合体(SG’−5)を得た。重合転化率、アセトン不溶分量を表2に示す。
(参考例18)
参考例16において用いたビニル系シード粒子(Sv−1)ラテックスのかわりにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部(20%水溶液)を用いたこと、単量体(B−3)混合物および単量体(B−4)混合物を表2に示されたとおりとしたこと以外は、参考例16と同様とし、グラフト共重合体(SG’−6)を得た。重合転化率、アセトン不溶分量を表2に示す。
(参考例19)
参考例10のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−7)と同じラテックスを用い、グラフト共重合体をラテックスから単離する際、塩化カルシウム水溶液による凝固を行わず、スプレー乾燥法により単離を行った以外は、参考例10と同様とし、グラフト共重合体(SG’−7)を得た。SG’−7の重合転化率、アセトン不溶分量を表2に示す。
(参考例20)
スプレー乾燥法により単離を行うに際して、ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(東京化成工業株式会社製)の10%水溶液を水酸化カルシウム(和光純薬工業株式会社製)の10%水分散液に滴下し、pH=4となるように調整したドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムの水性分散液1部(固形分相当)をラテックスとは別にスプレー乾燥機に導入し、スプレー乾燥機中で混合しながら乾燥した以外は参考例19と同様とし、グラフト共重合体(SG−10)を得た。SG−10の重合転化率、アセトン不溶分量を表2に示す。
(実施例1〜9および比較例1〜6)
ポリカーボネート樹脂の難燃化
ポリカーボネート樹脂(PC−1:出光石油化学株式会社製タフロンFN1900A)および参考例4〜12で得られたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−1〜9)または参考例13〜18で得られたグラフト共重合体(SG’−1〜6)を用いて表3に示す組成で配合した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムは2%水溶液をポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−1〜9)またはグラフト共重合体(SG’−1〜6)の粉体に表3に示す組成となるようあらかじめ配合し、乾燥させたものを用いた。表3のドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム量には、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−1〜9)またはグラフト共重合体(SG’−1〜6)の製造において用いた乳化剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがすべてカルシウム塩に転化したものとして換算した結果を示した。
得られた配合物を2軸押出機(日本製鋼株式会社製 TEX44SS)で270℃にて溶融混練し、ペレットを製造した。得られたペレットをシリンダー温度300℃に設定した株式会社ファナック(FANUC)製のFAS100B射出成形機で1/8インチのアイゾット試験片および1/16インチ・1/20インチ難燃性評価用試験片を作成した。得られた試験片を用いて前記評価方法に従って評価した。結果を表3に示した。
Figure 2003091342
なお、表中PTFEはポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製ポリフロンFA−500)、SDBSはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王株式会社製ネオペレックスF−25)、CDBSはドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(重合時に使用した乳化剤がカルシウム塩に転化したもの)を示す。
(実施例10〜21および比較例7〜9)
ポリカーボネート樹脂(PC−1、PC−2:出光石油化学株式会社製タフロンFN1700A)および参考例10で得られたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−7)を用いて表4に示す組成で配合した。ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムは、ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(東京化成工業株式会社製)の10%水溶液を水酸化カリウム(和光純薬工業株式会社製)の10%水溶液を用いてpH=6.5となるよう中和した水溶液を2%水溶液に希釈し、実施例7のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと同様にポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−7)にあらかじめ表4に示す組成となるよう配合して乾燥させたものを用いた。ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムは、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−7)製造において用いたドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがすべてカルシウム塩に転化したものとみなした。実施例20においてのみ、別にドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(東京化成工業株式会社製)の10%水溶液を水酸化カルシウム(和光純薬工業株式会社製)の10%水分散液に滴下し、pH=4となるように調整した水性分散液を乾燥して粉末状のドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムを作成し、その0.01部をさらに添加した(表4には合計量を示した)。
以降実施例7と同様とし、得られた試験片を用いて前記評価方法に従って評価した。結果を表4に示した。
(実施例22〜23及び比較例10)
実施例10において用いたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−7)の代わりに参考例20で得られたポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−10)を用い、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムのさらなる添加は行わず、SG−10の製造時に用いたドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸の水酸化ナトリウムによる中和生成物の和を算出してそれをドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム使用量とみなしたこと、スプレー乾燥時に添加したドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムをそのまま用いたこと、表5に示す組成で配合したこと以外は、実施例10と同様とした。ただし比較例10においてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5%水溶液をポリカーボネート樹脂PC−1に0.5部(固形分)添加し乾燥させたマスターバッチを作成し、これをPC−1で希釈して表5の組成となるように調製した。結果を表5に示した。
Figure 2003091342
Figure 2003091342
なお、表中PPFBSはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム(大日本インキ化学工業株式会社製メガファックF−114)、PDPSSはジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩(SealSandsChemicals社製KSS)、PDBSはドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、CDBSはドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、TDBHICはトリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト(旭電化工業株式会社製アデカスタブAO−20)、TMHBBは1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(旭電化工業株式会社製アデカスタブAO−30)、DLTPはジラウリルチオジプロピオネート(吉富ファインケミカル株式会社製DLTP「ヨシトミ」)である。
(実施例24、25及び比較例11、12)
実施例7、19、20と同様にしてポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(SG−7、SG−10、SG’−7)とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及び/またはドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムからなるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体組成物を作成し、その耐ブロッキング性を測定した。またこれらポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体組成物による難燃性及び耐衝撃性を実施例7と同様にして評価した。結果を表6に示した。
Figure 2003091342
表3〜5から、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の難燃性−耐衝撃性バランスを高度に改良することがわかる。特に、従来の方法では良好な難燃性を発現することが困難な薄い(1.2mm厚み)成形体を用いた場合でも、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は良好な難燃性を示すことが分かる。
また表6より、本発明の熱可塑性樹脂用難燃剤は熱可塑性樹脂に良好な難燃性を与え、かつその耐ブロッキング性に代表される粉体特性が優れることが分かる。
産業上の利用可能性
本発明により、難燃性−耐衝撃性バランスに優れ、特に成形体厚みを薄くしても良好な難燃性を有する難燃性熱可塑性樹脂組成物、ならびに難燃性−耐衝撃性バランスに優れ、粉体特性にも優れた熱可塑性樹脂用難燃剤を得ることができる。

Claims (17)

  1. 熱可塑性樹脂(A)100重量部、
    ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)0.1〜30重量部、
    アルカリ金属塩および二価以上の金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩(C)0.0005〜5重量部、並びに、
    フッ素系樹脂(D)0.05〜2重量部
    を含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネート系樹脂であり、
    ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)の配合量が、前記ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部であり、
    金属塩(C)が含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩および/または含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩であり、その配合量が、前記ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して合計で0.001〜5重量部である
    請求の範囲第1項記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 金属塩(C)として、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩と含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩の両方を含有する請求の範囲第2項記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 二価以上の金属塩がアルカリ土類金属塩である請求の範囲第1〜3項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  5. ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(B)は、当該共重合体全量を100重量部として、ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)40〜95重量部の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)100〜20重量%およびその他の共重合可能な単量体(B−5)0〜80重量%からなる単量体(B−3)0〜10重量部を1段以上重合し、さらにビニル系単量体(B−4)5〜50重量部を1段以上重合して得られるものであることを特徴とする請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  6. ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、体積平均粒子径が0.008〜0.6μmのものである請求の範囲第1〜5項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  7. ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)は、3官能以上のシラン化合物を用いずに製造されるものである範囲第1〜6項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  8. ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)がラテックス状のものである請求の範囲第1〜7項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  9. ビニル系単量体(B−4)は、当該単量体のみからなる重合体の溶解度パラメーターが9.15〜10.15(cal/cm1/2を示すものであることを特徴とする請求の範囲第1〜8項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  10. ビニル系単量体(B−4)が、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびカルボキシル基含有ビニル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体である請求の範囲第1〜9項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  11. 含硫黄有機化合物が、スルホンアミド、(アルキル)芳香族スルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸、脂肪族スルホン酸およびジフェニルスルホンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求の範囲第2〜10項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  12. 含硫黄有機化合物が、(アルキル)芳香族スルホン酸であることを特徴とする請求の範囲第2〜10項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  13. さらに酸化防止剤(E)を2重量部以下含むことを特徴とする請求の範囲第1〜12項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  14. 酸化防止剤(E)が、イソシアヌル環構造を分子内に有する1種以上の酸化防止剤と、1種以上の他の酸化防止剤との組み合わせであることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  15. 請求の範囲第3項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
    ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、
    凝固法により、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、
    熱可塑性樹脂(A)、前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、及び、フッ素系樹脂(D)を溶融混練することを特徴とする方法。
  16. ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、
    含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩、並びに、
    含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩
    を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用難燃剤。
  17. 請求の範囲第16項記載の熱可塑性樹脂用難燃剤を製造する方法であって、
    ポリオルガノシロキサン粒子(B−1)の存在下に、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体(B−2)を含む単量体(B−3)および/またはビニル系単量体(B−4)を1段以上乳化重合し、
    凝固法により、含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を取得した後、
    前記含硫黄有機化合物の二価以上の金属塩を含むポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、及び、含硫黄有機化合物のアルカリ金属塩を混合することを特徴とする方法。
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