JPH09136928A - グラフト共重合体、および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

グラフト共重合体、および熱可塑性樹脂組成物

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JPH09136928A
JPH09136928A JP31844195A JP31844195A JPH09136928A JP H09136928 A JPH09136928 A JP H09136928A JP 31844195 A JP31844195 A JP 31844195A JP 31844195 A JP31844195 A JP 31844195A JP H09136928 A JPH09136928 A JP H09136928A
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JP
Japan
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weight
graft copolymer
polyorganosiloxane
graft
thermoplastic resin
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Withdrawn
Application number
JP31844195A
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English (en)
Inventor
Motoki Okaniwa
求樹 岡庭
Kuniyasu Yamada
邦康 山田
Norifumi Sumimoto
典史 住本
Nobuo Kawahashi
信夫 川橋
Kazuki Iwai
一樹 岩井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高グラフト率で、かつ生産工程が簡単で、低
コストで製造でき、耐候性、摺動性、耐摩耗性、耐衝撃
性、低温耐衝撃性、成形品表面外観、光沢性に優れたポ
リオルガノシロキサン系のグラフト共重合体、およびそ
れを用いた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 テトラヒドロフラン不溶分が90重量%
以下のポリオルガノシロキサン(A)5〜80重量%の
存在下に、ビニル系単量体(B)95〜20重量%〔た
だし、(A)+(B)=100重量%〕を重合して得ら
れ、グラフト率が1〜300%、かつマトリックス成分
の極限粘度が0.15〜4であることを特徴とするグラ
フト共重合体、ならびにこのグラフト共重合体1〜99
重量部および他の熱可塑性樹脂99〜1重量部を主成分
とする熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオルガノシロ
キサンを用いたグラフト共重合体、およびそれを用いた
熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳細には、耐候性、
摺動性、耐摩耗性、耐衝撃性、低温耐衝撃性、成形品表
面外観、光沢性に優れたポリオルガノシロキサン系のグ
ラフト共重合体、およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂の衝撃強度を改善す
るため、ゴムで変性する技術が確立されている。例え
ば、ブタジエンゴムでスチレン−アクリロニトリル樹脂
(AS樹脂)を強化したABS樹脂や、アクリルゴムで
AS樹脂を強化したAAS樹脂などである。このような
ベースゴム成分として、シリコーンゴムが考えられる
が、ポリオルガノシロキサンと熱可塑性樹脂を単に配合
しただけでは、これらの成分間の相溶性が悪いため、得
られる組成物の耐衝撃性が不充分である。そこで、AB
S樹脂のように、ゴムにビニル系単量体をグラフトさせ
る技術が必要であるが、一般にポリオルガノシロキサン
は、ビニル系単量体との反応性に乏しく、グラフト共重
合体の形成が困難である。この種のグラフト共重合体を
形成するために、幾つかの方法が開示されている。
【0003】例えば、シリコーンゴムで強化されたゴム
強化樹脂を合成するため、特開昭50−109282号
公報には、グラフト交叉剤であるビニル基またはアリル
基などを含有したシラン単量体とオルガノシロキサン単
量体との共縮重合により反応性ポリオルガノシロキサン
を合成し、これら導入された官能基をグラフト基点と
し、ビニル単量体をグラフト化することで、耐衝撃性、
耐寒性に優れた熱可塑性樹脂を合成する方法が提案され
ている。しかしながら、この熱可塑性樹脂は、官能基含
有のアルコキシシラン単量体の反応性が、オルガノシロ
キサン単量体の反応性と比較し非常に高く、アルコキシ
シラン単独の重合体が生成しやすく、均一に重合体中に
グラフト交叉剤が分散された構造にならない。このた
め、グラフト相が不均一な構造のためマトリクッス界面
との接着力に乏しく、グラフト化後の熱可塑性樹脂は、
高剪断下での射出成形時においてポリオルガノシロキサ
ンどうしの融着が起き、フローマークなどの外観不良の
ため、屋外で無塗装などの表面処理を行わず使用するこ
とは困難である。さらに、これら官能基含有のアルコキ
シシランは、極めて高価であり、かつ製造工程が複雑な
ため、製造上、コストが高くなるなどの支障がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術の課題を背景になされたもので、上記問題点を解決
し、高グラフト率で、かつ生産工程が簡単で、低コスト
で製造でき、耐候性、摺動性、耐摩耗性、耐衝撃性、低
温耐衝撃性、成形品表面外観、光沢性に優れたポリオル
ガノシロキサン系のグラフト共重合体、およびそれを用
いた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、テトラヒドロ
フラン不溶分が90重量%以下のポリオルガノシロキサ
ン(A)5〜80重量%の存在下に、ビニル系単量体
(B)95〜20重量%〔ただし、(A)+(B)=1
00重量%〕を重合して得られ、グラフト率が1〜30
0%、かつマトリックス成分の極限粘度が0.15〜4
であることを特徴とするグラフト共重合体、ならびに上
記グラフト共重合体1〜99重量部および他の熱可塑性
樹脂99〜1重量部を主成分とする熱可塑性樹脂組成物
を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるポリオルガノ
シロキサン(A)は、オルガノシロキサンを、アルキル
ベンゼンスルホン酸などの乳化剤兼重合触媒の水溶液中
で、ホモミキサーまたは超音波混合機などを用いて混合
し、縮合させることによって製造することができる。な
お、機械的混合を必要としない場合もある。このとき、
必要によってグラフト交叉剤、架橋剤を、本発明の目的
の性能を損なわない範囲で共縮合させてもよい。
【0007】ここで、使用されるオルガノシロキサン
は、例えば一般式Rm SiO(4-m)/2(式中、Rは置換
または非置換の1価の炭化水素基であり、mは0〜3の
整数を示す)で表される構造単位を有するものであり、
直鎖状、分岐状または環状構造を有するが、好ましくは
環状構造を有するオルガノシロキサンである。このオル
ガノシロキサンの有する置換または非置換の1価の炭化
水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換し
た置換炭化水素基などを挙げることができる。
【0008】オルガノシロキサンの具体例としては、ヘ
キサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロ
テトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサ
ン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチル
トリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物の
ほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを
挙げることができる。これらオルガノシロキサンは、単
独でも、あるいは2種以上を併用することができる。
【0009】また、本発明の目的を損なわない範囲で使
用するグラフト交叉剤は、例えば次の(a)〜(d)な
どを挙げることができる。 (a)下記一般式で表される不飽和基と、アルコキシシ
リル基とを併せ持つグラフト交叉剤; CH2 =C(R1 )−φ−(CH2 n −(式中、R1
は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、nは0〜
12の整数、好ましくは0を示す。) 具体例;p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、
p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p
−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3
−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメト
キシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラ
ン。このうち、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシ
ランが、最も好ましい。
【0010】(b)R2 p SiO(3-p)/2 (式中、R2
はビニル基またはアリル基、pは0〜2の整数を示
す。) 具体例;ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニル
テトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキ
シシラン。 (c);HSR3 SiR4 q (3-q)/2 (式中、R3
炭素数1〜18の2価または3価の飽和脂肪族炭化水素
基、R4 は炭素数1〜6の脂肪族不飽和基を含有しない
1価の炭化水素基であり、qは0〜2の整数を示す。) 具体例;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ
ン。
【0011】(d); (式中、R5 は水素原子、メチル基、エチル基、プロピ
ル基またはフェニル基、rは1〜6の整数、sは0〜2
の整数を示す。) 具体例;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシ
シラン。
【0012】このグラフト交叉剤の使用割合は、オルガ
ノシロキサンとグラフト交叉剤および架橋剤の合計量
中、好ましくは5.0重量%以下、さらに好ましくは
0.1重量%以下、特に好ましくは0重量%である。グ
ラフト交叉剤の使用量が多いと、グラフトしたビニル系
ポリマーの分子量が低下し、その結果、充分な耐衝撃性
が得られない。また、グラフト化後の(A)成分の2重
結合より酸化劣化が進行し易く、耐候性の良好なグラフ
ト共重合体が得られない。従って、グラフト交叉剤の使
用量が0重量%であると、耐候性が一段と優れ、かつ高
価で生産工程の複雑なグラフト交叉剤を付与する製造工
程を要せず、低コストでかつ高グラフト率の、目的とす
るグラフト共重合体が得られる。
【0013】なお、ポリオルガノシロキサン(A)粒子
の平均粒径は、上記乳化剤および水の量、ホモミキサー
または超音波混合機などを用いて混合したときの分散の
程度またはオルガノシロキサンのチャージ方法によっ
て、容易に好ましくは100Å〜5μm、さらに好まし
くは1,000Å〜1μmの範囲で制御することができ
る。平均粒径が100Å未満では、得られるグラフト共
重合体、およびこれに他の熱可塑性樹脂を配合した熱可
塑性樹脂組成物の耐衝撃性が劣る。一方、5μmを超え
ると、光沢が劣る。
【0014】また、このようにして得られるポリオルガ
ノシロキサンのポリスチレン換算重量平均分子量は、好
ましく10万〜100万、さらに好ましくは15万〜1
00万、特に好ましくは20万〜80万である。10万
未満では、得られるグラフト共重合体、およびこれに他
の熱可塑性樹脂を配合した熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃
性が劣る。一方、100万を超えると、高分子鎖の絡み
合いが強いため、ゴム粒子のゴム弾性が低下し、耐衝撃
性が低下する。この重量平均分子量の調整は、ポリオル
ガノシロキサン調製時の縮重合温度と時間を変えること
により、容易に調整することができる。すなわち、縮重
合温度が低いほど、冷却時間が長いほど、高分子量化す
る。また、架橋剤を少量添加することでも、高分子量化
することができる。なお、ポリオルガノシロキサン
(A)の分子鎖末端は、例えば水酸基、アルコキシ基、
トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチル
フェニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル基な
どで封鎖されていてもよい。
【0015】上記乳化剤の使用量は、オルガノシロキサ
ンとグラフト交叉剤および架橋剤の合計量中、通常、
0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%であ
る。なお、この際の水の使用量は、オルガノシロキサン
100重量部に対して、通常、100〜500重量部、
好ましくは200〜400重量部である。また、縮合温
度は、通常、5〜100℃である。
【0016】なお、ポリオルガノシロキサン(A)の製
造に際し、得られるグラフト共重合体の耐衝撃性を改良
するために、第3成分として架橋剤を添加することもで
きる。この架橋剤としては、例えばメチルトリメトキシ
シラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエト
キシシランなどの3官能性架橋剤、テトラエトキシシラ
ン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチ
ル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチル
シリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメ
トキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス
〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、
1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−
〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、
1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−
〔2−ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼンなど
の4官能性架橋剤を挙げることができる。これら架橋剤
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して用いることもできる。また、これら架橋剤とし
て、あらかじめ縮重合させた架橋プレポリマーを用いて
もよい。この架橋剤の添加量は、オルガノシロキサンと
グラフト交叉剤および架橋剤の合計量中、好ましくは1
0.0重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以
下、特に好ましくは0重量%である。10.0重量%を
超えると、ポリオルガノシロキサン(A)の柔軟性が損
なわれるため、摺動性、耐衝撃性が低下する。
【0017】さらに、本発明に使用されるポリオルガノ
シロキサン(A)のテトラヒドロフラン不溶分は、90
重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好まし
くは10重量%以下である。90重量%を超えると、ポ
リオルガノシロキサン(A)がリジッドになりすぎ、摺
動性、耐摩耗性、耐衝撃性に劣るものとなる。ここで、
テトラヒドロフラン不溶分の調整は、ポリオルガノシロ
キサン調製時の架橋剤種、使用量により、容易に調整す
ることができる。
【0018】次に、このようにして得られるポリオルガ
ノシロキサン(A)に、ビニル系単量体(B)をグラフ
ト重合することにより、本発明のグラフト共重合体が得
られる。ここで、本発明に使用されるビニル系単量体
(B)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族アルケ
ニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルメタ
クリレート、アリルメタクリレートなどのメタクリル酸
エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、
ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアクリ
ル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリルニトリル
などのシアン化ビニル化合物;エチレン、プロピレンな
どのオレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレ
ンなどの共役ジオレフィン;および酢酸ビニル、塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、トリアリルイソシアヌレート、
アクリル酸、メタクリル酸、N−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、無水マレイン酸などが
挙げられ、これらは単独であるいは混合して使用され
る。
【0019】ポリオルガノシロキサン(A)にビニル系
単量体(B)をグラフト重合する際の仕込み組成は、ポ
リオルガノシロキサン(A)5〜80重量%、好ましく
は20〜65重量%、さらに好ましくは30〜65重量
%、ビニル系単量体(B)95〜20重量%、好ましく
は80〜35重量%、さらに好ましくは70〜35重量
%〔ただし、(A)+(B)=100重量%〕である。
(A)成分が5重量%未満ではゴム量が少ないため、耐
衝撃性が低下し、一方80重量%を超えるとグラフト結
合するビニル系ポリマーの割合が減少し、その結果、ポ
リオルガノシロキサン(A)とビニル系ポリマーとの間
に充分な界面接着力が得られず、得られるグラフト共重
合体の耐衝撃性や光沢の低下が生じる。
【0020】また、本発明のグラフト共重合体のグラフ
ト率は、1〜300%、好ましくは10〜200%、さ
らに好ましくは15〜150%である。グラフト率が1
%未満では、グラフト不足によりマトリックス成分との
相溶性が低下し、耐衝撃性、光沢が低下する。一方、3
00%を超えると、遊離したビニル系ポリマー(マトリ
ックス成分)が少なくなり、流動性、耐衝撃性が低下
し、またグラフト相が厚いため、摺動性が低下する。こ
こで、グラフト率の調整は、グラフト共重合体合成に用
いる、ポリオルガノシロキサン中のグラフト交叉剤量、
グラフト共重合体合成の際のグラフト開始剤種と使用
量、あるいは仕込みゴム量/ビニル系単量体(B)との
比を適切に選ぶことにより、調整できる。
【0021】さらに、本発明のグラフト共重合体中のマ
トリックス成分の極限粘度は、0.15〜4、好ましく
は0.3〜3である。マトリックス成分の極限粘度が
0.15未満では、得られるグラフト共重合体の耐衝撃
性が低下し、一方4を超えると、流動性が添加する。こ
こで、この極限粘度の調整は、グラフト共重合体合成時
の連鎖移動剤種と使用量、あるいはグラフト開始剤/ビ
ニル系単量体(B)との比を変量することで容易に調整
することができる。
【0022】本発明のグラフト共重合体は、上記ポリオ
ルガノシロキサン(A)の存在下に、上記ビニル系単量
体(B)をグラフトさせるときに使用する開始剤とし
て、好ましくは下記一般式(I)、(II) および(III)
で表される化合物の群から選ばれた少なくとも1種のパ
ーオキサイドを用いて、乳化重合法あるいは懸濁重合法
でグラフト化することによって得られる。
【0023】一般式(I);X−O−O−Y (式中、X,Yは、いずれもt−ブトキシ基または一般
式R6 −CH2 −であり、ここでR6 は水素原子または
炭素数1〜20のアルキル基を示す。) 〔式中、X,Yは、一般式(I)に同じ。〕 〔式中、XA ,XB ,YA ,YB は、いずれもt−ブト
キシ基または一般式R6−CH2 −であり、ここでR6
は一般式(I)に同じ。〕
【0024】すなわち、本発明のグラフト共重合体にお
ける製造方法は、水中にポリオルガノシロキサン(A)
油滴が分散する乳化重合法あるいは懸濁重合法により実
施することで、グラフト交叉剤を使用しないでも高グラ
フト率、低コストで目的とするグラフト共重合体が得ら
れる。その他の重合法として、例えば溶液重合などの、
ポリオルガノシロキサンとビニル系単量体が重合溶媒中
に均一に分散した系で実施すると、パーオキサイドより
生成したラジカルは、ポリオルガノシロキサンとビニル
系単量体いずれにも反応し、その結果、充分なグラフト
率が得られず、本発明の目的とするグラフト共重合体が
得られない。
【0025】本発明では、上記一般式(I)〜(III)い
ずれかで表されるパーオキサイドの少なくとも1種を用
いることで、高グラフト率、低コストで目的とするグラ
フト共重合体が初めて得られる。上記以外のパーオキサ
イドでは、1%未満の低グラフト率のグラフト共重合体
となり、グラフト界面が不充分なため相溶性が悪く、層
状剥離が生じるなどの重大な問題点が起きる。
【0026】パーオキサイドの具体例としては、例えば
パーオキシエステル系、パーオキシモノカーボネイト
系、ジアルキルパーオキサイド系、ハイドロパーオキサ
イド系、ジアルキルパーオキサレイト系、パーオキシケ
タール系などが挙げられる。
【0027】パーオキシエステル系としては、t−ブチ
ルパーオキシアセテイト、t−ブチルパーオキシネオデ
カノネイト、t−ブチルパーオキシビバレイト、t−ブ
チルパーオキシラウレイト、t−ブチルパーオキシステ
アレイト、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、ジ−t
−ブチルジパーオキシイソフタレイト、t−ブチルパー
オキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシネオヘキサノ
ネイトなどが挙げられる。
【0028】パーオキシモノカーボネイト系としては、
t−ブチルパーオキシt−ブチルモノカーボネイト、t
−ブチルパーオキシメチルモノカーボネイト、t−ブチ
ルパーオキシエチルモノカーボネイト、t−ブチルパー
オキシn−プロピルモノカーボネイト、t−ブチルパー
オキシアリルモノカーボネイト、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルモノカーボネイト、t−ブチルパーオキシ
エチルモノカーボネイト、t−ブチルパーオキシn−プ
ロピルモノカーボネイト、t−ブチルパーオキシパーフ
ロロ−t−ブチルモノカーボネイトなどが挙げられる。
【0029】ジアルキルパーオキサイド系としては、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、ジ−メチルパーオキサイ
ド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、2,
5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)
ヘキシン−3、ジ−メチルパーオキサイド、ジ−エチル
パーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキサイド、t
−ブチルメチルパーオキサイド、t−ブチルエチルパー
オキサイド、t−ブチルn−プロピルパーオキサイド、
メチルエチルパーオキサイド、メチル−n−プロピルパ
ーオキサイド、エチル−n−プロピルパーオキサイドな
どが挙げられる。
【0030】ハイドロパーオキサイド系としては、t−
ブチルハイドロパーオキサイド、メチルハイドロパーオ
キサイド、エチルハイドロパーオキサイド、n−プロピ
ルハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
【0031】ジアルキルパーオキサレイト系としては、
ジ−t−ブチルパーオキサレイト、ジ−メチルパーオキ
サレイト、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサレイ
ト、ジ−エチルパーオキサレイト、ジ−n−プロピルパ
ーオキサレイト、t−ブチルメチルパーオキサレイト、
t−ブチルエチルパーオキレイト、t−ブチルn−プロ
ピルパーオキサレイト、メチルエチルパーオキサレイ
ト、メチルn−プロピルパーオキサレイト、エチルn−
プロピルパーオキサレイトなどが挙げられる。
【0032】パーオキシケタール系としては、1,1−
ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)バレレイト、2,2−ビス(4,4−ジ−t
−ブチルパーオキシヘキシル)プロパンなどが挙げられ
る。
【0033】上記パーオキサイドの中で、さらに好まし
くはパーオキシエステル系、パーオキシモノカーボネイ
ト系、ジアルキルパーオキサイド系である。これらパー
オキサイドは、1種単独で使用することも、あるいは2
種以上を混合して用いることもできる。
【0034】パーオキサイドの使用量は、ビニル系単量
体(B)100重量部に対して0.01〜10重量部が
好ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
0.01重量部未満ではモノマー転化率が低く、未反応
ビニル系単量体(B)が多く残り、生産上好ましくな
い。一方、10重量部を超えると、グラフトされたビニ
ル系単量体(B)の分子量が著しく低下し、充分な耐衝
撃性が得られない。
【0035】乳化重合または懸濁重合に際しては、上記
パーオキサイド、公知の連鎖移動剤および乳化剤などが
使用される。連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシ
ルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどの
メルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、四
塩化炭素、臭化エチレン、ペンタンフェニルエタンなど
の炭化水素塩類、またはアクロレイン、メタクロレイ
ン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコ
ール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
これら連鎖移動剤は、単独でも2種以上を組み合わせて
も使用することができる。
【0036】連鎖移動剤の使用量は、ビニル系単量体
(B)100重量部に対し、2.0重量部以下、好まし
くは1.0重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部
以下、特に好ましくは0重量部である。連鎖移動剤の使
用量が2.0重量部を超えると、下記、の理由によ
り、高グラフト率、低コストで、本発明の目的とするグ
ラフト共重合体が得られない。 パーオキサイドより生成したラジカルが連鎖移動剤の
連鎖移動反応により消費され、ポリオルガノシロキサン
(A)のグラフト基点の生成効率が著しく低下する。 グラフト基点となるポリオルガノシロキサン(A)ラ
ジカルが、連鎖移動剤の連鎖移動反応によりトラップさ
れ、その結果グラフト反応が停止し易くなる。
【0037】乳化重合に用いられる乳化剤としては、ア
ニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、および両
性界面活性剤が挙げられる。このうち、アニオン性界面
活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステ
ル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸
塩、リン酸系などが挙げられる。また、ノニオン性界面
活性剤としては、通常、ポリエチレングリコールのアル
キルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェノ
ール型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤とし
ては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル
塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分
としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つもの
が挙げられる。この両性界面活性剤の具体例としては、
ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン
類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニ
ン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ
(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸タイプのもの
などが用いられる。これらの乳化剤は、1種単独で使用
することも、あるいは2種以上を混合して用いることも
できる。乳化剤の使用量は、ビニル系単量体(B)10
0重量部に対し、通常、0.1〜5.0重量部程度であ
る。
【0038】なお、乳化剤分子中には、炭素−塩素結
合、炭素−臭素結合、炭素−ヨウ素結合、イオウ−水素
結合、アリール構造のメチレン水素やメチン水素などの
引き抜かれやすい原子があると、下記、の理由によ
り、高グラフト率、低コストで本発明の目的とするグラ
フト共重合体が得られない。 パーオキサイドより生成したラジカルが上記原子の引
き抜き反応に消費され、ポリオルガノシロキサン(A)
のグラフト基点の生成効率が著しく低下する。 グラフト基点となるポリオルガノシロキサン(A)ラ
ジカルを生成しても、上記原子の連鎖移動反応によりト
ラップされ、その結果、グラフト反応が停止し易くな
る。
【0039】グラフト重合に際しては、パーオキサイ
ド、乳化剤、連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各
種電解質、pH調整剤などを併用して、ビニル系単量体
(B)100重量部に対して、通常、水を100〜50
0重量部と、上記パーオキサイド、乳化剤、連鎖移動剤
などを上記範囲内の量使用し、通常、重合温度5〜16
0℃、重合時間0.1〜20時間の条件で重合される。
【0040】一方、懸濁重合に用いる安定剤としては、
水溶液高分子物質として、天然物安定剤、半合成物安定
剤、合成物安定剤、そのほか難溶性微粉末状無機化合物
安定剤などが用いられる。このうち、天然物安定剤とし
ては、ゼラチン、デンプン、トラガントなどが挙げられ
る。また、半合成物安定剤としては、メチル繊維ケイ素
や水飴などが挙げられる。さらに、合成物安定剤として
は、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、
ポリアクリル酸塩などが挙げられる。さらに、難溶性微
粉末状無機化合物安定剤としては、硫酸バリウム、硫酸
カルシウム、タルク、ベンゾエイト、粘土、金属微粉
末、微粉末状金属酸化物、ケイ酸、ケイソウ土などが挙
げられる。これら安定剤は、1種単独で使用すること
も、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
安定剤の使用量は、ビニル系単量体(B)100重量部
に対し、通常、0.1〜20重量部程度である。また、
表面張力、粘度などの調整、あるいは溶解性モノマーの
溶解度減少のために、上記安定剤とは別に、他の補助安
定剤を用いることができる。補助安定剤としては、塩化
ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化カ
リウムなどの塩類を挙げることができる。補助安定剤の
使用量は、ビニル系単量体(B)100重量部に対し、
通常、0.05〜0.1重量部程度である。
【0041】本発明のグラフト共重合体は、上記の乳化
重合により得られるラテックスを、通常法により凝固さ
せ、得られた粉末を水洗したのち、乾燥することによっ
て精製される。また、懸濁重合により得られるスラリー
は、そのまま水洗し、乾燥することにより精製される。
得られたグラフト共重合体は、押し出し機などの混練り
機でペレット化することができる。
【0042】この際、本発明のグラフト共重合体には、
目的に応じて下記の他の熱可塑性樹脂とブレンドし、熱
可塑性樹脂組成物とすることが可能である。この他の熱
可塑性樹脂としては、ポリブタジエン、ブタジエン−ス
チレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、ポリイソプレン、天然ゴムなどのジエン系ゴム、ア
クリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体、塩素化ブチルゴム、塩
素化ポリエチレンなどのオレフィン系ゴム、スチレン−
ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−
スチレンラジアルテレブロック共重合体などの芳香族ビ
ニル化合物−共役ジエン系ブロック共重合体、該ブロッ
ク共重合体の水素添加物、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体、ゴム強化ポリスチレン(HI
PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂
(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピ
レン−スチレン樹脂(AES樹脂)、メタクリル酸メチ
ル−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、アクリ
ロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸メチル−スチレ
ン樹脂、アクリロニトリル−n−ブチルアクリレート−
スチレン樹脂(AAS樹脂)、アクリロニトリル−スチ
レン樹脂(AS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリアセタール、ポリアミド、エポキシ樹
脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、PPS樹脂、ポリエーテルエーテ
ルケトン、PPO樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ゴム変
性PPO樹脂、スチレン−マレイミド系共重合体、ゴム
変性スチレン−マレイミド系共重合体、ポリアミド系エ
ラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げら
れる。
【0043】これらのブレンド比は、本発明のグラフト
共重合体/他の熱可塑性樹脂=1〜99/99〜1(重
量%)である。グラフト共重合体の割合が、1重量%未
満では耐衝撃性が低下し、一方99重量%を超えると、
成形加工性が低下し好ましくない場合がある。
【0044】グラフト共重合体と上記他の熱可塑性樹脂
とのブレンドは、通常、押し出し機、ニーダー、ブレン
ダー、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダーなど
の混練り機を用い、160〜300℃の溶融温度で、混
練りすることにより実施される。
【0045】ペレット化されたグラフト共重合体、熱可
塑性樹脂組成物は、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、
押し出し成形、真空成形などの通常の手段により、加
工、成形される。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断ら
ない限り重量部および重量%である。また、実施中、各
種測定項目は、下記に従った。
【0047】ポリオルガノシロキサン(A)のテトラヒ
ドロフラン不溶分 スターラーバーで攪拌したアセトン100ml中に、ポ
リオルガノシロキサンラテックスを約5ml投入し、凝
固させ、ポリオルガノシロキサンを取り出して70℃で
1昼夜真空乾燥した。次いで、100mlフラスコに、
ポリオルガノシロキサンを精秤(0.15g前後)した
のち、テトラヒドロフラン(THF)50mlをホール
ピペットで仕込み、50℃の温水槽で2時間、スターラ
ーバー攪拌した。次いで、THF不溶分とTHF可溶分
を200番のろ紙で分別後、THF可溶分を10mlホ
ールピペットで精秤したアルミニウム製の皿に採取し、
ホットプレート上でTHFを蒸発させ、THF可溶分を
求め、次式に従い、THF不溶分を算出した。 THF不溶分(%)=〔(精秤したポリオルガノシロキ
サン量−THF可溶分×5)/(精秤したポリオルガノ
シロキサン)〕×100重量平均分子量 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
より、展開溶媒クロロホルムにて、重量平均分子量を測
定した。
【0048】グラフト率および極限粘度 グラフト共重合体生成物の一定量(w)を、アセトン中
に投入し、振とう機で2時間振とうし、遊離の共重合体
を溶解させ、遠心分離機を用いて回転数23,000r
pmで30分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離し
た。次に、真空乾燥機を用い、恒量になるまで乾燥を充
分行い、不溶分(q)、可溶分(r)を得、次式に従い
グラフト率を算出した。 グラフト率(%)={〔q−w×グラフト共重合体生成
物中のポリオルガノシロキサン(A)の生成分率〕/
〔w×グラフト共重合体生成物中のポリオルガノシロキ
サン(A)の生成分率〕}×100 また、可溶分(r)を所定量メチルエチルケトンに溶解
し、30℃にてウベローデ型粘度計で極限粘度を測定し
た。
【0049】アイゾット衝撃強度(IMP)(ノッチ付
) ASTM D256に従い、1/4インチ試験片を使用
し、23℃で測定した。単位は、kgf・cm/cmで
ある。耐候試験後のアイゾット衝撃強度は、サンシャイ
ンウェザーメーター〔東海理化(株)製、WE−USN
−HC型〕を用い、200時間暴露(63℃、雨あり)
後、アイゾット衝撃強度を測定した。低温耐衝撃性は、
耐候試験前の試験片を、−30℃で測定したアイゾット
衝撃強度である。光沢度 ASTM D523、45℃で測定した。単位は、%で
ある。
【0050】摺動特性 摺動特性は、鈴木式摺動試験機を使用し、相手剤として
はスチール(S45C)を用いた。試験片は、外径2
5.6mm、内径20.0mmの中空円筒状のものを用
い、相手剤も同様の形状のものを用いた。摺動試験の条
件は、室温23℃、湿度50%の雰囲気で荷重2kg、
走行速度500mm/秒、走行時間=10時間、走行距
離=18kmで測定した。磨耗量の測定は、(試験前の
試験片重量)−(試験後の試験片重量)により算出し、
動摩擦係数は、次式により算出した。 μ=〔3×F×R×(r2 2−r1 2)〕/〔P×(r2 3
1 3)〕 式中、μは動摩擦係数、Fはロードセルの与える力、R
はロードセルまでのアーム長、r1 試験片内径、r2
試験片外径、Pは荷重を表す。
【0051】実施例1 コンデンサー、チッ素導入口および攪拌機を備えたセパ
ラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ン100部をドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶
解した蒸留水300部中に入れ、超音波混合機により1
時間攪拌して乳化微分散させた。この混合液を、コンデ
ンサー、チッ素導入口および攪拌機を備えたセパラブル
フラスコに移し、攪拌混合しながら90℃で6時間加熱
し、35℃で5時間冷却後、炭酸水素ナトリウムでpH
7に中和しすることで縮重合を完結させた。得られたポ
リオルガノシロキサンのオクタメチルシクロテトラシロ
キサンの重合転化率は90.5%、重量平均分子量≒3
0万であった。
【0052】このポリオルガノシロキサンラテックスを
固形分換算で40部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム0.5部および蒸留水140部を混合し、滴下
ビン、コンデンサー、チッ素導入口および攪拌機を備え
たセパラブルフラスコに移し、さらに全スチレン量の2
0%に相当するスチレン8.6部、全アクルロニトリル
量の20%に相当するアクルロニトリル3.4部、t−
ブチルパーオキシラウレイトを0.269部(9.87
×10-4mol)を加えて、75℃まで昇温したのち、
ピロリン酸ソーダ0.2部、ブドウ糖0.25部、硫酸
第一鉄0.004部を加え、バッチ重合した。
【0053】1時間後、残りのスチレン34.4部、残
りのアクリロニトリル13.6部、ドデシルベンゼンス
ルホ酸ナトリウム1.084部およびイオン交換水42
部、パーオキサイドとして、t−ブチルパーオキシラウ
レイト0.135部(5.00×10-4mol)を、ホ
モミキサーにより5分間攪拌して乳化微分散させた混合
液を滴下ビンを使用して6時間にわたって添加する滴下
重合を行った。滴下終了後、1時間重合反応させ、重合
が終了したので冷却した。重合転化率は97.5%であ
った。得られたグラフト共重合体ラテックスを、2部の
塩化カルシウムを溶解した温水中に投入し、塩析凝固を
行って、グラフト共重合体を分離した。このグラフト共
重合体をよく水洗したのち、75℃で24時間乾燥し、
白色粉末状のグラフト共重合体を得た。
【0054】次いで、このグラフト共重合体粉末40部
と、極限粘度=0.60でポリアクリロニトリル含有量
28%のスチレン/アクルロニトリル共重合体(AS樹
脂)60部とを混合し、熱可塑性樹脂組成物を調製し
た。この熱可塑性樹脂組成物を、2軸押し出し機を使用
し、シリンダー温度230℃で押し出し加工し、ペレッ
ト化を行い、物性評価を行った。得られた熱可塑性樹脂
組物は、耐衝撃性、耐候性、光沢、摺動性に優れたもの
であった。評価結果を表1に示す。
【0055】実施例2 実施例1で合成したグラフト共重合体粉末、AS樹脂お
よびABS樹脂を、表1に示す割合で混合し、実施例1
と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、分析・評価
した。得られた熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、光
沢、摺動性に優れたものであった。結果を表1に示す。
【0056】実施例3〜4 実施例1で合成したポリオルガノシロキサンの使用量、
グラフト共重合体調製時のパーオキサイド種、ビニル系
単量体(B)種と使用量、およびブレンド樹脂の種類・
使用量を変更し、実施例1に準じてグラフト共重合体、
熱可塑性樹脂組成物を調製し、分析・評価した。得られ
た熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、耐衝撃性、光沢、摺
動性に優れたものであった。結果を表1に示す。
【0057】比較例1 実施例1のポリオルガノシロキサン調製時のオルガノシ
ロキサンとして、オクタメチルシクロテトラシロキサン
のほかに、グラフト交叉剤としてn−プロピルジメトキ
シシラン、および架橋剤としてトリエトキシメチルシラ
ンを、表2に示す割合で用い、実施例1に準じて変性ポ
リオルガノシロキサンラテックスを合成した。重合転化
率は89.2%、テトラヒドロフラン不溶分は95.3
%であった。このポリオルガノシロキサンラテックスを
固形分換算で40部用い、グラフト共重合体合成時の開
始剤種、ビニル系単量体量を変更した以外は、実施例1
と同様にしてグラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物を
調製し、分析・評価した。結果を表2に示す。得られた
熱可塑性樹脂組成物は、ポリオルガノシロキサンのリジ
ッド性の指標(耐衝撃性)となるテトラヒドロフラン不
溶分が本発明の上限を超えた例であり、ポリオルガノシ
ロキサンがリジッド化しすぎ、摺動性、耐衝撃性が悪化
し、さらに、グラフト化後の二重結合が残存するため、
耐候試験後の物性低下が著しく、さらに極限粘度が著し
く低く耐衝撃性も低下し、良好な熱可塑性樹脂組成物を
得ることができなかった。
【0058】比較例2 比較例1で合成したグラフト共重合体を用い、実施例2
と同様に熱可塑性樹脂組成物を調製し、分析・評価し
た。結果を表2に示す。得られた熱可塑性樹脂組成物
は、耐衝撃性、光沢、摺動性の不充分なものであった。
【0059】比較例3 実施例1のポリオルガノシロキサン調製時のオルガノシ
ロキサンとして、オクタメチルシクロテトラシロキサン
のほかに、グラフト交叉剤剤としてγ−メタクリロキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、架橋剤としてテトラ
エトキシシランを、表2に示す割合で用い、実施例1に
準じて変性ポリオルガノシロキサンラテックスを合成し
た。重合転化率は93.4%、テトラヒドロフラン不溶
分は92.4%であった。このポリオルガノシロキサン
ラテックスを固形分換算で16部用い、グラフト共重合
体合成時の開始剤種と量、ビニル系単量体量を変量した
以外は、実施例1と同様にグラフト共重合体、熱可塑性
樹脂組成物を調製し、分析・評価した。結果を表2に示
す。比較例3は、ポリオルガノシロキサンのリジッド性
の指標(耐衝撃性)となるテトラヒドロフラン不溶分が
本発明の上限を超えた例であり、さらにグラフト率が非
常に高く、ポリオルガノシロキサンがASで覆われて、
摺動性、耐摩耗性が極端に悪化しており、また極限粘度
が高すぎて光沢も低下していることが分かる。
【0060】比較例4 実施例1において、ポリオルガノシロキサン調製時に、
架橋剤としてメチルトリメトキシシランを用い、ポリオ
ルガノシロキサンラテックスを合成した。重合転化率は
90.8%、テトラヒドロフラン不溶分は93.7%で
あった。このポリオルガノシロキサンラテックスを用
い、グラフト共重合体合成時の開始剤種を変更した以外
は、実施例1と同様にグラフト共重合体、熱可塑性樹脂
組成物を調製し、分析・評価した。結果を表2に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、ポリオルガノシロキサ
ンがリジッド化しすぎ、耐摩耗性が悪化し、さらにグラ
フト反応が全く進行しないため、グラフト界面が存在せ
ず、層状剥離が生ずる重大な不良が起き、熱可塑性樹脂
組成物としての価値を持たなかった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】本発明のグラフト共重合体、これを用い
た熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、摺動性、耐摩耗性、
光沢、耐衝撃性、低温耐衝撃性に優れている。このよう
に、本発明のグラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物
は、摺動部材および耐候性部材などとして有用であり、
その工業的意義は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川橋 信夫 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 岩井 一樹 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラヒドロフラン不溶分が90重量%
    以下のポリオルガノシロキサン(A)5〜80重量%の
    存在下に、ビニル系単量体(B)95〜20重量%〔た
    だし、(A)+(B)=100重量%〕を重合して得ら
    れ、グラフト率が1〜300%、かつマトリックス成分
    の極限粘度が0.15〜4であることを特徴とするグラ
    フト共重合体。
  2. 【請求項2】 ポリオルガノシロキサンの重量平均分子
    量が10万〜100万である、請求項1記載のグラフト
    共重合体。
  3. 【請求項3】 ポリオルガノシロキサン(A)が、分子
    鎖中に、グラフト交叉剤を5.0重量%以下および/ま
    たは架橋剤を10.0重量%以下含有している請求項1
    記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれ1項記載のグラフト
    共重合体1〜99重量部および他の熱可塑性樹脂99〜
    1重量部を主成分とする熱可塑性樹脂組成物。
JP31844195A 1995-11-14 1995-11-14 グラフト共重合体、および熱可塑性樹脂組成物 Withdrawn JPH09136928A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003091342A1 (fr) * 2002-04-26 2003-11-06 Kaneka Corporation Composition de resine thermoplastique ignifuge

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