JPWO2003075425A1 - 窒化物系半導体レーザ素子 - Google Patents

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慶一 吉年
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隆司 狩野
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Abstract

光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することが可能な窒化物系半導体レーザ素子が得られる。この窒化物系半導体レーザ素子は、n型クラッド層3と、n型クラッド層3上に形成されたMQW発光層4と、MQW発光層4上に形成されたp型クラッド層5およびp型コンタクト層6と、p型クラッド層5およびp型コンタクト層6の電流通過領域8以外の領域に、炭素を導入することにより形成されたイオン注入光吸収層7とを備えている。

Description

技術分野
本発明は、窒化物系半導体レーザ素子に関し、特に、光吸収層を有する窒化物系半導体レーザ素子に関する。
背景技術
近年、窒化物系半導体レーザ素子は、次世代の大容量光ディスク用光源としての利用が期待され、その開発が盛んに行われている。
図173は、従来の窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。まず、図173を参照して、従来の窒化物系半導体レーザ素子の構造について説明する。この従来の窒化物系半導体レーザ素子では、サファイア基板1001上に、n型GaNからなるn型コンタクト層1002と、n型AlGaNからなるn型クラッド層1003と、InGaNからなるMQW(Multiple Quantum Well:多重量子井戸)活性層1004と、凸部を有するとともに、p型AlGaNからなるp型クラッド層1005とが形成されている。p型クラッド層1005の凸部上には、p型GaNからなるp型コンタクト層1006が形成されている。p型クラッド層1005の凸部と、p型コンタクト層1006とによって、電流通過領域(電流通路)となるリッジ部1020が形成されている。
また、n型コンタクト層1002の露出された上面の一部に開口部を有するとともに、p型コンタクト層1006の上面を除く全面を覆うように、SiOなどの誘電体からなる電流ブロック層1007が形成されている。そして、p型コンタクト層1006上には、p側オーミック電極1008が形成されている。このp側オーミック電極1008の上面に接触するように、p側パッド電極1009が形成されている。また、電流ブロック層1007の開口部内に露出されたn型コンタクト層1002の上面上に接触するように、n側オーミック電極1010が形成されている。このn側オーミック電極1010上には、n側パッド電極1011が形成されている。
従来の窒化物系半導体レーザ素子では、リッジ部1020および電流ブロック層1007により、電流通過領域の制限および光の横方向の閉じ込めを行っている。すなわち、p型クラッド層1005は、凸部を有するため、p型クラッド層1005の電流通過領域となるリッジ部1020を構成する部分と、それ以外の部分とで膜厚が異なる。これにより、横方向の屈折率差を設けることができるので、横方向の光閉じ込めを行うことができる。また、電流ブロック層1007により電流通過領域を制限することができる。ここで、電流通過領域の幅および横方向の屈折率差は、レーザ素子の特性に強く影響するため、厳密に制御する必要がある。図173に示した従来の構造では、電流通過領域の幅は、リッジ部1020により制御される。また、横方向の屈折率差は、リッジ部1020の幅と、リッジ部1020以外の部分でのp型クラッド層1005の膜厚とによって制御される。この場合、リッジ部1020以外の部分でのp型クラッド層1005の膜厚は、リッジ部1020を形成する際のp型クラッド層1005のエッチング深さによって制御される。従来の窒化物系半導体レーザ素子では、良好な素子特性を得るためには、p型クラッド層1005のエッチング深さを0.01μmオーダーで高精度に制御する必要があった。
また、電流通過領域の幅を制御する技術として、イオン注入により素子中に高抵抗領域を形成する方法も知られている。これらは、特開平9−45962号公報や特開平11−214800号公報に開示されている。
しかしながら、図173に示した従来の構造では、エッチング深さの厳密な制御は困難であるため、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することが困難であるという不都合があった。その結果、窒化物系半導体レーザ素子の製造歩留まりが低下するという問題点があった。
また、上記特開平9−45962号公報および特開平11−214800号公報に開示された電流通過領域の幅を制御する技術では、横方向の光の閉じ込めについては、特に考慮されていない。このような電流通過領域の幅を制御する電流狭窄のみを行ったレーザ構造は、一般に利得導波構造と呼ばれる。この利得導波構造では、横方向の光の閉じ込めが不安定になるという問題点があった。
発明の開示
この発明の1つの目的は、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することが可能な窒化物系半導体レーザ素子を提供することである。
この発明のもう1つの目的は、上記した窒化物系半導体レーザ素子において、素子の歩留まりを向上させることである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による窒化物系半導体レーザ素子は、第1窒化物系半導体層と、第1窒化物系半導体層上に形成された発光層と、発光層上に形成された第2窒化物系半導体層と、第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層の電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、第1不純物元素を導入することにより形成された光吸収層とを備えている。
この一の局面による窒化物系半導体レーザ素子では、上記のように、第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層の電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、第1不純物元素を導入することにより光吸収層を設けることによって、たとえば、イオン注入により第1不純物元素を導入することにより光吸収層を形成すれば、イオン注入法は再現性がよいので、光吸収層を再現性よく形成することができる。これにより、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することができる。その結果、従来のリッジ部を有する窒化物系半導体レーザ素子に比べて、歩留まりを向上させることができる。また、第1不純物元素を導入することにより形成された光吸収層と、電流通過領域との界面には、従来のリッジ部を有する構造と異なり、凹凸や高密度の結晶欠陥が存在しないので、リーク電流の発生を大幅に抑制することができる。また、第1不純物元素を導入することにより光吸収層を形成することによって、従来の凸形状のリッジ部が存在しなくなるので、発光層に近い素子の表面側から放熱基台にジャンクションダウン方式で取り付ける場合に、凸形状のリッジ部に応力が加わることに起因して素子特性が劣化するとともに、凸形状のリッジ部のために放熱基台との接触面積が小さくなることに起因して放熱特性が悪化するという不都合も生じない。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、光吸収層の上面と、電流通過領域の上面とは、実質的に同一面上に形成されている。このように構成すれば、容易に、素子表面の凹凸を低減することができる。これにより、発光層に近い素子の表面側から放熱基台にジャンクションダウン方式で取り付ける場合に、従来のリッジ構造に比べて凸部に加わる応力を低減することができるので、応力に起因して素子特性が劣化するのを抑制することができる。また、素子表面の凹凸の低減によって、放熱基台との接触面積を大きくすることができるので、良好な放熱特性を得ることができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、第2窒化物系半導体層は、電流通過領域を含む凸状のリッジ部を有する。このように構成すれば、たとえば、第2窒化物系半導体層のリッジ部以外の領域に、イオン注入により第1不純物元素を導入することにより光吸収層を形成すれば、イオン注入法は再現性がよいので、光吸収層を、再現性よく第2窒化物系半導体層のリッジ部以外の領域に形成することができる。これにより、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することができる。その結果、リッジ部による電流狭窄を行いながら、横モードを再現性よく安定化させることができる。また、横モードを安定化させることができるので、高次モード発振により生じるキンク(電流−光出力特性の曲がり)の発生を抑制することができる。これにより、高い最大光出力を得ることができるとともに、ビーム形状を安定化させることができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、光吸収層の側端部は、実質的にリッジ部の側端部の直下に位置する。このように構成すれば、電流狭窄の幅と光閉じ込めの幅とをほぼ同じにすることができるので、電流狭窄および光吸収層による光吸収を良好に行うことができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、光吸収層の側端部は、リッジ部の側端部から所定の間隔を隔てた位置に設けられている。このように構成すれば、光吸収層間の間隔(光閉じ込めの幅)をリッジ部の幅(電流狭窄の幅)よりも大きくすることができるので、リッジ部直下の大きい光強度を有する部分の光吸収が過大になるのを抑制することができるとともに、電流狭窄を強めることができる。これにより、しきい値電流が増大するのをより抑制することができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、光吸収層は、リッジ部の両側面部に設けられている。このように構成すれば、リッジ部の両側面部に設けられた光吸収層によって、リッジ部により、電流狭窄のみならず、光の横方向の閉じ込めをも行うことができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ部は、第1不純物元素を導入する前に形成してもよい。このように構成すれば、たとえば、第2窒化物系半導体層のリッジ部以外の領域に、イオン注入により第1不純物元素を導入することにより光吸収層を形成する場合に、注入深さを大きくする必要がないので、注入エネルギを小さくすることができる。これにより、不純物プロファイルの広がり幅を小さくすることができるので、注入深さを精度よく制御することができる。その結果、発光層にまで不純物元素が達するのを防止することができるので、不純物元素による発光層へのダメージを防止することができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、リッジ部は、第1不純物元素を導入した後に形成してもよい。このように構成すれば、たとえば、第2窒化物系半導体層のリッジ部形成領域以外の領域に、イオン注入により第1不純物元素を導入することにより光吸収層を形成する場合に、注入エネルギを大きくすることによりリッジ部の高さ以上の注入深さを有する光吸収層を形成する必要がある。この場合、注入エネルギが大きくなるので、不純物プロファイルの広がり幅が大きくなる。これにより、不純物濃度のピーク深さ近傍のプロファイルを平坦化することができるので、光吸収層の光吸収機能を平坦化(均一化)することができる。その結果、光の横方向の閉じ込めを安定化させることができる。
上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、光吸収層は、電流通過領域よりも結晶欠陥が多い。このように構成すれば、光吸収層に多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、光吸収層は、電流阻止機能を有する。このように構成すれば、光の横方向の閉じ込めと電流狭窄とを同時に行うことができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層の電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、第2不純物元素を導入することによって形成された電流阻止層をさらに備える。このように光吸収層とは別個に電流阻止層を形成すれば、光閉じ込めの幅と、電流通過領域の幅とを異ならせることができる。
上記の窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、光吸収層は、第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層の電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、第1不純物元素をイオン注入することにより形成されている。このように光吸収層をイオン注入により形成すれば、容易に、光吸収層を再現性よく形成することができる。
なお、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層は、高抵抗を有しているか、または、電流通過領域と逆の導電型を有しているかのいずれかである。このように構成すれば、容易に、光吸収層に電流阻止機能を持たせることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素は、3族および5族元素以外の不純物元素であってもよい。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素は、炭素よりも質量数の多い不純物元素であってもよい。このように構成すれば、イオンのチャネリングを防止することができるので、不純物イオンが深く注入されるのを抑制することができる。その結果、深さ方向の注入プロファイルの制御性を向上させることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素の不純物濃度の極大値は、5.0×1019cm−3以上であってもよい。このように構成すれば、光吸収層に結晶欠陥を十分な密度で発生させることができるので、光吸収層の吸収係数を十分に大きくすることができる。これにより、光の横方向閉じ込めを十分に行うことができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素を含む第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層の少なくとも一方の結晶欠陥密度の極大値は、5×1018cm−3以上であってもよい。このように構成すれば、光の吸収係数が十分大きくなるので、光の横方向閉じ込めを十分に行うことができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の吸収係数の極大値は、1×10cm−1以上であってもよい。このように構成すれば、光の横方向閉じ込めを十分に行うことができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素の導入後に、熱処理されている。このように構成すれば、吸収係数を容易に制御することができる。この場合、熱処理により吸収係数を減少させるようにしてもよい。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層は、窒化物系半導体の[0001]方向から傾斜した方向からイオン注入されることにより形成されている。このように構成すれば、イオンのチャネリングを防止することができるので、不純物イオンが深く注入されるのを抑制することができる。その結果、深さ方向の注入プロファイルの制御性を向上させることができる。この場合、窒化物系半導体の表面は(0001)面であり、光吸収層はストライプ状の幅を除いて形成され、その光吸収層が形成されないストライプ方向と、窒化物系半導体の表面に対して垂直な方向とを含む面内において、窒化物系半導体の[0001]方向から傾斜した方向からイオン注入する。これにより、光吸収層をストライプ状の幅を除いて形成するためのマスクの下部に、イオンが非対称に注入されるのを防止しながら、イオンのチャネリングを防止することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流阻止層は、高抵抗を有する窒化物系半導体からなるようにしてもよい。このように構成すれば、たとえば、p型ドーパントを含む領域に水素を導入することにより、容易に高抵抗層を形成することができるので、容易に、電流阻止層を形成することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流通過領域は、p型を有し、電流阻止層は、電流通過領域よりも水素を高密度に含むようにしてもよい。このように構成すれば、p型ドーパントを含む領域に水素を導入することにより、容易に、電流阻止層を形成することができる。この場合、水素を含む雰囲気中で熱処理することによって、電流通過領域よりも水素を高密度に含む電流阻止層を形成するようにしてもよい。このように構成すれば、水素の拡散により、容易に、電流阻止層を形成することができる。この場合、イオン注入より拡散の方が、結晶欠陥が導入されにくいので、素子の信頼性を向上させることができる。特に、光吸収層は第1の幅を除いて形成され、電流狭窄層は第2の幅を除いて形成され、第2の幅の領域は、第1の幅の領域内に形成され、第1の幅は第2の幅よりも大きくなるようにしてもよい。また、電流狭窄層は、発光層から第2の距離だけ深さ方向に離れて形成され、光吸収層は発光層から第1の距離だけ深さ方向に離れて形成され、第1の距離が第2の距離よりも大きくなるように形成してもよい。このように構成すれば、発光層に近い領域の結晶欠陥を低減することができるので、上記した水素拡散による素子の信頼性向上の効果は大きい。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流阻止層は、電流通過領域と逆の導電型を有する。このように構成すれば、たとえば、電流通過領域と逆の導電型のドーパントを電流阻止層に導入することにより、容易に逆の導電型の窒化物系半導体を形成することができるので、容易に、電流阻止層を形成することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第2不純物元素は、3族および5族元素以外の不純物元素であってもよい。この場合、第2不純物元素は、第1不純物元素と異なる元素であってもよい。このように構成すれば、導入する不純物元素が異なるので、第1不純物元素と第2不純物元素との濃度のプロファイルを容易に異ならせることができる。したがって、光吸収層の形状および電流阻止層の形状を容易に制御することができる。また、電流阻止層の導電型を容易に制御することができる。また、電流阻止層の形成の際には、比較的軽い元素をイオン注入することにより、結晶欠陥が過度に形成されるのを防止することができる。その一方、光吸収層の形成の際には、比較的重い元素をイオン注入することにより、低いドーズ量で結晶欠陥を導入することができるので、高ドーズ量(高濃度)の場合と異なり、導入した元素が発光層に拡散して素子の特性に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流阻止層は、第2不純物元素をイオン注入することにより形成されている。このように構成すれば、イオン注入により、表面から深い位置まで不純物元素を導入することができる。また、拡散では、ドーパント元素などの限られた元素を用いる必要があるが、イオン注入では、注入する元素の選択の範囲が広いという利点もある。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流阻止層は、第2の不純物元素を斜め上方からマスク層の下部にイオン注入することにより形成されている。このように構成すれば、第1の幅を除いて光吸収層が形成されるとともに、第2の幅を除いて電流狭窄層が形成され、第1の幅は、第2の幅よりも大きく、かつ、第2の幅の領域は、第1の幅の領域内に形成される。これにより、光閉じ込めの幅よりも電流通過領域の幅を狭くすることができる。その結果、電流狭窄を強めると同時に、光吸収層による光吸収を低減できるため、しきい値電流の低減や、スロープ効率の向上を図ることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流阻止層は、第2不純物元素を拡散することにより形成されている。この場合、イオン注入より拡散の方が、結晶欠陥が導入されにくいので、素子の信頼性を向上させることができる。特に、電流狭窄層は第2の幅を除いて形成され、光吸収層は第1の幅を除いて形成され、第2の幅の領域は、第1の幅の領域内に形成され、第1の幅は第2の幅よりも大きくしてもよい。また、電流狭窄層は、発光層から第2の距離だけ深さ方向に離れて形成され、光吸収層は発光層から第1の距離だけ深さ方向に離れて形成され、第1の距離が第2の距離よりも大きくなるように形成してもよい。このように構成すれば、発光層に近い領域の結晶欠陥を低減することができるので、上記した拡散による素子の信頼性向上の効果は大きい。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1の幅を除いて光吸収層が形成されるとともに、第2の幅を除いて電流狭窄層が形成され、第1の幅は、第2の幅よりも大きく、かつ、第2の幅の領域は、第1の幅の領域内に形成されるようにしてもよい。これにより、電流狭窄を強めると同時に、光吸収層による光吸収を低減できるため、しきい値電流の低減や、スロープ効率の向上を図ることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層は、発光層から第1の距離だけ深さ方向に離れて形成されるとともに、電流阻止層は、発光層から第2の距離だけ深さ方向に離れて形成され、第1の距離が第2の距離よりも大きくなるようにしてもよい。このように構成すれば、光閉じ込めの幅よりも電流通過領域の幅が広くなるのを抑制することができる。これにより、電流狭窄を強めると同時に、光吸収層による光吸収を低減できるため、しきい値電流の低減や、スロープ効率の向上を図ることができる。この場合、第2の距離は、0でもよく、電流阻止層は発光層に形成されていてもよい。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の第1不純物元素の濃度より、電流阻止層の第2不純物元素の濃度の方が低くてもよい。このように構成すれば、電流阻止層にイオン注入で第2不純物元素を注入する場合、光吸収層の結晶欠陥の密度より、電流阻止層における結晶欠陥の密度を低くすることができるので、電流阻止層における光吸収を十分小さくすることができる。これにより、電流阻止層における不必要な光吸収を抑制することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の結晶欠陥の密度より、電流阻止層の結晶欠陥の密度の方が低くてもよい。このように構成すれば、電流阻止層における光吸収を十分に小さくすることができるので、電流阻止層における不必要な光吸収を抑制することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の上部または下部の領域の発光層における第1不純物元素の不純物濃度は、5.0×1018cm−3以下であってもよい。このように構成すれば、光吸収層の上部または下部の領域の発光層の結晶欠陥を低減することができるので、素子の寿命を向上させることができる。
また、上記第一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の上部または下部の領域に位置する発光層における結晶欠陥の密度が5.0×1017cm−3以下であってもよい。このように構成すれば、光吸収層の上部または下部の領域の発光層の結晶欠陥が少ないため、素子の寿命を向上させることができる。
また、上記第一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層は、クラッド層を含み、第1不純物元素は、クラッド層においてその濃度が極大となっている。このように構成すれば、クラッド層内に十分な密度で結晶欠陥を発生させることができるので、十分な光吸収効果を有する光吸収層をクラッド層内に形成することができる。クラッド層内には、ある程度光がしみ出すため、光吸収層をクラッド層内に設けることにより、有効に光を吸収することができる。したがって、十分な横方向の光の閉じ込め効果を有すると同時に、光吸収層の上部または下部の領域の発光層の結晶欠陥が少ないため、素子の寿命を向上させることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層が発光層に形成されないように、光吸収層を形成してもよい。さらに好ましくは、光吸収層は、発光層から、0より大きい有限の第1の距離だけ深さ方向に離れて形成されていてもよい。このように構成すれば、光吸収層の上部または下部の領域の発光層の結晶欠陥が少ないため、素子の寿命を向上させることができる。
また、上記第一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層は、クラッド層を含み、光吸収層の結晶欠陥の密度は、クラッド層において極大となっている。このように構成すれば、十分な光吸収効果を有する光吸収層をクラッド層内に形成することができる。このように構成すれば、光吸収層の上部または下部の領域の発光層の結晶欠陥が少ないため、素子の寿命を向上させることができる。
また、上記第一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1窒化物系半導体層および第2窒化物系半導体層は、クラッド層を含み、光吸収層の光吸収係数は、クラッド層において極大となっている。このように構成すれば、十分な横方向の光閉じ込め効果を有すると同時に、光吸収層の上部または下部の領域の発光層の欠陥が少ないため、素子の寿命を向上させることができる。
また、上記第一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1窒化物系半導体層に、第1不純物元素が導入された後、第1窒化物系半導体層上に発光層が形成されている。このように構成すれば、第一窒化物系半導体層側での光の横方向の閉じ込めを行うことができる。また、発光層にイオン注入をしていないために、発光層の欠陥を低減することができ、その結果、素子の寿命を向上させることができる。また、第2窒化物系半導体層側のコンタクト層にイオンを注入しない構成では、欠陥濃度の低い第2窒化物系半導体層側のコンタクト層を広い面積で形成することができる。したがって、第2窒化物系半導体層側のコンタクト層のキャリア濃度を向上することができるので、第2窒化物系半導体層側のコンタクト層と電極との間のコンタクト面積を広くできる。その結果、第2窒化物系半導体層側のコンタクト抵抗を低くすることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素の不純物濃度は、発光層において極大となっていてもよい。このように構成すれば、発光層の面内方向に強い複素屈折率差を形成することができるので、第1不純物元素のドーズ量を少なくすることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、結晶欠陥の密度は、発光層において極大となっていてもよい。このように構成すれば、発光層の面内方向に強い複素屈折率差を形成することができるので、第1不純物元素のドーズ量を少なくすることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の光吸収係数は、発光層において極大となってもよい。このように構成すれば、発光層の面内方向に強い複素屈折率差を形成することができるので、第1不純物元素のドーズ量が少なくてよい。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、発光層上の第2窒化物系半導体層に第1不純物元素が導入されることにより光吸収層が形成された後、第2窒化物系半導体層上にコンタクト層が形成されている。このように構成すれば、発光層よりも上側のコンタクト層にイオン注入しないので、結晶欠陥の少ないコンタクト層を広い面積で形成することができる。これにより、発光層よりも上側のコンタクト層のキャリア濃度を向上させることができるので、発光層よりも上側のコンタクト層と電極層とのコンタクト抵抗を低減することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素は、スルー膜を介してイオン注入されている。このように構成すれば、イオンのチャネリングを防止することができるので、不純物イオンが深く注入されるのを抑制することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、スルー膜は絶縁膜であってもよい。このように構成すれば、スルー膜に用いた絶縁膜を、光吸収層上あるいは電流阻止層上の絶縁膜として利用することができるので、電流阻止をより確実に行うことができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1不純物元素は、第1の阻止能力を有する第1イオン透過領域と、第1イオン透過領域よりもイオンが透過しにくい第2の阻止能力とを有する第2のイオン透過領域を有するスルー膜を介して、イオン注入されている。このように構成すれば、1回のイオン注入で注入深さの異なる領域を同時に形成することができる。これにより、光閉じ込めの幅と電流通過領域の幅とが異なる構造を1回のイオン注入で形成することができる。したがって、光閉じ込め領域と電流阻止領域を、それぞれ別の工程で形成する必要がないので、工程を簡略化することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第1の阻止能力を有する第1領域と、イオンがほとんど透過しない第3の阻止能力を有する第2領域を含む第1の膜をスルー膜として用いるとともに、前記第2領域をマスクとして用いて、前記第1不純物元素がイオン注入されている。このように構成すれば、所定の幅の非注入領域を容易に形成することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、第2窒化物系半導体層上に形成された電極層をさらに備え、電極層をマスクとして、スルー膜を介して、第2窒化物系半導体層に第1不純物元素がイオン注入される。このように構成すれば、マスク層となる電極層をコンタクト電極として利用することができるので、製造プロセスを簡略化することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の上に絶縁膜を設けてもよい。このように構成すれば、大電流を素子に流したときに、微小なリーク電流が発生することを防止することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層は、第1の幅を除いて形成され、第1の幅よりも狭い幅で第2窒化物系半導体層にオーミック接触する電極層をさらに備える。このように構成すれば、光閉じ込めの幅よりも電流通過領域の幅を小さくすることができる。これにより、電流狭窄を強めると同時に、光吸収層による光吸収を低減できるため、しきい値電流の低減や、スロープ効率の向上を図ることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層は、第1の幅を除いて形成され、第1の幅よりも広い幅で第2窒化物系半導体層にオーミック接触する電極層をさらに備える。このように構成すれば、電極の熱伝達係数は高いので、第2窒化物系半導体層上に大面積の電極を形成することにより、素子の放熱特性を向上させることができる。この結果、素子の寿命を向上させることができる。また、素子の表面を平坦にすることができるので、ジャンクションダウン方式で組み立てた時に、サブマウントとの接触面積が増大するとともに、密着性が向上し、その結果、放熱特性が向上する。これによっても、素子の寿命を向上させることができる。また、電極層の接触面積を大きくすることができるので、コンタクト抵抗を低減することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、第2窒化物系半導体層の表面から発光層を貫通する領域にわたって、第3不純物元素を導入することによって形成された高抵抗の電気的分離領域をさらに備える。このように構成すれば、p型半導体間、または、p型半導体−n型半導体間を電気的に分離することができる。したがって、第2窒化物系半導体層側の表面が平坦な素子を形成することができる。また、複数の素子を容易に集積化することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電気的分離領域は、第3不純物元素をイオン注入することにより形成してもよい。このように構成すれば、イオン注入では表面から深い位置まで不純物元素を導入することができるので、深い電気的分離領域を容易に形成することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流通過領域以外の領域で、かつ、電気的分離領域以外の領域の少なくとも一部に、第2窒化物系半導体層の表面から発光層を貫通する領域にわたって、第4不純物元素を導入することによって、第2窒化物系半導体層から発光層を貫通する領域が第1窒化物系半導体層と同じ導電型を有している。このように構成すれば、第1窒化物系半導体層側の電極と、第2窒化物系半導体層側の電極とを基板と反対側に形成することにより、第2窒化物系半導体層側の表面が平坦な素子を容易に形成することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、窒化物系半導体レーザ素子は、放熱のための基台に対して、発光層に近い側の表面から取り付けられるジャンクションダウン方式で組み立てられている窒化物系半導体レーザ素子を含む。このように構成すれば、素子領域の表面に凹凸が少ないので、ジャンクションダウン方式で組み立てることによって、素子領域に加わる応力を低減でき、その結果、素子特性の劣化を抑制することができる。また、ジャンクションダウン方式で組み立てる時にサブマウントなどと均一に融着することができるので、素子の放熱特性が良好となる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層は、電流通過領域と素子の側端部との間において、複数に分割されている。このように構成すれば、光吸収層の形成領域が大きくなるのを抑制することができるので、発光層の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができる。その結果、しきい値電流が増大するのを抑制することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流通過領域側の光吸収層は、素子の側端部側の光吸収層よりも小さい深さを有する。このように構成すれば、発光層の近傍の光吸収が過大になるのをより抑制することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、電流通過領域側の光吸収層は、発光層中に達しない深さを有する。このように構成すれば、容易に、発光層の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の素子の共振器端面近傍の側端部間の第1の幅は、光吸収層の素子の中央部近傍の側端部間の第2の幅よりも小さい。このように構成すれば、素子の共振器端面において、良好に光の横方向の閉じ込めを行うことができるので、横モードを安定化させることができる。これにより、高次モード発振により生じるキンク(電流−光出力特性の曲がり)の発生を抑制することができる。また、素子の中央部において、発光層の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができるので、しきい値電流が増大するのを抑制することができる。その結果、しきい値電流の増加、スロープ効率の低下およびキンクレベルの低下を抑制しながら、ビーム形状を安定化させることができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の第1の幅を有する領域と第2の幅を有する領域との境界領域は、第1の幅から第2の幅に近づくように徐々に大きくなる幅を有する。このように構成すれば、光吸収の急激な変化を抑制することができるので、素子の共振器端面近傍と素子の中央部近傍との間における結合損失を抑えることができる。これにより、出力特性が低下するのを抑制することができる。
また、上記一の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、光吸収層の第1の幅を有する領域と第2の幅を有する領域との境界領域は、平面的に見てテーパ形状に形成されている。このように構成すれば、容易に、光吸収層の第1の幅を有する領域と第2の幅を有する領域との境界領域の幅を、第1の幅から第2の幅に近づくように徐々に大きくなるように形成することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1および図2を参照して、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造について説明する。この第1実施形態では、n型GaN基板1上に、約1μmの厚みを有するGaNからなるn型層2と、約1μmの厚みを有するAl0.08Ga0.92Nからなるn型クラッド層3と、MQW発光層4とがこの順で形成されている。MQW発光層4は、約8nmの厚みを有するInGa1−XNからなる3層の量子井戸層4cと、約16nmの厚みを有するInGa1−YNからなる4層の障壁層4bとが交互に積層されたMQW活性層を含む。第1実施形態のMQW活性層では、X=0.13、Y=0.05に設定している。MQW活性層の下面上には、約0.1μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるn型光ガイド層4aが形成されている。また、MQW活性層の上面上には、約20nmの厚みを有するAl0.1Ga0.9Nからなるp型キャップ層4dと、約0.1μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるp型光ガイド層4eとがこの順で形成されている。なお、MQW発光層4は、本発明の「発光層」の一例であり、n型層2およびn型クラッド層3は、本発明の「第1窒化物系半導体層」の一例である。
MQW発光層4上には、約0.28μmの厚みを有するAl0.08Ga0.92Nからなるp型クラッド層5と、約0.07μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるp型コンタクト層6とが形成されている。p型クラッド層5およびp型コンタクト層6は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、この第1実施形態では、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層7が設けられている。なお、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層7は、本発明の「光吸収層」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層7は、多量のイオンが半導体中に注入されることによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域8となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.1μmの幅で形成されている。
図3は、イオン注入領域の概略を示す拡大断面図である。なお、イオン注入光吸収層7は、イオン注入領域を示しており、マスク層9aは、イオン注入時のマスク層を示している。また、図3では、窒化物系半導体層の層構造は示していない。図3において、Rpがピーク深さであり、ピーク深さの位置は、実線7aで示される。また、本発明の実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、Rp+ΔRpを注入深さ(イオン注入光吸収層7の厚み)と定義した。ここで、ΔRpは飛程の標準偏差である。また、イオン注入時のマスク層9aの下部に、イオン注入時に、イオンの横方向への広がり(ΔRl)が生じる。ここで、イオン注入時のマスク層9aの幅をWとすると、マスク層9aの下部のイオンが注入されない領域8aの幅Bは、B=W−2×ΔRlとなる。なお、図3以外の断面図では、図を簡略化するために、イオンの横方向への広がりを図示していない。
また、第1実施形態におけるイオン注入光吸収層7は、イオン注入光吸収層7に多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能するとともに、高抵抗を有するので電流狭窄層としても機能する。なお、イオン注入光吸収層7において、電流狭窄だけでなく光の横方向の閉じ込めも十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が約5×1019cm−3以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層7は、電流通過領域8よりも結晶欠陥が多くなるので、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
p型コンタクト層6の電流通過領域8の上面上には、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極9が、約2.2μmの電極幅でストライプ状(細長状)に形成されている。また、p側オーミック電極9の側面とp型コンタクト層6の上面とを覆うように、SiOからなる絶縁膜10が形成されている。絶縁膜10上には、p側オーミック電極9の上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約150nmの厚みを有するPt層と、約3μmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極11が形成されている。
また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの膜厚を有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約100nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極12が形成されている。n側オーミック電極12の裏面上には、n側オーミック電極12に近い方から順に、約10nmの厚みを有するNi層と、約700nmの厚みを有するAu層とからなるn側パッド電極13が形成されている。
第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、MQW発光層4上に形成されたp型クラッド層5およびp型コンタクト層6の電流通過領域8以外の領域に炭素をイオン注入することにより形成されたイオン注入光吸収層7を設けることによって、イオン注入法は、再現性がよいので、イオン注入光吸収層7を再現性よく形成することができる。これにより、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することができる。その結果、従来のリッジ部を有する窒化物系半導体レーザ素子に比べて、歩留まりを向上させることができる。
また、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入により形成されたイオン注入光吸収層7を設けることによって、従来のエッチングにより形成されたリッジ部を有する構造と異なり、イオン注入光吸収層7と、電流通過領域8との界面に、凹凸や高密度の結晶欠陥が発生しない。これにより、結晶欠陥に起因したリーク電流の発生を大幅に抑制することができる。
第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、p型クラッド層5において注入イオンがピークとなるので、p型クラッド層5内に十分な密度で結晶欠陥を発生させることができる。これにより、十分な光吸収効果を有するイオン注入光吸収層7をp型クラッド層5内に形成することができる。その結果、十分な横方向の光の閉じ込め効果を有する。また、イオン注入光吸収層7は、MQW発光層4から、0.03μmの第1の距離だけ深さ方向に離れて形成されており、イオン注入光吸収層7の下方のMQW発光層4の結晶欠陥が少ないため、素子の寿命の低下を抑制することができる。
また、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入によって形成されたイオン注入光吸収層7を設けることによって、従来の凸形状のリッジ部が不要となる。これにより、MQW発光層4に近い素子の表面側から放熱基台にジャンクションダウン方式で取り付ける場合に、凸形状のリッジ部に応力が加わることに起因して素子特性が劣化するという不都合が生じない。また、凸形状のリッジ部のために放熱基台との接触面積が小さくなることに起因して放熱特性が悪化するという不都合も生じない。
また、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入光吸収層7上に、絶縁膜10を形成するので、素子に大電流が注入された場合に、微少なリーク電流が発生するのを防止することができる。
次に、図1〜図9を参照して、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示すように、n型GaN基板1上に、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相堆積法)を用いて、約1μmの厚みを有するGaNからなるn型層2と、約1μmの厚みを有するAl0.8GaNからなるn型クラッド層3とを順次形成する。このn型クラッド層3上に、図2に示したように、約0.1μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるn型光ガイド層4aと、約8nmの厚みを有するInGa1−XNからなる3層の量子井戸層4cおよび約16nmの厚みを有するInGa1−YNからなる4層の障壁層4bが積層されたMQW活性層と、約20nmの厚みを有するAl0.1Ga0.9Nからなるp型キャップ層4dと、約0.1μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるp型光ガイド層4eとからなるMQW発光層4を形成する。このMQW発光層4上に、約0.28μmの厚みを有するAl0.08Ga0.92Nからなるp型クラッド層5と、約0.07μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるp型コンタクト層6とを順次形成する。なお、n型ドーパントとして、Siを添加しており、p型ドーパントとして、Mgを添加している。
次に、図5に示すように、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の電流通過領域8となる領域の上面上に、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極9を約2.2μmの電極幅でストライプ状(細長状)に形成する。なお、p側オーミック電極9の電極幅は、約1μm〜約6μmの範囲であれば、電流通路を十分に確保することができるとともに、光の横方向の閉じ込めも良好に行うことができる。
すなわち、p側オーミック電極9の電極幅を約1μm以下とした場合は、p側オーミック電極9とp型コンタクト層6との接触面積が小さくなるので、コンタクト抵抗が増加する。また、後述するように、このp側オーミック電極9をマスクとしてイオン注入を行うと、横方向にも結晶欠陥が導入される。これにより、この領域が高抵抗となるため、実効的な電流通過領域8の幅が小さくなり、そのため、電流密度が過大となる。その結果、温度上昇が大きくなるので、動作電流の増大や、素子寿命の低下などの原因となる。さらに極端な場合には、実効的な電流通路を確保することができなくなり、その結果、素子への電流注入ができなくなるおそれがある。一方、p側オーミック電極9の電極幅を6μmより大きくすると、電流通過領域8の幅が過大となるため、電流密度が過小となる。その結果、しきい値電流が大幅に増大するおそれがある。さらに、イオン注入光吸収層7がMQW発光層4の発光部分から離れすぎるため、横方向の光の閉じ込めが不十分になるおそれがある。したがって、p側オーミック電極9の電極幅は、約1μm〜約6μmの範囲にするのが好ましい。
次に、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極9およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約60nmの厚みを有するSiOからなるスルー膜14を形成する。
次に、図6に示すように、p側オーミック電極9をマスクとして、スルー膜14を介して、p型コンタクト層6およびp型クラッド層5の所定の領域に炭素を多量にイオン注入することにより、p型コンタクト層6の上面から、約0.32μmのイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層7を形成する。これにより、約2.1μmの電流通過幅を有する電流通過領域8が形成される。なお、第1実施形態の炭素のイオン注入条件は、イオン注入エネルギが約95keV、ドーズ量が約2.3×1015cm−2で行った。なお、イオン注入の方向は、p型コンタクト層6の表面に対して垂直な方向(p型コンタクト層6の[0001]方向)から、p側オーミック電極9のストライプ方向に約7°傾斜させた方向から行った。
なお、この第1実施形態のイオン注入条件(注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約2.3×1015cm−2)でイオン注入を行った場合の素子の深さ方向の炭素濃度プロファイル、および、イオン注入により結晶中に生じる結晶欠陥濃度プロファイルのシミュレーション結果は、図8に示すようになる。なお、このシミュレーションは、株式会社IBMの技術者により一般に提供されているTRIMと呼ばれるシミュレーションソフトを用いて行った。図8を参照して、第1実施形態のイオン注入条件によるシミュレーション結果では、炭素濃度のピーク深さRpは、約0.23μmとなるとともに、このピーク深さRpにおける炭素濃度は、約1.0×1020cm−3となる。また、このグラフの標準偏差ΔRpは、約0.1μmとなる。
また、TRIMを用いたシミュレーションにより、炭素および結晶欠陥のイオン注入方向に対して垂直な方向(横方向)への広がり分布をシミュレートしたところ、図2に模式的に示すように、約0.12μm程度の横方向への広がり(ΔRl)が生じることがわかった。これにより、第1実施形態では、イオン注入光吸収層7の幅により規定される電流通過領域8の幅は、イオン注入時のマスク層の幅から、導入イオンの横方向へ注入広がりを考慮した値としている。なお、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、p側オーミック電極9の幅(約2.2μm)と、p側オーミック電極9の側面に形成されたスルー膜14の膜厚(左右で計約0.1μm)との合計値(約2.3μm)がイオン注入時のマスク層の幅Wとなる。このマスク層の幅から、横方向への注入広がり(ΔRl)の2倍である約0.2μmを引くことにより、マスク層の下部のイオンが注入されない領域の幅Bである電流通過領域8の幅(約2.1μm)が得られる。
また、図8を参照して、この第1実施形態では、炭素濃度、結晶欠陥濃度ともにp型クラッド層5にピークが存在している。また、図8からは明確ではないが、より詳細には、シミュレーションでは、結晶欠陥の濃度分布は、炭素の濃度分布よりも、約0.02μmピーク深さが浅くなることがわかった。
また、第1実施形態のイオン注入条件による素子のSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析による炭素濃度分布の測定結果は、図9に示すようになった。なお、SIMS分析による測定条件は、1次イオンとしてCsイオンを用いるとともに、1次イオン加速電圧を15kV、1次イオン電流を25nAとした。この測定条件で、試料の120×120μmの領域において、1次イオンをラスタースキャンすることにより、1次イオンを照射した。このときに、試料上の直径60μmの領域から出てくるCイオン(2次イオン)を検出することによって、深さ方向の炭素濃度分布を測定した。なお、図9中の、注入深さ約0.6μm以上のところでは、炭素濃度が一定(約2×1017cm−3)となっているが、これは、イオン注入により導入されたものではなく、結晶成長により形成した窒化物系半導体層にもともと存在していた炭素濃度である。図9中の破線で示した低濃度領域の濃度プロファイルは、これを考慮して、窒化物系半導体層に元々含まれる炭素濃度(約2×1017cm−3)を除いたものである。
図9を参照して、SIMS分析による実際の炭素濃度測定においても、上記したシミュレーション結果と同様、炭素濃度分布のピークはp型クラッド層5中にあることがわかった。このSIMS分析による測定結果での炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.15μmの深さとなった。
上記のように、TRIMによるシミュレーション結果では、炭素濃度分布のピーク深さRpは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmの深さになったのに対し、SIMS分析による炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.15μmの深さとなった。このように、第1実施形態の条件により炭素をイオン注入した場合、TRIMによる炭素濃度のピーク深さの試算値と、SIMS分析によるピーク深さの測定値との間に約0.08μmのずれが生じる。なお、このずれの大きさは、注入元素の種類や注入条件によって変化する。たとえば、注入エネルギ:110keV、ドーズ量:1×1015cm−2の条件で、シリコンのイオン注入を行った場合、TRIMによるピーク深さの試算値は、約0.15μmとなり、SIMSによるピーク深さの測定値は、約0.10μmとなる。このように、TRIMによる注入不純物濃度のピーク深さの試算値と、SIMSによる注入不純物濃度のピーク深さの測定値とは、必ずしも完全に一致するわけではない。その一方、イオン注入法による注入不純物濃度プロファイルは、注入条件さえ定めれば、非常に高い再現性を得ることができる。これにより、同様の注入不純物濃度プロファイルを有する複数の素子を容易に得ることが可能であることが知られている。なお、本発明による各実施形態では、原則として、上記したTRIMによる試算値を用いて記述する。
上記のように、イオン注入によりイオン注入光吸収層7を形成した後、フッ酸系エッチャントによるウェットエッチングを用いて、スルー膜14を除去する。その後、図7に示すように、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6およびp側オーミック電極9の上面の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するSiOからなる絶縁膜10を形成する。そして、フトリソグラフ技術を用いることにより、p側オーミック電極9の上面に開口部を有するレジスト膜(図示せず)を形成する。このレジスト膜をマスクとして、CFガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法によって、p側オーミック電極9の上面上に位置する絶縁膜10を除去する。これにより、p側オーミック電極9の上面を露出させる。
最後に、図1に示したように、絶縁膜10の上面上に、p側オーミック電極9の露出された上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約150nmの厚みを有するPt層と、約3μmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極11を真空蒸着する。そして、n型GaN基板1の裏面を所定の膜厚(たとえば100μm)に研磨した後、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い側から、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの厚みを有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約100nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極12を形成する。さらに、n側オーミック電極12上に、n側オーミック電極12に近い側から約10nmの厚みを有するNi層と、約700nmの厚みを有するAu層とからなるn側パッド電極13を形成することによって、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、p型コンタクト層6の[0001]方向から約7°傾斜した方向から炭素を注入することにより、炭素のチャネリングを抑制することができるので、炭素が素子内に深く注入されるのを抑制することができる。その結果、深さ方向の注入プロファイルの制御性が高まる。特に、p側オーミック電極9のストライプ方向に傾斜した方向からイオン注入することによって、p側オーミック電極9の下方の電流通過領域8にイオンが注入されるのを防止することができる。
また、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入前に素子の上面をスルー膜14で覆うことによって、より効果的に、炭素のチャネリングを防止することができる。これにより、炭素が素子内に深く注入されるのをより抑制することができるので、深さ方向の注入プロファイルの制御性がより高まる。
また、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入のマスクとして用いたp側オーミック電極9をコンタクト電極として利用できるので、製造工程を簡略化することができる。
(第2実施形態)
図10を参照して、この第2実施形態では、第1実施形態と異なり、電流通過領域の幅を大きくするとともに、スルー膜を形成していない。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
図10を参照して、この第2実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
この第2実施形態では、第1実施形態と同様、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層17が設けられている。なお、イオン注入光吸収層17は、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層17は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域18となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.8μmの幅で形成されている。この第2実施形態の窒化物系半導体レーザ素子の電流通過領域48の幅(約2.8μm)は、第1実施形態の窒化物系半導体レーザ素子の電流通過領域8の幅(約2.1μm)よりも大きい。
また、第2実施形態におけるイオン注入光吸収層17は、イオン注入光吸収層17に多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能するとともに、高抵抗を有するので電流狭窄層としても機能する。なお、イオン注入光吸収層17において、電流狭窄だけでなく光の横方向の閉じ込めも十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が約5×1019cm−3以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層17は、電流通過領域18よりも結晶欠陥が多くなるので、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
p型コンタクト層6の電流通過領域18の上面上には、第1実施形態と同様、p側オーミック電極19が、約2.0μmの電極幅でストライプ状(細長状)に形成されている。これにより、第2実施形態では、p側オーミック電極19の電極幅(約2.0μm)が、電流通過領域18の幅(約2.8μm)よりも小さくなる。また、p側オーミック電極19の側面とp型コンタクト層6とを覆うように、絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20上には、p側オーミック電極19の上面に接触するように、p側パッド電極21が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から、n側オーミック電極12およびn側パッド電極43が形成されている。なお、各層19〜21の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9〜11のそれぞれと同様である。なお、p型キャリア密度の不足しやすい窒化物系半導体レーザ素子では、一般に、p側に注入された電流は、あまり四方に拡散することなくMQW活性層に導入されることが知られている。このため、p側の電極から注入された電流は、電流通過領域18内で、あまり横方向に広がることなくMQW活性層に到達する。
第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入光吸収層17の間隔(電流通過領域18の幅)よりもp側オーミック電極19の幅を小さくすることによって、発光強度の強い電極直下の光吸収をより抑制することができる。これにより、しきい値電流の増加やスロープ効率(電流−光出力特性)の低下を抑制することができる。
次に、図10〜図13を参照して、第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。この第2実施形態の製造プロセスでは、非注入領域拡大膜を用いて、電流通過領域18の幅を広くするとともに、スルー膜を形成しない場合の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図11に示すように、第1実施形態と同様、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、約2μmの幅を有するp側オーミック電極19をストライプ状に形成する。
この後、第2実施形態では、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極19およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約500nmの厚みを有するSiOからなる非注入領域拡大膜22を形成する。そして、CFガスを用いたRIE法により、非注入領域拡大膜22を異方性エッチングする。これにより、p側オーミック電極19の両方の側壁部分に、それぞれ、図12に示されるような、約500nmの幅を有する非注入領域拡大膜22aが形成される。その後、p側オーミック電極19および非注入領域拡大膜22aをマスク(マスクの幅約3μm)として、イオン注入を行う。すなわち、イオン注入エネルギが約80keV、ドーズ量が約2.3×1015cm−2の条件で、炭素のイオン注入を行うことによって、イオン注入光吸収層17を形成する。この後、フッ酸系エッチャントによるウェットエッチングを用いて、非注入領域拡大膜22aを除去する。
次に、図13に示すように、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6およびp側オーミック電極19の上面の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するSiOからなる絶縁膜20を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極19の上面を露出させる。
最後に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、絶縁膜20上に、p側オーミック電極19の上面に接触するように、p側パッド電極21を形成するとともに、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、そのn型GaN基板1の裏面に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図10に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第3実施形態)
図14を参照して、この第3実施形態では、第1実施形態と異なり、電流通過領域の幅を狭くするとともに、スルー膜を形成していない。第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
図14を参照して、この第3実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、この第3実施形態では、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層27が設けられている。なお、イオン注入光吸収層27は、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層27は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域28となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.0μmの幅で形成されている。
また、第3実施形態におけるイオン注入光吸収層27は、イオン注入光吸収層27に多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能するとともに、高抵抗を有するので電流狭窄層としても機能する。なお、イオン注入光吸収層27において、電流狭窄だけでなく光の横方向の閉じ込めも十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が約5×1019cm−3以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層27は、電流通過領域28よりも結晶欠陥が多くなるので、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
p型コンタクト層6の電流通過領域28の上面上には、第1実施形態と同様、p側オーミック電極29が、約2.2μmの電極幅でストライプ状に形成されている。ここで、第3実施形態では、p側オーミック電極29の電極幅(約2.2μm)は、電流通過領域28の幅(約2.0μm)とほぼ同じになる。また、p側オーミック電極29の側面とp型コンタクト層6とを覆うように、絶縁膜30が形成されている。絶縁膜30上には、p側オーミック電極29の上面に接触するように、p側パッド電極31が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層29〜31の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9〜11とそれぞれ同様である。
第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p側オーミック電極29の電極幅と、電流通過領域28の幅とをほぼ同一にすることにより、ほぼ第1実施形態と同様の効果を得ることができる。ただし、第1実施形態に比べて、しきい値電流が少し増加するとともに、スロープ効率が少し低下する。
次に、図14〜図17を参照して、第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。この第3実施形態では、スルー膜を形成しない場合の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図15に示すように、第1実施形態と同様、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、約2.2μmの幅を有するp側オーミック電極29をストライプ状に形成する。
この後、第3実施形態では、図16に示すように、スルー膜を形成せずにp側オーミック電極29をマスクとして、直接、炭素のイオン注入を行うことによって、約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層27を形成する。なお、第3実施形態のイオン注入は、イオン注入エネルギが約80keV、ドーズ量が約2.3×1015cm−2の条件で行った。
次に、図17に示すように、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6およびp側オーミック電極29の上面の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜30を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極29の上面を露出させる。
最後に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極29および絶縁膜30上に、p側パッド電極31を形成するとともに、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、そのn型GaN基板1の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図14に示した第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、スルー膜の形成工程および除去工程が不要であるので、製造工程を簡略化することができる。
(第4実施形態)
図18を参照して、この第4実施形態では、第1実施形態の構造において、p型コンタクト層と、p側パッド電極との間に、絶縁膜を形成しない場合の例について説明する。第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図18を参照して、第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造について説明する。この第4実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、第4実施形態では、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層37が設けられている。なお、イオン注入光吸収層37は、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層37は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域38となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.1μmの幅で形成されている。
また、第4実施形態におけるイオン注入光吸収層37は、イオン注入光吸収層37に多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能するとともに、高抵抗を有するので電流狭窄層としても機能する。なお、イオン注入光吸収層37において、電流狭窄だけでなく光の横方向の閉じ込めも十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が約5×1019cm−3以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層37は、電流通過領域38よりも結晶欠陥が多くなるので、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
p型コンタクト層6の電流通過領域38の上面上には、p側オーミック電極39が、約2.2μmの電極幅でストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極39およびp型コンタクト層6の上面に接触するように、絶縁膜を介さずに直接、p側パッド電極40が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層39および40の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9および11とそれぞれ同様である。
第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型コンタクト層6と、p側パッド電極40との間に絶縁膜を形成しないことによって、絶縁膜の形成工程を省略することができる。
また、第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型コンタクト層6と、p側パッド電極40との間の絶縁膜がないので、素子に大電流を印加した場合は、イオン注入光吸収層37の結晶欠陥を介して、微少なリーク電流が発生することがあるが、通常電流の範囲内の使用については、ほぼ第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスは、絶縁膜形成工程がないこと以外は、第1実施形態の製造プロセスと同様である。
(第5実施形態)
図19を参照して、この第5実施形態では、第1実施形態と異なり、p型コンタクト層上に、ZrOからなる絶縁膜を薄く形成する場合の例について説明する。第5実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図19を参照して、第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造について説明する。この第5実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
また、第5実施形態では、第1実施形態と同様、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層47が設けられている。なお、イオン注入光吸収層47は、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層47は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域48となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.1μmの幅で形成されている。
また、第5実施形態におけるイオン注入光吸収層47は、イオン注入光吸収層47に多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能するとともに、高抵抗を有するので電流狭窄層としても機能する。なお、イオン注入光吸収層47において、電流狭窄だけでなく光の横方向の閉じ込めも十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が約5×1019cm−3以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層47は、電流通過領域48よりも結晶欠陥が多くなるので、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
ここで、この第5実施形態では、p型コンタクト層6の電流通過領域48の上面上に開口部50aを有するとともに、約50nmの薄い厚みを有するZrOからなる絶縁膜50が形成されている。なお、この開口部50aの幅は、電流通過領域48の幅よりも狭く形成されている。この絶縁膜50上には、絶縁膜50の開口部50aを介して、p型コンタクト層6の上面に接触するとともに、絶縁膜50の上面上に延びるように、p側オーミック電極49が形成されている。また、p側オーミック電極49の上面上には、p側パッド電極51が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。
第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、ZrOからなる絶縁膜50の厚みが非常に薄い(約50nm)ため、p側パッド電極51の表面をより平坦にすることができる。これにより、MQW発光層4に近い素子の表面側から放熱基台にジャンクションダウン方式で取り付ける場合に、従来の凸形状のリッジ部に応力が加わることに起因して素子特性が劣化するという不都合が生じない。また、素子表面をより平坦にすることによって、凸形状のリッジ部のために放熱基台との接触面積が小さくなることに起因して放熱特性が悪化するという不都合も生じない。
次に、図19〜図24を参照して、第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図20に示すように、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、約1.0μmの厚みを有するSiOからなるイオン注入マスク層(図示せず)を形成する。このイオン注入マスク層を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることによって、約2.2μmの幅を有するストライプ状のSiOからなるイオン注入マスク層52を形成する。そして、第1実施形態と同様、イオン注入マスク層52およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、SiOからなるスルー膜53を形成する。
そして、図21に示すように、SiOからなるイオン注入マスク層52をマスクとして、スルー膜53を介して、第1実施形態と同様の条件で、炭素のイオン注入を行うことによって、イオン注入光吸収層47を形成する。この後、CFガスによるドライエッチングを用いて、スルー膜53を除去する。
その後、第5実施形態では、図22に示すように、p型コンタクト層6およびSiOからなるイオン注入マスク層52の上面の全面を覆うように、EB蒸着法を用いて、約50nmの厚みを有するZrOからなる絶縁膜50bを素子の垂直方向から蒸着する。この場合、素子の垂直方向から蒸着することにより、イオン注入マスク層52の側壁部には、絶縁膜50bはほとんど形成されない。
次に、図23に示すように、フッ酸系エッチャントによるエッチングを行うことによって、SiOからなるイオン注入マスク層52と、ZrOからなる絶縁膜50bの一部とを除去する。この場合、ZrOからなる絶縁膜50bは、ほとんどエッチングされないので、イオン注入マスク層52の側壁部に位置する絶縁膜50bのみが完全に除去される。これにより、SiOからなるイオン注入マスク層52は、イオン注入マスク層52の側壁部に位置する絶縁膜50bが除去された後、完全に除去される。その結果、図23に示されるような、電流通過領域48の上面上に開口部50aを有する絶縁膜50が形成される。
最後に、図24に示すように、絶縁膜50上に、開口部を介してp型コンタクト層6の上面に接触するように、p側オーミック電極49およびp側パッド電極51を形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、n型GaN基板1の裏面上に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図19に示した第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。なお、各層51、12および13の膜厚および組成は、第1実施形態の各層11〜13とそれぞれ同様である。
第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入マスク層52の材料としてウェットエッチングが容易なSiOを用いるとともに、絶縁膜50bの材料としてSiOと異なるZrOを用いることによって、イオン注入後に、SiOからなるイオン注入マスク層52をウェットエッチングにより除去することによって、容易に、絶縁膜50bに開口部50aを形成することができるので、生産性を向上することができる。
(第6実施形態)
図25を参照して、この第6実施形態では、第5実施形態の構造から絶縁膜50を除いた場合の例について説明する。
まず、図25を参照して、この第6実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
この第6実施形態では、第1実施形態と同様、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層57が設けられている。なお、イオン注入光吸収層57は、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収57は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域58となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.1μmの幅で形成されている。
また、第6実施形態におけるイオン注入光吸収層57は、イオン注入光吸収層57に多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能するとともに、高抵抗を有するので電流狭窄層としても機能する。なお、イオン注入光吸収層57において、電流狭窄だけでなく光の横方向の閉じ込めも十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が約5×1019cm−3以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層57は、電流通過領域58よりも結晶欠陥が多くなるので、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
ここで、第6実施形態では、p型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、p側オーミック電極59が形成されている。このp側オーミック電極59上には、p側パッド電極60が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。
第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型コンタクト層6上に、直接、p側オーミック電極59を形成することによって、p側パッド電極60の表面を完全に平坦にすることができる。これにより、MQW発光層4に近い素子の表面側から放熱基台にジャンクションダウン方式で取り付ける場合に、従来のリッジ構造および第1〜第5実施形態の構造に比べて電流通過領域58に加わる応力をより低減することができるので、素子特性が劣化するのをより抑制することができる。また、素子表面を完全に平坦にすることによって、放熱基台との接触面積を大きくすることができるので、より良好な放熱特性を得ることができる。
また、第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子において、p側オーミック電極59の熱伝達係数は、SiOなどの絶縁膜に比べて大きいので、p型コンタクト層6上に、大面積のp側オーミック電極59を直接形成することによって、素子の放熱特性をより向上させることができる。その結果、素子寿命を向上させることができる。
次に、図25〜図28を参照して、図25に示した第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。この第6実施形態では、ZrOからなる絶縁膜を形成するプロセスがないこと以外は、第5実施形態の製造プロセスと同様である。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、約1μmの厚みを有するSiOからなるイオン注入マスク層(図示せず)を形成する。このイオン注入マスク層を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることによって、図26に示すような、約2.2μmの幅を有するストライプ状のイオン注入マスク層61を形成する。そして、第1実施形態と同様、p型コンタクト層6およびイオン注入マスク層61の上面の全面を覆うように、SiOからなるスルー膜62を形成する。
その後、図27に示すように、SiOからなるイオン注入マスク層61をマスクとして、スルー膜62を介して、第1実施形態と同様の条件で、炭素のイオン注入を行うことによって、イオン注入光吸収層57を形成する。
ここで、第6実施形態では、図28に示すように、フッ酸系エッチャントによるウェットエッチングを用いて、SiOからなるスルー膜62およびSiOからなるイオン注入マスク層61を完全に除去する。
最後に、p型コンタクト層6の上面の全面上に、p側オーミック電極59と、p側パッド電極60を形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、n型GaN基板1の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図25に示した第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、第5実施形態と異なり、絶縁膜50を形成しないので、製造工程を簡略化することができる。
(第7実施形態)
図29を参照して、この第7実施形態では、第5実施形態の構造に比べて、p型Al0.01Ga0.99Nからなるp型コンタクト層とp側オーミック電極との接触面積が小さいこと以外は、第5実施形態の構造と同様である。
まず、図29を参照して、この第7実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
この第7実施形態では、第1実施形態と同様、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層67が設けられている。なお、イオン注入光吸収層67は、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.23μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層67は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域68となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.1μmの幅で形成されている。
また、第7実施形態におけるイオン注入光吸収層67は、イオン注入光吸収層67に多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能するとともに、高抵抗を有するので電流狭窄層としても機能する。なお、イオン注入光吸収層67において、電流狭窄だけでなく光の横方向の閉じ込めも十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が約5×1019cm−3以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層67は、電流通過領域68よりも結晶欠陥が多くなるので、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
ここで、第7実施形態では、p型コンタクト層6の電流通過領域68の上面上に、開口部70a(幅約1.0μm)を有するとともに、約50nmの薄い厚みを有するZrOからなる絶縁膜70が形成されている。なお、この開口部70aの幅は、電流通過領域68の幅(約2.2μm)よりも狭く、かつ、第5実施形態の開口部50a(図19参照)の幅よりも狭く形成されている。この絶縁膜70上には、絶縁膜70の開口部70aを介して、p型コンタクト層6の上面に接触するように、p側オーミック電極69が形成されている。p側オーミック電極69の上面に接触するように、p側パッド電極71が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。
第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、第5実施形態と比べて、絶縁膜70の開口部70aを小さくすることによって、p側オーミック電極69とp型コンタクト層6との接触幅を小さくすることができるので、第5実施形態と比べて電流狭窄の幅をより小さくすることができる。
次に、図29〜図33を参照して、第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。この第7実施形態では、p型コンタクト層上のZrOからなる絶縁膜の開口部を狭く形成する以外の製造プロセスは、第5実施形態と同様である。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、約1μmの厚みを有するとともに、SiOからなるイオン注入マスク層(図示せず)を形成する。このイオン注入マスク層を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることによって、図30に示すように、約2.2μmの幅を有するストライプ状のSiOからなるイオン注入マスク層72を形成する。そして、第1実施形態と同様、p型コンタクト層6およびイオン注入マスク層72の表面の全面を覆うように、SiOからなるスルー膜73を形成する。
その後、図31に示すように、SiOからなるイオン注入マスク層72をマスクとして、スルー膜73を介して、第1実施形態と同様の条件で、炭素のイオン注入を行うことによって、イオン注入光吸収層67を形成する。
その後、第7実施形態では、図32に示すように、CFガスによるドライエッチングを用いて、スルー膜73を除去するとともに、イオン注入マスク層72を等方的にエッチングすることによって、イオン注入マスク層72のマスク幅を約1.0μmまで小さくする。その後、EB蒸着法を用いて、p型コンタクト層6およびイオン注入マスク層72の上面の全面を覆うように、約50nmの厚みを有するZrOからなる絶縁膜70bを素子の垂直方向から蒸着する。この場合、素子の垂直方向から蒸着することにより、SiOからなるイオン注入マスク層72の側壁部には、ZrOからなる絶縁膜70bは、ほとんど形成されない。
次に、図33に示すように、フッ酸系エッチャントによるエッチングを行うことによって、SiOからなるイオン注入マスク層72と、ZrOからなる絶縁膜70bの一部とを除去する。この場合、ZrOからなる絶縁膜70bは、ほとんどエッチングされないので、イオン注入マスク層72の側壁部に位置する絶縁膜70bのみが完全に除去される。これにより、SiOからなるイオン注入マスク層72は、イオン注入マスク層72の側壁部に位置する絶縁膜70bが除去された後、完全に除去される。その結果、図33に示されるような、電流通過領域68の上面上に開口部70a(幅約1.0μm)を有する絶縁膜70が形成される。
最後に、絶縁膜70上に、開口部70aを介してp型コンタクト層6の上面に接触するように、p側オーミック電極69およびp側パッド電極71を形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、n型GaN基板1の裏面上に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図29に示した第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入マスク層72の材料としてウェットエッチングが容易なSiOを用いるとともに、絶縁膜70bの材料としてSiOと異なるZrOを用いることによって、イオン注入後に、SiOからなるイオン注入マスク層72をウェットエッチングにより除去することによって、容易に、絶縁膜70bに開口部70aを形成することができるので、生産性を向上することができる。
(第8実施形態)
図34を参照して、この第8実施形態では、上記第1〜第7実施形態と異なり、2回のイオン注入により、電流狭窄層と光吸収層とをそれぞれ形成した場合の例について説明する。第8実施形態のその他の構成は、第2実施形態と同様である。
まず、図34を参照して、この第8実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、第8実施形態では、p型クラッド層5とp型コンタクト層6の一部の領域に、ホウ素(B)をイオン注入することにより、約0.34μmの厚み(注入深さ)を有する電流狭窄層77aが形成されている。なお、ホウ素は、本発明の「第2不純物元素」の一例である。この電流狭窄層77aのホウ素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.25μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおけるホウ素濃度は、約1.0×1019cm−3となる。この電流狭窄層77aにより、p側からの注入電流に対する電流狭窄が行われることにより、電流通過領域78が形成されている。なお、電流通過領域78は、約1.8μmの幅で形成されている。
さらに、第8実施形態では、炭素をイオン注入することにより、電流狭窄層77aよりも、MQW発光層4および電流通過領域78から離れた領域に、約0.32μmの厚み(注入深さ)を有するイオン注入光吸収層77bが形成されている。このイオン注入光吸収層77bの炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.23μmの深さのp型クラッド層5内にある。このピーク深さにおける炭素濃度は、約1.0×1020cm−3となる。これにより、電流狭窄を電流狭窄層77aで行うとともに、横方向の光閉じ込めをイオン注入光吸収層77bで行うことができる。ここで、イオン注入光吸収層77bは、第1の幅(幅約2.8μm)を除いて形成されている。なお、イオン注入光吸収層77bの形成時にイオン注入される炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層77bは、本発明の「光吸収層」の一例である。
p型コンタクト層6の電流通過領域78の上面上には、第2実施形態と同様、p側オーミック電極79がストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極79の側面とp型コンタクト層6の上面とを覆うように、絶縁膜80が形成されている。この絶縁膜80上には、p側オーミック電極79の上面に接触するように、p側パッド電極81が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn型パッド電極13が形成されている。なお、各層79〜81の膜厚および組成は、第2実施形態の各層9〜11とそれぞれ同様である。
第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、第1の幅を除いてイオン注入光吸収層77bが形成されるとともに、電流通過領域78の幅(第2の幅)を除いて電流狭窄層77aが形成され、第1の幅は第2の幅よりも大きく、かつ、第2の幅の領域は、第1の幅の領域内に形成されている。これにより、電流狭窄を強めると同時に、光吸収層による光吸収を低減できるので、しきい値電流の低減や、スロープ効率の向上を図ることができる。
また、第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、MQW発光層4から0.03μmの第1の距離だけ深さ方向に離れてイオン注入光吸収層77bが形成されるとともに、MQW発光層4から0.01μmの第2の距離だけ深さ方向に離れて電流狭窄層77aが形成されているので、第1の距離が第2の距離よりも大きくなっている。これにより、電流狭窄を強めると同時に、光吸収層による光吸収を低減できるので、しきい値電流の低減や、スロープ効率の向上を図ることができる。
また、第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入の注入条件を2種類とするとともに、それぞれの注入領域を変化させることによって、光吸収層の形状と電流狭窄層の形状とを容易に別々に制御することができる。具体的には、たとえば、電流通過領域78の幅を狭い幅で一定に保ったまま、イオン注入光吸収層77bの間隔を独立に変更することができる。これにより、しきい値電流を大幅に変化させずに、横方向の光閉じ込めの度合いを変更することができるので、レーザ光の水平方向の広がり角の制御が可能となる。
また、第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、1度目にホウ素をイオン注入し、2度目に炭素をイオン注入することによって、1度目と2度目とで導入する不純物元素が異なるので、それぞれ導入された不純物元素の濃度プロファイルを容易に変化させることができる。
また、第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、ホウ素のような比較的軽い元素をイオン注入することによって、電流狭窄層77aに結晶欠陥が過度に形成されることを防止することができる。
また、第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、炭素のような比較的重い元素をイオン注入することによって、イオン注入光吸収層77bに低いドーズ量で結晶欠陥を導入することができる。これにより、イオン注入光吸収層77bに導入された炭素が、MQW発光層4に拡散することによって、素子の特性に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
次に、図34〜図38を参照して、第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。この第8実施形態では、第2実施形態と異なり、電流狭窄層と光吸収層をそれぞれ別々のイオン注入により形成する場合の製造プロセスについて説明する。第8実施形態の製造プロセスのその他の構造は、第2実施形態の製造プロセスと同様である。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図35に示すように、第1実施形態と同様、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、p側オーミック電極79を約2.0μmの電極幅でストライプ状に形成する。
この後、第8実施形態では、p側オーミック電極79およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、プラズマCVD法を用いて、約500nmの厚みを有するSiO膜82aを形成する。
そして、図36に示すように、CFガスを用いたRIE法により、SiO膜82aを異方性エッチングすることにより、p側オーミック電極79の側壁部分に、約500nmの幅を有するSiOからなる非注入領域拡大膜82が形成される。そして、第8実施形態では、p側オーミック電極79および非注入領域拡大膜82をマスク(マスクの幅約3μm)として、イオン注入を行う。すなわち、イオン注入エネルギが約80keV、ドーズ量が約2.3×1015cm−2の条件で、炭素をイオン注入した。これにより、イオン注入光吸収層77bを形成する。この後、非注入領域拡大膜82を完全に除去する。
次に、図37に示すように、p側オーミック電極79をマスクとして、注入エネルギが約70keV、ドーズ量が約2.3×1014cm−2のイオン注入条件で、ホウ素のイオン注入を行う。これにより、電流狭窄層77aを形成する。
次に、図38に示すように、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極79の側面とp型コンタクト層6の上面とを覆うように、約200nmの厚みを有するSiOからなる絶縁膜80を形成する。そして、第2実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極79の上面を露出させる。
最後に、第2実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極79および絶縁膜80上に、p側パッド電極81を形成するとともに、n型GaN基板1の所定の膜厚に研磨された後の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図34に示した第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第9実施形態)
図39を参照して、この第9実施形態では、第8実施形態の構造において、p型コンタクト層の上面の全面を覆うように、p側オーミック電極を形成した場合の例について説明する。第9実施形態のその他の構成は、第8実施形態と同様である。
まず、図39を参照して、この第9実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
また、この第9実施形態では、p型クラッド層5とp型コンタクト層6の一部の領域に、シリコン(Si)をイオン注入することにより、約0.34μmの厚み(注入深さ)を有する電流狭窄層87aが形成されている。この電流狭窄層87aのシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.24μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1019cm−3となる。この電流狭窄層87aにより、p側からの注入電流に対する電流狭窄が行われることにより、約1.6μmの幅を有する電流通過領域88が形成されている。なお、電流狭窄層87aの形成時にイオン注入されるシリコン(Si)は、本発明の「第2不純物元素」の一例である。
さらに、第9実施形態では、シリコンをイオン注入することにより、電流狭窄層87aと比べて、MQW発光層4および電流通過領域88から離れた領域に、約0.28μmの厚みを有するイオン注入光吸収層87bが形成されている。このイオン注入光吸収層87bのシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.2μmの深さのp型クラッド層5内にある。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3となる。これにより、電流狭窄を電流狭窄層87aで行うとともに、横方向の光閉じ込めをイオン注入光吸収層87bで行うことができる。ここで、イオン注入光吸収層87bは、第1の幅(幅約1.8μm)を除いて形成されている。なお、イオン注入光吸収層87bの形成時にイオン注入されるシリコンは、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層87bは、本発明の「光吸収層」の一例である。
また、第9実施形態では、p型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、p側オーミック電極89が形成されている。また、電流通過領域88の上部のp側オーミック電極89の上面上に、約1.8μmの幅を有するイオン注入用電極マスク層90が約500nmの厚みでストライプ状に形成されている。このイオン注入用電極マスク層90の側面およびp側オーミック電極89の上面上に、絶縁膜91が形成されている。この絶縁膜91上に、イオン注入用電極マスク層90の上面に接触するように、p側パッド電極92が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層91および92の膜厚および組成は、第1実施形態の各層10および11とそれぞれ同様である。
第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、p側オーミック電極89を形成することによって、p型コンタクト層6とp側オーミック電極89との接触面積を増加することができるので、コンタクト抵抗を低減することができる。
次に、図39〜図43を参照して、第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。この第9実施形態では、第8実施形態と同様、2回のイオン注入により、電流狭窄層と光吸収層をそれぞれ形成するとともに、p型コンタクト層の上面の全面を覆うように、p側オーミック電極を形成した場合の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図40に示すように、p型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約1nmの厚みを有するPt層と、約10nmの厚みを有するPd層とからなるp側オーミック電極89を形成する。そして、p側オーミック電極89上に、Ni層(図示せず)を約600nmの厚みで形成する。その後、約2.0μmのストライプ幅を有するレジスト(図示せず)を形成した後、硝酸を用いてウェットエッチングする。この後、このレジストを除去することにより、約2.0μmの幅を有するストライプ状のイオン注入用電極マスク層90aを形成する。
ここで、第9実施形態では、図41に示すように、Niからなるイオン注入用電極マスク層90aをマスクとして、p側オーミック電極89を介して、注入エネルギが約160keV、ドーズ量が約2.0×1015cm−2のイオン注入条件で、シリコンのイオン注入を行うことによって、約0.28μmの厚みを有するイオン注入光吸収層87bを形成する。そして、約2.0μmの幅を有するイオン注入用電極マスク層90aを、ウェットエッチングにより等方的にエッチングすることによって、図42に示すような、約1.8μmの幅を有するイオン注入用電極マスク層90を形成する。そして、イオン注入用電極マスク層90をマスクとして、注入エネルギが約190keV、ドーズ量が約2.5×1014cm−2のイオン注入条件で、シリコンのイオン注入を行うことによって、約0.34μmの厚みを有する電流狭窄層87aを形成する。
次に、図43に示すように、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極89およびイオン注入用電極マスク層90の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜91を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、イオン注入用電極マスク層90の上面を露出する。
最後に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、絶縁膜91上に、イオン注入用電極マスク層90の上面に接触するように、p側パッド電極92を形成するとともに、n型GaN基板1の所定の膜厚に研磨された後の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図39に示した第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入前に素子の上面の全面をp側オーミック電極89で覆うことにより、導入イオンのチャネリングを防止することができる。これにより、導入元素が深く注入されるのを抑制することができる。なお、p側オーミック電極89は、本発明の「スルー膜」の一例である。
なお、第9実施形態では、上記したように、p側オーミック電極89の上に、SiOからなる絶縁膜91を形成したが、絶縁膜を設けなくてもよい。この場合、p型コンタクト層6の上面に形成される膜が、すべて金属から構成されるため、素子の放熱特性をより向上させることができる。その結果、素子寿命を向上させることができる。
(第10実施形態)
図44を参照して、この第10実施形態では、第8実施形態と同様、2回のイオン注入により、電流狭窄層と光吸収層をそれぞれ形成する場合について説明する。また、この第10実施形態では、結晶中に過大な結晶欠陥を導入しないため、低ドーズ量で電流狭窄層を形成した。なお、第10実施形態のその他の構成は、第7実施形態と同様である。
まず、図44を参照して、この第10実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、第10実施形態では、p型クラッド層5とp型コンタクト層6の一部の領域に、シリコンをイオン注入することにより、約0.34μmの厚み(注入深さ)を有する電流狭窄層97aが形成されている。なお、シリコンは、本発明の「第2不純物元素」の一例である。この電流狭窄層97aのシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.24μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1019cm−3となる。この電流狭窄層97aにより、p側からの注入電流に対する電流狭窄が行われることにより、約1.8μmの幅を有する電流通過領域98が形成されている。
さらに、第10実施形態では、炭素をイオン注入することにより、電流狭窄層97aよりも、MQW発光層4および電流通過領域98から離れた領域に、約0.32μmの厚み(注入深さ)を有するイオン注入光吸収層97bが形成されている。このイオン注入光吸収層97bの炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.23μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおける炭素濃度は、約1.0×1020cm−3となる。これにより、電流狭窄を電流狭窄層97aで行うとともに、横方向の光閉じ込めをイオン注入光吸収層97bで行うことができる。ここで、イオン注入光吸収層97bは、第1の幅(幅約2.1μm)を除いて形成されている。なお、イオン注入光吸収層97bの形成時にイオン注入される炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層97bは、本発明の「光吸収層」の一例である。
p型コンタクト層6の上面には、第7実施形態と同様、p型コンタクト層6の電流通過領域98の上面上に、開口部を有するとともに、約50nmの薄い厚みを有するZrOからなる絶縁膜100が形成されている。この絶縁膜100上には、絶縁膜100の開口部100aを介して、p型コンタクト層6の上面に接触するように、p側オーミック電極99が形成されている。p側オーミック電極99の上面に接触するように、p側パッド電極101が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層101、12および13の膜厚および組成は、第1実施形態の各層11〜13とそれぞれ同様である。
第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入の注入条件を2種類とするとともに、それぞれの注入領域を変化させることによって、光吸収層の形状と電流狭窄層の形状とを容易に別々に制御することができる。具体的には、たとえば、電流通過領域98の幅を狭い幅で一定に保ったまま、イオン注入光吸収層97bの間隔を独立に変更することができる。これにより、しきい値電流を大幅に変化させずに、横方向の光閉じ込めの度合いを変更することができるので、レーザ光の水平方向の広がり角の制御が可能となる。
また、第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型半導体領域(p型クラッド層5、p型コンタクト層6)に、逆の導電型のドーパントであるシリコンをイオン注入することによって、容易に逆の導電型(n型)の窒化物系半導体層を形成することができる。これにより、電流狭窄層97aを容易に形成することができる。その結果、低ドーズ量で、電流狭窄層97aを形成することができる。これにより、電流狭窄層97aの結晶欠陥の増加を抑制することができる。
次に、図44〜図46を参照して、第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。この第10実施形態では、2回のイオン注入により、電流狭窄層と光吸収層をそれぞれ形成する以外の製造プロセスは、第7実施形態の製造プロセスと同様である。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図45に示すように、p型コンタクト層6上に、約2.3μmの幅を有するイオン注入マスク層102と、スルー膜103とを順次形成する。その後、イオン注入マスク層102をマスクとして、第1実施形態と同様の条件で、炭素のイオン注入を行うことによって、イオン注入光吸収層97bを形成する。この後、CFによるドライエッチングを用いて、スルー膜103を除去する。
次に、第10実施形態では、図46に示すように、約2.3μmの幅を有するイオン注入マスク層102を等方的にエッチングすることによって、約2.0μmの幅を有するイオン注入マスク層102aを形成する。そして、p型コンタクト層6およびイオン注入マスク層102aの上面の全面を覆うように、約50nmの厚みを有するとともに、ZrOからなる絶縁膜100bを形成する。
ここで、第10実施形態では、イオン注入マスク層102aをマスクとして、絶縁膜100bを介して、注入エネルギが約190keV、ドーズ量が約2.5×1014cm−2の低ドーズなイオン注入条件で、シリコンのイオン注入を行う。これにより、約0.34μmの厚みを有する電流狭窄層97aを形成する。なお、低ドーズ量のイオン注入により形成された電流狭窄層97aでは、結晶欠陥の増加が抑制されている。
その後、第7実施形態と同様、フッ酸系エッチャントによるエッチングを行うことによって、SiOからなるイオン注入マスク層102aと、ZrOからなる絶縁膜100bの一部とを除去する。この場合、ZrOからなる絶縁膜100bは、ほとんどエッチングされないので、イオン注入マスク層102aの側壁部に位置する絶縁膜100bのみが完全に除去される。これにより、SiOからなるイオン注入マスク層102aは、イオン注入マスク層102aの側壁部に位置する絶縁膜100bが除去された後、完全に除去される。その結果、図44に示されるような、電流通過領域98の上面上に開口部100aを有する絶縁膜100が形成される。
最後に、絶縁膜100上に、開口部100aを介してp型コンタクト層6の上面に接触するように、p側オーミック電極99およびp側パッド電極101を形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図44に示した第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入前に素子の全面を絶縁膜100bあるいはスルー膜103で覆うことにより、注入イオンのチャネリングを防止することができる。これにより、導入元素が深く注入されるのを抑制することができる。なお、絶縁膜100bおよびスルー膜103は、本発明の「スルー膜」の一例である。
(第11実施形態)
図47を参照して、この第11実施形態では、電流狭窄層を水素原子の熱拡散により形成するとともに、光吸収層をシリコンのイオン注入により形成した場合の例について説明する。また、この第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、電流狭窄層を、n型クラッド層、MQW発光層、p型クラッド層およびp型コンタクト層にわたって形成する。第11実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図47を参照して、この第11実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、第11実施形態では、p型クラッド層5とp型コンタクト層6の一部の領域に、水素を熱拡散させることにより形成された電流狭窄層107aが形成されている。なお、この電流狭窄層107aは、p型コンタクト層6の上面からn型クラッド層3の上方の一部に至る厚み(拡散領域)を有している。この電流狭窄層107aにより、p側およびn側からの注入電流に対する電流狭窄が行われることにより、約1.4μmの幅を有する電流通過領域108が形成される。なお、水素は、本発明の「第2不純物元素」の一例である。
さらに、第11実施形態では、シリコンをイオン注入することにより、電流狭窄層107aよりも、MQW発光層4および電流通過領域108から離れた領域に、約0.34μmの厚みを有するイオン注入光吸収層107bが形成されている。このイオン注入光吸収層107bのシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.24μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3となる。これにより、電流狭窄を電流狭窄層107aで行うとともに、横方向の光閉じ込めをイオン注入光吸収層107bで行うことができる。ここで、イオン注入光吸収層107bは、第1の幅(幅約1.9μm)を除いて形成されている。なお、イオン注入光吸収層107bは、本発明の「光吸収層」の一例であり、Siは、本発明の「第1不純物元素」の一例である。
p型コンタクト層6の電流通過領域108の上面上には、約2.0μmの幅を有するp側オーミック電極109がストライプ状に形成されてい兆。また、p側オーミック電極109の側面とp型コンタクト層6の上面とを覆うように、絶縁膜110が形成されている。この絶縁膜110上には、p側オーミック電極109の上面に接触するように、p側パッド電極111が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層109〜111の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9〜11とそれぞれ同様である。
第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、MQW発光層4から0.01μmの第1の距離だけ深さ方向に離れてイオン注入光吸収層107bが形成されるとともに、MQW発光層4に電流狭窄層107aが形成されているので、第1の距離が第2の距離よりも大きくなっている。なお、第11実施形態において、MQW発光層4と電流狭窄層107aの間隔で定義される第2の距離は0である。これにより、電流狭窄を強めると同時に、光吸収層による光吸収を低減できるので、しきい値電流の低減や、スロープ効率の向上を図ることができる。
また、第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、水素原子の熱拡散により電流狭窄層107aを形成するとともに、イオン注入によりイオン注入光吸収層107bを形成することによって、電流狭窄層107aにより電流通過領域108を狭い範囲に制限することができるとともに、イオン注入光吸収層107bを電流通路から離して設けることができる。これにより、イオン注入光吸収層107bによる過度な光吸収を抑制することができるとともに、しきい値電流の低減やレーザ光の水平方向の広がり角の制御が可能となる。
次に、図47〜図51を参照して、第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。この第11実施形態では、電流狭窄層を水素原子の熱拡散により形成するとともに、光吸収層をイオン注入により形成した場合のプロセスについて説明する。第11実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図48に示すように、p型コンタクト層6の上面の一部上に、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約50nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるストライプ状のp側オーミック電極109を約2.0μmのストライプ幅で形成する。
ここで、第11実施形態では、図49に示すように、p側オーミック電極109をマスクとして、基板温度が約800℃のNH雰囲気中で保持することによって、素子内に水素原子を拡散させることにより、n型クラッド層3、MQW発光層4、p型クラッド層5およびp型コンタクト層6に渡る電流狭窄層107aを形成する。この場合、素子中に拡散された水素原子は、p型半導体層のキャリアと結合して、アクセプタとしての機能を不活性化する。これにより、水素原子の拡散領域が高抵抗化される。また、この水素原子は、素子内を等方的に拡散するため、高抵抗化されない領域の幅は、マスクであるp側オーミック電極109の幅(約2.0μm)よりも狭くなる。これにより、約1.4μmの幅を有する電流通過領域108が形成される。
そして、図50に示すように、p側オーミック電極109およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、プラズマCVD法により、約60nmの厚みを有するSiOからなるスルー膜113を形成する。そして、p側オーミック電極109をマスクとして、スルー膜113を介して、シリコンをイオン注入することによって、約0.34μmの厚み(注入深さ)を有するイオン注入光吸収層107bを形成する。この場合、イオン注入エネルギが約190keV、ドーズ量が約2.5×1015cm−2の条件で行った。この後、フッ酸系のエッチャントによりスルー膜113を除去する。
次に、図51に示すように、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極109およびp側オーミック電極109の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜110を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極109の上面を露出する。
最後に、絶縁膜110上に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極109の上面に接触するように、p側パッド電極111を形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、そのn型GaN基板1の裏面に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図47に示した第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、水素原子を含む雰囲気中で熱処理することにより、p型半導体領域に水素原子を拡散させることによって、n型クラッド層3、MQW発光層4、p型クラッド層5およびp型コンタクト層6に渡る電流狭窄層107aを容易に形成することができる。この場合、イオン注入により電流阻止領域を形成する場合と比べて、結晶欠陥が導入されにくいので、素子の信頼性を向上させることができる。特に、イオン注入により形成されたイオン注入光吸収層107bが、MQW発光層4の発光部分から離れた領域に形成されているので、発光部分に結晶欠陥が生じることを防止することができるのでより効果的である。
(第12実施形態)
図52を参照して、この第12実施形態では、2回のシリコンのイオン注入により、n型クラッド層、MQW発光層、p型クラッド層およびp型コンタクト層に渡る電流狭窄層と光吸収層をそれぞれ形成する場合について説明する。第12実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図52を参照して、この第12実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、第12実施形態では、n型クラッド層3からp型コンタクト層6までの一部の領域に、シリコン(Si)をイオン注入することにより、約0.73μmの厚み(注入深さ)を有する電流狭窄層117bがn型クラッド層3、MQW発光層4、p型クラッド層5およびp型コンタクト層6に渡って形成されている。この電流狭窄層117bのシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.55μmの深さのMQW発光層4の領域に位置する。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1019cm−3となる。この電流狭窄層117bにより、p側およびn側からの注入電流に対する電流狭窄が行われることによって、約1.9μmの幅を有する電流通過領域118が形成されている。なお、シリコンは、本発明の「第2不純物元素」の一例である。
さらに、シリコンを再度別条件でイオン注入することにより、電流狭窄層117bとおなじ幅を有するとともに、約0.34μmの厚みを有するイオン注入光吸収層117aが形成されている。このイオン注入光吸収層117aのシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.24μmの深さである。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3となる。これにより、電流狭窄を電流狭窄層117bで行うとともに、横方向の光閉じ込めをイオン注入光吸収層117aで行うことができる。ここで、イオン注入光吸収層117aは、第1の幅(幅約2.1μm)を除いて形成されている。なお、シリコンは、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層117aは、本発明の「光吸収層」の一例である。
p型コンタクト層6の電流通過領域118の上面上には、約2.2μmの幅を有するp側オーミック電極119がストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極119の側面とp型コンタクト層6の上面とを覆うように、絶縁膜120が形成されている。この絶縁膜120上には、p側オーミック電極119の上面に接触するように、p側パッド電極121が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層119〜121の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9〜11とそれぞれ同様である。
第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入条件を2種類とすることにより、それぞれの注入領域(注入深さ)を変化させることによって、光吸収層の形状と電流狭窄層の形状とを容易に別々に制御することができる。具体的には、光吸収の比較的少ないn型クラッド層3からp型コンタクト層6の上面に至る大きな厚み(注入深さ)を有する電流狭窄層117bにより十分に電流狭窄を行うことができるとともに、p型クラッド層5からp型コンタクト層6の上面に至る小さな厚みを有するイオン注入光吸収層117aにより光の横方向の閉じ込めを行うことができる。これにより、電流密度を増加できるとともに、過度な光吸収を抑制することができる。その結果、しきい値電流の低減やレーザ光の水平広がり角の制御が可能となる。
次に、図52〜図56を参照して、第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。この第12実施形態では、2回のイオン注入により、n型クラッド層、MQW発光層、p型クラッド層およびp型コンタクト層に渡る電流狭窄層と光吸収層をそれぞれ形成する以外の製造プロセスは、第1実施形態と同様である。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図53に示すように、p型コンタクト層6の上面の一部上に、約1nmの厚みを有するPt層と、約50nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極119を電極幅を約2.2μmでストライプ状に形成する。
この後、プラズマCVD法により、p側オーミック電極119およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約60nmの厚みを有するとともに、SiOからなるスルー膜122を形成する。
そして、第12実施形態では、図54に示すように、p側オーミック電極119をマスクとして、スルー膜122を介して、注入エネルギが約190keV、ドーズ量が約2.5×1015cm−2のイオン注入条件で、シリコンのイオン注入を行う。これにより、約0.34μmの厚みを有するイオン注入光吸収層117aを形成する。
次に、図55に示すように、再び、p側オーミック電極119をマスクとして、注入エネルギが約400keV、ドーズ量が約4.5×1014cm−2のイオン注入条件で、シリコンのイオン注入を行うことによって、約0.73μmの厚みを有する電流狭窄層117bを形成する。これにより、約1.9μmの幅を有する電流通過領域118が形成される。この後、スルー膜122をウェットエッチングにより除去する。
次に、図56に示すように、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極119およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜120を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極119の上面を露出する。
最後に、絶縁膜120上に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極119の上面に接触するように、p側パッド電極121を形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、そのn型GaN基板1の裏面に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図52に示した第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第13実施形態)
図57を参照して、この第13実施形態では、段差部を有する凸状のp側オーミック電極をマスクとして、シリコンのイオン注入を行うことにより、段差状のイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。
まず、図57を参照して、この第13実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、第13実施形態では、シリコン(Si)がイオン注入されることにより形成された段差状のイオン注入光吸収層127が設けられている。なお、シリコンは、本発明の「第1不純物元素」の一例である。また、イオン注入光吸収層127は、本発明の「光吸収層」の一例である。なお、電流通過領域128となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、p型コンタクト層6の上面から約0.33μmの注入深さ(厚み)までの範囲で、約1.4μmの幅を有するとともに、そこからさらに約0.77μmの注入深さまでの範囲で、約1.8μmの幅を有する段差状に形成されている。なお、イオン注入光吸収層127のp型コンタクト層6の上面から約0.33μmの注入深さ(厚み)までの範囲の間隔が狭い領域により、電流狭窄が行われる。この領域におけるシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.14μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3となる。また、イオン注入光吸収層127のp型コンタクト層6の上面から約0.33μmの注入深さ(厚み)から約0.77μmの注入深さまでの範囲の間隔が広い領域により、光の横方向の閉じ込めが行われる。この領域のシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から、約0.59μmの深さのMQW発光層4の領域に位置する。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3となる。
p型コンタクト層6の電流通過領域128の上面上には、約140nmの厚みを有する電極幅が約2.2μmのPt電極129aと、約600nm厚みを有する電極幅が約1.8μmのNi電極129bとからなる段差部を有する凸状のp側オーミック電極129がストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極129の側面とp型コンタクト層6の上面とを覆うように、絶縁膜130が形成されている。この絶縁膜130上には、p側オーミック電極129の上面に接触するように、p側パッド電極131が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。
第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、電流狭窄層としても機能するイオン注入光吸収層127を段差状に形成することによって、イオン注入光吸収層127の間隔の狭い領域で十分な電流狭窄を行うとともに、MQW発光層4の発光部に近いイオン注入光吸収層127の間隔の広い領域で適度な光の横方向の閉じ込めを行うことができる。これにより電流密度を増加できるとともに、過度な光吸収を抑制することができる。その結果、しきい値電流の低減やレーザ光の水平広がり角の制御が可能となる。
次に、図57〜図62を参照して、第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明する。第13実施形態では、段差部を有する凸状のマスク層を用いることにより、一度のイオン注入で、電流狭窄機能を有する段差状のイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。第13実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図58に示すように、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、約140nmの厚みを有するPt電極129aと、約600nmの厚みを有するNi電極129bとからなるp側オーミック電極129を電極幅を約2.2μmでストライプ状に形成する。
そして、図59に示すように、ウェットエッチングにより、p側オーミック電極129の上部のNi電極129bのみ等方的にエッチングすることによって、Ni電極129bの電極幅のみを約1.8μmとする。これにより、段差部を含む凸状のp側オーミック電極129を形成する。この後、プラズマCVD法により、p側オーミック電極129およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約10nmの厚みを有するとともに、SiOからなるスルー膜132を形成する。
ここで、第13実施形態では、図60に示すように、段差部を有する凸状のp側オーミック電極129をマスクとして、スルー膜132を介して、シリコンのイオン注入を行うことによって、段差状のイオン注入光吸収層127を形成する。なお、第13実施形態では、イオン注入エネルギが約400keV、ドーズ量が約4.5×1015cm−2のイオン注入条件で、シリコンのイオン注入を行う。これにより、段差状のイオン注入光吸収層127を一度のイオン注入で形成する。この場合、イオン注入光吸収層127の間隔の狭い領域に導入されるシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.14μmの深さのp型クラッド層5の領域である。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3である。また、イオン注入光吸収層127の間隔の広い領域に導入されるシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.59μmの深さのMQW発光層4の領域である。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3である。この後、ウェットエッチングによって、スルー膜132を除去する。
次に、図61に示すように、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極129およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜130を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極129の上面を露出する。
最後に、図62に示すように、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、絶縁膜130の上面上に、p側オーミック電極129の上面に接触するように、p側パッド電極131を形成する。そして、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、そのn型GaN基板1の裏面に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図57に示した第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、段差部を有する凸状のp側オーミック電極129からなるマスクを用いてイオン注入を行うことによって、注入深さの異なる領域からなる段差状のイオン注入光吸収層127を一度のイオン注入により形成することができる。これにより、一度のイオン注入により、電流通過領域128の幅と、光吸収量とを個別に制御することが可能なイオン注入光吸収層127を形成することができる。このため、電流狭窄とレーザ光の横方向の光の閉じ込めとを適切に設定することができるので、電流密度を増加できるとともに、過度な光吸収を抑制することができる。これにより、しきい値電流の低減やレーザ光の水平方向の広がり角の制御が可能となる。
(第14実施形態)
図63を参照して、この第14実施形態では、MQW発光層形成前に、n型クラッド層にマグネシウム(Mg)のイオン注入を行うことにより、n型クラッド層にイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。
まず、図63を参照して、この第14実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、この第14実施形態では、n型クラッド層3の一部の領域に、マグネシウム(Mg)がイオン注入されることにより形成された約0.65μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層137が設けられている。なお、イオン注入光吸収層137は、本発明の「光吸収層」の一例であり、マグネシウムは、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入されたマグネシウム濃度のピーク深さは、n型クラッド層3の上面から約0.48μmのn型クラッド層3の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層137は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域138となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約1.9μmの幅で形成されている。
また、p型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極139が形成されている。このp側オーミック電極139上には、p側パッド電極140が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極43が形成されている。
第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、n型クラッド層3において注入イオンの不純物濃度がピークとなるので、n型クラッド層3内に十分な密度で結晶欠陥を発生させることができる。その結果、十分な光吸収効果を有するイオン注入光吸収層137をn型クラッド層3内に形成することができる。
次に、図63〜図66を参照して、第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。この第14実施形態では、MQW発光層形成前に、n型クラッド層にイオン注入を行うことにより、n型クラッド層にイオン注入光吸収層を形成する以外のプロセスは、第6実施形態の製造プロセスと同様である。
まず、図64を参照して、第13実施形態では、n型GaN基板1上に、MOCVD法を用いて、n型層2と、n型クラッド層3とを形成する。
ここで、第14実施形態では、リフトオフ法を用いて、n型クラッド層3の上面上に、約2.3μmの幅を有するストライプ状のイオン注入マスク層(図示せず)を形成する。そして、このイオン注入マスク層をマスクとして、マグネシウムのイオン注入を行うことによって、図65に示すように、n型クラッド層3の上面から約0.65μmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層137を形成する。また、第14実施形態では、イオン注入エネルギが約260keV、ドーズ量が約4.3×1015cm−2のイオン注入条件で、マグネシウムのイオン注入を行う。この場合、イオン注入光吸収層137の不純物濃度のピーク深さは、n型クラッド層3の上面から約0.48μmの深さのn型クラッド層3の領域である。このピーク深さにおける不純物濃度は、約1.0×1020cm−3である。この後、イオン注入マスク層を、ウェットエッチングにより除去する。
次に、図66に示すように、第1実施形態と同様、MOCVD法を用いて、n型クラッド層3上に、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とを順次形成する。この結晶成長時の昇温により、イオン注入光吸収層137がアニールされる。
最後に、p型コンタクト層6の上面のほぼ全面上に、p側オーミック電極139およびp側パッド電極140を形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、n型GaN基板1の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図63に示した第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入光吸収層137を形成後に、MQW発光層4を形成することによって、イオン注入に伴うMQW発光層4の結晶欠陥の増加を防止することができる。これにより、素子寿命の低下を抑制することができる。
また、第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、p型半導体領域(p型クラッド層5およびp型コンタクト層6)に対して、イオンが注入されないので、結晶欠陥によるキャリアの減少を抑制することができる。なお、窒化物系半導体では、p型半導体領域のキャリア密度を向上させるのが困難であるので、特に有効である。また、結晶欠陥の少ないp型コンタクト層6を広い面積で形成することができるので、p型コンタクト層6とp側オーミック電極139とのコンタクト抵抗を低減することができる。
また、第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入光吸収層137の形成後に再び昇温した後、結晶成長を行うので、イオン注入光吸収層137の結晶欠陥を昇温によるアニールにより低減することができる。これにより、イオン注入光吸収層137の光吸収係数を容易に調整することができる。
(第15実施形態)
図67を参照して、この第15実施形態では、p型コンタクト層形成前に、p型クラッド層にイオン注入を行うことにより、p型クラッド層にイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。
まず、図67を参照して、この第15実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、この第15実施形態では、p型クラッド層5の一部の領域に、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.27μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層147が設けられている。なお、イオン注入光吸収層147は、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型クラッド層5の上面から約0.19μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層147は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域148となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約1.9μmの幅で形成されている。
また、p型コンタクト層6の上面のほぼ全面を覆うように、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極149が形成されている。このp側オーミック電極149上には、p側パッド電極150が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。
第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型クラッド層5において注入イオンの不純物濃度がピークとなるので、p型クラッド層5内に十分な密度で結晶欠陥を発生させることができる。その結果、十分な光吸収効果を有するイオン注入光吸収層147をp型クラッド層5内に形成することができる。
第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、MQW発光層4にイオンが注入されていないので、MQW発光層4の結晶欠陥の増加を防止することができる。これにより、素子の寿命の低下を抑制することができる。
また、第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型コンタクト層6にイオンが注入されていないので、結晶欠陥濃度の低いp型コンタクト層6を広い面積で形成することができる。これにより、p型コンタクト層6のキャリア濃度を向上できるとともに、p型コンタクト層6とp側オーミック電極149との接触面積を広くすることができる。その結果、コンタクト抵抗を低くすることができる。
次に、図67〜図70を参照して、第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。この第15実施形態では、p型コンタクト層形成前に、p型クラッド層にイオン注入を行うことにより、p型クラッド層にイオン注入光吸収層を形成する以外のプロセスは、第6実施形態の製造プロセスと同様である。
まず、図68に示すように、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、MOCVD法を用いて、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5とを形成する。
ここで、第15実施形態では、リフトオフ法を用いて、p型クラッド層5の上面上に、約2.1μmの幅を有するストライプ状のイオン注入マスク層(図示せず)を形成する。そして、図69に示すように、このイオン注入マスク層をマスクとして、炭素(C)のイオン注入を行うことによって、p型クラッド層5の上面から約0.27μmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層147を形成する。また、第15実施形態では、イオン注入エネルギが約65keV、ドーズ量が約2.0×1015cm−2のイオン注入条件で、炭素のイオン注入を行う。この後、イオン注入マスク層を、ウェットエッチングによるエッチングにより除去する。
次に、図70に示すように、MOCVD法を用いて、p型クラッド層5の上面の全面を覆うように、p型コンタクト層6を形成する。この結晶成長時の昇温により、イオン注入光吸収層147がアニールされる。
最後に、p型コンタクト層6の上面のほぼ全面上に、p側オーミック電極149と、p側パッド電極150とを形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、n型GaN基板1の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図67に示した第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入光吸収層147の形成後に再び昇温した後、p型コンタクト層6を形成するための結晶成長を行うので、イオン注入光吸収層147の結晶欠陥を昇温によるアニールにより低減することができる。
(第16実施形態)
図71を参照して、この第16実施形態では、n型クラッド層およびp型クラッド層にそれぞれ別々にイオン注入を行うことにより、2つのイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。
まず、図71を参照して、この第16実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、第16実施形態では、第14実施形態と同様、n型クラッド層3の一部の領域に、マグネシウム(Mg)がイオン注入されることにより形成された約0.65μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層157aが設けられている。なお、イオン注入光吸収層157aは、本発明の「光吸収層」の一例であり、マグネシウムは、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入されたマグネシウム濃度のピーク深さは、n型クラッド層3の上面から約0.48μmのn型クラッド層3の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層157aは、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域158aとなるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約1.9μmの幅で形成されている。
さらに、この第16実施形態では、第15実施形態と同様、p型クラッド層5の一部の領域に、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.27μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層157bが設けられている。なお、イオン注入光吸収層157bは、本発明の「光吸収層」の一例であり、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型クラッド層5の上面から約0.19μmのp型クラッド層5の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層157bは、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。なお、電流通過領域158bとなるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約1.9μmの幅で形成されている。
また、p型コンタクト層6の上面のほぼ全面を覆うように、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極159が形成されている。このp側オーミック電極159上には、p側パッド電極160が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。
第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、MQW発光層4の上下に電流通過領域158aおよび158bを形成することにより、十分な電流閉じ込めを行うことができる。
また、第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、MQW発光層4の上下にイオン注入光吸収層157aおよび157bを形成することによって、十分な光の横方向の閉じ込めを行うことができる。
次に、図71〜図76を参照して、第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。この第16実施形態では、n型クラッド層およびp型クラッド層にイオン注入を行うことにより、それぞれ別々にイオン注入光吸収層を形成する以外の製造プロセスは第6実施形態の製造プロセスと同様である。
まず、図72を参照して、第16実施形態では、n型GaN基板1上に、MOCVD法を用いて、n型層2と、n型クラッド層3とを形成する。
ここで、第16実施形態では、第14実施形態と同様、リフトオフ法を用いて、n型クラッド層3の上面上に、約2.3μmの幅を有するストライプ状のイオン注入マスク層(図示せず)を形成する。そして、図73に示すように、このイオン注入マスク層をマスクとして、マグネシウムのイオン注入を行うことによって、n型クラッド層3の上面から約0.65μmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層157aを形成する。なお、第16実施形態では、イオン注入エネルギが約260keV、ドーズ量が約4.3×1015cm−2のイオン注入条件で、マグネシウムのイオン注入を行う。この場合、イオン注入光吸収層157aの不純物濃度のピーク深さは、n型クラッド層3の上面から約0.48μmの深さのn型クラッド層3の領域である。このピーク深さにおける不純物濃度は、約1.0×1020cm−3である。この後、イオン注入マスク層を、ウェットエッチングによるエッチングにより除去する。
次に、図74に示すように、第1実施形態と同様、MOCVD法を用いて、n型クラッド層3上に、MQW発光層4と、p型クラッド層5とを順次形成する。この結晶成長時の昇温により、イオン注入光吸収層157aがアニールされる。
さらに、第16実施形態では、第15実施形態と同様、リフトオフ法を用いて、p型クラッド層5の上面上で、かつ、電流通過領域158aの上部に、約2.1μmの幅を有するストライプ状のイオン注入マスク層(図示せず)を形成する。そして、図75に示すように、このイオン注入マスク層をマスクとして、炭素(C)のイオン注入を行うことによって、p型クラッド層5の上面から約0.27μmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層157bを形成する。また、第16実施形態では、イオン注入エネルギが約65keV、ドーズ量が約2.0×1015cm−2のイオン注入条件で、炭素のイオン注入を行う。この後、イオン注入マスク層を、ウェットエッチングによるエッチングにより除去する。
次に、図76に示すように、MOCVD法を用いて、p型クラッド層5上に、p型コンタクト層6を形成する。この結晶成長時の昇温により、イオン注入光吸収層157aおよび157bがアニールされる。
最後に、p型コンタクト層6の上面のほぼ全面上に、p側オーミック電極159と、p側パッド電極160と形成する。また、n型GaN基板1を所定の膜厚に研磨した後、n型GaN基板1の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図71に示した第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第17実施形態)
図77を参照して、この第17実施形態では、本発明をプレーナ型の窒化物系半導体レーザ素子に適用した場合の例について説明する。
まず、図77を参照して、第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造について説明する。この第17実施形態では、絶縁性のサファイア基板171上に、約1.0μmの厚みを有するGaNからなるn型コンタクト層172と、約1.0μmの厚みを有するAl0.08Ga0.92Nからなるn型クラッド層173と、InGaNからなるMQW発光層174と、約0.28μmの厚みを有するAl0.08Ga0.92Nからなるp型クラッド層175と、約0.07μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるp型コンタクト層176とがこの順序で形成されている。また、n型コンタクト層172およびn型クラッド層173は、本発明の「第1窒化物系半導体層」の一例であり、p型クラッド層175およびp型コンタクト層176は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、この第17実施形態では、サファイア基板171の左側領域において、第1実施形態と同様、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層177aが約2.1μmの第1の幅を除いて設けられている。なお、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層177aは、本発明の「光吸収層」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層176の上面から約0.23μmのp型クラッド層175の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1020cm−3である。この場合、イオン注入光吸収層177aは、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。
また、第17実施形態におけるイオン注入光吸収層177aは、イオン注入光吸収層177aに多く含まれる結晶欠陥により光吸収層として機能する。なお、イオン注入光吸収層177aにおいて、光の横方向の閉じ込めを十分に行うには、イオン注入された炭素の不純物濃度の極大値が1×1020cm−3程度以上であることが好ましい。これにより、イオン注入光吸収層177aは、この多く含まれる結晶欠陥により光吸収を行うことができる。
さらに、サファイア基板171の左側領域において、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.76μmの注入深さを有する電流狭窄層(高抵抗層)177bが設けられている。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層176の上面から約0.61μmの領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1019cm−3である。なお、電流通過領域178となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約1.6μmの幅で形成されている。なお、炭素は、本発明の「第2不純物元素」の一例である。
p型コンタクト層176の左側領域の電流通過領域178の上面上には、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極179が、ストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極179の上面のほぼ全面を覆うように、p側パッド電極180が形成されている。
また、サファイア基板171の右側領域において、p型コンタクト層176の上面からn型クラッド層173の一部に達する深さの領域で、多量のシリコン(n型ドーパント)をイオン注入した後熱処理することにより、p型部分がn型に反転されたn型反転層177cが設けられている。このn型反転層177cは、p型コンタクト層176の上面から約0.73μmの注入深さ(厚み)で形成されている。なお、シリコンは、本発明の「第4不純物元素」の一例である。
また、n型反転層177cの上面のほぼ全面を覆うように、下層から上層に向かって、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの膜厚を有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約100nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極181が形成されている。このn側オーミック電極181上には、約10nmの厚みを有するNi層と、約700nmの厚みを有するAu層とからなるn側パッド電極182が形成されている。
また、第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入によってイオン注入光吸収層177aおよびn型反転層177cを形成することによって、従来の凸形状のリッジ部が不要となる。これにより、MQW発光層4に近い素子の表面側から放熱基台にジャンクションダウン方式で取り付ける場合、凸形状のリッジ部に応力が加わることに起因して素子特性が劣化するという不都合が生じない。また、凸形状のリッジ部のために放熱基台との接触面積が小さくなることに起因して放熱特性が悪化するという不都合も生じない。
第17実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
次に、図77〜図84を参照して、第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図78に示すように、サファイア基板171上に、MOCVD法を用いて、約1.0μmの厚みを有するGaNからなるn型コンタクト層172と、約1.0μmの厚みを有するAl0.08Ga0.92Nからなるn型クラッド層173と、InGaNからなるMQW発光層174と、約0.28μmの厚みを有するAl0.08Ga0.92Nからなるp型クラッド層175と、約0.07μmの厚みを有するAl0.01Ga0.99Nからなるp型コンタクト層176とを順次形成する。
ここで、第17実施形態では、p型コンタクト層176の上面のほぼ全面を覆うように、約1.0μmの厚みを有するSiO層(図示せず)を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびフッ酸系エッチャントによるエッチング技術を用いて、図79に示すように、左側領域に約300μmの幅を有するストライプ状のイオン注入マスク層183を形成する。そして、図80に示すように、このイオン注入マスク層183をマスクとして、右側領域のp型コンタクト層176、p型クラッド層175、MQW発光層174およびn型クラッド層173の一部に、シリコン(n型ドーパント)をイオン注入するとともに、約1000℃のN/H混合ガス雰囲気中で、約30秒間のランプアニールを施すことによって、p型コンタクト層176の上面から約0.73μmの注入深さ(厚み)を有するn型反転層177cを形成する。
なお、このイオン注入は、イオン注入エネルギが約400keV、ドーズ量が約4.3×1015cm−2のイオン注入条件で行った。この場合、n型反転層177cに導入されるシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層176の上面から約0.55μmの深さである。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3である。この後、イオン注入マスク層183をフッ酸系エッチャントによるウェットエッチングにより除去する。
次に、p型コンタクト層176およびn型反転層177cの上面の全面上に、プラズマCVD法を用いて、約1.0μmの厚みを有するSiO層(図示せず)を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、図81に示すように、右側領域のn型反転領域177cの上面の全面上と左側領域の電流通過領域178の上面のp型コンタクト層176上とに、それぞれ、SiOからなるストライプ状のイオン注入マスク層184aおよび184bを形成する。この場合、電流通過領域178の上面のイオン注入マスク層184bは、約2.2μmの幅を有する。そして、イオン注入マスク層184a、イオン注入マスク層184bおよびp型コンタクト層176の上面の全面を覆うように、約60nmの厚みを有するSiOからなるスルー膜185を形成する。
次に、図82に示すように、イオン注入マスク層184aおよび184bをマスクとして、スルー膜185を介して、炭素のイオン注入を行うことによって、p型コンタクト層176の上面から約0.32μmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層177aを形成する。なお、第17実施形態では、イオン注入エネルギが約95keV、ドーズ量が約2.3×1015cm−2のイオン注入条件で、炭素のイオン注入を行う。この場合、イオン注入光吸収層177aの不純物濃度のピーク深さは、p型コンタクト層176の上面から約0.23μmの深さのp型クラッド層175の領域である。このピーク深さにおける不純物濃度は、約1.0×1020cm−3である。この後、フッ酸系エッチャントによるウェットエッチングにより、スルー膜185を除去する。
次に、図83に示すように、イオン注入マスク層184aおよび184bを横方向の片側につき約0.15μm選択エッチングする。これにより、約2.0μmの幅を有するイオン注入マスク層184dを形成する。そして、イオン注入マスク層184cおよび184dをマスクとして、炭素のイオン注入を行うことによって、p型コンタクト層176の上面から約0.76μmの注入深さ(厚み)を有する電流狭窄層(高抵抗層)177bを形成する。なお、第17実施形態では、イオン注入エネルギが約230keV、ドーズ量が約3.5×1014cm−2のイオン注入条件で行う。この場合、電流狭窄層177bの炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層176の上面から約0.61μmの深さの領域である。このピーク深さにおける炭素濃度は、約1.0×1019cm−3である。この後、フッ酸系エッチャントによるウェットエッチングにより、イオン注入マスク層184cおよび184dを除去する。
次に、図84に示すように、リフトオフ法により、p型コンタクト層176(左側領域)の電流通過領域178となる領域の上面上に、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極179をストライプ状に形成する。また、リフトオフ法により、n型反転層177c(右側領域)上に、下層から上層に向かって、約6nmの厚みを有するAl層と、約2nmの膜厚を有するSi層と、約10nmの厚みを有するNi層と、約100nmの厚みを有するAu層とからなるn側オーミック電極181をストライプ状に形成する。
最後に、p側オーミック電極179およびn側オーミック電極181の上面に接触するように、それぞれ、p側パッド電極180およびn側パッド電極182を形成することによって、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、p型半導体層と逆の導電性(n型)を有するドーパントを多量にイオン注入した後熱処理することにより、同一半導体層内にp型領域と、n型領域とを形成することができる。
また、第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、炭素のイオン注入により形成された電流狭窄層(高抵抗層)177bにより、p−n間を電気的に分離することができるので、複数の素子を同一基板内に容易に集積化することができる。なお、炭素は本発明の「第2不純物元素」であるが、本発明の「第3不純物元素」でもある。また、電流狭窄層177bは、本発明の「電気的分離領域」の一例である。その結果、複数の窒化物系半導体レーザ素子の集積化や、トランジスタなどの電子デバイスと窒化物系半導体レーザ素子との集積化を容易に行うことができる。
また、第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、厳密なエッチングを要するリッジ部の形成が必要ないので、歩留まりを向上させることができる。
(第18実施形態)
図85を参照して、この第18実施形態では、注入イオンの濃度ピークが、MQW発光層にあるとともに、複数の窒化物系半導体レーザ素子を集積した例について説明する。
まず、図85を参照して、この第18実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、この第18実施形態では、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6との一部の領域に、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.61μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層187が設けられている。なお、炭素は、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層187は、本発明の「光吸収層」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.61μmのMQW発光層4の領域に位置する。また、このピーク深さにおけるピーク濃度は、約1.0×1018cm−3〜約1.0×1019cm−3である。また、この場合、イオン注入光吸収層187は、多量のイオンを半導体中に導入することによって、他の領域よりも結晶欠陥を多く含んでいる。このイオン注入光吸収層187により、2つの発光領域が形成されている。なお、電流通過領域188となるイオン注入されていない領域(非注入領域)は、約2.6μmの幅で形成されている。
このように、第18実施形態では、MQW発光層4で、注入炭素濃度が極大値となるので、結晶欠陥濃度がMQW発光層4で最大となるとともに、光吸収係数もMQW発光層4で最大となる。
また、p型コンタクト層6の電流通過領域188の上面上には、第1実施形態と同様、p側オーミック電極189が、約2.9μmの電極幅でストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極189の側面とp型コンタクト層6とを覆うように、絶縁膜190が形成されている。絶縁膜190上には、p側オーミック電極189の上面に接触するように、p側パッド電極191が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層189〜191の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9〜11とそれぞれ同様である。
第18実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、MQW発光層4で、炭素濃度が極大値となるとともに、光吸収係数もMQW発光層4で極大となるので、MQW発光層4の面内方向に強い複素屈折率差を形成することができる。これにより、少ないドーズ量によるイオン注入であっても、光の横方向の閉じ込めを良好に行うことができる。
また、第18実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入光吸収層187が高抵抗化されているので、同一基板内に複数の素子を形成する場合に、各素子のMQW発光層4およびp型半導体層を同一基板内で隣接する素子と電気的に分離することができる。これにより、同一基板内に、複数の半導体レーザ素子を容易に集積化することができる。なお、イオン注入光吸収層187は、本発明の「電気的分離領域」の一例でもある。また、炭素は、本発明の「第1不純物元素」であるが、本発明の「第3不純物元素」でもある。
次に、図85〜図87を参照して、第18実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。なお、第18実施形態の製造プロセスでは、注入イオンの濃度ピークを、MQW発光層にするとともに、同一基板内に複数の発光領域を形成した場合の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、第1実施形態と同様、図86に示すように、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、約2.9μmの幅を有する2つのp側オーミック電極189をストライプ状に所定の間隔を隔てて形成する。そして、p側オーミック電極189およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、プラズマCVD法を用いて、約60nmの厚みを有するSiOからなるスルー膜192を形成する。
そして、図87に示すように、p側オーミック電極189をマスクとして、スルー膜192を介して、炭素のイオン注入を行うことによって、p型コンタクト層6の上面から約0.75μmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層187を形成する。なお、第18実施形態では、イオン注入エネルギが約250keV、ドーズ量が約3.5×1013cm−2〜約3.5×1014cm−2のイオン注入条件で、炭素のイオン注入を行う。これにより、炭素濃度がMQW発光層4で極大となるイオン注入光吸収層187が形成される。この後、スルー膜192を、フッ酸系エッチャントによるウェットエッチングにより除去する。
そして、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6およびp側オーミック電極189の上面の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜190を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極189の上面を露出する。
最後に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、絶縁膜190上に、p側オーミック電極189の露出された上面に接触するように、p側パッド電極191を形成する。また、n型GaN基板1の所定の膜厚に研磨された後の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い側から、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図85に示した第18実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第19実施形態)
図88を参照して、この第19実施形態では、リン(P)および炭素(C)による複数のイオン注入を行うとともに、それぞれのイオン注入を異なる角度から行うことにより、イオン注入光吸収層および電流狭窄層を形成する場合の例について説明する。第19実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図88を参照して、この第19実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、この第19実施形態では、p型クラッド層5およびp型コンタクト層6の一部の領域に、リン(P)がイオン注入されることにより形成された約0.32μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層197aが、約2.8μmの第1の幅を除いて設けられている。なお、リンは、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層197aは、本発明の「光吸収層」の一例である。この場合、イオン注入されたリン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.22μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおけるリン濃度は、約1.0×1020cm−3である。
また、イオン注入光吸収層197aの内側には、p型クラッド層5およびp型コンタクト層6の一部の領域に、炭素(C)がイオン注入されることにより形成された約0.28μmの注入深さを有する電流狭窄層197bが設けられている。なお、炭素は、本発明の「第2不純物元素」の一例である。この場合、イオン注入された炭素濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.2μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおける炭素濃度は、約1.0×1019cm−3である。この電流狭窄層197bによって、p側からの注入電流に対する電流狭窄が行われることにより、幅が、約2.5μm〜約2.0μmの範囲で傾斜状に変化する逆台形状の電流通過領域198が形成されている。
また、p型コンタクト層6の電流通過領域198の上面上には、第1実施形態と同様、p側オーミック電極199が、約2.9μmの電極幅でストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極199の側面とp型コンタクト層6とを覆うように、絶縁膜200が形成されている。絶縁膜200上には、p側オーミック電極199の上面に接触するように、p側パッド電極201が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極42およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層199〜201の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9〜11とそれぞれ同様である。
次に、図88〜図92を参照して、第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図89に示すように、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、p側オーミック電極199を約2.9μmの電極幅でストライプ状に形成する。そして、p側オーミック電極199の上面およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、プラズマCVD法を用いて、約60nmの厚みのSiOからなるスルー膜202を形成する。
次に、第19実施形態では、図90に示すように、p側オーミック電極199に対して垂直な方向から、p側オーミック電極199のストライプ方向を軸として、所定量の角度を傾かせた方向から炭素をイオン注入する。具体的には、p側オーミック電極199をマスクとして、スルー膜202を介して、p側オーミック電極199のストライプ方向と垂直な面内で、p型コンタクト層6に対して垂直な方向(p型コンタクト層6の[0001]方向)から時計回りに約30°傾けた角度から1回目のイオン注入を行う。これにより、p型コンタクト層6の上面から約0.28μmの注入深さ(厚み)を有する高抵抗層197cを形成する。なお、第19実施形態の1回目のイオン注入では、イオン注入エネルギが約95keV、ドーズ量が約2.3×1014cm−2のイオン注入条件で、炭素のイオン注入を行う。
次に、p側オーミック電極199のストライプ方向と垂直な面内で、p型コンタクト層6に対して垂直な方向(p型コンタクト層6の[0001]方向)から反時計回りに約30°傾けた角度から2回目のイオン注入を行う。これにより、図91に示したように、p型コンタクト層6の上面から約0.28μmの注入深さ(厚み)を有する高抵抗層197dを形成する。なお、第19実施形態の2回目のイオン注入条件は、1回目のイオン注入の条件と同様である。
さらに、図92に示すように、p型コンタクト層6に対して垂直な方向からp側オーミック電極199のストライプ方向に約7°傾けた方向からリンのイオン注入を行った。この3回目のイオン注入では、イオン注入エネルギが約200keV、ドーズ量が約2.5×1015cm−2のイオン注入条件で、リンのイオン注入を行う。このようにして、1回目〜3回目のイオン注入により形成された領域が重なり合うことにより、図92に示されるような電流狭窄層197bとイオン注入光吸収層197aとが形成される。
この後、スルー膜202を、フッ酸系エッチャントによるウェットエッチングにより除去する。そして、プラズマCVD法を用いて、p型コンタクト層6およびp側オーミック電極199の上面の全面を覆うように、図88に示したような、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜200を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極199の上面を露出する。
最後に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、絶縁膜200上に、p側オーミック電極199の露出された上面に接触するように、p側パッド電極201を形成する。また、n型GaN基板1の所定の膜厚に研磨された後の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い側から、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図88に示した第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、イオン注入の角度を変更して複数回イオン注入することにより、電流通過領域198の幅を、容易にマスクであるp側オーミック電極199の幅よりも狭くすることができる。これにより、複数のイオン注入マスク層を形成するなどの複雑な工程を行うことなしに、十分な電流狭窄を行うことができる。
(第20実施形態)
図93を参照して、この第20実施形態では、Siを含む気相中で熱処理を行うことによりSi原子を半導体中に拡散させることにより電流狭窄層を形成するとともに、イオン注入を行うことによりイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。第20実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
まず、図93を参照して、この第20実施形態では、第1実施形態と同様、n型GaN基板1上に、n型層2と、n型クラッド層3と、MQW発光層4と、p型クラッド層5と、p型コンタクト層6とがこの順序で形成されている。
ここで、この第20実施形態では、p型クラッド層5およびp型コンタクト層6の一部の領域に、シリコン(Si)が約1.8μmの第1の幅を除いてイオン注入されることにより形成された約0.34μmの注入深さを有するイオン注入光吸収層207aが設けられている。なお、シリコンは、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層207aは、本発明の「光吸収層」の一例である。この場合、イオン注入されたシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.24μmの深さのp型クラッド層5の領域である。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3である。
また、イオン注入光吸収層207aの内側には、Siを熱拡散することによって形成された電流狭窄層207bが設けられている。この電流狭窄層207bにより、p側からの注入電流に対する電流狭窄が行われるので、約1.5μmの幅を有する電流通過領域208が形成されている。
また、p型コンタクト層6の電流通過領域208の上面上には、第1実施形態と同様、p側オーミック電極209が、約2.0μmの電極幅でストライプ状に形成されている。また、p側オーミック電極209の側面とp型コンタクト層6とを覆うように、絶縁膜210が形成されている。絶縁膜210上には、p側オーミック電極209の上面に接触するように、p側パッド電極211が形成されている。また、n型GaN基板1の裏面上には、n型GaN基板1の裏面に近い方から順に、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13が形成されている。なお、各層209〜211の膜厚および組成は、第1実施形態の各層9〜11とそれぞれ同様である。
次に、図93〜図97を参照して、第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。この第20実施形態では、電流狭窄層を熱拡散により形成する場合について説明する。
まず、図4に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p型コンタクト層6までを形成する。次に、図94に示すように、リフトオフ法を用いて、p型コンタクト層6の上面上に、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約50nmの厚みを有するPd層と、約240nmの厚みを有するAu層と、約240nmの厚みを有するNi層とからなるp側オーミック電極209を約2.0μmの幅でストライプ状に形成する。
次に、第20実施形態では、図95に示すように、p側オーミック電極209をマスクとして、基板温度を約750℃に昇温するとともに、SiHガス雰囲気中で素子を保持することにより、素子内にシリコン(Si)原子を熱拡散させる。これにより、高抵抗化された電流狭窄層207bが形成される。なお、素子内に導入されたシリコン原子は等方的に拡散するので、電流通過領域208の幅はマスクであるp側オーミック電極209よりも狭くなる。この場合、電流通過領域208の幅は、約1.5μmとなる。このように、熱拡散により電流狭窄層207bを形成することにより、電流通過領域208に結晶欠陥が生じることを抑制することができる。
次に、図96に示すように、p側オーミック電極209およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、プラズマCVD法を用いて、約60nmの厚みのSiOからなるスルー膜212を形成する。
ここで、第20実施形態では、p側オーミック電極209をマスクとして、シリコン(Si)のイオン注入を行うことによって、p型コンタクト層6の上面から約0.34μmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層207aを形成する。なお、第20実施形態では、イオン注入エネルギが約190keV、ドーズ量が約2.5×1015cm−2のイオン注入条件で、シリコンのイオン注入を行う。この場合、イオン注入光吸収層207aのシリコン濃度のピーク深さは、p型コンタクト層6の上面から約0.24μmの深さのp型クラッド層5の領域に位置する。このピーク深さにおけるシリコン濃度は、約1.0×1020cm−3である。この後、スルー膜212を、フッ酸系エッチャントにより除去する。
そして、図97に示すように、プラズマCVD法を用いて、p側オーミック電極209およびp型コンタクト層6の上面の全面を覆うように、約200nmの厚みを有するとともに、SiOからなる絶縁膜210を形成する。そして、第1実施形態と同様、フォトリソグラフィ技術およびCFガスによるRIE法を用いて、p側オーミック電極209の上面を露出する。
最後に、第1実施形態と同様のプロセスを用いて、絶縁膜210上に、p側オーミック電極209の露出された上面に接触するように、p側パッド電極211を形成する。また、n型GaN基板1の所定の膜厚に研磨された後の裏面に、n型GaN基板1の裏面に近い側から、n側オーミック電極12およびn側パッド電極13を形成することによって、図93に示した第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、逆の導電性を有するシリコンをp型クラッド層5およびp型コンタクト層6に熱拡散することにより高抵抗化された電流狭窄層207bを形成することによって、電流通過領域208近傍の結晶欠陥が増加するのを防止できる。これにより、しきい値電流が増加するのを抑制することができる。
(第21実施形態)
図98および図99を参照して、この第21実施形態では、p型クラッド層にリッジ部を形成するとともに、このp型クラッド層のリッジ部以外の領域に、イオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。
まず、図98および図99を参照して、第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造について説明する。この第21実施形態では、約100μmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のキャリア濃度を有する酸素がドープされたn型GaN基板301上に、約100nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量を有するSiがドープされたn型GaNからなるn型層302が形成されている。n型層302上には、約400nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するSiがドープされたn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層303が形成されている。なお、n型層302およびn型クラッド層303は、本発明の「第1窒化物系半導体層」の一例である。
n型クラッド層303上には、MQW発光層304が形成されている。このMQW発光層304は、図99に示すように、約3nmの厚みを有するアンドープIn0.15Ga0.85Nからなる3層の量子井戸層304aと、約20nmの厚みを有するアンドープIn0.05Ga0.95Nからなる4層の障壁層304bとが交互に積層されたMQW活性層を含む。MQW活性層の下面上には、MQW活性層の下面に近い方から順に、約100nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するSiがドープされたn型GaNからなるn型光ガイド層304cと、約5nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するSiがドープされたn型Al0.1Ga0.9Nからなるn型キャリアブロック層304dとが形成されている。また、MQW活性層の上面上には、約100nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型GaNからなるp型光ガイド層304eと、約20nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型Al0.1Ga0.9Nからなるp型キャップ層304fとが順次形成されている。なお、MQW発光層304は、本発明の「発光層」の一例である。
そして、図98に示すように、MQW発光層304上には、凸部を有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層305が形成されている。このp型クラッド層305の凸部は、約2μmの幅と約250nmの高さとを有する。また、p型クラッド層305の凸部以外の領域は、約150nmの厚みを有する。そして、p型クラッド層305の凸部上には、約10nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型GaNからなるp型コンタクト層306が形成されている。そして、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308が構成されている。なお、p型クラッド層305およびp型コンタクト層306は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、第21実施形態では、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の平坦部の表面部に、アルゴン(Ar)をイオン注入することにより形成された約50nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層307が設けられている。このイオン注入光吸収層307の側端部は、実質的にリッジ部308の側端部の直下に配置されている。このため、イオン注入光吸収層307の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W1は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)と実質的に同じ幅を有する。なお、アルゴンは、本発明の「第1不純物元素」の一例であり、イオン注入光吸収層307は、本発明の「光吸収層」の一例である。
そして、リッジ部308を構成するp型コンタクト層306上には、下層から上層に向かって、約5nmの厚みを有するPt層と、約250nmの厚みを有するPd層と、約250nmの厚みを有するAu層とからなるp側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層305の表面と、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の側面とには、約250nmの厚みを有するSiNからなる絶縁膜310が形成されている。絶縁膜310の上面上には、p側オーミック電極309の上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約3μmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極311が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n型GaN基板301の裏面に近い方から順に、約10nmの厚みを有するAl層と、約20nmの厚みを有するPt層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるn側電極312が形成されている。
次に、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子と従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子との性能の違いを調べるために、各窒化物系半導体レーザ素子の電流−光出力特性およびリーク電流を測定した結果について説明する。
図100は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子および従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子の電流−光出力特性を示した特性図である。図100を参照して、従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子では、キンクの発生により最大光出力が約9mWに制限されている。その一方、第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、キンクなしで、従来(比較例)の最大光出力である約9mW以上の光出力が得られることが判明した。これは、イオン注入光吸収層307による光の横方向の閉じ込めによって、横モードが安定したためであると考えられる。
また、図98に示した第21実施形態および従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子のリーク電流の測定結果を以下の表1に示す。
Figure 2003075425
上記表1を参照して、従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子では、約10Vの電圧を印加した場合に、約1μA〜約2μAのリーク電流が発生した。その一方、第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、約10V以上の電圧を印加した場合にも、約0.1μA以下のリーク電流しか発生しなかった。
第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の表面部に、イオン注入することにより形成されたイオン注入光吸収層307を設けることによって、イオン注入法は再現性がよいので、イオン注入光吸収層307を、再現性よくp型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の表面部に形成することができる。これにより、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することができる。その結果、リッジ部308による電流狭窄を行いながら、横モードを再現性よく安定化させることができる。また、横モードを安定化させることができるので、高次モード発振により生じるキンク(電流−光出力特性の曲がり)の発生を抑制することができる。これにより、高い最大光出力を得ることができるとともに、ビーム形状を安定化させることができる。
また、p型クラッド層305の平坦部の表面部のみにイオン注入光吸収層307を設けることにより、MQW発光層304の近傍の大きい光強度を有する部分の光吸収が過大になるのを抑制することができるので、しきい値電流が増大するのを抑制することができる。
次に、図98、図99および図101〜図105を参照して、第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図101に示すように、常圧MOCVD法を用いて、約1気圧(約100kPa)の圧力下で、n型GaN基板301上に、n型層302、n型クラッド層303、MQW発光層304、p型クラッド層305およびp型コンタクト層306を順次成長させる。なお、n型GaN基板301は、GaAs基板上に、HVPE法でGaNを成長させた後、約100μm以下の厚みを有するGaAs基板を除去することにより形成される。
具体的には、n型GaN基板301を、約1100℃の成長温度に保持した状態で、HおよびNからなるキャリアガスと、NHおよびGa(CHからなる原料ガスと、SiHからなるドーパントガスとを用いて、n型GaN基板301上に、約100nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量を有するSiがドープされたn型GaNからなるn型層302を成長させる。この後、原料ガスにAl(CHをさらに加えて、n型層302上に、約400nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するSiがドープされたn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層303を成長させる。
続いて、図99に示したように、n型クラッド層303(図101参照)上に、約5nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するSiがドープされたn型Al0.1Ga0.9Nからなるn型キャリアブロック層304dを成長させる。
次に、基板温度を800℃の成長温度に保持した状態で、HおよびNからなるキャリアガスと、NHおよびGa(CHからなる原料ガスと、SiHからなるドーパントガスとを用いて、n型キャリアブロック層304d上に、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するSiがドープされたn型GaNからなるn型光ガイド層304cを成長させる。
この後、原料ガスにIn(CHをさらに加えるとともに、ドーパントガスを用いないで、n型光ガイド層304c上に、約3nmの厚みを有するアンドープIn0.15Ga0.85Nからなる3層の量子井戸層304aと、約20nmの厚みを有するアンドープIn0.05Ga0.95Nからなる4層の障壁層304bとを交互に成長させることによりMQW活性層を形成する。
そして、原料ガスをNHおよびGa(CHに変えるとともに、CPMgからなるドーパントガスを用いて、MQW活性層上に、約100nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型GaNからなるp型光ガイド層304eを成長させる。この後、原料ガスにAl(CHをさらに加えて、p型光ガイド層304e上に、約20nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型Al0.1Ga0.9Nからなるp型キャップ層304fを成長させる。これにより、量子井戸層304a、障壁層304b、n型光ガイド層304c、n型キャリアブロック層304d、p型光ガイド層304eおよびp型キャップ層304fからなるMQW発光層304が形成される。
次に、図101に示すように、基板温度を1100℃の成長温度に保持した状態で、HおよびNからなるキャリアガスと、NH、Ga(CHおよびAl(CHからなる原料ガスと、CPMgからなるドーパントガスとを用いて、MQW発光層304上に、約400nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層305を成長させる。この後、原料ガスをNHおよびGa(CHに変えて、p型クラッド層305上に、約10nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgがドープされたp型GaNからなるp型コンタクト層306を成長させる。
この後、窒素ガス雰囲気中で、約800℃の温度条件下でアニール処理する。
次に、図102に示すように、p型コンタクト層306上に、下層から上層に向かって、約5nmの厚みを有するPt層と、約250nmの厚みを有するPd層と、約250nmの厚みを有するAu層とからなるp側オーミック電極309、および、約250nmの厚みを有するNi層313を順次形成した後、p側オーミック電極309およびNi層313を、約2μmの幅を有するストライプ状(細長状)にパターニングする。
次に、図103に示すように、Cl系ガスによるドライエッチングを用いて、Ni層313をマスクとして、p型コンタクト層306およびp型クラッド層305の上面から約250nmの厚み分をエッチングする。これにより、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308が形成される。この後、Ni層313を除去する。
次に、第21実施形態では、図104に示すように、p側オーミック電極309をマスクとして、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の平坦部に、アルゴン(Ar)をイオン注入することにより、約50nmのイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層307を形成する。この際、リッジ部308と実質的に同じ幅(約2μm)を有するp側オーミック電極309をマスクとしているので、イオン注入光吸収層307の側端部は、実質的にリッジ部308の側端部の直下に配置されるとともに、イオン注入光吸収層307の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W1は、約2μmとなる。なお、アルゴンのイオン注入条件は、注入エネルギ:約40keV、ドーズ量:約1×1012cm−2〜約1×1013cm−2、注入温度:室温である。また、イオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。
この後、図105に示すように、全面を覆うように、約250nmの厚みを有するSiNからなる絶縁膜310を形成した後、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜310を除去する。これにより、p側オーミック電極309の上面を露出させる。
最後に、図98に示したように、真空蒸着法を用いて、絶縁膜310の上面上に、p側オーミック電極309の上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約3μmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極311を形成する。また、真空蒸着法を用いて、n型GaN基板301の裏面上に、n型GaN基板301の裏面に近い方から順に、約10nmの厚みを有するAl層と、約20nmの厚みを有するPt層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるn側電極312を形成する。このようにして、第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、アルゴン(Ar)をイオン注入することによりイオン注入光吸収層307を形成する前に、リッジ部308を形成することによって、注入深さを大きくする必要がないので、注入エネルギを約40keVと小さくすることができる。これにより、不純物プロファイルの広がり幅を小さくすることができるので、注入深さを精度よく制御することができる。その結果、MQW発光層304にまで不純物元素(アルゴン)が達するのを防止することができるので、不純物元素(アルゴン)によるMQW発光層304へのダメージを防止することができる。
(第22実施形態)
図106を参照して、この第22実施形態では、上記第21実施形態と異なり、イオン注入光吸収層の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)を、リッジ部の幅(電流狭窄の幅)よりも大きくするとともに、イオン注入深さを、n型クラッド層に達する深さにする場合の例について説明する。第22実施形態のその他の構成は、第21実施形態と同様である。
図106を参照して、この第22実施形態では、第21実施形態と同様、n型GaN基板301上に、n型層302と、n型クラッド層303と、MQW発光層304と、p型クラッド層305と、p型コンタクト層306とが順次形成されている。また、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308が構成されている。
ここで、第22実施形態では、炭素(C)をイオン注入することにより形成された約300nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層327が設けられている。このイオン注入光吸収層327は、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の平坦部の表面からMQW発光層304およびn型クラッド層303に渡って形成されている。また、イオン注入光吸収層327の側端部は、後述する絶縁膜330の厚み分(約2μm以下)だけリッジ部308の側端部から横方向に離れた位置に配置されている。このため、イオン注入光吸収層327の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W2は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい幅(約6μm以下)を有する。また、イオン注入光吸収層327の不純物濃度のピーク深さは、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の平坦部の表面から約130nmのp型クラッド層305中に位置している。なお、イオン注入光吸収層327は、本発明の「光吸収層」の一例である。
そして、リッジ部308を構成するp型コンタクト層306上には、p側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層305の表面と、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の側面とには、イオン注入のマスクとしての機能も有するSiOからなる絶縁膜330が形成されている。この絶縁膜330の厚みは、約2μm以下であり、リッジ部308の側端部とイオン注入光吸収層327の側端部との間の幅W3と実質的に同じである。絶縁膜330の上面上には、p側オーミック電極309の上面に接触するように、第21実施形態と同様の厚みおよび組成を有するp側パッド電極331が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n側電極312が形成されている。
次に、図106に示した第22実施形態によるイオン注入された窒化物系半導体レーザ素子とイオン注入されていない従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子との近視野像によるビーム形状の違いを調べるために、ビームのアスペクト比を測定した結果について説明する。この測定結果を以下の表2に示す。
Figure 2003075425
上記表2を参照して、イオン注入されていない従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子では、ビームのアスペクト比(横:縦)が4:1であった。その一方、第22実施形態によるイオン注入された窒化物系半導体レーザ素子では、ドーズ量が約1×1013cm−2の場合には、ビームのアスペクト比(横:縦)が2:1であった。また、ドーズ量が1×1014cm−2の場合には、ビームのアスペクト比(横:縦)が1:1であった。これは、イオン注入光吸収層327による光の横方向の閉じ込めによって、光の横方向の広がりが抑制されたためであると考えられる。また、ドーズ量が多いほど、光吸収が大きくなるため、アスペクト比が改善されてビームが真円に近づくと考えられる。
第22実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入光吸収層327の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W2を、リッジ部308の幅(約2μm)よりも大きくすることによって、大きい光強度を有するMQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができるとともに、電流狭窄を強めることができる。これにより、しきい値電流が増大するのをより抑制しながら、MQW発光層304の横方向の光閉じ込めを良好に行うことができる。その結果、横モードをより安定化させることができるので、ビーム形状をより安定化させることができる。また、高次モード発振により生じるキンク(電流−光出力特性の曲がり)の発生をより抑制することができるので、より高い最大光出力を得ることができる。
また、第22実施形態では、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の領域に、イオン注入することにより形成されたイオン注入光吸収層327を設けることによって、イオン注入光吸収層327を再現性よく形成することができるので、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することができる。その結果、リッジ部308による電流狭窄を行いながら、横モードを再現性よく安定化させることができる。
次に、図106〜図109を参照して、第22実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図101〜図103に示した第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、図107に示すように、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308までを形成する。この後、全面を覆うように、約2μm以下の厚みを有するSiOからなる絶縁膜330を形成する。
次に、第22実施形態では、図108に示すように、絶縁膜330をマスクとして、炭素(C)をイオン注入する。これにより、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の平坦部の表面から、MQW発光層304およびn型クラッド層303に渡って約300nmのイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層327を形成する。この際、絶縁膜330のうち、オーミック電極309の上面上に位置する部分のみならず、リッジ部308の側端部に位置する部分もマスクとなるので、イオン注入光吸収層327の側端部は、絶縁膜330の厚み分(約2μm以下)だけリッジ部308の側端部から横方向に離れた位置に形成される。このため、イオン注入光吸収層327の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W2は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きくなるとともに、リッジ部308の側端部とイオン注入光吸収層327の側端部との間の幅W3は、約2μm以下となる。また、イオン注入光吸収層327の不純物濃度のピーク深さは、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の平坦部の表面から約130nmのp型クラッド層305中に位置する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約1×1013cm−2〜約1×1014cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。
この後、図109に示すように、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜330を除去する。これにより、p側オーミック電極309の上面を露出させる。
最後に、図106に示したように、絶縁膜330の上面上に、p側オーミック電極309の上面に接触するように、第21実施形態と同様の厚みおよび組成を有するp側パッド電極331を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第22実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第23実施形態)
図110を参照して、この第23実施形態では、上記第21および第22実施形態と異なり、イオン注入した後に、リッジ部を形成する場合の例について説明する。第23実施形態のその他の構成は、第21実施形態と同様である。
図110を参照して、この第23実施形態では、第21実施形態と同様、n型GaN基板301上に、n型層302と、n型クラッド層303と、MQW発光層304とが順次形成されている。
そして、第23実施形態では、MQW発光層304上に、凸部を有するとともに、Mgがドープされたp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層345が形成されている。このp型クラッド層345の凸部は、約2μmの幅と約260nmの高さとを有する。また、p型クラッド層345の凸部以外の平坦部は、約140nmの厚みを有する。そして、p型クラッド層345の凸部上には、p型コンタクト層306が形成されている。そして、p型クラッド層345の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約270nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部348が構成されている。なお、p型クラッド層345は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、第23実施形態では、炭素(C)をイオン注入することにより形成された約240nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層347が設けられている。このイオン注入光吸収層347は、p型クラッド層345のリッジ部348を構成する凸部以外の平坦部の表面からMQW発光層304およびn型クラッド層303に渡って形成されている。また、イオン注入光吸収層347の側端部は、後述するイオン注入マスク354の厚み分(約2μm以下)だけリッジ部348の側端部から横方向に離れた位置に配置されている。このため、イオン注入光吸収層347の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W4は、リッジ部348の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい幅(約6μm以下)を有する。また、イオン注入光吸収層347の不純物濃度のピーク深さは、p型クラッド層345のリッジ部348を構成する凸部以外の平坦部の表面部に位置している。なお、イオン注入光吸収層347は、本発明の「光吸収層」の一例である。
そして、リッジ部348を構成するp型コンタクト層306上には、p側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層345の表面と、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の側面とには、絶縁膜310が形成されている。絶縁膜310の上面上には、p側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極311が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n側電極312が形成されている。
第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、イオン注入光吸収層347の不純物濃度のピーク深さを、p型クラッド層345のリッジ部348を構成する凸部以外の平坦部の表面部に位置するようにすることによって、大きい光強度を有するMQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができるので、しきい値電流が増大するのを抑制することができる。
なお、第23実施形態のその他の効果は、第22実施形態と同様である。
次に、図110〜図114を参照して、第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図111に示すように、第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、n型GaN基板301上に、n型層302、n型クラッド層303およびMQW発光層304を順次形成する。そして、MQW発光層304上に、約400nmの厚みを有するp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層345、および、p型コンタクト層306を順次形成する。この後、窒素ガス雰囲気中で、約800℃の温度条件下でアニール処理する。次に、p型コンタクト層306上に、p側オーミック電極309およびNi層313を順次形成した後、p側オーミック電極309およびNi層313を、約2μmの幅を有するストライプ状(細長状)にパターニングする。次に、全面を覆うように、約2μm以下の厚みを有するSiOからなるイオン注入マスク354を形成する。
次に、第23実施形態では、図112に示すように、イオン注入マスク354マスクとして、炭素(C)をイオン注入する。これにより、p型コンタクト層306のp側オーミック電極309が形成された領域以外の上面から、MQW発光層304およびn型クラッド層303に渡って約510nmのイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層347を形成する。この際、イオン注入マスク354のうち、Ni層313の上面上に位置する部分のみならず、p側オーミック電極309およびNi層313の側端部に位置する部分もマスクとなるので、イオン注入光吸収層347の側端部は、イオン注入マスク354の厚み分(約2μm以下)だけp側オーミック電極309およびNi層313の側端部から横方向に離れた位置に形成される。このため、イオン注入光吸収層347の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W4は、p側オーミック電極309およびNi層313の幅(約2μm)よりも大きくなる。また、イオン注入光吸収層347の不純物濃度のピーク深さは、p型コンタクト層306のp側オーミック電極309が形成された領域以外の上面から約270nmのp型クラッド層345中に位置する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約190keV、ドーズ量:約1×1013cm−2〜約1×1014cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。この後、イオン注入マスク354を除去する。
次に、図113に示すように、Cl系ガスによるドライエッチングを用いて、Ni層313をマスクとして、p型コンタクト層306およびp型クラッド層345の上面から約260nmの厚み分をエッチングする。これにより、p型クラッド層345の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約270nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部348が形成される。また、このエッチングによって、ガウス分布を有するイオン注入光吸収層347の不純物濃度のピーク深さは、p型クラッド層345のリッジ部348を構成する凸部以外の平坦部の表面部に位置するようになる。また、イオン注入光吸収層347の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W4は、リッジ部348の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい幅(約6μm以下)を有するとともに、リッジ部348の側端部とイオン注入光吸収層347の側端部との間の幅W5は、イオン注入マスク354(図112参照)の厚み(約2μm以下)と実質的に同じになる。この後、Ni層313を除去する。
次に、図114に示すように、全面を覆うように、絶縁膜310を形成した後、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜310を除去する。これにより、p側オーミック電極309の上面を露出させる。
最後に、図110に示したように、絶縁膜310の上面上に、p側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極311を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、p型コンタクト層306の上面から、MQW発光層304およびn型クラッド層303に渡ってイオン注入光吸収層347を形成した後に、そのイオン注入光吸収層347の不純物濃度のピーク深さまでをエッチングすることによりリッジ部348を形成することによって、容易に、ガウス分布を有するイオン注入光吸収層347の不純物濃度のピーク深さを、p型クラッド層345の表面部に位置させることができる。また、注入エネルギが約190keVと大きいので、不純物プロファイルの広がり幅が大きくなる。これにより、不純物(炭素)濃度のピーク深さ近傍のプロファイルを平坦化することができるので、イオン注入光吸収層347の光吸収機能を平坦化(均一化)することができる。その結果、光の横方向の閉じ込めを安定化させることができる。
(第24実施形態)
図115を参照して、この第24実施形態では、上記第21〜第23実施形態と異なり、リッジ部の両側部と、p型クラッド層のリッジ部を構成する凸部以外の平坦部とにイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。第24実施形態のその他の構成は、第21実施形態と同様である。
図115を参照して、この第24実施形態では、第21実施形態と同様、n型GaN基板301上に、n型層302と、n型クラッド層303と、MQW発光層304とが順次形成されている。
MQW発光層304上には、凸部を有するとともに、Mgがドープされたp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層365が形成されている。このp型クラッド層365の凸部は、約2μmの幅と約300nmの高さとを有する。また、p型クラッド層365の凸部以外の平坦部は、約100nmの厚みを有するストライプ状(細長状)に形成されている。そして、p型クラッド層365の凸部上には、p型コンタクト層306が形成されている。そして、p型クラッド層365の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約310nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部368が構成されている。なお、p型クラッド層365は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、第24実施形態では、リッジ部368の両側面部と、p型クラッド層365の凸部以外の平坦部とに、炭素(C)をイオン注入することにより形成された約200nmの縦方向および横方向の注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層367が設けられている。このため、イオン注入光吸収層367の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W6は、リッジ部368の幅(約2μm)よりも小さい幅(約1.6μm)を有する。なお、イオン注入光吸収層367は、本発明の「光吸収層」の一例である。
そして、リッジ部368を構成するp型コンタクト層306上には、p側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層365の表面と、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の側面とには、約40nmの厚みを有するSiNからなるチャネリング防止膜370aが形成されている。このチャネリング防止膜370aは、イオン注入プロセスにおいて、チャネリングを抑制する機能を有する。そして、チャネリング防止膜370aの表面上には、約210nmの厚みを有するSiNからなる絶縁膜370bが形成されている。絶縁膜370bの上面上には、p側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極311が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n側電極312が形成されている。
第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、リッジ部368の両側面部と、p型クラッド層365の凸部以外の平坦部とにイオン注入光吸収層367を設けることによって、リッジ部368の両側面部と、p型クラッド層365のリッジ部368の平坦部とにより、光の横方向の閉じ込めを良好に行うことができる。
なお、第24実施形態のその他の効果は、第21実施形態と同様である。
次に、図115〜図118を参照して、第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図116に示すように、第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、n型GaN基板301上に、n型層302、n型クラッド層303およびMQW発光層304を順次形成する。そして、MQW発光層304上に、約400nmの厚みを有するp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層365、および、p型コンタクト層306を順次形成する。この後、窒素ガス雰囲気中で、約800℃の温度条件下でアニール処理する。次に、p型コンタクト層306上に、p側オーミック電極309およびNi層(図示せず)を順次形成した後、p側オーミック電極309およびNi層を約2μmの幅を有するストライプ状(細長状)にパターニングする。次に、Ni層をマスクとして、p型コンタクト層306およびp型クラッド層365の上面から約300nmの厚み分をエッチングする。これにより、p型クラッド層365の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約310nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部368が形成される。次に、Ni層を除去した後、全面を覆うように、約40nmの厚みを有するSiNからなるチャネリング防止膜370aを形成する。
次に、第24実施形態では、図117に示すように、p側オーミック電極309をマスクとして、チャネリング防止膜370aを介して、炭素(C)をイオン注入する。この際、リッジ部368の両側部にイオンが注入されるように、斜め45°の方向から各1回ずつイオン注入を行う。これにより、リッジ部368の両側面部と、p型クラッド層365の凸部以外の平坦部とに、約200nmの縦方向および横方向のイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層367が形成される。また、イオン注入光吸収層367の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W6は、約1.6μmとなる。また、イオン注入された領域は高抵抗領域になるので、電流狭窄の幅もW6になる。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約1×1013cm−2〜約1×1014cm−2、注入温度:室温である。
この後、図118に示すように、全面を覆うように、約210nmの厚みを有するSiNからなる絶縁膜370bを形成した後、p側オーミック電極309の上面上に位置するチャネリング防止層370aおよび絶縁膜370bを除去する。これにより、p側オーミック電極309の上面を露出させる。
最後に、図115に示したように、絶縁膜370bの上面上に、p側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極311を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスでは、上記したように、炭素(C)をイオン注入することによりイオン注入光吸収層367を形成する前に、リッジ部368を形成することによって、注入深さを大きくする必要がないので、注入エネルギを約95keVと小さくすることができる。これにより、第21実施形態と同様、MQW発光層304にまで不純物元素(炭素)が達するのを防止することができるので、不純物元素(炭素)によるMQW発光層304へのダメージを防止することができる。
(第25実施形態)
図119を参照して、この第25実施形態では、上記第21〜第24実施形態と異なり、リッジ部の両側面部のみにイオン注入光吸収層を形成する場合の例について説明する。第25実施形態のその他の構成は、第21実施形態と同様である。
図119を参照して、この第25実施形態では、第21実施形態と同様、n型GaN基板301上に、n型層302と、n型クラッド層303と、MQW発光層304とが順次形成されている。
そして、第25実施形態では、MQW発光層304上に、凸部を有するとともに、Mgがドープされたp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層385が形成されている。このp型クラッド層385の凸部は、約2μmの幅と約300nmの高さとを有するストライプ状(細長状)に形成されている。また、p型クラッド層385の凸部以外の平坦部は、約100nmの厚みを有する。そして、p型クラッド層385の凸部上には、p型コンタクト層306が形成されている。そして、p型クラッド層385の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約310nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部388が構成されている。なお、p型クラッド層385は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、第25実施形態では、リッジ部388の両側面部に、炭素(C)をイオン注入することにより形成された約200nmの横方向の注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層387が設けられている。このため、イオン注入光吸収層387の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W7は、リッジ部388の幅(約2μm)よりも小さい幅(約1.6μm)を有する。なお、イオン注入光吸収層387は、本発明の「光吸収層」の一例である。
そして、リッジ部388を構成するp型コンタクト層306上には、p側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層385の表面と、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の側面とには、絶縁膜310が形成されている。絶縁膜310の上面上には、p側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極311が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n側電極312が形成されている。
第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、リッジ部388の両側面部に、イオン注入光吸収層387を設けることによって、リッジ部388において、光の横方向の閉じ込めを行うことができる。
なお、第25実施形態のその他の効果は、第21実施形態と同様である。
次に、図119〜図123を参照して、第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図120に示すように、第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、n型GaN基板301上に、n型層302、n型クラッド層303およびMQW発光層304を順次形成する。そして、MQW発光層304上に、約400nmの厚みを有するp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層385、および、p型コンタクト層306を順次形成する。この後、窒素ガス雰囲気中で、約800℃の温度条件下でアニール処理する。次に、p型コンタクト層306上に、p側オーミック電極309およびNi層313を順次形成した後、p側オーミック電極309およびNi層313を約2μmの幅を有するストライプ状(細長状)にパターニングする。次に、Ni層313をマスクとして、p型コンタクト層306およびp型クラッド層385の上面から約150nmの厚み分をエッチングする。この後、全面を覆うように、約40nmの厚みを有するSiNからなるチャネリング防止膜394を形成する。
次に、第25実施形態では、図121に示すように、p側オーミック電極309およびNi層313をマスクとして、炭素をイオン注入する。この際、p型クラッド層385の凸部およびp型コンタクト層306の両側部にイオンが注入されるように、斜め45°の方向から各1回ずつイオン注入を行う。これにより、p型クラッド層385の凸部およびp型コンタクト層306の両側面部と、p型クラッド層385の凸部以外の平坦部とに、約200nmの縦方向および横方向のイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層387が形成される。また、イオン注入光吸収層387の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W7は、約1.6μmとなる。また、イオン注入された領域は高抵抗になるので、電流狭窄の幅もW7になる。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約1×1013cm−2〜約1×1014cm−2、注入温度:室温である。この後、チャネリング防止膜394を除去する。
この後、第25実施形態では、図122に示すように、Cl系ガスによるドライエッチングを用いて、Ni層313をマスクとして、p型クラッド層385のイオン注入光吸収層387が形成された領域の表面から約150nmの厚み分をエッチングする。これにより、p型クラッド層385の平坦部に形成されたイオン注入光吸収層387が除去される。その結果、イオン注入光吸収層387は、リッジ部388の両側面部のみに配置される。また、このエッチングによって、p型クラッド層385の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約310nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部388が形成される。この後、Ni層313を除去する。
次に、図123に示すように、全面を覆うように、絶縁膜310を形成した後、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜310を除去する。これにより、p側オーミック電極309の上面を露出させる。
最後に、図119に示したように、絶縁膜310の上面上に、p側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極311を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第26実施形態)
図124を参照して、この第26実施形態では、上記第21〜第25実施形態と異なり、イオン注入光吸収層を、リッジ部の側端部側と素子の側端部側とに分割して設ける場合の例について説明する。
図124を参照して、この第26実施形態では、第21実施形態と同様、n型GaN基板301上に、n型層302と、n型クラッド層303と、MQW発光層304と、p型クラッド層305と、p型コンタクト層306とが順次形成されている。また、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308が構成されている。
ここで、第26実施形態では、炭素(C)をイオン注入することにより形成された約300nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層407が設けられている。このイオン注入光吸収層407は、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層407aと、イオン注入光吸収層407aと所定の間隔を隔てた素子の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層407bとに分割されている。また、イオン注入光吸収層407aは、約1μmの幅を有しているとともに、イオン注入光吸収層407bは、イオン注入光吸収層407aから約1μmの間隔を隔てて配置されている。なお、イオン注入光吸収層407は、本発明の「光吸収層」の一例である。そして、イオン注入光吸収層407aのリッジ部308側の側端部は、実質的にリッジ部308の側端部の直下に配置されている。これにより、イオン注入光吸収層407aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W11は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)と実質的に同じ幅となる。
そして、リッジ部308を構成するp型コンタクト層306上には、p側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層305、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の表面を覆うように、約200nmの厚みを有するSiOからなる絶縁膜410が形成されている。この絶縁膜410は、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有している。p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜410の上面上には、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約3μmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極411が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n側電極312が形成されている。
第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、上記したように、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の領域に、イオン注入することにより形成されたイオン注入光吸収層407を設けることによって、イオン注入法は再現性がよいので、イオン注入光吸収層407を再現性よく形成することができる。これにより、光の横方向の閉じ込めを再現性よく制御することができる。その結果、リッジ部308による電流狭窄を行いながら、横モードを再現性よく安定化させることができる。また、横モードを安定化させることができるので、高次モード発振により生じるキンク(電流−光出力特性の曲がり)の発生を抑制することができる。これにより、高い最大光出力を得ることができるとともに、ビーム形状を安定化させることができる。
また、第26実施形態では、イオン注入光吸収層407を、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層407aと、素子の側端部側のイオン注入光吸収層407bとに分割して設けることによって、イオン注入光吸収層407の形成領域が大きくなるのを抑制することができるので、MQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができる。その結果、しきい値電流が増大するのを抑制することができる。
次に、図124〜図128を参照して、第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図125に示すように、図101〜図103に示した第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308までを形成する。この後、p側オーミック電極309上と、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上の所定領域とに、約800nmの厚みを有するSiO膜からなるイオン注入マスク420を形成する。この際、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上に位置するイオン注入マスク420が、約1μmの幅を有するように、かつ、リッジ部308の側端部から約1μmの間隔を隔てて配置されるように形成する。
この後、第26実施形態では、図126に示すように、イオン注入マスク420をマスクとして、炭素(C)をイオン注入する。これにより、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面から、MQW発光層304およびn型クラッド層303に渡って約300nmのイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層407を形成する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約5×1013cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。この際、イオン注入マスク420に対応する領域にはイオン注入されないので、イオン注入光吸収層407は、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層407aと、素子の側端部側のイオン注入光吸収層407bとに分割して形成される。そして、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層407aは、約1μmの幅を有するとともに、リッジ部308側の側端部が実質的にリッジ部308の側端部の直下に配置される。これにより、イオン注入光吸収層407aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W11は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)と実質的に同じ約2μmの幅となる。また、イオン注入光吸収層407bは、イオン注入光吸収層407aから約1μmの間隔を隔てて配置される。
この後、イオン注入マスク420を除去することによって、図127に示す状態にする。
次に、図128に示すように、全面を覆うように、約200nmの厚みを有するSiO膜(図示せず)を形成した後、p側オーミック電極309の上面上に位置するSiO膜の所定領域を除去する。これにより、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有するとともに、約200nmの厚みを有するSiO膜からなる絶縁膜410が形成される。
最後に、図124に示したように、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜410の上面上に、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約3μmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極411を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第27実施形態)
図129を参照して、この第27実施形態では、上記第26実施形態の構造において、リッジ部308の側端部側に、約150nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層437aが形成されている。すなわち、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層437aは、MQW発光層304中には達していない。そして、このイオン注入光吸収層437aとイオン注入吸収層437bとによって、第27実施形態のイオン注入光吸収層437が構成されている。なお、イオン注入光吸収層437は、本発明の「光吸収層」の一例である。
そして、イオン注入光吸収層437aのリッジ部308側の側端部は、リッジ部308の側端部から約0.2μm離れた位置に配置されている。これにより、イオン注入光吸収層437aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W12は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約2.4μmとなる。また、イオン注入光吸収層437aは、約0.8μmの幅を有しているとともに、イオン注入光吸収層437bは、イオン注入光吸収層437aから約1μmの間隔を隔てて配置されている。なお、第27実施形態のその他の構成は、上記第26実施形態と同様である。
第27実施形態では、上記したように、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層437aの注入深さ(厚み)を、イオン注入光吸収層437aがMQW活性層304中に達しないように約150nmの注入深さ(厚み)にすることによって、MQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのをより抑制することができる。その結果、しきい値電流が増大するのをより抑制することができる。
なお、第27実施形態のその他の効果は、上記第26実施形態と同様である。
次に、図129〜図133を参照して、第27実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図130に示すように、図101〜図103に示した第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308までを形成する。この後、p側オーミック電極309の上面および側面上と、リッジ部308の側面上と、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上の所定領域とに、約200nmの厚みを有するSiO膜からなるイオン注入マスク440aを形成する。この際、イオン注入マスク440aの側端部が、リッジ部308の側端部から約2μm離れた位置に配置されるように形成する。この後、イオン注入マスク440a上の側端部領域に、約600nmの厚みと約1μmの幅とを有するSiO膜からなるイオン注入マスク440bを形成する。これにより、イオン注入マスク440aとイオン注入マスク440bとからなるイオン注入マスク440が形成される。そして、イオン注入マスク440の側端部領域(リッジ部308の側端部から約2μm離れた部分)の厚みは、約800μmとなる。
この後、第27実施形態では、図131に示すように、イオン注入マスク440をマスクとして、炭素(C)をイオン注入することによりイオン注入光吸収層437を形成する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約5×1013cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。この際、大きい厚み(約800nm)を有するイオン注入マスク440の側端部領域に対応する領域にはイオン注入されないので、イオン注入光吸収層437は、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層437aと、素子の側端部側のイオン注入光吸収層437bとに分割して形成される。
また、リッジ部308およびp側オーミック電極309の側面上に形成されたイオン注入マスク層440に対応する領域にもイオン注入されない。また、イオン注入マスク440の側端部以外の領域は、小さい厚み(約200nm)を有するので、イオン注入マスク440の側端部以外の領域に対応する領域にはイオン注入される。ただし、イオン注入深さは、イオン注入マスク440が形成されていない領域に比べて小さくなる。
これにより、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層437aは、約0.8μmの幅を有するとともに、リッジ部308側の側端部がリッジ部308の側端部から約0.2μm離れた位置に配置される。このため、イオン注入光吸収層437aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W12は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約2.4μmとなる。また、イオン注入光吸収層437bは、イオン注入光吸収層437aから約1μmの間隔を隔てて配置される。そして、イオン注入光吸収層437aのイオン注入深さ(厚み)は、約150nmとなり、イオン注入光吸収層437bのイオン注入深さ(厚み)は、約300nmとなる。
この後、イオン注入マスク層440を除去することによって、図132に示す状態にする。
次に、図133に示すように、図128に示した第26実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有する絶縁膜410を形成する。
最後に、図129に示したように、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜410の上面上に、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極411を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第27実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第28実施形態)
図134を参照して、この第28実施形態では、上記第26実施形態の構造において、イオン注入光吸収層の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)を、リッジ部の幅(電流狭窄の幅)よりも大きくする場合の例について説明する。なお、第28実施形態のその他の構成は、上記第26実施形態と同様である。
図134を参照して、この第28実施形態では、上記第26実施形態と同様、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308が構成されている。
ここで、第28実施形態では、炭素(C)をイオン注入することにより形成された約300nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層457が設けられている。このイオン注入光吸収層457は、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層457aと、素子の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層457bとに分割して設けられている。なお、イオン注入光吸収層457は、本発明の「光吸収層」の一例である。そして、イオン注入光吸収層457aのリッジ部308側の側端部は、リッジ部308の側端部から約1μm離れた位置に配置されている。これにより、イオン注入光吸収層457aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W13は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約4μmとなる。また、イオン注入光吸収層457aは、約1μmの幅を有しているとともに、イオン注入光吸収層457bは、イオン注入光吸収層457aから約1μmの間隔を隔てて配置されている。
そして、リッジ部308を構成するp型コンタクト層306上には、p側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層305、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の表面を覆うように、絶縁膜410が形成されている。この絶縁膜410は、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有している。絶縁膜410の上面上には、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極411が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n側電極312が形成されている。
第28実施形態では、上記したように、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層457aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W13を、リッジ部308の幅(約2μm)よりも大きい約4μmにすることによって、MQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができる。また、イオン注入光吸収層457を、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層457aと、素子の側端部側のイオン注入光吸収層457bとに分割して設けることによって、イオン注入光吸収層457の形成領域が大きくなるのを抑制することができるので、これによっても、MQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができる。その結果、しきい値電流が増大するのをより抑制することができる。
なお、第28実施形態のその他の効果は、上記第26実施形態と同様である。
次に、図135〜図138を参照して、第28実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図135に示すように、図101〜図103に示した第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308までを形成する。この後、p側オーミック電極309の上面および側面上と、リッジ部308の側面上と、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上の所定領域とに、約800nmの厚みを有するSiO膜からなるイオン注入マスク460を形成する。この際、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上に位置するイオン注入マスク460が、約1μmの幅を有するように、かつ、約1μmの間隔を隔てて約2μmの周期で配置されるように形成する。また、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上に位置するイオン注入マスク460の側端部が、リッジ部308の側端部から約3μm離れた位置に配置されるように形成する。
この後、第28実施形態では、図136に示すように、イオン注入マスク460をマスクとして、炭素(C)をイオン注入する。これにより、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面から、MQW発光層304およびn型クラッド層303に渡って約300nmのイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層457を形成する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約5×1013cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。この際、イオン注入マスク460に対応する領域にはイオン注入されないので、イオン注入光吸収層457は、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層457aと、素子の側端部側のイオン注入光吸収層457bとに分割して形成される。そして、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層457aは、約1μmの幅を有するとともに、リッジ部308側の側端部がリッジ部308の側端部から約1μm離れた位置に配置される。これにより、イオン注入光吸収層457aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W13は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約4μmとなる。また、イオン注入光吸収層457bは、イオン注入光吸収層457aから約1μmの間隔を隔てて配置される。
この後、イオン注入マスク460を除去することによって、図137に示す状態にする。
次に、図138に示すように、図128に示した第26実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有する絶縁膜410を形成する。
最後に、図134に示したように、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜410の上面上に、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極411を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第28実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第29実施形態)
図139を参照して、この第29実施形態では、上記第26〜28実施形態と異なり、リッジ部の側端部と素子の側端部との間に設けられたイオン注入光吸収層を、3つのイオン注入光吸収層に分割する場合の例について説明する。なお、第29実施形態のその他の構成は、上記第28実施形態と同様である。
図139を参照して、この第29実施形態では、第28実施形態と同様、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とによって、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308が構成されている。
ここで、第29実施形態では、炭素(C)をイオン注入することにより形成された約300nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層477が設けられている。このイオン注入光吸収層477は、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層477a、素子の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層477b、および、イオン注入光吸収層477aとイオン注入光吸収層477bとの間に設けられたイオン注入光吸収層477cに分割して設けられている。なお、イオン注入光吸収層477は、本発明の「光吸収層」の一例である。そして、イオン注入光吸収層477aのリッジ部308側の側端部は、リッジ部308の側端部から約1μm離れた位置に配置されている。これにより、イオン注入光吸収層477aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W14は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約4μmとなる。また、イオン注入光吸収層477aおよび477cは、約1μmの幅を有している。そして、イオン注入光吸収層477cは、イオン注入光吸収層477aから約1μmの間隔を隔てて配置されているとともに、イオン注入光吸収層477bは、イオン注入光吸収層477cから約1μmの間隔を隔てて配置されている。
そして、リッジ部308を構成するp型コンタクト層306上には、p側オーミック電極309が形成されている。また、p型クラッド層305、p型コンタクト層306およびp側オーミック電極309の表面を覆うように、絶縁膜410が形成されている。この絶縁膜410は、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有している。絶縁膜410の上面上には、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極411が形成されている。また、n型GaN基板301の裏面上には、n側電極312が形成されている。
第29実施形態では、上記したように、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層477aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W14を、リッジ部308の幅(約2μm)よりも大きい約4μmにすることによって、MQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができる。また、リッジ部308の側端部と素子の側端部との間に設けられたイオン注入光吸収層477を、3つのイオン注入光吸収層447a、447bおよび447cに分割することによって、上記第28実施形態に比べて、イオン注入光吸収層477の形成領域が大きくなるのをより抑制することができるので、MQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのをより抑制することができる。その結果、第28実施形態よりもしきい値電流が増大するのを抑制することができる。
なお、第29実施形態のその他の効果は、上記第26実施形態と同様である。
次に、図139〜図143を参照して、第29実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図140に示すように、図101〜図103に示した第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308までを形成する。この後、p側オーミック電極309の上面および側面上と、リッジ部308の側面上と、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上の所定領域とに、約800nmの厚みを有するSiO膜からなるイオン注入マスク480を形成する。この際、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上に位置するイオン注入マスク480が、約1μmの幅を有するように、かつ、約1μmの間隔を隔てて約2μmの周期で配置されるように形成する。また、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上に位置するイオン注入マスク480の側端部が、リッジ部308の側端部から約5μm離れた位置に配置されるように形成する。
この後、第29実施形態では、図141に示すように、イオン注入マスク480をマスクとして、炭素(C)をイオン注入する。これにより、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面から、MQW発光層304およびn型クラッド層303に渡って約300nmのイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層477を形成する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約5×1013cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。この際、イオン注入マスク480に対応する領域にはイオン注入されないので、イオン注入光吸収層477は、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層477a、素子の側端部側のイオン注入光吸収層477b、および、イオン注入光吸収層477aとイオン注入光吸収層477bとの間に設けられたイオン注入光吸収層477cに分割して形成される。そして、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層477aは、約1μmの幅を有するとともに、リッジ部308側の側端部がリッジ部308の側端部から約1μm離れた位置に配置される。これにより、イオン注入光吸収層477aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W14は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約4μmとなる。また、イオン注入光吸収層477cは、イオン注入光吸収層477aから約1μmの間隔を隔てて配置されるとともに、イオン注入光吸収層477bは、イオン注入光吸収層477cから約1μmの間隔を隔てて配置される。
この後、イオン注入マスク480を除去することによって、図142に示す状態にする。
次に、図143に示すように、図128に示した第26実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有する絶縁膜410を形成する。
最後に、図139に示したように、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜410の上面上に、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極411を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第29実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第30実施形態)
図144を参照して、この第30実施形態では、上記第28実施形態の構造において、リッジ部308の側端部側に、約150nmの注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層497aが形成されている。すなわち、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層497aは、MQW発光層304中には達していない。そして、このイオン注入光吸収層497aとイオン注入吸収層497bとによって、第30実施形態のイオン注入光吸収層497が構成されている。なお、イオン注入光吸収層497は、本発明の「光吸収層」の一例である。
そして、イオン注入光吸収層497aのリッジ部308側の側端部は、リッジ部308の側端部から約1μm離れた位置に配置されている。これにより、イオン注入光吸収層497aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W15は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約4μmとなる。また、イオン注入光吸収層497aは、約1μmの幅を有しているとともに、イオン注入光吸収層497bは、イオン注入光吸収層497aから約1μmの間隔を隔てて配置されている。なお、第30実施形態のその他の構成は、上記第28実施形態と同様である。
第30実施形態では、上記したように、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層497aの注入深さ(厚み)を、イオン注入光吸収層497aがMQW活性層304中に達しないように約150nmの注入深さ(厚み)にすることによって、MQW発光層304の近傍の光吸収が過大になるのをより抑制することができる。その結果、しきい値電流が増大するのをより抑制することができる。
なお、第30実施形態のその他の効果は、上記第28実施形態と同様である。
次に、図144〜図148を参照して、第30実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図145に示すように、図101〜図103に示した第21実施形態と同様の製造プロセスを用いて、p型クラッド層305の凸部とp型コンタクト層306とから構成されるとともに、約2μmの幅と約260nmの高さとを有するストライプ状(細長状)のリッジ部308までを形成する。この後、p側オーミック電極309の上面および側面上と、リッジ部308の側面上と、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上の所定領域とに、約200nmの厚みを有するSiO膜からなるイオン注入マスク500aを形成する。この際、イオン注入マスク500aの側端部が、リッジ部308の側端部から約3μm離れた位置に配置されるように形成する。この後、p型クラッド層305の凸部以外の平坦部の表面上に位置するイオン注入マスク500a上の所定領域に、約600nmの厚みを有するSiO膜からなるイオン注入マスク500bを形成する。具体的には、イオン注入マスク500a上の側端部領域に位置するイオン注入マスク500bの幅を、約1μmに形成するとともに、イオン注入マスク500a上のリッジ部308側の領域に位置するイオン注入マスク500bの幅を、約0.8μmに形成する。これにより、イオン注入マスク500aとイオン注入マスク500bとからなるイオン注入マスク500が形成される。そして、イオン注入マスク500の側端部領域(リッジ部308の側端部から約3μm離れた部分)、および、イオン注入マスク500のリッジ部308側の領域の厚みは、約800μmとなる。
この後、第30実施形態では、図146に示すように、イオン注入マスク500をマスクとして、炭素(C)をイオン注入することによりイオン注入光吸収層497を形成する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約5×1013cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極309の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。この際、大きい厚み(約800nm)を有するイオン注入マスク500の側端部領域に対応する領域にはイオン注入されないので、イオン注入光吸収層500は、リッジ部308の側端部側のイオン注入光吸収層497aと、素子の側端部側のイオン注入光吸収層497bとに分割して形成される。
また、大きい厚み(約800nm)を有するイオン注入マスク500のリッジ部308側の領域に対応する領域にもイオン注入されない。また、イオン注入マスク500の側端部以外の領域は、小さい厚み(約200nm)を有するので、イオン注入マスク500の側端部以外の領域に対応する領域にはイオン注入される。ただし、イオン注入深さは、イオン注入マスク500が形成されていない領域に比べて小さくなる。
これにより、リッジ部308の側端部側に設けられたイオン注入光吸収層497aは、約1μmの幅を有するとともに、リッジ部308側の側端部がリッジ部308の側端部から約1μm離れた位置に配置される。このため、イオン注入光吸収層497aの側端部間の幅(光閉じ込めの幅)W15は、リッジ部308の幅(電流狭窄の幅)(約2μm)よりも大きい約4μmとなる。また、イオン注入光吸収層497bは、イオン注入光吸収層497aから約1μmの間隔を隔てて配置される。そして、イオン注入光吸収層497aのイオン注入深さ(厚み)は、約150nmとなり、イオン注入光吸収層497bのイオン注入深さ(厚み)は、約300nmとなる。
この後、イオン注入マスク層500を除去することによって、図147に示す状態にする。
次に、図148に示すように、図128に示した第26実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極309の上面上に開口部410aを有する絶縁膜410を形成する。
最後に、図144に示したように、p側オーミック電極309の上面上に位置する絶縁膜410の上面上に、開口部410aを介してp側オーミック電極309の上面に接触するように、p側パッド電極411を形成する。また、n型GaN基板301の裏面上に、n側電極312を形成する。このようにして、第30実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第31実施形態)
図149〜図153を参照して、この第31実施形態では、イオン注入光吸収層の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)を、素子の共振器端面近傍と中央部近傍とで異ならせる場合の例について説明する。
まず、この第31実施形態では、図149に示すように、n型GaN基板601上に、約1μmの厚みを有するSiがドープされたn型GaNからなるn型バッファ層602が形成されている。n型バッファ層602上には、約1μmの厚みを有するSiがドープされたn型Al0.07Ga0.03Nからなるn型クラッド層603が形成されている。なお、n型バッファ層602およびn型クラッド層603は、本発明の「第1窒化物系半導体層」の一例である。
n型クラッド層603上には、MQW発光層604が形成されている。このMQW発光層604は、図150に示すように、n型光ガイド層604aと、MQW活性層604bと、アンドープ光ガイド層604cと、アンドープキャップ層604dとによって構成されている。n型光ガイド層604aは、n型クラッド層603上(図149参照)に形成されているとともに、約0.1μmの厚みを有するSiがドープされたn型In0.1Ga0.9Nからなる。MQW活性層604bは、n型光ガイド層604a上に形成されているとともに、約8nmの厚みを有するアンドープIn0.02Ga0.08Nからなる4層の障壁層604eと、約3.5nmの厚みを有するアンドープIn0.5Ga0.85Nからなる3層の井戸層604fとが交互に積層された構造を有する。アンドープ光ガイド層604cは、MQW活性層604b上に形成されているとともに、約0.1μmの厚みを有するアンドープIn0.1Ga0.9Nからなる。アンドープキャップ層604dは、アンドープ光ガイド層604c上に形成されているとともに、約20nmの厚みを有するAl0.15Ga0.85Nからなる。
そして、図149に示すように、MQW発光層604上には、凸部を有するとともに、約0.4μmの厚みを有するMgがドープされたp型Al0.07Ga0.03Nからなるp型クラッド層605が形成されている。このp型クラッド層605の凸部の厚みは、約0.35μmであり、凸部以外の平坦部の厚みは、約0.05μmである。そして、p型クラッド層605の凸部上には、約20nmの厚みを有するMgがドープされたp型GaNからなるp型コンタクト層606が形成されている。そして、p型クラッド層605の凸部とp型コンタクト層606とによって、ストライプ状(細長状)のリッジ部608が構成されている。なお、p型クラッド層605およびp型コンタクト層606は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、第31実施形態では、炭素(C)をイオン注入することにより形成されたイオン注入光吸収層607が設けられている。このイオン注入光吸収層607は、p型クラッド層605の凸部以外の平坦部の表面からn型クラッド層603中に達する注入深さ(約0.4μm)を有する。なお、イオン注入光吸収層607は、本発明の「光吸収層」の一例である。このイオン注入光吸収層607の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)は、素子の共振器端面近傍と中央部近傍とで異なる幅を有する。具体的には、図151および図153に示すように、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W21は、リッジ部608の幅(電流狭窄の幅)と実質的に同じ幅(約1.5μm)を有している。また、図152および図153に示すように、素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W22は、リッジ部608の幅(電流狭窄の幅)よりも大きい幅(約7.5μm)を有している。すなわち、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W21(約1.5μm)は、素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W22(約7.5μm)よりも小さい幅を有している。そして、図153に示すように、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607との間の境界領域の幅が徐々に変動するように、テーパ形状に形成されている。なお、イオン注入光吸収層607の詳細な平面形状は、素子の共振器端面近傍の長さL1:約20μm、素子の中央部近傍の長さL2:約500μm、および、テーパ形状部の長さL3:約30μmである。
そして、図149に示すように、リッジ部608を構成するp型コンタクト層606上には、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約20nmの厚みを有するPd層とからなるp側オーミック電極609が形成されている。また、p型クラッド層605の表面上と、p型コンタクト層606およびp側オーミック電極609の側面上とには、約100nm〜約300nmの厚みを有するSiOからなる絶縁膜610が形成されている。絶縁膜610の上面上には、p側オーミック電極609の上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極611が形成されている。また、n型GaN基板601の裏面上には、n型GaN基板601の裏面に近い方から順に、約6nmの厚みを有するAl層と、約10nmの厚みを有するPd層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるn側電極612が形成されている。
第31実施形態では、上記したように、p型クラッド層605のリッジ部608を構成する凸部以外の領域に、イオン注入することにより形成されたイオン注入光吸収層607を設けることによって、イオン注入法は再現性がよいので、イオン注入光吸収層607を再現性よく形成することができる。また、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W21を、素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W22よりも小さくすることによって、素子の共振器端面において、良好に光の横方向の閉じ込め行うことができるので、横モードを安定化させることができる。これにより、高次モード発振により生じるキンク(電流−光出力特性の曲がり)の発生を抑制することができる。また、素子の中央部において、MQW発光層604の近傍の光吸収が過大になるのを抑制することができるので、しきい値電流が増大するのを抑制することができる。その結果、しきい値電流の増加、スロープ効率の低下およびキンクレベルの低下を抑制しながら、ビーム形状を安定化させることができる。
また、第31実施形態では、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607との間の境界領域の幅が徐々に変動するように、テーパ形状にすることによって、光吸収の急激な変化を抑制することができる。これにより、素子の共振器端面近傍と素子の中央部近傍との間における結合損失を抑えることができるので、出力特性が低下するのを抑制することができる。また、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607との間の境界領域をテーパ形状にすることによって、容易に、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607との間の境界領域の幅を、徐々に変動させることができる。
次に、図149、図150および図154〜図164を参照して、第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図154に示すように、MOCVD法を用いて、n型GaN基板601上に、約1μmの厚みを有するSiがドープされたn型GaNからなるn型バッファ層602、および、約1μmの厚みを有するSiがドープされたn型Al0.07Ga0.03Nからなるn型クラッド層603を順次成長させる。
この後、図150に示したように、n型クラッド層603(図154参照)上に、約0.1μmの厚みを有するSiがドープされたn型In0.1Ga0.9Nからなるn型光ガイド層604a、および、MQW活性層604bを順次成長させる。なお、MQW活性層604bを成長させる際には、約8nmの厚みを有するアンドープIn0.02Ga0.08Nからなる4層の障壁層604eと、約3.5nmの厚みを有するアンドープIn0.15Ga0.85Nからなる3層の井戸層604fとを交互に積層する。次に、MQW活性層604b上に、約0.1μmの厚みを有するアンドープIn0.1Ga0.9Nからなるアンドープ光ガイド層604c、および、約20nmの厚みを有するAl0.15Ga0.85Nからなるアンドープキャップ層604dを順次成長させる。これにより、n型光ガイド層604aと、MQW活性層604bと、アンドープ光ガイド層604cと、アンドープキャップ層604dとからなるMQW発光層604が形成される。
次に、図154に示すように、MQW発光層604上に、約0.4μmの厚みを有するMgがドープされたp型Al0.07Ga0.03Nからなるp型クラッド層605、および、約20nmの厚みを有するMgがドープされたp型GaNからなるp型コンタクト層606を順次成長させる。
次に、図155に示すように、電子ビーム蒸着法を用いて、p型コンタクト層606上に、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約20nmの厚みを有するPd層とからなるp側オーミック電極609を形成する。この後、プラズマCVD法または電子ビーム蒸着法を用いて、p側オーミック電極609上に、約200μm〜約500μmの厚みを有するSiO膜613を形成する。なお、このSiO膜613は、後述する工程において、エッチングマスクとして用いる。このため、良好な膜を形成することが可能なプラズマCVD法を用いて、SiO膜613を形成するのが好ましい。
次に、図156に示すように、SiO膜613上の所定領域に、約0.5μm〜約1μmの厚みを有するポジ型レジスト614をストライプ状(細長状)に形成する。
次に、図157に示すように、CF系ガスによる反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)を用いて、ポジ型レジスト614をマスクとして、p側オーミック電極609およびSiO膜613の所定領域を除去する。なお、エッチング条件は、ガス流量:約10sccm、圧力:約0.13Pa、および、電力:約200Wである。この後、ポジ型レジスト614を、レジストストリッパにより除去することによって、図158に示す状態にする。
次に、図159に示すように、Cl系ガスによる反応性イオンエッチングを用いて、SiO膜613をマスクとして、p型コンタクト層606およびp型クラッド層605の上面から約0.35μmの厚み分を除去する。これにより、p型クラッド層605の凸部とp型コンタクト層606とから構成されるストライプ状(細長状)のリッジ部608を形成する。
次に、図160に示すように、SiO膜613の上面および側面上と、p側オーミック電極609およびリッジ部608の側面上と、p型クラッド層605の凸部以外の平坦部の表面上との所定領域に、約1μmの厚みを有するポジ型レジストからなるイオン注入マスク615を形成する。この際、イオン注入マスク615の素子の共振器端面からの長さL1を、約20μmにするとともに、イオン注入マスク615の素子の中央部近傍の長さL2を、約500μmにする。また、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入マスク615と素子の中央部近傍に位置するイオン注入マスク615との間の境界領域の幅が徐々に変動するように、テーパ形状に形成するとともに、そのテーパ形状部の長さL3を、約30μmにする。また、イオン注入マスク615の素子の中央部近傍の幅をW22(約7.5μm)にする。
この後、第31実施形態では、図161に示すように、イオン注入マスク615をマスクとして、炭素(C)をイオン注入する。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約5×1013cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極609の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。これにより、p型クラッド層605の凸部以外の平坦部の表面からn型クラッド層603中に達するイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層607が形成される。そして、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W21は、リッジ部608の幅(電流狭窄の幅)と実質的に同じ幅(約1.5μm)となるとともに、素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607の側端部間の幅W22は、リッジ部608の幅(電流狭窄の幅)よりも大きい幅(約7.5μm)となる。また、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層607と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層607との間の境界領域の幅が徐々に変動するように、テーパ形状に形成される。
次に、イオン注入マスク615を、レジストストリッパにより除去する。この後、プラズマによりアッシングすることによって、イオン注入マスク615を完全に除去する。これにより、図162に示す状態にする。
次に、図163に示すように、全面を覆うように、約100nm〜約300nmの厚みを有するSiO膜からなる絶縁膜610を形成する。
この後、図164に示すように、p側オーミック電極609の上面上に位置する絶縁膜610を除去する。
最後に、図149に示したように、絶縁膜610の上面上に、p側オーミック電極609の上面に接触するように、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極611を形成する。また、n型GaN基板601の裏面上に、n型GaN基板601の裏面に近い方から順に、約6nmの厚みを有するAl層と、約10nmの厚みを有するPd層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるn側電極612を形成する。このようにして、第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
(第32実施形態)
図165〜図167を参照して、この第32実施形態では、上記第31実施形態と異なり、リッジ部を形成しない場合の例について説明する。なお、第32実施形態のその他の構成は、上記第31実施形態と同様である。
まず、この第31実施形態では、図165に示すように、n型GaN基板601上に、n型バッファ層602、n型クラッド層603、MQW発光層604が順次形成されている。MQW発光層604上には、約0.4μmの厚みを有するMgがドープされたp型Al0.07Ga0.03Nからなるp型クラッド層625が形成されている。p型クラッド層625上には、約20nmの厚みを有するMgがドープされたp型GaNからなるp型コンタクト層626が形成されている。なお、p型クラッド層625およびp型コンタクト層626は、本発明の「第2窒化物系半導体層」の一例である。
ここで、第32実施形態では、炭素(C)をイオン注入することにより形成されたイオン注入光吸収層627が設けられている。このイオン注入光吸収層627は、p型コンタクト層626の上面からn型クラッド層603中に達する注入深さ(厚み)を有する。すなわち、イオン注入光吸収層627は、n型クラッド層603の表面から約0.3μmの深さの位置まで形成されている。なお、イオン注入光吸収層627は、本発明の「光吸収層」の一例である。そして、イオン注入光吸収層627の側端部間の領域は、電流通過領域628として機能する。このイオン注入光吸収層627の側端部間の幅(光閉じ込めの幅)は、素子の共振器端面近傍と中央部近傍とで異なる幅を有する。すなわち、図166および図167に示すように、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層627の側端部間の幅W31(約1.5μm)(図166参照)は、素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層627の側端部間の幅W32(約7.5μm)(図167参照)よりも小さい幅を有している。また、図153に示した上記第31実施形態と同様、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層627と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層627との間の境界領域の幅が徐々に変動するように、テーパ形状に形成されている。
そして、図165に示すように、p型コンタクト層626上のイオン注入光吸収層627が形成されていない領域には、下層から上層に向かって、約1nmの厚みを有するPt層と、約20nmの厚みを有するPd層とからなるp側オーミック電極629が形成されている。また、p型コンタクト層626上のイオン注入光吸収層627が形成されている領域には、約100nm〜約300nmの厚みを有するSiOからなる絶縁膜630が形成されている。p側オーミック電極629および絶縁膜630の上面上には、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極631が形成されている。また、n型GaN基板601の裏面上には、n側電極612が形成されている。
第32実施形態では、上記したように、イオン注入光吸収層627を設けるとともに、そのイオン注入光吸収層627の側端部間を電流通過領域628として機能させることによって、リッジ部を形成する場合に比べて、製造工程を簡略化することができる。その一方、リッジ部により電流狭窄する場合に比べて、素子出力特性が低下する。ただし、高出力を必要としない光ディスクの再生に用いる場合には、素子の出力特性が低下したとしても問題とならない。
なお、第32実施形態のその他の効果は、上記第31実施形態と同様である。
次に、図165、図168〜図172を参照して、第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図168に示すように、図154〜図158に示した第31実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ストライプ状(細長状)のp側オーミック電極629およびSiO膜613までを形成する。この後、SiO膜613の上面および側面上と、p側オーミック電極629の側面上と、p型コンタクト層626の上面上との所定領域に、約1μmの厚みを有するポジ型レジストからなるイオン注入マスク635を形成する。この際、イオン注入マスク635の素子の共振器端面からの長さL11を、約20μmにするとともに、素子の中央部近傍の長さL12を、約500μmにする。また、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入マスク635と素子の中央部近傍に位置するイオン注入マスク635との間の境界領域の幅が徐々に変動するように、テーパ形状に形成するとともに、そのテーパ形状部の長さL13を、約30μmにする。また、イオン注入マスク635の素子の中央部近傍の幅をW32(約7.5μm)にする。
この後、第32実施形態では、図169に示すように、イオン注入マスク635をマスクとして、炭素(C)をイオン注入する。これにより、p型コンタクト層626の上面からn型クラッド層603中に達するイオン注入深さ(厚み)を有するイオン注入光吸収層627が形成される。なお、炭素のイオン注入条件は、注入エネルギ:約95keV、ドーズ量:約5×1013cm−2、注入温度:室温である。また、このイオン注入は、p側オーミック電極629の長手方向に約7°傾斜させた方向から行う。そして、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層627の側端部間の幅W31は、p側オーミック電極629と実質的に同じ幅(約1.5μm)となるとともに、素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層627の側端部間の幅W32は、p側オーミック電極629よりも大きい幅(約7.5μm)となる。そして、このイオン注入光吸収層627の側端部間の領域が、電流通過領域628として機能する。また、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層627と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層627との間の境界領域の幅が徐々に変動するように、テーパ形状に形成される。
次に、イオン注入マスク635を、レジストストリッパにより除去する。この後、プラズマによりアッシングすることによって、イオン注入マスク635を完全に除去する。これにより、図170に示す状態にする。
次に、図171に示すように、全面を覆うように、約100nm〜約300nmの厚みを有するSiO膜からなる絶縁膜630を形成する。
この後、SiO膜613およびSiO膜613上に位置する絶縁膜630を除去することによって、図172に示すように、p側オーミック電極629の上面を露出させる。
最後に、図165に示したように、p側オーミック電極629および絶縁膜630の上面上に、下層から上層に向かって、約100nmの厚みを有するTi層と、約100nmの厚みを有するPd層と、約300nmの厚みを有するAu層とからなるp側パッド電極631を形成する。また、n型GaN基板601の裏面上に、n側電極612を形成する。このようにして、第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が完成される。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、炭素、シリコン、ホウ素、リン、マグネシウムまたはアルゴンのいずれかの元素をイオン注入することによりイオン注入光吸収層を形成したが、本発明はこれに限らず、他の元素をイオン注入してもよい。なお、注入する元素は、注入される側の半導体の導電性と逆の導電性を有しているドーパントを用いるのが好ましい。これにより、低ドーズ量のイオン注入でイオン注入光吸収層を形成することができる。また、炭素よりも質量数の多い重い元素を用いることが好ましい。これにより、注入イオンのチャネリングを防止することができる。また、Al、Ga、Inなどの3族元素やリン、As、Sbなどの5族元素のいずれかを注入してもよい。特に、リンまたはAsは、深い準位(アイソエレクトロニックトラップ)を形成するため、低ドーズ量で十分な光吸収層を形成することができる。また、上記以外の元素として、窒素、酸素およびネオンなどが挙げられる。
また、上記実施形態では、多量の元素をイオン注入することにより、導入元素濃度が、約1×1020cm−3のイオン注入光吸収層を形成したが、本発明はこれに限らず、導入元素濃度の極大値が、約5×1019cm−3以上であればよい。また、イオン注入光吸収層の結晶欠陥密度の極大値が、約5.0×1018cm−3以上であればよい。さらに、イオン注入光吸収層の光吸収係数の極大値が、1×10cm−1以上であればよい。これらのいずれかの条件に該当すれば、光の横方向の閉じ込めを十分に行うことができる。
また、上記第6実施形態では、単に炭素をイオン注入することにより、イオン注入光吸収層57を形成したが、本発明はこれに限らず、イオン注入後に熱処理(アニール)を行ってもよい。たとえば、図27に示した第6実施形態のプロセスにおいて、約500℃のN/H混合ガス雰囲気中で約10分間の熱処理を行ってもよい。Hを含む雰囲気中で熱処理を行うことによって、p型コンタクト層6の清浄性が保たれるので、良好なp側オーミック特性が得られる。この場合、イオン注入光吸収層57の光吸収係数が低減されることにより、しきい値電流が低減される。なお、熱処理時の雰囲気ガスは、N/H混合ガスでなくてもよい。たとえば、N/NH混合ガスやNHガスであってもよい。このように、熱処理により、イオン注入光吸収層57の結晶欠陥を低減するとともに、光吸収の度合い(光吸収係数)を調整(減少)することができる。
また、上記第13実施形態では、第1の阻止能力を有する第1イオン透過領域(10nmのSiO)と、第1イオン透過領域よりもイオンが透過しにくい第2の阻止能力を有する第2のイオン透過領域(10nmのSiOと60nmのPt)を有するスルー膜を介してイオン注入したが、本発明はこれに限らず、第1イオン透過領域を膜厚の薄いスルー膜から構成し、第2のイオン透過領域を膜厚の厚いスルー膜から構成してもよい。たとえば、第1イオン透過領域を10nmのSiOから構成し、第2のイオン透過領域を300nmのSiOから構成してもよく、また第1イオン透過領域にはスルー膜を形成せず、第2のイオン透過領域を60nmのPtから構成してもよい。また、第1イオン透過領域を密度の低い材料からなるスルー膜から構成し、第2のイオン透過領域を密度の高い材料からなるスルー膜から構成してもよい。たとえば、第1イオン透過領域を60nmのSiOから構成し、第2のイオン透過領域を60nmのPtから構成してもよい。
また、上記第18実施形態では、イオン注入により高抵抗化されたイオン注入光吸収層187を形成することによって、p型半導体層間を電気的に分離する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、p型半導体層とn型半導体層とを電気的に分離する場合や、n型半導体層間を電気的に分離する場合であってもよい。また、第18実施形態では、イオン注入による電気分離により半導体レーザを集積化する例を示したが、本発明はこれに限らず、発光ダイオードなどの発光素子、FET(Field Effect Transistor)、HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)などの電子デバイス、受光素子などの集積化を行う場合であってもよい。また、IC(Integrated Circuit)やOEIC(Optoelectronic Integrated Circuit)、光ICなどへも適用できる。
また、上記実施形態では、ストライプ状の光閉じ込め領域を形成し、ストライプ構造の導波路構造を有する窒化物系半導体レーザ素子を形成したが、円形などの非注入領域を形成することにより、円形などの光閉じ込め領域を形成して、垂直共振器型の窒化物系半導体レーザ素子を作製してもよい。
また、上記第2実施形態では、炭素を多量にイオン注入することによって、イオン注入光吸収層17を形成したが、本発明はこれに限らず、水素やホウ素などの元素により、低ドーズ量でイオン注入を行ってもよい。たとえば、ホウ素を約65keVの注入エネルギで、ドーズ量が約1×1014cm−2で注入した場合であってもよい。この場合の不純物濃度のピーク強度は8×1018cm−3となる。
また、上記実施形態では、AlGaNまたはGaNからなるp型コンタクト層を用いたが、本発明はこれに限らず、InGaNからなるp型コンタクト層を用いてもよい。
また、上記第21実施形態では、イオン注入光吸収層307を、p型クラッド層305のリッジ部308を構成する凸部以外の平坦部の表面部のみに形成し、かつ、イオン注入光吸収層307の側端部がリッジ部308の側端部の実質的に直下に配置されるようにしたが、本発明はこれに限らず、光吸収層を、MQW発光層およびn型クラッド層が形成される領域にまで達するように形成し、かつ、光吸収層の側端部がリッジ部の側端部の実質的に直下に配置されるようにしてもよい。
また、上記第22および第23実施形態では、イオン注入光吸収層327(347)を、n型クラッド層303に達するように形成し、かつ、イオン注入光吸収層327(347)の側端部がリッジ部308(348)の側端部から離れた位置に配置されるようにしたが、本発明はこれに限らず、光吸収層を、p型クラッド層のリッジ部を構成する凸部以外の平坦部の表面部のみに形成し、かつ、光吸収層の側端部がリッジ部の側端部から離れた位置に配置されるようにしてもよい。
また、上記第22および第23実施形態では、イオン注入光吸収層327(347)の側端部を、リッジ部308(348)の側端部から約2μm以下の範囲で離すようにしたが、本発明はこれに限らず、光吸収層の側端部とリッジ部の側端部との間隔が、約5μm以下の範囲であればよい。
また、上記第21〜第25実施形態では、イオン注入後に、熱処理を行わなかったが、本発明はこれに限らず、光吸収層の吸収係数を調整するために、イオン注入後に、熱処理を行ってもよい。この場合、熱による影響を小さくするために、流量が約1L/minの窒素ガス中で、約400℃以下の温度条件下で熱処理するのが好ましい。また、吸収係数の調整は、熱処理時間を制御することにより行う。
また、上記第31および第32実施形態では、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層との間がテーパ形状になるように形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層との間の境界領域で徐々に幅が変動する形状であれば、テーパ形状以外の形状であってもよい。また、素子の共振器端面近傍に位置するイオン注入光吸収層と素子の中央部近傍に位置するイオン注入光吸収層との間の境界領域で徐々に幅が変動する形状でなくてもよい。この場合、素子の構造を簡略化することができる。ただし、素子の共振器端面近傍と素子の中央部近傍との間における結合損失が増大するので、出力特性が低下する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図2は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子のMQW発光層を示した拡大断面図である。
図3は、イオン注入領域の概略を示す拡大断面図である。
図4は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図5は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図6は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図7は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図8は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子における炭素濃度および結晶欠陥濃度プロファイルのシミュレーション結果を示したグラフである。
図9は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子における炭素濃度プロファイルのSIMSによる測定結果を示したグラフである。
図10は、本発明の第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図11は、図10に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図12は、図10に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図13は、図10に示した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図14は、本発明の第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図15は、図14に示した第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図16は、図14に示した第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図17は、図14に示した第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図18は、本発明の第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図19は、本発明の第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図20は、図19に示した第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図21は、図19に示した第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図21は、図19に示した第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図23は、図19に示した第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図24は、図19に示した第5実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図25は、本発明の第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図26は、図25に示した第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図27は、図25に示した第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図28は、図25に示した第6実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図29は、本発明の第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図30は、図29に示した第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図31は、図29に示した第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図32は、図29に示した第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図33は、図29に示した第7実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図34は、本発明の第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図35は、図34に示した第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図36は、図34に示した第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図37は、図34に示した第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図38は、図34に示した第8実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図39は、本発明の第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図40は、図39に示した第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図41は、図39に示した第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図42は、図39に示した第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図43は、図39に示した第9実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図44は、本発明の第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図45は、図44に示した第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図46は、図44に示した第10実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図47は、本発明の第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図48は、図47に示した第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図49は、図47に示した第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図50は、図47に示した第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図51は、図47に示した第11実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図52は、本発明の第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図53は、図52に示した第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図54は、図52に示した第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図55は、図52に示した第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図56は、図52に示した第12実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図57は、本発明の第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図58は、図57に示した第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図59は、図57に示した第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図60は、図57に示した第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素の製造プロセスを説明するための断面図である。
図61は、図57に示した第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図62は、図57に示した第13実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図63は、本発明の第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図64は、図63に示した第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図65は、図63に示した第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図66は、図63に示した第14実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図67は、本発明の第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図68は、図67に示した第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図69は、図67に示した第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図70は、図67に示した第15実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図71は、本発明の第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図72は、図71に示した第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図73は、図71に示した第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図74は、図71に示した第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図75は、図71に示した第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図76は、図71に示した第16実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図77は、本発明の第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図78は、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図79は、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図80は、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図81は、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図82は、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図83は、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図84は、図77に示した第17実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図85は、本発明の第18実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図86は、図85に示した第18実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図87は、図85に示した第18実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図88は、本発明の第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図89は、図88に示した第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図90は、図88に示した第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図91は、図88に示した第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図92は、図88に示した第19実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図93は、本発明の第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図94は、図93に示した第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図95は、図93に示した第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図96は、図93に示した第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図97は、図93に示した第20実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図98は、本発明の第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図99は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子のMQW発光層を示した拡大断面図である。
図100は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子と従来(比較例)の窒化物系半導体レーザ素子の電流−光出力特性を示した特性図である。
図101は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図102は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図103は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図104は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図105は、図98に示した第21実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図106は、本発明の第22実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図107は、図106に示した第22実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図108は、図106に示した第22実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図109は、図106に示した第22実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図110は、本発明の第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図111は、図110に示した第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図112は、図110に示した第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図113は、図110に示した第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図114は、図110に示した第23実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図115は、本発明の第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図116は、図115に示した第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図117は、図115に示した第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図118は、図115に示した第24実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図119は、本発明の第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図120は、図119に示した第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図121は、図119に示した第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図122は、図119に示した第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図123は、図119に示した第25実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図124は、本発明の第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図125は、図124に示した第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図126は、図124に示した第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図127は、図124に示した第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図128は、図124に示した第26実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図129は、本発明の第27実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図130は、図129に示した第27実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図131は、図129に示した第27実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図132は、図129に示した第27実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図133は、図129に示した第27実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図134は、本発明の第28実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図135は、図134に示した第28実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図136は、図134に示した第28実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図137は、図134に示した第28実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図138は、図134に示した第28実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図139は、本発明の第29実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図140は、図139に示した第29実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図141は、図139に示した第29実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図142は、図139に示した第29実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図143は、図139に示した第29実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図144は、本発明の第30実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。
図145は、図144に示した第30実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図146は、図144に示した第30実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図147は、図144に示した第30実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図148は、図144に示した第30実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図である。
図149は、本発明の第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した斜視図である。
図150は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子のMQW発光層を示した拡大断面図である。
図151は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の正面図である。
図152は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の800−800線に沿った断面図である。
図153は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子のイオン注入光吸収層の形成領域を示した平面図である。
図154は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図155は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図156は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図157は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図158は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図159は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図160は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図161は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図162は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図163は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図164は、図149に示した第31実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図165は、本発明の第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した斜視図である。
図166は、図165に示した第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の正面図である。
図167は、図165に示した第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の900−900線に沿った断面図である。
図168は、図165に示した第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図169は、図165に示した第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図170は、図165に示した第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図171は、図165に示した第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図172は、図165に示した第32実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。
図173は、従来の窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した断面図である。

Claims (58)

  1. 第1窒化物系半導体層(2、3、172、173、302、303、602、603)と、
    前記第1窒化物系半導体層上に形成された発光層(4、174、304、604)と、
    前記発光層上に形成された第2窒化物系半導体層(5、6、175、176、305、306、345、365、385、605、606、625、626)と、
    前記第1窒化物系半導体層および前記第2窒化物系半導体層の電流通過領域(8、128、138、148、158a、158b、178、188、198、208、628)以外の領域の少なくとも一部に、第1不純物元素を導入することにより形成された光吸収層(7、17、27、37、47、57、67、77b、87b、97b、107b、117a、127、137、147、157a、157b、177a、187、197a、207a、307、327、347、367、387、407、437、457、477、497、607、627)とを備えた、窒化物系半導体レーザ素子。
  2. 前記光吸収層の上面と、前記電流通過領域の上面とは、実質的に同一面上に形成されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  3. 前記第2窒化物系半導体層は、電流通過領域を含む凸状のリッジ部(308、348、368、388、608)を有する、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  4. 前記光吸収層(307、407、607)の側端部は、実質的に前記リッジ部の側端部の直下に位置する、請求の範囲第3項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  5. 前記光吸収層(327、347、437、457、477、497)の側端部は、前記リッジ部の側端部から所定の間隔を隔てた位置に設けられている、請求の範囲第3項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  6. 前記光吸収層(367、387)は、前記リッジ部の両側面部に設けられている、請求の範囲第3項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  7. 前記光吸収層は、前記電流通過領域よりも結晶欠陥が多い、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  8. 前記光吸収層は、電流阻止機能を有する、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  9. 前記第1窒化物系半導体層および前記第2窒化物系半導体層の電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、第2不純物元素を導入することによって形成された電流阻止層(197b、207b)をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  10. 前記光吸収層は、前記第1窒化物系半導体層および前記第2窒化物系半導体層の電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、前記第1不純物元素をイオン注入することにより形成されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  11. 前記光吸収層は、高抵抗を有しているか、または、前記電流通過領域と逆の導電型を有しているかのいずれかである、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  12. 前記第1不純物元素は、3族および5族元素以外の不純物元素である、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  13. 前記第1不純物元素は、炭素よりも質量数の多い不純物元素である、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  14. 前記第1不純物元素の不純物濃度の極大値は、5.0×1019cm−3以上である、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  15. 前記第1不純物元素を含む前記第1窒化物系半導体層および前記第2窒化物系半導体層の少なくとも一方の結晶欠陥密度の極大値は、5×1018cm−3以上である、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  16. 前記光吸収層の吸収係数の極大値は、1×10cm−1以上である、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  17. 前記第1不純物元素の導入後に、熱処理されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  18. 前記光吸収層は、窒化物系半導体の[0001]方向から傾斜した方向からイオン注入されることにより形成されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  19. 前記電流阻止層は、高抵抗を有する窒化物系半導体からなる、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  20. 前記電流通過領域は、p型を有し、
    前記電流阻止層は、前記電流通過領域よりも水素を高密度に含む、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  21. 前記電流阻止層は、前記電流通過領域と逆の導電型を有する、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  22. 前記第2不純物元素は、3族および5族元素以外の不純物元素である、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  23. 前記電流阻止層は、前記第2不純物元素をイオン注入することにより形成されている、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  24. 前記電流阻止層は、前記第2不純物元素を斜め上方からマスク層の下部にイオン注入することにより形成されている、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  25. 前記電流阻止層は、前記第2不純物元素を拡散することにより形成されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  26. 第1の幅を除いて前記光吸収層が形成されるとともに、第2の幅を除いて前記電流狭窄層が形成され、前記第1の幅は、前記第2の幅よりも大きく、かつ、前記第2の幅の領域は、前記第1の幅の領域内に形成されている、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  27. 前記光吸収層は、発光層から第1の距離だけ深さ方向に離れて形成されるとともに、前記電流阻止層は、前記発光層から第2の距離だけ深さ方向に離れて形成され、前記第1の距離が前記第2の距離よりも大きい、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  28. 前記光吸収層の前記第1不純物元素の濃度より、前記電流阻止層の前記第2不純物元素の濃度の方が低い、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  29. 前記光吸収層の結晶欠陥の密度より、前記電流阻止層の結晶欠陥の密度の方が低い、請求の範囲第9項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  30. 前記光吸収層の上部または下部の領域の発光層における前記第1不純物元素の不純物濃度は、5.0×1018cm−3以下である、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  31. 前記光吸収層の上部または下部の領域に位置する前記発光層における結晶欠陥の密度が5.0×1017cm−3以下である、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  32. 前記第1窒化物系半導体層および前記第2窒化物系半導体層は、クラッド層を含み、
    前記第1不純物元素は、クラッド層においてその濃度が極大となっている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  33. 前記光吸収層は、発光層に形成されないように形成されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  34. 前記第1窒化物系半導体層および前記第2窒化物系半導体層は、クラッド層を含み、
    前記光吸収層の結晶欠陥の密度は、クラッド層において極大となっている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  35. 前記第1窒化物系半導体層および前記第2窒化物系半導体層は、クラッド層を含み、
    前記光吸収層の光吸収係数は、クラッド層において極大となっている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  36. 前記第1窒化物系半導体層に、前記第1不純物元素が導入された後、前記第1窒化物系半導体層上に前記発光層が形成されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  37. 前記第1不純物元素の不純物濃度は、発光層において極大となっている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  38. 前記光吸収層の結晶欠陥の密度は、発光層において極大となっている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  39. 前記光吸収層の光吸収係数は、発光層において極大となっている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  40. 前記発光層上の前記第2窒化物系半導体層に前記第1不純物元素が導入されることにより前記光吸収層が形成された後、前記第2窒化物系半導体層上にコンタクト層が形成されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  41. 前記第1不純物元素は、スルー膜を介してイオン注入されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  42. 前記スルー膜は、絶縁膜である、請求の範囲第41項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  43. 前記第1不純物元素は、第1の阻止能力を有する第1イオン透過領域と、前記第1イオン透過領域よりもイオンが透過しにくい第2の阻止能力とを有する第2のイオン透過領域を有するスルー膜を介して、イオン注入されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  44. 第1の阻止能力を有する第1領域と、イオンがほとんど透過しない第3の阻止能力を有する第2領域を含む第1の膜をスルー膜として用いるとともに、前記第2領域をマスクとして用いて、前記第1不純物元素がイオン注入されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  45. 前記第2窒化物系半導体層上に形成された電極層をさらに備え、
    前記電極層をマスクとして、スルー膜を介して、前記第2窒化物系半導体層に前記第1不純物元素がイオン注入される。、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  46. 前記光吸収層の上に、絶縁膜が設けられている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  47. 前記光吸収層は、第1の幅を除いて形成され、
    前記第1の幅よりも狭い幅で前記第2窒化物系半導体層にオーミック接触する電極層をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  48. 前記光吸収層は、第1の幅を除いて形成され、
    前記第1の幅よりも広い幅で前記第2窒化物系半導体層にオーミック接触する電極層をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  49. 前記電流通過領域以外の領域の少なくとも一部に、前記第2窒化物系半導体層の表面から発光層を貫通する領域にわたって、第3不純物元素を導入することによって形成された高抵抗の電気的分離領域をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  50. 前記電気的分離領域は、前記第3不純物元素をイオン注入することにより形成されている、請求の範囲第49項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  51. 前記電流通過領域以外の領域で、かつ、前記電気的分離領域以外の領域の少なくとも一部に、前記第2窒化物系半導体層の表面から発光層を貫通する領域にわたって、第4不純物元素を導入することによって、前記第2窒化物系半導体層から前記発光層を貫通する領域が前記第1窒化物系半導体層と同じ導電型を有している、請求の範囲第49項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  52. 前記窒化物系半導体レーザ素子は、放熱のための基台に対して、前記発光層に近い側の表面から取り付けられるジャンクションダウン方式で組み立てられている窒化物系半導体レーザ素子を含む、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  53. 前記光吸収層(407、437、457、477、497)は、前記電流通過領域と素子の側端部との間において、複数に分割されている、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  54. 前記電流通過領域側の前記光吸収層(437a、497a)は、前記素子の側端部側の前記光吸収層よりも小さい深さを有する、請求の範囲第53項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  55. 前記電流通過領域側の光吸収層(437a、497a)は、前記発光層中に達しない深さを有する、請求の範囲第54項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  56. 前記光吸収層の素子の共振器端面近傍の側端部間の第1の幅(W21、W31)は、前記光吸収層の前記素子の中央部近傍の側端部間の第2の幅(W22、W33)よりも小さい、請求の範囲第1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  57. 前記光吸収層(607、627)の前記第1の幅を有する領域と前記第2の幅を有する領域との境界領域は、前記第1の幅から前記第2の幅に近づくように徐々に大きくなる幅を有する、請求の範囲第56項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  58. 前記光吸収層(607、627)の前記第1の幅を有する領域と前記第2の幅を有する領域との境界領域は、平面的に見てテーパ形状に形成されている、請求の範囲第57項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
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