JPWO2003070264A1 - マツタケ由来陰イオン交換樹脂吸着画分、免疫増強剤、及びストレス負荷回復促進剤 - Google Patents

マツタケ由来陰イオン交換樹脂吸着画分、免疫増強剤、及びストレス負荷回復促進剤 Download PDF

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Abstract

マツタケFEBM BP−7304株の菌糸体の熱水抽出液と、前記菌糸体熱水抽出液を得る際に残留する菌糸体残渣のアルカリ溶液抽出液とを混合して得られる混合液の陰イオン交換樹脂吸着画分を開示する。また、前記の新規陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分としてとして含有する、免疫増強剤及びストレス負荷回復促進剤を開示する。

Description

技術分野
本発明は、新規のマツタケ由来陰イオン交換樹脂吸着画分、並びにそれを含有する免疫増強剤及びストレス負荷回復促進剤に関する。本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤は、医薬品として投与することができるだけでなく、種々の形態、例えば、健康食品(好ましくは機能性食品)又は飼料として飲食物の形で与えることも可能である。なお、前記食品には飲料が含まれる。更には、オーラル衛生用組成物、例えば、口中に一時的に含むものの、そのほとんどを口中より吐き出す形態、例えば、歯磨剤、洗口剤、チューインガム、又はうがい剤の形で与えることも、あるいは、鼻から吸引させる吸入剤の形で与えることも可能である。
背景技術
本発明者は、或る生物製剤(BRM)を原発腫瘍内に投与すると、原発腫瘍のみならず、遠隔転移腫瘍まで治癒させることを、本発明者の一部及びその共同研究者が考案したマウス「二重移植腫瘍系]で明らかにしてきた(Ebina,Biotherapy,14,379−394,2000;海老名ら,癌と化学療法,18,1812−1816,1991;Ebinaら,Biotherapy,12,495−500,1998)。すなわち、腫瘍がまだ原発巣しかない場合には、手術して摘出すれば問題ないが、既に遠隔転移巣がある場合(特には、肉眼で観察することができない微小転移巣がある場合)には、手術によって原発巣を摘出すると、転移巣が増殖を開始し、癌治療には結びつかない。すなわち、転移巣の治療が、癌治療の大きな課題と言える。
従来、薬剤を癌局所に投与することは、癌細胞を散らばすことになり、好ましくないと言われてきたが、生物製剤を癌局所に投与すると、癌原発巣のみならず、転移巣まで退縮させることを見出した(Ebinaら,Jpn.J.Cancer Res.,77,1034−1042,1986)。その研究を通して、カワラタケ菌糸体から抽出したタンパク質結合多糖体PSKは、原発腫瘍のみならず、遠隔転移巣も治癒させるのに対して、シイタケ子実体から精製したβ−グルカンであるレンチナン(lentinan)では抗腫瘍効果がみられなかった。また、タマサキツヅラフジ抽出物であるセファランチン(cepharanthin)は、左右腫瘍に抗腫瘍効果が認められた(海老名ら,癌と化学療法,28,211−215,2001)が、精製したアルカロイド単品では、抗腫瘍効果が弱かった。
以上の結果から、生物製剤の中でも、西洋医学による精製物ではかえって抗腫瘍効果がなく、有効成分を含む抽出物の方が効果があることがわかり(海老名,癌と化学療法,28,1515−1518,2001)、漢方医学の漢方薬のように、数種類の生薬の混合物とも異なる第三の医学・統合医学の発想に結びついた(海老名,医学のあゆみ,194,690−692,2000)。
一方、マツタケ[Tricholoma matsutake(S.Ito & Imai)Sing.]には種々の生理活性物質が含まれていることが知られており、例えば、特公昭57−1230号公報及び特許第2767521号明細書には、マツタケに含有される各種の抗腫瘍性物質が開示されている。前記特公昭57−1230号公報には、マツタケ菌糸体の液体培養物を熱水又は希アルカリ溶液で抽出して得られる抽出液から分離精製されたエミタニン−5−A、エミタニン−5−B、エミタニン−5−C、及びエミタニン−5−Dに、サルコーマ180細胞の増殖阻止作用があることが開示されている。また、前記特許第2767521号明細書には、マツタケ子実体の水抽出物から分離精製された分子量20〜21万のタンパク質(サブユニットの分子量=10〜11万)が抗腫瘍活性を有することが開示されている。
更に、本発明者は、マツタケ熱水抽出液、マツタケのアルカリ溶液抽出液、あるいは、マツタケ熱水抽出液又はマツタケアルカリ溶液抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分が、免疫増強活性を有することを既に見出している(WO01/49308号公報)。
本発明者は、免疫増強作用を有する物質を更に鋭意探索したところ、特定のマツタケ株を特定の培養方法により培養して得られた菌糸体由来の部分精製画分に、このような免疫増強作用があることを新たに見出した。また、この画分が、理化学的性質の点で、公知の画分(例えば、WO01/49308号公報に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分)と異なる画分であることも見出した。更に、本発明者は、この画分が、ストレス負荷回復促進作用を示すことも新たに見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
発明の開示
従って、本発明の課題は、マツタケ由来の新規の陰イオン交換樹脂吸着画分、並びに新規の免疫増強剤及びストレス負荷回復促進剤を提供することにある。
本発明の前記課題は、マツタケFERM BP−7304株の菌糸体の熱水抽出液と、前記菌糸体熱水抽出液を得る際に残留する菌糸体残渣のアルカリ溶液抽出液とを混合して得られる混合液の陰イオン交換樹脂吸着画分であって、
(a)フェノール硫酸法によるグルコース換算値としての糖質含量が60〜72%であり、
(b)銅フォリン法によるアルブミン換算値としてのタンパク質含量が28〜40%である
前記陰イオン交換樹脂吸着画分により解決することができる。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、免疫増強剤に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、免疫増強組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、免疫増強健康食品に関する。
本発明の免疫増強健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、免疫増強が必要な対象に、有効量で投与することを含む、免疫を増強する方法に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、免疫増強組成物又は免疫増強健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、転移巣治療又は予防剤に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、転移巣治療又は予防組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、転移巣治療又は予防健康食品に関する。
本発明の転移巣治療又は予防健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、転移巣治療又は予防が必要な対象に、有効量で投与することを含む、転移巣を治療する方法に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、転移巣治療若しくは予防組成物又は転移巣治療若しくは予防健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、血清IAP値上昇剤に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、血清IAP値上昇組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、血清IAP値上昇健康食品に関する。
本発明の血清IAP値上昇健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、血清IAP値上昇が必要な対象に、有効量で投与することを含む、血清IAP値を上昇させる方法に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、血清IAP値上昇組成物又は血清IAP値上昇健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、ストレス負荷回復促進剤に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、ストレス負荷回復促進組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、ストレス負荷回復促進健康食品に関する。
本発明のストレス負荷回復促進健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、ストレス負荷回復促進が必要な対象に、有効量で投与することを含む、ストレス負荷回復を促進する方法に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、ストレス負荷回復促進組成物又はストレス負荷回復促進健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前配陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、免疫増強剤(但し、転移巣治療又は予防剤及び血清IAP値上昇剤を除く)に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、免疫増強組成物(但し、転移巣治療又は予防組成物及び血清IAP値上昇組成物を除く)に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、免疫増強健康食品(但し、転移巣治療又は予防健康食品及び血清IAP値上昇健康食品を除く)に関する。
本発明の免疫増強健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、免疫増強が必要な対象に、有効量で投与することを含む、免疫を増強する方法(但し、転移巣を治療又は予防する方法及び血清IAP値を上昇させる方法を除く)に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、免疫増強組成物(但し、転移巣治療又は予防組成物及び血清IAP値上昇組成物を除く)又は免疫増強健康食品(但し、転移巣治療又は予防健康食品及び血清IAP値上昇健康食品を除く)を製造するための使用に関する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤は、有効成分として、マツタケFERM BP−7304株[Tricholoma matsutake(S.Ito & Imai)Sing.CM6271]の菌糸体の熱水抽出液(以下、単に「菌糸体熱水抽出液」と称することがある)と、前記菌糸体熱水抽出液を得る際に残留する菌糸体残渣のアルカリ溶液抽出液(以下、単に「菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液」と称することがある)とを混合して得られる混合液(以下、単に「混合抽出液」と称することがある)の陰イオン交換樹脂吸着画分であって、
(a)フェノール硫酸法によるグルコース換算値としての糖質含量が60〜72%(好ましくは62〜70%)であり、
(b)銅フォリン法によるアルブミン換算値としてのタンパク質含量が28〜40%(好ましくは30〜38%)である
前記混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分を含有する。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、これに限定されるものではないが、例えば、
マツタケFERM BP−7304株をタンク培養により培養し、菌糸体を得る工程(以下、培養工程と称する);
得られたマツタケFERM BP−7304株の菌糸体を熱水で抽出して、菌糸体熱水抽出液を得る工程(以下、熱水抽出工程と称する);
熱水で抽出した後の前記菌糸体の残渣を、アルカリ溶液で抽出して、菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液を得る工程(以下、アルカリ溶液抽出工程と称する);
前記菌糸体熱水抽出液と前記菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液とを混合して得られる混合抽出液を、陰イオン交換樹脂に吸着させる工程(以下、陰イオン交換樹脂吸着工程と称する);及び
適当な溶離液により吸着画分を溶出する工程(以下、溶出工程と称する)
を含む製造方法により、調製することができる。
培養工程に用いる前記マツタケFERM BP−7304株(国際出願第PCT/JP01/08876号)は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター[(旧)工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:〒305−8566日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)]に平成12年9月14日より寄託しているものである。このマツタケFERM BP−7304株は、京都府亀岡市で採取したマツタケCM6271株から子実体組織を切り出し、試験管内で培養することにより、菌糸体継代株を得たものであり、呉羽化学工業株式会社生物医学研究所で維持している。
マツタケFERM BP−7304株の子実体の形態は、今関六也・本郷次雄編の「原色日本菌類図鑑」、保育社(大阪)、昭和32年発行、プレート(Plate)9及び26頁記載のマツタケ子実体に合致するものであった。マツタケFERM BP−7304株の継代は、エビオス寒天斜面培地で実施することができる。前記菌株の菌糸体を大量培養する場合には、液体培地に摂取し、例えば、静置培養、振とう培養、又はタンク培養により実施することができる。
マツタケFERM BP−7304株の菌糸体をエビオス寒天平板培地に接種すると、白色の菌糸が放射状に密に生育し、大きなコロニーを形成する。走査型電子顕微鏡で観察すると、太さ1〜2μmの枝状の菌糸体が無数に存在し、菌糸体側部に数μm程の突起物が時々みられる。なお、マツタケFERM BP−7304株は、もっぱら菌糸体の形状で継代維持又は培養することが可能であるが、子実体の形状となることもある。
以下、マツタケFERM BP−7304株の菌学的性質について説明する。
(1)麦芽エキス寒天培地における培養的・形態的性質
マツタケFERM BP−7304株は、麦芽エキス寒天培地においては、白色の菌糸が放射状に密に生育してコロニーを形成する。接種30日目のコロニー径は約4cmである。
(2)ツアペック寒天培地、オートミール寒天培地、合成ムコール寒天培地、及びフェノールオキシダーゼ反応検定用培地における培養的・形態的性質
マツタケFERM BP−7304株は、ツアペック寒天培地、オートミール寒天培地、合成ムコール寒天培地、又はフェノールオキシダーゼ反応検定用培地のいずれの培地においても、接種1ヶ月経過しても菌糸の発育はほとんど見られない。
(3)YpSs寒天培地における培養的・形態的性質
マツタケFERM BP−7304株は、YpSs寒天培地においては、白色の光沢を有し、マット状に生育する。接種30日目の生育距離は約5mmである。
(4)グルコース・ドライイースト寒天培地における培養的・形態的性質
マツタケFERM BP−7304株は、グルコース・ドライイースト寒天培地においては、白色の光沢を有し、マット状に生育する。接種30日目の生育距離は約2mmである。
(5)最適生育温度及び生育の範囲
滅菌処理した液体培地(3%グルコース,0.3%酵母エキス;pH7.0)10mLの入った100mL容三角フラスコに、マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種し、5〜35℃の種々の温度でそれぞれ培養し、28日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、重量を測定した。その結果、菌体重量は5〜15℃の範囲で直線的に増加し、15〜25℃の範囲で緩やかに増加した。27.5℃以上ではほとんど増殖しなかった。最適生育温度は15〜25℃である。
(6)最適生育pH及び生育の範囲
液体培地(3%グルコース,0.3%酵母エキス)のpHを1mol/L塩酸又は1mol/L水酸化カリウムで調製して、pHが3.0〜8.0の範囲の種々の培地を調製して生育pH値を調べた。各培地をフィルター滅菌し、培地10mLを滅菌済100mL容三角フラスコに分注した。マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種後、22℃で培養し、28日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、重量を測定した。その結果、菌体の生育限界はpH3.0〜7.0の範囲にあり、最適生育pHは4.0〜6.0であった。
(7)対峙培養による帯線形成の有無
エビオス寒天平板培地に、マツタケFERM BP−7304株のブロック(約3mm×3mm×3mm)と、公知の13種類のマツタケ株[例えば、IFO 6915株;(財)発酵研究所]の各ブロック(約3mm×3mm×3mm)とを、約2cm間隔に対峙して植菌し、22℃で3週間培養した後、両コロニー境界部に帯線が生じるか否かを判定した。
その結果、マツタケFERM BP−7304株は、公知の13種類のマツタケ株のいずれの株に対しても、明確な帯線を形成しなかった。なお、マツタケでは、異株間対峙培養で帯線は生じないとされており、公知の13種類のマツタケ株間についても、明確な帯線を形成した組み合わせはなかった。
(8)栄養要求性
滅菌処理した菌根菌用合成培地(Ohtaら,Trans.Mycol.Soc.Jpn.,31,323,1990)10mLの入った100mL容三角フラスコに、マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種し、22℃で培養し、42日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、重量を測定したところ、菌体441mgが得られた。
前記菌根菌用合成培地中の炭素(C)源であるグルコースの代わりに、28種類の糖質関連物質のいずれか1つを加えた各培地に、マツタケFERM BP−7304株を接種して培養し、培養終了後、菌体重量を測定した。
その結果、菌体重量が多かった糖質関連物質から菌体重量が少なかった糖質関連物質を順に示せば、以下のとおりである:
小麦デンプン>トウモロコシデンプン>デキストリン>メチルβグルコシド>セロビオース>マンノース>フラクトース>アラビノース>ソルビトール>グルコース>ラクトース>グリコーゲン>マンニトール>リボース>マルトース>トレハロース>ガラクトース>ラフィノース>メリビオース>N−アセチルグルコサミン。
なお、セルロース、ダルチトール、シュークロース、キシロース、メチルαグルコシド、イヌリン、イノシトール、又はソルボースでは菌の発育はほとんどみられなかった。
次に、前記菌根菌用合成培地中の窒素(N)源である酒石酸アンモニウムの代わりに、15種類の窒素関連物質のいずれか1つを加えた各培地に、マツタケFERM BP−7304株を接種して培養し、培養終了後、菌体重量を測定した。
その結果、菌体重量が多かった窒素関連物質から菌体重量が少なかった窒素関連物質を順に示せば、以下のとおりである:
コーンステイープリカー>大豆ペプトン>ミルクペプトン>硝酸アンモニウム>硫酸アンモニウム>酒石酸アンモニウム>炭酸アンモニウム>アスパラギン>リン酸アンモニウム>塩化アンモニウム>硝酸ナトリウム>肉エキス>酵母エキス>カザミノ酸>クロレラ>トリプトーン>硝酸カリウム。
更に、前記合成培地中のミネラル及びビタミン類の内、特定一成分を除去した培地に、マツタケFERM BP−7304株を接種して培養し、培養終了後、菌体重量を測定した。
その結果、塩化カルシウム・二水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物、硫酸亜鉛・七水和物、硫酸コバルト・七水和物、硫酸銅・五水和物、硫酸ニッケル・六水和物、塩酸チアミン、ニコチン酸、葉酸、ビオチン、塩酸ピリドキシン、塩化カーニチン、アデニン硫酸・二水和物、又は塩酸コリンのいずれか1つの欠損によっては、菌体重量にはほとんど影響なかった。一方、硫酸マグネシウム・七水和物、塩化鉄(II)、又はリン酸二水素カリウムのいずれか1つを培地から除くと、菌体重量は顕著に減少した。すなわち、マグネシウム、鉄、リン、及びカリウムは、マツタケFERM BP−7304株の増殖に必須と考えられる。
(9)DNAの塩基組成(GC含量)
マツタケFERM BP−7304株のGC含量は、49.9%である。
(10)RAPD法により生成するDNAパターン
6種類の異なるPCR(polymerase chain reaction)用プライマー(10mer)をそれぞれ単独で用いるRAPD(random amplified polymorphic DNA)法により生成するDNAパターンについて、マツタケFERM BP−7304株と、公知の44種類のマツタケ株[例えば、IFO 6915株;(財)発酵研究所]とを比較したところ、マツタケFERM BP−7304株は、44種類のマツタケ株のいずれとも異なるDNAパターンを示した。
培養工程で用いる培地としては、例えば、グルコース・酵母エキス培地を用いることができる。
前記培地におけるグルコース濃度は、0.01〜15%であることが好ましく、1〜10%であることがより好ましく、3%であることが特に好ましい。前記培地における酵母エキスの濃度は、0.01〜3%であることが好ましく、0.1〜0.6%であることがより好ましく、0.3%であることが特に好ましい。前記培地のpHは、2.5〜8であることが好ましく、4〜7であることが好ましく、6であることが特に好ましい。
培養工程における培養温度は、10〜26℃であることが好ましく、15〜25℃であることがより好ましく、25℃であることが特に好ましい。
培養期間は、1〜20週間であることが好ましく、2〜10週間であることがより好ましく、10週間であることが特に好ましい。
培養により得られた培養物から菌糸体を分離する方法としては、例えば、濾過(例えば、濾布濾過)又は遠心分離を用いることができる。得られた菌糸体は、例えば、蒸留水により充分に洗浄してから、次の熱水抽出工程を実施することが好ましい。また、抽出効率が向上するように、破砕物又は粉体の状態に加工することが好ましい。
熱水抽出工程に用いる熱水の温度は、60〜100℃であることが好ましく、80〜98℃であることがより好ましい。また、抽出の際には、抽出効率が向上するように、撹拌又は振盪しながら実施することが好ましい。抽出時間は、例えば、菌糸体の状態(例えば、破砕物又は粉体の状態に加工した場合にはその加工状態)、熱水の温度、又は撹拌若しくは振盪の有無若しくは条件に応じて、適宜決定することができるが、通常、1〜6時間であり、2〜3時間であることが好ましい。
熱水抽出の後、適当な分離操作、例えば、遠心分離又は濾過により、菌糸体熱水抽出液と菌糸体残渣とを得ることができる。
アルカリ溶液抽出工程に用いるアルカリ溶液としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム又はカリウム)の水酸化物、特には水酸化ナトリウムの水溶液を用いることができる。前記アルカリ溶液のpHは、8〜13であることが好ましく、9〜12であることがより好ましい。アルカリ溶液抽出は、0〜30℃で実施することが好ましく、0〜25℃で実施することがより好ましい。抽出時間は、例えば、菌糸体残渣の状態(例えば、破砕物又は粉体の状態に加工した場合にはその加工状態)、アルカリ溶液のpH若しくは温度、又は撹拌若しくは振盪の有無若しくは条件に応じて、適宜決定することができるが、通常、30分間〜5時間であり、1〜3時間であることが好ましい。
アルカリ溶液抽出の後、適当な分離操作、例えば、遠心分離又は濾過により、菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液と菌糸体残渣とを得ることができる。
得られた菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液は、中和処理を実施してから、次の陰イオン交換樹脂吸着工程に用いることが好ましい。
熱水抽出工程で得られた菌糸体熱水抽出液と、アルカリ溶液抽出工程で得られた菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液とを混合して得られる混合抽出液は、不溶物が混在する状態で、そのまま、次の陰イオン交換樹脂吸着工程に用いることもできるが、不溶物を除去してから、あるいは、不溶物を除去し、更に、抽出液中の低分子画分を除去してから、次の陰イオン交換樹脂吸着工程に用いることが好ましい。例えば、不溶物が混在する混合抽出液を遠心分離することにより不溶物を除去し、得られる上清のみを、次の陰イオン交換樹脂吸着工程に用いることができる。あるいは、不溶物が混在する混合抽出液を遠心分離して得られる前記上清を透析し、低分子画分(好ましくは分子量3500以下の画分)を除去してから、次の陰イオン交換樹脂吸着工程に用いることができる。
陰イオン交換樹脂吸着工程に用いることのできる陰イオン交換樹脂としては、公知の陰イオン交換樹脂を用いることができ、例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)セルロース又はトリエチルアンモニオエチル(TEAE)セルロースを挙げることができる。
溶出工程に用いる溶離液は、陰イオン交換樹脂吸着工程に用いる陰イオン交換樹脂の種類に応じて適宜決定することができ、例えば、塩化ナトリウム水溶液などを挙げることができる。
溶出工程により溶出される画分は、そのまま、本発明の免疫増強剤の有効成分として用いることができるが、通常、溶離液に由来する塩を含有するので、それを除去するために、更に透析を実施することが好ましい。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、以下に示す理化学的性質を有する。
(1)糖質含量:フェノール硫酸法によるグルコース換算値として60〜72%(好ましくは62〜70%)である。
(2)タンパク質含量:銅フォリン法によるアルブミン換算値として28〜40%(好ましくは30〜38%)である。
(3)糖組成:グルコース61μg/mg、マンノース3.3μg/mg、及びガラクトース2.0μg/mgである。
(4)アミノ酸組成:アスパラギン酸及びアスパラギン10.35mol%、トレオニン5.83mol%、セリン6.27mol%、グルタミン酸及びグルタミン10.49mol%、グリシン8.55mol%、アラニン9.19mol%、バリン6.88mol%、1/2−シスチン0.60mol%、メチオニン1.49mol%、イソロイシン5.36mol%、ロイシン9.25mol%、チロシン2.55mol%、フェニルアラニン4.05mol%、リシン5.17mol%、ヒスチジン2.18mol%、アルギニン4.44mol%、トリプトファン1.82mol%、及びプロリン5.54mol%である。
(5)等電点:等電点電気泳動法によれば、メインバンドの等電点は5.85付近である。
(6)核磁気共鳴分析(NMR)
(i)H一次元NMR分析:図7に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(6)(i)を参照のこと]を示す。
(ii)13C一次元NMR分析:図8及び図9に示すスヘクトル[測定条件は、後述の実施例9(6)(ii)を参照のこと]を示す。
(7)円偏光二色性分析:図10に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(7)を参照のこと]を示す。
(8)旋光度:25℃において42である。
(9)赤外分光分析:図11に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(9)を参照のこと]を示す。
(10)紫外分光分析(UV):図12に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(10)を参照のこと]を示す。
(11)電子スピン共鳴(ESR):図13及び図14に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(11)を参照のこと]を示す。
(12)粘度:30℃における還元粘度は108である。
(13)分子量:主成分の分子量は2000kDaである。
(14)元素分析:炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及び塩素(Cl)の各含量は、それぞれ、41.3%、6.0%、5.1%、1.0%、0.052%、及び0.16%である。
(15)α−グルカン推定含有率:全糖質に対して71%である。
(16)エンドトキシン含量:2.5ng/mgである。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤は、有効成分としての混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分を、薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に投与することができる。すなわち、本発明の免疫増強組成物(好ましくは免疫増強医薬組成物)又はストレス負荷回復促進組成物(好ましくはストレス負荷回復促進医薬組成物)は、有効成分としての混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる担体又は希釈剤とを含有する。
本発明の免疫増強剤における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、免疫増強活性を有する。前記免疫増強活性には、抗腫瘍活性[例えば、担癌個体における生存期間の延長活性、抗原発腫瘍活性(特には、原発腫瘍の増殖抑制活性)、又は抗転移活性(特には、転移巣の増殖抑制活性)]、キラー活性誘導促進活性(特には、腸管リンパ球のキラー活性誘導促進活性)、腫瘍細胞認識増強活性、インターロイキン12(IL−12)遺伝子発現増強活性、又は血清IAP値上昇活性などが含まれる。本発明の免疫増強剤は、抗腫瘍活性、例えば、抗原発腫瘍活性(特には原発腫瘍の増殖抑制活性)又は抗転移活性(特には転移巣の増殖抑制活性)を有するので、癌(例えば、原発腫瘍又は転移巣)に対する予防又は治療作用を有する。
従って、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、それ単独で、あるいは、好ましくは薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、免疫増強が必要な対象に、有効量で投与することができる。
また、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、免疫増強組成物(好ましくは免疫増強医薬組成物)、免疫増強健康食品(好ましくは免疫増強機能性食品)、あるいは、免疫増強用のオーラル衛生用組成物を製造するために使用することができる。
本発明のストレス負荷回復促進剤における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、ストレス負荷に対する回復促進活性を有する。
従って、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、それ単独で、あるいは、好ましくは薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、ストレス負荷に対する回復促進が必要な対象に、有効量で投与することができる。
また、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、ストレス負荷に対する回復促進組成物(好ましくは、ストレス負荷に対する回復促進医薬組成物)、ストレス負荷に対する回復促進健康食品(好ましくは、ストレス負荷に対する回復促進機能性食品)、あるいは、ストレス負荷に対する回復促進用のオーラル衛生用組成物を製造するために使用することができる。
一般に、動物に対して、単発的に、あるいは、或る期間に亘ってストレスを与えると、通常、その動物における免疫能は低下するが、前記ストレス負荷から解放されると、自発的な免疫力の回復が起こる。本明細書における「ストレス負荷に対する回復促進活性(ストレス負荷回復促進活性)」とは、ストレス負荷から開放した後、免疫力回復期における免疫力の回復を、自発的な回復よりも促進する活性を意味する。
本発明のストレス負荷回復促進剤の投与時期は、ストレス負荷により一時的に低下した免疫力を、その投与により回復促進可能である限り、特に限定されるものではなく、例えば、ストレス負荷の前、ストレス負荷中、及び/又はストレス負荷から開放した後の免疫力回復期に投与することができる。
なお、本発明における前記「ストレス負荷回復促進活性」は、本発明者が見出した前記の単なる「免疫増強活性」とは異なる。すなわち、「免疫増強活性」とは、そのような活性を有する有効成分を投与した場合に、投与前の状態(ストレスの負荷がなく、免疫力が通常の状態であることもできるし、あるいは、ストレス負荷により、免疫力が低下している状態であることもできる)と比較して、免疫力の向上がみられる活性を一般に意味し、従って、免疫力それ自体を向上させる活性である。一方、本発明における「ストレス負荷回復促進活性」とは、前述のように、免疫力回復期における免疫力の回復を促進する活性であって、従って、免疫力の回復速度を向上させる活性である。本発明のストレス負荷回復促進剤を投与すると、本発明のストレス負荷回復促進剤を投与しない場合と比較して、免疫力の回復速度が上昇する。
更には、「免疫増強活性」においては、そのような活性を有する有効成分を投与すると、直接的に、免疫力の向上がみられるのに対して、本発明のストレス負荷回復促進剤における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分を、予め、ストレスを負荷する前に対象動物に投与しておくと、ストレス負荷中及び免疫力回復期中に、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分を投与しなくても、免疫力回復期において免疫力の回復が促進される。この点においても、本発明における「免疫増強活性」と本発明における「ストレス負荷回復促進活性」とは、異なる活性である。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤の投与剤型としては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
これらの経口剤は、例えば、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常法に従って製造することができる。
非経口投与方法としては、注射(皮下、静脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなかで、注射剤が最も好適に用いられる。
例えば、注射剤の調製においては、有効成分の他に、例えば、生理食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いることができる。
また、本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤は、徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与してもよい。例えば、本発明の免疫増強剤をエチレンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペレットを治療又は予防すべき組織中に外科的に移植することができる。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤は、これに限定されるものではないが、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分を、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で含有することができる。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤を用いる場合の投与量は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などに応じて適宜決定することができ、経口的に又は非経口的に投与することが可能である。
また、投与形態も医薬品に限定されるものではなく、種々の形態、例えば、健康食品(好ましくは機能性食品)又は飼料として飲食物の形で与えることも可能である。なお、前記食品には飲料が含まれる。
食品には、(1)栄養素としての働き(第一次機能)、(2)人間の五感に訴える働き(第2次機能)の他に、(3)人間の健康、身体能力、又は心理状態に好ましい影響を与える働き(第3次機能)、例えば、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、又は神経系などの生理系統を調節して、健康の維持や健康の回復に好ましい効果を及ぼす働きがあることが知られている。本明細書において「健康食品」とは、健康に何らかの効果を与えるか、あるいは、効果を期待することができる食品を意味し、「機能性食品」とは、前記「健康食品」の中でも、前記の種々の生体調節機能(すなわち、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、又は神経系などの生理系統の調節機能)を充分に発現することができるように設計及び加工された食品を意味する。
更には、オーラル衛生用組成物、例えば、口中に一時的に含むものの、そのほとんどを口中より吐き出す形態、例えば、歯磨剤、洗口剤、チューインガム、又はうがい剤の形で与えることも、あるいは、鼻から吸引させる吸入剤の形で与えることも可能である。例えば、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分を、添加剤(例えば、食品添加剤)として、所望の食品(飲料を含む)、飼料、歯磨剤、洗口剤、チューインガム、又はうがい剤等に添加することができる。
実施例
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:マツタケFERM BP−7304株菌糸体の混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分の調製
マツタケFERM BP−7304株菌糸体を、滅菌処理した培地(3%グルコース,0.3%酵母エキス,pH6.0)3.5tの入った7t容培養タンクに接種し、25℃で撹拌しながら4週間培養を行なった。得られた培養物を濾布濾過し、菌糸体を分離した後、蒸留水で充分に洗浄した。
得られた菌糸体の一部(約1kg)に精製水30Lを加えて、98℃の湯浴中で3時間撹拌抽出した。冷却後、遠心分離(8000rpm,30分間)を行ない、上清Aを得た。残渣に精製水30Lを加えて、同一条件下で、再度、抽出及び遠心操作を行ない、上清Aを得た。
続いて、上清Aを得た後の残渣に、0.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液20Lを加え、25℃で1時間撹拌抽出した。遠心分離を行ない、上清Bを得た。残渣に1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、同一条件で、再度、抽出及び遠心操作を行ない、上清Bを得た。得られた上清B及び上清Bを合わせた後、1.0mol/L塩酸にて、pHを7.0に調整した(以下、上清Bと称する)。
上清A、上清A、及び上清Bを合わせて得られた混合液(以下、抽出混合液Mと称する)を透析チューブ(分画分子量=3500)に入れ、流水中で48時間透析した。透析内溶液を回収し、凍結乾燥機で乾燥し、白色の粉末(約70g)を得た。
得られた粉末の一部(10g)を50mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH7.0)500mLに溶解し、予め同じ緩衝液で平衡化させておいたジエチルアミノエチルセファセル(DEAE Sephacel;ファルマシア社)を充填したカラムを通過させ、素通り画分(非吸着画分)M1を得た。カラムを前記トリス塩酸緩衝液で充分に洗浄した後、0.5mol/L塩化ナトリウム含有50mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH7.0)をアプライし、溶出画分(吸着画分)M2を得た。
得られたM1画分及びM2画分を、それぞれ、4℃にて注射用蒸留水で48時間透析した後、透析内液を凍結乾燥して粉末を得た。菌糸体(乾燥重量)に対するM1画分及びM2画分の各収量は、それぞれ、7%及び13%であった。
実施例2:二重移植腫瘍系による吸着画分M2の評価
本実施例では、人工転移モデルである二重移植腫瘍系を用いて、実施例1で得られたM2画分の免疫増強作用について評価した。
具体的には、7週齢BALB/c雄マウス(1群7匹;日本エスエルシー社)と、BALB/cマウスと同系のMeth−A線維芽肉腫細胞とを用いて、マウスの右側腹皮内に2×10個のMeth−A細胞を、左側腹皮内に4×10個のMeth−A細胞を同時に移植した。移植後3日目[右側の大きな腫瘍(原発巣と想定)が指で触れるようになる]に、実施例1で得られたM1画分又はM2画分5mgを、右側腫瘍内に3日間連続投与し、左側腫瘍(転移巣と想定)及び右側腫瘍の増殖の度合を21日間観察した。なお、対照として、M1画分又はM2画分の代わりに、生理食塩水を投与した。
結果を図1及び図2並びに表1に示す。
図1は、右側腫瘍における腫瘍直径(平均値±標準偏差)の経時的変化を示すグラフであり、図2は、左側腫瘍における腫瘍直径(平均値±標準偏差)の経時的変化を示すグラフである。図1及び図2において、白丸は、対照の結果を示し、黒四角は、M1画分の結果を示し、白三角は、M2画分の結果を示す。
また、表1には、移植後21日経過後の右側腫瘍及び左側腫瘍の各腫瘍直径(平均値±標準偏差、単位=mm)及び各腫瘍重量(平均値±標準偏差,単位=g)を示す。
M2画分を投与することにより、対照に比べ、左右の腫瘍増殖を有意に抑制した。その効果は、M2画分を直接注入した右側腫瘍で顕著であったが、非注入の左側腫瘍の増殖をも抑制したことから、免疫(サイトカイン)を介したメカニズムが考えられる。
Figure 2003070264
実施例3:血清IAP値の測定
本実施例では、M2画分の投与による血清IAP(immunosuppressive acidic protein)値の変化を測定した。血清IAPは、活性化マクロファージにより産生することが知られており、血清IAP値はマクロファージ活性化の指標となる。
具体的には、BALB/cマウスに、実施例1で調製したM1画分又はM2画分5mgを皮内注射し、経時的に血液を採取し、SRID(single radial immunodiffusion)法(J.Clausen著,佐々木賽及び村地孝訳,「免疫化学的同定法」,東京化学同人,18−21,1973)により血清IAP値を測定した。
結果を図3に示す。図3において、白丸は、M1画分の結果を示し、黒丸は、M2画分の結果を示す。
図3に示すように、M2画分投与により、430μg/mLのIAPの産生が認められた。
実施例4:吸着画分M2のサルコーマ180腫瘍増殖抑制活性の評価
動物としては、日本クレア(株)から購入した雌性ICRマウスを用い、腫瘍としては、呉羽化学工業株式会社生物医学研究所で雌性ICRマウスの腹腔内で継代維持しているサルコーマ180細胞を用いた。すなわち、5週齢の雌性ICRマウスの腋窩部皮下に、サルコーマ180細胞を10個移植した(1群=10匹)。移植後翌日から、実施例1で得られた吸着画分M2の所定量(1.0m9/kg,10mg/kg,又は50mg/kg)を隔日に10回、腹腔内投与し、移植後25日目にマウスを屠殺して腫瘍結節を摘出し、重量を測定した。対照としては生理食塩水投与群を設けた。
増殖抑制率(単位=%)は、式:
[増殖抑制率(%)]={(Wc−W)/Wc}×100
[式中、Wはサンプル処置群の平均結節重量(単位=g)であり、Wcは生理食塩水処置群の平均結節重量(単位=g)である]
により算出した。
結果を表2に示す。表2から明らかなように、M2画分投与により有意の増殖抑制がみられた。
Figure 2003070264
実施例5:吸着画分M2の腸管リンパ球キラー活性誘導に及ぼす影響の評価
実施例1で得られたM1画分、M2画分、又は分画前の抽出物(すなわち、抽出混合液Mの凍結乾燥粉末)を、マウスに経口投与し、腸管リンパ球のキラー活性誘導に及ぼす影響を検討した。腸間膜リンパ節細胞の活性は、原田らの方法(Harada M.ら,Cancer Res.,55,6146−6151,1995)により評価した。
すなわち、腫瘍細胞を盲腸壁に移植したマウスから、腸間膜リンパ節細胞を取り出し、試験管内で前記腫瘍細胞で再刺激した時のキラー活性を測定することにより、生物活性を検定した。用いた腫瘍細胞は、マウス白血病細胞P815及びB7/P815細胞であり、これらは九州大学生体防御医学研究所原田守博士(現在、久留米大学医学部)から供与された細胞株を、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地中で、呉羽化学工業株式会社生物医学研究所で継代維持している。動物は日本SLCから購入した雌性DBA/2マウスであり、予備飼育した後、8週齢で実験に用いた。
予め、ネンブタール50mg/kgの腹腔内注射による麻酔下、マウスを固定し、その腹部をはさみとピンセットとで開き、盲腸部を取り出し、1/8Gの歯科用注射針(旗印本木注射針)を装着した1mL容注射筒を用いて、B7/P815細胞(1×10個/50μL)を盲腸壁下に移植し、解剖用ホッチキスを用いて腹部を閉じた。麻酔からさめたマウスを飼育ケージに入れ、通常の飼育環境下で飼育した。そして、腫瘍細胞移植翌日から、経口投与用ゾンデを用いて、各サンプルを連日10日間経口投与した(1群当たり10匹)。
最終投与の翌日にマウスを屠殺し、腸間膜リンパ節を無菌的に取り出し、ハンクス平衡塩類溶液(Hanks Balanced Salt Solution)を入れた無菌シャーレに移した。はさみとピンセットとでリンパ節をほぐした後、メッシュを通してリンパ球の単細胞液を調製した。10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地で細胞を3回洗浄した後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)、5×10−5mol/Lの2−メルカプトエタノール、20mmol/Lの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、及び30μg/mLゲンタマイシンをそれぞれ添加したRPMI1640培地で、細胞濃度を5×10個/mLに調整し、エフェクター細胞として用いた。
一方、刺激細胞は、以下の手順で調製した。すなわち、P815細胞又はB7/P815細胞をRPMI1640培地中に5×10個/mLになるように懸濁し、マイトマイシンC(シグマ)を50μg/mLになるように加え、5%炭酸ガス培養器中で30分間反応させた後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地で細胞を3回洗浄し、細胞濃度を1×10個/mLに調整した。
混合リンパ球・腫瘍細胞反応(Mixed Lymphocyte Tumor cell Reaction;MLR)は、以下の条件で検討した。
すなわち、96ウエルの細胞培養用平底マイクロプレート(Falcon 3072;Becton Dickinson Labware,米国)に、前記エフェクター細胞及び/又は刺激細胞を0.1mLずつ加え、37℃の5%炭酸ガス培養器中で3日間培養し、細胞をフィルター上に回収した。なお、エフェクター細胞及び刺激細胞の両方を加える場合には、両者の細胞数比を12.5(エフェクター細胞数/刺激細胞数)とした。本測定系においては、前記エフェクター細胞が、混合リンパ球・腫瘍細胞反応における「リンパ球」として機能し、前記刺激細胞が「腫瘍細胞」として機能する。培養終了の8時間前に、プレートの各ウエルにH−チミジン(アマーシャムジャパン)37kBqを加えた。回収した細胞を5%トリクロロ酢酸で充分に洗浄した後、乾燥し、液体用バイアルに入れ、液体シンチレーターを加え、液体シンチレーションカウンターで、放射能活性を測定した。
スティミュレーション・インデックス(Stimulation Index;S.I.)は、式:
[S.I.]=(Bmix−Bs)/(Be−Bs)
[式中、Bmixは、エフェクター細胞及び刺激細胞混合培養群の放射能活性(単位=Bq)であり、Bsは、刺激細胞単独培養群の放射能活性(単位=Bq)であり、Beは、エフェクター細胞単独培養群の放射能活性(単位=Bq)である]
により算出した。
一方、リンパ球・腫瘍細胞の混合培養による細胞傷害活性誘導反応(MLR−cell−mediated Cytotoxicity;MLR−CMC)は、以下の条件で検討した。
すなわち、24ウエルの細胞培養用マイクロプレート(Culture Clastar)(Costar 3524;Corning Inc.,米国)に、前記エフェクター細胞及び刺激細胞(エフェクター細胞数/刺激細胞数=12.5)を1.0mLずつ加え、37℃の5%炭酸ガス培養器中で3日間培養した。培養終了後、細胞を回収し、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地で3回洗浄した。顕微鏡を用いて、細胞懸濁液中のエフェクター細胞数のみを計数し、エフェクター細胞数を2.5×10個/mLに調整した。
一方、別に用意したP815細胞をクロム酸ナトリウム(アマーシャムジャパン)と37℃で20分間反応させた。未結合の放射性物質を10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地で3回洗浄することにより除去し、放射性クロム標識腫瘍細胞を5×10/mLに調整した。
前記エフェクター細胞又はその2倍希釈系列と放射性クロム標識腫瘍細胞とを試験管に0.1mLずつ加え、37℃の5%炭酸ガス培養器中で4時間反応させた。反応終了後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地をそれぞれの試験管に1.5mLずつ加え、ミキサーでよく混合した後、遠心分離(1200rpm,5分間,4℃)して上清を分離し、放射能活性をガンマカウンターを用いて測定した。
特異的傷害率[Specific Lysis;S.L.(単位=%)]は
式:
[S.L.(%)]={(B−Bf)/(Bmax−Bf)}×100
[式中、Bは実験群上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bfは自然遊離群上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bmaxは最大遊離群の放射能活性(単位=Bq)である]
により算出した。なお、自然遊離群とは、放射性クロム標識腫瘍細胞単独培養群を意味し、最大遊離群とは、5%トリトンX100(Triton X100)処置放射性クロム標識腫瘍細胞群を意味する。
実施例1で調製した各サンプルのMLR−CMCに及ぼす影響を測定した結果(エフェクター細胞数/腫瘍細胞数が12.5の時の値)を表3に示す。表3において、*は対照群に対してp<0.01で有意差のあることを示す。なお、対照群には純水0.2mLを経口投与した。表3から明らかなように、MLR−CMC増強活性は、M2画分にあり、その作用は用量依存的であった。
Figure 2003070264
実施例6:吸着画分M2のIL−12遺伝子発現増強活性の評価
腸間膜リンパ節細胞のインターロイキン12(IL−12)遺伝子発現は、原田らの方法(Harada M.ら,Cancer Res.,58,3073−3077,1998)に従って、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により測定した。
具体的には、M2画分250mg/kg/日又は蒸留水を投与した盲腸壁腫瘍移植マウス(移植後11日目)、健常マウス、又はシャム(sham)マウスを屠殺後、腸間膜リンパ節を分離し、直ちに液体窒素中で凍結し、分析まで−80℃で保存した。なお、盲腸壁腫瘍移植マウスは、実施例5と同様にして、マウス盲腸壁へ腫瘍を移植することにより調製した。また、シャムマウスは、腫瘍細胞の代わりに、盲腸壁に生理食塩水を注射することにより調製した。
以下に示す操作は、特に断らない限り、市販の各キット又は各試薬に添付のプロトコールに従って実施した。RNA調製試薬(TRIzol試薬;Life Technologies,Inc.,USA)を用いて、各試料から全RNAを調製した後、逆転写酵素(Superscript reverse transcriptase;Life Technologies,Inc.)、ランダムヘキサマー、及びデオキシヌクレオシド三リン酸を用いて、全RNAを逆転写し、続いて、Taq DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer Co.,USA)、デオキシヌクレオシド三リン酸、及びプライマー対の存在下、PCRサーマルサイクラー(Perkin−Elmer PCR Themal Cycler TP−2000;Perkin−Elmer Co.)を用いて、cDNAを増幅した。
なお、PCRのサイクル数は、IL−12 p40及びβ−アクチンの場合、それぞれ、30回及び36回とした。また、前記プライマー対としては、IL−12 p40のセンスプライマー及びアンチセンスプライマーとして、それぞれ、配列番号1及び2で表される各塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用し、β−アクチンのセンスプライマー及びアンチセンスプライマーとして、それぞれ、配列番号3及び4で表される各塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用した。
PCR増幅物は、臭化エチジウム存在下でアガロースゲル電気泳動の後、マルチ分析システム(Bio−Rad Multi−Analyst System)を用いて数値化した。
結果を図4に示す。図4において、グラフ(A)は、健常マウスの結果であり、グラフ(B)は、シャムマウスの結果であり、グラフ(C)は、腫瘍移植マウスの結果である。また、図4において、IL−12 p40遺伝子の発現率は、健常・蒸留水投与群に対する百分率で示す。
健常・蒸留水投与群と比べて、腫瘍移植・蒸留水投与群では、IL−12遺伝子発現が増強されていた。M2画分は、健常個体のIL−12遺伝子発現に殆ど影響なかったが、腫瘍移植個体の発現を有意に促進した。なお、シャム群でも、M2画分は発現を軽度促進した。
実施例7:吸着画分M2を経口投与した腫瘍免疫マウスにおける生存期間延長と抗IL−12抗体処置の影響の評価
本実施例では、M2画分の抗腫瘍効果に及ぼす影響を調べた。B7/P815細胞を盲腸部移植した場合、腫瘍は一旦増殖するが、移植14日目以降に退縮し、全マウスが生存した。一方、マウス盲腸壁にP815細胞を移植した場合、腫瘍細胞は増殖・転移し、全マウスが腫瘍死した。そこで、DBA/2マウスの盲腸部にB7/P815腫瘍細胞5×10個/回を2週間隔で計3回免疫し、最終注射から2週間後にP815細胞1×10個を盲腸部に移植し、その後の生存期間を観察した。なお、P815腫瘍細胞の盲腸部における増殖は、B7/P815盲腸部免疫群の方が皮下免疫群よりも優っていた。
結果を表4及び図5に示す。表4及び図5において、第I群は、非免疫処置・蒸留水投与群であり、第II群は、免疫処置・蒸留水投与群であり、第III群は、免疫処置期間中にM2画分を連日経口投与(250mg/kg)した免疫処置・M2投与群であり、第IV群は、免疫処置期間中にM2画分を連日経口投与(250mg/kg)し、更に、P815細胞移植の12日前、7日前、及び2日前に、それぞれ、抗IL−12抗体を200μg/回静脈内注射した免疫処置・M2投与・抗IL−12抗体処置群である。また、表4において、「SD」は標準偏差を意味し、「T/C」における記号「T」は、テスト群(すなわち、第II群〜第IV群)の生存日数を意味し、記号「C」は、対照(コントロール)群(すなわち、第I群)の生存日数を意味し、記号「*」は、第II群に対してp<0.01で有意差のあることを示す。
Figure 2003070264
図5に示すように、免疫処置・蒸留水投与群(第II群)では、非免疫処置・蒸留水投与群(第II群)に比べ、生存期間が約120%延長された。免疫処置・M2投与群(第III群)では、生存期間は、免疫処置・蒸留水投与群(第II群)に比べ、128%まで有意に延長された。免疫処置・M2投与・抗IL−12抗体処置群(第IV群)では、生存期間は、免疫処置・蒸留水投与群(第II群)の109%まで減弱した。
同様の条件で、BALB/cマウスに、マイトマイシンC処理したcolon26腫瘍細胞を盲腸壁に2週間隔で計3回免疫後、colon26生細胞を移植した場合の結果を、表5及び図6に示す。なお、表5及び図6に示す第I群から第IV群は、表4及び図5と同じ意味である。
Figure 2003070264
非免疫処置・蒸留水投与群(第I群)では、大部分のマウスは、悪疫質、腫瘍増殖に伴う腸管閉塞、又は腹膜炎により死亡したが、M2画分の経口投与は、マウスの生存期間を有意に延長した。更に、その効果は、抗IL−12抗体処理により減弱した。なお、非免疫マウスにM2画分を投与しても、生存期間に大きな影響はなかった。
実施例8:吸着画分M2のストレス負荷に対する回復促進活性の評価
本実施例では、実施例1で得られたM2画分を評価用サンプルとし、この評価用サンプルをマウスに10日間経口投与した後、拘束ストレスを18時間負荷し、ストレス解放後のナチュラルキラー(NK)細胞活性を測定することにより、前記サンプルの影響を検討した。
具体的には、日本チャールズリバーから購入した8週齢雄性C57BL/6マウス(各群=5〜10匹)に、評価用サンプルの水溶液を10日間に亘って、通常の飼育用ケージ中で経口投与(300mg/kg/day)した。続いて、マウスを前記飼育ケージから取り出し、空気抜けの穴を開けた50mL容のキャップ付きポリプロピレン製遠心用チューブ(カタログ番号2341−050;テクノグラス社)にマウスを1匹ずつ閉じ込めた。このチューブ中に閉じ込められたマウスは、身動きができない状態となった。次に、それらのチューブを飼育用ケージに戻し、18時間その状態で放置することにより、拘束ストレスを与えた。18時間のストレス負荷の後、チューブからマウスを取り出し、飼育用ケージに戻し、普通の環境下で飼育した。
前記拘束ストレスを開放してから7日経過後にマウスを屠殺し、Greenbergらの方法により(Greenberg A.H.ら,J.Exp.Psychol.,12,25−31,1986)、以下の手順に従って、試験管内でNK感受性の腫瘍細胞株YAC−1に対するリンパ節細胞の細胞傷害活性を測定することにより、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を評価した。
すなわち、マウスから脾臓及び腸間膜リンパ節を無菌的に取り出し、ハンクス平衡塩類溶液(Hanks Balanced Salt Solution)を入れた無菌シャーレに移した。はさみとピンセットとでリンパ節をほぐした後、メッシュを通してリンパ球の単細胞液を調製した。10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理を実施)添加RPMI1640培地で細胞を3回洗浄した後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理を実施)、20mmol/Lの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、及び30μg/mLゲンタマイシンをそれぞれ添加したRPMI1640培地で、細胞濃度を5×10個/mLに調整して得た細胞懸濁液をエフェクター細胞として用いた。
一方、標的細胞として用いたYAC−1細胞は、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理を実施)添加RPMI1640培地中で、呉羽化学工業株式会社生物医学研究所で継代維持したものである。前記YAC−1細胞に放射性クロム酸ナトリウム(アマーシャムジャパン)を加え、37℃で20分間反応させた。未結合の放射性クロム酸ナトリウムを、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理を実施)添加RPMI1640培地で3回洗浄することにより除去し、放射性クロム標識腫瘍細胞を5×10個/mLに調整した。
先に調整した前記エフェクター細胞懸濁液又はその2倍希釈系列と、前記放射性クロム標識腫瘍細胞懸濁液とを、それぞれ0.1mLずつ試験管に加え、37℃の5%炭酸ガス培養器中で4時間反応させた。なお、この際、後述する特異的傷害率を算出するために、放射性クロム標識腫瘍細胞と培地とを試験管に加えた懸濁液、そして、放射性クロム標識腫瘍細胞と界面活性剤(トリトン;最終濃度=0.05%)とを試験管に加えた懸濁液についても、37℃の5%炭酸ガス培養器中で4時間反応させた。反応終了後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理を実施)添加RPMI1640培地1.5mLを試験管に更に加え、ミキサーで充分に混合した後、遠心分離(12000rpm,5分間,4℃)することにより、上清を得た。得られた上清の放射能活性をガンマカウンターを用いて測定した。
特異的傷害率(S.L.:Specific Lysis)を、式:
[S.L.(%)]={(B−Bf)/(Bmax−Bf)}×100
[式中、S.L.は、特異的傷害率(単位=%)であり、Bは、実験群における上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bは、自然遊離群(すなわち、放射性クロム標識腫瘍細胞単独培養群)における上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bmaxは、最大遊離群(すなわち、トリトン処置した放射性クロム標識腫瘍細胞群)における上清の放射能活性(単位=Bq)である]
から算出し、エフェクター細胞10個当たり30%の腫瘍細胞を傷害する細胞数、すなわち、「30%傷害単位(Lytic Units 30%;LU30)」でNK細胞活性を表示した。
結果を表6に示す。なお、対照(健常群)試験として、評価用サンプル水溶液の代わりに、蒸留水を10日間に亘って経口投与したこと、そして、18時間の拘束ストレスを与えなかったこと以外は、前記操作をそのまま繰り返した。また、比較試験として、評価用サンプル水溶液の代わりに、生理食塩水を10日間に亘って経口投与したこと以外は、前記操作をそのまま繰り返した。また、表6の拘束欄において、記号「(−)」は、拘束ストレスを与えなかったことを意味し、記号「(+)」は、拘束ストレスを与えたことを意味する。
なお、有意差検定の結果は、比較群において、対照群に対してp<0.01であり、M2画分投与群において、比較群に対してp<0.05であった。
Figure 2003070264
実施例9:吸着画分M2の理化学的性質の検討
実施例1で得られたM2画分、及び後述の参考調製例1で得られた市販マツタケの子実体由来のm2画分の理化学的性質を検討した。測定方法及びその結果を以下に示す。
(1)糖質の定量
フェノール硫酸法を用いる比色により定量した。M2画分の糖質含量は、グルコース換算値として62%であった。
実施例1の操作を別途、2回繰り返して得られた2種のM2画分について、同様に、フェノール硫酸法を用いる比色により糖質含量を測定したところ、グルコース換算値として69%及び70%であった。
なお、m2画分の糖質含量は、グルコース換算値として35%であった。
更に、ヨウ素呈色反応を実施したところ、M2画分及びm2画分のいずれも陰性であり、デンプンとは性状の異なる糖質が存在すると考えられた。
(2)タンパク質の定量
銅フォリン法を用いる比色により定量した。M2画分のタンパク質含量は、アルブミン換算値として38%であった。
実施例1の操作を別途、2回繰り返して得られた2種のM2画分について、同様に、銅フォリン法を用いる比色によりタンパク質含量を測定したところ、アルブミン換算値として31%及び30%であった。
なお、m2画分のタンパク質含量は、アルブミン換算値として65%であった。
(3)糖質の組成分析
封入管にM2画分1.0mgと2mol/Lトリフルオロ酢酸0.2mLとを入れ、100℃で6時間加水分解した後、エバポレーターで減圧乾固し、残渣を得た。残渣を純水500μLに溶解し、純水で2倍又は10倍希釈した。この溶液50μLに内部標準物質ヘプトース500ngを添加し、カラムTSK−gel Sugar AXGLC−9A 15cm×4.6mmID(東ソー)と検出器分光光度計RF−535(島津製作所)とを装着した高速液体クロマト装置LC−9A(島津製作所)にアプライした。カラム温度は70℃であり、移動相及びその流速は0.5Mホウ酸カリウム緩衝液(pH8.7)及び0.4mL/分であった。ポストカラム標識の条件は、反応試薬として1%アルギニン/3%ホウ酸を用い、流速は0.5mL/分であり、反応温度は150℃であり、検出波長はEX320nm及びEM430nmである。
M2画分の糖組成は、多い方から順に、グルコース61μg/mg、マンノース3.3μg/mg、及びガラクトース2.0μg/mgであった。
また、m2画分の糖組成は、多い方から順に、グルコース12.9μg/mg、ガラクトース12.6μg/mg、マンノース5.6μg/mg、フコース3.5μg/mg、及びキシロース0.4μg/mgであった。
(4)アミノ酸組成分析
酸加水分解は、以下の手順で実施した。すなわち、封入管にM2画分0.33mgと6mol/L塩酸0.2mLとを入れ、110℃で22時間加水分解した後、エバポレーターで減圧乾固し、残渣を得た。残渣を純水0.5mLに溶解し、その50μLをアミノ酸分析に用いた。
また、アルカリ加水分解(トリプトファン分析用)は、以下の手順で実施した。すなわち、M2画分0.48mgをプラスチックチューブに入れた後、可溶性デンプン(Starch Soluble)5mgを含む1%n−オクチルアルコール−4.2mol/L水酸化ナトリウム溶液100μLを加えた。このプラスチックチューブをガラス試験管に入れ、真空封管下、110℃で16時間加水分解した。空冷後、開封し、プラスチックチューブを氷中で冷却し、1.0mol/L塩酸を添加し、中和した。更に、精製水840μLを添加して総量1000μLとし、その50μLをアミノ酸分析に用いた。
装置は日立L−8500型アミノ酸分析計(日立製作所)であり、ニンヒドリン発色により定量した。
アミノ酸組成は、アスパラギン酸及びアスパラギン10.35mol%、トレオニン5.83mol%、セリン6.27mol%、グルタミン酸及びグルタミン10.49mol%、グリシン8.55mol%、アラニン9.19mol%、バリン6.88mol%、1/2−シスチン0.60mol%、メチオニン1.49mol%、イソロイシン5.36mol%、ロイシン9.25mol%、チロシン2.55mol%、フェニルアラニン4.05mol%、リシン5.17mol%、ヒスチジン2.18mol%、アルギニン4.44mol%、トリプトファン1.82mol%、及びプロリン5.54mol%であった。
(5)等電点分析
M2画分を1mg/mLに調製し、(イ)M2画分溶液10μLに純水10μLを添加したものに、あるいは、(ロ)M2画分溶液20μL(タンパク質量として約1.14μg)に、それぞれ、40%(体積/体積)程度のサッカロースを加え、電気泳動を実施した。電気泳動の条件は以下のとおりである。
ゲル:IEF−PAGEmini(4%,pH3〜10;テフコ社)
泳動用緩衝液:(陰極)0.04mol/L水酸化ナトリウム溶液、(陽極)0.01mol/Lリン酸溶液
泳動条件:100Vで30分間泳動を行ない、続いて、300Vで20分間泳動を行ない、更に、500Vで40分間泳動を行なった。
PIマーカー:各バンドが1.35g(ファルマシア)
染色:銀染色
メインバンドの等電点は、5.85付近であった。
(6)核磁気共鳴分析(NMR)
測定条件は以下のとおりである。
(i)H一次元NMR測定
M2画分7mgにDO800μLを加え、超音波で約5分間溶解を試みた後、遠心機にかけ、その上澄み部分を測定に使用した。測定条件は以下のとおりである。
測定装置として、UNITY INOVA600型(Varian社)を使用し、観測周波数は599.6MHz(H核)である。溶媒としてDO溶液を使用し、濃度は飽和溶液である。基準としてTSP0.00ppm(H)を用い、温度は25℃であり、繰返し時間7.0秒(H核)で積算回数を256回とした。
得られたスペクトルを図7に示す。3.0〜5.6ppmに糖由来のシグナルが強く観測された。0.5〜3.0ppmに観測されたシグナルがアミノ酸の側鎖由来であると考えると、糖由来のシグナル強度がアミノ酸由来のシグナル強度よりかなり強いことから、M2画分は構造内に多くの糖を含むことが推定された。また、6.6〜7.6ppmに芳香族アミノ酸のNMRシグナルが観測された。
また、αグルカンの推定含有率は、71%であった。
(ii)13C一次元NMR測定
M2画分を、約20.5mg/0.75mLになるように、DO/CDOD(725/25)に溶解し、以下の操作条件で測定した。
すなわち、観測周波数は125.8MHzであり、基準は重メタノール(δ=49ppm)であり、温度は45℃であり、観測幅は31.4KHzであり、データ点は64Kであり、パルス幅は約41°であり、パルス繰返し時間は2.5秒であり、積算回数は4000であり、デカップリングはH完全デカップリングである条件で測定を実施した。
結果を図8及び図9に示す。糖質由来のシグナルとアミノ酸由来のシグナルとを観測したが、糖質のシグナル強度は、アミノ酸由来のものよりも強かった。M2画分の構成糖の大部分はグルコースであることから、95ppm〜110ppmのシグナルはグルコースの1位の炭素であり、105ppm付近のシグナルはβ1位の炭素であり、102ppm付近及び99ppm付近のシグナルはα1位の炭素であると考えられる。この結果から、少なくとも3種類以上の結合様式が推定された。63ppm付近のシグナルは6位の炭素であるが、ここでも3種類のシグナルが存在し、M2画分が3種類以上の結合様式を有することを支持している。また、70〜80ppm付近のシグナルから、4位が結合に関与していると考えられ、α1−4結合とβ1−4結合の存在が推定される。
(7)円偏光二色性分析(CD)
M2画分約3mgに水を添加し、2mg/mLとした。沈殿が若干あったので、遠心して上澄み部分を測定に使用した。測定条件は以下のとおりである。
測定装置としてJASCOJ−500Aを使用し、溶媒として水を使用した。タンパク質濃度は約2mg/mLであり、波長範囲は200〜250nmであり、セル長は1mmであり、温度は室温(約23℃)であり、積算回数は8回である条件で測定を実施した。
得られたCDスペクトルを図10に示す。CD値(縦軸)は、楕円核(mdeg)で示した。αヘリックスなどの規則的な二次構造は若干存在するが、不規則構造が主要な構造と推定された。
(8)旋光度
25℃で測定したところ、42であった。
(9)赤外分光分析
赤外分光分析は、KBr法により実施した。より具体的には、M2画分0.5mgと、KBr粉末15mgとを均質に混合した後、プレスして円盤状に成型し、測定を実施した。
得られたスペクトルを図11に示す。このスペクトルから、M2画分には多糖類が含まれることが示唆された。
(10)紫外分光分析(UV)
純水に溶解し、0.5mg/10mL濃度で測定した。装置として、2500PC(島津製作所)を使用した。
得られた紫外可視吸収スペクトルを図12に示す。260〜270nmにおいて弱い吸収極大が認められた。
(11)電子スピン共鳴(ESR)
測定は、ESP350E(Brucker社)を用い、窒素雰囲気下での試料のESRを測定した。主な操作条件は表7に示すとおりである。
結果を表8並びに図13及び図14に示す。図13及び図14において、縦軸の「強度(arb.units)」は、縦軸に示す「強度」の単位が任意単位であることを意味する。炭素ラジカルに起因すると考えられるシグナルを、g=2.004付近に観察した。また、g=4.25(Fe3+)付近とg=2.03〜2.05付近のシグナルは、遷移金属イオンに起因すると考えられる。
Figure 2003070264
Figure 2003070264
(12)粘度
試料(M2画分又はm2画分)0.5gを精製水100mLに溶解し、10000rpmで遠心分離後、上清をとり、精製水で1.67mg/mLに調整した後、オストワルド粘度計を用いて、30℃で還元粘度を測定した。M2画分の還元粘度は108ηであり、m2画分の還元粘度は924ηであった。
(13)分子量
試料(M2画分又はm2画分)を精製水で2〜3mg/mLとなるように溶解し、ゲル濾過を実施した。
ゲル濾過は、装置として送液ポンプLC−7A(島津製作所)を使用し、検出器として紫外分光光度計検出器SPD−6A(島津製作所)を使用し、カラムとしてTSKgel G3000SW(7.5mmI.D.×30cm;東ソー)を使用して実施した。また、カラム温度が室温であり、移動相が0.15mol/L硫酸ナトリウム含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)であり、移動相流速が0.8mL/分であり、検出波長が214nmである条件で、ゲル濾過を実施した。分子量既知の標準曲線に溶出時間を外挿し、分子量を算出した。
M2画分では、主成分の分子量は2000kDaであり、それ以外に4.0kDa及び1.2kDaの成分も確認された。また、m2画分では、主成分の分子量は2000kDaであり、それ以外に7.0kDa及び1.0kDaの成分も確認された。
(14)元素分析
炭素(C)、水素(H)、及び窒素(N)は、有機微量元素分析計(ヤナコCHNコーダーTM−5型)を用いて測定した。
また、硫黄(S)、リン(P)、及び塩素(Cl)については、試料をボンベ法で燃焼分解後、吸収液中のSO 2−、PO 3−、及びClをイオンクロマトグラフィー(IC)法で測定し、各元素に換算した。具体的には、試料0.1gにアセトン1mLを加え、酸素3Mpa導入後、燃焼して30分間水冷した。0.1mol/L−NaOHの吸収液と洗浄液とを合わせて100mLに定容後、ダイオネクスDX−300型ICを用いて測定した。
結果を表9に示す。
Figure 2003070264
(15)α−グルカン推定含有率
試料(M2画分又はm2画分)を0.5mol/L酢酸緩衝液(pH4.3)に溶解し、アミログルコシダーゼ溶液(Sigma Chem.Co.,USA)を加えて、60℃で30分間振盪した。次いで、液のpHを4.5に調整後、グルコアミラーゼ(和光純薬)を加えて、60℃で30分間振盪した。反応終了後、得られた各反応液中のグルコース量をグルコース測定計にて測定後、ブランク溶液のグルコース量から差し引いた値を、「α−グルカン推定量」とした。一方、試料に1.0mol/L硫酸を加え、100℃で18時間加水分解後、中和し、得られた各反応液中のグルコース量をグルコース測定計にて測定し、「総グルカン量」とした。α−グルカン推定含有率は、前記「総グルカン量」に対する前記「α−グルカン推定量」の百分率として算出した。
M2画分のα−グルカン推定含有率は、全糖質に対して71%であり、m2分画のα−グルカン推定含有率は、全糖質に対して32%であった。
(16)エンドトキシンの定量
市販測定キット(エンドスペーシー;生化学工業)及びエンドトキシンフリーの器具及び試薬(生化学工業)を用い、LAL(Limulus Amoebocyte Lysate)反応(Ohbayashi T.ら,Clin.Chim.Acta,149,55−65,1985)により、エンドトキシン量を定量した。
すなわち、M2画分を適当な濃度になるように蒸留水に溶解した後、その50μLをエンドトキシンフリーの96ウェルマイクロプレートに分注した。別のウェルには、蒸留水又はエンドトキシン標準液の希釈系列を同量分注した。次いで、マイクロプレートの各ウェルにLAL溶液(カブトガニ由来試液)50μLを分注し、37℃で30分間インキュベートし、ジアゾカップリング試液を加え、発色させた後、545nm(対照=630nm)の吸光度を測定した。標準液の検量線から、M2画分のエンドトキシン量を算出したところ、2.5ng/mgであった。
実施例10:M2画分の活性構造の推定
本実施例では、M2画分の活性構造を推定するために、化学処理又は酵素処理したM2画分を調製し、これらの調製物を盲腸壁腫瘍移植マウスに経口投与し、腸間膜リンパ節細胞の活性をMLR及びMLR−CMCにより評価した。
具体的には、タンパク質の少ない画分を調製するため、高崎らの方法(Takasaki S.ら,Methods in Enzymology,vol.83,Academic Press,New York,263−268,1982)に準じて、M2画分のペプチド部分を調製した。すなわち、M2画分(糖質:タンパク質=68:32)を無水ヒドラジンに溶解し、ガラス試験管に入れ、封管中、100℃で24時間加熱した。次に、処理物をデシケーターに入れ、減圧放置によりヒドラジンを流去した。乾燥物を精製水に溶解し、セファデックス(Sephadex)G−25(ファルマシア)を用いたゲル濾過により高分子画分を回収し、続いて、ジエチルアミノエチルセファセル(Sephacel)を用いたイオン交換クロマトグラフィーにより素通り画分(糖質:タンパク質=99:1)を得た。
一方、α−グルカンの少ない画分を調製するため、M2画分を0.5mol/L酢酸緩衝液(pH4.3)に溶解し、アミログルコシダーゼ(Sigma Chem.Co.)を加えて、60℃で30分間反応した。次いで、反応液のpHを4.5に調整後、グルコアミラーゼ(和光純薬)を加えて、60℃で30分間反応した。反応溶液を、セファデックスG−25を用いたゲル濾過にアプライし、高分子画分(糖質:タンパク質=13:87)を回収した。NMR分析から、α−グルカンの減少を確認した。
更に、β−グルカンの少ない画分を調製するため、M2画分を0.5mol/L酢酸緩衝液(pH4.3)に溶解し、β−グルコシダーゼ(Sigma Chem.Co.)を加えて、37℃で24時間反応した。反応液を、セファデックスG−25を用いたゲル濾過にアプライし、高分子画分(糖質:タンパク質=59:41)を回収した。NMR分析から、β−グルカンの減少を確認した。
腸間膜リンパ節細胞の活性評価は、実施例5に記載の手順と同様にして実施した。
結果を表10に示す。表10における「対照群]とは、蒸留水投与対照群を意味する。また、有意差検定は、前記対照群に対して行ない、「NS」は有意差がないこと(Not Significant)を意味する。
表10から明らかなように、M2画分のペプチド部分をヒドラジンで処理して分解除去すると、活性は明らかに消失した。また、M2画分の糖質部分をアミログルコシダーゼ及びグルコアミラーゼ処理してα−グルカンを減少させると、活性は減弱したが、β−グルコシダーゼ処理ではほとんど影響がなかった。
これらの結果は、M2画分の活性構造がα−グルカンとタンパク質であることを示唆している。
Figure 2003070264
参考調製例1:市販マツタケの混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分の調製
市販の長野産マツタケ子実体100gを凍結乾燥して水分を除去した後、粉砕して粉末15gを得た。
以下、出発材料として菌糸体の代わりに、前記子実体粉末を用いること以外は、実施例1の抽出及び分画操作を繰り返すことにより、非吸着画分m1及び吸着画分m2を得た。
産業上の利用可能性
本発明の免疫増強剤によれば、免疫増強が必要な対象の免疫能を増強することができ、例えば、癌の治療又は予防、特には原発腫瘍の治療若しくは予防又は転移巣の治療若しくは予防に有効である。また、本発明のストレス負荷回復促進剤によれば、ストレス負荷に対する回復を促進することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
【配列表】
Figure 2003070264
Figure 2003070264

【図面の簡単な説明】
図1は、二重移植腫瘍系における右側腫瘍の腫瘍直径(平均値±標準偏差)の経時的変化を示すグラフである。
図2は、二重移植腫瘍系における左側腫瘍の腫瘍直径(平均値±標準偏差)の経時的変化を示すグラフである。
図3は、M1画分又はM2画分の投与による血清IAP量の経時的変化を示すグラフである。
図4は、M2画分の経口投与によるマウス腸間膜リンパ節細胞におけるIL−12遺伝子発現誘導の結果を示すグラフである。
図5は、M2画分を経口投与した腫瘍(P815腫瘍細胞)免疫マウスにおける生存期間延長と抗IL−12抗体処置の影響を示すグラフである。
図6は、M2画分を経口投与した腫瘍(Colon26腫瘍細胞)免疫マウスにおける生存期間延長と抗IL−12抗体処置の影響を示すグラフである。
図7は、吸着画分M2のH一次元NMR測定により得られたスペクトルである。
図8は、吸着画分M2の13C一次元NMR測定により得られたスペクトルである。
図9は、吸着画分M2の13C一次元NMR測定により得られたスペクトル(広域)である。
図10は、吸着画分M2の円偏光二色性分析により得られたCDスペクトルである。
図11は、吸着画分M2の赤外分光分析により得られたスペクトルである。
図12は、吸着画分M2の紫外分光分析により得られたスペクトルである。
図13は、吸着画分M2のESR分析により得られたスペクトルである。
図14は、吸着画分M2のESR分析により得られたスペクトル(広域)である。

Claims (25)

  1. マツタケFERM BP−7304株の菌糸体の熱水抽出液と、前記菌糸体熱水抽出液を得る際に残留する菌糸体残渣のアルカリ溶液抽出液とを混合して得られる混合液の陰イオン交換樹脂吸着画分であって、
    (a)フェノール硫酸法によるグルコース換算値としての糖質含量が60〜72%であり、
    (b)銅フォリン法によるアルブミン換算値としてのタンパク質含量が28〜40%である
    前記陰イオン交換樹脂吸着画分。
  2. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、免疫増強剤。
  3. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、免疫増強組成物。
  4. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、免疫増強健康食品。
  5. 前記健康食品が機能性食品である、請求項4に記載の免疫増強健康食品。
  6. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、免疫増強が必要な対象に、有効量で投与することを含む、免疫を増強する方法。
  7. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、免疫増強組成物又は免疫増強健康食品を製造するための使用。
  8. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、転移巣治療又は予防剤。
  9. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、転移巣治療又は予防組成物。
  10. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、転移巣治療又は予防健康食品。
  11. 前記健康食品が機能性食品である、請求項10に記載の転移巣治療又は予防健康食品。
  12. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、転移巣治療又は予防が必要な対象に、有効量で投与することを含む、転移巣を治療又は予防する方法。
  13. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、転移巣治療若しくは予防組成物又は転移巣治療若しくは予防健康食品を製造するための使用。
  14. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、血清IAP値上昇剤。
  15. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、血清IAP値上昇組成物。
  16. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、血清IAP値上昇健康食品。
  17. 前記健康食品が機能性食品である、請求項16に記載の血清IAP値上昇健康食品。
  18. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、血清IAP値上昇が必要な対象に、有効量で投与することを含む、血清IAP値を上昇させる方法。
  19. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、血清IAP値上昇組成物又は血清IAP値上昇健康食品を製造するための使用。
  20. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、ストレス負荷回復促進剤。
  21. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、ストレス負荷回復促進組成物。
  22. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、ストレス負荷回復促進健康食品。
  23. 前記健康食品が機能性食品である、請求項22に記載のストレス負荷回復促進健康食品。
  24. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、ストレス負荷回復促進が必要な対象に、有効量で投与することを含む、ストレス負荷回復を促進する方法。
  25. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、ストレス負荷回復促進組成物又はストレス負荷回復促進健康食品を製造するための使用。
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