JP2005162668A - 新規のTGF−β結合剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規のTGF−β結合剤、及びTGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防剤を提供する。
【解決手段】前記TGF−β結合剤及び治療又は予防剤は、リノール酸、オレイン酸、又はマツタケの有機溶媒抽出画分を有効成分として含有し、更に、所望により、親脂溶性高分子物質を有効成分として含有することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規のTGF−β結合剤に関する。本発明のTGF−β結合剤は、医薬品として投与することができるだけでなく、種々の形態、例えば、健康食品(好ましくは機能性食品)又は飼料として飲食物の形で与えることも可能である。なお、前記食品には飲料が含まれる。更には、オーラル衛生用組成物、例えば、口中に一時的に含むものの、そのほとんどを口中より吐き出す形態、例えば、歯磨剤、洗口剤、チューインガム、又はうがい剤の形で与えることも、あるいは、鼻から吸引させる吸入剤の形で与えることも可能である。
マツタケ[Tricholoma matsutake(S.Ito & Imai)Sing.]には種々の生理活性物質が含まれていることが知られており、例えば、特許文献1及び特許文献2には、マツタケに含有される各種の抗腫瘍性物質が開示されている。前記特許文献1には、マツタケ菌糸体の液体培養物を熱水又は希アルカリ溶液で抽出して得られる抽出液から分離精製されたエミタニン−5−A、エミタニン−5−B、エミタニン−5−C、及びエミタニン−5−Dに、サルコーマ180細胞の増殖阻止作用があることが開示されている。また、前記特許文献2には、マツタケ子実体の水抽出物から分離精製された分子量20〜21万のタンパク質(サブユニットの分子量=10〜11万)が抗腫瘍活性を有することが開示されている。
また、本発明者は、マツタケ熱水抽出液、マツタケのアルカリ溶液抽出液、あるいは、マツタケ熱水抽出液又はマツタケアルカリ溶液抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分が、免疫増強活性を有することを既に見出している(特許文献3)。
更に、本発明者らは、特定のマツタケ株を特定の培養方法により培養して得られた菌糸体由来の部分精製画分に、免疫増強作用及びストレス負荷回復促進作用があることも既に見出している(特許文献4)。
特公昭57−1230号公報 特許第2767521号明細書 国際公開第WO01/49308号パンフレット 国際公開第WO03/070264号パンフレット
本発明者は、マツタケに含まれる生理活性物質のこれらの公知活性以外の未知の生理活性を見出すことを目的に鋭意研究したところ、マツタケの有機溶媒抽出画分が、親脂溶性高分子物質共存下において、TGF−β結合活性を示すことを見出し、更に、その活性成分がリノール酸及びオレイン酸であることを見出した。本発明者は、更に、前記画分又は活性成分が、親脂溶性高分子物質共存下において、TGF−βの各種活性を抑制することを見出し、前記画分又は活性成分が、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防剤として有用であることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものである。
本発明の課題は、新規のTGF−β結合剤、及びTGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防剤を提供することにある。
前記課題は、本発明による、(1)リノール酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、(2)オレイン酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、又は(3)マツタケの有機溶媒抽出画分を有効成分として含有することを特徴とする、TGF−β結合剤により解決することができる。
本発明のTGF−β結合剤の好ましい態様によれば、前記有機溶媒が脂溶性有機溶媒である。
また、本発明のTGF−β結合剤の別の好ましい態様によれば、親脂溶性高分子物質(更に好ましくは、タンパク質又は多糖類)を有効成分として更に含有する。
また、本発明は、(1)リノール酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、(2)オレイン酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、又は(3)マツタケの有機溶媒抽出画分を有効成分として含有することを特徴とする、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防剤に関する。
本発明の治療又は予防剤の好ましい態様によれば、親脂溶性高分子物質を有効成分として更に含有する。
本発明の治療又は予防剤の別の好ましい態様によれば、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病が、線維化に伴う疾患(例えば、肝疾患、心臓病、高血圧、又は慢性膵炎)、慢性疲労性症候群、転移性癌、又は進行癌である。
本発明のTGF−β結合剤によれば、TGF−βの活性を抑制することができる。従って、本発明のTGF−β結合剤は、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病、例えば、慢性疲労性症候群の治療及び/又は予防に有用である。
本発明のTGF−β結合剤、あるいは、本発明の治療又は予防剤は、第1の有効成分として、(1)リノール酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、(2)オレイン酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、又は(3)マツタケの有機溶媒抽出画分の少なくとも1つを含有し、更に、所望により、第2の有効成分として、1種以上の親脂溶性高分子物質を含有することができる。
以下、本発明のTGF−β結合剤に基づいて本発明を主に説明するが、本発明のTGF−β結合剤に関する以下の説明は、その作用に関する説明を除き、本発明の治療又は予防剤についてもそのまま当てはまる。
本発明のTGF−β結合剤における第1の有効成分の1つであるリノール酸は、9,12−オクタデカジエン酸、すなわち、9位及び12位にシス二重結合を有する炭素数18の直鎖不飽和脂肪酸である。
また、本発明のTGF−β結合剤における第1の有効成分の1つであるオレイン酸は、cis−9−オクタデセン酸、すなわち、9位にシス二重結合を有する炭素数18の直鎖不飽和脂肪酸である。
本発明の第1有効成分の1つであるリノール酸又はオレイン酸の塩は、薬剤学的に許容される塩である限り、特に限定されるものではないが、例えば、無機塩基又は有機塩基との塩を挙げることができる。塩の形成に適した無機塩基は、例えば、アンモニア、カリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、又はアルミニウム等の水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩等である。有機塩基との塩としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミンのようなモノ−、ジ−、若しくはトリ−アルキルアミン塩、モノ−、ジ−、若しくはトリ−ヒドロキシアルキルアミン塩、グアニジン塩、N−メチルグルコサミン塩、又はアミノ酸塩等を挙げることができる。
また、本発明の第1有効成分の1つであるリノール酸又はオレイン酸のプロドラッグは、生体内で、リノール酸又はオレイン酸に容易に変換することのできる誘導体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、リノール酸若しくはオレイン酸のエステル(例えば、リノール酸メチル、リノール酸エチル、オレイン酸メチル、又はオレイン酸エチル)、又はステアリン酸等を挙げることができる。ステアリン酸は、生体内でオレイン酸に代謝され、更にリノール酸に代謝される。適当なプロドラッグの選択及び製造に一般的に用いられる方法は、例えば、Design of Prodrugs,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
本発明のTGF−β結合剤における第1の有効成分の1つである、マツタケの有機溶媒抽出画分は、マツタケを有機溶媒で抽出することにより、得ることができる。
有機溶媒による抽出に用いる前記マツタケとしては、例えば、天然のマツタケの子実体若しくは菌糸体、又は培養により得られるマツタケの菌糸体若しくは培養物(Broth)を挙げることができる。前記マツタケとして子実体又は菌糸体を用いる場合には、抽出効率が向上するように、破砕物又は粉体の状態に加工することが好ましい。
培養に用いる前記マツタケとしては、例えば、国際公開第WO02/30440号パンフレットに記載のマツタケFERM BP−7304株を挙げることができる。前記マツタケFERM BP−7304株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター[(旧)工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)]に平成12年9月14日より寄託しているものである。このマツタケFERM BP−7304株は、京都府亀岡市で採取したマツタケCM6271株から子実体組織を切り出し、試験管内で培養することにより、菌糸体継代株を得たものであり、呉羽化学工業株式会社生物医学研究所で維持している。
マツタケ抽出に用いる有機溶媒は、マツタケ中の脂肪酸(特にはリノール酸及び/又はオレイン酸)を抽出可能な有機溶媒である限り、特に限定されるものではなく、例えば、脂溶性有機溶媒(例えば、クロロホルム、メタノール、エーテル、エタノール、酢酸エチル、又はヘキサン等)又はそれらの混合物(例えば、クロロホルムとメタノールとの混合液)を用いることができ、クロロホルムとメタノールとの混合液が好ましい。前記有機溶媒としてクロロホルムとメタノールとの混合液を使用する場合には、その混合比[クロロホルム:メタノール(v/v)]は、例えば、10:1〜1:10であることができる。
マツタケの有機溶媒抽出は、15〜30℃の温度で実施することが好ましい。また、抽出の際には、抽出効率が向上するように、撹拌又は振盪しながら実施することが好ましい。抽出時間は、例えば、マツタケの状態(すなわち、子実体、菌糸体、又は培養物のいずれの状態であるか、あるいは、破砕物又は粉体の状態に加工した場合にはその加工状態)、有機溶媒の種類若しくは温度、又は撹拌若しくは振盪の有無若しくは条件に応じて、適宜決定することができるが、通常、0.25〜3時間であり、0.5〜1.5時間であることが好ましい。
得られた有機溶媒抽出画分は、例えば、不溶物が混在する状態でそのまま、あるいは、不溶物を除去した抽出液の状態で、更には、適当な処理(例えば、濃縮若しくは希釈、乾燥、又は再溶解)を施した状態で、本発明のTGF−β結合剤の有効成分として用いることができる。マツタケの有機溶媒抽出画分は、種々の脂肪酸を含有し、その主要脂肪酸はリノール酸及びオレイン酸である(実施例2参照)。
なお、本発明において、第1有効成分としてマツタケの有機溶媒抽出画分を用いた場合、前記画分中に含有されるリノール酸及び/又はオレイン酸がTGF−β結合活性を示すものと本発明者は考えているが、前記画分中のリノール酸及びオレイン酸以外の成分もTGF−β結合活性を示すことが考えられ、本発明の範囲は前記機構に限定されるものではない。
マツタケとして、培養により得られるマツタケ菌糸体(特にはその乾燥菌体)を使用し、有機溶媒として、クロロホルムとメタノールとの混合液を使用する場合には、有機溶媒抽出を実施することにより、水層、中間層、及びクロロホルム/メタノール混合層とが形成される。この場合、クロロホルム/メタノール混合層単独、あるいは、中間層とクロロホルム/メタノール混合層との混合物(すなわち、非水層)を、マツタケの有機溶媒抽出画分として使用することができる。
本発明のTGF−β結合剤における第2の有効成分である「親脂溶性高分子物質」は、脂肪酸(好ましくはリノール酸及び/又はオレイン酸)と会合することのできる高分子物質であって、しかも、前記脂肪酸と複合体を形成することによりTGF−β結合活性を示す高分子物質である限り、特に限定されるものではなく、例えば、タンパク質若しくは多糖類、又はこれらを含有する組成物などを挙げることができ、経口摂取可能な親脂溶性高分子物質が好ましい。
前記タンパク質としては、例えば、血清アルブミン又は血清グロブリンを挙げることができ、これらのタンパク質としては、天然由来タンパク質又は遺伝子組換えタンパク質のいずれをも使用することができる。前記多糖類としては、例えば、グリコーゲン、デンプン、又はカルボキシメチルセルロース(CMC)若しくはその塩(例えば、CMCナトリウム)を挙げることができる。前記組成物としては、例えば、酵母エキス又は大豆ペプトンを挙げることができる。
本発明のTGF−β結合剤は、第1の有効成分として、(1)リノール酸(リノール酸の塩又はプロドラッグを含む)、(2)オレイン酸(オレイン酸の塩又はプロドラッグを含む)、又は(3)マツタケの有機溶媒抽出画分の少なくとも1つを含有し、更に、所望により、第2の有効成分として、1種以上の親脂溶性高分子物質を含有することができる。本発明においては、前記第1有効成分を、あるいは、前記第1有効成分と第2有効成分との組み合わせを、それ単独で、あるいは、好ましくは薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に有効量で投与することができる。本発明のTGF−β結合剤が第1有効成分のみを含有し、第2含有成分を含有しない場合であっても、本発明のTGF−β結合剤を投与すると、体内に存在する親脂溶性高分子物質[例えば、タンパク質(例えば、血清アルブミン又は血清グロブリン)、又は多糖類(例えば、グリコーゲン又はデンプン)]と、前記第1有効成分とが複合体を形成することができるため、第1有効成分のみを有効成分として含有する場合であっても、所望の効果(例えば、TGF−β結合作用)を得ることができる。
第1有効成分としてリノール酸又はオレイン酸を含有する本発明のTGF−β結合剤を投与すると、リノール酸又はオレイン酸と親脂溶性高分子物質との複合体が、生体内のTGF−βと結合するため、本発明のTGF−β結合剤は、TGF−βの活性を抑制することができる。また、第1有効成分としてマツタケの有機溶媒抽出画分を用いた場合でも、前記画分はリノール酸及び/又はオレイン酸を含有するため、TGF−βの活性を抑制することができる。
従って、本発明のTGF−β結合剤の有効成分である、前記第1有効成分、あるいは、前記第1有効成分と第2有効成分との組み合わせは、TGF−β活性抑制剤、あるいは、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防剤の有効成分としても有用である。すなわち、前記第1有効成分を、あるいは、前記第1有効成分と第2有効成分との組み合わせを、それ単独で、あるいは、好ましくは薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、TGF−β活性抑制、あるいは、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防の必要な対象[例えば、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)]に有効量で投与することができる。また、前記第1有効成分、あるいは、前記第1有効成分と第2有効成分との組み合わせは、TGF−β結合剤、TGF−β活性抑制剤、又はTGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防剤を製造するために使用することができる。
TGF−βの過剰分泌に関連する疾病(TGF−βの過剰分泌に起因する疾病と、TGF−β過剰分泌により悪性化が進行する疾病とを含む)としては、例えば、線維化に伴う疾患[例えば、肝疾患(例えば、肝硬変)、心臓病(例えば、血管の線維化又は動脈硬化などを伴う心臓病)、高血圧、又は慢性膵炎]、慢性疲労性症候群、転移性癌、又は進行癌などを挙げることができる。
本発明のTGF−β結合剤の投与剤型としては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
これらの経口剤は、例えば、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常法に従って製造することができる。
非経口投与方法としては、注射(皮下、静脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなかで、注射剤が最も好適に用いられる。
例えば、注射剤の調製においては、有効成分の他に、例えば、生理食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いることができる。
また、本発明のTGF−β結合剤は、徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与してもよい。例えば、本発明における前記有効成分をエチレンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペレットを治療又は予防すべき組織中に外科的に移植することができる。
本発明のTGF−β結合剤は、これに限定されるものではないが、本発明における前記有効成分を、前記第1有効成分の合計量として、あるいは、前記第1有効成分と第2有効成分との組み合わせの合計量として、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で含有することができる。
また、第1有効成分と第2有効成分との組み合わせを有効成分として含有する場合には、第1有効成分と第2有効成分との含有比率は、例えば、第1有効成分としてリノール酸又はオレイン酸を、第2有効成分として血清アルブミンを使用する場合、通常、1:2〜1:20(重量比)とすることができる。第1有効成分としてマツタケの有機溶媒抽出画分を使用する場合には、マツタケの有機溶媒抽出画分に含有されるリノール酸及び/又はオレイン酸の量が前記範囲に含まれるような量で、使用することができる。
本発明のTGF−β結合剤を用いる場合の投与量は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などに応じて適宜決定することができ、経口的に又は非経口的に投与することが可能である。
また、投与形態も医薬品に限定されるものではなく、種々の形態、例えば、健康食品(好ましくは機能性食品)又は飼料として飲食物の形で与えることも可能である。なお、前記食品には飲料が含まれる。
食品には、(1)栄養素としての働き(第一次機能)、(2)人間の五感に訴える働き(第2次機能)の他に、(3)人間の健康、身体能力、又は心理状態に好ましい影響を与える働き(第3次機能)、例えば、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、又は神経系などの生理系統を調節して、健康の維持や健康の回復に好ましい効果を及ぼす働きがあることが知られている。本明細書において「健康食品」とは、健康に何らかの効果を与えるか、あるいは、効果を期待することができる食品を意味し、「機能性食品」とは、前記「健康食品」の中でも、前記の種々の生体調節機能(すなわち、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、又は神経系などの生理系統の調節機能)を充分に発現することができるように設計及び加工された食品を意味する。
更には、オーラル衛生用組成物、例えば、口中に一時的に含むものの、そのほとんどを口中より吐き出す形態、例えば、歯磨剤、洗口剤、チューインガム、又はうがい剤の形で与えることも、あるいは、鼻から吸引させる吸入剤の形で与えることも可能である。例えば、本発明における前記有効成分を、添加剤(例えば、食品添加剤)として、所望の食品(飲料を含む)、飼料、歯磨剤、洗口剤、チューインガム、又はうがい剤等に添加することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:マツタケ菌糸体FERM BP−7304株からの非水層画分の分離とサンプル液の調製》
マツタケ菌糸体FERM BP−7304株の乾燥菌体1.0gを、300mL容のビーカーに入れ、次いでクロロホルムとメタノールとの混合液[2:1(v/v);以下、ChMe液と称する]50mLを加え、25℃で1時間撹拌抽出した。この操作を3回繰り返した後、水層部、中間層、及びChMe層をそれぞれ回収した。ChMe層と中間層とを合わせ(以下、非水層と称する)、ロータリエバポレーターを用いて乾固し、乾固物0.55gを得た。また、水層部も同様に回収し、凍結乾燥を実施して粉末0.45gを得た。
非水層乾固物に、2%ウシ血清アルブミン(BSA;シグマ社)含有リン酸緩衝液生理食塩水(pH7.2)(以下、2%BSA緩衝液と称する)を加え、良く振盪混和して、サンプル溶液1を調製した。
《実施例2:マツタケ菌糸体FERM BP−7304株中の脂肪酸組成の測定、及び主要脂肪酸含量の測定》
マツタケ菌糸体FERM BP−7304株の乾燥菌体5.0gに、1mol/L水酸化ナトリウム−エチルアルコール(1%ピロガロール含有)溶液50mLを加えてけん化し、水150mL、30%硫酸7mL、及びジエチルエーテル100mLを加えて脂肪酸を抽出した。このジエチルエーテル層をとり、水洗及び溶媒除去の後、日本食品科学工学会・新食品分析法編集委員会編「新食品分析法」(株)光琳,東京,pp.521−526,1996に順じてメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィーにて分析した。条件は下記の通りである:
装置:島津GC−17A
カラム:J&W DB−23
カラム温度:50℃(1分間保持)→170℃(10℃/分で昇温)→210℃(1.2℃/分で昇温)
検出器:FID
温度:注入口250℃、検出器250℃
ガス流量:ヘリウム1.5mL/分
ガス圧力:水素60kPa、空気50kPa
導入系:スプリットレス
結果(脂肪酸の種類と、FERM BP−7304株の全脂肪酸に対する百分率)を表1に示す。リノール酸が一番多く、次いでオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の順に検出された。
そこで、6種類の脂肪酸につき、上記と同様の手法にて、標準曲線を作成し、分析値を外挿することにより、それぞれの含量を定量した。結果(FERM BP−7304株中の主要脂肪酸の個別定量値)を表2に示す。リノール酸、オレイン酸、及びパルミチン酸の含有量は、それぞれ、0.87g/100g、0.36g/100g、及び0.28g/100gであった。
Figure 2005162668
Figure 2005162668
《実施例3:脂肪酸と親脂溶性高分子物質混液の調製》
(1)BSA含有サンプルの調製
2%BSA含有緩衝液に所定量(表4及び表5参照)のリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、又はオレイン酸を加え、良く振盪混和してサンプル液2、サンプル液3、サンプル液4、及びサンプル液5を調製した。
(2)BSA以外の親脂溶性高分子物質を含有するサンプルの調製
また、2%BSA含有緩衝液の代わりに、1%グリコーゲン(カキ由来;和光純薬工業株式会社)、0.5%可溶性デンプン(Sigma Aldrich Japan社、日本)、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Sigma Aldrich Japan社)、1%ヒト血清アルブミン(Sigma Aldrich Japan社)、1%ヒトグロブリンコーンフラクション(Cohn fraction)II, III(Sigma Aldrich Japan社)、1%酵母エキス(DIFCO, Becton Dickinson社、米国)、又は1%大豆ペプトンSR70M(オリエンタル酵母社)をそれぞれ含有する各緩衝液に、リノール酸又はオレイン酸を20mg/mLになるように加え、良く振盪混和して各サンプル液を調製した。
《実施例4:TGF−β結合活性の評価(1):酵素免疫測定方法》
タンパク質吸着の少ないポリプロピレンチューブ(マルチシリコナイズチューブ、Safe Seal Microcentrifuge Tube;フナコシ)中で、ヒト遺伝子組み替えトランスフォーミング増殖因子[Transforming Growth Factor-β1(TGF−β);フナコシ]標品を2%BSA含有緩衝液に溶解し、200ng/mL溶液に調整した。このTGF−β溶液と前記実施例1又は実施例3(1)で得られたサンプル溶液とを0.5mLずつ、タンパク質吸着の少ないチューブに入れ、22℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液中のTGF−β含量を市販の測定キット(Quantikine human TGF-β1 ELISA kit;フナコシ)を用いて測定した。
結合率(単位=%)は、式:
[結合率(%)]={(Tc−T)/Tc}×100
[式中、Tはサンプル溶液添加群のTGF−β実測値(単位=ng/mL)であり、Tcは2%BSA含有緩衝液添加群のTGF−β実測値(単位=ng/mL)である]により算出した。
結果を表3〜表5に示す。FERM BP−7304株のChMe抽出画分(非水層部)又はリノール酸若しくはオレイン酸は、BSA存在下でTGF−βと結合することが示唆された。
また、前記実施例3(2)で調製したサンプル溶液についても、同様にしてTGF−β結合活性を評価したところ、いずれのサンプルでも結合活性が認められた。
Figure 2005162668
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《実施例5:TGF−β活性の評価(2):ミンク肺上皮細胞Mv1Lu増殖に対する作用》
呉羽化学工業株式会社・生物医学研究所において50mL容の細胞培養用フラスコ(3014;Becton-Dickinson社)中で継代維持しているミンク肺上皮細胞株Mv1Lu[大日本製薬株式会社ラボラトリープロダクツ部(大阪)より入手]を、0.125%トリプシン溶液(シグマ社)で数分間処理することによりフラスコ器壁から遊離させた。細胞洗浄後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)含有DMEM(Dulbecco’s Modification of Eagle’s Medium)培地に懸濁し、2×10個/mLに調整した後、0.1mLずつ、96ウエルの細胞培養用平底マイクロプレート(3072;Becton-Dickinson社)の各ウエルに分注した後、37℃の5%炭酸ガス培養容器内で24時間培養した。
一方、別個に調製したTGF−β溶液に、サンプル溶液又は脂肪酸の2%BSA混和液を所定の比率で混合し、25℃で3時間反応させた。反応溶液を10%牛胎児血清含有DMEM培地0.05mLで所定濃度に希釈し、上記プレートのウエルに0.1mL量加え、24時間培養した。なお、培養終了6時間前に、WST−1試薬(和光純薬)100μmL/ウエルを添加した。培養終了後、マイクロプレートリーダー・モデル3550(BIO-RAD社)を用い、各ウエルの450nmと630nmの吸光度を測定し、その差を細胞増殖の指標とした。
[細胞増殖の指標]=[OD450−OD630
結果を表6〜表8に示す。FERM BP−7304株のChMe抽出画分(非水層部、サンプル溶液1又は1’)又はリノール酸若しくはオレイン酸は、ウシ血清アルブミン存在下でTGF−βのMv1Lu細胞増殖抑制作用を減弱することが示された。
Figure 2005162668
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《実施例6:TGF−β活性の評価(3):ヒト末梢血単核球とヒト大腸癌細胞との混合培養反応に対する作用》
健常ヒトから得た新鮮静脈血をヘパリン処理容器に入れ、カルシウム及びマグネシウムを欠いたハンクス平衡塩類溶液(CMF−HBSS)を2倍量加えて希釈した。15mL容遠心分離管に、フィコール溶液(Ficoll-PaqueTM PLUS;Amersham Biotech Pharmacia AB, Uppsala, Sweden)溶液4mLを入れ、その上に希釈血液8mLを、境界面を崩さないようにそっと重ねた。次いで、850×gで室温にて20分間遠心分離した後、血漿層とフィコール溶液層との間に存在する末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cells;以下、PBMCと称する)を、パスツール・ピペットを用いて回収した。回収PBMCを別の15mL容遠心分離管に移し、CMF−HBSS約10mLを加え、遠心分離を行った。上清液を吸引して捨てた後、新たにCMF−HBSS約10mLを加え、よく混和して遠心分離した。この洗浄操作を更に1回繰り返した。得られたPBMCに10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)、5×10−5mol/Lの2−メルカプトエタノール、20mmol/Lの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、及び30μg/mLゲンタマイシンをそれぞれ添加したRPMI1640培地を加え、細胞濃度を5×10個/mLに調整し、PBMC懸濁液として用いた。
刺激細胞懸濁液は、以下の手順で調製した。すなわち、呉羽化学工業株式会社・生物医学研究所において50mL容の細胞培養用フラスコ(3014;Becton-Dickinson社)中で継代維持しているヒト大腸癌細胞株colo205[大日本製薬株式会社ラボラトリープロダクツ部(大阪)より入手]を、RPMI1640培地中に5×10個/mLになるように懸濁し、マイトマイシンC(シグマ)を50μg/mLになるように加え、5%炭酸ガス培養器中で30分間反応させた後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地で細胞を回洗浄し、細胞濃度を1×10個/mLに調整した。
一方、別個に調製したTGF−β溶液に、サンプル溶液又は脂肪酸の2%BSA混和液を所定の比率で混合し、25℃で3時間反応させた。反応溶液を10%牛胎児血清含有DMEM培地0.05mLで所定濃度に希釈し、上記プレートのウエルに加えて培養した。
混合リンパ球・腫瘍細胞反応(Mixed Lymphocyte Tumor cell Reaction)は、以下の条件で検討した[Matsunaga K, Hosokawa A, Oohara M, Sugita N, Harada M, Nomoto K: Immunopharmacology, 40: 219, 1998]。すなわち、96ウエルの細胞培養用平底マイクロプレート(Falcon 3072;Becton Dickinson Labware、米国)に、前記PBMC懸濁液及び/又は刺激細胞懸濁液を0.1mLずつ加え、37℃の5%炭酸ガス培養器中で3日間培養し、細胞をフィルター上に回収した。なお、PBMC及び刺激細胞の両方を加える場合には、両者の細胞比を12.5(PBMC数/刺激細胞数)とした。本系においては、前記PBMCが、混合リンパ球・腫瘍細胞反応における「リンパ球」として機能し、前記刺激細胞が「腫瘍細胞」として機能する。
培養終了の24時間前に、プレートの各ウエルにH−チミジン(アマ−シャムジャパン)37kBqを加えた。回収した細胞を5%トリクロロ酢酸で充分に洗浄した後、乾燥し、液体用バイアルに入れ、液体シンチレーションカウンターで、放射活性を測定した。
結果を表9に示す。混合リンパ球・腫瘍細胞反応はTGF−βの添加により抑制され、H−チミジン取込み量は減少するが、サンプル溶液群、リノール酸添加群、又はオレイン酸添加群ではそれが明らかに防止された。なお、パルミチン酸又はステアリン酸添加群では、H−チミジン取込み量はコントロール群と同程度であった。
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《実施例7:TGF−β活性の評価(4):ラット腎線維様細胞NRK−49Fのコラーゲン合成に対する作用》
コラーゲン産生アッセイはRobertsらにより報告されている方法に準じて実施した[Roberts AB, Sporn MB, Assoian RK, Smith JM, Roche NS, Wakefield LM, Heine UI, Liotta LA, Kehtl JH, Fauci AS: Proc. Natl Acad. Sci. USA, 83: 4167, 1986]。
呉羽化学工業株式会社・生物医学研究所において50mL容の細胞培養用フラスコ(3014;Becton-Dickinson社)中で継代維持しているラット腎線維様細胞NRK−49F[大日本製薬株式会社ラボラトリープロダクツ部(大阪)より入手]を、0.125%トリプシン溶液(シグマ社)で数分間処理することによりフラスコ器壁から遊離させた。細胞洗浄後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)含有DMEM(Dulbecco’s Modification of Eagle’s Medium)培地に懸濁し、1×10個/mLに調整した後、1.0mLずつ、24ウエルの細胞培養用平底マイクロプレート(Costar 3524;Costar社)の各ウエルに分注した。37℃の5%炭酸ガス培養器中にて培養し、細胞がコンフルエント(confluent)に達した後、培地をアッセイ用培地[rhTGF−β、2%血漿、グルタミン、及び20mmol/L Hepes緩衝液を含むDMEM培地]に置換した。
一方、別個に調製したTGF−β溶液に、サンプル溶液又は脂肪酸の2%BSA混和液を所定の比率で混合し、25℃で3時間反応させた。反応溶液を培地で所定濃度に希釈、上記プレートのウエルに加えて培養した。
16時間培養の後、0.25mmol/Lアスコルビン酸を含むアッセイ培地に置換し、15分後に、L−[2,3−H]−プロリン222kBqを加え、更に3時間培養した。培養上清を回収し、細菌由来コラゲナーゼ(和光純薬)で処置し、次いで50%三塩化酢酸を添加して得られる沈殿を回収し、その放射能を液体シンチレーションカウンターを用いて測定した。コラゲナーゼ処理により減少した放射能により、コラーゲン合成量を算出した。
細胞のアミノ酸取り込みに関しては、L−[2,3−H]−プロリンの代わりに、α−1−[14C]−メチルアミノイソ酪酸(NEN Research Products社)を、10mmol/Lプロリン存在下、培養系に添加した。
結果を表10に示す。培養系にTGF−βを添加することにより、コラーゲン及び非コラーゲン合成は明らかに促進されたが、サンプル溶液群、リノール酸添加群、又はオレイン酸添加群ではそれが防止された。なお、パルミチン酸又はステアリン酸添加群では、コラーゲン及び非コラーゲン合成量はコントロール群と同程度であった。
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《実施例8:TGF−β活性の評価(5):ヒト・パピローマウイルス・タイプ16・ゲノム固定化正常ヒト角化細胞PHK16−0bのメタロプロテイナーゼ産生に対する作用》
メタロプロテイナーゼ・アッセイは、Agarwalらにより報告されている方法に準じて実施した[Agarwal C, Hembree JR, Rorke EA, Eckert RL: Cancer Res., 54: 943, 1994]。すなわち、50mL容の細胞培養用フラスコ(3014;Becton-Dickinson社)中のMCDB153培地[5μg/mLインスリン、0.5μg/mLヒドロコルチゾン、10μg/mLトランスフェリン、0.1mmol/Lホスホリルエタノールアミン、0.1mmol/Lエタノールアミン、10ng/mL上皮性増殖因子(epidermal growth factor;以下、EGFと称する)、及び0.03mmol/L Ca2+を添加]で継代維持しているヒト・パピローマウイルス・タイプ16・ゲノム固定化正常ヒト角化細胞PHK16−0b(以下、PHK16と称する)を、0.1%トリプシン溶液(シグマ社)と0.01%EDTA溶液との混合液で数分間処理することによりフラスコ器壁から遊離させた。細胞洗浄後、培地[DMEM(Dulbecco’s Modification of Eagle’s Medium)培地とF12培地とを3:1の比率で混合し、2mmol/L L−グルタミン、非必須アミノ酸、0.1%BSA、1.8×10−4mol/Lアデニン、5μg/mLトランスフェリン、2nmol/L T、50μg/mLアスコルビン酸、EGF、100units/mLペニシリン、100units/mLストレプトマイシン、及び50units/mLゲンタマイシンを添加]に懸濁し、2×10個/mLに調整した後、50mL容の細胞培養用フラスコに5mLずつ分注し、37℃の5%炭酸ガス培養容器内で24時間培養した。
一方、別個調製のTGF−β溶液に、サンプル溶液又は脂肪酸の2%BSA混和液を所定の比率で混合し、25℃で3時間反応させた。次いで、この反応溶液に遺伝子組換えヒトEGFを10ng/mL加え、培地で所定濃度に希釈した後、上記フラスコに加え、更に72時間培養した。
培養終了後、細胞は、0.1%トリプシン溶液(シグマ社)と0.01%EDTA溶液含有の等張緩衝液で数分間処理することによりフラスコ器壁から遊離させ、4%ホルムアルデヒド含有等張緩衝液で固定した後、一部を採取して細胞数を計数した。一方、培養上清は、p−アミノ−酢酸フェニル水銀(シグマ社)を1mmol/L濃度になるように加え、22℃で30分間反応させた後、2倍濃度のLammli緩衝液(還元剤非含)と1:1の割合で混合し、室温で更に20分間反応させた。細胞濃度を一定にして、1%ゼラチンを含むSDSアクリルアミドゲル電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルを2.5%トライトン(Triton)X100を含む緩衝液で30分間、2回洗浄し、5mmol/L CaClと0.2%アジ化ナトリウムを含む50mmol/L Tris塩酸緩衝液(pH8.0)中に5分間リンスする操作を3回繰り返した後、37℃で一晩おいた。ゲルは、酢酸:イソプロパノール:水(1:3:6)混液中で0.5%コマジー・ブルー染色した。デンシトメーターを用いて、各サンプルレーンのゼラチン消失率を記録し、メタロプロテイナーゼ95kD及び72kD活性の数値化(−、±、+、++、+++)を行なった。
結果を表11に示す。培養系にTGF−βを添加することにより、メタロプロテイナーゼ産生は明らかに促進されるが、サンプル溶液群、リノール酸添加群、又はオレイン酸添加群ではそれが抑制された。なお、パルミチン酸又はステアリン酸添加群の産生量はコントロール群と同程度であった。
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本発明のTGF−β結合剤は、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防に適用することができる。

Claims (8)

  1. (1)リノール酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、(2)オレイン酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、又は(3)マツタケの有機溶媒抽出画分を有効成分として含有することを特徴とする、TGF−β結合剤。
  2. 前記有機溶媒が、脂溶性有機溶媒である、請求項1に記載のTGF−β結合剤。
  3. 親脂溶性高分子物質を有効成分として更に含有する、請求項1又は2に記載のTGF−β結合剤。
  4. 前記親脂溶性高分子物質が、タンパク質又は多糖類である、請求項3に記載のTGF−β結合剤。
  5. (1)リノール酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、(2)オレイン酸若しくはその塩若しくはプロドラッグ、又は(3)マツタケの有機溶媒抽出画分を有効成分として含有することを特徴とする、TGF−βの過剰分泌に関連する疾病の治療又は予防剤。
  6. 親脂溶性高分子物質を有効成分として更に含有する、請求項5に記載の治療又は予防剤。
  7. TGF−βの過剰分泌に関連する疾病が、線維化に伴う疾患、慢性疲労性症候群、転移性癌、又は進行癌である、請求項5又は6に記載の治療又は予防剤。
  8. 線維化に伴う疾患が、肝疾患、心臓病、高血圧、又は慢性膵炎である、請求項7に記載の治療又は予防剤。
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