JP2007197409A - 抗癌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有し、癌治療に有効な抗癌剤を提供する。
【解決手段】アスパラチンを有効成分として含有し、且つ癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有する抗癌剤。
【選択図】なし
【解決手段】アスパラチンを有効成分として含有し、且つ癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有する抗癌剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えばアスパラチンを有効成分として含有する抗癌剤に関する。
現在の我が国の死因の第1位は癌であり、毎年多くの患者が発生している。そのため、癌制圧は今日の医療における最大の課題である。
現在の癌に対する外科的治療技術はめざましいものがあり、原発巣の術的切除治療に関してはほぼ完成された域に達したと評価できる。一方、臨床上の術後の癌の再発や転移増殖といった課題に対してはまだ解決すべき課題は多い。特に遠隔転移増殖は癌患者を死に至らせる最大の原因となっている。癌の転移増殖とは、原発巣から癌細胞が離脱し、脈管系を経て他の部位で癌が増殖することである。脈管系で拡散された癌細胞が広範囲に増殖する状況では、いかに進歩した術的治療であってもこれを完全に取り除くことは不可能に近い。そのために、このような状況下での癌治療方法として、化学療法がある。
現在、化学療法に用いられる抗癌剤は、癌細胞増殖を抑制するものが主流であり、従来のアルキル剤、代謝拮抗剤や抗生物質に加えて、ビシバニールやクレスチンを初めとする微生物由来の生体反応修飾物質が挙げられる。また、医薬品ではないが、機能性素材として活性化糖類関連化合物(Active Hexose Correlated Compound:AHCC)といった担子菌培養抽出物も代替医療の中で利用されている。
従来のアルキル化剤を初めとする化合物は、本来、細胞毒性を利用するものであり、少なからぬ副作用のために使用がかなり限定されていた。
一方、ビシバニールなどの生体反応修飾物質やAHCCなどは、生体の免疫機能を高め、癌細胞を駆逐するという作用を有し、副作用が少ない。しかしながら、これら物質の癌に対する効果の面で限界があることが明らかになってきた。
また、インターフェロン、インターロイキン-2やTNFなどの高等動物由来の生理活性タンパク質に癌細胞増殖抑制剤としての効果が期待されていた。しかしながら、最近では、これら生理活性タンパク質は、予想以上に作用スペクトルが広範囲であるため、副作用の懸念が生じている。
一方、癌細胞が脈管系を経て他組織・臓器へ転移することを抑制しようとする研究も現在活発に展開されてきている。癌細胞が原発巣から脈管系へ侵入するときと脈管系から他組織・臓器へ侵入する過程は「浸潤」と呼ばれ、癌転移における重要かつ特徴的段階とされている。浸潤した細胞は癌局部に血管を新生しつつ、転移先で再増殖し、転移を成立させる。
ところで、ルイボスは、原産地が南アフリカで、学名アスパラサス・リネアリスと呼ばれるマメ科植物である。この葉を原料とし、発酵してできるルイボス茶は、欧米では美容と健康のために飲用されている。ルイボス茶の成分は、鉄、カルシウム、銅、亜鉛、マンガン等のミネラルや、抗酸化作用や活性酸素除去作用があるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様物質といわれるフラボノイドである。ルイボス茶は、炎症や細胞の老化防止に効果があり、また、肌荒れ、口内炎、アトピー性皮膚炎、糖尿病、高血圧の改善などに効果があると報告されている。また、このルイボス茶抽出物には、制癌・抗癌作用があることが知られている(特許文献1)。
また、最近、非発酵型ルイボス茶が開発された。この非発酵型ルイボス茶は、従来の発酵型ルイボス茶よりも抗酸化力が強く、特異的な成分としてアスパラチンを多く含むことが報告されている(非特許文献1)。
一方、特許文献2には、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様活性及び/又は抗酸化能(スカベンジャー機能を含む)を有する物質、フェノール化合物、及び、糖タンパク質、糖化フラボノイド等の糖化合物を含有してなる制癌・抗癌剤が開示されている。特許文献2には、糖化合物としてアスパラチンが開示されている。
しかしながら、従来、アスパラチンが単独で癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有することは知られていなかった。
上述したように、癌は国内の死因のトップを占め、その危険性は癌細胞の浸潤・転移能に依存している場合が多い。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、例えば癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有する物質を見出し、癌治療に有効な抗癌剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、非発酵型ルイボス茶の特異な成分であるアスパラチンが癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)アスパラチンを有効成分として含有し、且つ癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有する抗癌剤。
(2)上記アスパラチンが非発酵型ルイボス茶より精製されたものであることを特徴とする、(1)記載の抗癌剤。
(3)上記癌が肝癌であることを特徴とする、(1)記載の抗癌剤。
(1)アスパラチンを有効成分として含有し、且つ癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有する抗癌剤。
(2)上記アスパラチンが非発酵型ルイボス茶より精製されたものであることを特徴とする、(1)記載の抗癌剤。
(3)上記癌が肝癌であることを特徴とする、(1)記載の抗癌剤。
本発明によれば、アスパラチンを有効成分とする、癌細胞増殖抑制及び癌細胞浸潤抑制に有用な抗癌剤が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る抗癌剤は、アスパラチンを有効成分とするものである。本発明に係る抗癌剤をヒト等の動物に投与することにより、癌細胞増殖及び癌細胞浸潤を抑制することができる。
本発明に係る抗癌剤は、アスパラチンを有効成分とするものである。本発明に係る抗癌剤をヒト等の動物に投与することにより、癌細胞増殖及び癌細胞浸潤を抑制することができる。
ここで、癌細胞増殖抑制とは、癌細胞が有する増殖能を抑制又は阻止することを意味する。一方、癌細胞浸潤抑制とは、癌細胞の浸潤を抑制又は阻止することを意味する。
アスパラチンは、フラボノイドの一種で、下記の一般式Iで示される化合物である。
アスパラチンは、フラボノイドの一種で、下記の一般式Iで示される化合物である。
アスパラチンは、例えば、非発酵型ルイボス茶から精製できる。非発酵型ルイボス茶とは、従来のルイボス茶が発酵とよばれる酸化プロセスを経て製造されるのに対し、この酸化プロセス、つまり発酵を経ないで製造される茶を指す。非発酵型ルイボス茶は、アスパラチンを1.5%以上含有していることを特徴とする。また、非発酵型ルイボス茶は、グリーンルイボス茶として市販されている。
非発酵型ルイボス茶からのアスパラチンの精製では、アスパラチンが287nmに特異的な極大吸収を示すので、これを指標として、例えばHPLCで分析し、精製することができる。例えば、非発酵型ルイボス茶からアスパラチンをエタノールにてソックスレー抽出し、濃縮する。次いで、得られた濃縮物にヘキサンを添加し、ヘキサン層と含水エタノール層を形成するまで脱イオン水を攪拌しながら添加する。含水エタノール層を濃縮し、脱エタノール後、吸着樹脂にアスパラチンを吸着させる。アスパラチンを吸着した吸着樹脂を脱イオン水で洗浄した後、吸着したアスパラチンをエタノールで溶出させ、これをさらにシリカゲル、HP20SS吸着樹脂、ウィンタリングなどを用いて精製し、高純度(例えば、純度92.0%)のアスパラチンを得ることができる。
本発明に係る抗癌剤が対象とする癌としては、特に限定されるものではないが、例えば、肝癌、肺癌、神経膠芽腫、骨髄腫、胃癌、膵臓癌、脳腫瘍、大腸癌、腎癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌及び白血病等が挙げられる。
本発明に係る抗癌剤の剤形としては、特に限定されるものではないが、例えば、錠剤、粉剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の非経口剤が挙げられる。
また、本発明に係る抗癌剤は、アスパラチン以外に、他の医薬用成分を含有することができる。このような医薬用成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤及び香料が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖及びマクロゴールが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム及びトラガントが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウロマクロゴールが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油及びポリエチレングリコールが挙げられる。
流動性促進剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム及びケイ酸マグネシウムが挙げられる。
また、本発明に係る抗癌剤の剤形が、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤又はエリキシル剤である場合には、矯味矯臭剤、着色剤等を含有してもよい。
一方、本発明に係る抗癌剤におけるアスパラチンの含有量は、投与目的、投与経路、剤形等によって適宜変更し得る。また、本発明に係る抗癌剤の投与回数、投与量及び投与期間は、特に限定されるものではなく、例えば、癌の種類、患者の年齢、性別、体重又は症状の程度、あるいは投与方法などに応じて適宜決定することができる。
本発明に係る抗癌剤の投与経路は、剤形や使用目的に応じて、適宜決定することができるが、例えば、経口投与及び非経口投与(腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与、鼻内投与、舌下投与等)が挙げられる。
本発明に係る抗癌剤は、例えば、以下のようにin vitro又はex vivoで薬理評価を行うことができる。
in vitroでの本発明に係る抗癌剤の薬理評価としては、例えば、ラット腹水肝癌AH109A細胞等の癌細胞系を用いた方法が挙げられる。
癌細胞増殖抑制の評価方法としては、例えばトリチウムラベルしたチミジンの取り込みを測定する方法が挙げられる。具体的には、癌細胞に、本発明に係る抗癌剤を作用又は接触させる。次いで、作用又は接触させた細胞を培養し、さらにトリチウムラベルしたチミジン(3H-TdR)と共に培養した後、細胞が取り込んだ3H-TdRからの放射能を液体シンチレーションカウンターによって測定することにより、癌細胞の増殖能を測定することができる。
また、癌細胞浸潤抑制の評価方法としては、例えば、Akedoら(Akedo H.ら, 「Cancer Research」, 1986年, 第46巻, p.2416-2422)によるin vitro浸潤分析法を一部改変した方法(Miura Y.ら, 「Cytotechnology」, 1997年, 第23巻, p.127-132)が挙げられる。具体的には、Donryu系雄ラット腸間膜から中皮細胞を遊離させ、遊離した腸間膜由来中皮細胞(M細胞)をコンフルエントの単層をなすまで培養する。次いで、培地を本発明に係る抗癌剤を含有する培地に置換し、癌細胞(例えば、AH109A細胞)をM細胞の上に重層させることで、癌細胞に本発明に係る抗癌剤を作用又は接触させながら培養する。培養後、細胞をグルタルアルデヒド/PBS(-)で固定し、M細胞から成る中皮細胞層下にもぐりこんだ癌細胞数をカウントすることで、癌細胞の浸潤能を測定する。
上述のようにして、本発明に係る抗癌剤に作用又は接触させていない癌細胞に比べて、本発明に係る抗癌剤に作用又は接触させた癌細胞において、増殖又は浸潤が、統計的に有意に低下した場合、in vitroレベルで本発明に係る抗癌剤は癌細胞増殖又は癌細胞浸潤を抑制することができたと判断することができる。
一方、ex vivoにおける本発明に係る抗癌剤の薬理評価としては、例えば、ラット等のげっ歯類に本発明に係る抗癌剤を経口投与した後、血液を採取し、採取した血液より血清を得る。次いで、上述したin vitroの本発明に係る抗癌剤の薬理評価方法に準じて、得られた血清による癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を評価する。このようにして、本発明に係る抗癌剤が血清中に移行し、生体内でも充分に作用しうることを評価することができる。
以上に説明した本発明に係る抗癌剤によれば、癌細胞増殖及び癌細胞浸潤を同時に抑制することができる。本発明に係る抗癌剤は、非発酵型ルイボス茶に由来するアスパラチン等を有効成分とするものであり、副作用はほとんど又は全くないものと考えられる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕非発酵型ルイボス茶からのアスパラチンの精製
本実施例では、非発酵型ルイボス茶より、アスパラチンを精製した。アスパラチンは、287nmに特異的な極大吸収を示すので、これを指標としてHPLCで分析し、精製を行った。
本実施例では、非発酵型ルイボス茶より、アスパラチンを精製した。アスパラチンは、287nmに特異的な極大吸収を示すので、これを指標としてHPLCで分析し、精製を行った。
まず、南アフリカ産の非発酵型ルイボス茶からアスパラチンをエタノールにてソックスレー抽出し、濃縮した。次いで、得られた濃縮物にヘキサンを添加し、ヘキサン層と含水エタノール層を形成するまで脱イオン水を攪拌しながら添加した。
得られた含水エタノール層を濃縮し、脱エタノール後、セパビーズSP850吸着樹脂(三菱化学社製)にアスパラチンを吸着させた。アスパラチンを吸着した吸着樹脂を脱イオン水で洗浄した後、吸着したアスパラチンをエタノールで溶出させ、これをさらにシリカゲル、HP20SS吸着樹脂(三菱化学社製)及びウィンタリングなどを用いて精製し、純度92.0%のアスパラチンを得た。
〔実施例2〕アスパラチンの癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用の検討
本実施例では、ラット腹水肝癌AH109A細胞を用いて、実施例1で得られたアスパラチンの癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用の検討を行った。
(1) 培地の調製
培地は基本的に10%ウシ血清含有MEMを用いた。実施例1で得られたアスパラチンをエタノール(和光純薬)に溶解し、培地に添加した際、培地中のエタノール最終濃度が0.2%となるようにした。また、培地におけるアスパラチンの濃度が、0、12.5、25、50、100、200μMとなるように、アスパラチンを培地に添加した。
本実施例では、ラット腹水肝癌AH109A細胞を用いて、実施例1で得られたアスパラチンの癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用の検討を行った。
(1) 培地の調製
培地は基本的に10%ウシ血清含有MEMを用いた。実施例1で得られたアスパラチンをエタノール(和光純薬)に溶解し、培地に添加した際、培地中のエタノール最終濃度が0.2%となるようにした。また、培地におけるアスパラチンの濃度が、0、12.5、25、50、100、200μMとなるように、アスパラチンを培地に添加した。
(2) アスパラチンの癌細胞増殖抑制作用の検討
AH109A細胞の増殖能は、トリチウムラベルしたチミジンの核酸画分への取り込みを測定することによって評価した。
AH109A細胞の増殖能は、トリチウムラベルしたチミジンの核酸画分への取り込みを測定することによって評価した。
まず、組織培養用48穴平底プレート(NUNCTM)にAH109A細胞を1穴当たり2.5×104個となるように播種し、上記(1)記載のアスパラチンを含有する培地を1穴当たり400μl加えて、CO2インキュベーターで37℃、20時間培養した。
培養後、10μCi/mlとなるように10%ウシ血清含有MEMで希釈したトリチウム-チミジン(3H-TdR)を1穴当たり15μl添加し、1穴当たり0.15μCiとして、更に4時間培養した。
3H-TdRとの培養後、1Mアスコルビン酸溶液50μl、更にPBS(-)500μlで平底プレートの各穴を2回洗浄しながら、浮遊性細胞を回収し、遠心により細胞を沈殿させた。また、平底プレートの各穴を2回、10%トリクロロ酢酸(TCA)500μlで洗浄し、この洗浄液1mlで沈殿した細胞を懸濁させた。当該懸濁液を4℃、3000rpmで20分間遠心した後、上清を除去し、冷酸不溶性画分を得た。冷酸不溶性画分は0.1%SDS含有0.2N NaOHで可溶化し、NTシンチレーターを5ml添加し、更に1N塩酸150μlを加えよく懸濁させた後、液体シンチレーションカウンターにてトリチウム取り込みによる放射能を測定し、AH109A細胞の増殖能の指標とした。
結果を図1に示す。図1は、アスパラチン非存在下(0μm)で培養したAH109A細胞の増殖能(100%)に対する各濃度のアスパラチンを有する培地で培養したAH109A細胞の相対増殖率(%)を示す。値は、各濃度のアスパラチンを有する培地を含む6ウェルの平均±標準誤差(SEM)で示す。なお、図1中、a〜fの文字は、Turkey-Kramerによる多重比較検定においてP<0.05で異なる文字間で有意差を認めることを意味する。
図1から判るように、アスパラチンは培地中濃度12.5μMから200μMまで濃度依存的にAH109A細胞の増殖を抑制することを示した。
図1から判るように、アスパラチンは培地中濃度12.5μMから200μMまで濃度依存的にAH109A細胞の増殖を抑制することを示した。
(3) アスパラチンの癌細胞浸潤抑制作用の検討
AH109A細胞の浸潤能は、Akedoら(Akedo H.ら, 「Cancer Research」, 1986年, 第46巻, p.2416-2422)によるin vitro浸潤分析法を一部改変(Miura Y.ら, 「Cytotechnology」, 1997年, 第23巻, p.127-132)して実施した。
AH109A細胞の浸潤能は、Akedoら(Akedo H.ら, 「Cancer Research」, 1986年, 第46巻, p.2416-2422)によるin vitro浸潤分析法を一部改変(Miura Y.ら, 「Cytotechnology」, 1997年, 第23巻, p.127-132)して実施した。
まずDonryu系雄ラット腸間膜から中皮細胞を遊離させた。2mm四方のグリッド付き6cm培養皿に、腸間膜由来中皮細胞(M細胞)を1.3〜2.0×105個となるように播種し、10%ウシ血清含有MEMでコンフルエントの単層をなすまで培養した。
M細胞の培養後、上記(1)で調製した種々の濃度にアスパラチンを含有した培地3mlに置換し、AH109A細胞を2.4×105個となるようにM細胞の上に重層し、37℃で24時間培養した。PBS(-)洗浄後、細胞をグルタルアルデヒド/PBS(-)で固定した。
M細胞から成る中皮細胞層下にもぐりこんだAH109A細胞の細胞数を、位相差顕微鏡下で2mm四方の区画を10ヶ所カウントし、1cm2あたりに換算した値をAH109A細胞の浸潤能の指標とした。
結果を図2に示す。図2は、各濃度のアスパラチンを有する培地中のM細胞上に重層したAH109A細胞の1cm2当たりの浸潤細胞数を示す。値は、各濃度のアスパラチンを有する培地における位相差顕微鏡下10ヶ所の平均±標準誤差(SEM)で示す。なお、図2中、a〜cの文字は、Turkey-Kramerによる多重比較検定においてP<0.05で異なる文字間で有意差を認めることを意味する。
図2から判るように、アスパラチンは濃度依存的にAH109A細胞の浸潤を抑制した。
図2から判るように、アスパラチンは濃度依存的にAH109A細胞の浸潤を抑制した。
〔実施例3〕アスパラチン投与後のラット由来血清の癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用の検討
本実施例では、実施例1で得られたアスパラチンの経口投与後のラット由来血清の癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用の検討を行った。
本実施例では、実施例1で得られたアスパラチンの経口投与後のラット由来血清の癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用の検討を行った。
5週齢のDonryu系雄ラットを固型飼料CE-2で1週間、次いで20%カゼイン食を5日間摂取させ飼育した。ラットを16時間絶食させた後、平均体重が等しくなるように7群に分けた。
ゾンデを用いて、実施例1で得られたアスパラチンを10mg/100g体重で各ラットに経口投与し、0、1、2、3、6、12、24時間後に血液を採取した。
採取した血液を約2時間室温で放置した後、4℃、2270rpmで15分間遠心分離した。再度、上清のみを同様に遠心分離し、得られた上清を56℃、30分間水浴中でインキュベーションして非働化し、0.22μmメンブレンフィルターでろ過滅菌して調製し、ラット血清とした。
この得られたラット血清について、基本的に実施例2と同様の方法でAH109A細胞に対する増殖抑制作用および浸潤抑制作用を調べた。培地は、10%ウシ血清の代わりに、得られたラット血清10%を含有するMEMを用いた。
結果を図3及び4に示す。図3は、アスパラチン経口投与後0時間に採取したラット血清と培養したAH109A細胞の増殖能(100%)に対するアスパラチン経口投与後に経時的に採取したラット血清と培養したAH109A細胞の相対増殖率(%)を示す。値は、アスパラチン経口投与後に経時的に採取したラット血清を含む6ウェルの平均±標準誤差(SEM)で示す。なお、図3中、a〜dの文字は、Turkey-Kramerによる多重比較検定においてP<0.05で異なる文字間で有意差を認めることを意味する。
一方、図4は、アスパラチン経口投与後に経時的に採取したラット血清を有する培地中のM細胞上に重層したAH109A細胞の1cm2当たりの浸潤細胞数を示す。値は、アスパラチン経口投与後に経時的に採取したラット血清を有する培地における位相差顕微鏡下10ヶ所の平均±標準誤差(SEM)で示す。なお、図4中、a〜cの文字は、Turkey-Kramerによる多重比較検定においてP<0.05で異なる文字間で有意差を認めることを意味する。
図3及び4から判るように、アスパラチンの経口投与の2時間後以上で得られたラット血清は、AH109A細胞に対して増殖抑制作用及び浸潤抑制作用を有することが確認された。アスパラチンは、経口投与後、何らかの形で血清中に移行し、生体内でも充分に作用しうることを示した。
Claims (3)
- アスパラチンを有効成分として含有し、且つ癌細胞増殖抑制作用及び癌細胞浸潤抑制作用を有する抗癌剤。
- 上記アスパラチンが非発酵型ルイボス茶より精製されたものであることを特徴とする、請求項1記載の抗癌剤。
- 上記癌が肝癌であることを特徴とする、請求項1記載の抗癌剤。
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JP2013511572A (ja) * | 2009-11-24 | 2013-04-04 | サウス・アフリカン・メディカル・リサーチ・カウンシル | アスパラチン及びその類似体の合成方法 |
JP2018002729A (ja) * | 2011-05-10 | 2018-01-11 | 丸善製薬株式会社 | Tie2活性化剤、血管新生抑制剤、血管の成熟化剤、血管の正常化剤、及び血管の安定化剤、並びに医薬品組成物、及び飲食品 |
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2006
- 2006-01-30 JP JP2006021070A patent/JP2007197409A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013511572A (ja) * | 2009-11-24 | 2013-04-04 | サウス・アフリカン・メディカル・リサーチ・カウンシル | アスパラチン及びその類似体の合成方法 |
US9181293B2 (en) | 2009-11-24 | 2015-11-10 | South African Medical Research Council | Method for the synthesis of aspalathin and analogues thereof |
JP2018002729A (ja) * | 2011-05-10 | 2018-01-11 | 丸善製薬株式会社 | Tie2活性化剤、血管新生抑制剤、血管の成熟化剤、血管の正常化剤、及び血管の安定化剤、並びに医薬品組成物、及び飲食品 |
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