JP4649617B2 - 医薬およびこれに使用する抽出物 - Google Patents

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Description

本発明は医薬に関し、更に詳細には、ベニバナボロギクの抽出物を有効成分とする成人T細胞白血病治療剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、前大腸癌病変予防剤等の医薬およびこれに使用する抽出物に関する。
沖縄諸島は、海洋性の亜熱帯気候に属し、熱帯地方の北限、温帯地方の南限として多種多様な生物が分布している。そして、この多種多様のバイオ資源中には、種々の薬効や、機能性を有するものが存在すると予想され、沖縄特有の生物資源も報告されているが、未だ十分に研究されているとは言い難かった。
従って、沖縄に生育する生物中から優れた薬効や機能性を有するものを見出し、利用することが求められており、このものが含む有効成分を取りだして医薬あるいは機能性食品等として利用することが本発明の課題である。
本発明者らは、沖縄に広く自生するベニバナボロギク(Crassocephalum crepidioides S. Moore)に着目し、このものの有する薬効ないし機能性について検討を行っていたところ、このものは種々の疾患の疾患に対して有効な成分を含むことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、ベニバナボロギクの抽出物を有効成分とする医薬である。
また本発明は、ベニバナボロギク全草を、80℃以上の熱水で抽出することにより得られるベニバナボロギクの抽出物である。
本発明において使用されるベニバナボロギクの抽出物は、ベニバナボロギクを親水性溶媒、例えば、水やエタノール、メタノール等の低級アルコールまたはこれらの混合溶媒等で抽出することにより得られるものである。
この抽出は、好ましくは、ベニバナボロギクの全草(地上部)を原料とし、これを乾燥後、細断等を行ない、加熱した前記親水性溶媒に浸漬することにより行うことができる。この際の親水性溶媒の量は、原料1kgに対し、1ないし20L程度とすることが好ましい。また、抽出時間は、50分ないし5時間程度、好ましくは10分ないし1時間程度である。
このようにして得られるベニバナボロギクの抽出物(以下、「ベニバナボロギク抽出物」という)は、遠心分離やろ過により不溶物を除去した液状物として、あるいはこの液状物を更に凍結乾燥等に付した乾燥物として利用することができる。
上記の如くして得られるベニバナボロギク抽出物は、主に以下に示すような薬理活性を有する。
(1)抗成人T細胞白血病(ATL)作用:
ATLはレトロウイルスHTLV−1感染を原因とするT細胞性白血病である。上記ベニバナボロギク抽出物のリンパ球の生存率に及ぼす影響を検討したところ、静止期リンパ球に比べて活性化リンパ球の生存率を低下させることがわかった。そこで、活性化リンパ球の形質を有するATL細胞やHTLV−1感染T細胞株の生存率に及ぼす影響を調べた結果、ベニバナボロギク抽出物はこれら細胞の生存率を静止期リンパ球や非感染細胞株に比べて有意に低下させた。また、細胞生存率の低下はアポトーシスの誘導であった。
このATLは、九州・沖縄・四国に多発する血液腫瘍であり、本疾患患者においては、レトロウイルスの1種であるヒトT細胞白血病ウイルスI型(以下、HTLV−1)に対する抗体反応が陽性であり、両者の関連性が確認されている。この疾患は、免疫低下に伴う感染症や高カルシウム血症のため予後は悪く、急性型やリンパ腫型では1年前後で死亡する重篤な疾患であり、以前より臨床上有用性の高い治療薬が求められていたが、この疾患に対して臨床上有効性が高く、かつ安全性にも優れた薬剤がないのが現状であった。これに対し、ベニバナボロギクの抽出物は、上記のようにATL細胞やHTLV−1感染T細胞株の生存率を有意に低下させるので、臨床上有用なATL治療薬として利用可能なものである。
(2)抗単純ヘルペスウイルス(HSV)作用:
ウイルス感染細胞としてVero細胞を用い、HSV−1(HF株)とHSV−2(Savage株)の増殖に及ぼすベニバナボロギク抽出物の影響を、感染中和試験とプラーク形成試験で調べた。この結果、ベニバナボロギク抽出物は、HSV−1およびHSV−2に対する中和活性を有していた。また、ウイルス感染72時間後のプラーク形成による検討では、ベニバナボロギク抽出物はウイルスの吸着および侵入段階を抑制した。ただし、中和およびプラーク形成抑制効果はHSV−1よりもHSV−2に対するものの方が強かった。
(3)一酸化窒素(NO)誘導作用:
RAW264.7細胞のNO産生を、ベニバナボロギク抽出物が濃度依存性に増強することを見出した。ベニバナボロギク抽出物はiNOSmRNA発現を誘導することおよびマウスiNOS遺伝子転写調節領域を含むルシフェラーゼ発現ベクターを用いた解析から、プロモーター活性を増強することがわかった。さらに、阻害剤やレポーター遺伝子を用いた検討からiNOSプロモーターの活性化は、NF−κB経路を介することが明らかになった。
(4)前大腸癌病変予防作用:
ベニバナボロギク抽出物の大腸前癌病変への抑制効果をラット大腸発癌モデルを用いて検討したところ、前癌病変である変異陰窩巣(ACF)数及び粘液枯渇巣(MDF)構成細胞の増殖能を抑制し、またアポトーシスを誘導した。
従来、動物の大腸発癌モデルの前癌病変と考えられるACFのみならず、これとは異なる前癌病変と考えられるMDFに対しても作用を有することから、ベニバナボロギク抽出物は、前大腸癌病変予防に有効であると判断された。
本発明の医薬は、ベニバナボロギクの抽出物を公知の医薬用担体と組み合わせることにより製造することができ、上記した作用を奏するものである。
上記した医薬は、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤等や、液剤、シロップ剤等の経口剤や、注射剤、点滴用剤、外用剤、坐剤、貼付剤等の非経口剤とすることができる。
上記の各製剤の製造において使用しうる医薬担体の例としては、デンプン、乳糖、ショ糖、マンニトール、コーンスターチ、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ケイ酸糖の賦形剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ペクチン等結合剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール等の滑沢剤、崩壊剤、崩壊助剤、安定剤の公知の固形剤用担体や、水、エチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等の液剤成分、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、ブドウ糖、アミノ酸等の呈味成分、溶解補助剤、着色料、保存料等の液剤用担体を挙げることができる。また、外用剤、坐剤、貼付剤については、これらの剤型に応じた公知の担体を使用することができる。
本発明の医薬に配合されるベニバナボロギク抽出物の量は、対象疾患、疾患程度、患者年齢等によっても相違し、実験的に定める必要があるが、例えば、これを有効成分とする経口製剤の場合は、大人一人(60kg体重)当たり一日量として、5mgないし30g程度であり、20mgないし10g程度とすることが好ましく、1日1回ないし数回に分けて投与すれば良い。また、血管内投与の場合は、2mgないし10g程度であり、10mgないし2g程度とすることが好ましく、この場合も1日1回ないし数回に分けて注射により、または輸液とともに投与すれば良い。
以下、参考例および実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
参 考 例 1
ベニバナボロギク抽出物の調製:
琉球大学亜熱帯フィールド科学教育センター農場に自生している、草丈40〜50cmのベニバナボロギクを採取し、その地上部全草を水道水でよく洗浄した後、60℃で8時間乾燥した。この乾燥物を、小片に切断し、切断物1g当たり10mlとなる量の90℃の温水に30分間浸漬した。その後、固形物をろ過し、更にろ液を凍結乾燥してベニバナボロギク抽出物を粉末として得た。
実 施 例 1
抗ATL効果:
参考例1で得たベニバナボロギク熱水抽出物の抗ATL効果を、次のようにして調べた。すなわち、10%牛胎児血清(FBS)加RPMI1640培地により2×10個/mlに調整したHTLV−I感染T細胞株(ED−40515(−)、MT−1、MT−2、MT−4、HUT−102)、非感染T細胞株(MOLT−4)およびマウスマクロファージ細胞株(Raw264.7)を、細胞数が1×10個/穴となるように、96穴プレートに蒔いた。
次いで、最終濃度が300、200、100、50、25、12.5μg/mlになるように、ベニバナボロギク熱水抽出物を50μl/穴添加し、37℃で72時間培養した。その後、発色基質としてWST−8(和光純薬工業社製)を5μl/穴添加し、37℃で4時間培養した。培養後、マイクロプレートリーダーを用いて、450nmの吸光度を測定し、下式により細胞の生存率を求めた。
細胞生存率(%)=[1−(A−B)/A]×100
A:薬剤無処理時の吸光度
B:薬剤処理時の吸光度
さらに、ベニバナボロギク熱水抽出物における、健常人および成人T細胞白血病(ATL)患者末梢血単核球(PBMC)の生存率に及ぼす影響も検討した。まず、PBMCをフィコール(Ficoll)比重遠心法により分離し、これを10%FBS加RPMI1640培地を用いて2×10/mlに調整した後、細胞数が1×10個/穴となるように、96穴プレートに蒔いた。活性化T細胞として、健常人PBMCを72時間、レクチンPHAで刺激したPHA芽球やこのPHA芽球を最終濃度が10ng/mlになるようにT細胞増殖因子インターロイキン2(IL−2)を添加したIL−2刺激PHA芽球も同様に、96穴プレートに蒔いた。
次いで、最終濃度が250、125、62.5、31.25、15.625μg/mlになるように、ベニバナボロギク熱水抽出物を50μl/穴添加し、37℃で72時間培養した。その後、WST−8を5μl/穴添加し、37℃で4時間培養した。培養後、マイクロプレートリーダーを用い、450nmの吸光度を測定し、前記の式により細胞の生存率を求めた。
(結 果)
上記試験の結果を図1および図2に示す。ベニバナボロギク熱水抽出物は、濃度依存的にすべてのHTLV−I感染T細胞株の生存率を低下させた。また、非感染T細胞株やマクロファージ細胞株、健常人(2名)のPBMCの生存率に及ぼす影響は軽度であった。一方、活性化T細胞(PHA芽球やIL−2刺激PHA芽球)やATL患者(2名)のPBMCに対しては濃度依存性に生存率の低下を認めた。これらの結果から、ベニバナボロギク熱水抽出物は、静止期リンパ球やマクロファージ、非感染リンパ球に比べて、活性化リンパ球やHTLV−I感染リンパ球、ATL細胞に選択的な毒性を有することが明らかになった。
また、HTLV−I感染T細胞株のアポトーシスに及ぼす影響を検討した。HTLV−I感染T細胞株(ED−40515(−)、MT−1、MT−2、MT−4、HUT−102)を1×10細胞でセルカルチャープレートに蒔き、これに、種々の濃度のベニバナボロギク熱水抽出物(400、300、200、100μg/ml)を添加し、37℃で72時間培養した。その後、細胞を回収し、アネキシンVで染色後、フローサイトメーターを用い、アポトーシス陽性細胞率(%)を測定した。
ベニバナボロギク熱水抽出物の濃度と、MT−2細胞のアポトーシスの関係を図3に、ベニバナボロギク熱水抽出物が、HTLV−I感染T細胞株のアポトーシスに与える影響を図4にそれぞれ示した。この結果、上記作用は、アポトーシスによるものであることが明らかになった。
実 施 例 2
抗腫瘍活性:
HTLV−I感染T細胞株移植マウスにおける、ベニバナボロギク熱水抽出物の抗腫瘍活性を測定した。すなわち、免疫不全マウス(SCIDマウス)の5週令の雌の耳後部の皮下にHTLV−I感染T細胞株(HUT−102)を細胞数が1×10個となるように、移植した。移植日より4週間にわたって、3.5g/kgのベニバナボロギク熱水抽出物を連日、胃ゾンデを用いて経口投与した。対照として同容量の水を経口投与した。各群6匹で抗腫瘍活性試験を行った。1週間ごとに、腫瘍径(長径、短径、厚径)を測定し、長径×短径×厚径により腫瘍容積を算定した。
ベニバナボロギク熱水抽出物が、マウスにおけるHTLV−I感染T細胞株の増殖に与える影響を図5に示した。ベニバナボロギク熱水抽出物投与群は対照群と比べて、HTLV−I感染T細胞株の腫瘍容積が明らかに抑えられ、抗腫瘍活性が見られた(P<0.05)。なお、ベニバナボロギク熱水抽出物投与群と対照群との間でマウスの体重差は見られなかった。
実 施 例 3
抗単純ヘルペスウイルス効果:
参考例1で得たベニバナボロギク熱水抽出物の抗単純ヘルペスウイルス効果を、下記の中和試験およびプラーク形成試験により調べた。
[中和試験]
最終感染価が10、10および10pfu/mlになるように調製したHSV−2(Savage株)と、最終濃度が300μg/mlになるように調製したベニバナボロギク熱水抽出物を等量混合し、37℃で1時間処理した。その後、前記混合物を10倍段階希釈し、各段階の希釈液を試料とした。前記試料を、細胞密度が1×10個/穴(6穴プレート)程度になるように事前に調製したVero細胞に1ml/穴で接種し、37℃で1時間吸着させた。
1ml/穴の10%FBS加イーグルMEM(EMEM)培地で3回洗浄後、3ml/穴のメインテナンス培地(0.5%メチルセルロース、10%FBS加EMEM培地)を加え、37℃に設定したCOインキュベーター中で3日間培養した。培養後に、メタノールを一度入れて捨て、再びメタノールを満たし、5分間、室温にて静置させた。その後、メタノールを捨て、0.2%クリスタルバイオレットを含む50%メタノール溶液を細胞が浸るくらい満たし、室温に静置させた。5分後に水道水で3回洗浄後、乾燥させてプラークを数えた。
(結 果)
上記試験の結果を図6に示す。これらの結果から、ベニバナボロギク熱水抽出物はHSV−2に対する中和活性を有していることが明らかになった。なお、HSV−1(HF株)に対する中和活性も認めたが、HSV−2に比べて弱かった。
[プラーク形成試験]
ベニバナボロギク熱水抽出物のHSV−2の増殖に対する効果とその作用機序を、6穴プレートを用い、Vero細胞に感染させた後のプラーク形成試験で調べた。すなわち、Vero細胞を150、75、37.5および18.75μg/mlの濃度のベニバナボロギク熱水抽出物で処理し、感染3日後に、前記のプラーク形成試験を行った。ベニバナボロギク熱水抽出物による処理の時期および温度は以下のとおりである。
(1)ウイルス吸着前1時間、37℃で処理。
(2)ウイルス(10pfu/mlのHSV−2)吸着時に1時間、4℃で処理。
(3)吸着後1時間(ウイルス侵入時)、37℃で処理。
(4)洗浄後、EMEM培地にて37℃で培養を開始するが、この時期よりベニバナボ
ギク熱水抽出物を添加し、感染3日後まで培養(ウイルス侵入後)。
(5)ウイルス吸着1時間前より全過程を通してベニバナボロギク熱水抽出物処理。
図7に示すように、全過程、ウイルス吸着時、ウイルス侵入時にベニバナボロギク熱水抽出物をVero細胞に作用させた時に、濃度依存性にプラーク形成が抑制された。これらの結果から、上記プラーク抑制は、ウイルスの吸着および侵入段階の抑制によるものであることが明らかになった。なお、HSV−1(HF株)に対する増殖抑制活性も認めたが、HSV−2に比べて弱かった。ただし、作用機序は同じであった。
実 施 例 4
一酸化窒素(NO)誘導効果:
参考例1で得たベニバナボロギク熱水抽出物のNO誘導効果をRaw264.7細胞を用い、次のようにして調べた。すなわち、10%FBS加RPMI1640培地により1×10個/mlに調製したRaw264.7細胞を、細胞数が1×10個/穴となるように、24穴プレートに蒔いた。24時間後に、最終濃度が500、250、125、62.5、31.25、15.625μg/mlになるように、ベニバナボロギク熱水抽出物を1ml/穴添加し、37℃で24、48、72時間培養した。培養後、上清を回収し、グリース法にてNO濃度を測定した。
(結 果)
この結果、ベニバナボロギク熱水抽出物が濃度および時間依存的にRaw264.7細胞のNO産生を増強することが示された(図8)。
実 施 例 5
細胞障害性試験:
参考例1で得たベニバナボロギク熱水抽出物の細胞障害性を、RAW264.7細胞を用い、次のようにして調べた。すなわち、10%FBS加RPMI1640培地により2×10個/mlに調製したRaw264.7細胞を、細胞数が1×10個/穴となるように、96穴プレートに蒔いた。24時間後に、最終濃度が500、250、125、62.5、31.25、15.625μg/mlになるように、ベニバナボロギク熱水抽出物を50μl/穴添加し、37℃で24、48、72時間培養した。その後、WST−8を5μl/穴添加し、37℃で4時間培養した。培養後、マイクロプレートリーダーを用い、450nmの吸光度を測定し、前記の式により細胞の生存率を求めた。
(結 果)
この結果、250μg/mlの濃度では、ベニバナボロギク熱水抽出物は実質的に細胞障害性がないことが示された(図9)。
実 施 例 5
大腸前癌病変の抑制効果:
参考例1で得たベニバナボロギク熱水抽出物の大腸前癌病変の抑制効果を、ラット大腸発癌モデルを用いて検討した。すなわち、5週齢雄F344ラットを5群(1ないし3群については、1群9匹、4、5群については1群3匹)とし、それぞれ基礎食(CLEA
Rodent Diet CE−2;日本クレア社製)で飼育した群(1群および5群)、基礎食に0.1%ベニバナボロギク抽出物を配合した飼料で飼育した群(2群)、基礎食に0.5%ベニバナボロギク抽出物を配合した飼料で飼育した群(3群および4群)とした。
このうち、第1−3群には、飼育1週目と2週目の計2回、アゾキシメタン(AOM)の皮下注射(20mg/kg)行い、大腸前癌病変である大腸陰橘変異巣( Aberrant crypt foci ;ACF)とムチン涸渇巣(mucin depleted foci ;MDF)を誘発した。
第1−5群共に飼育開始から5週目にと殺し、大腸を摘出した。その後、大腸をメチレンブルー( methylene blue )による染色を行い、ACFのカウントを行った。同様、大腸をアルシアンブルー(Alcian blue ;pH2.5)で染色し、MDFのカウントを行った。この結果を表1に示す。
この結果、ベニバナボロギク熱水抽出物を0.1%および0.5%投与した群(2群および3群)は有意に全ACF数と1−3腺窩からなるACF数を抑制し、またMDF数の抑制も認められた。第1−5群間で平均体重、肝重量、腎重量、ラット体重100gに対する肝重量に差を認めず、明らかな有害事象の出現を認めなかった。以上よりベニバナボロキグ熱水抽出物はラット大腸発癌モデルにおいてその前癌病変であるACFとMDFの発生を抑制することが確認された。
以上の実施例で示すように、ベニバナボロギク抽出物は、HTLV−I感染T細胞株、ATL細胞等のウイルス関連悪性腫瘍や、HSV−1、HSV−2等のウイルス等に作用し、これらの生存率を濃度依存性に低下させるものであった。また、NO産生を昂進させ、大腸前癌病変を抑制する効果を有するものであった。
従って、本発明の医薬は、ATL治療剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、前大腸癌病変予防剤等として有利に使用することができるものである。
また、本発明のベニバナボロギク抽出物を含有する医薬は、食品添加用剤として種々の食品素材に加え、上記作用をも有する健康食品を得ることができるものである。
更に本発明のベニバナボロギク抽出物は、前記した医薬の原料中間体としても利用可能なものである。
HTLV−1に感染した各種細胞株等についての、添加ベニバナボロギク抽出物濃度と、細胞の生存率の関係を示す図面。 各種リンパ球についての、添加ベニバナボロギク抽出物濃度と、細胞の生存率の関係を示す図面。 MT−2株についての、添加ベニバナボロギク抽出物濃度と、細胞のアポトーシス率の関係を示す図面。 HTLV−1に感染した各種細胞株等についての、ベニバナボロギク抽出物を添加した場合と添加しない場合のアポトーシス率の関係を示す図面。 ベニバナボロギク抽出物が、HTLV−1に感染したHUT−102株移植マウスにおいて、腫瘍容積に与える影響を示した図面。 HSV−2についての、ベニバナボロギク抽出物添加と、感染プラークの減少の関係を示す図面。 HSV−2についての、ベニバナボロギク抽出物添加ステージおよび添加濃度と、感染プラークの減少の関係を示す図面。 RAW264.7細胞についての、ベニバナボロギク抽出物添加と、NO産生量の増加の関係を示す図面。 RAW264.7細胞についての、ベニバナボロギク抽出物添加と、細胞生存率の関係を示す図面。

Claims (3)

  1. ベニバナボロギクの抽出物を有効成分とする成人T細胞白血病治療剤または前大腸癌病変予防剤から選ばれる医薬
  2. ベニバナボロギクの抽出物が、ベニバナボロギク全草の抽出物である請求項第1項記載の医薬。
  3. ベニバナボロギクの抽出物が、80℃以上の熱水抽出物である請求項第1項または第2項記載の医薬。
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