JP2008000121A - 免疫賦活食品,免疫賦活補助食品,抗腫瘍食品および抗酸化食品 - Google Patents

免疫賦活食品,免疫賦活補助食品,抗腫瘍食品および抗酸化食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 生体の免疫機能を高め、癌・感染症等の各種疾患にならない為に日常的に摂取することのできる抗腫瘍作用・免疫賦活作用・免疫賦活補助作用・抗酸化作用・フリーラジカルスカベンジング作用を有する機能性食品を提供する。
【解決手段】 エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物,抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する機能性食品(免疫賦活食品・免疫賦活補助食品・抗腫瘍食品・抗酸化食品)とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する免疫賦活食品,免疫賦活補助食品,抗腫瘍食品および抗酸化食品に関する。
癌(悪性新生物)は、放射線・化学物質等の発癌物質の作用により正常細胞が突然変異を起こし、その結果、細胞の無制限な増殖が起こり、最終的に宿主を死に至らしめる慢性の進行性疾患であるが、近年の我国における癌による死亡者数は、全死亡者数の約30%を占めるに至っており、癌は我国の死因第一位として揺ぎ無いものとなっている。
癌に対する治療法としては、外科療法・放射線療法・化学療法(抗癌剤治療)の三大療法が主流であるが、何れも人体に多大な負担とかけることとなり、免疫機能を弱らせる結果となる。又、癌治療で重要となってくるのは、患者の癌を克服しようとする意欲であるが、抗癌剤や放射線治療の過程で体全体に副作用が現れ、嘔吐や食欲の減退なども避けられなくなると克服しようとする意欲がなくなってしまう。
そこで、次なる第四の癌療法として医学界が注目するのが「免疫療法」である。
「免疫」とは、外界から侵入してきた微生物・有害化学物質のみならず、身体の中で作られた癌細胞等の多くのものから身体を守り、健康な状態を維持するための生体防御機構であるが、体内の免疫機能が、ストレス(身体的,精神的)・環境因子(汚染,放射線,薬剤等)・加齢等の要因により低下した時、(疾病に対する抵抗力が低下するので)各種の疾病や、癌、感染症が引き起こされると考えられている。
その為、生体の防御機能である免疫力を強化することは、病気や癌に対する抵抗力を高めることとなるので、生体の恒常性を維持し、健康な身体を保つのに重要である。
癌に対しては、抗癌剤等の抗生物質を使った対症療法が以前より広く行われているが、患者の持つ免疫機能を向上させれば、(患者自身の自然治癒力により)その治療効果がさらに高まると期待されるので、(免疫療法として)免疫賦活活性を有する薬剤の併用が試みられている。又、外科治療、放射線治療、抗癌剤治療は、何れも癌の治療が主目的であり、予防或いは再発に積極的に働きかけるものではないが、免疫療法剤は癌の治療目的に用いられるだけでなく、予防目的にも用いることができる。
癌の治療又は予防剤として免疫機能に働きかけるものとして、免疫増強・賦活効果を持つ新規多糖体物質(特許文献1)、有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする免疫療法剤(特許文献2)、フィブロネクチンレセプター産生異常細胞が原因である癌に対するフィブロネクチンレセプター産生異常細胞抑制剤(特許文献3)、腫瘍反応性細胞の豊富なリンパ節を用いた養子細胞療法における治療薬(特許文献4)、癌予防剤として有用なモラノリン誘導体(特許文献5)、抗原提示細胞によるT細胞活性化において抗原提示細胞上及び/またはT細胞上の補助刺激シグナルの伝達に関与する分子に相互作用することにより補助刺激シグナルの伝達を制御する免疫制御分子(特許文献6)などが知られている。
しかしながら、従来報告されてきたこれら癌の予防治療剤は(何れも医薬品として開発されたものであるので)予防といっても一度癌になった人が再発防止の為に服用するもので、遺伝的及び環境的に癌にかかる可能性があるが、現在は全く健康であるような人が癌にならない為に摂取できる効果の高い癌の予防治療剤ではなかった。
そこで、全く健康な人が通常の食品と同様に摂取することのできる安全で効果の高い癌の予防治療剤が望まれている。
さらに最近の健康ブームは、食生活の改善や、特定の食品成分の力を借りることで、「病気になりにくい体を作る」,「病気になっても治りやすい体を作る」といった意識を一般大衆に徐々に浸透させており、免疫機能を強化する医薬品だけでなく、このような機能性を有する飲食品の需要を高めてきた。
その為、免疫賦活剤等を飲食品として摂ることで病気に対する抵抗力を強め、健康状態と生活状態を改善することが近年重要視されている。
実際、これまでに数多くの天然物について免疫賦活作用が研究され、効果が認められた幾つかの素材や抽出成分が機能性食品の原料として実用化されているが、これらは免疫賦活活性が不十分であったり、安全性が十分に確認されていないものも存在し、より高活性で安全性の高い天然素材の登場が望まれている。
その一方で、癌・糖尿病等、多くの生活習慣病の原因の一つが、放射線・化学物質・ストレス等の様々な要因により体内で発生する「活性酸素」であることが知られており、生活習慣病の90%以上は体内における活性酸素やそれに由来するフリーラジカル・過酸化脂質等による酸化ストレスが発症の主要因となっていることが報告されている。
その為「活性酸素」を除去し、体の「免疫力」を高めることが重要となる。
活性酸素とは、酸素呼吸する生体内のあらゆる部位で必ず産生されるものであるが、紫外線,重金属等の外来刺激や、(活性酸素の一種である過酸化脂質を含む)食用油、強力な塩素消毒を施された水道水等の飲食物の形で、生体外から生体内に取り込まれる。
活性酸素は、スーパーオキサイドアニオン(O )、過酸化水素、ヒドロキシラジカル(OH・)、一重項励起種()など種々の形態をとるが、生体内において、酸素を基に最初に生成されるラジカルはスーパーオキサイドであり、ヒドロキシラジカル(最も組織傷害性の高いとされる)等、他のラジカルはスーパーオキサイドを経て生成される。
細胞内のスーパーオキサイドは、細胞内で産生されたスーパーオキサイドジスムターゼ(以下「SOD」と略)によって過酸化水素に変換されるが、SOD量は加齢に伴って減少し、SOD量の減少によってスーパーオキサイドの細胞内濃度が上昇し、スーパーオキサイドが生体に対して障害(関節リウマチやベーチェット病などの組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、糖尿病、動脈硬化、肩こり、冷え性等の障害)を及ぼすようになる。
即ち、活性酸素は生体内でSOD等の酵素の働きで除去或いは解毒されるが、老化と共に体内のSOD活性が低下し、活性酸素が原因となる種々の疾患の可能性が高くなる。
その為、活性酸素の消去能の評価は、一般的に、SOD活性の測定により行われ、活性の強いものが抗酸化、或いは抗老化の素材として提案されている。
このような障害を予防又は治療するSOD様作用剤として、SOD量の減少を補うために、オウゴンからの抽出物(特許文献7)、バラ科植物である棘梨の果汁等に含まれているSOD様物質(特許文献8)や、デンプン加水分解物,ポリデキストロース等,グルコースを構成糖とする水溶性多糖類を柿渋に混合したのち噴霧乾燥等の方法により加熱乾燥して得られる無臭の柿渋組成物からなるSOD様物質(特許文献9)、マンネンタケ属に属するキノコの抽出物を含有するSODの活性促進効果を有する食品(特許文献10)等の他、SODを含有する食品(特許文献11)等も報告されている。
しかしながら、従来の健康食品では、活性酸素に起因する種々の病態や老化等を緩和するには不十分であった。
その為、活性酸素を除去し、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和するのに十分な効果を発揮し、免疫力を高め、身体を健やかに保つことのできる新たな機能性食品の開発が、前記免疫賦活活性等を有する健康食品とともに、要望されていた。
特開平08−259602号公報 特開昭56−108708号公報 特開平06−172203号公報 特開平07−179352号公報 特開平07−826970号公報 特開平11− 1494号公報 特開昭64−50877号公報 特開平03−83548号公報 特開2000−290190号公報 特開2002−173441号公報 特開平10−28552号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、優れた免疫賦活効果、免疫賦活補助効果および抗腫瘍効果を有し、生体の免疫機能を高め、癌や感染症等の予防に(治療にも)有効な機能性食品を提供することを目的とする。
併せて、顕著な抗酸化作用及びフリーラジカルスカベンジング作用を発揮し、活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和させ、生体の免疫機能を高めるのに有効な機能性食品を提供することを目的とする。
即ち、癌・感染症等の各種疾患にならない為に、日常的に摂取することのできる抗腫瘍作用・免疫賦活作用・免疫賦活補助作用・抗酸化作用・フリーラジカルスカベンジング作用を有し、身体を健やかに保つことのできる機能性食品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、「エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物,抗酸化酵素およびチャーガの抽出物」からなる群より選択される1種以上を含有する機能性食品が、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、免疫賦活補助作用、抗酸化作用およびフリーラジカルスカベンジング作用を発揮することを見出した為、本発明を完成するに至った。
即ち、請求項1に係る発明は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する免疫賦活食品に関する。
請求項2に係る発明は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する免疫賦活補助食品に関する。
請求項3に係る発明は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する抗腫瘍食品に関する。
請求項4に係る発明は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する抗酸化食品に関する。
請求項5に係る発明は、前記エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物が、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株(IFO16803)である請求項1乃至4いずれか記載の食品に関する。
請求項6に係る発明は、前記抗酸化酵素が、ヴォークルシアン(Vauclusien)から抽出した抗酸化酵素を、小麦抽出物グリアディンでコーティングしたものである請求項1乃至5いずれか記載の食品に関する。
本発明に係る機能性食品(免疫賦活食品・免疫賦活補助食品・抗腫瘍食品・抗酸化食品)は、「エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物」からなる群より選択されるいずれか一種以上を含有するので、優れた免疫賦活効果、免疫賦活補助効果および抗腫瘍効果を発揮すると同時に、優れた抗酸化作用およびフリーラジカルスカベンジング作用を発揮することができる。
その為、全く健康な人が、通常の食品と同様に、本発明に係る機能性食品を日常的に摂取することにより、生体の免疫機能を高めることができ、癌や感染症の予防に(治療にも)有効で、且つ活性酸素に起因する各種疾患や老化を緩和することができるので、結果として、身体を健やかに保つことができる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択されるいずれか一種以上、若しくはこれらを組み合わせることにより、非常に高い腫瘍成長抑制、免疫賦活作用および免疫賦活補助作用、並びに抗酸化能及びフリーラジカルスカベンジング作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、これらの効果を発揮することができる本発明の実施形態について、本発明にかかる機能性食品(免疫賦活食品・免疫賦活補助食品・抗腫瘍食品・抗酸化食品)を構成する有効成分ごとに説明する。
〔エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物〕
エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物は、乳酸球菌の一種であるが、本発明においては、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株「EC−12(IFO16803)」を使用するのが好ましい。
「EC12(IFO16803)」は、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株として、国立遺伝子研究所に遺伝子登録されており(IFO16803)、その16SrDNAについても国立遺伝研究所に「AB15482」として登録されている。
エンテロコッカス・フェカリスEC−12株の菌学的性質を「表1」に示すが、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株の培養方法としては、従来公知の乳酸菌の培養方法も含め、特に制限されるものではなく、乳酸菌生育用培地を用い、37℃で培養pHを中性付近に維持しながら5〜120時間、好ましくは、16〜28時間培養し、生菌数約10〜1010/ml、好ましくは約10〜1010/mlの培養液を得る方法を例示することができる。
EC−12株死菌体の調製方法として、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株を、ロゴサ培地で37℃、24時間培養した前培養液を、酵母エキス4%、ポリペプトン3%、乳糖10%を含む液体培地に0.1(v/v)%接種し、pHスタットを用いてpH6.8〜7.0に苛性ソーダ水溶液で調整しながら、37℃で22〜24時間中和培養を行う。
EC12株の加熱死菌体の水溶性抽出物は、特に制限されるものではないが、例えば、以下の1)または2)ようにして得ることができる。
1)任意の方法で調製した加熱死菌体を約20〜26℃の水に懸濁させ、可溶性成分を溶出させる。その後、遠心分離して菌体を除き、上澄みを、必要ならば濃縮した後、乾燥して粉末状の水溶性抽出物を得る。
2)生菌体または加熱死菌体を超音波処理等の方法で破砕した後、約20〜26℃の水中に懸濁させ、可溶性成分を溶出させる。その後、遠心分離して菌体破砕物を除き、上澄みを、必要ならば濃縮した後、乾燥して粉末状の水溶性抽出物を得る。
尚、2)の方法は、有効成分の抽出効率に優れているので、特に有効である。
又、本発明の有効成分である「EC12株の加熱死菌体の水溶性抽出物」の市販製品としては、「Bio Amb」(Bio Qween株式会社)等を例示することができる。
〔抗酸化酵素〕
本発明における抗酸化酵素としては、南フランス、アヴィニョン地方で栽培されているメロン、ヴォークルシアン(Vauclusien)から抽出した抗酸化酵素を、小麦抽出物グリアディンでコーティングしたものが好ましく、オキシカイン(素材品名)(登録商標)を例示することができる。特に、グリアディンでコーティングされた抗酸化酵素は、直接体内の活性酸素を消去するのではなく、人がすでに自分で持っている抗酸化酵素類を増殖させる働きがあるので、効果が長持ちする。
オキシカイン(登録商標)の原料となるのは、完熟後2週間保存がきくよう育種されたヴォークルシアン種のメロンの改良株、南仏のモンペリエ近郊で栽培されているもの等を例示することができ、メロン・グリアディン複合エキスともいわれている。
又、本発明における抗酸化酵素の市販製品としては「オキシカイン」(株式会社ブロマ研究所)等を例示することができる。
〔チャーガの抽出物〕
「チャーガ(Inonotus obliquus)」は、白樺の木に寄生する日本名「カバノアナタケ」という耐寒性に優れたキノコの菌核で、これを水で抽出すると25〜44%の可溶成分が抽出される。又、その生物的活性物質は色原体ポリフェノール複合体の活性フェノール性アルデヒドポリフェノール酸化フェノールとキノンの化学的複合体から形成された染色体である。又、その色原体の複合体からグルコース、ガラクタトーでキシロースなどのフミンに似た物質が析出する。この全ての化合物は白樺木質部のリグニンから生合成された酸化芳香族先駆物質と発泡的結びつきがあり、チャーガのコブには(C2240)や蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸などの酸やバニリン酸、疑似酸化ベンゾイン、ライラック酸、ピロカテキン酸、ピロガロールどの芳香族酸やトリテルペノイメタロ、トリテルペン酸、ホビリツロビン酸のほか脂肪酸C10,C112,C14が存在する。
チャーガは、煎じてお茶として、又はアルコールで抽出して飲用すると、癌予防効果を奏することが知られている。又、チャーガは、これまでのキノコ類と比較して、免疫賦活作用を有するβ−グルカンや活性酸素除去能をもつSOD(superoxide dismutase)が豊富に含まれていることが確認されている。特にSODに関しては、アガリクスや山伏茸の約30倍といわれている。又、その他多種多様な生理活性物質が含まれていることが分かり、抗腫瘍作用、慢性胃炎や胃潰瘍に対する効果、血統効果作用があることが分かっている。
尚、チャーガのエキスの抽出方法としては、植物(チャーガ)の各部位を常温、又は加温下にて抽出するか、若しくはソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末を意味する。
上記した「エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物」からなる群より選択されるいずれか一種以上を含有し、腫瘍成長抑制、免疫賦活作用および免疫賦活補助作用、並びに抗酸化能及びフリーラジカルスカベンジング作用を発揮するのに十分な効果を発揮することができ、抗腫瘍食品,免疫賦活食品,免疫賦活補助食品及び抗酸化食品として利用されるものであれば、本発明に含まれる。
本発明の各機能性食品(免疫賦活食品・免疫賦活補助食品・抗腫瘍食品・抗酸化食品)は、エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有するが、
1)免疫賦活食品としては、所望の効果を発揮するに際し、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物(特に、EC12株)とチャーガを含有するのが好ましく、加えて抗酸化酵素をさらに含有するのがより好ましい。
2)免疫賦活補助食品としては、所望の効果を発揮するに際し、エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物(特に、EC12株)とチャーガの抽出物を含有するのが好ましく、加えて抗酸化酵素をさらに含有するのがより好ましい。
3)抗腫瘍食品としては、所望の効果を発揮するに際し、エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物(特に、EC12株)とチャーガの抽出物を含有するのが好ましく、加えて抗酸化酵素をさらに含有するのがより好ましい。
4)抗酸化食品としては、所望の効果を発揮するに際し、チャーガの抽出物を含有するのが好ましく、加えて抗酸化酵素をさらに含有するのがより好ましい。
〔含有量〕
本発明にかかる各機能性食品に含有されている「エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物」からなる群より選択される何れか一種以上の有効成分は、各機能性食品中に於いて、夫々単独若しくは2種以上の混合であるか否かに拘らず、「チャーガの抽出物」では、55〜65質量%配合するのが好ましく、さらに「加熱死菌体の水溶性抽出物」及び「抗酸化酵素」では、10〜20質量%配合するのが好ましい。
その理由は、チャーガの抽出物の配合量が55質量%未満では、本発明の効果(免疫賦活作用,免疫賦活補助作用,抗腫瘍作用および抗酸化作用)を十分に発揮することができず、また65質量%を超えて配合しても好ましい範囲の効果に比較して期待されるほどの効果は得られない為、何れの場合も好ましくないからである。
同様に「エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物」および「抗酸化酵素」の配合量が10%未満では、本発明の効果を十分に発揮することができず、また20質量%を超えて配合しても好ましい範囲の効果に比較して期待されるほどの効果は得られない為、何れの場合も好ましくない。
これら各機能性食品の製造方法は、〔エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物〕からなる群より選択される何れか一種以上を有効成分として、得られるものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。
即ち、使用剤型などを考慮して臨機応変に調製することができ、水単独、アルコールやグリコールなどの水溶性溶媒単独、あるいは水と水溶性溶媒の混合物で抽出することが出来る。抽出されたエキスのpHは用いた溶媒のpH、植物材料、酸・アルカリの使用にも左右される。
本発明の各機能性食品(免疫賦活食品・免疫賦活補助食品・抗腫瘍食品・抗酸化食品)は、上記の有効成分〔エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物〕と共に薬学的に許容される製剤担体を用いて、機能性食品として従来から公知の形態とすることができる。
本発明の機能性食品として、例えば、健康食品、栄養補助食品(バランス栄養食、サプリメント等)、栄養機能食品、特定保健用食品、病者用食品等があげられる。又、本発明の上記有効成分は、通常の手段を用いてジュース、飴、ガム、アイスクリーム等の通常の食品に含有させれば良く、食品の味覚等を損なわない範囲で含有させることができる。
以上のようにして得られた本発明にかかる各機能性食品は「エンテロコッカス・フェカリス属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物」を含有するので、癌予防効果、免疫賦活効果、免疫賦活補助効果、抗酸化作用効果を発揮することができ、該食品を日常的に摂取することにより、腫瘍成長抑制、免疫増強作用、並びに抗酸化能及びフリーラジカルスカベンジング作用を発揮するのに十分な効果を発揮することができ、結果として、身体を健やかに保つことができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
(1)腫瘍成長抑制への影響
〔実験動物〕
日本SLC株式会社より雄6週齢のC3H/HeJマウス(体重:25〜27g)を購入し、室温22±3℃,湿度60%の条件下で、午前7時から12時間の明暗サイクルとし、一定の飼料(マウス・ラット・ハムスター飼育繁殖型CE−2(日本クレア))および上水道を自由摂取させた。実験飼育環境に適応させるために1週間予備飼育後に実験に使用した。実験群の分類は、蒸留水を経口投与し、SCC7を接種したcontrol群(以下「Shamcontrol群」)、オキシカイン(登録商標)を経口投与し、SCC7を接種したオキシカインT群、チャーガを経口投与し、SCC7を接種したチャーガ群、(オキシカイン(登録商標)、チャーガ、EC12の全てを含有する)Combinationを経口投与し、SCC7を接種したCombination群 EC12を経口投与し、SCC7を接種したEC12(乳酸球菌)群の計10群とした。
また、実験に使用したマウスは各群10匹とした。
〔腫瘍体積および腫瘍抑制率算出〕
オキシカイン(登録商標)、チャーガ、EC12及びCombinationを1週間投与後SCC7(2×10個)をC3Hマウスの右大腿部に皮下接種し、オキシカイン(登録商標)、チャーガ、EC12を連続44日まで経口投与し、腫瘍接種後9日後より29日目まで2日おきにノギスにてマウス右大腿部の腫瘍の短経および長径を測定し、下記の(1)式より腫瘍体積を求めた。
腫瘍体積[mm]=1/2×(長径)×(短経) (1)
30日後に腫瘍摘出を行い自動はかりにて腫瘍重量を測定し、(2)式より腫瘍抑制率を求めた。
腫瘍抑制率[%]=((Cw−Tw)/CW)×100 (2)
Cw:対照群の平均腫瘍重量
Tw:検体群の平均腫瘍重量
〔結果〕
腫瘍接種から30日目までの腫瘍の体積(mm)を示した。横軸に腫瘍体積を、縦軸に経過日数をとり図1に示した。図1からわかるように、腫瘍成長の抑制に有意な差はみとめられなかったが、shamcontrol群に対しオキシカイン(登録商標)、チャーガおよびCombination投与群において、腫瘍接種から23日目より腫瘍成長の抑制が示唆でき、腫瘍接種から29日目では2/3の大きさに抑えられた。サンプルを投与したものの腫瘍体積が小さく、腫瘍成長抑制傾向が見られた。
腫瘍接種から30日目に摘出し重量(g)を求め、図2に示した。
チャーガ投与群、オキシカイン投与群およびCombination投与群に有意な差はみとめられなかったが、腫瘍重量の減少傾向が見られた。
腫瘍抑制率を(2)式より求めて示した。腫瘍抑制率はshamcontrol群に対して、チャーガ群が最も高く36.0%であり、次にオキシカイン群の32.7%、Combination群の26.7%であり、EC12(乳酸球菌)群は0.3%であった。
(2)マウス末梢血液中における血球数への影響
〔実験動物〕
使用したマウスは「(1)マウス腫瘍成長抑制への影響」と同じである。
実験群の分類は、蒸留水を経口投与したcontrol群、蒸留水を経口投与し、SCC7を接種したcontrol群(以下「Shamcontrol群」)、オキシカインを経口投与し、SCC7を接種したオキシカイン(登録商標)群、チャーガを経口投与し、SCC7を接種したチャーガ群、Combinationを経口投与し、SCC7を接種したCombination群、Combination含まないEC12を経口投与し、SCC7を接種したEC12(乳酸球菌)群の計6群とした。
又、実験に使用したマウスは各群8匹とした。
〔血球数の測定〕
マウスの尾静脈から末梢血液をキャピラリーチューブにて10μl採血し、日本光電株式会社製の自動血球測定器(Celltac−α MEK−6318)にて血球数を経時的に測定した。
測定項目は免疫システムの主な細胞ともなり、免疫賦活に影響あると思われる白血球数・リンパ球数・顆粒球数・単球数とした。測定はSCC7接種前日、SCC7接種7、21、35日目に測定した。
統計学的処理については、マウスの血球数が正規分布を示す為、多群間におけるパラメトリックな検定法であるANOVA検定およびDunnett検定を用いて各群における血球数の有意差検定を行った。
〔結果〕
横軸に投与からの経過日数、縦軸には各血球数をとり、測定により得られた各血球数の経時的変化を図3〜6に示した。
図3に、白血球数の変化を示した。shamcontrol群に対して、オキシカイン(登録商標)投与群、チャーガ投与群、EC12投与群に白血球数の有意な増加が見られた(p<0.05,p<0.01)。
図4に、リンパ球数の変化を示した。shamcontrol群に対して、チャーガ投与群、Combination投与群、EC12投与群にリンパ球数の有意な増加が見られた(p<0.05)。
図5に、単球数の変化を示した。shamcontrol群に対して、オキシカイン(登録商標)投与群、チャーガ投与群、Combination投与群、EC12投与群に単球数の有意な増加が見られた(p<0.05)。
図6に、顆粒球数の変化を示した。shamcontrol群に対して、オキシカイン(登録商標)投与群、チャーガ投与群、Combination投与群、EC12投与群に単球数の有意な増加は見られなかった(p<0.05)。
図3〜6より血球数の増加が認められ、免疫増強作用が認められた。
(3)マウス末梢血液中の抗酸化能及びフリーラジカルスカベンジング作用の測定
〔実験動物〕
使用したマウスは「(2)マウス末梢血液中における血球数への影響」と同じである。
〔ケミルミネッセンス法による抗酸化測定〕
2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)の加温発生ラジカルとアルカリ条件下のルミノール発光を組み合わせた系を用い測定した。
・実験試薬は以下のものを用いた。
MW(分子量)
2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH) 271.19
NaHPO 141.96
NaHPO 119.98
Boric Acid(ホウ酸) 61.83
Luminol (ルミノール) 2〜10℃で遮光保存 177.16
AAPHおよびルミノールは、各500mL
試薬の調製方法は以下の手順で行った。
1)0.1M NaHPO溶液
NaHPO 7.098gを、蒸留水に溶かし、500mlにメスアップした。
2)0.1M NaHPO溶液
NaHPO 5.999gを、蒸留水に溶かし、500mlにメスアップした。
3)0.1M リン酸緩衝液(pH7.0)
0.1M NaHPO溶液305ml + 0.1M NaHPO溶液195mlとした。
4)AAPH試薬
2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)(和光純薬社製)5.4238gを0.1Mリン酸緩衝液に溶解させ、500mlにメスアップした。
5)0.05Mホウ酸緩衝液(pH9.3)
ホウ酸1.54575gを400mlの蒸留水に溶かし、1MのNaOHでpH9.3に合わせた後、500mlまでメスアップした。
6)1M NaOH
20gのNaOHを、蒸留水に溶かし、500mlにメスアップした。
7)ルミノール試薬
50.438mgのチトクロームC(和光純薬)と、9.744mgのルミノール(和光純薬)を0.05Mホウ酸緩衝液(pH9.3):メタノール=1:3の割合の溶液に溶かして500mlにメスアップした。
測定試料は心臓採血に得られた血液を遠心分離(1000rpm、10min(2〜4℃))し、上澄み(血清)を用いた。
血清をラウンドチューブに100μl採り900μlの0.1Mリン酸緩衝液を添加混合し、10倍希釈した。この溶液をラウンドチューブに100μl採り900μlの0.1Mリン酸緩衝液を添加混合し、さらに10倍希釈し100倍希釈した。
100倍希釈した血清をラウンドチューブに200μl採り同量のAAPH試薬を添加混合した。
測定試料は一匹につき2本作り、その平均を用いた。
ブランク液は0.1Mリン酸緩衝液200μl+AAPH200μlとした。
測定は測定試料をアロカ社製BLR−201ルミネッセンスリーダーに入れ、2分間37℃で加温し、ルミノール試液を入れ、20秒反応させた後、発光量を測定し、blank(全発光量)よりそれぞれの試料の発行量を引き抗酸化活性度を求めた。
〔血清SOD活性〕
SOD活性度の測定については、和光純薬工業株式会社製SOD Activity Detection Kitを用いて、NBT還元法による血清中のSOD活性度の測定を行った。
ここでNBT還元法とは、O の検出剤として、NO−TB(ニトロブルーテトラゾリウム)を用い、O の生成反応(キサンチン・キサンチンオキシターゼ)とSODによる不均化反応とを共役させ、O による還元呈色が低下する程度を阻害率としてSOD活性度を求める方法であり、抗酸化活性を定量的に測定することができる。
具体的な測定手順としては、第一に麻酔下のマウス心臓より、テルモ社製シリンジ(針:23G)を用いて、全血の採血を行ない血液凝固防止ためヘパリン処理(5単位/ml)した後、遠心分離(15分、1.5×1000rpm)にかけ全血より血清のみを分離した。
次にサンプルとして、検体(S)、盲検(Bl)、検体盲検(S−Bl)、試薬盲検(Bl−Bl)をたて、96穴マイクロプレートに各サンプルを10μl/wellずつ分注した。
その際の分注は、検体(S)と検体盲検(S−Bl)には血清、盲検(Bl)と試薬盲検(Bl−Bl)には蒸留水とした。各サンプルの分注後、発色試薬を100μl/wellずつ分注し、1分間の攪拌を行った。
攪拌後、検体(S)と盲検(Bl)には酵素溶液、検体盲検(S−Bl)と試薬盲検(Bl−Bl)にはブランク液を100μl/wellずつ分注し、再び1分間の攪拌後、37℃で28分間インキュベートした。インキュベート後、各サンプルに反応停止液を20μl/wellずつ分注し、5分間の攪拌後、東洋曹達株式社製マイクロプレートリーダーMPR A4(波長:560nm)を用いて、各サンプルの吸光度を測定した。
測定により得られた吸光度から(3)式によりSOD活性度を求めた。
統計学的分析については、2群間におけるノンパラメトリックなWilcoxon検定を統計処理に用いて、各群におけるSOD活性度の有意差検定を行った。
その他、AAPH法、DPPH法、ESR法でも抗酸化作用を検討した。
〔結果〕
・ ケミルミネッセンス法による抗酸化測定
各群におけるケミルミネッセンス法による抗酸化測定の発光量平均値を示した。
ケミルミネッセンス法による抗酸化測定の結果を図7に示した。
横軸に各群を、縦軸に発光量をとった。
図7から分かるようにオキシカイン投与群、チャーガ投与群およびCombination投与群においてp<0.001でラジカル除去による有意な低下が見られた。
(4)Tリンパ球への影響
〔実験動物〕
使用したマウスは「(2)マウス末梢血液中における血球数への影響」と同じである。
〔実験試薬〕
ウシ胎児血清:FBS(非働化処理済み(56℃、30分間処理))
洗浄緩衝液:リン酸緩衝生理食塩水(0.1%アジカナトリウムを含むPBS(−))
染色緩衝液:0.1%アジカナトリウムと2%FBSを含むPBS(−)
リンパ球サブセット用フローサイトメトリー試薬:抗体CD3−PE−Cy5.5/抗体CD4−FITC/抗体CD8−PE/陰性コントロール CD3−FITC/CD16−PE
〔Tリンパ球の解析〕
Tリンパ球サブセットの解析については、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)社製のマルチカラーフローサイトメトリー(FCS)システムを用いて、3カラーによるフローサイトメトリー解析による末梢血液中のTリンパ球CDマーカーCD3、CD4、CD8の測定およびNK−cell CDマーカーCD3、CD16の測定を行った。
ここでフローサイト解析とは、細胞に蛍光標識したモノクローナル抗体(MoAb)を反応させ細胞を蛍光染色した後、細胞にレーザー光を照射し、前方散乱光と90°散乱光からコンピュータのディスプレイ上に細胞の分布(以下サイトグラムという)を表示させ、目的とする細胞の領域を指定して、その領域の細胞について解析を行う方法である。フローサイトメトリーは、細胞表面に発現されている分子に結合した抗体から発される蛍光強度を電気信号に変換することで、定量的に解析することが可能である。
具体的な測定手順としては、マウスの心臓より採血した血液をヘパリンにて抗凝固処理後、リンパ球分離、洗浄、細胞の数をカウント後、染色、し解析した。
処理はリンパ球分離法にて行った。リンパ球分離法の過程は以下の通りとした。
〔リンパ球分離過程〕
1)採取した血液1mlをPBSにて3倍に希釈し、リンパ球分離液の入った15mlのファルコン遠心チューブに1:4の割合でリンパ球分離液と混合しないようパスツールピペットを用いて静かに流し込んだ。
2)400G(1600rpm)、25min、4℃で遠心分離し、リンパ球層を注意深くパスツールピペットにて吸引し別のファルコン遠心チューブに移した。
3)5%ウシ胎児血清を含むPBS(−)を5ml加え、よく混合した。
4)200G(1300rpm)、10分間遠心分離し、上清を除去した後再度ウシ胎児血清を含むPBS(−)に細胞を浮遊させ1000rpmで5分間遠心分離を2度行った。
5)上澄みを取り除き、1mlの染色緩衝液を加え、再懸濁した。
6)生細胞数をカウントし、検体には90%以上の生細胞が含まれるように、また、抗体の量の関係上染色されない細胞の出現を防ぐために1検体当たりに細胞数は1×10cells以下とした。
〔染色課程〕
1)ファルコンチューブに調製した細胞50μlを取り抗体を加え、冷暗所で30分間反応させた。
2)洗浄緩衝液を2ml加え、緩やかに混合した。
3)200G(950rpm)、5min、室温で遠心分離し上澄みを取り除いた。
4)0.5mlのPBSを加えよく混合し、解析するまで2〜8℃で保存した。
尚、この方法はBD社のプロトコールである。
解析のスケジュールは、投与開始から7、21、35、42日目に解析した。
(5)NK細胞活性
本研究に用いたEC12とオキシカイン(登録商標)は、Bio Queen株式会社と株式会社ブロマ研究所から提供されたものである。
実験群の分類は、蒸留水を経口投与し、SCC7を接種したcontrol群(以下Shamcontrol群)、オキシカイン(登録商標)を経口投与し、SCC7を接種したオキシカイン(登録商標)群、チャーガを経口投与し、SCC7を接種したチャーガ群、EC12を経口投与し、SCC7を接種したEC12群、Combinationを経口投与し、SCC7を接種したCombination群の計5群とした。また、実験に使用したマウスは各群10匹とした。
C3Hマウスを頚椎脱臼でマウスを殺し、体表面をアルコールで滅菌した。
滅菌したハサミとピンセットで表皮を切開し、脾臓を取り出し、クリーンベンチ内で滅菌した器具を用いて、滅菌した銅金属メッシュ上でヘラを用いてすり潰した。
すり潰した脾臓細胞にPBS液10mlを加えて、顕微鏡にて細胞数を測定する。次にこれを遠心分離にかけた(3分、1.5×1000rpm)。
細胞が下に溜まっているので、上液のPBS液を捨てて、RPMI1640の培養液を加えて、2×10cells/mlになるようにした。
次に、YAC−1 10Cells/mlに100μCiの51Crを加え、37℃で1時間インキュベートした。RPMI1640培養液で3回洗浄後、標的細胞として使用した。RPMI1640の培養液を加えて、2×10cells/mlにした細胞と、YAC−1 10Cells/mlに100μCiの51Crを加えた標識細胞とを混合し、遠心分離し(3分、1.5×1000rpm)、インキュベータ内で4時間培養した。
培養後、96穴平底マイクロプレートに各種細胞数(A.2×10、B.1×10、C.5×10、D.2.5×10、E.1.25×10)に分けて、24時間放置した。その後、放出された51Crをガンマーカウンターで測定した。
尚、データの統計処理については、ANOVA検定及びDunnett検定を行った。
〔結果〕
サイトグラム上において、リンパ球領域を決定したのち解析を行い、Tリンパ球中のCD3陽性CD4陽性細胞数、即ちヘルパーT細胞数およびCD3陽性CD8陽性細胞数すなわちサプレッサーT細胞およびキラーT細胞数を求めた。そのときのサイトグラムを図8に示し、CD4およびCD8の解析図(ドットプロット)をそれぞれ図9および図10に示した。さらにNK−cellの活性度をCD3陽性CD16陽性細胞数にて解析した。横軸に各群を、縦軸にCD4陽性細胞数の割合をとり、各群におけるCD4陽性細胞の活性の比較を図11に、各群におけるCD8陽性細胞の活性の比較を図12に、各群におけるCD16陽性細胞の活性の比較を図13に示した。
フローサイトメーターにより、各群におけるTリンパ球中のヘルパーT細胞数を測定したところ、図11からもわかるように、投与21日後にshamcontrol群に比べ、EC12、オキシカインおよびCombination投与群のCD4陽性数すなわちヘルパーT細胞が増加を示した。
しかし、チャーガ投与群ではヘルパーT細胞の減少がみられた。
フローサイトメーターにより、各群におけるTリンパ球中のサプレッサーT細胞数およびキラーT細胞数を測定したところ、図12からもわかるように、shamcontrol群に比べ、EC12、オキシカイン(登録商標)およびCombination投与群のCD8陽性数つまりサプレッサーT細胞数およびキラーT細胞数の増加を示した。
フローサイトメーターにより、各群におけるTリンパ球中のNK−cell数を測定したところ、図13からもわかるように、投与42日後においてshamcontrol群に比べ、EC12、オキシカイン(登録商標)およびCombination投与群のCD16陽性数つまりNK−cell数の増加が示された。
(6)血清中におけるTNF−α,INF−γ,IL−2およびIL−12の測定
1)TNF−α測定
実験方法はC3H/HeJ4週令雄のマウス1群10匹を用い、EC12、チャーガ、オキシカイン(登録商標)、Combinationを投与した。
投与方法は、以上の実験と同様である。
投与後4週目マウスに採血し、血清を採取した。
その血清とPIERCE ENDOGEN社のMouse TNF−α ELISA Kit EMTENFA(code RPN2718)を用いて測定を行った。
キットを室温に平衡し,TNF−α microtitre plateに、希釈したTNF−α standardおよびSampleを各ウェルに50μlずつ加え、その後、Biotinylated Antibody Reagentを50μl加えた。その後、室温にて2時間インキュベート後、Auto mini washer(バイオテック株式会社)を用いて5回洗浄した。
洗浄後、作成したStreptavidn−HRP Solutionを各ウェルに100μlづつ加え、室温にて30分インキュベート後、5回洗浄した。
TMB Substrate Solutionを100μl加え室温暗所にて30分インキュベートし、発色確認後、反応停止液を100μl加え、MICRO PLATE READERMPR−A4(TOYOSODA)を用い、450nmの波長にて測定した。
2)INF−γの測定
INF−γの測定についても、TNF−αと同様、ELISA法を用い、Mouse IFN−γ ELISA Kit(Amersham Biosciences株式会社)で測定した。実験方法はC3H/HeJ4週令雄のマウス1群10匹を用い、EC12、チャーガ、オキシカイン(登録商標)、Combinationを投与した。投与後4週目マウスに採血し、血清を採取した。その血清を−20℃で3時間凍結し、融解させた後遠心分離(3000rpm,10min)し、上澄液を透析膜に入れポリエチレングリコール(PEG4000)を用いて濃縮させ、sampleとし、sample及びstandardを各ウェルに50μlずつ分注した後、室温(20−25℃)で、120分インキュベートした。次にBiotinylated Antibody Reagentを50μl各ウェルへ加え、室温(20−25℃)で、60分インキュベートし、Wash Bufferにて3回洗浄したものに、Streptavidin−HRP incubationを100μlずつ加え、室温で30分インキュベートした後、Wash Bufferにて、3回洗浄し、TMB Solutionを100μlずつ加えた。
その後室温で30分以上(青色の発色の程度に応じて時間を決定)インキュベートした。インキュベート後、Stop Solutionを100μl加え、Stop Solution添加後30分以内にLabsystems Multiskan MS−UV(大日本製薬(株))にて450nmの波長で吸光度を測定した後、Standardから得られた検量線を用いて、吸光度からIFN−γの蛋白濃度を算定した。
3)血清IL2、IL12の測定
実験方法はC3H/HeJ4週令雄のマウス1群10匹を用い、EC12、チャーガ、オキシカイン(登録商標)、Combinationを投与した。投与方法は、以上の実験と同様である。投与後4週目マウスに採血し、血清を採取した。Amersham Biosciences社のIL−2,IL−12, Mouse,Biotrak ELISA Systemを用いて測定を行った。
キットを室温に平衡し、IL−2,12 microtitre plateにそれぞれ、Plate regentを50μl加え、希釈したIL−2、IL−12 standard、Standard diluentおよびSampleを、各ウェルに50μlずつ加えた。その後、37℃±2℃で2時間インキュベート後、Washe bufferにて5回洗浄し、Conjugateを100μl加え、37℃±2℃で1時間インキュベートした。Washe bufferにて5回洗浄し、Pre−mixed TMB substrate solutionを100μl加え室温暗所にて30分インキュベーションしStop solutionを100μl加え、MICRO PLATE READERを用い、波長450nmにて測定した。
〔結果〕
1)SCC7担癌マウスによるTNF−α産生能
TNF−αはELISA法により測定した。Standardから得られた検量線を用いて、吸光度から求めたTNF−αを示した。横軸に各群を、縦軸にTNF−αをとり図14に示した。control群に対して、Shamcontrol群、オキシカイン投与群にTNF−αの有意な増加が見られた。
2)SCC7担癌マウスによるIFN−γ産生能
IFN−γの測定にはELISA法により求めたIFN−γを示した。また、横軸に各群を、縦軸にIFN−γをとり図15に示した。control群に対して、すべての投与群にTNF−γの有意な増加が見られた。
3)IL−2
横軸に各群を、縦軸にIL−2をとり図16に示した。control群に対して、すべての投与群にIL−2の有意な増加が見られた。特にCombinationに活性が認められた。
4)IL−12
横軸に各群を、縦軸にIL−12をとり図17に示した。control群に対して、すべての投与群にIL−12の有意な増加が見られた。
腫瘍接種(SCC7)から30日目までの腫瘍体積(mm)の推移を示したグラフである。 腫瘍接種(SCC7)から30日目までの腫瘍重量(g)の推移を示したグラフである。 マウスの尾静脈から採取した末梢血液中に含まれる白血球数(10/ul)の変化を示したグラフである。 放射線処理したマウスの尾静脈から採取した末梢血液中に含まれる白血球数(10/ul)の変化を示したグラフである。 マウスの尾静脈から採取した血液中の単核細胞数(10/ul)の推移を示したグラフである。 マウスの尾静脈から採取した血液中の顆粒球数(10/ul)の推移を示したグラフである。 ケミルミネッセンス法による抗酸化測定の発光量(K count)の平均値を示したグラフである。 Tリンパ球中のヘルパーT細胞数、サプレッサーT細胞数およびキラーT細胞数を、サイトグラム上で示した図である。 CD4陽性(CD4+)をフローサイトメトリー解析(Flow cytometric analysis)した図である。 CD8陽性(CD8+)をフローサイトメトリー解析(Flow cytometric analysis)した図である。 CD4陽性細胞(CD4+)の活性の比較を示した図である。 CD8陽性細胞(CD8+)の活性の比較を示した図である。 CD16陽性細胞(CD16+)の活性の比較を示した図である。 ELISA法によってTNF−α蛋白濃度を測定した図である。 ELISA法によってIFN−γ蛋白濃度を測定した図である。 ELISA法によってIL−2蛋白濃度を測定した図である。 ELISA法によってIL−12蛋白濃度を測定した図である。

Claims (6)

  1. エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する免疫賦活食品。
  2. エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する免疫賦活補助食品。
  3. エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する抗腫瘍食品。
  4. エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物の加熱死菌体の水溶性抽出物、抗酸化酵素およびチャーガの抽出物からなる群より選択される何れか一種以上を含有する抗酸化食品。
  5. 前記エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)属に属する微生物が、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株(IFO16803)である請求項1乃至4いずれか記載の食品。
  6. 前記抗酸化酵素が、ヴォークルシアン(Vauclusien)から抽出した抗酸化酵素を、小麦抽出物グリアディンでコーティングしたものである請求項1乃至5いずれか記載の食品。
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