JPWO2003059980A1 - 軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

軟質ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDF

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Abstract

フォギング問題がなく、かつ、キュア性、耐久性の優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とをウレタン化触媒および発泡剤の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、ウレタン化触媒として、分子内に水酸基を有するアミン系触媒を用い、ポリオール化合物として、複合金属シアン化物錯体触媒を用いてエチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドとをランダムに開環付加重合させて形成されたオキシアルキレンランダム鎖(1A)、および、アルカリ金属触媒を用いて、エチレンオキシドを開環付加重合させて形成された末端オキシエチレンブロック鎖(1B)を有し、かつ、水酸基価が5〜56mgKOH/gであるポリオール(1)を用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

Description

技術分野
本発明は軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関し、特に、フォギング問題がなく、かつ、キュア性、耐久性の優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
背景技術
軟質ポリウレタンフォーム(以下、軟質フォームという)は、一般的に、優れた弾性触感により、主に、自動車用シートクッションやシートバック、家具用品等に多用されている。
従来から、軟質フォームの製造におけるポリオールとポリイソシアネートの反応触媒として、ある一定量以上のアミン系触媒の添加が必須であった。しかし、このアミン系触媒を用いた軟質フォームを自動車車内で使用すると、室内環境その他の原因でこのアミン系触媒に起因するガス等が発生し、自動車ガラスの表面が曇る、または計器板に用いられているポリカーボネートが白化したりポリ塩化ビニルが黄変するという問題(フォギング問題)がクローズアップされるようになってきた。そこで、フォギングを防ぐ目的で、アミン系触媒の構造の一部をイソシアネート化合物と反応するように、ヒドロキシル化したもの(以下、反応型アミン系触媒という)が使用されるようになってきた。例えば、特許文献1(特開2001−181363号公報)等に反応型アミン系触媒を使用する発明が記載されている。
しかし、反応型アミン系触媒は、反応途中でイソシアネートと反応するため、反応後半の触媒活性が低くなり、硬化が不充分となるため、脱型性(キュア性)が不充分であり、軟質フォームの脱型時に軟質フォームのスキンの剥離、破れが生じ金型汚染を招くと同時に得られる製品の外観不良となりやすいという問題があった。特に最近は、短時間で成形品を脱型することが求められているため、反応型アミン系触媒の添加量も多くなり、熱分解によって再発生するアミン系触媒によるフォギングも問題になってきた。
また、この反応型アミン系触媒は多くの場合、分子内に1つの水酸基を有しているため、イソシアネートとの反応という観点からはモノオールであり、モノオールが多くなると架橋密度が低下するため、強度や耐久性(特に湿熱圧縮永久歪)が低下する傾向にある。
一方、従来より軟質フォームの特性を向上させるために種々の検討がなされており、例えば、自動車等のシートクッションの乗り心地性能を向上させるため、反発弾性、振動特性、耐久性等の向上が目標とされている。また、近年では、ユーザーの乗り心地性能に対する嗜好の変化に伴って、反発弾性の低い軟質フォームが求められるようになっている。振動特性に関しては、人が敏感な周波数域(例えば4〜8Hz、または6〜20Hzといわれている)の減衰を大きくとることが乗り心地性能の向上に有効であるとされている。これらの特性を向上させるには、より分子量の高いポリオキシアルキレンポリオールを用いてシートクッションを製造することが有効であると考えられている。
一般に、軟質フォームの原料として用いられるポリオキシアルキレンポリオールは、水酸化ナトリウム等のナトリウム系触媒、または、水酸化カリウム等のカリウム系触媒を用い、多価アルコール等を開始剤として、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを開環付加重合させて製造される。この製造方法では、副生物として不飽和結合を有するポリオキシアルキレンモノオール(不飽和モノオール)が生成し、この不飽和モノオールの生成量はポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価の低下(分子量の増大)と共に増加する。
軟質フォームの原料として広く用いられている水酸基価が56mgKOH/g程度のポリオキシアルキレンポリオールの製造では、この不飽和モノオールの生成量は大きな問題となることはないが、分子量の高い、低水酸基価のポリオールの場合はこの不飽和モノオールの生成量が問題となる。すなわち、乗り心地性能の向上を目指して、比較的分子量の高いポリオキシアルキレンポリオールを用い、しかも上述のフォギング現象の解消のため反応型アミン系触媒を用いて軟質フォームを製造すると、強度や耐久性が低下して、自動車シートクッション用として良好な軟質フォームが得られないという問題があった。
この不飽和モノオールの生成を抑制し、強度や耐久性の向上を目的とするために、高分子量のポリオキシアルキレンポリオールの製造触媒として、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることが知られている。例えば、特許文献2(特表2000−517347号公報)等に複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオキシアルキレンポリオールを用いて軟質フォームを製造する発明が記載されている。
そこで本発明者等は、前述のフォギングの問題を解決し、かつ、不飽和モノオールの含有量の少ないポリオールを用いて、強度や耐久性の良好な軟質フォームを得ることを検討した。その結果本発明者等は、反応性が高く特定の構造を有するポリオキシアルキレンポリオールと反応型アミン系触媒を組み合わせることで、フォギングの問題および強度と耐久性との問題を非常に良好な水準で解決できることを見出した。
発明の開示
すなわち、本発明の要旨は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とをウレタン化触媒および発泡剤の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、ウレタン化触媒として、分子内に水酸基を有するアミン系触媒を用い、ポリオール化合物として、複合金属シアン化物錯体触媒を用いてエチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドとをランダムに開環付加重合させて形成されたオキシアルキレンランダム鎖(1A)、および、アルカリ金属触媒を用いて、エチレンオキシドを開環付加重合させて形成された末端オキシエチレンブロック鎖(1B)を有し、かつ、水酸基価が5〜56mgKOH/gであるポリオール(1)を用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法にある。
本発明において、特定のウレタン化触媒と特定のポリオールとを組み合わせることにより、フォギング問題を解決し、かつ、強度、耐久性の良好な軟質フォームが得られる。すなわち、特定のウレタン化触媒を用いてフォギング問題を解決し、これに反応性の高い特定のポリオールを組み合わせることにより、軟質フォーム製造の後半でも反応速度が維持され、強度、耐久性の良好な軟質フォームが得られる。
発明を実施するための最良の形態
[ポリオール(1)の構造]
本発明においてはポリオール化合物として下記ポリオール(1)を用いる。このポリオール(1)とは、開環付加重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて製造される、ポリオキシアルキレンポリオールである。
また、このポリオール(1)は、オキシアルキレンランダム鎖(1A)と末端オキシエチレンブロック鎖(1B)を有する。すなわち、ポリオール(1)は分子中に、開始剤残基(1S)、オキシアルキレンランダム鎖(1A)、および、末端オキシエチレンブロック鎖(1B)を有する。
また、開始剤残基(1S)とオキシアルキレンランダム鎖(1A)との間に炭素数3以上のアルキレンオキシド1種を開環付加重合させて形成されたオキシアルキレンブロック鎖(1P)を有していてもよく、オキシアルキレンランダム鎖(1A)と末端オキシエチレンブロック鎖(1B)との間に炭素数3以上のアルキレンオキシド1種を開環付加重合させて形成されたオキシアルキレンブロック鎖(1Q)を有していてもよい。特にオキシアルキレンブロック鎖(1P)を有することが好ましい。すなわち、ポリオール(1)は分子中に、開始剤残基(1S)、オキシアルキレンブロック鎖(1P)、オキシアルキレンランダム鎖(1A)、および、末端オキシエチレンブロック鎖(1B)を有することが好ましい。
[開始剤残基(1S)]
本発明におけるポリオールの開始剤としては、多価アルコール類、多価アミン類、縮合系化合物類などの活性水素化合物を用いることができる。なお、開始剤残基(1S)とは、本発明におけるポリオール(1)のうち開始剤に由来する部分をいう。この開始剤残基(1S)の割合はポリオール(1)全体に対して25質量%以下が好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
開始剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、meso−エリスリトール、メチルグリコシド、グルコース、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン等のアミン類;フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の縮合系樹脂類等の活性水素を有する活性水素化合物が用いられる。これらの活性水素化合物は2種以上を併用してもよい。これらの活性水素化合物の中では多価アルコール類が好ましい。このうち、3価以上の多価アルコール類は、この多価アルコール類を開始剤として製造したポリオールを原料とする軟質フォームの硬度が発現しやすい点で好ましい。
また、上記開始剤にプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを少量開環付加重合して得られた化合物を開始剤として用いてもよい。この少量開環付加重合させるアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシドが好ましく、こうして得られる化合物の水酸基価は60mgKOH/g以上であることが好ましい。
すなわち、3価以上の多価アルコールにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られる水酸基価が60mgKOH/g以上の化合物が開始剤として最も好ましい。
[オキシアルキレンランダム鎖(1A)]
本発明におけるポリオール(1)は、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて形成されたオキシアルキレンランダム鎖(1A)を有する。ここでオキシアルキレンランダム鎖とは、エチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドとを所定の比率で反応系中に供給し、ランダムに開環付加重合させて得られる構造である。このオキシアルキレンランダム鎖(1A)の割合は、ポリオール(1)全体に対して5〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましい。
本発明におけるポリオール(1)のオキシアルキレンランダム鎖(1A)におけるオキシエチレン基の含有量はオキシアルキレンランダム鎖(1A)に対して3〜35質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。すなわち反応系中に供給するエチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドとの比率は、質量比(エチレンオキシド/炭素数3以上のアルキレンオキシド)で、3/97〜35/65が好ましく、5/95〜30/70がより好ましい。この範囲を超えてオキシアルキレンランダム鎖(1A)のオキシエチレン基が少ない場合も多い場合も、軟質フォームの独立気泡性が高く成形性が悪化する場合があり好ましくない。
[末端オキシエチレンブロック鎖(1B)]
本発明におけるポリオール(1)は分子末端に、アルカリ触媒を用いて製造された末端オキシエチレンブロック鎖(1B)を有する。すなわち、ポリオール(1)の製造におけるアルキレンオキシドの開環付加重合の最終段階として、アルカリ金属触媒を用いて、エチレンオキシドを開環付加重合させる。ここで、アルキレンオキシドの開環付加重合触媒は、複合金属シアン化物錯体触媒からアルカリ金属触媒へと変換する。この末端オキシエチレンブロック鎖(1B)の含有量はポリオール(1)全体に対して3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。末端オキシエチレンブロック鎖(1B)が40質量%を超えると、クラッシング処理後にも収縮が発生しやすく、好ましくない。また末端オキシエチレンブロック鎖(1B)が3質量%未満の場合は、軟質フォームの製造時にフォームのコラップス(陥没)が発生しやすく、製造が困難となり好ましくない。この末端オキシエチレンブロック鎖(1B)が所定量存在することにより、ポリオール(1)の反応性が高くできる。
[オキシアルキレンブロック鎖(1P)、(1Q)]
本発明におけるポリオール(1)は、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて形成されたオキシアルキレンブロック鎖(1P)および/または(1Q)を有することが好ましい。ただし、オキシアルキレンブロック鎖(1P)とは、開始剤残基(1S)とオキシアルキレンランダム鎖(1A)との間に、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、炭素数3以上のアルキレンオキシド1種を開環付加重合させて得られる構造である。また、オキシアルキレンブロック鎖(1Q)とは、オキシアルキレンランダム鎖(1A)と末端オキシエチレンブロック鎖(1B)との間に、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、炭素数3以上のアルキレンオキシド1種を開環付加重合させて得られる構造である。オキシアルキレンブロック鎖(1P)、(1Q)の形成に用いるアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシドが好ましい。この場合はオキシアルキレンブロック鎖はオキシプロピレンブロック鎖である。このオキシアルキレンブロック鎖(1P)と(1Q)の合計の割合は、ポリオール(1)全体に対して5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、20〜30質量%が特に好ましい。このうち、特に、オキシアルキレンブロック鎖(1P)の割合がポリオール(1)全体に対して20〜30質量%であると、軟質フォームの硬度を高く制御でき好ましい。
また、このオキシアルキレンブロック鎖(1P)と(1Q)の合計の割合が50質量%を超えて多いと、軟質フォームの独立気泡性が高くなることから成形性が悪化する傾向にあり、またキュア性が悪化することから硬度が発現しにくい傾向にあり好ましくない。
[複合金属シアン化物錯体触媒]
本発明で用いられる複合金属シアン化物錯体触媒としては、例えば、特公昭46−27250号公報に記載の化合物が挙げられる。特に、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、エーテルおよび/またはアルコールが配位した錯体が好ましい。この複合金属シアン化物錯体触媒を用いることにより、ポリオール製造時における不飽和モノオールの副生量を抑制でき、得られるポリオールを原料とする軟質フォームの耐久性が向上する。この複合金属シアン化物錯体触媒としては、tert−ブチルアルコールが配位した錯体が、不飽和モノオールの副生量が少ない点で好ましい。
複合金属シアン化物と錯体を形成するエーテルとしては、特に制限はないが、式(1)で表される化合物(以下、化合物(X)という)が好ましい。
−C(CH−(OR−OH (1)
ただし、式(1)において、Rはメチル基またはエチル基を示し、Rはエチレン基またはエチレン基の1つ以上の水素原子がメチル基もしくはエチル基で置換された基を示し、nは1〜3の整数を示す。Rとしては、エチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基および1,1−ジメチルエチレン基から選ばれる基が特に好ましい。
化合物(X)としては、WO00/02951に記載されている化合物が挙げられ、具体的には下記の化合物が好ましい。
nが1の場合、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル。nが2の場合、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル。nが3の場合、トリエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル。
さらに、化合物(X)としては、nが1である化合物がより好ましく、Rがメチル基であるものがさらに好ましい。また、化合物(X)としては2種以上の化合物を併用することができる。
有機配位子として化合物(X)と他の化合物とを併用する場合、併用できる化合物としては、tert−ブチルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド、グライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、2−プロパノールおよびジオキサンから選ばれる1種または2種以上の化合物であることが好ましい。ジオキサンとしては、1,4−ジオキサンでも1,3−ジオキサンでもよく、1,4−ジオキサンが好ましい。併用する化合物としてはtert−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコールまたはグライムが好ましく、tert−ブチルアルコールが最も好ましい。
[アルカリ金属触媒]
前記アルカリ金属触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒、セシウム系触媒を挙げることができる。ナトリウム系触媒としては、例えば、ナトリウム金属、ナトリウムメトキシドなどのナトリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを挙げることができる。カリウム系触媒、セシウム系触媒の場合も同様である。
本発明で用いるポリオール(1)の製造において、前記複合金属シアン化物錯体触媒からアルカリ金属触媒に触媒を変換する方法としては、複合金属シアン化物錯体触媒を積極的に失活させてからアルカリ金属触媒を反応系に添加してもよく、積極的失活処理をせずにそのままアルカリ金属触媒を反応系に添加してもよい。前者の場合、積極的失活処理としては、水、酸またはアルカリの投入による処理、吸着剤の投入による処理等が挙げられる。後者の場合は、アルカリ金属触媒の添加により、複合金属シアン化物錯体触媒は失活する。
[アルキレンオキシド]
前記炭素数3以上のアルキレンオキシドとしては、上記のプロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド等が挙げられるが、プロピレンオキシドを用いることが好ましい。
[ポリオール(1)の性質]
本発明で用いるポリオール(1)の水酸基価は、5〜56mgKOH/gであり、10〜42mgKOH/gがより好ましく、10〜34mgKOH/gが特に好ましい。水酸基価が56mgKOH/gを超えて大きい(分子量が低い)と、得られる軟質フォームの弾性が不充分となりやすく好ましくない。また、水酸基価が5mgKOH/g未満の場合は、得られる軟質フォームの硬度が充分高くならず好ましくない。
本発明で用いるポリオール(1)の水酸基数は2〜8が好ましく、2.7〜7がより好ましく、2.8〜5.2がさらに好ましい。水酸基数が2未満では、得られる軟質フォームが柔らかくなり、耐久性が悪化する傾向にあり好ましくない。水酸基数が8を超えると得られる軟質フォームが硬くなり、伸び等の機械的物性が悪化する傾向にあり好ましくない。
本発明で用いるポリオール(1)の不飽和度は0.04meq/g以下が好ましく、0.03meq/g以下がより好ましく、0.025meq/g以下がさらに好ましく、0.02meq/g以下が特に好ましい。不飽和度が0.04meq/gより大きいと、すなわち不飽和モノオールが多いと、得られる軟質フォームの耐久性、乗り心地性能が悪化しやすく好ましくない。ここで軟質フォームの耐久性の指標としては、乾熱圧縮永久歪みおよび湿熱圧縮永久歪みが挙げられる。不飽和度が大きくなるにつれて、前記圧縮永久歪みの値が大きくなり、耐久性が悪くなりやすい。また軟質フォームの乗り心地性能の指標としては、共振振動数が挙げられる。共振振動数が低下するにつれて、人が不快と感じる6Hzの伝達率が低下する相関があり、指標として好適である。
また、本発明で用いるポリオール(1)の分子末端の末端オキシエチレンブロック鎖(1B)部分に由来する、ポリオールの末端水酸基のうちの一級水酸基の割合である末端水酸基の一級化率は60モル%以上が好ましく、80〜95モル%がより好ましい。
[ポリマー分散ポリオール]
本発明において用いるポリオール(1)としてはポリマー分散ポリオールを含んでいてもよい。ポリマー分散ポリオールとは、ベースポリオール(分散媒)中にポリマー微粒子(分散質)が安定に分散している分散系であり、ポリマーとしては付加重合系ポリマーでも縮重合系ポリマーでもよい。
ポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子としては、アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、その他のビニルポリマーやコポリマー等の付加重合系ポリマー、または、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂等の縮重合系ポリマーからなる。
ポリオール中にポリマー微粒子が存在することにより、ポリオールの水酸基価が低く抑えられ、軟質フォームの硬度、通気性等の物性向上に有効である。ポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子含有量は50質量%以下が好ましく、3〜40質量%がより好ましい。なお、ポリオールの質量を計算に用いる場合はポリマー微粒子の質量は含めずに考える。
[他のポリオール]
本発明においては、上述のポリオール(1)とポリイソシアネート化合物を分子内に水酸基を有するアミン系ウレタン化触媒、発泡剤の存在下に反応させて軟質フォームを製造するが、得られる軟質フォームの耐久性、乗り心地性能等を損なわない範囲で、他のポリオールを併用してもよい。このような他のポリオールとしては、アルカリ金属触媒を用いて多価アルコール等の開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合してなるポリオキシアルキレンポリオールや、このポリオールをベースポリオールとしたポリマー分散ポリオール等が使用できる。他のポリオールの割合はポリオール化合物全体に対して40質量%以下が好ましい。
[ポリイソシアネート化合物]
本発明で用いるポリイソシアネート化合物としては特に制限はないが、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート、それらの2種類以上の混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等を挙げることができる。具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネートやそれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等がある。このうち、TDI、MDI、クルードMDI、およびこれらの変性体が好ましい。
ポリイソシアネートの使用量は通常イソシアネートインデックス(ポリオール、架橋剤等の総活性水素数に対するイソシアネート基の数の100倍で表される数値)で表すが、本発明におけるイソシアネートインデックスで80〜120とすることが好ましく、85〜110とすることがより好ましい。
[発泡剤]
本発明においては、水および不活性ガスから選ばれた少なくとも1種の発泡剤を用いることが必要である。不活性ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス等を例示でき、このうち、水を用いることが好ましい。これら発泡剤の使用量は特に限定されるものではなく、発泡剤として水のみを使用する場合は、ポリオール100質量部に対して10質量部までとすることが好ましく、0.1〜8質量部用いることがより好ましい。
[ウレタン化触媒]
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させる際のウレタン化触媒としては、分子内に水酸基を有するアミン系触媒を用いる。ここでこの特定のアミン系触媒としては、アミノ基として三級アミノ基のみを有するアミン系化合物が好ましい。すなわち一級アミノ基(−NH)または二級アミノ基(−NRH)(ただしRは1価の有機基である。)を有していないアミン系化合物が好ましい。またアミン系化合物が分子内に有する水酸基の数は1個のみが好ましい。2個以上有する場合には、ウレタン化触媒としての活性が低下しやすく好ましくない。これは活性水素原子を分子内に複数有した場合には、イソシアネート化合物との反応が優先してしまい、触媒能を有する活性点が樹脂化反応の早い段階で樹脂中に固定されてしまい、触媒として有効に機能しにくいためと考えられる。また上記特定のアミン系触媒としては、分子量が300以下のものが好ましく、200以下がより好ましい。
このアミン系触媒の具体例としては、N,N−ジメチルエタノールアミン[HOCHCHN(CH]、N−メチル−N−(ジメチルアミノプロピル)アミノエタノール[(CHNCHCHCHN(CH)CHCHOH]、ジメチルアミノエトキシエタノール[(CHNCHCHOCHCHOH]、トリメチルアミノエチルエタノールアミン[(CHNCHCHN(CH)CHCHOH]、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、ジメチルヘキサノールアミン[(CHN(CHOH]等が挙げられる。
上記特定のアミン系触媒の使用量としては、ポリオール化合物100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。ウレタン化触媒として、分子内に水酸基を有するアミン系触媒を用いることにより、アミン系触媒がポリウレタン樹脂と結合し、遊離のアミン量を大幅に減少させるので、フォギング問題が生じにくくなる。
またウレタン化触媒としては、上記特定のアミン系触媒とそれ以外の従来公知の触媒とを併用してもよい。従来公知の触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどの三級アミン類;酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等のカルボン酸金属塩;ジブチルスズジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。ただしこれら特定のアミン系触媒以外の触媒は使用しないことが好ましい。
[整泡剤]
さらに、良好な気泡を形成するための整泡剤を用いてもよい。整泡剤としては、特に制限はなく、例えばシリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤等が挙げられるが、シリコーン系整泡剤が好ましい。
[架橋剤]
本発明において架橋剤も使用できる。架橋剤としては、水酸基、一級アミノ基および二級アミノ基から選ばれる活性水素含有基を2個以上有する化合物が好ましい。また、架橋剤の水酸基価は100mgKOH/g以上が好ましく、150mgKOH/g以上がより好ましく、200mgKOH/g以上がさらに好ましい。活性水素含有基の数は2〜8が好ましい。
具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール、シュークロース、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ビスフェノールA、エチレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン(DETDA)、2−クロロ−p−フェニレンジアミン(CPA)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン、1−トリフルオロメチル−3,5−ジアミノベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−クロル−3,5−ジアミノベンゼン、2,4(または2,6)−トルエンジアミン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の化合物、およびこれらに比較的少量のアルキレンオキシドを付加して得られる化合物等が挙げられる。架橋剤は2種以上併用してもよい。
[その他添加剤]
本発明における軟質フォームの製造時には上記の他に、乳化剤等の界面活性剤;酸化防止剤や紫外線吸収剤等の老化防止剤;炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤等の公知の各種添加剤、助剤を必要に応じて使用できる。軟質フォームはこれらを混合して得られる反応性混合物を下記の成形方法で成形することにより製造できる。
[軟質フォームの製造方法]
本発明に係る軟質フォームの成形方法としては、密閉された金型内に反応性混合物を注入し発泡成形する方法(モールド法)が好ましい。特に、低圧発泡機または高圧発泡機を用いて反応性混合物を直接金型に注入する方法(すなわち、反応射出成形方法)が好ましい。本発明の軟質フォームは、コールドキュア法、ホットキュア法いずれの方法によっても製造できるが、コールドキュア法が好ましい。
本発明に係る製造方法により製造された軟質フォームの用途としては、自動車用シートクッションまたは自動車用シートバックが好適である。
(実施例)
以下に、実施例を用いて、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の処方欄の数値は質量部を表す。
(ポリオールA1の製造例)
グリセリンにプロピレンオキシドを付加させた水酸基価168mg/gの化合物を開始剤として、その1000gの存在下、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル錯体触媒を用いてプロピレンオキシド1525gを約120℃で反応させ、次いでエチレンオキシドを11.6質量%含むエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物2833gを約120℃で反応させた。次いで水酸化カリウムを反応系に添加して触媒を水酸化カリウムに変換し、(以下の製造例でもこの製造例と同様に複合金属シアン化物錯体触媒の積極的失活処理は行わなかった)この水酸化カリウム触媒を用いてエチレンオキシド1097gを約120℃で反応させ、製造を完了した。反応終了後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理を行い、ポリオールA1を得た。
開始剤に直結したオキシプロピレンブロック鎖のポリオールA1全体に占める割合は23質量%であり、オキシアルキレンランダム鎖の割合は43質量%であった。また、オキシアルキレンランダム鎖に占めるオキシエチレン量の比率は11.6質量%であり、ポリオールA1全体に占める末端オキシエチレンブロック鎖の割合は17%であった。ポリオールA1の水酸基価は27.3mgKOH/gであり、不飽和度は0.025meq/gであり、末端水酸基の一級化率は87モル%であった。
(ポリオールA2の製造例)
グリセリンにプロピレンオキシドを付加させた水酸基価168mg/gの化合物を開始剤として、その1000gの存在下、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブチルアルコール錯体触媒を用いてプロピレンオキシド1497gを約120℃で反応させ、次いでエチレンオキシドを11.6質量%含むエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物2800gを約120℃で反応させた。次いで水酸化カリウムを反応系に添加して触媒を水酸化カリウムに変換し、この水酸化カリウム触媒を用いてエチレンオキシド1087gを約120℃で反応させ、製造を完了した。反応終了後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理を行い、ポリオールA2を得た。
開始剤に直結したオキシプロピレンブロック鎖のポリオールA2全体に占める割合は23質量%であり、オキシアルキレンランダム鎖の割合は43質量%であった。また、オキシアルキレンランダム鎖に占めるオキシエチレン量の比率は11.6質量%であり、ポリオールA2全体に占める末端オキシエチレンブロック鎖の割合は17%であった。ポリオールA2の水酸基価は27.0mgKOH/gであり、不飽和度は0.007meq/gであり、末端水酸基の一級化率は89モル%であった。
(ポリオールBの製造例)
グリセリンを開始剤としてその1000gの存在下、水酸化カリウム触媒を用いてプロピレンオキシド4358gを約120℃で反応させ、次いで水酸化カリウム触媒によりエチレンオキシド1097gを約120℃で反応させ、反応終了後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理を行い、ポリオールBを得た。
開始剤に直結したオキシプロピレンブロック鎖のポリオールB全体に占める割合は83質量%であり、ポリオールB全体に占めるオキシエチレンブロック鎖の割合率は17質量%であった。ポリオールBの水酸基価は28mgKOH/gであり、不飽和度は0.06meq/gであり、末端水酸基の一級化率は87モル%であった。
(ポリオールCの製造例)
ポリオールBをベースポリオールとして、これにアクリロニトリル/スチレン共重合体微粒子が20質量%、ポリオールBが80質量%となるように分散させて、ポリオールCを得た。
(例1〜6)
表1に記載の配合処方でポリオールに、ウレタン化触媒、発泡剤、整泡剤を加えた混合液とポリイソシアネート化合物をそれぞれ液温25±1℃に調整し、この混合液にポリイソシアネート化合物をイソシアネートインデックスが100になるように加えて、高速ミキサーで5秒間攪拌混合し、直ちに65℃に加温した縦横各400mm、高さ100mmのアルミニウム製金型に注入して密閉した。6分間キュアーした後、金型から軟質フォームを取り出して24時間以上放置してから各種物性の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、例1〜3が実施例、例4〜7が比較例である。
成形性の評価としてキュア性を指標とした。得られた軟質フォームのキュア性の判断としては、脱型30秒後に指でフォームを圧縮し、変形回復の度合いにより3段階評価(○:完全に回復するもの、△:不完全であるが回復するもの、×:ほとんど回復しないもの)を行った。また、以下に軟質フォームの物性の測定に用いた規格を示す。コア密度(単位:kg/m)、25%硬さ(ILD)(単位:N/314m)、コア反発弾性率(単位:%)、引き裂き強度(単位:N/cm)、引っ張り強度(単位:kPa)、伸び率(単位:%)、乾熱圧縮永久歪(単位:%)、湿熱圧縮永久歪(単位:%)はJIS K6400に準拠した方法。共振振動数(単位:Hz)、共振伝達率(共振振動数における振動伝達率(単位:なし)は、JASO B407−87(加振振幅:±2.5mm、加振板:鉄研型、荷重:490N)に準拠した方法。
フォギング性は、下記に従い、質量法と、霞試験法(光線透過法)とで測定した。
質量法:24時間デシケーターで乾燥したサンプル(サイズ=50mm×50mm×10mm)を口径47mmの清潔なガラス瓶に入れ、ガラスプレートで上部を密閉し、110℃で3時間熱し、容器の口にセットしたガラスプレートに付着した物質の質量を試験前後のガラスプレートの質量から求めて揮発成分の量(mg)とした。
光線透過法:24時間デシケーターで乾燥したサンプル(サイズ=50mm×50mm×10mm)を口径47mm、全光線透過率0.4%以下の清潔なガラス瓶に入れ、ガラスプレートで上部を密閉し、80℃で20時間加熱し、試験前後のガラスプレートの全光線透過率の低下率(%)を測定した。
Figure 2003059980
表1で用いた触媒、整泡剤、架橋剤、イソシアネート化合物は以下のものである。
触媒1:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液(東ソー社製、商品名TEDA L33)。
触媒2:ビス[(2−ジメチルアミノ)エチル]エーテルのジプロピレングリコール溶液(東ソー社製、商品名Toyocat ET)。
触媒3:トリメチルアミノエチルエタノールアミン(エアープロダクツ社製、商品名Dabco T)。
触媒4:ジメチルヘキサノールアミン(花王社製、商品名カオライザーNo25)。
整泡剤:シリコン整泡剤(日本ユニカー社製、商品名L5309)。
架橋剤1:開始剤としてソルビトール180gの存在下、水酸化カリウム触媒を用いてプロピレンオキシド900g、次いでエチレンオキシド400gを反応させ、反応後、吸着剤処理、濾過を行って得た水酸基価450mgKOH/gのポリオール。
架橋剤2:ジエタノールアミン。
イソシアネート:TDI−80(2,4−TDI/2,6−TDI=80/20質量%の混合物)/クルードMDI=80/20質量%混合物、イソシアネート基含有量44.8質量%(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートC−1021)。
例4は従来の水酸化カリウム触媒で開環付加重合して得たポリオールとポリイソシアネート化合物とを非反応型アミン系触媒でウレタン化したものであり、アミン系触媒が揮発するため、低フォギング性に劣る。また、ポリオールの不飽和度が比較的高く、湿熱圧縮永久歪みが大きくなっており、耐久性に劣ることがわかる。
例5、例6では反応型アミン系触媒を使用しているので低フォギング性に優れる。しかし、従来の水酸化カリウム触媒で開環付加重合して得たポリオールを用いているので、ポリオールの不飽和度が比較的高く、また、反応後半の触媒活性が低くなり、硬化が不充分となるため、脱型性(キュア性)が不充分であり、25%硬さも低く、湿熱圧縮永久歪みが大きくなっており、耐久性に劣ることがわかる。
例7は複合金属シアン化物錯体触媒を用いてなるポリオールを用いているので、湿熱圧縮永久歪み、25%硬さに優れるが、非反応型アミン系触媒でウレタン化しているので、アミン系触媒が揮発するため、低フォギング性に劣る。
これに対して例1〜3(実施例)では反応型アミン系触媒を使用しているので、低フォギング性に優れる。また、反応型アミン系触媒を用いたときの反応後期での触媒活性の低下、硬化不充分、耐久性不良が生じやすい欠点を、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオールを用いることにより不飽和度を低く保ち、従って反応型アミン系触媒を用いても硬化性に優れ、耐久性にも優れる軟質フォームが得られる。
産業上の利用の可能性
本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、反応型アミン系触媒を用いることにより低フォギング性に優れる軟質フォームが得られる。しかも反応型アミン系触媒を用いても硬化不充分、耐久性不良が生じやすい欠点を抑えつつ、硬化性に優れ、耐久性にも優れる軟質フォームが得られる。

Claims (8)

  1. ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とをウレタン化触媒および発泡剤の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、
    ウレタン化触媒として、分子内に水酸基を有するアミン系触媒を用い、
    ポリオール化合物として、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、エチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドとをランダムに開環付加重合させて形成されたオキシアルキレンランダム鎖(1A)、および、アルカリ金属触媒を用いて、エチレンオキシドを開環付加重合させて形成された末端オキシエチレンブロック鎖(1B)を有し、かつ、水酸基価が5〜56mgKOH/gであるポリオール(1)を用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 前記オキシアルキレンランダム鎖(1A)の形成において、開環付加重合させたエチレンオキシドと炭素数3以上のアルキレンオキシドとの比率が質量比で3/97〜35/65である、請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 前記ポリオール(1)が、開始剤残基(1S)とオキシアルキレンランダム鎖(1A)との間に、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、炭素数3以上のアルキレンオキシドの1種を開環付加重合させて形成されたオキシアルキレンブロック鎖(1P)を有する、請求項1または2に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  4. 前記ポリオール(1)の不飽和度が0.04meq/g以下である、請求項1、2または3に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 前記ポリオール化合物として、ポリマー分散ポリオールを含む、請求項1、2、3または4に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  6. 前記ウレタン化触媒として、アミノ基として三級アミノ基のみを有し、分子内に水酸基を1個のみ有するアミン系触媒を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  7. 軟質ポリウレタンフォームが、密閉された金型内で発泡成形されて製造される、請求項1〜6のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  8. 軟質ポリウレタンフォームの用途が、自動車用シートクッションまたは自動車用シートバックである、請求項1〜7のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
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