JP4058954B2 - 軟質ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車シートに好適な、軟質ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車産業の発展に伴い、車の性能向上はもとより、内装の高級化、居住性の向上・改善が求められるようになり、特に座り心地、乗り心地性改良の観点から、クッション性のより優れたシート用軟質ポリウレタンフォーム(以下、軟質フォームと略記することもある。)の開発が強く望まれている。
従来より、シートクッションとしては、金属バネと軟質フォームからなるパット材を組み合わせたものが多用されてきた。しかし、近年は、コストダウンや軽量化等の要請から、軟質フォーム自体にバネ特性を持たせることによって、金属バネを廃止した、いわゆるフルフォームタイプと呼ばれる自動車シートが採用される傾向にある。フルフォームタイプのシートは金属バネを使用しないため、厚さが厚くなり、軟質フォームの特性がシートの座り心地および乗り心地に大きく関与する要素となった。
【0003】
そこで、フルフォームタイプの自動車シートに好適な軟質フォームの開発に際して、座り心地(静的着座感)および乗り心地(動的着座感)の指標となる静的特性および動的特性が重要視されるようになり、特に、静的特性のうち、着座初期のサポート感と着座終期の底付き感の制御に重点が置かれるようになった。
【0004】
軟質フォームのパット材を備えたシートに実際に人が座ると、軟質フォームが圧縮されてたわみ、臀部等の位置が特定の高さまで沈み込む。この静的特性(静的着座感)の測定方法としては、例えば、JASO自動車規格B408−89の自動車用シートのパット材の性能試験方法に準拠した荷重試験において、たわみ量を測定し、荷重−たわみ量曲線を求める試験方法が採用されている。サポート感に優れた軟質フォームは、荷重のかけ始めにおいて該曲線の立ち上がりが急であり、また、底付き感がなく、良好な座り心地を示す軟質フォームは、高荷重域における曲線の立ち上がりが小さいといわれている。
従来の技術では、サポート感を得るために、軟質フォームの硬度を調節することも行われてきたが、この場合、高荷重域において曲線の立ち上がりが急激となり、底付き感は解消されなかった。
【0005】
一般的に、フルフォームタイプのシート用軟質フォームは、金属バネと併用したシート用フォームに比較して、静的特性としては高荷重領域においてたわみ量が少なく、底付き感があり、座り心地が悪化する傾向にあるという問題があった。この問題を解決するために、フォームの厚さを厚くしたり、密度を上げてたわみ量を大きくする手法が知られている。
例えば、特開平11−322875号公報には、ポリオールとポリイソシアネート成分を主体とするポリウレタンフォーム製造原料に特定のフッ素系界面活性剤を添加して、たわみ量を大きくする方法が提案されている。
また、特開平5−320304号公報には、ポリオール、触媒、発泡剤、その他の添加剤からなるポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、特定の2官能性アミンを添加することによって、底付き感を評価する指標とされる、75%たわみ時の加圧側曲線の傾きが小さくなり、底付き感がなく、柔らかさ、沈み具合、振動特性共にバランスのとれたフォームを製造する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、フルフォームタイプのシート用軟質フォームにおいて、着座姿勢における臀部の安定性も要求されるようになり、このような要求を満たす軟質フォームの開発が望まれていた。
本発明は、自動車シート用軟質フォームにおいて、着座姿勢において良好な臀部の安定性が得られる軟質フォームを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、軟質フォームの断面構造に着目して鋭意研究した結果、軟質フォームのコア層と表面スキン層との密度比がある程度以上小さくなると、着座姿勢が不安定になることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、オキシプロピレンブロック鎖と末端オキシエチレンブロック鎖とがオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を介してつながり、オキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を5〜85質量%有し、該ランダム鎖中のオキシエチレン基含有量が3〜40質量%であり、末端オキシエチレンブロック鎖の含有量が3〜40質量%であり、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.04meq/g以下であるポリオキシアルキレンポリオールを、使用するポリオール全体量に対して少なくとも10質量%以上含むポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤と触媒の存在下で反応させて得られる軟質ポリウレタンフォームであって、両表面をそれぞれ含む10%厚み部分を表面スキン層、それ以外の部分をコア層と定義するとき、前記表面スキン層の密度の値がコア層の密度の値に対して1.1〜1.3倍であり、かつ400mm×400mm×100mm寸法のフォームサンプルの共振振動数の値が3.5Hz以下で、共振伝達率の値が4.5以下であることを特徴とする。
【0009】
前記表面スキン層の密度の値が前記コア層の密度の値に対して1.15〜1.25倍であることがより好ましい。
【0010】
本発明では、軟質ポリウレタンフォームの、両表面(表面と裏面)をそれぞれ含み、厚さがフォーム全体の厚さの10%である外殻部分を表面スキン層、それ以外の部分をコア層と定義する。そして、本発明における軟質ポリウレタンフォームの表面スキン層の密度およびコア層の密度とは、例えば図1に示すように、軟質ポリウレタンフォーム1の表面1aの一部および裏面1bの一部からなる両端面11a、11bと、軟質ポリウレタンフォーム1の厚さ方向に平行な4つの側面12を有し、両端面11a、11bが縦横各400mmの正方形である箱形ピース10を切り出し、さらに該箱形ピース10の中央部分を厚さ方向に平行に切断して、両端面21a、21bが縦横各100mmの正方形で、厚さが前記箱形ピース10と等しいテストピース20を切り出し、得られたテストピース20を厚さ方向に対して垂直にスライスして10等分したスライス片のうち、一方の端面21a側から他方の端面21b側に向かって数えて1枚目のスライス片23aの密度および10枚目のスライス片23bの密度の平均値を表面スキン層の密度といい、2〜9枚目のスライス片23cの密度の平均値をコア層の密度という。
また、密度の測定はJIS K6400に準処する測定方法により行うものとする。
【0011】
本発明における軟質ポリウレタンフォームの共振振動数および共振伝達率は、乗り心地性(動的着座感)を評価する指標となるもので、いずれもJASO B−87記載の振動測定方法に準処する方法により、荷重490N、片振幅2.5mmの測定条件で測定して得られる値である。
軟質ポリウレタンフォームからなるシートクッションの振動特性に関しては、人が敏感な周波数域(例えば4〜8Hz、または6〜20Hzといわれている)の減衰を特に大きくとることが乗り心地性能の向上に有効であるとされている。したがって、軟質ポリウレタンフォームの共振振動数が人が敏感な周波数域にあれば乗り心地が悪くなる。また、共振伝達率が大きいことは振動の伝わりが大きいことを示すので、共振伝達率が小さい方が乗り心地性はよくなる。
【0012】
また本発明におけるフォームサンプルとは、縦横各400mm、高さ100mmの内寸法をもつフォームサンプル金型を用いて成形されたもので、このフォームサンプルの共振振動数および共振伝達率と、実際にシートクッションの実金型を用いて成形されたシートクッションフォームの共振振動数および共振伝達率との間にはそれぞれ相関性がある。
通常、実金型で成形されたシートクッションフォームの共振振動数は、厚さ等により若干変化するが、フォームサンプルの共振振動数よりも約0.2〜1.0Hz程度大きくなる傾向にある。
【0013】
本発明によれば、軟質ポリウレタンフォームにおける表面スキン層の密度の値をコア層の密度の値に対して1.1倍以上としたことにより、着座した姿勢での臀部の安定性を向上させることができる。コア層の密度に対する表面スキン層の密度は1.15倍以上であることがより好ましい。一方、コア層の密度に対する表面スキン層の密度の比が大きすぎると臀部が沈み込まず、安定的な保持が困難になるので、表面スキン層の密度の値は前記コア層の密度の値に対して1.3倍以下であり、1.25倍以下であることが好ましい。
また本発明の軟質ポリウレタンフォームは、フォームサンプルの共振振動数の値が3.5Hz以下で、共振伝達率の値が4.5以下とされる。
共振振動数の値が3.5Hz以下であれば、人が敏感な周波数域の振動が効率良く減衰されて良好な乗り心地性が得られる。共振振動数は小さい方が好ましいが、技術的な限界もあるので、概ね2.5〜3.5Hzの範囲内に好ましく設定される。
また共振伝達率の値が4.5以下であれば、振動の伝わり方が小さくなって好ましい乗り心地性が得られる。共振伝達率は小さい方が好ましいが、技術的な限界もあるので、概ね2.0〜4.5の範囲内に好ましく設定される。
【0014】
また本発明の軟質ポリウレタンフォームは、オキシプロピレンブロック鎖と末端オキシエチレンブロック鎖とがオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を介してつながり、オキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を5〜85質量%有し、該ランダム鎖中のオキシエチレン基含有量が3〜40質量%であり、末端オキシエチレンブロック鎖の含有量が3〜40質量%であり、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.04meq/g以下であるポリオキシアルキレンポリオールを、使用するポリオール全体量に対して少なくとも10質量%以上含むポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤と触媒の存在下で反応させて得られるものである。
かかる方法により、前記特定範囲の密度比を有する軟質ポリウレタンフォームを製造することにより、特に着座姿勢における臀部の安定性に優れるとともに、乗り心地性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。また、上記した特定のポリオキシアルキレンポリオールを含むポリオールを用いることによって、着座初期および着座姿勢でのサポート感に優れ、振動特性、反発弾性率、および伸びや強度といった機械的特性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。また、良好な成形性が得られ、製造不良の発生が抑えられて歩留まりが向上し、製造コストが低減できる。
【0015】
前記した特定のポリオキシアルキレンポリオールが、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、開始剤にプロピレンオキシドを開環付加重合させてオキシプロピレンブロック鎖を形成し、更にエチレンオキシドとプロピレンオキシドとをランダムに開環付加重合させてオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を形成し、次いでアルカリ金属触媒の存在下にエチレンオキシドを開環付加重合してオキシエチレンブロック鎖を形成して得られ、オキシプロピレンブロック鎖の含有量が5〜50質量%、全オキシエチレン基含有量が5〜60質量%、かつ、末端水酸基の一級化率が60モル%以上であるポリオキシアルキレンポリオールであることが好ましい。
かかる構成によれば、成形性、耐久性が良好であることに加えて、軟質フォームの硬さが出やすくなるので、着座初期および着座姿勢でのサポート感および振動特性等が良好であり、物性面でバランスのとれた軟質フォームが得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、厚さ方向において密度分布を有し、表面スキン層の密度の値がコア層の密度の値に対して1.1〜1.3倍であるものであり、その製造方法は特に制限されるものではないが、後述のポリオキシアルキレンポリオール(以下、ポリオール(Z)という。)を含むポリオールを発泡剤とウレタン化反応促進触媒の存在下、必要に応じて架橋剤、整泡剤、その他の添加剤を使用し、ポリイソシアネートと反応させて製造することが好ましい。
前記ポリオール(Z)とは、オキシプロピレンブロック鎖と末端オキシエチレンブロック鎖とがオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を介してつながった構造で、オキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を5〜85質量%有し、該ランダム鎖中のオキシエチレン基含有量が3〜40質量%であり、末端オキシエチレンブロック鎖の含有量が3〜40質量%であり、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.04meq/g以下であるポリオキシアルキレンポリオールである。
ランダム鎖とは、2種類以上のアルキレンオキシドを所定の比率でランダムに付加して得られる付加構造である。また、ブロック鎖とは1種類のアルキレンオキシドを付加して得られる付加構造である。
【0017】
本発明におけるポリオール(Z)は開環付加重合触媒の存在下、開始剤にプロピレンオキシドを開環付加重合させてオキシプロピレンブロック鎖を形成し、次いでエチレンオキシドとプロピレンオキシドとをランダムに開環付加重合させてオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を形成し、次いでアルカリ金属触媒の存在下にエチレンオキシドを開環付加重合してオキシエチレンブロック鎖を形成することにより得られる。
開始剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、meso−エリスリトール、メチルグリコシド、グルコース、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン等のアミン類;フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の縮合系樹脂類等の、活性水素を有する活性水素化合物が用いられる。これらの活性水素化合物の中では多価アルコール類が好ましい。また、上記活性水素化合物にプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを開環付加して得られた化合物を開始剤として用いてもよい。これらの活性水素化合物は2種以上を併用してもよい。すなわち、開始剤として特に好ましい化合物は、上記多価アルコール類にアルキレンオキシドを開環付加して得られた化合物であり、その水酸基価は150mgKOH/g以下が好ましい。
【0018】
開始剤にプロピレンオキシドを開環付加重合させる際に用いられる開環付加重合触媒としては、従来公知の低不飽和度のポリオキシアルキレンポリオールを製造できる触媒を用いることができ、例えば、セシウム系触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼン系化合物触媒等が挙げられる。中でも、複合金属シアン化物錯体触媒を用いると、低不飽和度のポリオキシアルキレンポリオールが得られる。軟質ポリウレタンフォームの原料として低不飽和度のポリオールを用いると、耐久性に優れた軟質ポリウレタンフォームになるので好ましい。
【0019】
ポリオール(Z)の分子全体における開始剤残基の含有量が25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。本発明における開始剤残基とは、触媒(好ましくは複合金属シアン化物錯体触媒)の存在下でプロピレンオキシドを開環付加重合させる反応に用いた開始剤に由来する部分をいう。
また、ポリオール(Z)の分子中におけるオキシプロピレンブロック鎖の含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。オキシプロピレンブロック鎖の含有量が上記範囲にあると着座時の安定性と成形性のバランスに優れる。ここで、オキシプロピレンブロック鎖としては、開始剤のオキシプロピレンブロック鎖も含めて考える。
【0020】
複合金属シアン化物錯体触媒としては亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、そのエーテルおよび/またはアルコール錯体が好ましい。その組成は本質的に特公昭46−27250号公報に記載のものが使用できる。エーテルとしては、モノエチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル(METB)、エチレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル(METP)、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル(DETB)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPME)等が好ましい。アルコールとしては、特開平4−145123号公報に記載されているものが使用でき、特にtert−ブチルアルコールが好ましい。セシウム系触媒としては、例えば、セシウム金属、セシウムメトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0021】
次に、開始剤にプロピレンオキシドを開環付加重合させて形成されたオキシプロピレンブロック鎖に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとをランダムに開環付加重合させてオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を形成する。軟質ポリウレタンフォームの原料として、オキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を有するポリオールを用いると、軟質フォーム製造時の成形性が特に良好になるので好ましい。
【0022】
オキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を形成する際には、オキシプロピレンブロック鎖を形成する時と同様に、従来公知の低不飽和度のポリオキシアルキレンポリオールを製造できる触媒を用いることができる。特に、複合金属シアン化物錯体触媒を用いると、低不飽和度のポリオールが得られ、軟質ポリウレタンフォームの原料として低不飽和度のポリオールを原料とすると、成形性が良好であることに加えて耐久性も良好な軟質ポリウレタンフォームになるので好ましい。
さらに、ポリオール(Z)が複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られたオキシプロピレンブロック鎖と、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得られたオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖とを有していると、成形性、耐久性が良好であることに加えて、軟質フォームの硬さが出やすくなるので、着座初期のサポート感および振動特性等が良好であり、物性面でバランスのとれた軟質フォームが得られる。また、オキシプロピレンブロック鎖が開始剤に由来する部分に隣接していると、フォーム製造時の成形性がより向上するのでより好ましい。
【0023】
ポリオール(Z)中のオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖の含有量はポリオール(Z)の分子全体に対して5〜85質量%であるが、10〜80質量%であることがより好ましい。ランダム鎖の含有量が上記範囲にあると、軟質フォームの成形性が良好なことに加えて、着座初期のサポート感が発現しやすく好ましい。
ポリオール(Z)のオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖中におけるオキシエチレン基の含有量は3〜40質量%であり、5〜20質量%であることが好ましい。オキシエチレン基の含有量が上記範囲にあるとフォーム硬さの発現と、成形性のバランスが良好である。
【0024】
次いで、開始剤にオキシプロピレンブロック鎖およびオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖が付加されたものに、アルカリ金属触媒の存在下にエチレンオキシドを開環付加重合させてオキシエチレンブロック鎖を形成することによりポリオール(Z)が得られる。
ここで使用されるアルカリ金属触媒としては、ナトリウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、セシウムアルコキシドなどのアルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。
ポリオール(Z)は、末端水酸基の一級化率が60モル%以上であることが好ましい。これはポリオール鎖の末端の60%以上がエチレンオキシド開環付加で終わっていることを意味する。一級化率が60モル%以上であると、反応性が高くなるという利点が得られる。より好ましい一級化率は60〜80モル%である。末端水酸基の一級化率を60モル%以上にするためにはエチレンオキシドの付加量を増やすことが必要である。
【0025】
ポリオール(Z)の末端に形成されるオキシエチレンブロック鎖の含有量は、ポリオール(Z)の分子全体に対して3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。前記オキシエチレンブロック鎖の含有量が40質量%を超えると、クラッシング処理後にも収縮が発生しやすくなる。また、前記オキシエチレンブロック鎖の含有量が3質量%未満の場合は、軟質フォームの製造時にフォームのコラップス等が発生しやすく、製造が困難となる傾向にある。
【0026】
ポリオール(Z)中の全オキシエチレン基含有量(すなわち、開始剤に由来する部分、ランダム鎖、およびオキシエチレンブロック鎖等に含まれる全てのオキシエチレン基の合計量)は、ポリオール(Z)の分子全体に対して5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。この全オキシエチレン基含有量が5質量%未満ではフォームのコラップス等が発生しやすく、60質量%を超えるとフォームの独立気泡が多くなり、クラッシング処理の際にフォームが割れたり、クラッシング処理後にも収縮が発生したりする。
【0027】
ポリオール(Z)の水酸基価は、10〜56mgKOH/gであるが、10〜45mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価が10mgKOH/g未満であると、軟質フォームの硬化が不充分になることがあり、また、56mgKOH/gを超えて大きいと軟質フォームの弾性が不充分となりやすく、いずれも好ましくない。
ポリオール(Z)の水酸基数は2〜8であることが好ましく、2.8〜5.2であることがより好ましい。水酸基数が2未満では軟質フォームが柔らかくなり、圧縮永久歪みが悪化しやすい。また、水酸基数が8より大きいと軟質フォームが硬くなり、フォームの伸び等の機械的物性が悪化しやすい。
【0028】
ポリオール(Z)の不飽和度は、0.04meq/g以下であり、0.035meq/g以下であることが好ましい。不飽和度が0.04meq/gより大きいと、軟質フォームの伸びや強度等の物性に好ましくない影響を与える傾向にあり、また、乗り心地性の指標となる反発弾性率、振動特性が悪化する傾向にある。これは、ポリオール(Z)中に含まれる不飽和モノオール量が多くなり、このため水酸基数が実質的に低下するためと考えられる。不飽和度0.04meq/g以下のポリオール(Z)は、オキシプロピレンブロック鎖とオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖の部分を複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造することで得られる。
【0029】
軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するポリオールとして、上記ポリオール(Z)を単独で用いてもよいが、他のポリオールと併用してもよい。併用の場合は全ポリオール中におけるポリオール(Z)の含有量が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが特に好ましい。
他のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどが例示され、2種以上を用いてもよい。他のポリオールとしてはポリエーテルポリオールが好ましく、ポリオキシアルキレンポリオールがより好ましく、オキシプロピレンブロック鎖を40〜85質量%含有するものが更に好ましく、オキシプロピレンブロック鎖を50〜75質量%含むものが特に好ましい。他のポリオールは、水酸基価が10〜65mgKOH/gであるものが好ましく、20〜45mgKOH/gであるものがより好ましい。他のポリオールの不飽和度は0.03〜0.07meq/gが好ましく、0.04〜0.065meq/gがより好ましい。また、他のポリオールの末端水酸基の一級化率は60モル%以上が好ましい。
ポリオール(Z)と他のポリオールとを混合して用いる場合、該混合物における全ポリオールとしての水酸基価が10〜65mgKOH/gであることが好ましく、不飽和度は0.07meq/g以下であることが好ましい。
【0030】
また、軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するポリオールとして、ポリマー微粒子を含むポリマー分散ポリオールを用いることが好ましい。ポリマー分散ポリオールは、ベースポリオール(分散媒)中にポリマー微粒子(分散質)が安定に分散している分散系である。
本発明においてポリマー分散ポリオールを用いる場合は、ポリオール(Z)をベースポリオールとし、これにポリマー微粒子を分散させて得られるポリマー分散ポリオールが好ましく、上記他のポリオールを併用する場合は、予めポリオール(Z)および/または他のポリオールの1種以上にポリマー微粒子を分散させておき、ポリオール(Z)と他のポリオールとを混合して得られるポリマー分散ポリオールが好ましい。
【0031】
ポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子は、アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、その他のビニルポリマーやコポリマー等の付加重合系ポリマー、または、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂等の縮重合系ポリマーからなるものが好ましい。これらの中では、アクリロニトリル・スチレン共重合体がより好ましい。ポリマー分散ポリオールにあっては、ポリマー微粒子が存在することにより、ポリマー分散ポリオール全体としての水酸基価は、一般的にベースポリオールの水酸基価よりも低下する。
本発明においてポリマー分散ポリオールを用いる場合、ポリマー分散ポリオール中におけるポリマー微粒子の含有量を特に多くする必要はなく、ポリマー分散ポリオール全体量中のポリマー微粒子含有量は50質量%以下であることが好ましい。ポリマー微粒子が多すぎると経済面、粘度の面から不都合になる場合がある。また、ポリマー微粒子の含有量が少なすぎると硬度発現性が低いので、ポリマー微粒子の含有量は3〜35質量%であることが好ましい。
なお、ポリマー分散ポリオールのポリオールとしての諸物性(不飽和度、水酸基価等)は、ポリマー微粒子を除いたベースポリオールについてのものとする。
【0032】
本発明において軟質ウレタンフォームを製造するには、前記ポリオール(Z)を含むポリオールを、発泡剤とウレタン化反応促進触媒の存在下、必要に応じて架橋剤、整泡剤、その他の添加剤を使用し、ポリイソシアネートと反応させるが、ここで用いられるポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、または脂肪族系のポリイソシアネート、それらの2種類以上の混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートがある。具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネートやそれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等がある。このうち、TDI、TDIとクルードMDIとの混合物、およびこれらのプレポリマー型変性体が好ましい。ポリイソシアネートの使用量は、ポリオール、架橋剤など反応に使用される原料に含まれている総活性水素数を1とするときのイソシアネート基の数の比を100倍で表して(通常この100倍で表した数値をイソシアネートインデックスという)80〜120が好ましく、85〜110がより好ましい。
【0033】
発泡剤としては、水および不活性ガスから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。不活性ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス等を例示できる。これら発泡剤の使用量は特に限定されるものではなく、発泡剤として水のみを使用する場合は、ポリオール100質量部に対して10質量部までとすることが好ましく、0.1〜8質量部用いるのが適当である。その他の発泡剤も発泡倍率等の要求に応じて適切な量使用できる。
【0034】
ポリオールとポリイソシアネートを反応させる際には、ウレタン化反応促進触媒の使用が必要である。本発明においては、ウレタン化反応を促進する触媒は全て使用できる。近年、自動車用ガラスの曇現象(フォギング)を防止するために、昇華性の低いアミン化合物、有機金属化合物、または、アミノ化した反応型アミン化合物を必要最小限使用する場合があるが、本発明にもこれらを適用することができる。また、カルボン酸金属塩等のイソシアネート基同士を反応させる多量化触媒も使用できる。
【0035】
反応型アミン化合物の具体例としては、ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミノエチルエタノールアミン〔(CH3)2NC2H4N(CH3)C2H4OH〕、ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール〔(CH3)2N(CH2CH2O)3H〕等がある。
アミン化合物系触媒の使用量はポリオール100質量部に対して1.0質量部以下であることが好ましく、0.05〜1.0質量部であることがより好ましい。
有機金属化合物系触媒としては、有機スズ化合物や有機ビスマス化合物、有機鉛化合物、有機亜鉛化合物を用いることができ、具体例としては、ジ−n−ブチルスズオキシド、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズ、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−オクチルスズオキシド、ジ−n−オクチルスズラウレート、モノブチルスズトリクロリド、ジ−n−ブチルスズジアルキルメルカプタン、ジ−n−オクチルスズアルキルメルカプタン等が挙げられる。有機金属化合物系触媒の使用量はポリオール100質量部に対して1.0質量部以下であることが好ましく、0.005〜1.0質量部であることがより好ましい。
【0036】
本発明において架橋剤を使用することもできる。架橋剤としては、水酸基、一級アミノ基および二級アミノ基から選ばれる活性水素含有基を2個以上有する化合物が好ましい。活性水素含有基の数は2〜8であることが好ましい。活性水素含有基あたりの分子量は1000未満であることが好ましく、600以下であることがより好ましい。300以下であることがさらに好ましい。
具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール、シュクロース、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ビスフェノールA、エチレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン(DETDA)、2−クロロ−p−フェニレンジアミン(CPA)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン、1−トリフルオロメチル−3,5−ジアミノベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−クロル−3,5−ジアミノベンゼン、2,4(または2,6)−トルエンジアミン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の化合物、およびこれらに比較的少量のアルキレンオキシドを付加して得られる化合物等が挙げられる。架橋剤は2種以上併用してもよい。
架橋剤の使用量は、ポリオール100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
【0037】
また、良好な気泡を形成するための整泡剤を用いてもよい。整泡剤としては、例えばシリコーン系整泡剤が一般的に使用され、必要に応じてフッ素系整泡剤等も使用できる。整泡剤の使用量は、ポリオールおよびその他の高分子活性水素化合物の合計100質量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。
さらに、必要に応じてその他の添加剤を使用することもできる。その他の添加剤としては、乳化剤およびフォーム安定剤のような界面活性剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤のような老化防止剤、炭酸カルシウムや硫酸バリウムのような充填剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤等の公知の各種添加剤が挙げられる。
【0038】
本発明において、軟質フォームを製造する際には、前述のポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、ウレタン化反応促進触媒、および必要に応じて整泡剤、架橋剤、その他の添加剤等を含有する原料システム液が用いられる。通常、原料システム液は、ポリイソシアネート以外の全原料を混合した液(ポリオールシステム液という)とポリイソシアネート原料液との2液を別個に調製する。または、ポリイソシアネート原料液と、ウレタン化反応促進触媒または破泡剤(通常、一部のポリオールに分散ないし溶解している)からなる原料液と、これら以外の原料を含む原料液(2液以上に分けてもよい)の3液以上をそれぞれ別個に調製してもよい。
【0039】
軟質フォームの成形は、低圧発泡機または高圧発泡機を用いて原料システム液を直接金型に注入する方法(すなわち、反応射出成形方法)または、開放状態の金型に、全部の原料を混合した反応性混合物を撒く方法で行われることが好ましい。
高圧発泡機は、原料システム液を2液に分けて調製し、これらを混合してなる反応性混合物を金型に注入して発泡させるタイプが好ましい。原料システム液が3液以上から構成される場合は、該3液以上を混合して反応性混合物を形成し、これを金型に注入することもできる。発泡後のキュア工程は、コールドキュア法、ホットキュア法いずれの方法でもよいがコールドキュア法が好ましい。
【0040】
本発明の軟質フォームは、厚さ方向において密度分布を有し、表面スキン層の密度の値がコア層の密度の値に対して1.1〜1.3倍、より好ましくは1.15〜1.25倍である。
かかる密度分布を有する軟質フォームの製造は、発泡剤として使用する水の添加量を多くし、金型内に原料システム液を注入する際のパック率(製品密度/フリー発泡密度により算出される値)を高くすることにより達成することができるが、パック率を高くしすぎるとフォームの割れ不良等が発生し易い。また、特にポリオール(Z)を用いて軟質フォームを製造する場合は、原料システムにおける水の添加量を多くせずとも、密度分布を有する軟質フォームを容易に製造することができる。
【0041】
また本発明の軟質フォームは、400mm×400mm×100mm寸法のフォームサンプルの共振振動数の値が3.5Hz以下で、共振伝達率の値が4.5以下である。
共振振動数および共振伝達率といった振動特性は、使用するポリオールの不飽和度の値がより小さいポリオールを用いてシートクッションを製造することが有効であるといわれているが、特にポリオール(Z)を用いることにより、上記特定の共振振動数および共振伝達率を有する軟質フォームを容易に製造することができる。
【0042】
軟質フォームの製造条件としては、軟質フォームを製造可能な条件であれば適用可能であるが、前記特定の密度分布、共振振動数、および共振伝達率を有する軟質フォームを得るのに好ましい製造条件は、例えば、原料システム液のポリイソシアネート成分とポリオールシステム液をそれぞれ15〜40℃に調整し、高圧発泡機等を用いてポリオールシステム液とポリイソシアネート成分を混合し、直ちに30〜80℃に加温した容器に密閉して4〜20分間キュアして軟質フォームを製造する。
【0043】
本発明の軟質フォームは、前記特定の密度分布を有していることから、着座した姿勢での不安定さが解消されて、臀部の安定性が向上される。
軟質フォームの着座姿勢安定性は、65%−ILD/25%−ILDの比率で示されるサグファクターと呼ばれる数値で評価することができる。ここで、x%−ILDとは、直径200mmの加圧板を用いて、軟質フォームサンプルの厚さ方向に対し、x%押し込んだ際の荷重値(N/314mm2)をいう。
このサグファクターの値は2.0〜3.0の値をとることが好ましい。そして本発明によれば、このサグファクターの値が2.0〜3.0という良好な評価結果が得られる。
なお、サグファクターによる評価と平行して官能評価も実施することが好ましい。例えば、軟質フォームからなるシートに、実際に着座したときの座り心地性を◎、○、△、×の4段階で相対評価する方法がある。
また本発明の軟質フォームは、400mm×400mm×100mm寸法のフォームサンプルの共振振動数の値が3.5Hz以下で、共振伝達率の値が4.5以下という振動特性をも有するものであるので、前記した着座姿勢での安定性に優れるとともに、乗り心地性(動的着座感)も良好である。
【0044】
また、本発明において、前述のポリオール(Z)を含むポリオールを用いて軟質フォームを製造することにより、成形性、耐久性が良好であるうえ、着座初期および着座姿勢でのサポート感に優れるとともに、乗り心地性が良好であり、物性面でバランスのとれた軟質フォームが得られる。
従って、本発明の軟質フォームは、クッション、座席シート等に用いられ、特に、自動車等の車両用シートとして好適である。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を用いて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例1および2は実施例であり、例3〜6は比較例である。
実施例および比較例において軟質フォームを製造するのに使用した原料を以下に示す。
【0046】
(1)ポリオール
〔ポリオールAの製造〕
グリセリンを開始剤とした水酸基価168mgKOH/gのポリオールに、複合金属シアン化物錯体触媒である亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体の存在下、プロピレンオキシドを、分子量全体に対して所定量付加し、さらにプロピレンオキシドとエチレンオキシドを所定量混合した後に、反応器中に導入して反応させ、最後に触媒として水酸化カリウムの存在下でエチレンオキシドを反応させ、その後精製してポリオキシアルキレンポリオール(下記表1のポリオールA)を製造した。
【0047】
〔ポリオールBの製造〕
グリセリンを開始剤とし、触媒として水酸化セシウムの存在下、プロピレンオキシドを、分子量全体に対して所定量付加し、最後にエチレンオキシドを反応させ、その後精製してポリオキシアルキレンポリオール(下記表1のポリオールB)を製造した。
【0048】
〔ポリオールCの製造〕
グリセリンを開始剤とし、触媒として水酸化カリウムの存在下、プロピレンオキシドを、分子量全体に対して所定量付加し、最後にエチレンオキシドを反応させ、その後精製してポリオキシアルキレンポリオール(下記表1のポリオールC)を製造した。
【0049】
下記表1には、上記で得られたポリオールA〜Cの、開始剤残基の含有量、開始剤に直結するオキシプロピレンブロック鎖(以下「PO部」と表す)の含有量、オキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖(以下「ランダム部」と表す)の含有量、ランダム部でのオキシエチレン基含有量(以下「EO量」と表す)、全オキシエチレン基含有量(以下「全EO量」と表す)末端のオキシエチレンブロック鎖(以下「末端EO部」と表す)の含有量(単位はいずれも質量%)、水酸基価(単位:mgKOH/g)、および不飽和度(単位:meq/g)を示す。なお、不飽和度の測定はJIS K 1557に準拠した方法で実施した。
【0050】
【表1】
【0051】
〔ポリマー微粒子分散ポリオールDの製造〕
グリセリンを開始剤とし、触媒として水酸化カリウムの存在下、プロピレンオキシドを所定量付加し、最後にエチレンオキシドを反応させ、その後精製して得られた水酸基価34mgKOH/g、オキシエチレン基含有量15質量%、不飽和度0.06meq/gのポリオキシアルキレンポリオール中で、ラジカルの存在下、アクリロニトリルモノマーおよびスチレンモノマーを、アクリロニトリル/スチレンの質量比75/25で付加重合して安定分散させたポリマー微粒子含有量が35質量%のポリマー微粒子分散ポリオールDを製造した。
【0052】
(2)架橋剤
〔架橋剤E1〕ソルビトールを開始剤とし、プロピレンオキシド、続いてエチレンオキシドを付加させたポリオキシアルキレンポリオール(水酸基価450mgKOH/g)。
〔架橋剤E2〕ジエタノールアミン
(3)破泡剤
〔破泡剤F〕グリセリンを開始剤とし、プロピレンオキシド/エチレンオキシドの混合物を付加させたポリオキシアルキレンポリオール(水酸基価28mgKOH/g)
【0053】
(4)発泡剤
〔発泡剤G〕発泡剤として水を使用した。
(5)触媒
〔触媒H1〕トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール(DPG)溶液(商品名:TEDA L33、東ソー社製)
〔触媒H2〕ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテルの70%DPG溶液(商品名:TOYOCAT ET、東ソー社製)
(6)整泡剤
〔整泡剤I〕シリコーン系整泡剤、商品名:SRX−247C(東レ・ダウコーニング社製)
(7)ポリイソシアネート化合物
〔ポリイソシアネート化合物J〕TDI−80(2,4−TDIと2,6−TDIの質量比80/20の混合物)とクルードMDIの質量比80/20の混合物(商品名:コロネート1021、日本ポリウレタン工業社製)
【0054】
(例1〜6)
下記表2に示す配合で軟質フォームを製造した。具体的には、ポリオールシステム液およびポリイソシアネート化合物(原料液)をそれぞれ液温25±1℃に調整し、ポリオールシステム液にポリイソシアネート化合物を所定量加えて、高速ミキサーで5秒間撹拌混合した。この混合溶液を直ちに60℃に加温したアルミニウム製金型(縦横400mm、高さ100mm)に注入して密閉した。6分間キュアした後、軟質フォームを取り出した。得られた軟質フォームを24時間以上放置してから各種物性の測定を行った。
【0055】
物性の測定は、得られた軟質フォームの全密度を測定した後、中央部からテストピースを切り出し、表面スキン層の密度およびコア層の密度を測定した。全密度、表面スキン層の密度、コア層の密度(単位はいずれもkg/m3)、および表面スキン層の密度/コア層の密度の比を下記表2に示す。
また、得られた軟質フォームの25%−ILDおよびサグファクターを求めるとともに、同じ軟質フォームからなるシートに、実際に着座したときの座り心地性を◎、○、△、×の4段階で相対評価する官能評価を行った。これらの結果を下記表2に示す。
さらに、共振振動数(単位はHz)および共振伝達率を測定したほか、共振振動数と人体の内臓との共振点であるといわれる6Hzにおける伝達率も測定した。これらの結果も下記表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
表2の結果より、例1および例2で得られた軟質フォームは、コア層密度に対する表面スキン層密度の密度比が1.1〜1.3の範囲内であり、共振振動数が3.5Hz以下で、共振伝達率が4.5以下であった。そして、これらの例の軟質フォームは着座姿勢安定性の指標となるサグファクターが2.0〜3.0の範囲内で良好であり、実際に着座したときの官能評価も良好であった。
これに対して、ポリオールBを使用した例3,4は、共振伝達率が4.5よりも大きかった。そして、これらの例の軟質フォームは着座姿勢安定性の指標となるサグファクターが3.0より大きくなっており、実際に着座したときの官能評価も例1,2に比べてやや劣っていた。
また、ポリオールCを使用した例5,6は、共振振動数が3.5よりも大きく、共振伝達率も4.5より大きかった。特に、発泡剤Gの配合量が例5よりも少なかった例6では前記密度比が1.1よりも小さかった。そして、これらの例の軟質フォームは着座姿勢安定性の指標となるサグファクターが3.0より大きくなっており、実際に着座したときの官能評価も劣っていた。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、自動車用シートクッションとして好適であり、着座姿勢における臀部の安定性に優れるとともに、乗り心地性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における表面スキン層の密度とコア層の密度との比を説明するための図である。
【符号の説明】
1…軟質ポリウレタンフォーム
10…箱型ピース
20…テストピース
23a、23b…スライス片(スキン層)
23c…スライス片(コア層)
Claims (3)
- オキシプロピレンブロック鎖と末端オキシエチレンブロック鎖とがオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を介してつながり、オキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を5〜85質量%有し、該ランダム鎖中のオキシエチレン基含有量が3〜40質量%であり、末端オキシエチレンブロック鎖の含有量が3〜40質量%であり、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.04meq/g以下であるポリオキシアルキレンポリオールを、使用するポリオール全体量に対して少なくとも10質量%以上含むポリオールと、ポリイソシアネートとを、発泡剤と触媒の存在下で反応させて得られる軟質ポリウレタンフォームであって、両表面をそれぞれ含む10%厚み部分を表面スキン層、それ以外の部分をコア層と定義するとき、前記表面スキン層の密度の値がコア層の密度の値に対して1.1〜1.3倍であり、かつ400mm×400mm×100mm寸法のフォームサンプルの共振振動数の値が3.5Hz以下で、共振伝達率の値が4.5以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
- 前記ポリオキシアルキレンポリオールが、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、開始剤にプロピレンオキシドを開環付加重合させてオキシプロピレンブロック鎖を形成し、更にエチレンオキシドとプロピレンオキシドとをランダムに開環付加重合させてオキシエチレン/オキシプロピレンランダム鎖を形成し、次いでアルカリ金属触媒の存在下にエチレンオキシドを開環付加重合してオキシエチレンブロック鎖を形成して得られ、オキシプロピレンブロック鎖の含有量が5〜50質量%、全オキシエチレン基含有量が5〜60質量%、かつ、末端水酸基の一級化率が60モル%以上であるポリオキシアルキレンポリオールであることを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
- 前記表面スキン層の密度の値が前記コア層の密度の値に対して1.15〜1.25倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
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