JP2002265555A - 軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

軟質ポリウレタンフォームの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成型性、共振振動特性、耐久性の良好な軟質
ポリウレタンフォームの製造方法の提供。 【解決手段】 複合金属シアン化物錯体触媒を用いてア
ルキレンオキシドを開環付加重合させて得られるポリオ
ール(A)、及び、セシウム系触媒を用いてアルキレン
オキシドを開環付加重合させて得られるポリオール
(B)を所定の割合で含み、総不飽和度が0.03me
q/g以下且つ平均水酸基価が10〜70mgKOH/
gである高分子ポリオール混合物を用いて軟質ポリウレ
タンフォームを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟質ポリウレタン
フォーム(以下、軟質フォームという)の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、軟質フォームの特性を向上さ
せるために、種々の検討がなされている。例えば、自動
車等のシートクッションの乗り心地性能を向上させるた
め、反発弾性、振動特性、耐久性等の向上が目標とされ
ている。また、近年では、ユーザーの乗り心地性能に対
する嗜好の変化に伴って、反発弾性率が低い軟質フォー
ムが求められるようになっている。振動特性に関して
は、人が敏感な周波数域(例えば4〜8Hz、又は6〜
20Hzといわれている)の減衰を特に大きくとること
が乗り心地性能の向上に有効であるとされている。これ
らの特性を向上させるには、より分子量の高いポリオー
ルを用いてシートクッションを製造することが有効であ
ると考えられている。
【0003】一般に、軟質フォームの原料として用いら
れるポリオキシアルキレンポリオール(以下、単にポリ
オールという)は、水酸化ナトリウム等のナトリウム系
触媒、又は、水酸化カリウム等のカリウム系触媒を用い
て、多価アルコール等を開始剤として、プロピレンオキ
シド等のアルキレンオキシドを開環付加重合させて製造
される。この製造方法では、副生物として不飽和結合を
有するモノオール(不飽和モノオール)が生成し、この
不飽和モノオールの生成量はポリオールの水酸基価の低
下(分子量の増大)とともに増加する。
【0004】軟質フォームの原料として広く用いられて
いる水酸基価が56mgKOH/g程度のポリオールの
製造では、この不飽和モノオールの生成量は大きな問題
となるほど多くはない。しかし分子量の高い、低水酸基
価のポリオールの製造ではこの不飽和モノオールの生成
量が問題となる。総不飽和度の高いポリオールを用いて
軟質フォームを製造する場合、硬度の低下、圧縮永久歪
の悪化、成形時のキュア性の低下等の問題が生じる。ま
た、ナトリウム系触媒又はカリウム系触媒を用いて、低
水酸基価のポリオールを製造しようとする場合、その総
不飽和度が著しく高くなり、製造は非常に困難である。
【0005】一方、低水酸基価、低不飽和度のポリオー
ルを製造する方法としては、複合金属シアン化物錯体触
媒を用いてアルキレンオキシドを開環付加重合させる方
法が知られている。このポリオールを使用して製造され
たシートクッションは、乗り心地性能が優れる。しか
し、近年のシートクッションの大型化、形状の複雑化に
伴い求められるようになった、製造時の流動性、耐エア
ボイド性、連通性等の成形性の面では性能が充分ではな
く、均一な軟質フォームの製造は困難であった。また、
このポリオールを単独で用いて軟質フォームを製造した
場合には、独立気泡性が比較的高いため、クラッシング
処理の際に不具合が生じる場合があった。一方、セシウ
ム系触媒を用いてアルキレンオキシドを開環付加重合さ
せ、低水酸基価のポリオールを製造する方法も知られて
いる。このポリオールは、複合金属シアン化物錯体触媒
を用いて製造したポリオールと比較して、粘度が低く独
立気泡性も低いが、不飽和度はやや高い。また、セシウ
ム系触媒を用いて製造したポリオールを単独で用いて軟
質フォームを製造した場合は、製造時の流動性、耐エア
ボイド性、連通性も不充分となる場合があった。以上の
問題点を改良するため、特開平8−231676号公報
では、複合金属シアン化物錯体触媒又はセシウム系触媒
を用いて製造したポリオールと、水酸化ナトリウム触媒
又は水酸化カリウム触媒を用いて製造したポリオールと
のポリオール混合物を軟質フォームの原料として、流動
性、耐エアボイド性を改善する方法が提案されている。
しかし、水酸化ナトリウム触媒又は水酸化カリウム触媒
を用いて製造したポリオールを混合すると総不飽和度が
高くなり、製造された軟質フォームの耐久性が不充分に
なりやすかった。また、前述の特開平8−231676
号公報には、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造
したポリオールと、水酸化セシウム触媒を用いて製造し
たポリオールとのポリオール混合物を用いて軟質フォー
ムを製造した実施例が示されているが、この実施例では
独立気泡性が改善されず、成形性、特にクラッシング処
理の際に軟質フォームが割れる等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決し、流動性、クラッシング性等の成型性に優れ、共
振振動特性が良好であり、且つ、耐久性が高い軟質フォ
ームの製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子ポリオ
ールとポリイソシアネート化合物とを触媒及び発泡剤の
存在下で反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造す
る方法において、該高分子ポリオールとして、下記ポリ
オール(A)及び下記ポリオール(B)を含み、該ポリ
オール(A)と該ポリオール(B)が下記式(1)の関
係を満たし、総不飽和度が0.03meq/g以下、且
つ、平均水酸基価が10〜70mgKOH/gである高
分子ポリオール混合物を用いることを特徴とする軟質ポ
リウレタンフォームの製造方法を提供する。
【0008】ポリオール(A):複合金属シアン化物錯
体触媒を用いてアルキレンオキシドを開環付加重合させ
て得られるポリオール。
【0009】ポリオール(B):セシウム系触媒を用い
てアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られるポ
リオール。
【0010】 10/90≦MA/MB≦73/27 (1) (ただし、MAはポリオール(A)の質量、MBはポリオ
ール(B)の質量である。) ここで、前記ポリオール(A)が、水酸基数が2〜8、
水酸基価が10〜56mgKOH/g、不飽和度が0.
03meq/g以下であり、且つ、分子中に3〜25質
量%のオキシエチレン基を有することが好ましい。
【0011】また、前記ポリオール(B)が、水酸基数
が2〜8、水酸基価が10〜56mgKOH/g、不飽
和度が0.04meq/g以下であり、且つ、分子中に
3〜25質量%のオキシエチレン基を有することが好ま
しい。
【0012】さらに、前記高分子ポリオール混合物が、
ポリマー粒子を含むポリマー分散ポリオールであること
が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のポリオール(A)は、複
合金属シアン化物錯体触媒を用いてアルキレンオキシド
を開環付加重合させて得られるポリオールである。前記
複合金属シアン化物錯体触媒としては、例えば、特公昭
46−27250号公報に記載のものが使用できる。具
体例としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分
とする錯体が挙げられ、そのエーテル及び/又はアルコ
ール錯体が好ましい。
【0014】また、前記エーテルとしては、エチレング
リコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレング
ルコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレング
リコールモノ−tert−ブチルエーテル(MET
B)、エチレングリコールモノ−tert−ペンチルエ
ーテル(METP)、ジエチレングリコールモノ−te
rt−ブチルエーテル(DETB)、トリプロピレング
リコールモノメチルエーテル(TPME)等が挙げられ
る。また、前記アルコールとしてはtert−ブチルア
ルコール等が挙げられる。
【0015】また、前記アルキレンオキシドとしては、
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポ
キシブタン、2,3−エポキシブタン等が挙げられ、エ
チレンオキシドとプロピレンオキシドとの併用が好まし
い。
【0016】ポリオール(A)の製造に用いる開始剤と
しては、分子中の活性水素数が2〜6である化合物が好
ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリ
ン、meso−エリスリトール、メチルグルコシド、グ
ルコース、ソルビトール等の多価アルコール類;ビスフ
ェノールA等のフェノール類;エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、ピペラジン、ジアミノジフェニルメ
タン、モノエタノールアミン等のアミン類;フェノール
樹脂、ノボラック樹脂等の縮合系化合物類等が挙げられ
る。上記の開始剤のうち多価アルコール類がより好まし
い。これらの開始剤は2種以上を併用してもよく、活性
水素を7個以上有するショ糖等の活性水素化合物と併用
してもよい。また、上記化合物にさらにアルキレンオキ
シドを開環付加した化合物を開始剤としてもよい。
【0017】ポリオール(A)の不飽和度は0.03m
eq/g以下が好ましく、0.025meq/g以下が
より好ましい。不飽和度が0.03meq/gより大き
いと、製造された軟質フォームの共振振動数が大きくな
り共振振動特性が悪化しやすく、また、耐久性が悪化し
やすく好ましくない。また、ポリオール(A)の水酸基
数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2.
8〜5.2が特に好ましい。ただし、水酸基数とは、開
始剤の活性水素数の平均値を意味する。水酸基数が2未
満では軟質フォームが軟らかくなり、圧縮永久歪が悪化
しやすい。水酸基数が8より多いと軟質フォームが硬く
なり、伸び等の機械的物性が悪化しやすい。ポリオール
(A)の水酸基価は、10〜56mgKOH/gが好ま
しく、10〜35mgKOH/gがより好ましい。水酸
基価が10mgKOH/g未満では軟質フォームの硬化
が不充分となり、収縮が起こりやすい。水酸基価が56
mgKOH/gより大きいと軟質フォームの弾性が不充
分となりやすい。
【0018】本発明のポリオール(B)は、セシウム系
触媒を用いてアルキレンオキシドを開環付加重合させて
得られるポリオールである。ここで、セシウム系触媒と
しては、セシウム金属;セシウムメトキシド、セシウム
エトキシド、セシウムプロポキシド等のセシウムアルコ
キシド;水酸化セシウム;炭酸セシウム等が挙げられ、
これらを2種以上併用してもよい。このうち水酸化セシ
ウムを主成分とする触媒が好ましい。ポリオール(B)
の製造に用いるアルキレンオキシド及び開始剤はポリオ
ール(A)と同様の化合物が使用できる。
【0019】ポリオール(B)の不飽和度は0.04m
eq/g以下が好ましく、0.03meq/g以下がよ
り好ましい。不飽和度が0.04meq/gより大きい
と、製造された軟質フォームの共振振動数が大きくなり
共振振動特性が悪化しやすく、また、耐久性が悪化しや
すい。また、本発明にかかるポリオール(B)の水酸基
数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2.
8〜5.2が特に好ましい。水酸基数が2未満では軟質
フォームが軟らかくなり、圧縮永久歪が悪化しやすい。
水酸基数が8より多いと軟質フォームが硬くなり、伸び
等の機械的物性が悪化しやすい。ポリオール(B)の水
酸基価は、10〜56mgKOH/gが好ましく、10
〜35mgKOH/gがより好ましい。水酸基価が10
mgKOH/g未満では、軟質フォームの硬化が不充分
となり、収縮が起こりやすい。水酸基価が56mgKO
H/gより大きい場合には、軟質フォームの弾性が不充
分となりやすい。
【0020】また、ポリオール(A)又はポリオール
(B)は、分子中(分子内部及び/又は分子末端)にオ
キシエチレン基を有することが好ましい。分子中にオキ
シエチレン基を有する、ポリオール(A)又はポリオー
ル(B)は、例えば、開始剤にエチレンオキシドと、炭
素数3以上のアルキレンオキシドとを、順次または混合
して、開環付加重合して得られる。特に、分子末端にオ
キシエチレン基を有するポリオール(A)又はポリオー
ル(B)は、例えば、上記重合の後にエチレンオキシド
を開環付加重合して得られる。
【0021】ポリオール(A)又はポリオール(B)中
のオキシエチレン基の含有量の下限は、3質量%が好ま
しく、5質量%がより好ましい。また、その上限は、2
5質量%が好ましい。上記含有量が3質量%より少ない
場合には、軟質フォームのコラップス等が発生しやす
く、また、25質量%より多い場合には軟質フォームの
独立気泡が多くなり、クラッシング処理の際に軟質フォ
ームが割れる、クラッシング処理後に収縮が発生する等
の問題がおきやすい。
【0022】本発明の高分子ポリオール混合物はポリオ
ール(A)及びポリオール(B)を含み、ポリオール
(A)とポリオール(B)が前記式(1)の関係を満た
す。すなわち、前記割合(MA/MB)は10/90〜7
3/27であるが、30/70〜70/30が好まし
い。この割合が73/27より大きくポリオール(A)
が過剰の場合には、軟質フォーム成形時の流動性、クラ
ッシング性が悪化しやすい。また、前記割合が10/9
0より小さく、ポリオール(B)が過剰の場合には、軟
質フォームの共振振動特性が悪化しやすい。高分子ポリ
オール混合物は、ポリオール(A)又はポリオール
(B)以外のその他のポリオール(以下、ポリオール
(C)という)を含んでいてもよい。ポリオール(C)
は、軟質フォーム製造に通常使用されるポリオールであ
ればよく、2種以上のポリオールを併用してもよい。ポ
リオール(C)は、分子量2000以上のポリオールが
好ましい。ポリオール(C)はポリマー分散ポリオール
であってもよい。高分子ポリオール混合物は、ポリオー
ル(A)及びポリオール(B)を合計で70質量%以上
含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好
ましい。
【0023】高分子ポリオール混合物の総不飽和度は、
0.03meq/g以下であるが、0.025meq/
g以下が好ましい。総不飽和度が0.03meq/gよ
り大きいと、製造された軟質フォームの共振振動数が大
きくなり共振振動特性が悪化しやすく、又、耐久性が悪
化しやすい。また、高分子ポリオール混合物の平均水酸
基価は、10〜70mgKOH/gである。
【0024】本発明の高分子ポリオール混合物は、ポリ
マー粒子を含むポリマー分散ポリオールであってもよ
い。ここで、ポリマー分散ポリオールとは、ポリオール
中にポリマー粒子が安定に分散しているものである。そ
の製造方法としては、ポリオール(A)又はポリオール
(B)を分散媒として用い、ポリマー分散ポリオールを
製造した後、ポリオール(A)とポリオール(B)とを
混合してポリマー分散ポリオールを得る方法、予めポリ
オール(A)とポリオール(B)とを混合したものを分
散媒としてポリマー分散ポリオールを得る方法等が挙げ
られる。
【0025】前記ポリマー粒子は付加重合系ポリマー又
は縮重合系ポリマー粒子である。前記付加重合系ポリマ
ーは、例えば、アクリロニトリル、スチレン、メタクリ
ル酸エステル、アクリル酸エステル等のモノマーを単独
又は共重合して得られる。また前記縮重合系ポリマーと
しては、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタン、メ
ラミン等が挙げられる。高分子ポリオール混合物中にポ
リマー粒子が存在することにより、高分子ポリオール混
合物の水酸基価を低く抑えられ、軟質フォームの硬度、
通気性等の物性向上に有効である。また、ポリマー分散
ポリオール中のポリマー粒子の含有率は、特に制限され
ないが、50質量%以下が好ましく、3〜35質量%が
より好ましい。
【0026】本発明の軟質フォームは、前述の高分子ポ
リオール混合物とポリイソシアネート化合物とを触媒及
び発泡剤の存在下で反応させて製造する。本発明のポリ
イソシアネート化合物としては特に制限はないが、イソ
シアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪
族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネート
の2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性
ポリイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、
トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェ
ニルイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリ
レンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシ
アネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト(HMDI)等のポリイソシアネート、又はこれらの
プレポリマー型変性体、ヌレート型変性体、ウレア型変
性体、カルボジイミド型変性体等が挙げられる。このう
ち、TDI、MDI、クルードMDI、又はこれらの変
性体が好ましい。ポリイソシアネート化合物の使用量は
通常イソシアネートインデックス(ポリオール、架橋
剤、水等のすべての活性水素数の合計に対するイソシア
ネート基の数の100倍で表される数値)で表すが、本
発明におけるポリイソシアネート化合物の使用量は、イ
ソシアネートインデックスで80〜120が好ましく、
85〜110がより好ましい。
【0027】また、前記触媒としてはウレタン化反応を
促進する触媒であれば特に制限はないが、例えば、トリ
エチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)
エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメ
チレンジアミン等の3級アミン類;酢酸カリウム、2−
エチルヘキサン酸カリウム等のカルボン酸金属塩;ジブ
チルスズジラウレート等の有機金属化合物等が挙げられ
る。
【0028】また、前記発泡剤としては特に制限はない
が、水及び不活性ガスから選ばれた少なくとも1種が好
ましい。不活性ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス等
が挙げられる。このうち水が好ましい。発泡剤の使用量
は特に制限されないが、水を使用する場合は、高分子ポ
リオール混合物100質量部に対して10質量部以下が
好ましく、0.1〜8質量部がより好ましい。
【0029】本発明の軟質フォームの製造方法では、上
述した触媒及び発泡剤以外に所望の添加剤も使用でき
る。添加剤としては、架橋剤;整泡剤;炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等の充填剤;乳化剤、フォーム安定剤
等の界面活性剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防
止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分
散剤、変色防止剤等が挙げられる。
【0030】前記架橋剤としては、水酸基、1級アミノ
基又は2級アミノ基等の活性水素を有する官能基を2個
以上有する化合物が好ましい。また、架橋剤の分子量
は、2000未満が好ましく、1500以下がより好ま
しく、1000以下が特に好ましい。また、架橋剤は2
種以上を併用してもよい。具体例としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、
デキストロース、ソルビトール、シュークロース、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、ビスフェノールA、エチレンジアミン、3,
5−ジエチル−2,4(又は2,6)−ジアミノトルエ
ン(DETDA)、2−クロロ−p−フェニレンジアミ
ン(CPA)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4
(又は2,6)−ジアミノトルエン、1−トリフルオロ
メチル−3,5−ジアミノベンゼン、1−トリフルオロ
メチル−4−クロル−3,5−ジアミノベンゼン、2,
4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ビ
ス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)メタン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレン
ジアミン、1,4−ジアミノヘキサン、1,3−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン
等の化合物、及びこれらに比較的少量のアルキレンオキ
シドを付加して得られる化合物等が挙げられる。
【0031】また、前記整泡剤としては特に制限はな
く、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤等が挙げられ
る。これらの整泡剤を用いると、均一な気泡を形成でき
る。
【0032】軟質フォームの成形方法は、低圧発泡機又
は高圧発泡機を用いて反応性混合物を直接金型に注入す
る方法(すなわち反応射出成形法)が好ましい。本発明
の軟質フォームはコールドキュア法、ホットキュア法の
いずれの方法によっても製造できるが、コールドキュア
法が好ましい。
【0033】また、本発明の軟質フォームの製造条件と
しては、軟質フォームを製造可能な条件であれば特に制
限はされない。例えば、ポリイソシアネート化合物以外
の全原料の混合物(以下ポリオールシステムという)と
ポリイソシアネート化合物をそれぞれ15〜40℃に調
整し、ポリオールシステムにポリイソシアネート化合物
を所定量加えて、高速ミキサー等で2〜15秒間攪拌混
合後、直ちに30〜80℃に加温した容器に密閉して4
〜20分間キュアする、ことにより軟質フォームが製造
できる。
【0034】これらの軟質フォームは、クッション、座
席シート等に用いられ、特に、自動車等の車両用シート
として好適である。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。
【0036】[例1〜11]実施例及び比較例で使用し
たポリオールの分子量、水酸基数、オキシエチレン(E
O)基含有量(質量%)、触媒(アルキレンオキシド開
環付加重合触媒)、水酸基価(mgKOH/g)、及び
不飽和度(meq/g)を表1に示す。なお、不飽和度
の測定はJIS K1557に準拠した方法で実施し
た。表1中のKOHは水酸化カリウムを、CsOHは水
酸化セシウムを、DMCは亜鉛ヘキサシアノコバルテー
ト−グライム錯体触媒を示す。
【0037】
【表1】 表2に示す原料を用いて軟質フォームを製造した。
【0038】
【表2】 原料の配合量は、表3及び表4に示した。具体的には、
ポリオールシステム及びポリイソシアネート化合物をそ
れぞれ液温25±1℃に調整し、ポリオールシステムに
ポリイソシアネート化合物を所定量加えて、高速ミキサ
ーで5秒間攪拌混合した。この混合溶液を直ちに60℃
に加温したアルミニウム製金型(縦横400mm、高さ
100mm)に注入して密閉した。6分間キュアした
後、軟質フォームを取り出して、24時間以上放置して
から各種物性の測定を行った。その測定結果を表3及び
表4に示した。
【0039】なお、軟質フォームの物性測定は以下に示
した規格に準拠した方法で行った。コア密度は、製造し
た軟質フォームの中央部からスキン部を除いて縦横10
0mm、高さ50mmの大きさに切り出したサンプルを
用いて測定した。また、クラッシング性評価は、軟質フ
ォームを成形型から取り出した後、直ちに軟質フォーム
の厚さの25%まで圧縮してフォームセルを開放する際
の作業性を評価し、○を良好、△をやや不良とした。ま
た、共振振動数の測定においては、縦横400mm、高
さ100mmの内寸法をもつテストピース金型から成形
された軟質フォームとシートクッションの実金型から成
形された軟質フォームとの間には、実金型から成形され
た軟質フォームの共振振動数が、テストピース金型から
成型された軟質フォームの共振振動数より約0.2〜
1.0Hz程度大きくなるという相関がある。すなわ
ち、テストピース金型から成形された軟質フォームの共
振振動数と、シートクッション実金型から成形された軟
質フォームの共振振動数は相互に読み替え可能である。
【0040】以下に、軟質フォームの物性測定に用いた
規格を示す。 全密度、コア密度、25%硬さ、コア反発弾性率、引き
裂き強度、引っ張り強度、伸び率、乾熱圧縮永久歪、湿
熱圧縮永久歪:JIS K6400 ヒステリシスロス:JASO B407−87 共振振動数、6Hzの伝達率:JASO B407−8
7(加振振幅:±2.5mm、加圧板:鉄研型(荷重:
49ON)) なお、表3及び表4中の発泡処方欄の数値は質量部を表
す。ただし、ポリオールの種類とその混合量の欄のポリ
マー分散ポリオールの量はポリマー粒子を含む質量であ
る。
【0041】また、表3の例1〜4は実施例、表4の例
5〜11は比較例である。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】 表3及び表4に示した結果から、高分子ポリオールとし
て、複合金属シアン化物錯体触媒を用いてアルキレンオ
キシドを開環付加重合させて得られるポリオール(A)
と、セシウム系触媒を用いてアルキレンオキシドを開環
付加重合させて得られるポリオール(B)とを特定の割
合で含むポリオール混合物を用いて製造した軟質フォー
ムは、その共振振動数が抑制され且つ耐久性が高い。ま
た、軟質フォームの成形に際しては、その流動性は良好
であった。さらに、製造された軟質フォームのクラッシ
ング性も良好であった。
【0044】なお、本発明の軟質フォームの共振振動特
性は共振振動数及び6Hzの伝達率で評価できる。具体
的に、共振振動数は、3.3Hz以下が好ましく、3.
2Hz以下がより好ましい。また、6Hzの伝達率は、
0.6以下が好ましく、0.55以下がより好ましい。
また、軟質フォームの耐久性は主に湿熱圧縮永久歪及び
ヒステリシスロスで評価できる。具体的に、湿熱圧縮永
久歪は、8%以下が好ましく、7%以下がより好まし
い。またヒステリシスロスは、16%以下が好ましく、
15%以下がより好ましい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の軟質フォ
ームの製造方法によれば、軟質フォームの成形時の流動
性、クラッシング性等の成型性が良好であり、共振振動
数が抑制され、耐久性の高い軟質フォームが製造でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C08G 18/63 (C08G 18/63 101:00) 101:00) (72)発明者 杉山 佳世子 神奈川県川崎市幸区塚越3丁目474番地2 旭硝子株式会社内 (72)発明者 和田 浩志 神奈川県川崎市幸区塚越3丁目474番地2 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4J034 DA01 DB03 DB04 DC50 DG02 DG03 DG04 DG09 DQ05 HA01 HA06 HA07 HC03 HC12 HC22 JA01 KA01 KB02 KD02 KD12 NA01 NA03 NA05 QA02 QA07 QB15 QC01 RA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子ポリオールとポリイソシアネート
    化合物とを触媒及び発泡剤の存在下で反応させて軟質ポ
    リウレタンフォームを製造する方法において、 該高分子ポリオールとして、下記ポリオール(A)及び
    下記ポリオール(B)を含み、該ポリオール(A)と該
    ポリオール(B)が下記式(1)の関係を満たし、総不
    飽和度が0.03meq/g以下、且つ、平均水酸基価
    が10〜70mgKOH/gである高分子ポリオール混
    合物を用いることを特徴とする軟質ポリウレタンフォー
    ムの製造方法。 ポリオール(A):複合金属シアン化物錯体触媒を用い
    てアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られるポ
    リオール。 ポリオール(B):セシウム系触媒を用いてアルキレン
    オキシドを開環付加重合させて得られるポリオール。 10/90≦MA/MB≦73/27 (1) (ただし、MAはポリオール(A)の質量、MBはポリオ
    ール(B)の質量である。)
  2. 【請求項2】 前記ポリオール(A)が、水酸基数が2
    〜8、水酸基価が10〜56mgKOH/g、不飽和度
    が0.03meq/g以下であり、且つ、分子中に3〜
    25質量%のオキシエチレン基を有する、請求項1に記
    載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ポリオール(B)が、水酸基数が2
    〜8、水酸基価が10〜56mgKOH/g、不飽和度
    が0.04meq/g以下であり、且つ、分子中に3〜
    25質量%のオキシエチレン基を有する、請求項1又は
    2に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記高分子ポリオール混合物が、ポリマ
    ー粒子を含むポリマー分散ポリオールである、請求項1
    〜3のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタンフォーム
    の製造方法。
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