JPWO2003048643A1 - 燃料供給ダクトの燃料分配装置と該分配装置の運転方法 - Google Patents
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Abstract
火炉の壁面に設けられた一以上のバーナに固体燃料と搬送用ガスとの混合流体を供給する燃料供給ダクトに分岐部を設け、該分岐部から複数に分岐された分岐ダクトにそれぞれ対応するバーナを接続する。また各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度が互いに偏差が生じるように分岐部の上流側の燃料供給ダクト内に混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパを配置して燃料供給ダクトの燃料分配装置とする。前記ダンパの傾斜角度を調整して特定のバーナの混合流体中の固体燃料濃度を高める。高い固体燃料濃度が供給されるバーナでは低負荷時において着火安定性と着火した火炎の安定燃焼性が得られる。
Description
技術分野
本発明は、燃料供給ダクトの燃料分配装置と該燃料分配装置を備えた燃料供給装置及び該燃料供給装置を備えた燃焼装置に関するものであり、特に褐炭焚ボイラの燃焼性を改善するのに好適な燃料供給ダクトの燃料分配装置に関する。
背景技術
図20に従来のボイラ用の褐炭燃焼システムの一例を示す。褐炭燃焼システムとボイラ構造は石炭ホッパ1と該ホッパ1から供給を受けた石炭を粉砕するミル3、該ミル3から供給される石炭粒子と石炭粒子搬送用ガスから成る混合流体(以下、石炭粒子を微粉炭、石炭粒子と石炭粒子搬送用ガスの混合物を混合流体又は固気二相流ということがある)を搬送する燃料供給ダクト4、該燃料供給ダクト4の先端部に接続されるバーナ5、該バーナ5を側壁に設けた火炉8、前記バーナ5で燃焼された石炭粒子の燃焼排ガスを石炭粒子の搬送用ガスとして利用するための火炉8の壁面開口部とミル3を接続した排ガスダクト6、前記火炉8内に設けた伝熱管9などで構成される。
塊状の石炭Aはホッパ1の下部に設置したフィーダ2で切り出され、ミル3に連続供給される。ミル3は、いわゆるファンミルが用いられることが多いが、ミル3の構造はファンミルに限定されたものではない。
ミル3では火炉8から排ガスダクト6を経由して導入された酸素濃度21%未満の高温排ガスBで石炭が乾燥され、同時に粉砕が行われる。粒状石炭が粉砕された後に得られた石炭粒子(微粉炭)と排ガスの混合流体Cは燃料供給ダクト4を通して、火炉8の側壁の縦方向に複数段設けられたバーナ5に供給される。バーナ5に供給された石炭粒子は火炉8内で燃焼され、火炎を形成し、その輻射熱で火炉側壁および火炉上部に設置された伝熱管9で熱吸収が行われ、蒸気を発生させる。
燃料供給ダクト4から混合流体Cは火炉8の側壁に設置された複数段のバーナ5へ分配されるが、バーナ5の段数は2〜4段設けられる場合が多い。また、これらの複数段のバーナ5はミル3毎(ボイラ1缶当たり複数ミルが設置される)に火炉8の側壁に鉛直方向に配置される場合が多い。この理由は、ファンミル3の吐出圧能力が通常の遠心式ターボブロアー等に比して低いことによる。すなわち燃料供給ダクト4の圧力損失を低く抑える必要があり、燃料供給ダクト4を簡素にし、かつ全長を必要以上に長くしないためには鉛直方向に配置する場合の方が水平方向にバーナ群を配置する場合に比べて有利であるからである。
次に、図20に示すボイラ火炉8における燃焼方法の一例について説明する。
例えばボイラの低負荷時にはバーナ5へ供給する石炭Aの量を低下させるが、石炭Aをミル3で微粉砕した石炭粒子をミル3からバーナ5に向けて安定的に搬送するために、燃料供給ダクト4内での石炭粒子搬送用ガス(ボイラ排ガス)の流速を石炭粒子の安定搬送に必要な最低流速以下にならないように一定流速を確保している。このためボイラ低負荷時にはバーナ5へ供給する混合流体C中の石炭粒子濃度が低下し、バーナ5での燃料着火性が不安定になることがある。
この対策として、複数台あるミル3の一部を一時的に停止させる(ミルカット、例えば4台を2台にする。)と同時に各段のバーナ5毎に供給する混合流体中の石炭粒子(微粉炭)濃度をそれぞれ変える工夫がなされている。
バーナ5に向けて石炭を搬送する燃料供給ダクト4内の燃料濃縮技術として図27、図28および図29に示す従来技術が知られている。これらの燃料濃縮技術は、上段側と下段側のそれぞれのバーナへ供給する石炭粒子濃度を調整するものである。
図27に示す例は、混合流体Cの流路の上流側に大径の燃料供給用の燃料供給ダクト(メインダクト)4を設け、該メインダクト4の下流側に小径の燃料供給ダクト(分岐ダクト)102を設け、該燃料供給ダクト(分岐ダクト)102を挿入して混合流体Cの流路を2つのダクトに分岐させ、それぞれの先端部に下段バーナ501と上段バーナ502を接続している。図27に示す構造は、小径の分岐ダクト102の基部開口部より上流側の大径のメインダクト4の内部に円錐状の偏流器105を設置し、石炭粒子の慣性力を利用して大径のメインダクト4の内壁面側へ石炭粒子を集めて、下段バーナ501へ供給する石炭粒子の濃度を上段バーナ502へ供給する石炭粒子の濃度より高くしている。
図28に示す例は、燃料供給ダクト(メインダクト)4を三つに分岐させ。各分岐された各分岐ダクト107、108及び109の先端にそれぞれ上段バーナ503、中段バーナ504及び下段バーナ505を設けたものであり、三つの各分岐ダクト107〜109内にそれぞれ分配器(ダンパ)115〜117を設置し、各分岐ダクト107〜109内の混合流体Cの流動抵抗をダンパ115〜117の傾斜角度により調整して混合流体流量を制御するものである。
図29に示す例は、ミル3から送られてくる燃料供給用のメインダクト4の横断面積は変えずに上段バーナ506にまで接続し、その途中に下段バーナ507に通じる分岐ダクト121を設けたものであり、この従来技術は石炭粒子がもつ慣性力で上段バーナ506へ供給する混合流体C中の石炭粒子濃度が高まる効果がある。
前記図27〜図29に示す従来技術のバーナ501〜507と該バーナ501〜507に接続した燃料供給ダクトにおいて、メインダクト4に付属する分岐ダクト内での混合流体C中の石炭濃度を調整することができない問題がある。図28に示す三分割された各分岐ダクト107〜109内にはそれぞれダンパ115〜117が設置されており、各分岐ダクト107〜109内で石炭粒子とその搬送用ガスからなる混合流体Cの流動抵抗を変えることはできるが、石炭粒子濃度のみを選択的に変えることができない。
また、図27および図29に示す燃料供給ダクトではダンパ及びこれに類する流路開口度を調整する部材が配置されていないため、メインダクト4に付属する分岐ダクト102、121内へはボイラの負荷変化などによる任意の混合流体中の石炭粒子濃度の調整が行えない。
また、前記従来技術のファンミル3からボイラ火炉8の各段のバーナ5に混合流体Cを供給する燃料供給ダクト(メインダクト)4における石炭粒子濃度分布の調整が難しいという問題点もある。
ファンミル3の出口部付近のメインダクト4では、その横断面内における各単位面積当たりの石炭粒子濃度は必ずしも均一ではなく、濃度分布をもつ場合が多い。これは図21に示すファンミル3内に配置される高速で回転しているファンブレード16の遠心力により石炭粒子がメインダクト4に導かれるためである。図21にはファンミル3における石炭の流動状態を示すが、ファンミル3に供給された石炭はファンブレード16との衝突により細かく粉砕された後、ファンブレード16の回転で発生した遠心力により石炭粒子がファンミル3のハウジング17内壁側に押しやられる。結果として、ファンミル3の出口部付近のメインダクト4では固気二相流からなる混合流体の石炭粒子濃度に偏りが生じ、高濃度の石炭粒子を有する流れdと非高濃度の石炭粒子を有する流れd’がメインダクト4の横断面方向に生じる(これを以下、固気二相流の偏流という場合がある。)。
ファンブレード16の遠心力はファンミル3の配置位置および燃料供給ダクト4の構造などで決まる要素が高く、石炭燃焼システムを運用する前にファンミル3とバーナ5の構造の違いに応じて、それぞれ石炭粒子濃度分布を把握しておくことは難しい。
また、ボイラ火炉8のバーナ5へ搬送する石炭粒子の粒度を細かくするために、ファンミル3の出口部のメインダクト4に図22に示す分級器18を設置する場合には分級器18の下流部に接続されるメインダクト4内で前記固気二相流の偏流が強まる。この作用を図22を用いて説明する。
ファンミル3から分級器18の上流側のメインダクト4を介して送られてきた固気二相流d、d’は分級器18に設けられた衝突板21に衝突した後、粗い石炭粒子fはファンミル3の入口方向に落下し、ダクト20を介して図示していないファンミル3の入口へと戻される。一方,細かい石炭粒子eは分配器18の下流側のメインダクト4を介して火炉8の各段のバーナに供給される。このとき、メインダクト4内の細かい石炭粒子eは、慣性力により分級器18の衝突板21設置側の分級器ハウジング19の内壁に対向する側のハウジング19の内壁に近いメインダクト4の壁面方向へ偏流してしまい、メインダクト4の横断面方向における石炭粒子濃度の分布に大きな不均一性が生じる。
この石炭粒子濃度分布の不均一性を維持したままメインダクト4から分岐した各分岐ダクトに混合流体Cが送られると、各バーナ5に適した濃度の石炭粒子燃料が供給できないことがある。例えば石炭粒子濃度の高い混合流体Cが送られるべきバーナ5に低い石炭粒子濃度の混合流体Cが送られることがある。特に、ボイラを低負荷で運用する場合には、石炭粒子濃度が高い混合流体Cが送られるべきバーナ5に低い石炭粒子濃度の混合流体Cしか送られてこないと火炎の燃焼状態が不安定化し、失火の原因になる。
ボイラを低負荷で運用する場合にはミル負荷を下げる必要があり、このとき、石炭の供給量を低下させるが、石炭搬送用ガス流量は石炭粒子を安定に搬送させるために所定の流量(最低流量)より下げることができない。そこで、失火を防ぐためには火炉に複数段設けられたバーナ5の中で特定のバーナ5に供給する混合流体C中の石炭粒子濃度を濃縮して、バーナ5での着火の安定性を火炎の安定燃焼性を確保する必要がある。
さらに、褐炭などの水分または灰分を多く含む石炭をボイラ燃料として用いる場合には実際のボイラの運用で石炭中の水分または灰分の含有割合に応じて安定なバーナ火炎を維持できる石炭粒子濃度範囲が決まってしまう。
また、バーナ5の火炎の安定性はバーナ5へ供給される石炭粒子濃度および水分濃度、灰分濃度に強く依存し、石炭粒子濃度が高く、水分濃度が低く、さらに灰分濃度が低いほどバーナ火炎の安定性が良いことが経験上分かっているが、褐炭などの石炭は水分または灰分を多く含むため、褐炭を燃料とする場合にはバーナ火炎の安定性を確保することが重要である。
図23及び図26では、対向する壁面の各コーナ部にバーナ5を設けた火炉8において、低負荷時にミルカット(4台を2台)した例を示す。図26は図23よりもさらに低負荷時のバーナ火災の状態を示す。ボイラ低負荷運用時においてミルカットし、火炉8内の熱負荷が低くなると、図23及び図26に示すように火炉8の中央部に安定高温燃焼領域が形成されず、各バーナでの自己保炎により安定燃焼させる方法が行われる。この場合適切な石炭粒子濃度が行われないと石炭の燃焼が不安定となり、ボイラの安定な運転が難しくなる。
一般にボイラ低負荷時には、火炉側壁の上下方向に複数段設けたバーナの中で特定段のバーナへ供給する石炭粒子濃度を高めることで特定段のバーナ火炎の燃焼を安定化させ、これにより火炉全体の燃焼の安定性を確保している。しかしながら、特定段のバーナに多量に濃縮された石炭粒子が供給されて、バーナ着火安定性は改善されても、火炉高さ方向での火炉壁による熱吸収と火炉内の火炎温度分布との関係で火炉出口の排ガス温度が低下し、所定の蒸気温度が得られないという問題が発生する。石炭の着火安定性および火炉出口排ガス温度を所定の温度にするには上下段に分けて設けられた各バーナ5へそれぞれ供給する石炭粒子濃度の調整が重要になる。
本発明の課題はボイラ低負荷時においても着火安定性と着火した火炎の安定燃焼性が得られるようにバーナに固体燃料を供給することができる燃料供給ダクトの燃料分配装置及び該燃料供給ダクトの燃料分配装置を備えた燃料供給装置及び該燃料供給装置を備えた燃料燃焼装置を提供することである。
また、本発明の課題は、固体燃料とその搬送ガスからなる混合流体の中で高濃度の固体燃料を意図した方向に偏流させる機能を備えた燃料供給ダクトの燃料分配装置及び該燃料供給ダクトの燃料分配装置を備えた燃料供給装置及び該燃料供給装置を備えた燃料燃焼装置を提供することである。
また、一般に、図20に一例を示すボイラでは、その全負荷(100%負荷)運転時には、火炉8の出口より後流側のガス流路に設置された伝熱壁及び該ガス流路内に設置された伝熱管9による熱吸収を経て図示していない火炉の後部伝熱部に至ったときのボイラ火炉出口ガス温度が、ガス中に含まれる灰の溶融点より低くなるように設定されている。また、前記後部伝熱部に設置される図示していない伝熱管の表面のメタル温度がその耐熱温度以上に過度に加熱されない温度となるようにボイラの全負荷運転時のボイラ火炉出口のガス温度が、設定されている。
しかし、ボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行すると、火炉8への入熱量が低下するため、ボイラ火炉出口のガス温度が低下し、ボイラ出口の蒸気温度が蒸気の需要先であるタービン入口で要求される蒸気温度(以下需要先要求蒸気温度と称することがある。)低下する問題がある。
そこで本発明の課題は、固体燃料とその搬送ガスからなる混合流体を燃料とするボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行した場合にボイラ出口の蒸気温度を前記需要先要求蒸気温度以下にならないようにするため、ボイラ火炉出口のガス温度が下がり過ぎないようにする燃料供給ダクトの燃料分配装置及び該燃料供給ダクトの燃料分配装置を備えたボイラの運転方法を提供することである。
発明の開示
本発明は、火炉の壁面又は壁面同士がなす隅部に設けられた一以上のバーナに固体燃料と搬送用ガス(例えば、燃焼排ガスなど酸素濃度が21%未満のガス)からなる混合流体をそれぞれ供給する燃料供給ダクトと、該燃料供給ダクトに設けられた分岐部から複数に分岐され、それぞれ対応するバーナに接続された各分岐ダクトと、前記各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度に互いに偏差が生じるように分岐部の上流側の燃料供給ダクト内に配置した混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパとを備えた燃料供給ダクトの燃料分配装置である。
前記燃料供給ダクト(メインダクト)の燃料分配装置における前記ダンパの傾斜角度を変更するダンパ枢支軸をダンパの端部(図2参照)又はダンパの中央部(図4参照)に設け、該ダンパ枢支軸を前記分岐部の上流部のダクト中心部又はその近傍に配置することが望ましい。
火炉内に開口された複数のバーナと接続された各分岐ダクトを下流側に設けた燃料供給ダクトの前記分岐ダクトへの分岐部の上流側に設けたダンパの傾斜角度を調整することにより、固気二相流からなる混合流体中の固体燃料搬送用ガスの分配比率を一定にし、固体燃料の濃度を任意の方向に濃縮することが可能になる。これは、燃料供給ダクトの分岐部上流側から分岐ダクトバーナを介して火炉内に至る間の全圧力損失に対してダンパから各分岐ダクト入口間の圧力損失が小さいことから、搬送用ガスは分配比率を一定にでき固体燃料のみ慣性分離が可能になるためで、これによって固体燃料粒子を選択された経路(各分岐ダクト)に偏流させることができる。
一般に火炉の上下段に設けた複数のバーナに一つの燃料供給ダクトを経由して固体燃料粒子を供給する燃焼装置を用いるが、固相及び気相からなる前記混合流体が複数のバーナの中で特定のバーナ用分岐ダクトの方へ多く流れるようにダンパの傾斜角度を調整すると、固相及び気相はダンパ設置部を通過した後も、その慣性により上記偏流を維持しようとするが、密度の小さい気相の慣性は小さいため急速にその慣性を失い、各バーナにそれぞれ接続される分岐ダクトへ均等に流れるようになる傾向にある。一方、密度の大きい固相はその慣性の大きさにより上記偏流が維持されやすいので各分岐ダクトへの固体燃料濃度が非均等のままで分配(非均等分配性)が維持される傾向にある。
以上の原理により固相が選択的に特定バーナに接続した分岐ダクトへ多く流れるようになる。これは一種の慣性分級と言うことができ、この分級を以下に述べる分配方式と区別するため燃料供給ダクト(メインダクト)内の固気二相流の流れ方向(主軸方向)に対して非軸対称の慣性分級と呼ぶ。
バーナにおいて石炭が自己着火するためには、一定量以上の入熱(供給炭の発熱量)、石炭濃度及び酸素が必要である。しかし、ミルへ供給される石炭粒子(微粉炭)搬送ガスが低酸素濃度のボイラ排ガスなどを用いること、及び、ミルでの石炭乾燥により生じた水蒸気が新たに混合流体中に付加されることによりバーナに供給される混合流体は著しく低い酸素濃度(数%〜15%)となっている。
そこで、同一ミルから燃料供給ダクトを経て複数のバーナに混合流体を分配する際に、特定のバーナに対しては最低限必要な入熱量と石炭濃度を確保することにより、その特定のバーナは燃料の自己着火性が維持できる。そのため、火炉内においてミル1台当り少くとも1つのバーナにより火炎を形成維持することができる。
発熱量が低く、水分含有量の高い褐炭を固体燃料として用いる場合には、同一のミルから褐炭が供給される複数バーナの内、特定のバーナの固相濃度を高めることが重要である。こうして褐炭を燃料とする火炉が低負荷である場合でも前記特定のバーナで失火するおそれがなくなる。
また、本発明では、前記ダンパ枢支軸と前記分岐部との間の混合流体の流れ方向の距離Lと燃料供給ダクトの口径Dとの間に
L/D=0.4〜2
の関係がある構成が望ましい(図7参照)。
一般に火炉の上下段に設けた複数のバーナに一つの燃料供給ダクトを経由して固体燃料粒子をそれぞれ供給する燃焼装置が用いられるが、前記L/Dが前記範囲を外れると、特定のバーナへの固体燃料の石炭濃縮比が悪くなる。
前記L/Dが0.4未満であると、火炉への燃料供給量を全体的に減らす低負荷時には、特定のバーナへの固体燃料の濃縮率が悪くなり、当該バーナが失火するおそれがある。また、L/Dが2を越えると特定のバーナ側へ送られるように分配された高濃度の固体燃料粒子がダンパとダクト分岐部までの距離が長すぎるため燃料供給ダクト内で再び均一化して前記特定のバーナへ高濃度の固体燃料を濃縮できない現象がおこる。したがって、複数段設けられたバーナの中の特定のバーナへの固体燃料粒子の高濃縮比を維持するためにはダンパ上部端とダクト分岐部の間の距離Lを燃料供給管口径Dの0.4から2倍にすることが望ましい。
また、混合流体の流れ方向に対する前記ダンパの傾斜角度を±40°の範囲で可変できる構成にすることが望ましい。
前記ダンパ傾斜角度が30°以上では上下段バーナの特定のバーナへの石炭粒子の濃縮比が飽和し、燃料供給ダクトのダンパ設置部の圧力損失が上昇する。従って前記ダンパ傾斜角度は±30°程度にすることが望ましく、最大でも40°の範囲で調整することが実用的である。
また、前記ダンパより上流側の前記燃料供給ダクトに混合流体の流れを攪拌する回転羽根を設けても良い(図15参照)。この場合には燃料供給ダクト内の固気二相流の流れに対して回転羽根により機械的な強旋回を与えることができるので、回転羽根より上流側の燃料供給ダクト内で偏流があっても、回転羽根で強制的に偏流修正をすることができる。
本発明の燃料供給ダクトの燃料分配装置における前記燃料供給ダクトは、鉛直方向に混合流体が流れるように配置され、前記ダンパを設置した第一燃料供給ダクト4aと、該第一燃料供給ダクト4aの上流側に該第一燃料供給ダクト4aに対して折れ曲がり接続された第二燃料供給ダクト4bとを備えた構成にしても良い(図10、図14参照)。
このとき前記第二燃料供給ダクト4bは、前記ダンパによる各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度の偏差を促進するように混合流体を誘導する方向に折れ曲がった構成とすることが望ましい。
燃料供給ダクトに前記折れ曲がり接続された部分(図10、図14のエルボE、E’)があると、固気二相流の特に固相に対して前記折れ曲がり部分が偏流を形成するように作用する。その偏流の方向性を非軸対称慣性分級方式のダンパで発生させる偏流の方向性と一致するように設定することで、ダンパ設置部の下流側の燃料供給ダクトの非均等分配性(固相が偏流したり、一部の領域で濃縮すること)が向上するようになるので、本発明のダンパの石炭粒子の分配性が上流側燃料供給ダクト内の固気二相流の偏流によって打ち消されることがない。
また、前記第二燃料供給ダクト4bの上流側に、さらに鉛直方向に混合流体を流す第三燃料供給ダクト4cを接続してよい。
この場合には第一燃料供給ダクト4a、第二燃料供給ダクト4b及び第三燃料供給ダクト4cにより燃料供給ダクト全体で上下2カ所にエルボE、E’ができる(図14)。そのため、鉛直方向に配置されたの第一燃料供給ダクト4aと第三燃料供給ダクト4cの主軸同士の間にオフセットOが設定される。このオフセットOにより第三燃料供給ダクト4cを通過した後の混合流体は第二燃料供給ダクト4bの壁面上部に衝突し、固気二相流からなる混合流体は流れる方向を変えられ、第一燃料供給ダクト4aにあるダンパに達すると逆向きに流れの方向が変えられる。こうして混合流体中の固相流の偏流効果を少ない圧力損失で達成でき、特定のバーナに接続する分岐ダクトにより高濃度の石炭粒子を多量に流すことができるようになる。
また、本発明の燃料供給ダクトの燃料分配装置において、ダンパより燃料供給ダクトの上流側に混合流体の流れを絞る絞り器を設けても良い(図16、図17参照)。
前記絞り器を燃料供給ダクトに設けて固気二相流からなる混合流体の流れを燃料供給ダクトの主軸側に一旦集め、絞り器を通過した後に再び分散させる。そのため、燃料供給ダクトの横断面方向の石炭粒子濃度分布が絞り器を通過時に一旦均一になり、その後にダンパにより特定の分岐ダクト側に石炭粒子濃度が高い混合流体が流れるようになる。
従って、燃料供給ダクト内で固気二相流が固体濃度を高くしたくない特定のバーナ用側の分岐ダクト側に固体濃度が高くなる偏流が生じていてもその偏流が絞り器の上流側であれば、特定のバーナに供給する固気二相流中の固体粒子の濃縮を高くすることができなくなる。
また、前記絞り器は前記ダンパによる各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度の偏差を促進するように絞り度合いを変更できる構成とすることで、容易に複数の分岐ダクトの内の特定の分岐ダクトを通る固体粒子濃度を高くするなどの調整ができる。
また、本発明には前記燃料供給ダクトの燃料分配装置を固体燃料粉砕用ミルと火炉の壁面に設けられた各バーナとの間に配置した燃料供給装置及び前記燃料供給装置を備えた固体燃料燃焼装置も含まれる。
また、本発明の燃料供給ダクトの燃料分配装置では、火炉壁面又は壁面同士がなす隅部の高さ方向に複数段配置されているバーナの中の少なくとも特定のバーナに接続する分岐ダクト内に該ダクトの開口面積を全開から前閉まで変更できる分岐ダクト内ダンパを配置しても良い(図24、図25参照)。
上記分岐ダクト内ダンパを配置した燃料分配装置を有する燃料供給装置を備えた固体燃料燃焼用ボイラは次ぎのような運転方法を採用することができる。
すなわち、一台の石炭粉砕用ミルで粉砕された石炭粒子を搬送用ガスと共に燃料供給ダクト及び該燃料供給ダクトから複数に分岐した分岐ダクトを介して、各分岐ダクトに対応した火炉の壁面または壁面同士がなす隅部の高さ方向に複数段設けられた各バーナにそれぞれ供給する固体燃料燃焼用ボイラの運転方法において、前記各分岐ダクトの上流側の燃料供給ダクト内に固体燃料と搬送用ガスからなる混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパを設けると共に、前記各分岐ダクトの中で、少なくとも下段側のバーナに接続した分岐ダクトに、該ダクトの開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパを配置し、ボイラの起動時には前記燃料供給ダクト内ダンパを調整して下段側バーナに接続した分岐ダクト内のダンパは開方向に操作して石炭粒子を濃縮して供給し、燃焼が安定した後の負荷変化において高負荷から低負荷変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト内ダンパを閉方向に操作する固体燃料燃焼用ボイラの運転方法である。
ボイラの起動時に燃料供給ダクト内ダンパを調整して下段側バーナに接続した分岐ダクト内に石炭粒子を濃縮して供給することで、燃料の燃焼が不安定なボイラの起動時に下段側バーナでの燃料燃焼性を確保することができる。
また、安定した燃料の燃焼が行われる高負荷運転状態の後にボイラが低負荷運転に変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト内ダンパを閉方向に操作して火炉出口ガス温度が需要先の要求蒸気温度を確保するのに十充高くなるようにでき、低下することにより生じる不具合を防止することができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。以下の各実施の形態は図20に示すファンミル3で粉砕されて微粉化された褐炭火炉排ガスを搬送ガスとして用いる褐炭焚ボイラの火炉8のバーナ5に搬送する鉛直方向に伸びた燃料供給ダクト4を例に説明する。前記バーナ5は火炉8の側壁の上下方向に複数段設けられ、各バーナ5に対応するファンミル3から以下に説明する燃料供給ダクト4を経由して供給される。また、以下の本発明の実施の形態のバーナ5への燃料供給装置は、該燃料供給装置の一構成部材であるダンパの上流側の燃料供給ダクト4内の石炭粒子の濃度分布と流量分布を調整してボイラ火炉8の下段側のバーナ5に接続された分岐ダクト4を流れる石炭粒子濃度が上段側のバーナ5に接続された分岐ダクト4を流れる石炭粒子濃度より高くすることができる燃料供給ダクト4を備えたものである。また、本発明の以下の各実施の形態では燃料供給ダクト4が二つに分岐してそれぞれ上段バーナと下段バーナに接続される例を示しているが、本発明の燃料供給ダクト4はこの二分岐構造のものに限定されるものではない。
第1実施例
図1に本実施例の燃料供給ダクトの要部断面図を示し、図2に図1の燃料供給ダクトに配置されるダンパ周りの詳細構造図を示す。
図1の燃料供給配管は鉛直方向に伸びるメインダクト4と該メインダクト4内のダクト分岐点14近傍の上流部に設置されるダンパ11、上段バーナ12と下段バーナ13にそれぞれ接続される分岐後の分岐ダクト15、16などで構成される。
ダンパ11には図2に示すようにダンパ枢支軸11aがメインダクト4の中心部近傍の該メインダクト4を横断する方向に設けられている。
本実施例は図2に示すように、ダンパ枢支軸11aがダンパ11の上端部に設置された例である。ダンパ11の平面図を図3に示すが、ダンパ11は略半円形状であり、ダンパ枢支軸11aはダンパ11の上端部の直線部に設けられる。
ダンパ11は、ダンパ枢支軸11aを回転させて、ダンパ11の鉛直線に対する傾斜角度(以下単にダンパ11の傾斜角度という)θを適切な角度に設置して、その位置にダンパ11を保持できる構成になっている。
第2実施例
図4に第1実施例の変形例である本実施例の燃料供給ダクトの要部縦断面図を示し、図5に図4のダンパの平面図を示す。ダンパ11はメインダクト4の断面形状と同じく円形である。
この場合も、ダンパ枢支軸11aを回転させて、適切な傾斜角度θにダンパ11を保持できる。
図6には第1実施例と第2実施例おける下段バーナ13への石炭濃縮比とダンパ最大幅(LD)に対するダンパ11の上部端から枢支軸11aまでの長さ(L1)の比である(L1/LD)の値との関係を示す。なお、下段バーナ13への石炭濃縮比とはメインダクト4における混合流体中の石炭濃度に対する下段バーナ側の分岐ダクト16に供給される石炭濃度の比率である。
ダンパ11がメインダクト4の混合流体の流れる方向(鉛直方向)に対する傾斜角度θが30°であるときの(L1/LD)値が示すように、長さL1=0であるとき(第1実施例)、最も高い石炭粒子濃度の混合流体Cを下段側バーナ13に濃縮することができる。
また(L1/LD)=0.4以上にすると分配比はほぼ一定であるがダンパ11の圧力損失が高くなる問題がある。ファンミル3(図1)では吐出圧能力が通常の遠心式ターボブロア等に比して低いためメインダクト4から分岐する分岐ダクト15、16内での圧力損失を低く抑える必要がある。
以上のことから第1実施例及び第2実施例の構成では、ダンパ枢支軸11aの位置はダンパ上端部からダンパ11の最大幅(LD)の半分までの範囲内に設けることが望ましいことが分かる。
図7には図4に示す第2実施例で、ダンパ11の傾斜角度θが30°である場合に、ダンパ11の設置位置と下段バーナ13への石炭濃縮比の関係について検討した結果を示す。
メインダクト4の口径Dに対するダンパ上部端と分岐点14間の距離Lの比率を基準にして求めた下段バーナ13への石炭濃縮比の関係を検討した。
距離Lがダンパ11の口径Dに比して小さいと、すなわちL/Dが0.4未満になると、下段バーナ13への石炭濃縮比が悪くなる。これは混合流体の流れに対するダンパ11の抵抗が増加して下段バーナ(石炭を濃縮し着火性を強化したバーナ)13に接続する分岐ダクト16へ流入するガス量も増加するため、前記分岐ダクト16内での石炭濃度がさほど高くならないためと考えられる。これに対してL/Dが2を越えると一旦、下段バーナ13側の分岐ダクト16に向かった石炭粒子が分岐ダクト16に到達する前にメインダクト4内で再び再分散するため下段バーナ13への石炭濃縮比が低下する。したがって、下段バーナ13への石炭粒子濃縮比を高くするためにはダンパ上部端と分岐点14間の距離Lを燃料供給管口径Dの0.4から2倍にすることが望ましい。
ボイラの試運転中にメインダクト4から上段バーナ12と下段バーナ13への石炭粒子の濃縮比を調整できる操作としてはダンパ11の傾斜角度θのみである。図8にダンパ11の傾斜角度θと下段バーナ13への石炭粒子の濃縮比の試験結果について示した。ダンパ傾斜角度θが30°以上では前記分配率が飽和し、メインダクト4のダンパ設置部の圧力損失(図示せず)が上昇することが明らかになった。ダンパ傾斜角度が30°以上になると石炭を濃縮したい分岐ダクトへの石炭粒子の量は増加するが、それと同じようにガス量も増加するため、石炭濃縮比が変化しないものと考えられる。
上記したように混合流体Cの分岐ダクト15、16内での圧力損失を低く抑える必要があることからダンパ傾斜角度θはダンパ11の枢支軸11aを通る鉛直線に対して±30°程度にすることが望ましく、最大でも40°の範囲で調整することが実用的である。
上記第1と第2実施例に示す場合には、図1に示すようにファンミル3(図20参照)からボイラ排ガスで輸送された混合流体Cの流れはメインダクト4内に設置した鉛直方向に対して傾斜角度θで保持されたダンパ11に衝突して偏流となり、固体である石炭粒子が主に上段バーナ12に接続されたダクト15側を流れるに薄い石炭濃度の石炭粒子流Fと下段バーナ13に接続されたダクト16側を流れる濃い石炭濃度の石炭粒子流Eとが生じ、それぞれ上段バーナ12と下段バーナ13からボイラ火炉8内に供給される。
このように、メインダクト4の分岐点14の上流側にダンパ11を設置し、そのダンパ枢支軸11aをダンパ中心部より上方に設置することにより、石炭粒子とボイラ排ガスからなる混合流体Cの中の搬送用ガスの分配比率を分岐ダクト15、16では同じにし、固体燃料のみの分配を任意の方向(第1、第2実施例では分岐ダクト16側)に変えることが可能になる。これは、ダンパ11の設置によって固体燃料粒子が慣性力によって選択された経路のみに偏流することによる。このようにダンパ11の傾斜角度θを調整して上下段バーナ12、13に供給する燃料濃度を任意に調整できる。
従って、ボイラ低負荷時には、火炉側壁の、例えば下段側のバーナ13へ石炭粒子濃度の高い混合流体Cを供給するようにダンパ11を傾斜させることでボイラ内では石炭粒子の着火安定性と着火した火炎の安定燃焼性を確保できる。
第3実施例
図9は横断面が角型の燃料供給ダクトの例を示しており、メインダクト4から上段バーナ12と下段バーナ13にそれぞれ分岐して接続した分岐ダクト15、16が並行して上方に伸びており、上下段バーナ12、13の近傍でそれぞれが分離した構造になっている。上段バーナ12と下段バーナ13に分岐する手前のメインダクト4内にダンパ11を配置する。
図9に示すようにダンパ11は、分岐点14を通る鉛直線上の上流側に枢支軸11aを持ち、該枢支軸11aがダンパ11の上端部に設けられた構成からなり、図9に示すようにダンパ11は上段バーナ12に通じる分岐ダクト15側に傾斜させているので上段バーナ12に通じる分岐ダクト15を通る混合流体F中の石炭粒子濃度に比較して下段バーナ13に通じる分岐ダクト16へ供給される混合流体E中の石炭粒子濃度が高くなる。
第3実施例にれば、前記第1実施例に示した効果と同じ効果があるが、さらに燃料供給ダクトの横断面が角型であることにより次のような利点がある。
構造面において、流路断面積を可変な絞り器25、26(図17)の設置が可能であること及び板が直線部のみであることにより操作性が容易であること、さらに局所的な偏摩耗が生じにくいこと等である。
第4実施例
本実施例は前記第1実施例の燃料供給ダクトにおけるダンパ11が設置された鉛直方向に伸びるメインダクト4の上流側に折れ曲がり状の第二のメインダクトを接続した構成に相当する。
図10に本実施例の燃料供給ダクトの要部縦断面図を示すが、ダンパ11が設置されたメインダクト4aと該メインダクト4a内のダクト分岐点14近傍の上流部に設置されるダンパ11、図示しない上段バーナと下段バーナにそれぞれ接続される分岐ダクト15、16を備え、ダンパ11にはダンパ枢支軸11aがメインダクト4aの中心部近傍の該メインダクト4aを横断する方向に設けられている。ダンパ11は、枢支軸11aを中心に回転させて、適切な傾斜角度θに保持できる構成である。
なお、図10には枢支軸11aをダンパ11の中心部に設けているが図2に示すようにダンパ11の上端部に設けても良い。以下の図14、図15、図11に示すダンパ11に取り付ける枢支軸11aの取付け位置についても同様に枢支軸11aをダンパ11の上端部に設けても良い。
例えば上記図1から図5に示すダンパ11の傾斜角度θが上段側バーナ12よりも下段側バーナ13へ比較的石炭粒子濃度が高い混合流体を供給されるように設定されていても、ダンパ11の設置部の上流側のメインダクト4内で発生する固相(石炭粒子)の偏流がダンパ11の傾斜角度θの意図する目的とは逆に下段側バーナ13よりも上段側バーナ12へ比較的石炭粒子濃度が高い混合流体が流れ込むように形成されていると、前記ダンパ11の設置効果が無くなる。
そこで本実施例は、ダンパ11が設置されたメインダクト4aの上流側のメインダクト4b内で固相(石炭粒子)が偏流する性質をより高めておき、ダンパ11による偏流効果をより確実にする。こうして、分岐ダクト15を経由する上段側バーナよりも分岐ダクト16を経由する下段側バーナへ比較的石炭粒子濃度が高い混合流体を供給することができる。
図10に示す実施例の燃料供給ダクトの分配装置は、大きく4つの部位から構成される。その構造上の特徴は、ダンパ11が設置されたメインダクト4aとその上流側のメインダクト4bの間にエルボ(曲がり部)Eを設けることである。
メインダクト4aの最下流部は二つに分岐して上段側バーナに接続する分岐ダクト15及び下段側バーナに接続する分岐ダクト16が設けられるが、その分岐点14の手前にダンパ11とその枢支軸11aが設けられる。枢支軸11aはダクト11を横断する方向に設けられている。
ダンパ11は枢支軸11aを中心として傾斜角度θを可変設定できる。時計回りを正とすると傾斜角度θを0<θ<90°に設定することにより、上流から供給される混合流体(固気二相流)はダンパ11によって曲げられ、分岐ダクト16から下段側バーナ側により多く流れるように誘導される。すなわち分岐ダクト16の混合流体の流量が増す。固相は気相に比べ密度が高く慣性力が強いため、ダクト16の流量増加率は気相よりも固相の方が多くなる。結果として分岐ダクト16の固相流量が増すとともに固相濃度(混合流体の石炭粒子濃度)も同時に高くなる。
ダンパ11の傾斜角度θを−90°<θ<0に設定すれば、前記した傾斜角度θを0<θ<90°に設定した場合と逆の現象が生じ、分岐ダクト15の固相流量及び固相濃度が増加する。
本実施例の燃料供給ダクトの分配装置におけるダンパ11に特徴的なことは、意図的に非軸対称慣性分級方式のダンパ11を用いているため、ダンパ11が設置されたメインダクト4aの横断面方向の石炭粒子濃度がダクト下流側に向けてほぼ単調に増加することである。
エルボEの上流側のメインダクト4bの混合流体の流れ方向(主軸方向)F1、エルボEの下流側のメインダクト4aの主軸方向F2、上段側バーナに接続する分岐ダクト15の入口部の主軸方向F3、下段側バーナに接続する分岐ダクト16の入口部の主軸方向F4の各ベクトルは同一平面内に設定されている。ダンパ枢支軸11aは前記平面に垂直方向に設定されている。
上記条件を満足する本実施例の燃料供給ダクトの分配装置において、ダンパ傾斜角度θを正の方向に0°<θ<90°の範囲に設定した場合、ダンパ11設置部より上流側のメインダクト4bのオリエンテーションをエルボEによって主軸方向F1と主軸方向F2のなす角度α(αは時計方向が正)を0<α<180°となるように設定する。この角度αの設定によりメインダクト4aに流入する混合流体(固気二相流)はエルボEにより角度αの負方向に曲げられる。このときの密度の高い石炭粒子固相は慣性が高いので、混合流体の偏流が起こり、ダンパ11の設置部に到達した混合流体は、ダンパ11よりさらに前記偏流が促進され、分岐ダクト15側よりも分岐ダクト16側に流れる混合流体中の石炭粒子(固相)の濃度と流量が高くなる。このオリエンテーションにより、図10に示す燃料供給ダクトの分配装置は、ダンパ設置部のメインダクト4aの混合流体中の石炭粒子(固相)のダンパ11による分配能力以上の分配性能を得ることができる。すなわちエルボEとダンパ11の組合わせ効果が発生する。
別の視点で見ると、一般にダンパ11の傾斜角度θを大きくすると混合流体中の石炭粒子の分配能力は高まるが、ダクト4a内の混合流体通過面積が狭くなるためファンミル3による混合流体の搬送圧力の損失が増大するので、ダンパ設置部の上流側のメインダクト4bにエルボEを設けることで、図1〜図5に示す実施例と同等の石炭粒子(固相)の分配能力をより低い搬送圧力で達成できる。
通常、図20の石炭燃料をボイラ火炉8に供給するシステムにおいてファンミル3を最上流点とする燃料供給ダクト4は混合流体搬送時の圧力損失を低減させるために鉛直方向に伸びる最短のルートを持つように設計がさなれるが、各種混合流体搬送用の機器を配置する上で鉛直平面内で曲がり部を設けざるを得ない場合が多い。その曲がり部としてダンパ設置部の上流側にあるメインダクト4bに傾斜角度αのエルボEを設定すれば、前記傾斜角度αにより新たに生じる混合流体の搬送系の圧力損失を混合流体搬送系全体の圧力損失に算入する必要がない。すなわち、本来曲がり部で生じる圧力損失を分配性能向上に有効に利用することができる。従って圧力損失の増加なしに分配性能を向上させることができる。
また、前記傾斜角度αを90°近傍に設定する(ダンパ設置部の上流側のメインダクト4b部分に水平部分を設ける)ことによりメインダクト4b内の固相への重力の影響が最大に働くことになる。すなわちメインダクト4bの底部に濃い固相が形成されやすくなるため、燃料供給ダクトの分配装置全体の混合流体中のより石炭粒子(固相)が濃い領域とより搬送ガス(気相)が濃い領域に分ける分配性能は最も向上する。さらに前記折れ曲がり部のメインダクト4の傾斜角度αを付けるダクト構成をファンミル3の出口付近で設定すれば、ダンパ設置部の上流側のメインダクト4bにおいて新たに折れ曲がり部を設定する必要がない。
図11に本実施例の主要な効果を示す。図12に示す第1実施例の特性と比較して説明する。
各図の右方に示した3つのグラフは、メインダクト4bの横断面a−bとエルボEの曲り部下流側の横断面c−d及びメインダクト4aの分岐点14手前の横断面e−f部分での石炭流量の分布である。メインダクト4bの横断面a−bにおいてほぼ均一な流量分布を示す混合流体の流れはエルボEの曲り部下流側の横断面c−dにおいて石炭流量の分布図で右方が高い値を示すようになる。同位置において図1に示す構成(図12)では、まだ均一な流量分布を維持している。この分布状態で図11に示す例ではダンパ11によってさらに石炭流量の非均等化なされるため、ダンパ下流側のメインダクト4aの横断面e−fにおける石炭流量の分布では右方が高い値を示している。この石炭流量分布が分岐ダクト15及び分岐ダクト16内に直接反映されるので、本実施例では分岐ダクト16内の石炭流量は、図1に示す第1実施例に比べ大幅に増大する。
図13に本実施例による第二の効果を示す。
ダンパ傾斜角度θを大きく設定すると特定バーナ(本実施例では下段側バーナ)へ供給される石炭濃縮比(=分岐ダクト16への石炭流量)は増加する。本実施例(実線)によると第1実施例(破線)よりも前記石炭濃縮比は増大する。仮に下段側バーナへの石炭濃縮比が本実施例と第1実施例の場合で同じ値Cloewerに保った場合、ダンパ11の傾斜角度θは、角度θ1から角度θ2へ引き下げることが可能となる。
ダンパ傾斜角度θによりダンパ設置位置におけるメインダクト4内の圧力損失への影響は図13の下図に示すように下に凸のカーブとなる。本実施例によれば角度θ1を角度θ2に引き下げることができるので、ダンパ11設置部での圧力損失ΔP1をΔP2まで引き下げることが可能である。
第5実施例
図14に示す実施例の燃料供給ダクトの分配装置は図10に示す実施例の変形例の燃料供給ダクトの分配装置である。本装置は、メインダクト4をダンパ設置部の鉛直方向に配置されるメインダクト4aとエルボEを介してその上流側に接続した折れ曲がり状に配置されるダクト4b及びエルボE’を介して鉛直配置のダクト4cを設ける。すなわちメインダクト5に上下2カ所にエルボE、E’を設け、さらに鉛直状のダクト4aとダクト4cの主軸同士の間にオフセットOを設定したものである。
図14に示す燃料供給ダクトの分配装置のその他の構造は図10に示す構造と同じである。前記オフセットOによりメインダクト4cを通過した後の混合流体はダクト4bの壁面上部に衝突し、固気二相流からなる混合流体は、メインダクト4bの壁面上部により流れる方向を変えられ、メインダクト4aにあるダンパ11に達すると傾斜角度αだけ逆向きに、さらに流れの方向が変えられる。混合流体中の固相流は、その慣性により下段側バーナに接続する分岐ダクト16側に近いメインダクト4aの壁面側を流れるようになるため、図10で説明した効果と同様に上段側バーナに接続する分岐ダクト15側よりも下段側バーナに接続する分岐ダクト16側を流れる混合流体中の石炭粒子(固相)の濃度と流量が大きくなる。
ファンミル3を前記オフセットO分と同量だけメインダクト4aからずらして配置すると、シンプルなオリエンテーションにより本実施例の燃料供給ダクトの分配装置を構成することができる。
第6実施例
図15に示す実施例も図10に示す実施例の変形例の燃料供給ダクトの分配装置である。該分配装置は鉛直配置のメインダクト4に図示しない上段側バーナと下段側バーナにそれぞれ分岐して接続した分岐ダクト15、16を備え分岐点14の近傍の上流側にダンパ枢支軸11aを中心の回転するダンパ11を設け、さらにその上流部に回転軸22aを有する回転羽根22を配設したものである。ダンパ枢支軸11aと回転軸22aはメインダクト4の主軸に直交する方向に設けられる。ダンパ枢支軸11aを図2に示すようにダンパ11の上端部にも設けて良い。
図15に示す燃料供給ダクトの分配装置は、図4に示す実施例の燃料供給ダクトの分配装置に回転羽根22とその回転軸22aを追加して配設した構成に相当する。
ダンパ11の傾斜角度θが0°<θ<90°の場合、回転羽根22に矢印B方向の回転を与えることにより、回転羽根22が設置された領域に流入した石炭粒子は、分岐ダクト16により近いメインダクト4側(図15で右側)において固気二相流の流れを助長するように作用し、中心軸21aの分岐ダクト15により近いメインダクト4側(図15で左側)においては流れを疎外するように作用する。その結果、ダンパ11を設置した付近のメインダクト4内において混合流体中の石炭粒子濃度は分岐ダクト16により近いメインダクト4側で高く、分岐ダクト15により近いメインダクト4側で低くなる。従って、図10に示す第4実施例及び図14に示す第5実施例と同様に上段側バーナに接続する分岐ダクト15側よりも下段側バーナに接続する分岐ダクト16側に流れる混合流体中の石炭粒子の濃度と流量が高くなる効果がある。
本実施例の特有の効果は、メインダクト4を曲げる必要がないこと、及びダンパ11の傾斜角度θが−90°<θ<0の場合に回転羽根22の回転方向を矢印Bとは逆方向に設定することにより、分岐ダクト16側よりも分岐ダクト15側に流れる混合流体中の石炭粒子の濃度と流量を容易に高くすることができることである。
また、本実施例では固気二相流の流れに対して回転羽根22により機械的な強旋回を与えることができるので、回転羽根22より上流側のメインダクト4内で偏流があっても、前記第4実施例及び第5実施例に比較してより強制的に偏流修正をすることができる。
ところで、第4実施例と第5実施例の場合、折れ曲がり部E及び/又はE’を設定しているので、その分、メインダクト4が直管である場合よりも圧力損失が増大するが、メインダクト4の流路断面積を縮減していないので、この圧力損失の増大よりもダンパ11設置部での圧力損失の低減分の方が大幅に大きい。すなわち、ダンパ11の上流において既に偏流を意図的に形成しているので、ダンパ11部の角度θをその分小さく設定でき当該ダンパ11の圧力損失を大幅に低減可能である。本実施例においては、静的にはメインダクト4の流路断面積を縮減しているが、回転羽根22か回転速度を混合流体の流速よりも大きく設定することにより、回転羽根22設置部での圧力損失はほとんど無い。
第7実施例、第8実施例
図16には本発明の第7実施例の燃料供給ダクトの分配装置の要部縦断面図、図17には図16の変形例である第8実施例に係る分配装置の要部縦断面図、図18には図16の分配装置の分配性能を示す図である。
図21と図22について説明したように、ファンミル3のファンブレード17及び分級器18を経由して搬送される石炭粒子がメインダクト4では固気二相流に偏りが生じ、固気二相流の中で高濃度石炭流d又は高濃度石炭流eがダクトの横断面方向に対して生じることがある。
その場合に、図19に示すように、たとえば、石炭を下段側のバーナに誘導する分岐ダクト16に誘導する方向にメインダクト4内のダンパを傾斜させてを配置している場合に、該ダンパ11の上流側のメインダクト4における横断面方向の石炭濃度分布bが該ダクト4の中心部から上段側バーナ用の分岐ダクト15側の領域で石炭濃度が高くなるように混合流体が偏流していると、ダンパ11に衝突しないで、ダンパ11下端部とメインダクト4の壁面との間にある空間を通過する高濃度石炭流cが増え、上段側バーナ用分岐ダクト15に流入する石炭流量が増加する。
図18にダンパ11によるメインダクト4の横断面方向の開度と石炭粒子の(下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への)濃縮比の関係を示すが、前記図19に示す構成では、ダンパ11の設置部の上流側のメインダクト4内で石炭粒子の偏流がある場合(破線曲線)は偏流がない場合(一点鎖線)に比べて下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への石炭粒子濃縮比が低下してしまうということがあり得る。
前記図19に示す第1実施例の問題点に対する対策として、第7実施例では図16に示す構成の燃料供給ダクトの分配装置を採用した。
第7実施例は鉛直方向に伸びるメインダクト4の内壁に環状の絞り部材24を設け、該絞り部材24の下流部に枢支軸11aを備えたダンパ11を設け、該ダンパ11が設置されたメインダクト4の下流に図示しない上段側バーナと下段側バーナにそれぞれ分岐して接続した分岐ダクト15、16を備えた構成である。
前記絞り部材24により、固気二相流からなる混合流体Cの流れがメインダクト4の主軸側に一旦集められ、絞り部材24を通過した後に分散する。そのため、メインダクト4の横断面方向の石炭粒子濃度分布が絞り部材24を通過時に一旦均一になり、その後に分岐ダクト16側に石炭粒子濃度が高い混合流体が流れるようになる。
従って、メインダクト4内で固気二相流が上段バーナ用分岐ダクト15側に偏流していた場合も、図19に示すダンパ11下端部とメインダクト4の壁面との空間を通過する石炭量が低減されるので、良好な分配性を得ることができる。
図18には図16に示す構成の下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への石炭粒子の分配性能を示す。
本実施例では、ダンパ11の設置部の上流側のメインダクト4内で混合流体に偏流がある場合でも絞り器24があるため、下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への石炭粒子濃縮比が低下するこは無くなり、偏流がない場合と同等の良好な分配性能を得ることができる。
次に、図17に示す第8実施例は、図16に示す装置の変形例であり、横断面が角形のメインダクト4に設けられたダンパ11設置部の上流側のメインダクト4の内壁に横断面方向の高さ調整が可能な一対の絞り部材25、26を設けている。例えば図17に示すように、下段バーナ用分岐ダクト16に石炭粒子を濃縮して供給したい場合は、ダンパ11設置部において上段側バーナ用分岐ダクト15側を通過する石炭粒子濃度を低減すればよいので、上段側バーナ用分岐ダクト15側に設置された高さ調整式の絞り部材25の高さL1を高くし、反対側の下段側バーナ用分岐ダクト16側に設置された高さ調整式の絞り部材26の高さL2を最低にすれば良い。
こうして、メインダクト4内で不要な圧力損失の増加を防ぐことができる。また、絞り部材25、26の高さL1、L2は、ダクトの内径Dに対して、0≦L1/D≦0.3、0≦L2/D≦0.3の範囲で調整できることが望ましい。
第9実施例、第10実施例
第9実施例と第10実施例の燃料供給ダクトの燃料分配装置を図24及び図25にそれぞれ示す。
図24に示す第9実施例は第1実施例の燃料供給ダクト構造の下段側バーナに接続する分岐ダクト16に、該ダクト16の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパ28を設けた例であり、図25に示す第10実施例は第4実施例の燃料供給ダクト構造の下段側バーナに接続する分岐ダクト16に、該ダクト16の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパ29を設けた例である。
前記図24又は図25に示す燃料供給ダクト構造の分岐ダクト15、16は図20に簡略図で示すボイラ火炉8の壁面又は壁面の隅部に高さ方向に複数段設けられた各段バーナ5にそれぞれ接続している。各分岐ダクト15、16(図1など)の上流側の燃料供給ダクト4内に混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパ11を設けているが、各分岐ダクト15、16の中で、少なくとも下段側のバーナに接続した分岐ダクト16に、該分岐ダクト16の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパ28又はダンパ29を配置している。なお、分岐ダクト15にも該ダクト15の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパを設けても良いが。図示していない。
図20に一例を示すボイラ火炉8内には伝熱管9が設置され、さらに火炉出口部の図示していないガス流路には図示していない伝熱管が設置されている。さらに火炉出口部の後流側のガス流路にある図示していない後部伝熱部にも伝熱管が配置されている。
従来技術の項で説明したように、ボイラの全負荷(100%負荷)運転時には、火炉8の後部伝熱部に燃焼ガスが至ったときのボイラ火炉出口ガス温度は、ガス中に含まれる灰の溶融点より低くなるように設定され、また、前記後部伝熱部の伝熱管を構成する伝熱管表面のメタル温度がその耐熱温度以上に過度に加熱されない温度となるように設定されている。しかし、ボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行すると、火炉8への入熱量が低下するため、ボイラ火炉出口のガス温度が低下し、ボイラ出口の蒸気温度が低下する問題がある。
そこで、第9実施例及び第10実施例では、ボイラの起動時には燃料供給ダクト4のダンパ11を調整し、かつ分岐ダクト16内のダンパ28又は29を開操作して下段側バーナに接続した分岐ダクト16内に石炭粒子を濃縮して供給し、燃焼が安定した後の負荷変化において高負荷から低負荷変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29を閉方向に操作する。
ボイラの起動時に燃料供給ダクト4内のダンパ11を調整し、下段側バーナに接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29は開操作することで、下段側バーナに接続した分岐ダクト内に石炭粒子を濃縮して供給することができ、燃料の燃焼が不安定なボイラの起動時に下段側バーナ13での燃料燃焼性が確保される。また、安定した燃料の燃焼が行われる高負荷運転状態の後にボイラが低負荷運転に変化したときには前記下段側バーナ13に接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29を閉方向に操作して火炉出口ガス温度が需要先の要求蒸気温度を確保するのに十充高くなるようにする。
なお、図24、図25には二つの分岐ダクト15、16のうち一方のみの分岐ダクト16内にダンパ28又は29を設けた例を示したが、各分岐ダクト15、16内の両方にダンパを設けても良い。この場合には図24、図25に示す例では下段側分岐ダクト16に加えて上段側分岐ダクト15にもダンパを設けることになる。
ボイラが高負荷から低負荷変化したときには下段側バーナに接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29を閉方向に操作するときいは分岐ダクト15内に設置したダンパは開操作をすることで対応できる。
また、各分岐ダクト15、16内の両方にダンパを設けることにより、火炉出口ガス温度を下げたい場合にも上段側バーナに接続した分岐ダクト15内のダンパ(図示せず)を閉方向にすることで対応でき、火炉出口温度の高低の調整が可能になる。
以上の第1〜第10実施例は、混合流体(固気二相流)に限らず密度の異なる二相流に容易に応用でき、設計可能である。
産業上の利用可能性
本発明のよれば、石炭種、負荷の大きさによらず適切な石炭濃度で石炭粒子を複数のバーナに分配でき、バーナ近傍での着火および安定燃焼が促進される。
特に、適切な濃度の石炭粒子を複数のバーナに分配できるので、バーナ近傍で安定した火炎の形成が促進され、別途設けたバーナによる保炎による補助を不要とするため、ミルカットが必要な程のボイラ低負荷領域においても火炉内での石炭の燃焼が安定し、広範囲な負荷調整運転が可能となる。
また、本発明によれば、ダンパは混合流体の流れに沿った方向に傾斜して配置でき、また燃料供給ダクト(メインダクト)にエルボ(ベンド部)を設けた構成はダクトの流路面積を縮減していないので、圧力損失が増大しない。
さらに、本発明によれば、ダンパ設置部の入口部において固気二相流の偏流がある場合も、特定のバーナへ高い石炭濃度の混合流体を供給できる。そのため、ダンパ設置部の上流側の燃料供給ダクト(メインダクト)各種付属機器が設置されていても、ダンパ設置部での前記特定のバーナへ高い石炭濃度の混合流体を供給性能が影響されなくなり、各機器の配置を自由に設計できる。これにより、燃料供給装置の設計時間の短縮や、設備のコンパクト化が図れる。
また本発明によれば、固体燃料とその搬送ガスからなる混合流体を燃料とするボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行した場合にボイラ出口の蒸気温度を需要先で要求される蒸気温度以下にならないようにするボイラを運転できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図2は、図1の燃料供給ダクトの詳細縦断図である。
図3は、図1の燃料供給ダクトに用いるダンパの平面図である。
図4は、本発明の第2実施例の燃料供給ダクトの詳細縦断面図である。
図5は、図4の燃料供給ダクトに用いるダンパの平面図である。
図6は、本発明の第1実施例と第2実施例による石炭粒子の下段側バーナへの分配性能を示す図である。
図7は、本発明の第1実施例と第2実施例による石炭粒子の下段側バーナへの分配性能を示す図である。
図8は、本発明の第1実施例と第2実施例による石炭粒子の下段側バーナへの分配性能を示す図である。
図9は、本発明の第3実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図10は、本発明の第4実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図11は、本発明の第4実施例の燃料供給ダクトの石炭流量偏差が増大する様子を説明する図である。
図12は、本発明の第1実施例の燃料供給ダクトの石炭流量偏差が増大する様子を説明する図である。
図13は、本発明の第1実施例と第4実施例の燃料供給ダクトを用いる場合の下段側バーナでの石炭流量増大と圧力損失低減効果を説明する図である。
図14は、本発明の第5実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図15は、本発明の第6実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図16は、本発明の第7実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図17は、本発明の第8実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図18は、本発明の7実施例と第1実施例の下段側バーナでの石炭粒子の分配性能を示す図である。
図19は、本発明の第1実施例で生じる可能性のある問題点を説明するための燃料供給ダクトの縦断面図である。
図20は、褐炭焚きボイラの燃料供給システムの説明図である。
図21は、図20に示すファンミルにおける石炭の流動状態を示す図である。
図22は、図20に示す燃料供給ダクトに分級器を設置した場合の石炭の流動状態を示す分級器部分縦断面図である。
図23は、低負荷時の安定燃焼時の火炉内水平断面図である。
図24は,本発明の第9実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図25は,本発明の第10実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図26は、従来技術の低負荷時の不安定燃焼時の火炉内水平断面図である。
図27は、従来技術の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図28は、従来技術の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図29は、従来技術の燃料供給ダクトの縦断面図である。
本発明は、燃料供給ダクトの燃料分配装置と該燃料分配装置を備えた燃料供給装置及び該燃料供給装置を備えた燃焼装置に関するものであり、特に褐炭焚ボイラの燃焼性を改善するのに好適な燃料供給ダクトの燃料分配装置に関する。
背景技術
図20に従来のボイラ用の褐炭燃焼システムの一例を示す。褐炭燃焼システムとボイラ構造は石炭ホッパ1と該ホッパ1から供給を受けた石炭を粉砕するミル3、該ミル3から供給される石炭粒子と石炭粒子搬送用ガスから成る混合流体(以下、石炭粒子を微粉炭、石炭粒子と石炭粒子搬送用ガスの混合物を混合流体又は固気二相流ということがある)を搬送する燃料供給ダクト4、該燃料供給ダクト4の先端部に接続されるバーナ5、該バーナ5を側壁に設けた火炉8、前記バーナ5で燃焼された石炭粒子の燃焼排ガスを石炭粒子の搬送用ガスとして利用するための火炉8の壁面開口部とミル3を接続した排ガスダクト6、前記火炉8内に設けた伝熱管9などで構成される。
塊状の石炭Aはホッパ1の下部に設置したフィーダ2で切り出され、ミル3に連続供給される。ミル3は、いわゆるファンミルが用いられることが多いが、ミル3の構造はファンミルに限定されたものではない。
ミル3では火炉8から排ガスダクト6を経由して導入された酸素濃度21%未満の高温排ガスBで石炭が乾燥され、同時に粉砕が行われる。粒状石炭が粉砕された後に得られた石炭粒子(微粉炭)と排ガスの混合流体Cは燃料供給ダクト4を通して、火炉8の側壁の縦方向に複数段設けられたバーナ5に供給される。バーナ5に供給された石炭粒子は火炉8内で燃焼され、火炎を形成し、その輻射熱で火炉側壁および火炉上部に設置された伝熱管9で熱吸収が行われ、蒸気を発生させる。
燃料供給ダクト4から混合流体Cは火炉8の側壁に設置された複数段のバーナ5へ分配されるが、バーナ5の段数は2〜4段設けられる場合が多い。また、これらの複数段のバーナ5はミル3毎(ボイラ1缶当たり複数ミルが設置される)に火炉8の側壁に鉛直方向に配置される場合が多い。この理由は、ファンミル3の吐出圧能力が通常の遠心式ターボブロアー等に比して低いことによる。すなわち燃料供給ダクト4の圧力損失を低く抑える必要があり、燃料供給ダクト4を簡素にし、かつ全長を必要以上に長くしないためには鉛直方向に配置する場合の方が水平方向にバーナ群を配置する場合に比べて有利であるからである。
次に、図20に示すボイラ火炉8における燃焼方法の一例について説明する。
例えばボイラの低負荷時にはバーナ5へ供給する石炭Aの量を低下させるが、石炭Aをミル3で微粉砕した石炭粒子をミル3からバーナ5に向けて安定的に搬送するために、燃料供給ダクト4内での石炭粒子搬送用ガス(ボイラ排ガス)の流速を石炭粒子の安定搬送に必要な最低流速以下にならないように一定流速を確保している。このためボイラ低負荷時にはバーナ5へ供給する混合流体C中の石炭粒子濃度が低下し、バーナ5での燃料着火性が不安定になることがある。
この対策として、複数台あるミル3の一部を一時的に停止させる(ミルカット、例えば4台を2台にする。)と同時に各段のバーナ5毎に供給する混合流体中の石炭粒子(微粉炭)濃度をそれぞれ変える工夫がなされている。
バーナ5に向けて石炭を搬送する燃料供給ダクト4内の燃料濃縮技術として図27、図28および図29に示す従来技術が知られている。これらの燃料濃縮技術は、上段側と下段側のそれぞれのバーナへ供給する石炭粒子濃度を調整するものである。
図27に示す例は、混合流体Cの流路の上流側に大径の燃料供給用の燃料供給ダクト(メインダクト)4を設け、該メインダクト4の下流側に小径の燃料供給ダクト(分岐ダクト)102を設け、該燃料供給ダクト(分岐ダクト)102を挿入して混合流体Cの流路を2つのダクトに分岐させ、それぞれの先端部に下段バーナ501と上段バーナ502を接続している。図27に示す構造は、小径の分岐ダクト102の基部開口部より上流側の大径のメインダクト4の内部に円錐状の偏流器105を設置し、石炭粒子の慣性力を利用して大径のメインダクト4の内壁面側へ石炭粒子を集めて、下段バーナ501へ供給する石炭粒子の濃度を上段バーナ502へ供給する石炭粒子の濃度より高くしている。
図28に示す例は、燃料供給ダクト(メインダクト)4を三つに分岐させ。各分岐された各分岐ダクト107、108及び109の先端にそれぞれ上段バーナ503、中段バーナ504及び下段バーナ505を設けたものであり、三つの各分岐ダクト107〜109内にそれぞれ分配器(ダンパ)115〜117を設置し、各分岐ダクト107〜109内の混合流体Cの流動抵抗をダンパ115〜117の傾斜角度により調整して混合流体流量を制御するものである。
図29に示す例は、ミル3から送られてくる燃料供給用のメインダクト4の横断面積は変えずに上段バーナ506にまで接続し、その途中に下段バーナ507に通じる分岐ダクト121を設けたものであり、この従来技術は石炭粒子がもつ慣性力で上段バーナ506へ供給する混合流体C中の石炭粒子濃度が高まる効果がある。
前記図27〜図29に示す従来技術のバーナ501〜507と該バーナ501〜507に接続した燃料供給ダクトにおいて、メインダクト4に付属する分岐ダクト内での混合流体C中の石炭濃度を調整することができない問題がある。図28に示す三分割された各分岐ダクト107〜109内にはそれぞれダンパ115〜117が設置されており、各分岐ダクト107〜109内で石炭粒子とその搬送用ガスからなる混合流体Cの流動抵抗を変えることはできるが、石炭粒子濃度のみを選択的に変えることができない。
また、図27および図29に示す燃料供給ダクトではダンパ及びこれに類する流路開口度を調整する部材が配置されていないため、メインダクト4に付属する分岐ダクト102、121内へはボイラの負荷変化などによる任意の混合流体中の石炭粒子濃度の調整が行えない。
また、前記従来技術のファンミル3からボイラ火炉8の各段のバーナ5に混合流体Cを供給する燃料供給ダクト(メインダクト)4における石炭粒子濃度分布の調整が難しいという問題点もある。
ファンミル3の出口部付近のメインダクト4では、その横断面内における各単位面積当たりの石炭粒子濃度は必ずしも均一ではなく、濃度分布をもつ場合が多い。これは図21に示すファンミル3内に配置される高速で回転しているファンブレード16の遠心力により石炭粒子がメインダクト4に導かれるためである。図21にはファンミル3における石炭の流動状態を示すが、ファンミル3に供給された石炭はファンブレード16との衝突により細かく粉砕された後、ファンブレード16の回転で発生した遠心力により石炭粒子がファンミル3のハウジング17内壁側に押しやられる。結果として、ファンミル3の出口部付近のメインダクト4では固気二相流からなる混合流体の石炭粒子濃度に偏りが生じ、高濃度の石炭粒子を有する流れdと非高濃度の石炭粒子を有する流れd’がメインダクト4の横断面方向に生じる(これを以下、固気二相流の偏流という場合がある。)。
ファンブレード16の遠心力はファンミル3の配置位置および燃料供給ダクト4の構造などで決まる要素が高く、石炭燃焼システムを運用する前にファンミル3とバーナ5の構造の違いに応じて、それぞれ石炭粒子濃度分布を把握しておくことは難しい。
また、ボイラ火炉8のバーナ5へ搬送する石炭粒子の粒度を細かくするために、ファンミル3の出口部のメインダクト4に図22に示す分級器18を設置する場合には分級器18の下流部に接続されるメインダクト4内で前記固気二相流の偏流が強まる。この作用を図22を用いて説明する。
ファンミル3から分級器18の上流側のメインダクト4を介して送られてきた固気二相流d、d’は分級器18に設けられた衝突板21に衝突した後、粗い石炭粒子fはファンミル3の入口方向に落下し、ダクト20を介して図示していないファンミル3の入口へと戻される。一方,細かい石炭粒子eは分配器18の下流側のメインダクト4を介して火炉8の各段のバーナに供給される。このとき、メインダクト4内の細かい石炭粒子eは、慣性力により分級器18の衝突板21設置側の分級器ハウジング19の内壁に対向する側のハウジング19の内壁に近いメインダクト4の壁面方向へ偏流してしまい、メインダクト4の横断面方向における石炭粒子濃度の分布に大きな不均一性が生じる。
この石炭粒子濃度分布の不均一性を維持したままメインダクト4から分岐した各分岐ダクトに混合流体Cが送られると、各バーナ5に適した濃度の石炭粒子燃料が供給できないことがある。例えば石炭粒子濃度の高い混合流体Cが送られるべきバーナ5に低い石炭粒子濃度の混合流体Cが送られることがある。特に、ボイラを低負荷で運用する場合には、石炭粒子濃度が高い混合流体Cが送られるべきバーナ5に低い石炭粒子濃度の混合流体Cしか送られてこないと火炎の燃焼状態が不安定化し、失火の原因になる。
ボイラを低負荷で運用する場合にはミル負荷を下げる必要があり、このとき、石炭の供給量を低下させるが、石炭搬送用ガス流量は石炭粒子を安定に搬送させるために所定の流量(最低流量)より下げることができない。そこで、失火を防ぐためには火炉に複数段設けられたバーナ5の中で特定のバーナ5に供給する混合流体C中の石炭粒子濃度を濃縮して、バーナ5での着火の安定性を火炎の安定燃焼性を確保する必要がある。
さらに、褐炭などの水分または灰分を多く含む石炭をボイラ燃料として用いる場合には実際のボイラの運用で石炭中の水分または灰分の含有割合に応じて安定なバーナ火炎を維持できる石炭粒子濃度範囲が決まってしまう。
また、バーナ5の火炎の安定性はバーナ5へ供給される石炭粒子濃度および水分濃度、灰分濃度に強く依存し、石炭粒子濃度が高く、水分濃度が低く、さらに灰分濃度が低いほどバーナ火炎の安定性が良いことが経験上分かっているが、褐炭などの石炭は水分または灰分を多く含むため、褐炭を燃料とする場合にはバーナ火炎の安定性を確保することが重要である。
図23及び図26では、対向する壁面の各コーナ部にバーナ5を設けた火炉8において、低負荷時にミルカット(4台を2台)した例を示す。図26は図23よりもさらに低負荷時のバーナ火災の状態を示す。ボイラ低負荷運用時においてミルカットし、火炉8内の熱負荷が低くなると、図23及び図26に示すように火炉8の中央部に安定高温燃焼領域が形成されず、各バーナでの自己保炎により安定燃焼させる方法が行われる。この場合適切な石炭粒子濃度が行われないと石炭の燃焼が不安定となり、ボイラの安定な運転が難しくなる。
一般にボイラ低負荷時には、火炉側壁の上下方向に複数段設けたバーナの中で特定段のバーナへ供給する石炭粒子濃度を高めることで特定段のバーナ火炎の燃焼を安定化させ、これにより火炉全体の燃焼の安定性を確保している。しかしながら、特定段のバーナに多量に濃縮された石炭粒子が供給されて、バーナ着火安定性は改善されても、火炉高さ方向での火炉壁による熱吸収と火炉内の火炎温度分布との関係で火炉出口の排ガス温度が低下し、所定の蒸気温度が得られないという問題が発生する。石炭の着火安定性および火炉出口排ガス温度を所定の温度にするには上下段に分けて設けられた各バーナ5へそれぞれ供給する石炭粒子濃度の調整が重要になる。
本発明の課題はボイラ低負荷時においても着火安定性と着火した火炎の安定燃焼性が得られるようにバーナに固体燃料を供給することができる燃料供給ダクトの燃料分配装置及び該燃料供給ダクトの燃料分配装置を備えた燃料供給装置及び該燃料供給装置を備えた燃料燃焼装置を提供することである。
また、本発明の課題は、固体燃料とその搬送ガスからなる混合流体の中で高濃度の固体燃料を意図した方向に偏流させる機能を備えた燃料供給ダクトの燃料分配装置及び該燃料供給ダクトの燃料分配装置を備えた燃料供給装置及び該燃料供給装置を備えた燃料燃焼装置を提供することである。
また、一般に、図20に一例を示すボイラでは、その全負荷(100%負荷)運転時には、火炉8の出口より後流側のガス流路に設置された伝熱壁及び該ガス流路内に設置された伝熱管9による熱吸収を経て図示していない火炉の後部伝熱部に至ったときのボイラ火炉出口ガス温度が、ガス中に含まれる灰の溶融点より低くなるように設定されている。また、前記後部伝熱部に設置される図示していない伝熱管の表面のメタル温度がその耐熱温度以上に過度に加熱されない温度となるようにボイラの全負荷運転時のボイラ火炉出口のガス温度が、設定されている。
しかし、ボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行すると、火炉8への入熱量が低下するため、ボイラ火炉出口のガス温度が低下し、ボイラ出口の蒸気温度が蒸気の需要先であるタービン入口で要求される蒸気温度(以下需要先要求蒸気温度と称することがある。)低下する問題がある。
そこで本発明の課題は、固体燃料とその搬送ガスからなる混合流体を燃料とするボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行した場合にボイラ出口の蒸気温度を前記需要先要求蒸気温度以下にならないようにするため、ボイラ火炉出口のガス温度が下がり過ぎないようにする燃料供給ダクトの燃料分配装置及び該燃料供給ダクトの燃料分配装置を備えたボイラの運転方法を提供することである。
発明の開示
本発明は、火炉の壁面又は壁面同士がなす隅部に設けられた一以上のバーナに固体燃料と搬送用ガス(例えば、燃焼排ガスなど酸素濃度が21%未満のガス)からなる混合流体をそれぞれ供給する燃料供給ダクトと、該燃料供給ダクトに設けられた分岐部から複数に分岐され、それぞれ対応するバーナに接続された各分岐ダクトと、前記各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度に互いに偏差が生じるように分岐部の上流側の燃料供給ダクト内に配置した混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパとを備えた燃料供給ダクトの燃料分配装置である。
前記燃料供給ダクト(メインダクト)の燃料分配装置における前記ダンパの傾斜角度を変更するダンパ枢支軸をダンパの端部(図2参照)又はダンパの中央部(図4参照)に設け、該ダンパ枢支軸を前記分岐部の上流部のダクト中心部又はその近傍に配置することが望ましい。
火炉内に開口された複数のバーナと接続された各分岐ダクトを下流側に設けた燃料供給ダクトの前記分岐ダクトへの分岐部の上流側に設けたダンパの傾斜角度を調整することにより、固気二相流からなる混合流体中の固体燃料搬送用ガスの分配比率を一定にし、固体燃料の濃度を任意の方向に濃縮することが可能になる。これは、燃料供給ダクトの分岐部上流側から分岐ダクトバーナを介して火炉内に至る間の全圧力損失に対してダンパから各分岐ダクト入口間の圧力損失が小さいことから、搬送用ガスは分配比率を一定にでき固体燃料のみ慣性分離が可能になるためで、これによって固体燃料粒子を選択された経路(各分岐ダクト)に偏流させることができる。
一般に火炉の上下段に設けた複数のバーナに一つの燃料供給ダクトを経由して固体燃料粒子を供給する燃焼装置を用いるが、固相及び気相からなる前記混合流体が複数のバーナの中で特定のバーナ用分岐ダクトの方へ多く流れるようにダンパの傾斜角度を調整すると、固相及び気相はダンパ設置部を通過した後も、その慣性により上記偏流を維持しようとするが、密度の小さい気相の慣性は小さいため急速にその慣性を失い、各バーナにそれぞれ接続される分岐ダクトへ均等に流れるようになる傾向にある。一方、密度の大きい固相はその慣性の大きさにより上記偏流が維持されやすいので各分岐ダクトへの固体燃料濃度が非均等のままで分配(非均等分配性)が維持される傾向にある。
以上の原理により固相が選択的に特定バーナに接続した分岐ダクトへ多く流れるようになる。これは一種の慣性分級と言うことができ、この分級を以下に述べる分配方式と区別するため燃料供給ダクト(メインダクト)内の固気二相流の流れ方向(主軸方向)に対して非軸対称の慣性分級と呼ぶ。
バーナにおいて石炭が自己着火するためには、一定量以上の入熱(供給炭の発熱量)、石炭濃度及び酸素が必要である。しかし、ミルへ供給される石炭粒子(微粉炭)搬送ガスが低酸素濃度のボイラ排ガスなどを用いること、及び、ミルでの石炭乾燥により生じた水蒸気が新たに混合流体中に付加されることによりバーナに供給される混合流体は著しく低い酸素濃度(数%〜15%)となっている。
そこで、同一ミルから燃料供給ダクトを経て複数のバーナに混合流体を分配する際に、特定のバーナに対しては最低限必要な入熱量と石炭濃度を確保することにより、その特定のバーナは燃料の自己着火性が維持できる。そのため、火炉内においてミル1台当り少くとも1つのバーナにより火炎を形成維持することができる。
発熱量が低く、水分含有量の高い褐炭を固体燃料として用いる場合には、同一のミルから褐炭が供給される複数バーナの内、特定のバーナの固相濃度を高めることが重要である。こうして褐炭を燃料とする火炉が低負荷である場合でも前記特定のバーナで失火するおそれがなくなる。
また、本発明では、前記ダンパ枢支軸と前記分岐部との間の混合流体の流れ方向の距離Lと燃料供給ダクトの口径Dとの間に
L/D=0.4〜2
の関係がある構成が望ましい(図7参照)。
一般に火炉の上下段に設けた複数のバーナに一つの燃料供給ダクトを経由して固体燃料粒子をそれぞれ供給する燃焼装置が用いられるが、前記L/Dが前記範囲を外れると、特定のバーナへの固体燃料の石炭濃縮比が悪くなる。
前記L/Dが0.4未満であると、火炉への燃料供給量を全体的に減らす低負荷時には、特定のバーナへの固体燃料の濃縮率が悪くなり、当該バーナが失火するおそれがある。また、L/Dが2を越えると特定のバーナ側へ送られるように分配された高濃度の固体燃料粒子がダンパとダクト分岐部までの距離が長すぎるため燃料供給ダクト内で再び均一化して前記特定のバーナへ高濃度の固体燃料を濃縮できない現象がおこる。したがって、複数段設けられたバーナの中の特定のバーナへの固体燃料粒子の高濃縮比を維持するためにはダンパ上部端とダクト分岐部の間の距離Lを燃料供給管口径Dの0.4から2倍にすることが望ましい。
また、混合流体の流れ方向に対する前記ダンパの傾斜角度を±40°の範囲で可変できる構成にすることが望ましい。
前記ダンパ傾斜角度が30°以上では上下段バーナの特定のバーナへの石炭粒子の濃縮比が飽和し、燃料供給ダクトのダンパ設置部の圧力損失が上昇する。従って前記ダンパ傾斜角度は±30°程度にすることが望ましく、最大でも40°の範囲で調整することが実用的である。
また、前記ダンパより上流側の前記燃料供給ダクトに混合流体の流れを攪拌する回転羽根を設けても良い(図15参照)。この場合には燃料供給ダクト内の固気二相流の流れに対して回転羽根により機械的な強旋回を与えることができるので、回転羽根より上流側の燃料供給ダクト内で偏流があっても、回転羽根で強制的に偏流修正をすることができる。
本発明の燃料供給ダクトの燃料分配装置における前記燃料供給ダクトは、鉛直方向に混合流体が流れるように配置され、前記ダンパを設置した第一燃料供給ダクト4aと、該第一燃料供給ダクト4aの上流側に該第一燃料供給ダクト4aに対して折れ曲がり接続された第二燃料供給ダクト4bとを備えた構成にしても良い(図10、図14参照)。
このとき前記第二燃料供給ダクト4bは、前記ダンパによる各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度の偏差を促進するように混合流体を誘導する方向に折れ曲がった構成とすることが望ましい。
燃料供給ダクトに前記折れ曲がり接続された部分(図10、図14のエルボE、E’)があると、固気二相流の特に固相に対して前記折れ曲がり部分が偏流を形成するように作用する。その偏流の方向性を非軸対称慣性分級方式のダンパで発生させる偏流の方向性と一致するように設定することで、ダンパ設置部の下流側の燃料供給ダクトの非均等分配性(固相が偏流したり、一部の領域で濃縮すること)が向上するようになるので、本発明のダンパの石炭粒子の分配性が上流側燃料供給ダクト内の固気二相流の偏流によって打ち消されることがない。
また、前記第二燃料供給ダクト4bの上流側に、さらに鉛直方向に混合流体を流す第三燃料供給ダクト4cを接続してよい。
この場合には第一燃料供給ダクト4a、第二燃料供給ダクト4b及び第三燃料供給ダクト4cにより燃料供給ダクト全体で上下2カ所にエルボE、E’ができる(図14)。そのため、鉛直方向に配置されたの第一燃料供給ダクト4aと第三燃料供給ダクト4cの主軸同士の間にオフセットOが設定される。このオフセットOにより第三燃料供給ダクト4cを通過した後の混合流体は第二燃料供給ダクト4bの壁面上部に衝突し、固気二相流からなる混合流体は流れる方向を変えられ、第一燃料供給ダクト4aにあるダンパに達すると逆向きに流れの方向が変えられる。こうして混合流体中の固相流の偏流効果を少ない圧力損失で達成でき、特定のバーナに接続する分岐ダクトにより高濃度の石炭粒子を多量に流すことができるようになる。
また、本発明の燃料供給ダクトの燃料分配装置において、ダンパより燃料供給ダクトの上流側に混合流体の流れを絞る絞り器を設けても良い(図16、図17参照)。
前記絞り器を燃料供給ダクトに設けて固気二相流からなる混合流体の流れを燃料供給ダクトの主軸側に一旦集め、絞り器を通過した後に再び分散させる。そのため、燃料供給ダクトの横断面方向の石炭粒子濃度分布が絞り器を通過時に一旦均一になり、その後にダンパにより特定の分岐ダクト側に石炭粒子濃度が高い混合流体が流れるようになる。
従って、燃料供給ダクト内で固気二相流が固体濃度を高くしたくない特定のバーナ用側の分岐ダクト側に固体濃度が高くなる偏流が生じていてもその偏流が絞り器の上流側であれば、特定のバーナに供給する固気二相流中の固体粒子の濃縮を高くすることができなくなる。
また、前記絞り器は前記ダンパによる各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度の偏差を促進するように絞り度合いを変更できる構成とすることで、容易に複数の分岐ダクトの内の特定の分岐ダクトを通る固体粒子濃度を高くするなどの調整ができる。
また、本発明には前記燃料供給ダクトの燃料分配装置を固体燃料粉砕用ミルと火炉の壁面に設けられた各バーナとの間に配置した燃料供給装置及び前記燃料供給装置を備えた固体燃料燃焼装置も含まれる。
また、本発明の燃料供給ダクトの燃料分配装置では、火炉壁面又は壁面同士がなす隅部の高さ方向に複数段配置されているバーナの中の少なくとも特定のバーナに接続する分岐ダクト内に該ダクトの開口面積を全開から前閉まで変更できる分岐ダクト内ダンパを配置しても良い(図24、図25参照)。
上記分岐ダクト内ダンパを配置した燃料分配装置を有する燃料供給装置を備えた固体燃料燃焼用ボイラは次ぎのような運転方法を採用することができる。
すなわち、一台の石炭粉砕用ミルで粉砕された石炭粒子を搬送用ガスと共に燃料供給ダクト及び該燃料供給ダクトから複数に分岐した分岐ダクトを介して、各分岐ダクトに対応した火炉の壁面または壁面同士がなす隅部の高さ方向に複数段設けられた各バーナにそれぞれ供給する固体燃料燃焼用ボイラの運転方法において、前記各分岐ダクトの上流側の燃料供給ダクト内に固体燃料と搬送用ガスからなる混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパを設けると共に、前記各分岐ダクトの中で、少なくとも下段側のバーナに接続した分岐ダクトに、該ダクトの開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパを配置し、ボイラの起動時には前記燃料供給ダクト内ダンパを調整して下段側バーナに接続した分岐ダクト内のダンパは開方向に操作して石炭粒子を濃縮して供給し、燃焼が安定した後の負荷変化において高負荷から低負荷変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト内ダンパを閉方向に操作する固体燃料燃焼用ボイラの運転方法である。
ボイラの起動時に燃料供給ダクト内ダンパを調整して下段側バーナに接続した分岐ダクト内に石炭粒子を濃縮して供給することで、燃料の燃焼が不安定なボイラの起動時に下段側バーナでの燃料燃焼性を確保することができる。
また、安定した燃料の燃焼が行われる高負荷運転状態の後にボイラが低負荷運転に変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト内ダンパを閉方向に操作して火炉出口ガス温度が需要先の要求蒸気温度を確保するのに十充高くなるようにでき、低下することにより生じる不具合を防止することができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。以下の各実施の形態は図20に示すファンミル3で粉砕されて微粉化された褐炭火炉排ガスを搬送ガスとして用いる褐炭焚ボイラの火炉8のバーナ5に搬送する鉛直方向に伸びた燃料供給ダクト4を例に説明する。前記バーナ5は火炉8の側壁の上下方向に複数段設けられ、各バーナ5に対応するファンミル3から以下に説明する燃料供給ダクト4を経由して供給される。また、以下の本発明の実施の形態のバーナ5への燃料供給装置は、該燃料供給装置の一構成部材であるダンパの上流側の燃料供給ダクト4内の石炭粒子の濃度分布と流量分布を調整してボイラ火炉8の下段側のバーナ5に接続された分岐ダクト4を流れる石炭粒子濃度が上段側のバーナ5に接続された分岐ダクト4を流れる石炭粒子濃度より高くすることができる燃料供給ダクト4を備えたものである。また、本発明の以下の各実施の形態では燃料供給ダクト4が二つに分岐してそれぞれ上段バーナと下段バーナに接続される例を示しているが、本発明の燃料供給ダクト4はこの二分岐構造のものに限定されるものではない。
第1実施例
図1に本実施例の燃料供給ダクトの要部断面図を示し、図2に図1の燃料供給ダクトに配置されるダンパ周りの詳細構造図を示す。
図1の燃料供給配管は鉛直方向に伸びるメインダクト4と該メインダクト4内のダクト分岐点14近傍の上流部に設置されるダンパ11、上段バーナ12と下段バーナ13にそれぞれ接続される分岐後の分岐ダクト15、16などで構成される。
ダンパ11には図2に示すようにダンパ枢支軸11aがメインダクト4の中心部近傍の該メインダクト4を横断する方向に設けられている。
本実施例は図2に示すように、ダンパ枢支軸11aがダンパ11の上端部に設置された例である。ダンパ11の平面図を図3に示すが、ダンパ11は略半円形状であり、ダンパ枢支軸11aはダンパ11の上端部の直線部に設けられる。
ダンパ11は、ダンパ枢支軸11aを回転させて、ダンパ11の鉛直線に対する傾斜角度(以下単にダンパ11の傾斜角度という)θを適切な角度に設置して、その位置にダンパ11を保持できる構成になっている。
第2実施例
図4に第1実施例の変形例である本実施例の燃料供給ダクトの要部縦断面図を示し、図5に図4のダンパの平面図を示す。ダンパ11はメインダクト4の断面形状と同じく円形である。
この場合も、ダンパ枢支軸11aを回転させて、適切な傾斜角度θにダンパ11を保持できる。
図6には第1実施例と第2実施例おける下段バーナ13への石炭濃縮比とダンパ最大幅(LD)に対するダンパ11の上部端から枢支軸11aまでの長さ(L1)の比である(L1/LD)の値との関係を示す。なお、下段バーナ13への石炭濃縮比とはメインダクト4における混合流体中の石炭濃度に対する下段バーナ側の分岐ダクト16に供給される石炭濃度の比率である。
ダンパ11がメインダクト4の混合流体の流れる方向(鉛直方向)に対する傾斜角度θが30°であるときの(L1/LD)値が示すように、長さL1=0であるとき(第1実施例)、最も高い石炭粒子濃度の混合流体Cを下段側バーナ13に濃縮することができる。
また(L1/LD)=0.4以上にすると分配比はほぼ一定であるがダンパ11の圧力損失が高くなる問題がある。ファンミル3(図1)では吐出圧能力が通常の遠心式ターボブロア等に比して低いためメインダクト4から分岐する分岐ダクト15、16内での圧力損失を低く抑える必要がある。
以上のことから第1実施例及び第2実施例の構成では、ダンパ枢支軸11aの位置はダンパ上端部からダンパ11の最大幅(LD)の半分までの範囲内に設けることが望ましいことが分かる。
図7には図4に示す第2実施例で、ダンパ11の傾斜角度θが30°である場合に、ダンパ11の設置位置と下段バーナ13への石炭濃縮比の関係について検討した結果を示す。
メインダクト4の口径Dに対するダンパ上部端と分岐点14間の距離Lの比率を基準にして求めた下段バーナ13への石炭濃縮比の関係を検討した。
距離Lがダンパ11の口径Dに比して小さいと、すなわちL/Dが0.4未満になると、下段バーナ13への石炭濃縮比が悪くなる。これは混合流体の流れに対するダンパ11の抵抗が増加して下段バーナ(石炭を濃縮し着火性を強化したバーナ)13に接続する分岐ダクト16へ流入するガス量も増加するため、前記分岐ダクト16内での石炭濃度がさほど高くならないためと考えられる。これに対してL/Dが2を越えると一旦、下段バーナ13側の分岐ダクト16に向かった石炭粒子が分岐ダクト16に到達する前にメインダクト4内で再び再分散するため下段バーナ13への石炭濃縮比が低下する。したがって、下段バーナ13への石炭粒子濃縮比を高くするためにはダンパ上部端と分岐点14間の距離Lを燃料供給管口径Dの0.4から2倍にすることが望ましい。
ボイラの試運転中にメインダクト4から上段バーナ12と下段バーナ13への石炭粒子の濃縮比を調整できる操作としてはダンパ11の傾斜角度θのみである。図8にダンパ11の傾斜角度θと下段バーナ13への石炭粒子の濃縮比の試験結果について示した。ダンパ傾斜角度θが30°以上では前記分配率が飽和し、メインダクト4のダンパ設置部の圧力損失(図示せず)が上昇することが明らかになった。ダンパ傾斜角度が30°以上になると石炭を濃縮したい分岐ダクトへの石炭粒子の量は増加するが、それと同じようにガス量も増加するため、石炭濃縮比が変化しないものと考えられる。
上記したように混合流体Cの分岐ダクト15、16内での圧力損失を低く抑える必要があることからダンパ傾斜角度θはダンパ11の枢支軸11aを通る鉛直線に対して±30°程度にすることが望ましく、最大でも40°の範囲で調整することが実用的である。
上記第1と第2実施例に示す場合には、図1に示すようにファンミル3(図20参照)からボイラ排ガスで輸送された混合流体Cの流れはメインダクト4内に設置した鉛直方向に対して傾斜角度θで保持されたダンパ11に衝突して偏流となり、固体である石炭粒子が主に上段バーナ12に接続されたダクト15側を流れるに薄い石炭濃度の石炭粒子流Fと下段バーナ13に接続されたダクト16側を流れる濃い石炭濃度の石炭粒子流Eとが生じ、それぞれ上段バーナ12と下段バーナ13からボイラ火炉8内に供給される。
このように、メインダクト4の分岐点14の上流側にダンパ11を設置し、そのダンパ枢支軸11aをダンパ中心部より上方に設置することにより、石炭粒子とボイラ排ガスからなる混合流体Cの中の搬送用ガスの分配比率を分岐ダクト15、16では同じにし、固体燃料のみの分配を任意の方向(第1、第2実施例では分岐ダクト16側)に変えることが可能になる。これは、ダンパ11の設置によって固体燃料粒子が慣性力によって選択された経路のみに偏流することによる。このようにダンパ11の傾斜角度θを調整して上下段バーナ12、13に供給する燃料濃度を任意に調整できる。
従って、ボイラ低負荷時には、火炉側壁の、例えば下段側のバーナ13へ石炭粒子濃度の高い混合流体Cを供給するようにダンパ11を傾斜させることでボイラ内では石炭粒子の着火安定性と着火した火炎の安定燃焼性を確保できる。
第3実施例
図9は横断面が角型の燃料供給ダクトの例を示しており、メインダクト4から上段バーナ12と下段バーナ13にそれぞれ分岐して接続した分岐ダクト15、16が並行して上方に伸びており、上下段バーナ12、13の近傍でそれぞれが分離した構造になっている。上段バーナ12と下段バーナ13に分岐する手前のメインダクト4内にダンパ11を配置する。
図9に示すようにダンパ11は、分岐点14を通る鉛直線上の上流側に枢支軸11aを持ち、該枢支軸11aがダンパ11の上端部に設けられた構成からなり、図9に示すようにダンパ11は上段バーナ12に通じる分岐ダクト15側に傾斜させているので上段バーナ12に通じる分岐ダクト15を通る混合流体F中の石炭粒子濃度に比較して下段バーナ13に通じる分岐ダクト16へ供給される混合流体E中の石炭粒子濃度が高くなる。
第3実施例にれば、前記第1実施例に示した効果と同じ効果があるが、さらに燃料供給ダクトの横断面が角型であることにより次のような利点がある。
構造面において、流路断面積を可変な絞り器25、26(図17)の設置が可能であること及び板が直線部のみであることにより操作性が容易であること、さらに局所的な偏摩耗が生じにくいこと等である。
第4実施例
本実施例は前記第1実施例の燃料供給ダクトにおけるダンパ11が設置された鉛直方向に伸びるメインダクト4の上流側に折れ曲がり状の第二のメインダクトを接続した構成に相当する。
図10に本実施例の燃料供給ダクトの要部縦断面図を示すが、ダンパ11が設置されたメインダクト4aと該メインダクト4a内のダクト分岐点14近傍の上流部に設置されるダンパ11、図示しない上段バーナと下段バーナにそれぞれ接続される分岐ダクト15、16を備え、ダンパ11にはダンパ枢支軸11aがメインダクト4aの中心部近傍の該メインダクト4aを横断する方向に設けられている。ダンパ11は、枢支軸11aを中心に回転させて、適切な傾斜角度θに保持できる構成である。
なお、図10には枢支軸11aをダンパ11の中心部に設けているが図2に示すようにダンパ11の上端部に設けても良い。以下の図14、図15、図11に示すダンパ11に取り付ける枢支軸11aの取付け位置についても同様に枢支軸11aをダンパ11の上端部に設けても良い。
例えば上記図1から図5に示すダンパ11の傾斜角度θが上段側バーナ12よりも下段側バーナ13へ比較的石炭粒子濃度が高い混合流体を供給されるように設定されていても、ダンパ11の設置部の上流側のメインダクト4内で発生する固相(石炭粒子)の偏流がダンパ11の傾斜角度θの意図する目的とは逆に下段側バーナ13よりも上段側バーナ12へ比較的石炭粒子濃度が高い混合流体が流れ込むように形成されていると、前記ダンパ11の設置効果が無くなる。
そこで本実施例は、ダンパ11が設置されたメインダクト4aの上流側のメインダクト4b内で固相(石炭粒子)が偏流する性質をより高めておき、ダンパ11による偏流効果をより確実にする。こうして、分岐ダクト15を経由する上段側バーナよりも分岐ダクト16を経由する下段側バーナへ比較的石炭粒子濃度が高い混合流体を供給することができる。
図10に示す実施例の燃料供給ダクトの分配装置は、大きく4つの部位から構成される。その構造上の特徴は、ダンパ11が設置されたメインダクト4aとその上流側のメインダクト4bの間にエルボ(曲がり部)Eを設けることである。
メインダクト4aの最下流部は二つに分岐して上段側バーナに接続する分岐ダクト15及び下段側バーナに接続する分岐ダクト16が設けられるが、その分岐点14の手前にダンパ11とその枢支軸11aが設けられる。枢支軸11aはダクト11を横断する方向に設けられている。
ダンパ11は枢支軸11aを中心として傾斜角度θを可変設定できる。時計回りを正とすると傾斜角度θを0<θ<90°に設定することにより、上流から供給される混合流体(固気二相流)はダンパ11によって曲げられ、分岐ダクト16から下段側バーナ側により多く流れるように誘導される。すなわち分岐ダクト16の混合流体の流量が増す。固相は気相に比べ密度が高く慣性力が強いため、ダクト16の流量増加率は気相よりも固相の方が多くなる。結果として分岐ダクト16の固相流量が増すとともに固相濃度(混合流体の石炭粒子濃度)も同時に高くなる。
ダンパ11の傾斜角度θを−90°<θ<0に設定すれば、前記した傾斜角度θを0<θ<90°に設定した場合と逆の現象が生じ、分岐ダクト15の固相流量及び固相濃度が増加する。
本実施例の燃料供給ダクトの分配装置におけるダンパ11に特徴的なことは、意図的に非軸対称慣性分級方式のダンパ11を用いているため、ダンパ11が設置されたメインダクト4aの横断面方向の石炭粒子濃度がダクト下流側に向けてほぼ単調に増加することである。
エルボEの上流側のメインダクト4bの混合流体の流れ方向(主軸方向)F1、エルボEの下流側のメインダクト4aの主軸方向F2、上段側バーナに接続する分岐ダクト15の入口部の主軸方向F3、下段側バーナに接続する分岐ダクト16の入口部の主軸方向F4の各ベクトルは同一平面内に設定されている。ダンパ枢支軸11aは前記平面に垂直方向に設定されている。
上記条件を満足する本実施例の燃料供給ダクトの分配装置において、ダンパ傾斜角度θを正の方向に0°<θ<90°の範囲に設定した場合、ダンパ11設置部より上流側のメインダクト4bのオリエンテーションをエルボEによって主軸方向F1と主軸方向F2のなす角度α(αは時計方向が正)を0<α<180°となるように設定する。この角度αの設定によりメインダクト4aに流入する混合流体(固気二相流)はエルボEにより角度αの負方向に曲げられる。このときの密度の高い石炭粒子固相は慣性が高いので、混合流体の偏流が起こり、ダンパ11の設置部に到達した混合流体は、ダンパ11よりさらに前記偏流が促進され、分岐ダクト15側よりも分岐ダクト16側に流れる混合流体中の石炭粒子(固相)の濃度と流量が高くなる。このオリエンテーションにより、図10に示す燃料供給ダクトの分配装置は、ダンパ設置部のメインダクト4aの混合流体中の石炭粒子(固相)のダンパ11による分配能力以上の分配性能を得ることができる。すなわちエルボEとダンパ11の組合わせ効果が発生する。
別の視点で見ると、一般にダンパ11の傾斜角度θを大きくすると混合流体中の石炭粒子の分配能力は高まるが、ダクト4a内の混合流体通過面積が狭くなるためファンミル3による混合流体の搬送圧力の損失が増大するので、ダンパ設置部の上流側のメインダクト4bにエルボEを設けることで、図1〜図5に示す実施例と同等の石炭粒子(固相)の分配能力をより低い搬送圧力で達成できる。
通常、図20の石炭燃料をボイラ火炉8に供給するシステムにおいてファンミル3を最上流点とする燃料供給ダクト4は混合流体搬送時の圧力損失を低減させるために鉛直方向に伸びる最短のルートを持つように設計がさなれるが、各種混合流体搬送用の機器を配置する上で鉛直平面内で曲がり部を設けざるを得ない場合が多い。その曲がり部としてダンパ設置部の上流側にあるメインダクト4bに傾斜角度αのエルボEを設定すれば、前記傾斜角度αにより新たに生じる混合流体の搬送系の圧力損失を混合流体搬送系全体の圧力損失に算入する必要がない。すなわち、本来曲がり部で生じる圧力損失を分配性能向上に有効に利用することができる。従って圧力損失の増加なしに分配性能を向上させることができる。
また、前記傾斜角度αを90°近傍に設定する(ダンパ設置部の上流側のメインダクト4b部分に水平部分を設ける)ことによりメインダクト4b内の固相への重力の影響が最大に働くことになる。すなわちメインダクト4bの底部に濃い固相が形成されやすくなるため、燃料供給ダクトの分配装置全体の混合流体中のより石炭粒子(固相)が濃い領域とより搬送ガス(気相)が濃い領域に分ける分配性能は最も向上する。さらに前記折れ曲がり部のメインダクト4の傾斜角度αを付けるダクト構成をファンミル3の出口付近で設定すれば、ダンパ設置部の上流側のメインダクト4bにおいて新たに折れ曲がり部を設定する必要がない。
図11に本実施例の主要な効果を示す。図12に示す第1実施例の特性と比較して説明する。
各図の右方に示した3つのグラフは、メインダクト4bの横断面a−bとエルボEの曲り部下流側の横断面c−d及びメインダクト4aの分岐点14手前の横断面e−f部分での石炭流量の分布である。メインダクト4bの横断面a−bにおいてほぼ均一な流量分布を示す混合流体の流れはエルボEの曲り部下流側の横断面c−dにおいて石炭流量の分布図で右方が高い値を示すようになる。同位置において図1に示す構成(図12)では、まだ均一な流量分布を維持している。この分布状態で図11に示す例ではダンパ11によってさらに石炭流量の非均等化なされるため、ダンパ下流側のメインダクト4aの横断面e−fにおける石炭流量の分布では右方が高い値を示している。この石炭流量分布が分岐ダクト15及び分岐ダクト16内に直接反映されるので、本実施例では分岐ダクト16内の石炭流量は、図1に示す第1実施例に比べ大幅に増大する。
図13に本実施例による第二の効果を示す。
ダンパ傾斜角度θを大きく設定すると特定バーナ(本実施例では下段側バーナ)へ供給される石炭濃縮比(=分岐ダクト16への石炭流量)は増加する。本実施例(実線)によると第1実施例(破線)よりも前記石炭濃縮比は増大する。仮に下段側バーナへの石炭濃縮比が本実施例と第1実施例の場合で同じ値Cloewerに保った場合、ダンパ11の傾斜角度θは、角度θ1から角度θ2へ引き下げることが可能となる。
ダンパ傾斜角度θによりダンパ設置位置におけるメインダクト4内の圧力損失への影響は図13の下図に示すように下に凸のカーブとなる。本実施例によれば角度θ1を角度θ2に引き下げることができるので、ダンパ11設置部での圧力損失ΔP1をΔP2まで引き下げることが可能である。
第5実施例
図14に示す実施例の燃料供給ダクトの分配装置は図10に示す実施例の変形例の燃料供給ダクトの分配装置である。本装置は、メインダクト4をダンパ設置部の鉛直方向に配置されるメインダクト4aとエルボEを介してその上流側に接続した折れ曲がり状に配置されるダクト4b及びエルボE’を介して鉛直配置のダクト4cを設ける。すなわちメインダクト5に上下2カ所にエルボE、E’を設け、さらに鉛直状のダクト4aとダクト4cの主軸同士の間にオフセットOを設定したものである。
図14に示す燃料供給ダクトの分配装置のその他の構造は図10に示す構造と同じである。前記オフセットOによりメインダクト4cを通過した後の混合流体はダクト4bの壁面上部に衝突し、固気二相流からなる混合流体は、メインダクト4bの壁面上部により流れる方向を変えられ、メインダクト4aにあるダンパ11に達すると傾斜角度αだけ逆向きに、さらに流れの方向が変えられる。混合流体中の固相流は、その慣性により下段側バーナに接続する分岐ダクト16側に近いメインダクト4aの壁面側を流れるようになるため、図10で説明した効果と同様に上段側バーナに接続する分岐ダクト15側よりも下段側バーナに接続する分岐ダクト16側を流れる混合流体中の石炭粒子(固相)の濃度と流量が大きくなる。
ファンミル3を前記オフセットO分と同量だけメインダクト4aからずらして配置すると、シンプルなオリエンテーションにより本実施例の燃料供給ダクトの分配装置を構成することができる。
第6実施例
図15に示す実施例も図10に示す実施例の変形例の燃料供給ダクトの分配装置である。該分配装置は鉛直配置のメインダクト4に図示しない上段側バーナと下段側バーナにそれぞれ分岐して接続した分岐ダクト15、16を備え分岐点14の近傍の上流側にダンパ枢支軸11aを中心の回転するダンパ11を設け、さらにその上流部に回転軸22aを有する回転羽根22を配設したものである。ダンパ枢支軸11aと回転軸22aはメインダクト4の主軸に直交する方向に設けられる。ダンパ枢支軸11aを図2に示すようにダンパ11の上端部にも設けて良い。
図15に示す燃料供給ダクトの分配装置は、図4に示す実施例の燃料供給ダクトの分配装置に回転羽根22とその回転軸22aを追加して配設した構成に相当する。
ダンパ11の傾斜角度θが0°<θ<90°の場合、回転羽根22に矢印B方向の回転を与えることにより、回転羽根22が設置された領域に流入した石炭粒子は、分岐ダクト16により近いメインダクト4側(図15で右側)において固気二相流の流れを助長するように作用し、中心軸21aの分岐ダクト15により近いメインダクト4側(図15で左側)においては流れを疎外するように作用する。その結果、ダンパ11を設置した付近のメインダクト4内において混合流体中の石炭粒子濃度は分岐ダクト16により近いメインダクト4側で高く、分岐ダクト15により近いメインダクト4側で低くなる。従って、図10に示す第4実施例及び図14に示す第5実施例と同様に上段側バーナに接続する分岐ダクト15側よりも下段側バーナに接続する分岐ダクト16側に流れる混合流体中の石炭粒子の濃度と流量が高くなる効果がある。
本実施例の特有の効果は、メインダクト4を曲げる必要がないこと、及びダンパ11の傾斜角度θが−90°<θ<0の場合に回転羽根22の回転方向を矢印Bとは逆方向に設定することにより、分岐ダクト16側よりも分岐ダクト15側に流れる混合流体中の石炭粒子の濃度と流量を容易に高くすることができることである。
また、本実施例では固気二相流の流れに対して回転羽根22により機械的な強旋回を与えることができるので、回転羽根22より上流側のメインダクト4内で偏流があっても、前記第4実施例及び第5実施例に比較してより強制的に偏流修正をすることができる。
ところで、第4実施例と第5実施例の場合、折れ曲がり部E及び/又はE’を設定しているので、その分、メインダクト4が直管である場合よりも圧力損失が増大するが、メインダクト4の流路断面積を縮減していないので、この圧力損失の増大よりもダンパ11設置部での圧力損失の低減分の方が大幅に大きい。すなわち、ダンパ11の上流において既に偏流を意図的に形成しているので、ダンパ11部の角度θをその分小さく設定でき当該ダンパ11の圧力損失を大幅に低減可能である。本実施例においては、静的にはメインダクト4の流路断面積を縮減しているが、回転羽根22か回転速度を混合流体の流速よりも大きく設定することにより、回転羽根22設置部での圧力損失はほとんど無い。
第7実施例、第8実施例
図16には本発明の第7実施例の燃料供給ダクトの分配装置の要部縦断面図、図17には図16の変形例である第8実施例に係る分配装置の要部縦断面図、図18には図16の分配装置の分配性能を示す図である。
図21と図22について説明したように、ファンミル3のファンブレード17及び分級器18を経由して搬送される石炭粒子がメインダクト4では固気二相流に偏りが生じ、固気二相流の中で高濃度石炭流d又は高濃度石炭流eがダクトの横断面方向に対して生じることがある。
その場合に、図19に示すように、たとえば、石炭を下段側のバーナに誘導する分岐ダクト16に誘導する方向にメインダクト4内のダンパを傾斜させてを配置している場合に、該ダンパ11の上流側のメインダクト4における横断面方向の石炭濃度分布bが該ダクト4の中心部から上段側バーナ用の分岐ダクト15側の領域で石炭濃度が高くなるように混合流体が偏流していると、ダンパ11に衝突しないで、ダンパ11下端部とメインダクト4の壁面との間にある空間を通過する高濃度石炭流cが増え、上段側バーナ用分岐ダクト15に流入する石炭流量が増加する。
図18にダンパ11によるメインダクト4の横断面方向の開度と石炭粒子の(下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への)濃縮比の関係を示すが、前記図19に示す構成では、ダンパ11の設置部の上流側のメインダクト4内で石炭粒子の偏流がある場合(破線曲線)は偏流がない場合(一点鎖線)に比べて下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への石炭粒子濃縮比が低下してしまうということがあり得る。
前記図19に示す第1実施例の問題点に対する対策として、第7実施例では図16に示す構成の燃料供給ダクトの分配装置を採用した。
第7実施例は鉛直方向に伸びるメインダクト4の内壁に環状の絞り部材24を設け、該絞り部材24の下流部に枢支軸11aを備えたダンパ11を設け、該ダンパ11が設置されたメインダクト4の下流に図示しない上段側バーナと下段側バーナにそれぞれ分岐して接続した分岐ダクト15、16を備えた構成である。
前記絞り部材24により、固気二相流からなる混合流体Cの流れがメインダクト4の主軸側に一旦集められ、絞り部材24を通過した後に分散する。そのため、メインダクト4の横断面方向の石炭粒子濃度分布が絞り部材24を通過時に一旦均一になり、その後に分岐ダクト16側に石炭粒子濃度が高い混合流体が流れるようになる。
従って、メインダクト4内で固気二相流が上段バーナ用分岐ダクト15側に偏流していた場合も、図19に示すダンパ11下端部とメインダクト4の壁面との空間を通過する石炭量が低減されるので、良好な分配性を得ることができる。
図18には図16に示す構成の下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への石炭粒子の分配性能を示す。
本実施例では、ダンパ11の設置部の上流側のメインダクト4内で混合流体に偏流がある場合でも絞り器24があるため、下段側バーナに誘導する分岐ダクト16への石炭粒子濃縮比が低下するこは無くなり、偏流がない場合と同等の良好な分配性能を得ることができる。
次に、図17に示す第8実施例は、図16に示す装置の変形例であり、横断面が角形のメインダクト4に設けられたダンパ11設置部の上流側のメインダクト4の内壁に横断面方向の高さ調整が可能な一対の絞り部材25、26を設けている。例えば図17に示すように、下段バーナ用分岐ダクト16に石炭粒子を濃縮して供給したい場合は、ダンパ11設置部において上段側バーナ用分岐ダクト15側を通過する石炭粒子濃度を低減すればよいので、上段側バーナ用分岐ダクト15側に設置された高さ調整式の絞り部材25の高さL1を高くし、反対側の下段側バーナ用分岐ダクト16側に設置された高さ調整式の絞り部材26の高さL2を最低にすれば良い。
こうして、メインダクト4内で不要な圧力損失の増加を防ぐことができる。また、絞り部材25、26の高さL1、L2は、ダクトの内径Dに対して、0≦L1/D≦0.3、0≦L2/D≦0.3の範囲で調整できることが望ましい。
第9実施例、第10実施例
第9実施例と第10実施例の燃料供給ダクトの燃料分配装置を図24及び図25にそれぞれ示す。
図24に示す第9実施例は第1実施例の燃料供給ダクト構造の下段側バーナに接続する分岐ダクト16に、該ダクト16の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパ28を設けた例であり、図25に示す第10実施例は第4実施例の燃料供給ダクト構造の下段側バーナに接続する分岐ダクト16に、該ダクト16の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパ29を設けた例である。
前記図24又は図25に示す燃料供給ダクト構造の分岐ダクト15、16は図20に簡略図で示すボイラ火炉8の壁面又は壁面の隅部に高さ方向に複数段設けられた各段バーナ5にそれぞれ接続している。各分岐ダクト15、16(図1など)の上流側の燃料供給ダクト4内に混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパ11を設けているが、各分岐ダクト15、16の中で、少なくとも下段側のバーナに接続した分岐ダクト16に、該分岐ダクト16の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパ28又はダンパ29を配置している。なお、分岐ダクト15にも該ダクト15の開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパを設けても良いが。図示していない。
図20に一例を示すボイラ火炉8内には伝熱管9が設置され、さらに火炉出口部の図示していないガス流路には図示していない伝熱管が設置されている。さらに火炉出口部の後流側のガス流路にある図示していない後部伝熱部にも伝熱管が配置されている。
従来技術の項で説明したように、ボイラの全負荷(100%負荷)運転時には、火炉8の後部伝熱部に燃焼ガスが至ったときのボイラ火炉出口ガス温度は、ガス中に含まれる灰の溶融点より低くなるように設定され、また、前記後部伝熱部の伝熱管を構成する伝熱管表面のメタル温度がその耐熱温度以上に過度に加熱されない温度となるように設定されている。しかし、ボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行すると、火炉8への入熱量が低下するため、ボイラ火炉出口のガス温度が低下し、ボイラ出口の蒸気温度が低下する問題がある。
そこで、第9実施例及び第10実施例では、ボイラの起動時には燃料供給ダクト4のダンパ11を調整し、かつ分岐ダクト16内のダンパ28又は29を開操作して下段側バーナに接続した分岐ダクト16内に石炭粒子を濃縮して供給し、燃焼が安定した後の負荷変化において高負荷から低負荷変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29を閉方向に操作する。
ボイラの起動時に燃料供給ダクト4内のダンパ11を調整し、下段側バーナに接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29は開操作することで、下段側バーナに接続した分岐ダクト内に石炭粒子を濃縮して供給することができ、燃料の燃焼が不安定なボイラの起動時に下段側バーナ13での燃料燃焼性が確保される。また、安定した燃料の燃焼が行われる高負荷運転状態の後にボイラが低負荷運転に変化したときには前記下段側バーナ13に接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29を閉方向に操作して火炉出口ガス温度が需要先の要求蒸気温度を確保するのに十充高くなるようにする。
なお、図24、図25には二つの分岐ダクト15、16のうち一方のみの分岐ダクト16内にダンパ28又は29を設けた例を示したが、各分岐ダクト15、16内の両方にダンパを設けても良い。この場合には図24、図25に示す例では下段側分岐ダクト16に加えて上段側分岐ダクト15にもダンパを設けることになる。
ボイラが高負荷から低負荷変化したときには下段側バーナに接続した分岐ダクト16内のダンパ28又は29を閉方向に操作するときいは分岐ダクト15内に設置したダンパは開操作をすることで対応できる。
また、各分岐ダクト15、16内の両方にダンパを設けることにより、火炉出口ガス温度を下げたい場合にも上段側バーナに接続した分岐ダクト15内のダンパ(図示せず)を閉方向にすることで対応でき、火炉出口温度の高低の調整が可能になる。
以上の第1〜第10実施例は、混合流体(固気二相流)に限らず密度の異なる二相流に容易に応用でき、設計可能である。
産業上の利用可能性
本発明のよれば、石炭種、負荷の大きさによらず適切な石炭濃度で石炭粒子を複数のバーナに分配でき、バーナ近傍での着火および安定燃焼が促進される。
特に、適切な濃度の石炭粒子を複数のバーナに分配できるので、バーナ近傍で安定した火炎の形成が促進され、別途設けたバーナによる保炎による補助を不要とするため、ミルカットが必要な程のボイラ低負荷領域においても火炉内での石炭の燃焼が安定し、広範囲な負荷調整運転が可能となる。
また、本発明によれば、ダンパは混合流体の流れに沿った方向に傾斜して配置でき、また燃料供給ダクト(メインダクト)にエルボ(ベンド部)を設けた構成はダクトの流路面積を縮減していないので、圧力損失が増大しない。
さらに、本発明によれば、ダンパ設置部の入口部において固気二相流の偏流がある場合も、特定のバーナへ高い石炭濃度の混合流体を供給できる。そのため、ダンパ設置部の上流側の燃料供給ダクト(メインダクト)各種付属機器が設置されていても、ダンパ設置部での前記特定のバーナへ高い石炭濃度の混合流体を供給性能が影響されなくなり、各機器の配置を自由に設計できる。これにより、燃料供給装置の設計時間の短縮や、設備のコンパクト化が図れる。
また本発明によれば、固体燃料とその搬送ガスからなる混合流体を燃料とするボイラが全負荷運転から部分負荷運転に移行した場合にボイラ出口の蒸気温度を需要先で要求される蒸気温度以下にならないようにするボイラを運転できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図2は、図1の燃料供給ダクトの詳細縦断図である。
図3は、図1の燃料供給ダクトに用いるダンパの平面図である。
図4は、本発明の第2実施例の燃料供給ダクトの詳細縦断面図である。
図5は、図4の燃料供給ダクトに用いるダンパの平面図である。
図6は、本発明の第1実施例と第2実施例による石炭粒子の下段側バーナへの分配性能を示す図である。
図7は、本発明の第1実施例と第2実施例による石炭粒子の下段側バーナへの分配性能を示す図である。
図8は、本発明の第1実施例と第2実施例による石炭粒子の下段側バーナへの分配性能を示す図である。
図9は、本発明の第3実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図10は、本発明の第4実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図11は、本発明の第4実施例の燃料供給ダクトの石炭流量偏差が増大する様子を説明する図である。
図12は、本発明の第1実施例の燃料供給ダクトの石炭流量偏差が増大する様子を説明する図である。
図13は、本発明の第1実施例と第4実施例の燃料供給ダクトを用いる場合の下段側バーナでの石炭流量増大と圧力損失低減効果を説明する図である。
図14は、本発明の第5実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図15は、本発明の第6実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図16は、本発明の第7実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図17は、本発明の第8実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図18は、本発明の7実施例と第1実施例の下段側バーナでの石炭粒子の分配性能を示す図である。
図19は、本発明の第1実施例で生じる可能性のある問題点を説明するための燃料供給ダクトの縦断面図である。
図20は、褐炭焚きボイラの燃料供給システムの説明図である。
図21は、図20に示すファンミルにおける石炭の流動状態を示す図である。
図22は、図20に示す燃料供給ダクトに分級器を設置した場合の石炭の流動状態を示す分級器部分縦断面図である。
図23は、低負荷時の安定燃焼時の火炉内水平断面図である。
図24は,本発明の第9実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図25は,本発明の第10実施例の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図26は、従来技術の低負荷時の不安定燃焼時の火炉内水平断面図である。
図27は、従来技術の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図28は、従来技術の燃料供給ダクトの縦断面図である。
図29は、従来技術の燃料供給ダクトの縦断面図である。
Claims (15)
- 火炉の壁面又は壁面同士がなす隅部に設けられた一以上のバーナに固体燃料と搬送用ガスからなる混合流体をそれぞれ供給する燃料供給ダクトと、
該燃料供給ダクトに設けられた分岐部から複数に分岐され、それぞれ対応するバーナに接続された各分岐ダクトと、
前記各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度が互いに偏差が生じるように分岐部の上流側の燃料供給ダクト内に配置した混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパと、
を備えた燃料供給ダクトの燃料分配装置。 - 前記ダンパの傾斜角度を変更するダンパ枢支軸をダンパの端部又はダンパの中央部に設け、該ダンパ枢支軸は、前記分岐部の上流部のダクト中心部又はその近傍に配置されることを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 前記ダンパ枢支軸と前記分岐部との間の混合流体の流れ方向の距離Lと燃料供給ダクトの口径Dとの間に
L/D=0.4〜2
の関係がある構成を備えたことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。 - 混合流体の流れ方向に対する前記ダンパの傾斜角度を±40°の範囲で可変できる構成にしたことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 前記ダンパより上流側の前記燃料供給ダクトに混合流体の流れを攪拌する回転羽根を設けたことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 前記燃料供給ダクトは、鉛直方向に混合流体が流れるように配置され、前記ダンパを設置した第一燃料供給ダクトと、該第一燃料供給ダクトの上流側に該第一燃料供給ダクトに対して折れ曲がり接続された第二燃料供給ダクトとを備えたことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 前記第二燃料供給ダクトは、前記ダンパによる各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度の偏差を促進するように混合流体を誘導する方向に折れ曲がったことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 前記第二燃料供給ダクトの上流側に、さらに鉛直方向に混合流体を流す第三燃料供給ダクトを接続したことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- ダンパより燃料供給ダクトの上流側に混合流体の流れを絞る絞り器を設けたことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 前記絞り器は前記ダンパによる各分岐ダクトに供給する混合流体中の固体燃料濃度の偏差を促進するように絞り度合いを変更できる構成からなることを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 火炉壁面又は壁面同士がなす隅部の高さ方向に複数段配置されているバーナの中の少なくとも特定のバーナに接続する分岐ダクト内に該ダクトの開口面積を全開から前閉まで変更できる分岐ダクト内ダンパを配置したことを特徴とする請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置。
- 請求の範囲1記載の燃料供給ダクトの燃料分配装置を固体燃料粉砕用ミルと火炉の壁面に設けられた各バーナとの間に配置したことを特徴とする燃料供給装置。
- 請求の範囲1記載の燃料供給装置を備えた固体燃料燃焼装置。
- 一台の石炭粉砕用ミルで粉砕された石炭粒子を搬送用ガスと共に燃料供給ダクト及び該燃料供給ダクトから複数に分岐した分岐ダクトを介して、各分岐ダクトに対応した火炉の壁面または壁面同士がなす隅部の高さ方向に複数段設けられた各バーナにそれぞれ供給する固体燃料燃焼用ボイラの運転方法において、
前記各分岐ダクトの上流側の燃料供給ダクト内に固体燃料と搬送用ガスからなる混合流体の流れ方向に対する傾斜角度を変更できるダンパを設けると共に、前記各分岐ダクトの中で、少なくとも下段側のバーナに接続した分岐ダクトに、該ダクトの開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパを配置し、ボイラの起動時には前記燃料供給ダクト内ダンパを調整し、かつ下段側バーナに接続した分岐ダクト内のダンパは開方向に操作して石炭粒子を濃縮して供給し、燃焼が安定した後の負荷変化において高負荷から低負荷変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト内ダンパを閉方向に操作することを特徴とする固体燃料燃焼用ボイラの運転方法。 - 全ての分岐ダクトに、各分岐ダクトの開口面積を全開から全閉まで変更できるダンパを配置した場合には、ボイラの起動時には前記燃料供給ダクト内ダンパを調整し、かつ下段側バーナに接続した分岐ダクト内のダンパは開方向に操作して下段側バーナに接続した分岐ダクト内に石炭粒子を濃縮して供給し、燃焼が安定した後の負荷変化において高負荷から低負荷変化したときには前記下段側バーナに接続した分岐ダクト内のダンパを閉方向に操作し、上段側バーナに接続した分岐ダクト内のダンパを開方向に操作することを特徴とする請求の範囲12記載の固体燃料燃焼用ボイラの運転方法。
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