JPWO2003040156A1 - トリオルガノ−モノアルコキシシランの製造方法とトリオルガノ−モノクロロシランの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、撥水剤の製造に有用である、または有機合成中間体の官能性水酸基のためのシリル系の保護剤の製造に有用であるところの、第2級または第3級アルキル基を含めて、第2または第3級炭化水素基のような立体障害を生じ易い嵩高な炭化水素基の少くとも2個を含有するトリオルガノ−モノ(置換または非置換アルコキシ)シランを簡易に且つ効率よく製造できる新規方法に関するものである。
さらに本発明は、工業的に有利かつ容易に、トリオルガノモノクロロシラン類、特に第2級炭化水素基あるいは第3級炭化水素基といった嵩高い炭化水素基を含有するトリオルガノモノクロロシランを製造する新規方法に関するものである。トリオルガノモノクロロシランは、シリコーンゴムなどの合成原料として利用され、また医薬品、農薬等の合成の際に合成中間体の官能性水酸基を保護するためのシリル化剤として利用されている。
背景枝術
アルキル基、アラルキル基またはアリール基等の有機基(オルガノ基)をケイ素化合物に導入する方法としては、その有機基を含有するグリニャール試薬を、1〜4個のクロロ基を含有するオルガノ置換または非置換−クロロシランに反応させることによって、1〜4個の有機基と0〜3個のクロロ基とを含有するオルガノシランを製造する方法が一般的である。しかし、立体障害を生じ易い嵩高な第2級炭化水素基あるいは第3級炭化水素基を含有するグリニャール試薬を、前記のオルガノ置換または非置換クロロシランに反応させることにより、該炭化水素基を該クロロシランに導入させることは、困難である。
前記のオルガノ置換または非置換クロロシランにグリニャール試薬の代りに、第2級あるいは第3級アルキルリチウムを反応する方法が知られている(J.Org.Chem.43巻3649頁(1978)参照)。
また、グリニャール反応を用いて、立体障害を生じ易い第2級炭化水素基あるいは第3級炭化水素基をオルガノハロシランのケイ素原子に導入する方法としては、銅化合物またはシアン化合物あるいはチオシアン酸化合物よりなる触媒の存在下に第2級または第3級炭化水素基含有のグリニャール試薬をオルガノハロシランに反応させる方法が知られている(特公平7−86115号、日本特許第2838342号、日本特許第2854832号)。
また、ジメチルモノアルコキシクロロシランにフェニル基、1−ナフチル基またはシクロヘキシル基を有するグリニャール試薬を反応させ、ジメチルモノアルコキシアリールシランおよびジメチルモノアルコキシシクロヘキシルシランを合成する方法が知られている(Zh.Obshch.Khim,1987,57(1),pp.146〜151、およびケミカル・アブストラクツ108巻、6072vの項)。しかし、嵩高い炭化水素基の少くとも2個を含有するトリオルガノ−モノアルコキシシランの製造は前記のロシア文献には記載がない。
また、ケイ素−水素結合を有するオルガノシラン化合物に対して、第3級炭化水素基含有のグリニャール試薬を反応させる方法も知られている(日本特許第3091992号)。
また、嵩高い炭化水素基を含有するトリオルガノモノクロロシラン類の製造方法としては、多くの方法が知られている。既知方法の主なものとしては次のような方法がある。
(1)オルガノハロシランに触媒の存在下にグリニャール試薬を反応させるグリニャール反応により、目的のトリオルガノモノクロロシラン類を生成させ、その後に得られた反応液を濾過し、析出した塩化マグネシウムを除去してから目的物を回収する方法(特公平7−86115号)。
(2)ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルを溶媒として用いて、上記(1)の方法のグリニャール反応の反応液をそのまま蒸留する方法(日本特許第2854832号)。
(3)トリオルガノ−ハイドロシランのケイ素−水素結合を塩素で塩素化する工業的方法。
(4)トリオルガノアルコキシシランのアルコキシ基を、アシルクロライド、塩化チオニル、三塩化リンなどの塩素化剤により塩素化する方法。
(5)トリオルガノ−ハイドロシランとクロロシラン類を触媒の存在下に交換反応によって塩素化する方法(日本特許第3131868号)。
(6)トリオルガノ−ハイドロシランを第8族遷移金属またはその錯体の存在下に、無水条件下に塩化水素ガスを反応させる方法(特開平6−157554号)。
(7)J.Am.Chem.Soc.68巻、2282頁(1946)に記載されるように、トリエチルシラノールを氷冷下、濃塩酸で処理して77%の収率でトリエチルクロロシランを得る方法。
(8)ACADEMIC PRESS社の1968年発行の書籍「Chemistry and Technology of Silicones」の86ページに記載されるように、トリアルキルアルコキシシランを無水の条件下に塩化水素ガスでクロロシランに変換する方法。
しかしながら、上記の(1)の特公平7−86115号の方法では、副生する塩化マグネシウムを濾過して除去する作業が煩雑であり、濾取した塩化マグネシウムを別途処理する必要がある。上記の(2)の日本特許第2854832号の方法では、特殊な溶剤を使用する必要があり、コストの面で工業的に有利ではない。上記の(3)に示す工業的方法では、反応溶媒として塩素系溶媒を使用するため環境保全上の問題がある。上記の(4)に示す塩素化方法では、亜硫酸ガス等の副生物の発生が環境保全上問題である。また、上記の(5)の日本特許第3131868号の方法では、必要としない副生物の生成や触媒の使用が経済的に有利でない。上記の(6)の特開平6−157554号の方法では、高価な金属触媒を使用する必要がある点で、工業的に有利とは言えない。また、上記の(7)のJ.Am.Chem.Soc.68巻、2282頁(1946)の報告の方法では、加水分解性が高いので扱いにくいシラノール化合物を、氷冷下という条件で濃塩酸処理することが行われており、工業的に実施することは経済的に有利ではない。また、上記の(8)の「Chemistry and Technology of Silicones」の86頁の方法で無水条件下で塩化水素ガスを使用してクロロ化する方法は、塩化水素ガスを取り扱う点で安全性や作業性の面から工業的にまだ改良の必要がある。したがって、いずれの従来の既知方法には、何らかの欠点がある。
それ故、工業的に、より簡便に操作できるクロロシラン類の新しい製造方法が望まれている。
第2級または第3級アルキル基を含有するオルガノシランの製造に当って、前記のオルガノ置換または非置換クロロシランに対して、第2級あるいは第3級アルキルリチウムを反応させるJ.Org.Chem.43巻、3649頁に示される従来方法は、金属リチウムやこれから調製されたアルキルリチウムの取り扱いが非常に危険であるので、工業的に大量の原料を取り扱う場合に不適当である。また、銅化合物やシアン化合物あるいはチオシアン酸化合物を触媒として用いてグリニャール反応させる特公平7−86115号、日本特許第2838342号または日本特許第2854832号の従来方法では、毒性の高い化合物を触媒に使用する必要があり、そのため安全性の面で問題がある。また、ケイ素−水素結合を有するオルガノシラン化合物を原料として用いる日本特許第3091992号の従来方法では、この原料が高価な場合が多い。さらに、トリクロロシランを原料として用いる従来方法の場合は、この原料が低沸点の引火性物質のために、その取り扱いに格別の注意が必要となり、安全性および経済性の面で問題がある。
従って、第2級アルキル基あるいは第3級アルキル基などの立体障害を生じ易い嵩高い炭化水素基の少くとも2個を含有するトリオルガノ−モノアルコキシシラン化合物を、容易に、安全に高収率で工業的に製造する新規な方法を得ることが要望されている。
発明の開示
そこで、嵩高い炭化水素基の少くとも2個を有するトリオルガノ−モノアルコキシシランの製造のため本発明者らは鋭意検討を重ねた。その結果、例えば、テトラクロロシラン(すなわち四塩化ケイ素)に対して、第2級アルキル基含有のグリニャール試薬の例として、イソプロピルマグネシウムクロライドをグリニャール反応の通常の手法と反応条件下で作用させた場合には、予想どおりに所望のグリニャール反応が進行できないので、所望とされるトリ(イソプロピル)−モノクロロシランは生成できないことが確認された。
しかし、テトラクロロシランを先ず、例えば、メタノール、エタノールまたはn−ブタノールと反応させて、テトラクロロシランの4個のクロロ基のうちの1つをメトキシ基、エトキシ基またはn−ブトキシ基に置換させ、これによってモノメトキシ、モノエトキシまたはモノ−n−ブトキシ−トリクロロシランを一旦、生成させ、次いで後者のモノアルコキシ−トリクロロシランにイソプロピルマグネシウムクロライドをグリニャール反応の通常の手法と反応条件下で作用させる場合には、所望のグリニャール反応が効率よく進行して、所望のトリ(イソプロピル)−モノメトキシ、モノエトキシまたはモノ−n−ブトキシシランが高収率で生成できることが本発明者らによりはじめて知見された。この場合にグリニャール反応を行う時に、銅化合物、シアン化合物またはチオシアン酸化合物を触媒として添加して存在させることは不要であることも知見された。
さらに、テトラクロロシランに先ず、例えばエチレンオキサイドまたはベンジルアルコールを反応させることにより製造されたモノ(2−クロロエトキシ)−トリクロロシランまたはモノベンジルオキシ−トリクロロシランは、これに次いでグリニャール試薬として例えばイソプロピルマグネシウムクロライドまたはsec−ブチルマグネシウムクロライドをグリニャール反応の通常の手法と反応条件下で作用させた場合にも、所望とされるグリニャール反応が効率よく進行でき、これによって、所望のトリ(イソプロピルまたはsec−ブチル)−モノ(2−クロロエトキシまたはベンジルオキシ)シランが収率よく生成できることが知見された。しかも、前記のようにして生成されたトリ(イソプロピル)−モノメトキシ、モノエトキシまたはモノ−n−ブトキシシラン、ならびにトリ(イソプロピルまたはsec−ブチル)−モノ(2−クロロエトキシまたはベンジルオキシ)シランは、これを既知のクロル化方法により処理すると、例えば塩化チオニルのようなクロル化剤で処理すると、トリ(イソプロピルまたはsec−ブチル)−モノクロロシランに転化できることが知見された。
後者のトリ(イソプロピルまたはsec−ブチル)−モノクロロシランは、有機合成中間体の官能性水酸基のためのシリル系のヒドロキシル保護剤として有用であることが知られ、また各種のシリコーン系撥水剤の製造に有用な原料であることが知られる。
本発明者らは別段の研究を進めて、その結果、一般的には、次の一般式(I)
〔式中、R1は第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は第2級アルキル基、第3級アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基、またはアラルキル基であるか、あるいは基−OR3は次式(A)
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基、特にフェニル基またはナフチル基である)のアルコキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基であり、xは0または1の整数を表し、yは0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数である〕で示されるオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランは、触媒の添加を要せずに、グリニャール反応の通常の手法で且つ通常の反応条件下で次の一般式(II)
(Rは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはRはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素または臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬と容易に反応することができること、またそれによって、一般式(III)
(式中、R1、R2、R3は前記の意味をもち、またRは前記の第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、さらにxおよびyは前記の意味をもつ整数を示す)で示されるところの、嵩高い炭化水素基Rを含有するトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランを製造できることが知見された。
一般式(I)のオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランにおけるケイ素−塩素結合を介して該シランのケイ素原子に結合されたクロロ基は、該シラン中に存在するアルコキシ基、シクロアルキルオキシ基またはアラルキルオキシ基OR3の何らかの作用に由り、嵩高な炭化水素基に対する増強された反応性を獲得したものと推測される。
従って、第1の本発明においては、次の一般式(I)
〔式中、R1は第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は第2級アルキル基、第3級アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基であるか、あるいは基−OR3は次式(A)
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基であり、xは、0または1の整数を表し、yは0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数である〕で示されるオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランに、次の一般式(II)
(Rは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはRはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素または臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬を反応させることを特徴とする、一般式(III)
(式中、R1、R2、R3は前記の意味をもち、またRは前記の第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、さらにxおよびyは前記の意味をもつ整数を示す)で示されるところの、嵩高い炭化水素基Rを含有するトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランの製造方法が提供される。
以下に、第1の本発明の方法を具体的に説明する。
先ず、第1の本発明の方法で出発化合物として用いられる一般式(I)のオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランの調製のための下記の3つの方法(i)〜(iii)について説明する。
方法(i):出発化合物として用いられる一般式(I)のオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシラン(但し一般式(I)中の基−OR3が式(A)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基である場合を除く)は、次の一般式(IV)
(式中、R1およびR2は前記で定義された意味をもち、またxおよびyは前記で定義された意味をもつ整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(V)
(式中、R3は前記で定義された第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコールと反応させることから成る方法により製造できる。
上記のテトラクロロシランは、次式(B)
で表される化合物であるが、上記の一般式(IV)の化合物に包含される(x=y=ゼロの場合)。
上記の一般式(IV)の化合物における置換基R1は、第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはアラルキル基である。
R1である第1級、第2級または第3級アルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基であるのが好ましく、その具体例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基のような直鎖状または分岐鎖状アルキル基であることができる。
またR1であるシクロアルキル基はシクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。R1であるアルケニル基としては、ビニル基、メタリル基、アリル基(allyl)等が挙げられる。R1であるアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基などが挙げられる。
R1であるアリール基としてはフェニル基、アルキル置換フェニル基、例えばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、あるいは1−ナフチル基等が挙げられる。R1であるアラルキル基としては、フェニルで置換された低級アルキル基、例えばベンジル基、フェニルエチル基(すなわちフェネチル基)等が挙げられる。
R2は第2級アルキル基、第3級アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である。R2である第2級アルキル基は、炭素数3〜10であり、その具体例は、イソプロピル基、sec−ブチル基、sec−ペンチル基などが挙げられる。
R2である第3級アルキル基は、炭素数4〜10であり、その具体例はtert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基が挙げられる。
R2であるシクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。R2であるアリール基としては、前記R1で挙げた具体例の範囲と同じである。
一般式(IV)の化合物の好ましい具体例には、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシランなどがある。
さらに、一般式(IV)の化合物に反応させられる一般式(V)のアルコールR3OHは、第1級または第2級アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールもしくはアラルキルアルコールである。
一般式(V)のアルコールのうち、アルキルアルコール(アルカノール)は、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールなどであることができる。シクロアルキルアルコールは、例えばシクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコールであることができ、またアラルキルアルコールの例には、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等が挙げられる。
一般式(IV)のテトラクロロシランまたはオルガノクロロシランを一般式(V)のアルコールと反応させることから成るアルコキシ化またはアラルキルオキシ化反応の工程は、一般式(IV)のテトラクロロシランまたはオルガノクロロシランの1モルに対し一般式(V)のアルコールを0.5〜2モル、特に0.5〜1.5モルの割合で使用して反応させるのが好ましい。また、このアルコキシ化またはアラルキルオキシ化反応の工程は、無溶媒でも、または非プロトン性有機溶媒中でも行われる。非プロトン性有機溶媒としては、グリニャール反応でも常用されるジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、あるいはヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒が使用できる。これら溶媒はその1種類を単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。また、ここでのアルコキシ化またはアラルキルオキシ化工程の反応は、−10〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度範囲で行うのがよい。一般式(V)のアルコールを反応させた場合、塩化水素ガスが副生するので反応系外へ排除してやる必要がある。
上記のアルコキシ化またはアラルキルオキシ化反応の終了後に、生成された一般式(I)のモノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−クロロシランを含む反応溶液が得られる。これを常圧下でまたは減圧下に分別蒸留することによって一般式(I)の化合物を回収することができる。また、前記の反応溶液は、そのまま、次のグリニャール反応工程に相当する第1の本発明方法に使用してもよい。
方法(ii):出発化合物として用いられる一般式(I)のオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランのうち、次の一般式(I’)
(式中、R1、R2、R4は前記で定義された意味をもち、またxおよびyは前記で定義された意味をもつ整数である)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノアルコキシ−トリ、ジまたはモノクロロシランは、一般式(IV)
(式中、R1、R2は前記で定義された意味をもち、またxおよびyは前記で定義された意味をもつ整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(VI)
〔式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基、アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルと反応させることから成る方法によって製造できる。
一般式(VI)の化合物において、R4が水素原子またはアルキル基である場合、一般式(VI)のアルキレンオキサイドは末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物であり、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等であることができる。
また、一般式(VI)の化合物においてR4が式(A)のアルコキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である場合、一般式(VI)の化合物はグリシジルエーテルであり、これは例えばブチルグリシジルエーテル、グリシジルメチルエーテル等のグリシジルエーテルであることができる。
さらに、一般式(VI)で表されるグリシジルエーテルの別例には、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル;アリル(allyl)グリシジルエーテル;グリシジルフェニルエーテルがある。
一般式(IV)のテトラクロロシランまたはオルガノ−クロロシランの1モルに対して、一般式(VI)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルの0.5〜2モルを、無溶媒で、あるいは非プロトン性有機溶媒、例えばジエチルエーテル中で、−10〜150℃の温度で反応させることによって、反応が進行できる。炭化水素系溶媒を混用してもよい。一般式(VI)の化合物のエポキシ基は、一般式(IV)のオルガノ−クロロシランとの反応時に開環して、一般式(IV)のクロロシラン化合物のクロロ基を取込むので、上記の方法(i)の場合と違って、塩化水素は発生しない。
方法(iii):出発化合物として用いられる一般式(I)のオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシラン(但し、一般式(I)中の基−OR3が式(A)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基である場合を除く)は、次の一般式(IV)
(式中、R1およびR2は前記で定義された意味をもち、またxおよびyは前記で定義された意味をもつ整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリ−クロロシランに、次の一般式(VII)
〔式中、R1、R2およびR3は前記で定義されたと同じ意味をもち、xは、0または1の整数を表し、yは0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数であり、またzは2、3または4の整数を表すが但し2≦(x+y+z)≦4の範囲の整数である〕で示されるアルコキシシランを加えて、一般式(IV)のクロロシラン類あるいはシランと一般式(VII)のアルコキシシラン類との間で不均化反応を行うことから成る方法によっても製造できる。
一般式(VII)のアルコキシシランのR1およびR2は、一般式(I)または(IV)のR1およびR2と同じ置換基を表す。一般式(VII)のアルコキシシランの具体的な例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシランなどであることができる。
前記された不均化反応の場合、テトラクロロシランまたは一般式(IV)のクロロシランと一般式(VII)のアルコキシシランは、生成されるべき一般式(I)のモノクロロシラン体の割合が最高になるように一般式(IV)のテトラクロロシランまたはクロロシランの1モルに対し一般式(VII)のアルコキシシランを0.1〜3モル、特に0.2〜1.5モルの割合で使用して反応させるのが好ましい。不均化反応は、無溶媒で0〜50℃、好ましくは10〜30℃の温度で行うことができる。
上記の不均化反応の工程で得られた反応液は、この工程の目的物である一般式(I)のオルガノ非置換−またはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)クロロシランを主成分として含み且つ、未反応の原料および2つ以上のクロロ基がアルコキシ化された副生物を含む混成の反応液となっている。次のグリニャール反応工程に相当する第1の本発明の方法には、前記の不均化反応で得た反応混合物をそのまま使用してもよいが、分別蒸留によって一般式(I)のモノ−(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランの精製品を単離した後に使用してもよい。
前記の説明から明らかなように、第1の本発明の方法は、一般式(I)のクロロシラン化合物を一般式(II)のグリニャール試薬と反応させることによって実施される。
一般式(II)のグリニャール試薬であるオルガノ金属化合物において、これに含有される嵩高な炭化水素基Rは、第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル置換基を有する芳香族炭化水素基である。その第2級アルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、sec−ペンチル基があり、その第3級アルキル基としてはtert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基が例示される。またそのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基が例示される。
また、アルキル置換基を有する芳香族炭化水素基としては、アルキル置換フェニル基、例えばo−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、あるいは1−ナフチル基等が例示される。また、Xは塩素、臭素または沃素であるハロゲン原子を示している。
一般式(II)のグリニャール試薬の例には、具体的にイソプロピルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムブロマイド、イソプロピルマグネシウムアイオダイド;sec−ブチルマグネシウムクロライド、sec−ブチルマグネシウムブロマイド、sec−ブチルマグネシウムアイオダイド;sec−ペンチルマグネシウムクロライド、sec−ペンチルマグネシウムブロマイド、sec−ペンチルマグネシウムアイオダイドが例示され、またシクロペンチルマグネシウムクロライド、シクロペンチルマグネシウムブロマイド、シクロペンチルマグネシウムアイオダイド;シクロヘキシルマグネシウムクロライド、シクロヘキシルマグネシウムブロマイド、シクロヘキシルマグネシウムアイオダイドが例示され、またtert−ブチルマグネシウムクロライド、tert−ブチルマグネシウムブロマイド、tert−ブチルマグネシウムアイオダイド;1,1−ジメチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1−ジメチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1−ジメチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムクロライド、1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムブロマイド、1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1,1−ジエチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1−ジエチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1−ジエチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムアイオダイドが例示され、また1−メチルシクロペンチルマグネシウムクロライド、1−メチルシクロペンチルマグネシウムブロマイド、1−メチルシクロペンチルマグネシウムアイオダイド;1−メチルシクロヘキシルマグネシウムクロライド、1−メチルシクロヘキシルマグネシウムブロマイド、1−メチルシクロヘキシルマグネシウムアイオダイド;1−エチルシクロヘキシルマグネシウムクロライド、1−エチルシクロヘキシルマグネシウムブロマイド、1−エチルシクロヘキシルマグネシウムアイオダイドが例示され、さらにo−トリルマグネシウムクロライド、o−トリルマグネシウムブロマイド、o−トリルマグネシウムアイオダイド;2,3−キシリルマグネシウムクロライド、2,3−キシリルマグネシウムブロマイド、2,3−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,4−キシリルマグネシウムクロライド、2,4−キシリルマグネシウムブロマイド、2,4−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,5−キシリルマグネシウムクロライド、2,5−キシリルマグネシウムブロマイド、2,5−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,6−キシリルマグネシウムクロライド、2,6−キシリルマグネシウムブロマイド、2,6−キシリルマグネシウムアイオダイド;メシチルマグネシウムクロライド、メシチルマグネシウムブロマイド、メシチルマグネシウムアイオダイド;1−ナフチルマグネシウムクロライド、1−ナフチルマグネシウムブロマイドあるいは1−ナフチルマグネシウムアイオダイドが例示されるが、これらに限定されるものではない。
第1の本発明の方法におけるグリニャール反応は、前記のエーテル系溶媒中で、あるいはエーテル系溶媒と非プロトン性有機溶媒との混合溶媒中で行う。非プロトン性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が例示される。また、一般式(II)のグリニャール試薬は、一般式(I)のモノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−クロロシランの1モルに対して1〜10モル、好ましくは1〜5モルの割合で使用して反応させるのが好ましい。一般式(I)の原料化合物の調製の反応工程で得た反応液を、そのままグリニャール反応に使用するときに、溶媒を反応に用いる場合は、通常、同じエーテル系溶媒あるいはエーテル系溶媒と非プロトン性有機溶媒との混合溶媒中でグリニャール反応を行うことが望ましい。グリニャール反応は、−10〜150℃、好ましくは20〜150℃の温度範囲で行うのがよい。また、反応系に酸素が存在すると、グリニャール試薬に酸素が反応して収率低下の原因となるので、グリニャールの反応は、窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気で行うことが望ましい。
グリニャール反応は通常のように1〜24時間行って、終了させる。その後、反応混合物へ塩化アンモニウム飽和水溶液あるいは希硫酸の適当量を混合させると、沈析した無機マグネシウム塩を塩化アンモニウム水溶液または希硫酸中に溶解できる。水性層から有機層を分離し、この有機層を常圧または減圧下に分別蒸留(すなわち精留)すると、所望とされる一般式(III)のトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランよりなる留分を回収できる。
なお、一般式(I)の出発化合物として、オルガノ非置換−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリクロロシランを用いて、これに、tert−ブチル基のようなきわめて嵩高な第3級アルキル基を含有するグリニャール試薬を反応させる場合には、長時間にわたりグリニャール反応を行っても、所望のトリオルガノ置換−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランが極めて低い収率でしか得られないこともある。
一般式(III)のトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランは、次の一般式(III’)
(式中、R1、R2、R3およびR、ならびにxおよびyはそれぞれ前記に定義された意味をもつ)としても表示できる。
第1の本発明方法で製造された一般式(III)のモノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シラン誘導体の具体例には、トリイソプロピルメトキシシラン、トリイソプロピルエトキシシラン、トリイソプロピルイソプロポキシシラン、トリイソプロピル−n−ブトキシシラン、トリイソプロピル−2−クロロエトキシシラン、トリイソプロピルベンジルオキシシラン、トリ−sec−ブチルメトキシシラン、トリ−sec−ブチルエトキシシラン、トリ−sec−ブチルイソプロポキシシラン、トリ−sec−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブチル−2−クロロエトキシシラン、トリ−sec−ブチルベンジルオキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、トリシクロヘキシルイソプロポキシシラン、トリシクロヘキシル−n−ブトキシシラン、トリシクロヘキシル−2−クロロエトキシシラン、トリシクロヘキシルベンジルオキシシラン、トリ−o−トリルメトキシシラン、トリ−o−トリルエトキシシラン、トリ−o−トリルイソプロポキシシラン、トリ−o−トリル−n−ブトキシシラン、トリ−o−トリル−2−クロロエトキシシラン、トリ−o−トリルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルメチルメトキシシラン、ジイソプロピルメチルエトキシシラン、ジイソプロピルメチルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルメチル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジイソプロピルメチルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルビニルメトキシシラン、ジイソプロピルビニルエトキシシラン、ジイソプロピルビニルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルビニル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジイソプロピルビニルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルフェニルメトキシシラン、ジイソプロピルフェニルエトキシシラン、ジイソプロピルフェニルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルフェニル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジイソプロピルフェニルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルメチル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルビニル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルメチルメトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルエトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルメチル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルビニルメトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルエトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルビニル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルメトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルエトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルフェニル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルメチルメトキシシラン、ジ−o−トリルメチルエトキシシラン、ジ−o−トリルメチルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルメチル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジ−o−トリルメチルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルビニル−メトキシシラン、ジ−o−トリルビニルエトキシシラン、ジ−o−トリルビニルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルビニル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−o−トリルビニルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルフェニルメトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルエトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルフェニル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルベンジルオキシシラン、イソプロピルジフェニルメトキシシラン、イソプロピルジフェニルエトキシシラン、イソプロピルジフェニルイソプロポキシシラン、イソプロピルジフェニル−n−ブトキシシラン、イソプロピルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、イソプロピルジフェニルベンジルオキシシラン、sec−ブチルジフェニルメトキシシラン、sec−ブチルジフェニルエトキシシラン、sec−ブチルジフェニルイソプロポキシシラン、sec−ブチルジフェニル−n−ブトキシシラン、sec−ブチルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、sec−ブチルジフェニルベンジルオキシシラン、シクロヘキシルジフェニルメトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルイソプロポキシシラン、シクロヘキシルジフェニル−n−ブトキシシラン、シクロヘキシルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルベンジルオキシシラン、o−トリルジフェニルメトキシシラン、o−トリルジフェニルエトキシシラン、o−トリルジフェニルイソプロポキシシラン、o−トリルジフェニル−n−ブトキシシラン、o−トリルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、o−トリルジフェニルベンジルオキシシラン、tert−ブチルジフェニルメトキシシラン、tert−ブチルジフェニルエトキシシラン、tert−ブチルジフェニルイソプロポキシシラン、tert−ブチルジフェニル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、tert−ブチルジフェニルベンジルオキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルメトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルエトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルイソプロポキシシラン、tert−ブチルフェニルメチル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチル−2−クロロエトキシシラン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特に、第1の本発明方法で製造できるトリイソプロピル−モノアルコキシシラン、トリ−sec−ブチル−モノアルコキシシラン、トリシクロヘキシル−モノアルコキシシランは、医薬品等の製造において生成される合成中間体の官能性水酸基を保護するためのシリル化剤であるところのトリオルガノ−クロロシランの合成用原料として有用であり、またその他の用途にも有用である。
前記の説明から明らかであるように、比較的安価なテトラクロロシランSiCl4から出発して、テトラクロロシランに1モル比の割合で例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノールまたはベンジルアルコールあるいはエチレンオキサイドなどを無溶媒で、あるいはグリニャール反応に常用されるエーテル系有機溶媒(トルエンのような非プロトン系芳香族炭化水素溶媒との混合溶媒でもよい)中で反応させることにより、モノ(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、またはベンジルオキシまたは2−クロロエトキシ)−トリクロロシランを生成する工程を行うことができる。次いで該モノオルガノオキシ−トリクロロシラン化合物またはこれを含む溶液を、第2級アルキル基またはシクロアルキル基あるいはアルキル置換芳香族炭化水素基含有のグリニャール試薬と反応させることによって、第2級アルキル基またはシクロアルキル基あるいは前記のアルキル基置換芳香族炭化水素基3個を含有するトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランを生成する工程を行うことができるのである。しかも、上記の先段の工程で中間体として生成された前記のモノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリクロロシラン化合物は、これを一旦、単離することを必要としないで、前記の先段の工程と、後段の工程とを継続的または連続的に行うことが可能である。
従って、第2の本発明においては、テトラクロロシランを無溶媒で、またはグリニャール反応に常用されるエーテル系溶媒中でまたは芳香族炭化水素系溶媒中で次の一般式(Va)
(式中、R3aは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状アルキル基またはシクロアルキル基あるいはアラルキル基を示す)で示されるアルコール、あるいは次の一般式(VIa)
(式中、R4aは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4aは(C1〜C20)アルキルオキシメチレン基、(C2〜C10)アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)で示されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルと反応させ、これにより次の一般式(Ia)
(式中、R3aは前記と同じ意味をもつ炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基またはアラルキル基である)のモノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリクロロシラン、あるいは次の一般式(Ib)
〔式中、基R3bO−は次式(A’)
(但しR4aは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4aは(C1〜C20)アルキルオキシメチレン基、(C2〜C10)アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基を示す〕のモノ(2−置換または非置換−2−クロロエトキシ)−トリクロロシランを生成する第1工程と、第1工程で生成された一般式(Ia)のモノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリクロロシラン、または一般式(Ib)のモノ(2−置換または非置換−2−クロロエトキシ)−トリクロロシランを含む反応溶液に、次の一般式(II’)
(Raは第2級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはRaはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素または臭素または沃素原子を示す)のグリニャール試薬を加えて一般式(Ia)または一般式(Ib)の化合物とのグリニャール反応を行う第2工程とから成ることを特徴とする、一般式(IIIa)
(式中、R3aは前記と同じ意味をもつアルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基であり、Raは第2級アルキル基またはシクロアルキル基、あるいは前記のアルキル基置換の芳香族炭化水素基である)で示されるトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランあるいは一般式(IIIb)
(式中R4aは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4aは(C1〜C20)アルキルオキシメチレン基、(C2〜C10)アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基であり、Raは前記の第2級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル基置換の芳香族炭化水素を示す)で示されるトリオルガノ−モノ(2−置換または非置換2−クロロエトキシ)シランの製造方法が提供される。
第2の本発明の方法において、その第1工程は、第1の本発明方法に用いる原料化合物の調製にあたって、一般式(IV)で示されるテトラクロロシランまたはオルガノ−クロロシラン化合物を一般式(V)のアルコールR3OHあるいは一般式(VI)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルと反応させることからなる前記の方法(i)または(ii)と同様な要領で実施できる。また第2の本発明方法の第2工程は、第1の本発明方法について説明したと同様にして実施できる。
第1および第2の本発明の製造方法によると、取り扱いの難しいリチウム試薬の使用を要せずに、また、毒性の高い触媒の使用を要することもなく、簡易に且つ効率良く嵩高い炭化水素基の少くとも2個を含有するトリオルガノ−モノ−アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシシラン化合物を製造することができる。
第1および第2の本発明の研究とは別に、トリオルガノモノクロロシラン製造の新しい方法の開発のために、本発明者らは鋭意検討を重ねた。従来、一般的には、加水分解性基を有するトリオルガノシラン化合物は、これに塩酸を加えると加水分解してシラノールを生じ、さらにシラノールの脱水縮合によりシロキサン化合物に変化してしまうと考えるのが常識であった。
しかしながら、本発明者らの今回の研究の結果によると、意外にも、適当な条件のもとで塩酸をトリオルガノシランに作用させると、トリオルガノクロロシランに変換できることを見出した。この知見により、第3の本発明をなすに至ったものである。
すなわち、第3の本発明においては、次の一般式(XIa)
〔式中、R1、R2、R3はそれぞれ同じかもしくは相異なることができ、第1級、第2級または第3級アルキル基、あるいはシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基であるが但しR1、R2、R3はすべて同時にメチル基であることはなく、Z1は加水分解性基を示す〕で表されるトリオルガノシラン化合物、特に次の一般式(XIb)
〔式中、R1、R2はそれぞれ同じかもしくは相異なることができ、第1級、第2級または第3級アルキル基、あるいはシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基であるが、R3aは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいはR3aは芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基であり、さらにZ2は第1級あるいは第2級アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基またはアラルキルオキシ基であるか、あるいはZ2は次式(A)
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)で示される2−置換または非置換2−クロロエトキシ基である〕で表される嵩高な炭化水素基R3aを含有するトリオルガノシラン化合物を、塩酸と反応させ、これにより次の一般式(XIIa)
〔式中、R1、R2、R3はそれぞれ前記と同じ意味をもつ〕で示されるトリオルガノモノクロロシラン、あるいは次の一般式(XIIb)
〔式中、R1、R2、R3aはそれぞれ前記と同じ意味をもつ〕で示されるトリオルガノモノクロロシランを生成することを特徴とする、一般式(XIIa)のトリオルガノモノクロロシランまたは一般式(XIIb)のトリオルガノモノクロロシランの製造方法が提供される。
第3の発明による一般式(XIa)または(XIb)におけるR1、R2の意味は第1の発明による一般式(I)におけるR1、R2の意味より広い。
第3の本発明方法に用いられる上記の一般式(XIa)のトリオルガノシラン化合物における加水分解性の基Z1は、置換または非置換アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アラルキルオキシ基、アシロキシ基、アミノ基、無機酸エステル残基、または擬ハロゲン基、特にシアノ基である。加水分解性基Z1であるアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、n−ヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、3−メチルブトキシ基、フェノキシ基、2−クロロエトキシ基、2−クロロ−3−n−ブトキシプロポキシ基等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。また、加水分解性基Z1であるアシロキシ基の例としては、アセトキシ基があり、アミノ基としては単純なアミノ基があり、その他にジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn−ブチルアミノ、ジn−オクチルアミノ基等がある。また、Z1である無機酸エステル残基としては硫酸エステル残基等がある。Z1である擬ハロゲン基としては、シアノ基、チオシアノ基、イソチオシアノ基等が挙げられるが、上記に限定されるものではない。また、第3の本発明方法における塩素化反応は、特に嵩高い置換基を有する一般式(XIb)のトリルガノモノクロロシランの製造に適している。
第3の本発明方法で出発化合物として用いられる一般式(XIa)のトリオルガノシラン化合物におけるオルガノ基R1、R2、R3は互いに同じであるか、もしくは相異なる第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基である。
一般式(XIa)でR1、R2またはR3であるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基であるのが好ましく、その具体例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基のような直鎖状または分岐鎖状アルキル基であることができる。また、R1、R2、R3であるアルキル基が第2級または第3級アルキル基である場合には、それは後記の基R3aで示される第2級または第3級アルキル基であることができる。また、一般式(XIa)でR1、R2またはR3としてのシクロアルキル基はシクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。一般式(XIa)でR1、R2またはR3であるアルケニル基としては、ビニル基、メタリル基、アリル基(allyl)等が挙げられる。R1、R2またはR3であるアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基などがある。R1、R2またはR3であるアリール基としてはフェニル基、アルキル置換フェニル基、例えばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、あるいは1−ナフチル基等が挙げられる。R1、R2またはR3であるアラルキル基としては、フェニルで置換された低級アルキル基、例えばベンジル基、フェニルエチル基(すなわちフェネチル基)等が挙げられる。
また、一般式(XIb)のトリオルガノシラン化合物におけるオルガノ基R1、R2は、一般式(XIa)におけるR1、R2と同様であることができる。一般式(XIb)の化合物のオルガノ基R3aは、第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいはアルキル置換基を有する芳香族炭化水素基である。そのR3aである第2級アルキル基は炭素数3〜10であるのが好ましく、その例としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、sec−ペンチル基が挙げられる。そのR3aである第3級アルキル基は炭素数4〜10であるのが好ましく、その例としては、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,1−ジエチルエチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基等が挙げられる。またR3aであるシクロアルキル基は炭素数3〜8であるのが好ましく、その例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基等が例示される。また、R3aであるアルキル置換基を有する芳香族炭化水素基は炭素数7〜10であるのが好ましく、その例としては、アルキル置換フェニル基、例えばo−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、あるいは1−ナフチル基等が例示される。
第3の本発明方法においては、塩酸は、原料である一般式(XIa)または(XIb)のトリオルガノシラン化合物1モルに対して塩化水素が1〜50モルの割合で使用するのがよい。塩酸の濃度は、生成する一般式(XIIa)または(XIIb)のトリオルガノモノクロロシランの加水分解性によって利用できる濃度の範囲が異なるが、10重量%から飽和濃度(37重量%)の範囲において適切である濃度を選択できる。得られた一般式(XIIa)または(XIIb)のトリオルガノモノクロロシラン生成物が加水分解性の大きいものである場合には塩化水素濃度の高い塩酸を多く使用することが望ましい。更に、塩酸と塩化水素ガスを併用することも可能である。塩素化反応の反応温度は、−20℃〜100℃、好ましくは−10℃〜50℃の温度範囲で行うのがよい。
第3の本発明方法において、塩酸との反応時に有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等を単独あるいは混合して反応媒質に添加することもできる。有機溶媒を使用した場合に反応媒質中の有機溶媒の濃度に特に制限はないが、アルコール等のプロトン性溶媒を使用する場合は、目的生成物の加水分解性に応じてそのプロトン性有機溶媒の濃度が限定されることもある。
第3の本発明方法において出発化合物として用いられる一般式(XIa)または(XIb)のトリオルガノシラン化合物の具体的な例には、トリエチルメトキシシランを初め、トリイソプロピルメトキシシラン、トリイソプロピルエトキシシラン、トリイソプロピルイソプロポキシシラン、トリイソプロピル−n−ブトキシシラン、トリイソプロピル−2−クロロエトキシシラン、トリイソプロピル−3−メチルブトキシシラン、トリイソプロピルベンジルオキシシラン、トリ−sec−ブチルメトキシシラン、トリ−sec−ブチルエトキシシラン、トリ−sec−ブチルイソプロポキシシラン、トリ−sec−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブチル−2−クロロエトキシシラン、トリ−sec−ブチル−3−メチルペンチルオキシシラン、トリ−sec−ブチルベンジルオキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、トリシクロヘキシルイソプロポキシシラン、トリシクロヘキシル−n−ブトキシシラン、トリシクロヘキシル−2−クロロエトキシシラン、トリシクロヘキシル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、トリシクロヘキシルベンジルオキシシラン、トリ−o−トリルメトキシシラン、トリ−o−トリルエトキシシラン、トリ−o−トリルイソプロポキシシラン、トリ−o−トリル−n−ブトキシシラン、トリ−o−トリル−2−クロロエトキシシラン、トリ−o−トリル−2−o−トリルエトキシシラン、トリ−o−トリルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルメチルメトキシシラン、ジイソプロピルメチルエトキシシラン、ジイソプロピルメチルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルメチル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジイソプロピルメチル−3−メチルブトキシシラン、ジイソプロピルメチルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルビニルメトキシシラン、ジイソプロピルビニルエトキシシラン、ジイソプロピルビニルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルビニル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジイソプロピルビニル−3−メチルブトキシシラン、ジイソプロピルビニルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルフェニルメトキシシラン、ジイソプロピルフェニルエトキシシラン、ジイソプロピルフェニルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルフェニル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジイソプロピルフェニル−3−メチルブトキシシラン、ジイソプロピルフェニルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルメチル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチル−3−メチルペンチルオキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルビニル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニル−3−メチルペンチルオキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニル−3−メチルペンチルオキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルメチルメトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルエトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルメチル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジシクロヘキシルメチル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルビニルメトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルエトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルビニル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジシクロヘキシルビニル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルメトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルエトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルフェニル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルメチルメトキシシラン、ジ−o−トリルメチルエトキシシラン、ジ−o−トリルメチルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルメチル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルメチル−2−クロロエトキシシラン、ジ−o−トリルメチル−2−o−トリルエトキシシラン、ジ−o−トリルメチルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルビニル−メトキシシラン、ジ−o−トリルビニルエトキシシラン、ジ−o−トリルビニルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルビニル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルビニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−o−トリルビニル−2−o−トリルエトキシシラン、ジ−o−トリルビニルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルフェニルメトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルエトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルフェニル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルフェニル−2−クロロエトキシシラン、ジ−o−トリルフェニル−2−o−トリルエトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルベンジルオキシシラン、イソプロピルジメチルメトキシシラン、イソプロピルジメチルエトキシシラン、イソプロピルジメチルイソプロポキシシラン、イソプロピルジメチル−n−ブトキシシラン、イソプロピルジメチル−2−クロロエトキシシラン、イソプロピルジメチル−3−メチルブトキシシラン、イソプロピルジメチルベンジルオキシシラン、イソプロピルジビニルメトキシシラン、イソプロピルジビニルエトキシシラン、イソプロピルジビニルイソプロポキシシラン、イソプロピルジビニル−n−ブトキシシラン、イソプロピルジビニル−2−クロロエトキシシラン、イソプロピルジビニル−3−メチルブトキシシラン、イソプロピルジビニルベンジルオキシシラン、イソプロピルジフェニルメトキシシラン、イソプロピルジフェニルエトキシシラン、イソプロピルジフェニルイソプロポキシシラン、イソプロピルジフェニル−n−ブトキシシラン、イソプロピルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、イソプロピルジフェニル−3−メチルブトキシシラン、イソプロピルジフェニルベンジルオキシシラン、sec−ブチルジメチルメトキシシラン、sec−ブチルジメチルエトキシシラン、sec−ブチルジメチルイソプロポキシシラン、sec−ブチルジメチル−n−ブトキシシラン、sec−ブチルジメチル−2−クロロエトキシシラン、sec−ブチルジメチル−3−メチルペンチルオキシシラン、sec−ブチルジメチルベンジルオキシシラン、sec−ブチルジビニルメトキシシラン、sec−ブチルジビニルエトキシシラン、sec−ブチルジビニルイソプロポキシシラン、sec−ブチルジビニル−n−ブトキシシラン、sec−ブチルジビニル−2−クロロエトキシシラン、sec−ブチルジビニル−3−メチルペンチルオキシシラン、sec−ブチルジビニルベンジルオキシシラン、sec−ブチルジフェニルメトキシシラン、sec−ブチルジフェニルエトキシシラン、sec−ブチルジフェニルイソプロポキシシラン、sec−ブチルジフェニル−n−ブトキシシラン、sec−ブチルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、sec−ブチルジフェニル−3−メチルペンチルオキシシラン、sec−ブチルジフェニルベンジルオキシシラン、シクロヘキシルジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルジメチルエトキシシラン、シクロヘキシルジメチルイソプロポキシシラン、シクロヘキシルジメチル−n−ブトキシシラン、シクロヘキシルジメチル−2−クロロエトキシシラン、シクロヘキシルジメチル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジメチルベンジルオキシシラン、シクロヘキシルジビニルメトキシシラン、シクロヘキシルジビニルエトキシシラン、シクロヘキシルジビニルイソプロポキシシラン、シクロヘキシルジビニル−n−ブトキシシラン、シクロヘキシルジビニル−2−クロロエトキシシラン、シクロヘキシルジビニル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジビニルベンジルオキシシラン、シクロヘキシルジフェニルメトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルイソプロポキシシラン、シクロヘキシルジフェニル−n−ブトキシシラン、シクロヘキシルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルベンジルオキシシラン、o−トリルジメチルメトキシシラン、o−トリルジメチルエトキシシラン、o−トリルジメチルイソプロポキシシラン、o−トリルジメチル−n−ブトキシシラン、o−トリルジメチル−2−クロロエトキシシラン、o−トリルジメチル−2−o−トリルエトキシシラン、o−トリルジメチルベンジルオキシシラン、o−トリルジビニルメトキシシラン、o−トリルジビニルエトキシシラン、o−トリルジビニルイソプロポキシシラン、o−トリルジメチル−n−ブトキシシラン、o−トリルジビニル−2−クロロエトキシシラン、o−トリルジビニル−2−o−トリルエトキシシラン、o−トリルジビニルベンジルオキシシラン、o−トリルジフェニルメトキシシラン、o−トリルジフェニルエトキシシラン、o−トリルジフェニルイソプロポキシシラン、o−トリルジフェニル−n−ブトキシシラン、o−トリルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、o−トリルジフェニル−2−o−トリルエトキシシラン、o−トリルジフェニルベンジルオキシシラン、tert−ブチルジメチルメトキシシラン、tert−ブチルジメチルエトキシシラン、tert−ブチルジメチルイソプロポキシシラン、tert−ブチルジメチル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルジメチル−2−クロロエトキシシラン、tert−ブチルジメチル−3,3−ジメチルブトキシシラン、tert−ブチルジメチルベンジルオキシシラン、tert−ブチルジビニルメトキシシラン、tert−ブチルジビニルエトキシシラン、tert−ブチルジビニルイソプロポキシシラン、tert−ブチルジビニル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルジビニル−2−クロロエトキシシラン、tert−ブチルジビニル−3,3−ジメチルブトキシシラン、tert−ブチルジビニルベンジルオキシシラン、tert−ブチルジフェニルメトキシシラン、tert−ブチルジフェニルエトキシシラン、tert−ブチルジフェニルイソプロポキシシラン、tert−ブチルジフェニル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルジフェニル−2−クロロエトキシシラン、tert−ブチルジフェニル−3,3−ジメチルブトキシシラン、tert−ブチルジフェニルベンジルオキシシラン、tert−ブチルビニルメチルメトキシシラン、tert−ブチルビニルメチルエトキシシラン、tert−ブチルビニルメチルイソプロポキシシラン、tert−ブチルビニルメチル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルビニルメチル−2−クロロエトキシシラン、tert−ブチルビニルメチル−3,3−ジメチルブトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルメトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルエトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルイソプロポキシシラン、tert−ブチルフェニルメチル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチル−2−クロロエトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチル−3,3−ジメチルブトキシシラン、等が挙げられる。
上記の具体例としてあげた式(XIa)または式(XIb)のシラン化合物中のメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、2−クロロエトキシ基、ブトキシ基などの非置換または置換アルコキシ基は、第3の本発明方法で塩酸処理によりクロロ基と置換されて、対応のトリオルガノモノクロロシランを生成する。
第3の本発明方法により製造されるトリオルガノモノクロロシランの具体例には、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリイソブチルクロロシラン、トリ−sec−ブチルクロロシラン、トリ−tert−ブチルクロロシラン、トリ−n−オクチルクロロシラン、トリシクロペンチルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、トリメタリルクロロシラン、トリ−o−トリルクロロシラン、トリ−2,3−キシリルクロロシラン、トリ−2,4−キシリルクロロシラン、トリ−2,5−キシリルクロロシラン、トリ−2,6−キシリルクロロシラン、トリ−3,4−キシリルクロロシラン、トリ−3,5−キシリルクロロシラン、トリメシチルクロロシラン、メチルジ−n−プロピルクロロシラン、メチルジイソプロピルクロロシラン、メチルジ−n−ブチルクロロシラン、メチルジイソブチルクロロシラン、メチルジ−sec−ブチルクロロシラン、メチルジ−tert−ブチルクロロシラン、メチルジ−n−オクチルクロロシラン、メチルジシクロペンチルクロロシラン、メチルジシクロヘキシルクロロシラン、メチルジメタリルクロロシラン、メチルジ−o−トリルクロロシラン、メチルジ−2,3−キシリルクロロシラン、メチルジ−2,4−キシリルクロロシラン、メチルジ−2,5−キシリルクロロシラン、メチルジ−2,6−キシリルクロロシラン、メチルジ−3,4−キシリルクロロシラン、メチルジ−3,5−キシリルクロロシラン、メチルジメシチルクロロシラン、ビニルジエチルクロロシラン、ビニルジ−n−プロピルクロロシラン、ビニルジイソプロピルクロロシラン、ビニルジ−n−ブチルクロロシラン、ビニルジイソブチルクロロシラン、ビニルジ−sec−ブチルクロロシラン、ビニルジ−tert−ブチルクロロシラン、ビニルジ−n−オクチルクロロシラン、ビニルジシクロペンチルクロロシラン、ビニルジシクロヘキシルクロロシラン、ビニルジメタリルクロロシラン、ビニルジ−o−トリルクロロシラン、ビニルジ−2,3−キシリルクロロシラン、ビニルジ−2,4−キシリルクロロシラン、ビニルジ−2,5−キシリルクロロシラン、ビニルジ−2,6−キシリルクロロシラン、ビニルジ−3,4−キシリルクロロシラン、ビニルジ−3,5−キシリルクロロシラン、ビニルジメシチルクロロシラン、フェニルジエチルクロロシラン、フェニルジ−n−プロピルクロロシラン、フェニルジイソプロピルクロロシラン、フェニルジ−n−ブチルクロロシラン、フェニルジイソブチルクロロシラン、フェニルジ−sec−ブチルクロロシラン、フェニルジ−tert−ブチルクロロシラン、フェニルジ−n−オクチルクロロシラン、フェニルジシクロペンチルクロロシラン、フェニルジシクロヘキシルクロロシラン、フェニルジメタリルクロロシラン、フェニルジ−o−トリルクロロシラン、フェニルジ−2,3−キシリルクロロシラン、フェニルジ−2,4−キシリルクロロシラン、フェニルジ−2,5−キシリルクロロシラン、フェニルジ−2,6−キシリルクロロシラン、フェニルジ−3,4−キシリルクロロシラン、フェニルジ−3,5−キシリルクロロシラン、フェニルジメシチルクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、イソプロピルジメチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、イソブチルジメチルクロロシラン、sec−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、シクロペンチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、メタリルジメチルクロロシラン、o−トリルジメチルクロロシラン、2,3−キシリルジメチルクロロシラン、2,4−キシリルジメチルクロロシラン、2,5−キシリルジメチルクロロシラン、2,6−キシリルジメチルクロロシラン、3,4−キシリルジメチルクロロシラン、3,5−キシリルジメチルクロロシラン、メシチルジメチルクロロシラン、n−プロピルビニルメチルクロロシラン、イソプロピルビニルメチルクロロシラン、n−ブチルビニルメチルクロロシラン、イソブチルビニルメチルクロロシラン、sec−ブチルビニルメチルクロロシラン、tert−ブチルビニルメチルクロロシラン、n−オクチルビニルメチルクロロシラン、シクロペンチルビニルメチルクロロシラン、シクロヘキシルビニルメチルクロロシラン、メタリルビニルメチルクロロシラン、o−トリルビニルメチルクロロシラン、2,3−キシリルビニルメチルクロロシラン、2,4−キシリルビニルメチルクロロシラン、2,5−キシリルビニルメチルクロロシラン、2,6−キシリルビニルメチルクロロシラン、3,4−キシリルビニルメチルクロロシラン、3,5−キシリルビニルメチルクロロシラン、メシチルビニルメチルクロロシラン、n−プロピルフェニルメチルクロロシラン、イソプロピルフェニルメチルクロロシラン、n−ブチルフェニルメチルクロロシラン、イソブチルフェニルメチルクロロシラン、sec−ブチルフェニルメチルクロロシラン、tert−ブチルフェニルメチルクロロシラン、n−オクチルフェニルメチルクロロシラン、シクロペンチルフェニルメチルクロロシラン、シクロヘキシルフェニルメチルクロロシラン、メタリルフェニルメチルクロロシラン、o−トリルフェニルメチルクロロシラン、2,3−キシリルフェニルメチルクロロシラン、2,4−キシリルフェニルメチルクロロシラン、2,5−キシリルフェニルメチルクロロシラン、2,6−キシリルフェニルメチルクロロシラン、3,4−キシリルフェニルメチルクロロシラン、3,5−キシリルフェニルメチルクロロシラン、メシチルフェニルメチルクロロシラン、n−プロピルジビニルクロロシラン、イソプロピルジビニルクロロシラン、n−ブチルジビニルクロロシラン、イソブチルジビニルクロロシラン、sec−ブチルジビニルクロロシラン、tert−ブチルジビニルクロロシラン、n−オクチルジビニルクロロシラン、シクロペンチルジビニルクロロシラン、シクロヘキシルジビニルクロロシラン、メタリルジビニルクロロシラン、o−トリルジビニルクロロシラン、2,3−キシリルジビニルクロロシラン、2,4−キシリルジビニルクロロシラン、2,5−キシリルジビニルクロロシラン、2,6−キシリルジビニルクロロシラン、3,4−キシリルジビニルクロロシラン、3,5−キシリルジビニルクロロシラン、メシチルジビニルクロロシラン、n−プロピルジフェニルクロロシラン、イソプロピルジフェニルクロロシラン、n−ブチルジフェニルクロロシラン、イソブチルジフェニルクロロシラン、sec−ブチルジフェニルクロロシラン、tert−ブチルジフェニルクロロシラン、n−オクチルジフェニルクロロシラン、シクロペンチルジフェニルクロロシラン、シクロヘキシルジフェニルクロロシラン、メタリルジフェニルクロロシラン、o−トリルジフェニルクロロシラン、2,3−キシリルジフェニルクロロシラン、2,4−キシリルジフェニルクロロシラン、2,5−キシリルジフェニルクロロシラン、2,6−キシリルジフェニルクロロシラン、3,4−キシリルジフェニルクロロシラン、3,5−キシリルジフェニルクロロシラン、メシチルジフェニルクロロシラン等が挙げられる。但しこれらに限定されるものではない。
特に、第3の本発明方法で生成される上記の例のうち、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−sec−ブチルクロロシラン、トリシクロペンチルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシランは、医薬品等の製造において有用であり、また合成中間体の官能基を保護するためのシリル化剤であるところのトリオルガノクロロシランとして、またはこれの合成中間体として有用である。
第3の本発明方法で出発化合物として用いられるところの、第2級または第3級アルキル基の如き嵩高な炭化水素基R3aを含有する一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物の調製方法には、幾つかの方法がある。その調製方法の具体例には、後記の(i)〜(vi)に示される方法(A)、方法(B)、方法(C)、方法(D)、方法(E)、方法(F)がある。
(i)その方法(A)は、出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物(但し一般式(XIb)中の基Z2が式(A)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基である場合を除く)の調製のために、次の一般式(XIII)
(式中、R1およびR2は前記に定義された意味をもち、またx、yはそれぞれに0、1または2の整数であるが但し0≦(x+y)≦2の範囲にある)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(XIV)
(式中、R6は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコールと反応させて次の一般式(XVa)
(式中、R1、R2、R6、x、yは前記と同じ意味をもつ)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランを生成し、次いで一般式(XVa)のトリ、ジまたはモノクロロシラン化合物に次の一般式(XVI)
(R3aは前記した第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはR3aはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素、臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬を反応させることから成る方法である。
この方法(A)に用いる一般式(XIII)のクロロシラン化合物の好ましい具体例には、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシランなどがある。
さらに、一般式(XIII)の化合物に反応させられる一般式(XIV)のアルコールR6OHは、第1級または第2級アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールもしくはアラルキルアルコールである。
一般式(XIV)のアルコールのうち、アルキルアルコール(アルカノール)は、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールなどであることができる。シクロアルキルアルコールは、例えばシクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコールであることができ、またアラルキルアルコールの例には、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等が挙げられる。
一般式(XIII)のテトラクロロシランまたはオルガノクロロシランを一般式(XIV)のアルコールと反応させることから成るアルコキシ化またはアラルキルオキシ化反応の工程は、一般式(XIII)のテトラクロロシランまたはオルガノクロロシランの1モルに対し一般式(XIV)のアルコールを0.5〜2モル、特に0.5〜1.5モルの割合で使用して反応させるのが好ましい。
また、このアルコキシ化またはアラルキルオキシ化反応の工程は、無溶媒でも、または非プロトン性有機溶媒中でも行われる。非プロトン性有機溶媒としては、グリニャール反応でも常用されるジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、あるいはヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒が使用できる。これら溶媒はその1種類を単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。また、ここでのアルコキシ化またはアラルキルオキシ化工程の反応は、−10〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度範囲で行うのがよい。一般式(XIV)のアルコールを反応させた場合、塩化水素ガスが副生するので反応系外へ排除してやる必要がある。
上記のアルコキシ化またはアラルキルオキシ化反応の終了後に、生成された一般式(XVa)のモノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−クロロシランを含む反応溶液が得られる。これを常圧下でまたは減圧下に分別蒸留することによって一般式(XVa)の化合物を回収することができる。また、前記の反応溶液は、そのまま、次のグリニャール反応工程に使用してもよい。
次に、上記で得られた一般式(XVa)のモノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−クロロシランを一般式(XVI)のグリニャール試薬(R3a)MgXと反応させる。
一般式(XVI)のグリニャール試薬の例には、具体的にイソプロピルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムブロマイド、イソプロピルマグネシウムアイオダイド;sec−ブチルマグネシウムクロライド、sec−ブチルマグネシウムブロマイド、sec−ブチルマグネシウムアイオダイド;sec−ペンチルマグネシウムクロライド、sec−ペンチルマグネシウムブロマイド、sec−ペンチルマグネシウムアイオダイドが例示され、またシクロペンチルマグネシウムクロライド、シクロペンチルマグネシウムブロマイド、シクロペンチルマグネシウムアイオダイド;シクロヘキシルマグネシウムクロライド、シクロヘキシルマグネシウムブロマイド、シクロヘキシルマグネシウムアイオダイドが例示され、またtert−ブチルマグネシウムクロライド、tert−ブチルマグネシウムブロマイド、tert−ブチルマグネシウムアイオダイド;1,1−ジメチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1−ジメチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1−ジメチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムクロライド、1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムブロマイド、1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1,1−ジエチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1−ジエチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1−ジエチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1−メチルシクロペンチルマグネシウムクロライド、1−メチルシクロペンチルマグネシウムブロマイド、1−メチルシクロペンチルマグネシウムアイオダイド;1−メチルシクロヘキシルマグネシウムクロライド、1−メチルシクロヘキシルマグネシウムブロマイド、1−メチルシクロヘキシルマグネシウムアイオダイド;1−エチルシクロヘキシルマグネシウムクロライド、1−エチルシクロヘキシルマグネシウムブロマイド、1−エチルシクロヘキシルマグネシウムアイオダイド、ならびにo−トリルマグネシウムクロライド、o−トリルマグネシウムブロマイド、o−トリルマグネシウムアイオダイド;2,3−キシリルマグネシウムクロライド、2,3−キシリルマグネシウムブロマイド、2,3−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,4−キシリルマグネシウムクロライド、2,4−キシリルマグネシウムブロマイド、2,4−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,5−キシリルマグネシウムクロライド、2,5−キシリルマグネシウムブロマイド、2,5−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,6−キシリルマグネシウムクロライド、2,6−キシリルマグネシウムブロマイド、2,6−キシリルマグネシウムアイオダイド;メシチルマグネシウムクロライド、メシチルマグネシウムブロマイド、メシチルマグネシウムアイオダイド;1−ナフチルマグネシウムクロライド、1−ナフチルマグネシウムブロマイドあるいは1−ナフチルマグネシウムアイオダイドが例示されるが、これらに限定されるものではない。
上記のグリニャール反応は、エーテル系溶媒中で、あるいはエーテル系溶媒と非プロトン性有機溶媒との混合溶媒中で行う。非プロトン性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒が例示される。また、一般式(XVI)のグリニャール試薬は、一般式(XVa)のモノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−クロロシランの1モルに対して1〜10モル、好ましくは1〜5モルの割合で使用して反応させるのが好ましい。一般式(XVa)の化合物の調製の反応工程で得た反応液を、そのままグリニャール反応に使用するときに、溶媒を反応に用いる場合は、通常、同じエーテル系溶媒あるいはエーテル系溶媒と非プロトン性有機溶媒との混合溶媒中でグリニャール反応を行うことが望ましい。グリニャール反応は、−10〜150℃、好ましくは20〜150℃の温度範囲で行うのがよい。また、反応系に酸素が存在すると、グリニャール試薬に酸素が反応して収率低下の原因となるので、グリニャールの反応は、窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気で行うことが望ましい。
グリニャール反応は通常のように1〜24時間行って、終了させる。その後、反応混合物へ塩化アンモニウム飽和水溶液あるいは希硫酸の適当量を混合させると、沈析した無機マグネシウム塩を塩化アンモニウム水溶液または希硫酸中に溶解できる。水性層から有機層を分離し、この有機層を常圧または減圧下に分別蒸留(すなわち精留)すると、所望とされる一般式(XIb)のトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランよりなる留分を回収できる。
(ii)その方法(B)は、出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物のうち、次の一般式(XIb−1)
(式中、R1、R2、R3a、R4は前記に定義された意味をもつ)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(2−置換−2−クロロエトキシ)シランの調製のために、一般式(XIII)
(式中、R1、R2は前記で定義された意味をもち、またxおよびyは前記で定義された意味をもつ整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(XVII)
〔式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基、アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルと反応させて、次の一般式(XVb)
(式中、R1、R2、R4、x、yは前記に定義された意味をもつ)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(2−置換または非置換−2−クロロエトキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランを生成し、次いで一般式(XVb)のクロロシラン化合物に次の一般式(XVI)
(R3aは前記の第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいは前記のアルキル置換の芳香族炭化水素基である)で示されるグリニャール試薬を反応させることから成る方法である。
この方法(B)で用いられる一般式(XVII)の化合物において、R4が水素原子またはアルキル基である場合、一般式(XVII)のアルキレンオキサイドは末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物であり、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等であることができる。
また、一般式(XVII)の化合物においてR4が式(A)のアルコキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である場合、一般式(XVII)の化合物はグリシジルエーテルであり、これは例えばブチルグリシジルエーテル、グリシジルメチルエーテル等のグリシジルエーテルであることができる。さらに、一般式(XVII)で表されるグリシジルエーテルの別例には、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル;アリル(allyl)グリシジルエーテル;グリシジルフェニルエーテルがある。
この方法(B)では、一般式(XIII)のテトラクロロシランまたはオルガノ−クロロシランの1モルに対して、一般式(XVII)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルの0.5〜2モルを、無溶媒で、あるいは非プロトン性有機溶媒、例えばジエチルエーテル中で、−10〜150℃の温度で反応させることによって、反応が進行できる。炭化水素系溶媒を混用してもよい。一般式(XVII)の化合物のエポキシ基は、一般式(XIII)のクロロシランとの反応時に開環して、一般式(XIII)のクロロシラン化合物のクロロ基を取込むので、上記の方法(A)の場合と違って、塩化水素は発生しない。
(iii)上記の方法(C)は、一般式(XIb)のトリオルガノシラン化合物(但し、一般式(XIb)中の基−Z2が式(A)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基である場合を除く)の調製のために、次の一般式(XIII)
(R1)x(R2)ySiCl4−(x+y) (XIII)
(式中、R1およびR2は前記で定義された意味をもち、またxおよびyは前記で定義された意味をもつ整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリ−クロロシランに、次の一般式(XIX)
〔式中、R1、R2およびR6は前記で定義されたと同じ意味をもち、xおよびyはそれぞれ0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数であり、またzは2、3または4の整数を表すが但し2≦(x+y+z)≦4の範囲の整数である〕で示されるアルコキシシランを加えて、一般式(XIII)のクロロシラン類と一般式(XIX)のアルコキシシラン類との間で不均化反応を行い、得られたアルコキシクロロシラン生成物を一般式(XVI)のグリニャール試薬(R3a)MgXと反応させることから成る方法である。
方法(C)で用いられる一般式(XIX)のアルコキシシランのR1およびR2は、一般式(XIa)または(XIII)のR1およびR2と同じ置換基を表す。一般式(XIX)のアルコキシシランの具体的な例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシランなどであることができる。
方法(C)で行われる不均化反応の場合、一般式(XIII)のクロロシラン類と一般式(XIX)のアルコキシシラン類は、生成されるべきアルコキシクロロシラン類の割合が最高になるように一般式(XIII)のクロロシラン類の1モルに対し一般式(XIX)のアルコキシシラン類を0.1〜3モル、特に0.2〜1.5モルの割合で使用して反応させるのが好ましい。不均化反応は、無溶媒で0〜50℃、好ましくは10〜30℃の温度で行うことができる。
上記の不均化反応の工程で得られた反応液は、この工程の目的物であるオルガノ非置換−またはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランを主成分として含み且つ、未反応の原料および2つ以上のクロロ基がアルコキシ化された副生物を含む混成の反応液となっている。該クロロシラン化合物を一般式(XVI)のグリニャール試薬と次のグリニャール反応工程にかける。この場合には、前記の不均化反応で得た反応混合物をそのまま使用してもよいが、分別蒸留によってモノ−(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランの精製品を単離した後に使用してもよい。
(iv)上記の方法(D)は、出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物の調製のために、次の一般式(XVI)
(式中、R3aは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはR3aはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素、臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬に、次の一般式(XIV)
(式中、R6は前記に示されたとおり第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコール、あるいは次の一般式(XVII)
〔式中、R4は前記に示されたとおり水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基、アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させ得られた反応混合物に次の一般式(XIII)
〔式中、R1、R2は一般式(XI)で示されたとおり、それぞれ同じであるか、もしくは異なる第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基を表し、さらにx、yはそれぞれ0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲である〕で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを加えて反応させる、そして生成された種々な反応生成物から、前記の一般式(XIb)のトリオルガノシラン化合物を回収することから成る方法である。
(v)上記の方法(E)は、出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物は、上記の方法(D)で用いた一般式(XVI)のグリニャール試薬に上記方法(D)で用いた一般式(XIII)のテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを加えて反応させ、得られた反応混合物に上記方法(D)で用いた前記に記載の一般式(XIV)のアルコールあるいは一般式(XVII)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させる、そして生成された種々の反応生成物から前記の一般式(XIb)トリオルガノシラン化合物を回収することから成る方法である。
上記の方法(A)〜方法(E)により製造された一般式(XIa)または(XIb)で示されるシラン化合物は、その調製の工程の反応液から単離されたものでもよく、また未精製の反応溶液にそのまま含まれた形でも第3の本発明方法で利用することができる。
(vi)上記の方法(F)は、出発化合物として用いられる一般式(XIa)
のトリオルガノシラン化合物の調製のために、次の一般式(XVIII)
(式中、R1、R2、R3は同じかもしくは異なる第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基であるが但しR1、R2、R3はすべてメチル基であることはない)で示されるトリオルガノ−ハイドロシラン化合物を、アルカリ触媒の存在下に一般式(XIV)
(式中、R6は前記で定義された第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコールと反応させることから成る方法である。この方法(F)によると、次式(XIa−1)
(式中、R1、R2、R3、R6は前記の意味をもつ)で示されるトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアルケニルオキシ)シランが製造できる。
上記の方法(F)においては、アルカリ触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、あるいはナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートのような低級アルカノールのナトリウムアルコラートであることができ、メタノール、エタノールのようなアルカノール溶媒中で一般式(XVIII)のトリオルガノ−ハイドロシランに一般式(XIV)のアルコールを反応させる。反応は、20℃ないし還流温度の温度で行うことができる。
第3の本発明方法で出発化合物として用いる一般式(XIa)のトリオルガノシラン化合物が加水分解性の基Z1を有する場合には、このような基Z1を有するトリオルガノシラン化合物は、オルトケイ酸アルキルエステルとグリニャール試薬から合成する方法(熊田誠、大河原六郎共編、「有機ケイ素化学」(95頁、242頁)、あるいは硫酸エステルの合成法(熊田誠、大河原六郎共編、「有機ケイ素化学」(291頁)、あるいはアミノ、シアノ、イソシアノ、イソチオシアナアトシランの合成法(熊田誠、大河原六郎共編、「有機ケイ素化学」)により調製できる。
第3の本発明の製造方法によると、嵩高い炭化水素基を含有するトリオルガノ−モノクロロシラン化合物を簡便な反応操作により良い収率で製造することができる。
前記したとおり、トリオルガノ−モノアルコキシシランの製造のために、第1および第2の本発明方法を提供された。
第1および第2の本発明方法とは別に、本発明者らは、第2級アルキル基あるいは第3級アルキル基あるいはシクロアルキル基あるいはアリール基といった嵩高い炭化水素基を有するトリオルガノ−モノアルコキシシランを簡便かつ安全な反応操作により製造できる新しい方法を開発するために、なお別段の研究を重ねた。
そこで本発明者らは鋭意検討の結果、第1の本発明方法で原料となる前記の一般式(I)のクロロシランと一般式(II)のグリニャール試薬とを反応させ、この反応をさせる際において、後記の式(XXIII)のアルコールや式(XXIV)のエポキシ化合物を共存させると、該アルコールまたは該エポキシド化合物が一般式(II)のグリニャール試薬と反応してマグネシウムアルコキシド化合物を中間体として生成し、この中間体が一般式(I)のクロロシラン類のクロロ基の1つと反応してモノアルコキシクロロシランを生成することができ、しかも該モノアルコキシクロロシラン中に残留するクロロ基の反応性が向上しており、さらに次いで該モノアルコキシクロロシランは立体障害の高い第2級アルキル基または第3級アルキル基またはシクロアルキル基またはアルキル基置換の芳香族炭化水素基を含有するグリニャール試薬と容易に反応することができ、クロロシランのケイ素に該第2級アルキル基または第3級アルキル基またはシクロアルキル基またはアルキル基置換の芳香族炭化水素基を導入できることを今回見出した。この知見によって、下記の第4の本発明をなすに至ったものである。
第4の本発明においては、次の一般式(XXI)
〔式中、R1は第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は第2級アルキル基、第3級アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、xは0または1の整数を表し、yは0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数である〕で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランに、次の一般式(XXII)
(式中、Rは第2級アルキル基または第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはRはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素、臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬を反応させるに際して、次の一般式(XXIII)
(式中、R3は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコール、あるいは次の一般式(XXIV)
〔式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基、またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させることを特徴とする、一般式(XXVa)
(式中、R1、R2は前記の意味をもち、またRは前記の第2級アルキル基または第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、R7はR3と同じであるか、またはR7は式−CH2−CH(R)−R4の基であり、さらにxおよびyは前記の意味をもつ整数を示す)で示されるところの、嵩高い炭化水素基Rを含有するトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランの製造法が提供される。
第4の本発明の方法で用いられる次の一般式(XXI)
で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランにおいては、前述のように、R1は第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表わし、R2は第2級アルキル基、第3級アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。
上記の一般式(XXI)のクロロシラン化合物における置換基R1である第1級、第2級または第3級アルキル基は、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状アルキル基であるのが好ましく、その具体例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基のような直鎖状または分岐鎖状アルキル基であることができる。R1であるシクロアルキル基はシクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
一般式(XXI)におけるR1であるアルケニル基としては、ビニル基、メタリル基、アリル基(allyl)等が挙げられる。R1であるアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基などが挙げられる。R1であるアリール基としてはフェニル基、アルキル置換フェニル基、例えばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、あるいは1−ナフチル基等が挙げられる。R1であるアラルキル基としては、フェニルで置換された低級アルキル基、例えばベンジル基、フェニルエチル基(すなわちフェネチル基)等が挙げられる。
一般式(XXI)におけるR2である第2級アルキル基は、炭素数3〜10であり、その具体例はイソプロピル基、sec−ブチル基、sec−ペンチル基などが挙げられる。R2である第3級アルキル基は炭素数4〜10であり、その具体例は、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基が挙げられる。
一般式(XXI)におけるR2であるシクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。R2であるアリール基としては、前記R1で挙げた具体例の範囲と同じである。
一般式(XXI)のクロロシラン化合物の好ましい具体例には、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシランなどがある。
第4の本発明の方法で用いられる一般式(XII)のグリニャール試薬であるオルガノ金属化合物RMgXにおいて、これに含有される嵩高な炭化水素基Rは、第2級アルキル基または第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいはアルキル置換基を有する芳香族炭化水素基である。そのRについて第2級アルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、sec−ペンチル基等が挙げられる。Rについて第3級アルキル基としてはtert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,1−ジエチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基等が例示される。またシクロアルキル基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基等が例示される。また、アルキル置換基を有する芳香族炭化水素基としては、アルキル置換フェニル基、例えばo−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、あるいは1−ナフチル基等が例示される。また、Xは塩素、臭素または沃素であるハロゲン原子を示している。
一般式(XXII)のグリニャール試薬の例には、具体的にイソプロピルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムブロマイド、イソプロピルマグネシウムアイオダイド;sec−ブチルマグネシウムクロライド、sec−ブチルマグネシウムブロマイド、sec−ブチルマグネシウムアイオダイド;sec−ペンチルマグネシウムクロライド、sec−ペンチルマグネシウムブロマイド、sec−ペンチルマグネシウムアイオダイドが例示され、またシクロペンチルマグネシウムクロライド、シクロペンチルマグネシウムブロマイド、シクロペンチルマグネシウムアイオダイド;シクロヘキシルマグネシウムクロライド、シクロヘキシルマグネシウムブロマイド、シクロヘキシルマグネシウムアイオダイドが例示され、またtert−ブチルマグネシウムクロライド、tert−ブチルマグネシウムブロマイド、tert−ブチルマグネシウムアイオダイド;1,1−ジメチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1−ジメチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1−ジメチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムクロライド、1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムブロマイド、1−メチル−1−エチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1,1−ジエチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1−ジエチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1−ジエチルプロピルマグネシウムアイオダイド;1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムクロライド、1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムブロマイド、1,1,2−トリメチルプロピルマグネシウムアイオダイドが例示され、さらに1−メチルシクロペンチルマグネシウムクロライド、1−メチルシクロペンチルマグネシウムブロマイド、1−メチルシクロペンチルマグネシウムアイオダイド;1−メチルシクロヘキシルマグネシウムクロライド、1−メチルシクロヘキシルマグネシウムブロマイド、1−メチルシクロヘキシルマグネシウムアイオダイド;1−エチルシクロヘキシルマグネシウムクロライド、1−エチルシクロヘキシルマグネシウムブロマイド、1−エチルシクロヘキシルマグネシウムアイオダイド、ならびにo−トリルマグネシウムクロライド、o−トリルマグネシウムブロマイド、o−トリルマグネシウムアイオダイド;2,3−キシリルマグネシウムクロライド、2,3−キシリルマグネシウムブロマイド、2,3−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,4−キシリルマグネシウムクロライド、2,4−キシリルマグネシウムブロマイド、2,4−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,5−キシリルマグネシウムクロライド、2,5−キシリルマグネシウムブロマイド、2,5−キシリルマグネシウムアイオダイド;2,6−キシリルマグネシウムクロライド、2,6−キシリルマグネシウムブロマイド、2,6−キシリルマグネシウムアイオダイド;メシチルマグネシウムクロライド、メシチルマグネシウムブロマイド、メシチルマグネシウムアイオダイド;1−ナフチルマグネシウムクロライド、1−ナフチルマグネシウムブロマイドあるいは1−ナフチルマグネシウムアイオダイドが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明方法に用いられる一般式(XXIII)のアルコールR3OHは、第1級または第2級アルキルアルコールまたはシクロアルキルアルコールもしくはアラルキルアルコールである。
一般式(XXIII)のアルコールのうち、アルキルアルコール(アルカノール)は、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールなどであることができる。シクロアルキルアルコールは、例えばシクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコールであることができ、またアラルキルアルコールの例には、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等が挙げられる。
さらに、第4の本発明方法に用いられる次の一般式(XXIV)
〔式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基、アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテル(前記のエポキシ化合物)において、R4が水素原子またはアルキル基である場合、一般式(XXIV)の化合物はアルキレンオキサイドであり、すなわち末端にエポキシ基を有するエポキシ化合物である。このアルキレンオキサイドはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等であることができる。
また、一般式(XXIV)のエポキシ化合物においてR4がアルコキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である場合、一般式(XXIV)のエポキシ化合物はグリシジルエーテルである。このグリシジルエーテルは例えばブチルグリシジルエーテル、グリシジルメチルエーテル等のグリシジルエーテルであることができる。グリシジルエーテルの別例には、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル;アリル(allyl)グリシジルエーテル;グリシジルフェニルエーテルがある。
前述したとおり、第4の本発明方法においては、一般式(XXI)のクロロシラン化合物に一般式(XXII)のグリニャール試薬を反応させるが、その反応をさせるのに際して、一般式(XXIII)のアルコールあるいは一般式(XXIV)のエポキシ化合物(詳しくは、アルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテル)を加えて反応に関与させることから成るものである。
第4の本発明方法は、下記の(i)〜(ii)に説明される実施方法(A)または実施方法(B)に従って実施できる。
(i)その実施方法(A)においては、一般式(XXII)のグリニャール試薬に一般式(XXIII)のアルコール、あるいは一般式(XXIV)のエポキシ化合物、すなわちアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させ、得られた反応混合物に一般式(XXI)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを加えて反応に関与させるものである。この実施方法(A)では、この場合、一般式(XXI)のクロロシラン化合物の1モル当りに一般式(XXIII)のアルコールあるいは一般式(XXIV)のエポキシ化合物0.5〜2モル、好ましくは0.5〜1.5モルの割合で使用して加えて反応させるのが好ましい。また、この一般式(XXII)のグリニャール試薬は、一般式(XXI)のクロロシラン化合物の1モル当りに1〜10モル、好ましくは2〜5モルの割合で使用し、存在させて反応させるのが好ましい。
また、この実施方法(A)では、前記のとおり、一般式(XXII)のグリニャール試薬に一般式(XXIII)のアルコールまたは一般式(XXIV)のエポキシ化合物(すなわちアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテル)を加えて反応させるが、ここで得られる反応混合物中には、一般式(XXII)のグリニャール試薬と一般式(XXIII)のアルコールとの反応により次の一般式(XXVIa)
〔式中、R3とXは前記の意味をもつ〕のアルコキシ−、シクロアルキルオキシ−またはアラルキルオキシ−マグネシウムハライドが中間体として生成されるか、もしくは一般式(XXII)のグリニャール試薬と一般式(XXIV)のエポキシ化合物との反応により次の一般式(XXVIb)
〔式中、RとR4とXは前記の意味をもつ〕の2−置換−エトキシ−マグネシウムハライドが中間生成物として生成される。
このように中間生成物として生成された一般式(XXVIa)または一般式(XXVIb)のアルコキシ置換マグネシウムハライド化合物は、さらに一般式(XXI)のクロロシラン化合物と反応して、該クロロシラン化合物のクロロ基の1つが基R3O−または基R4−CHR−CH2−O−で置き代えられたクロロシラン誘導体を生成する。ここで中間体として生成された該クロロシラン誘導体は次の一般式(XXVIIa)
〔式中、R1、R2、R3,x,yは前記の意味をもつ〕のオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランであるか、あるいは次の一般式(XXVIIb)
〔式中、R、R1、R2、R4,x,yは前記の意味をもつ〕で示されるオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(2−置換エトキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランである。
中間体として生成した前記の一般式(XXVIIa)または(XXVIIb)のトリ、ジまたはモノクロロシラン誘導体の中の残りのクロロ基は、更に、一般式(XXII)のグリニャール試薬に対して、前記の第1および第2の発明方法と同様に反応する。このグリニャール反応によって、第4の本発明方法で目的生成物とされる一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノアルコキシシランが生成される。また、本実施方法(A)では、反応系に存在させられた一般式(XXII)のグリニャール試薬は、後に添加された一般式(XXI)のクロロシラン化合物の中の1個〜2個のクロロ基に対しても直接に反応することができ、これにより、第2級アルキル基または第3級アルキル基またはシクロアルキル基またはアリール基であるRを1〜2個含有するクロロシラン誘導体を生成する別のルートの反応も並行的に進行するのであり、さらにその他の種々な副反応も並行的に進行する。
(ii)他方、第4の本発明方法の実施方法(B)においては、一般式(XXII)のグリニャール試薬と、一般式(XXI)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランとを反応させ、得られた反応混合物に一般式(XXIII)のアルコール、あるいは一般式(XXIV)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応に関与させるものである。
この実施方法(B)において、この場合も、一般式(XXII)のグリニャール試薬は、一般式(XXI)のクロロシラン化合物の1モル当りに1〜10モル、好ましくは2〜5モルの割合で使用し存在させられて反応するようにする。一般式(XXIII)のアルコールまたは一般式(XXIV)のエポキシ化合物は、一般式(XXI)のクロロシラン化合物の1モル当りに0.5〜2モル、好ましくは0.5〜1.5モルの割合で使用、加えられて反応に関与させられる。
この実施方法(B)では、一般式(XXII)のグリニャール試薬に一般式(XXI)のクロロシラン化合物を加えて反応させるか、あるいは一般式(XXI)のクロロシラン化合物に一般式(XXII)のグリニャール試薬を加えて反応させることができる。、ここで得られる反応混合物中には、一般式(XXII)のグリニャール試薬と一般式(XXI)のクロロシラン化合物との直接な反応により中間反応生成物として形成されたクロロシラン誘導体が生成される。次いで、該反応混合物に一般式(XXIII)のアルコールまたは一般式(XXIV)のエポキシ化合物を加えると、該反応混合物中に未反応のまま残留する一般式(XXII)のグリニャール試薬に対して反応するものと推測される。これにより、実施方法(A)で生成したと同様な前記一般式(XXVIa)または(XXVIb)のアルコキシ−マグネシウムハライドが生成され、これが更に、一般式(XXI)のクロロシラン化合物と反応し、これにより一般式(XXVIIa)または(XXVIIb)のクロロシラン誘導体が生成されるものと推測される。そして、種々なルートのグリニャール反応を経て、第4の本発明方法で目的生成物とされた一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノアルコキシシランが生成される。
第4の本発明方法においては、実施方法(A)と実施方法(B)との何れの場合にも、その方法の反応は、エーテル系溶媒、あるいはエーテル系溶媒と非プロトン性有機溶媒との混合溶媒中で行う。エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒等が使用される。また、該反応は0〜150℃、好ましくは30〜150℃の温度範囲で行うのがよい。また、反応系に酸素が存在すると、グリニャール試薬が酸素と反応して収率低下の原因となるので、該反応は、窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気で行うことが好ましい。
第4の本発明方法において、グリニャール試薬との反応は通常のように1〜24時間行って、終了させる。その後、反応終了後の最終の反応混合物へ塩化アンモニウム飽和水溶液あるいは希硫酸の適当量を混合させると、沈析した無機マグネシウム塩を塩化アンモニウム水溶液または希硫酸中に溶解できる。水性層から有機層を分離し、この有機層を常圧または減圧下に分別蒸留(すなわち精留)すると、所望とされる一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノ(2−置換または非置換アルコキシ、あるいはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランよりなる留分を回収できる。
なお、一般式(XXII)のグリニャール試薬として、tert−ブチル基のようなきわめて嵩高な第3級アルキル基を含有するグリニャール試薬を使用して反応を行う場合には、長時間にわたり反応を行っても、所望の第3級アルキル基でトリ置換されたモノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランが極めて低い収率でしか得られないこともある。
第4の本発明方法で製造された一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランは、次の一般式((XVa−1)
(式中、R1、R2およびR、ならびにxおよびyはそれぞれ前記の式(XXI)、(XXII)、(XXIII)に定義された意味をもち、R7は前記の式(XXIII)のR3と同じ意味をもつか、あるいはR7は−CH2−CH(R)−R4(但しRとR4は先に定義された意味をもつ)の基である)としても表示できる。
第4の本発明方法で製造された一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シラン誘導体の具体例には、トリイソプロピルメトキシシラン、トリイソプロピルエトキシシラン、トリイソプロピルイソプロポキシシラン、トリイソプロピル−n−ブトキシシラン、トリイソプロピル−3−メチルブトキシシラン、トリイソプロピルベンジルオキシシラン、トリ−sec−ブチルメトキシシラン、トリ−sec−ブチルエトキシシラン、トリ−sec−ブチルイソプロポキシシラン、トリ−sec−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブチル−3−メチルペンチルオキシシラン、トリ−sec−ブチルベンジルオキシシランが挙げられ、またトリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、トリシクロヘキシルイソプロポキシシラン、トリシクロヘキシル−n−ブトキシシラン、トリシクロヘキシル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、トリシクロヘキシルベンジルオキシシランが挙げられ、さらにトリ−o−トリルメトキシシラン、トリ−o−トリルエトキシシラン、トリ−o−トリルイソプロポキシシラン、トリ−o−トリル−n−ブトキシシラン、トリ−o−トリル−2−o−トリルエトキシシラン、トリ−o−トリルベンジルオキシシランならびにジイソプロピルメチルメトキシシラン、ジイソプロピルメチルエトキシシラン、ジイソプロピルメチルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルメチル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルメチル−3−メチルブトキシシラン、ジイソプロピルメチルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルビニルメトキシシラン、ジイソプロピルビニルエトキシシラン、ジイソプロピルビニルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルビニル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルビニル−3−メチルブトキシシラン、ジイソプロピルビニルベンジルオキシシラン、ジイソプロピルフェニルメトキシシラン、ジイソプロピルフェニルエトキシシラン、ジイソプロピルフェニルイソプロポキシシラン、ジイソプロピルフェニル−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルフェニル−3−メチルブトキシシラン、ジイソプロピルフェニルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルメチル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルメチル−3−メチルペンチルオキシシラン、ジ−sec−ブチルメチルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルビニル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルビニル−3−メチルペンチルオキシシラン、ジ−sec−ブチルビニルベンジルオキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルメトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニル−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニル−3−メチルペンチルオキシシラン、ジ−sec−ブチルフェニルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルメチルメトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルエトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルメチル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルメチル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、ジシクロヘキシルメチルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルビニルメトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルエトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルビニル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルビニル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、ジシクロヘキシルビニルベンジルオキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルメトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルエトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルフェニル−n−ブトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、ジシクロヘキシルフェニルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルメチルメトキシシラン、ジ−o−トリルメチルエトキシシラン、ジ−o−トリルメチルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルメチル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルメチル−2−o−トリルエトキシシラン、ジ−o−トリルメチルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルビニル−メトキシシラン、ジ−o−トリルビニルエトキシシラン、ジ−o−トリルビニルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルビニル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルビニル−2−o−トリルエトキシシラン、ジ−o−トリルビニルベンジルオキシシラン、ジ−o−トリルフェニルメトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルエトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルイソプロポキシシラン、ジ−o−トリルフェニル−n−ブトキシシラン、ジ−o−トリルフェニル−2−o−トリルエトキシシラン、ジ−o−トリルフェニルベンジルオキシシラン、イソプロピルジフェニルメトキシシラン、イソプロピルジフェニルエトキシシラン、イソプロピルジフェニルイソプロポキシシラン、イソプロピルジフェニル−n−ブトキシシラン、イソプロピルジフェニル−3−メチルブトキシシラン、イソプロピルジフェニルベンジルオキシシラン、sec−ブチルジフェニルメトキシシラン、sec−ブチルジフェニルエトキシシラン、sec−ブチルジフェニルイソプロポキシシラン、sec−ブチルジフェニル−n−ブトキシシラン、sec−ブチルジフェニル−3−メチルペンチルオキシシラン、sec−ブチルジフェニルベンジルオキシシラン、シクロヘキシルジフェニルメトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルイソプロポキシシラン、シクロヘキシルジフェニル−n−ブトキシシラン、シクロヘキシルジフェニル−2−シクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジフェニルベンジルオキシシラン、o−トリルジフェニルメトキシシラン、o−トリルジフェニルエトキシシラン、o−トリルジフェニルイソプロポキシシラン、o−トリルジフェニル−n−ブトキシシラン、o−トリルジフェニル−2−o−トリルエトキシシラン、o−トリルジフェニルベンジルオキシシラン、tert−ブチルジフェニルメトキシシラン、tert−ブチルジフェニルエトキシシラン、tert−ブチルジフェニルイソプロポキシシラン、tert−ブチルジフェニル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルジフェニル−3,3−ジメチルブトキシシラン、tert−ブチルジフェニルベンジルオキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルメトキシシラン、tert−ブチルフェニル−メチルエトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチルイソプロポキシシラン、tert−ブチルフェニルメチル−n−ブトキシシラン、tert−ブチルフェニルメチル−3,3−ジメチルブトキシシラン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
第4の本発明方法で製造できる生成物のうち、特にトリイソプロピル−モノアルコキシシラン、トリ−sec−ブチル−モノアルコキシシラン、トリシクロヘキシル−モノアルコキシシラン、tert−ブチルジメチル−モノアルコキシシランは、医薬品等の製造において生成される合成中間体の官能性水酸基を保護するためのシリル化剤であるところのトリオルガノ−クロロシランの合成用原料として有用であり、またその他の用途にも有用である。
第4の本発明の製造方法によると、取り扱いの難しいリチウム試薬の使用を要せずに、また、毒性の高い触媒の使用を要することもなく、前記の一般式(XXVa)の嵩高い炭化水素基を含有するトリオルガノ−モノ−アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシシラン化合物を簡便な反応操作により良い収率で製造することができる。
発明を実施するための最良の形態
次に、第1および第2の本発明方法を実施例1〜10および実施例43について具体的に説明する。
実施例1
(a)出発化合物のモノアルコキシトリクロロシランの調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた200ml容量の4ツ口フラスコにテトラクロロシラン(四塩化ケイ素)の102g(0.6モル)を仕込み、次にn−ブタノール44g(0.6モル)を内温10〜25℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物をその後60〜70℃で1時間加熱攪拌した。生成されたn−ブトキシトリクロロシランを含む反応溶液を得た。これを減圧下に精留(分別蒸留)した。沸点が66℃〜74℃/62mmHgの留分としてn−ブトキシトリクロロシラン(一般式(I)の化合物の一例)50gが得られた。この生成物をガスクロマトグラフィーで分析すると、純度は98%であった。
(b)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた別の1リットル容量の4ツ口フラスコに、金属マグネシウム16.0g(0.66モル)と、有機溶媒テトラヒドロフラン270mlと少量のヨウ素を仕込み、得られた混合物に窒素ガス雰囲気下でイソプロピルクロライド51.8g(0.66モル)を内温40〜50℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物をその後、50℃で1時間加熱攪拌し、生成されたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)を含む反応溶液を得た。
(c)グリニャール反応
上記(b)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のテトラヒドロフラン(THF)溶液に、先のn−ブトキシトリクロロシラン41.5g(0.2モル)を30〜40℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物に続いてトルエン150mlを添加して、得られた混合物を内温90℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行った。反応液に塩化アンモニウム飽和水溶液120mlを滴下してマグネシウム塩(MgCl2)を溶解した。得られた混合物を水性層と有機層とに分けた。有機層を蒸留して沸点が96℃〜103℃/12mmHgの留分として、42gのトリイソプロピル−n−ブトキシシランが得られた(収率90%)。
実施例2
実施例1、(b)で行われたグリニャール試薬の調製に用いられたイソプロピルクロライドに代えてsec−ブチルクロライド61.1g(0.66モル)を用いてグリニャール試薬を調製した。得られたsec−ブチルマグネシウムクロライドを実施例1(b)と同様にn−ブトキシトリクロロシラン105g(0.2モル)とグリニャール反応させた。沸点が106℃〜108℃/3mmHgの留分として、49gのトリ−sec−ブチル−n−ブトキシシランが得られた(収率88%)。
実施例3
(a)グリニャール試薬の調製
500mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、該フラスコに金属マグネシウム16.0g(0.66モル)、有機溶媒テトラヒドロフラン(THF)270mlおよび少量のヨウ素を仕込んだ。得られた混合物へ窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド51.8g(0.66モル)を1時間かけて滴下した。滴下中は、フラスコ中の反応混合物の温度を40〜50℃に保った。その後、反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
(b)出発化合物のモノアルコキシトリクロロシランの調製
別の1リットルの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、このフラスコにテトラクロロシラン34.0g(0.2モル)を仕込み、これにメタノール6.4g(0.2モル)を1時間かけて滴下した。滴下中はフラスコ内の混合物を10〜25℃に保った。その後、フラスコ内の反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌した。生成されたメトキシトリクロロシランを含む反応溶液を得た。
(c)グリニャール反応
上記(a)で調製したイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を滴下ロートから30〜40℃で1時間かけて上記(b)で得た反応溶液であるメトキシトリクロロシランを含む溶液へ滴下した。得られた混合物へ続いてトルエン150mlを添加して、内温90℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行った。得られた反応液に塩化アンモニウム飽和水溶液120mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。水性層から分離して有機層を減圧下に分別蒸留して沸点が85℃〜86℃/20mmHgの留分として、27gのトリイソプロピルメトキシシランが得られた(収率70%)。
実施例4
実施例3、(b)で用いたメタノールの代わりに、エチレンオキサイド8.8g(0.2モル)を用いて実施例3、(b)と同様にテトラクロロシラン34.0gに反応させた。2−クロロエトキシトリクロロシランを含む反応溶液を得た。次に、実施例3、(c)と同様にしてイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を加えてグリニャール反応を行った。反応液を実施例3、(c)と同様に後処理し、有機層を蒸留して沸点118℃〜120℃/5mmHgの留分として、48gのトリイソプロピル−2−クロロエトキシシランが得られた(収率71%)。
実施例5
実施例3、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、sec−ブチルクロライド61.1g(0.66モル)を用いて、これをTHF中で金属マグネシウム16.0gと実施例3、(a)と同様にして反応させた。sec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。このグリニャール試薬のTHF溶液を実施例3、(b)で調製したメトキシトリクロロシランの溶液に実施例3、(c)と同様に滴下してグリニャール反応を行った。
得られたグリニャール反応液を塩化アンモニウム飽和水溶液で実施例3、(c)と同様に後処理した。水性層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、88℃〜91℃/5mmHgの留分として、32gのトリ−sec−ブチルメトキシシランが得られた(収率68%)。
実施例6
実施例3、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、シクロヘキシルクロライド78.3g(0.66モル)を用いて、これをTHF中で金属マグネシウム16.0gと実施例3、(a)と同様にして反応させた。シクロヘキシルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
また、実施例3、(b)で用いたメタノールに代えてn−ブタノール14.8g(0.2モル)を用いて、これをn−ブタノールをテトラクロロシラン34.0gと実施例3、(b)と同様にして反応させた。n−ブトキシトリクロロシランの溶液を得た。
上記で得たシクロヘキシルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を、上記で得たn−ブトキシトリクロロシラン溶液へ実施例3、(c)と同様に滴下して、グリニャール反応を行った。
得られたグリニャール反応液を塩化アンモニウム飽和水溶液で実施例3、(c)と同様に後処理した。水性層から有機層を分離した。この有機層から減圧下に溶媒を留去してトリシクロヘキシル−n−ブトキシシランの粗結晶を得た。ヘキサンで再結晶すると47gのトリシクロヘキシル−n−ブトキシシランが得られた(収率65%)。
実施例7
実施例3、(a)で用いた金属マグネシウム16.0g(0.66モル)を10.7g(0.44モル)に、THF270mlを180mlに、イソプロピルクロライド51.8g(0.66モル)を34.6g(0.44モル)にそれぞれ減量して用いて、実施例3、(a)と同様に反応させ、これによってイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
また、実施例3、(b)で用いたテトラクロロシランに代えてメチルトリクロロシラン29.9g(0.2モル)を用いて、メチルトリクロロシランを実施例3、(b)と同様にしてメタノールと反応させた。メチルメトキシジクロロシランの溶液を得た。
上記で得たイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を、上記で得たメチルメトキシジクロロシラン溶液へ実施例3、(c)と同様にして滴下し、グリニャール反応を行った。得られた反応液を実施例3、(c)で用いた塩化アンモニウム飽和水溶液120mlを80mlに減量して用いて、同様に後処理し、分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、沸点55℃〜56℃/43mmHgの留分として、26gのジイソプロピルメチルメトキシシランが得られた(収率78%)。
実施例8
実施例5で用いた金属マグネシウム16.0g(0.66モル)を10.7g(0.44モル)に、THF270mlを180mlにsec−ブチルクロライドを40.8g(0.44モル)にそれぞれ減量して用い、これを実施例3、(a)と同様に反応させ、これによってsec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
実施例7で得たメチルメトキシジクロロシラン溶液に対して、上記のsec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を実施例3、(c)と同様にして滴下し、グリニャール反応を行った。得られた反応液を実施例3、(c)で用いた塩化アンモニウム飽和水溶液120mlを80mlに減量して用いて、同様に後処理し、分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、沸点76℃〜78℃/16mmHgの留分として、31gのジ−sec−ブチルメチルメトキシシランが得られた(収率80%)。
実施例9
実施例6で用いた金属マグネシウム16.0g(0.66モル)を10.7g(0.44モル)に、THF270mlを180mlに、シクロヘキシルクロライド78.3g(0.66モル)を52.2g(0.44モル)にそれぞれ減量して用いて、これを実施例6と同様に反応させ、シクロヘキシルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
実施例7で得られたメチルメトキシジクロロシランの溶液に対して、上記のシクロヘキシルマグネシウムクロライドのTHF溶液を実施例3、(C)と同様に滴下し、グリニャール反応を行った。得られた反応液に、実施例13(C)で用いた塩化アンモニウム飽和水溶液120mlを80mlに減量して用いた以外は、実施例13、(C)と同様に後処理を行い、分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、沸点128℃〜129℃/7mmHgの留分として、39gのジシクロヘキシルメチルメトキシシランが得られた(収率80%)。
実施例10
(a)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた200mlの4ツ口フラスコに金属マグネシウム5.3g(0.22モル)、テトラヒドロフラン(THF)90mlと少量のヨウ素を仕込み、窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド17.3g(0.22モル)を40〜50℃で1時間かけて滴下した。その後、得られた反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、イソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
(b)不均化反応によるオルガノ置換モノアルコキシクロロシランの調製
500mlの4ツ口フラスコにジイソプロピルジクロロシラン18.5g(0.1モル)とジイソプロピルジメトキシシラン17.6g(0.1モル)とを仕込み、得られた混合物を20〜30℃で1時間攪拌した。不均化反応が起こり、ジイソプロピルモノメトキシクロロシランと未反応のジイソプロピルジクロロシランと未反応のジイソプロピルジメトキシシランとよりなる混合物が得られた。
(c)グリニャール反応
上記の(b)の不均化反応で得られたジイソプロピルメトキシクロロシラン含有のシラン混合物にトルエン150mlを加えて溶解し、該混合物のトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液に対して、上記の(a)で調製したイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を滴下ロートから40〜50℃で1時間かけて滴下した。この後、得られた混合物を70℃で4時間攪拌した。このグリニャール試薬は、該トルエン溶液中に含まれたジイソプロピルメトキシクロロシランと反応して、トリイソプロピルメトキシシランを生成できた。得られた反応液に塩化アンモニウム飽和水溶液40mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。水性層から有機層を分離し、さらに蒸留すると、85℃〜86℃/20mmHgの留分として、28gのトリイソプロピルメトキシシランが得られた。収率は73%だった。
以下、第3の本発明によるトリオルガノモノクロロシランの製造を実施例11〜31について詳細に説明する。
実施例11
500mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、トリエチルメトキシシラン29.3g(0.2モル)を仕込んだ。このフラスコ中に、35%塩酸400gを加えた。得られた混合物を20℃で10時間攪拌して反応を行った。得られた反応混合物を水層と有機層とに分けた。有機層を蒸留して142℃〜144℃の留分として、28gのトリエチルクロロシランが得られた(収率90%)。
実施例12
500mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、tert−ブチルジメチルメトキシシラン29.3g(0.2モル)を仕込んだ。このフラスコ中に、35%塩酸400gを加え得られた混合物を20℃で5時間攪拌して反応を行った。結晶が析出したのでこれを濾取した。得られ結晶を常圧で蒸留して125℃の留分として29gのtert−ブチルジメチルクロロシランが得られた(収率95%)。
実施例13
500mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、トリイソプロピルメトキシシラン37.7g(0.2モル)を仕込んだ。このフラスコ中に、35%塩酸150gを加え、得られた混合物を20℃で10時間攪拌して反応を行った。得られた混合物を水層と有機層とに分けた。有機層を蒸留して78℃〜80℃/10mmHgの留分として、38gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率99%)。
実施例14
トリイソプロピルメトキシシランの代わりにトリイソプロピル−n−ブトキシシラン83.3g(0.2モル)を用いて、実施例3と同様にして35%塩酸と反応させた。38gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率99%)。
実施例15
(a)モノアルコキシトリクロロシランの調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた200ml容量の4ツ口フラスコにテトラクロロシラン(四塩化ケイ素)の102g(0.6モル)を仕込み、次にn−ブタノール44g(0.6モル)を内温10〜25℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物をその後60〜70℃で1時間加熱攪拌した。生成されたn−ブトキシトリクロロシランを含む反応溶液を得た。これを減圧下に精留(分別蒸留)した。沸点が66℃〜74℃/62mmHgの留分としてn−ブトキシトリクロロシラン50gが得られた。この生成物をガスクロマトグラフィーで分析すると、純度は98%であった。
(b)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた別の1リットル容量の4ツ口フラスコに金属マグネシウム16.0g(0.66モル)と有機溶媒テトラヒドロフラン270mlと少量のヨウ素を仕込み、得られた混合物に窒素ガス雰囲気下でイソプロピルクロライド51.8g(0.66モル)を内温40〜50℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物をその後、50℃で1時間加熱攪拌し、生成されたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)を含む反応溶液を得た。
(c)グリニャール反応
上記(b)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のテトラヒドロフラン(THF)溶液に、先の(a)で得たn−ブトキシトリクロロシラン41.5g(0.2モル)を30〜40℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物に続いてトルエン150mlを添加して、得られた混合物を内温90℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行った。
反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液120mlを滴下してマグネシウム塩(MgCl2)を溶解した。得られた混合物の水層を有機層から分離してトリイソプロピル−n−ブトキシシランを含む有機層を得た。
(d)トリオルガノクロロシランの合成(第3の本発明方法による)
上記(c)で得られたトリイソプロピル−n−ブトキシシランを含む反応溶液に、35%塩酸150gを加え、20℃で10時間攪拌下に反応させた。得られた反応液を水層と有機層とに分けた。有機層を蒸留して78℃〜80℃/10mmHgの留分として、35gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率89%)。
実施例16
実施例15、(b)で行われたグリニャール試案の調製において用いられたイソプロピルクロライドに代えて、sec−ブチルクロライド61.1g(0.66モル)を用いてグリニャール試薬を調製した。得られたsec−ブチルマグネシウムクロライドを実施例15、(c)と同様にn−ブトキシトリクロロシラン41.5g(0.2モル)とグリニャール反応させた。生成されたトリ−sec−ブチル−n−ブトキシシランを含む反応液を実施例15、(c)と同様に後処理し、トリ−sec−ブチル−n−ブトキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例5、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、93℃〜95℃/5mmHgの留分として41gのトリ−sec−ブチルクロロシランが得られた(収率86%)。
実施例17
(a)グリニャール試薬の調製
500ml容量の4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、該フラスコに金属マグネシウム16.0g(0.66モル)、有機溶媒テトラヒドロフラン(THF)270mlおよび少量のヨウ素を仕込んだ。得られた混合物へ窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド51.8g(0.66モル)を1時間かけて滴下した。滴下中は、フラスコ中の反応混合物の温度を40〜50℃に保った。その後、反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
(b)出発化合物のモノアルコキシトリクロロシランの調製
別の1リットルのフラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、このフラスコにテトラクロロシラン34.0g(0.2モル)を仕込み、これにメタノール6.4g(0.2モル)を1時間かけて滴下した。滴下中は、フラスコ中の反応混合物の温度を10〜25℃に保った。その後、フラスコ内の反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌した。生成されたメトキシトリクロロシランを含む反応溶液を得た。
(c)グリニャール反応
上記(a)で調製したイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を、滴下ロートから30〜40℃で1時間かけて、上記(b)で得た反応溶液であるメトキシトリクロロシランを含む溶液へ滴下した。得られた混合物へ続いてトルエン150mlを添加して、内温90℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行った。
得られた反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液120mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。得られた混合物の水層を有機層から分離してトリイソプロピルメトキシシランを含む有機層を得た。
(d)トリオルガノクロロシランの合成(本発明方法による)
上記(c)で得られた有機層中のトリイソプロピルメトキシシランを実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留した。78℃〜80℃/10mmHgの留分として27gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率69%)。
実施例18
実施例17、(b)で用いたメタノールの代わりに、エチレンオキサイド8.8g(0.2モル)を用いて実施例17、(b)と同様にテトラクロロシラン34.0gに反応させた。2−クロロエトキシトリクロロシランを含む反応溶液を得た。次に、実施例17、(c)と同様にしてイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を加えてグリニャール反応を行った。反応溶液を実施例17、(c)と同様に後処理して、トリイソプロピル−2−クロロエトキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留した。78℃〜80℃/10mmHgの留分として28gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率70%)。
実施例19
実施例17、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、シクロヘキシルクロライド78.3g(0.66モル)を用いて、実施例17、(a)と同様にして反応させた。シクロヘキシルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
このグリニャール試薬のTHF溶液を、実施例17、(b)で調製したメトキシトリクロロシランの溶液に実施例17、(c)と同様に滴下してグリニャール反応を行った。得られたグリニャール反応溶液を塩化アンモニウム飽和水溶液で実施例17、(c)と同様に後処理してトリシクロヘキシルメトキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に濃縮し、得られち結晶をヘキサンで再結晶して41gのトリシクロヘキシルモノクロロシランが得られた(収率64%)。
実施例20
実施例17、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、tert−ブチルクロライド20.4g(0.22モル)を用いて、これをTHF90ml中で金属マグネシウム5.3g(0.22モル)と実施例17、(a)と同様にして反応させた。tert−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
また、実施例17、(b)で用いたテトラクロロシランに代えて、ジメチルジクロロシラン25.8g(0.2モル)を用いて、ジメチルジクロロシランを実施例17、(b)と同様にしてメタノールと反応させた。ジメチルメトキシクロロシランの溶液を得た。
上記で得たtert−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を、上記で得たジメチルメトキシクロロシランの溶液へ実施例17、(c)と同様に滴下してグリニャール反応を行った。得られた反応液を実施例17、(c)で用いた飽和塩化アンモニウム水溶液120mlを40mlに減量して用いる以外は同様に後処理してtert−ブチルジメチルメトキシシラン含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)に用いた35%塩酸を300gに増量して、実施例15、(d)と同様にして反応させた。水層から分離された有機層を常圧で分別蒸留すると、124〜125℃の留分として15gのtert−ブチルジメチルクロロシランが得られた(収率60%)。
実施例21
(a)不均化反応によるオルガノ置換モノアルコキシクロロシランの調製
500mlの4ツ口フラスコにジメチルジクロロシラン12.9g(0.1モル)とジメチルジメトキシシラン12.0g(0.1モル)を仕込み、得られた混合物を20℃〜30℃で1時間攪拌した。不均化反応が起こり、ジメチルメトキシクロロシランが生成され、ここで生成されたジメチルメトキシクロロシランと未反応のジメチルジクロロシランと未反応のジメチルジメトキシシランとよりなる混合物が得られた。
(b)グリニャール反応
上記の(a)の不均化反応で得られたジメチルメトキシクロロシラン含有のシラン混合物にトルエン150mlを加えて溶解し、該混合物のトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液に対して、実施例20で調製したtert−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を、滴下ロートから40℃〜50℃で1時間かけて滴下した。この後、得られた混合物を70℃で4時間攪拌した。このグリニャール試薬は、該トルエン溶液中に含まれたジメチルメトキシクロロシランと反応して、これによりtert−ブチルジメチルメトキシシランを生成できた。
得られた反応液に、塩化アンモニウム飽和水溶液40mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。得られた混合物の水層を有機層から分離してtert−ブチルジメチルメトキシシランを含む有機層を得た。
(c)トリオルガノクロロシランの合成(第3の本発明方法による)
上記(b)で得られたtert−ブチルジメチルメトキシシランを含む反応溶液に35%塩酸300gを加え、20℃で10時間攪拌した。得られた混合物を水層と有機層とに分けた。有機層を常圧で分別蒸留すると、124〜125℃の留分として、15gのtert−ブチルジメチルクロロシランが得られた(収率60%)。
実施例22
(a)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた1リットル容量の4ッ口フラスコに金属マグネシウム21.4g(0.88モル)、と有機溶媒テトラヒドロフラン360mlと少量のヨウ素を仕込み、得られた混合物に窒素ガス雰囲気下でイソプロピルクロライド69.1g(0.88モル)を内温40〜50℃Cで1時間かけて滴下した。得られた反応混合物をその後、50℃で1時間加熱攪拌し、生成されたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)を含む反応溶液を得た。
(b)マグネシウムアルコキシド混合物溶液の調製
上記(a)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液にメタノール6.4g(0.2モル)を内温20〜30℃で30分かけて滴下した。生成されたメトキシマグネシウムクロライドと未反応のイソプロピルマグネシウムクロライドの混合物溶液を得た。
(c)グリニャール反応
上記(a)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライドとメトキシマグネシウムクロライドの混合物溶液に、テトラクロロシラン34.0g(0.2モル)を滴下ロートから内温30〜40℃で1時間かけて滴下し反応させた。得られた混合物を内温75℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行った。反応液に塩化アンモニウム飽和水溶液160mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。得られた混合物の水層を有機層から分離してトリイソプロピルメトキシシランを含む有機層を得た。
(d)トリオルガノクロロシランの合成(第3の本発明方法による)
上記(c)で得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、78℃〜80℃/10mmHgの留分として、24gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率60%)。
実施例23
(a)グリニャール反応およびアルコキシ化反応
実施例22、(a)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液にテトラクロロシラン34.0g(0.2モル)を滴下ロートから内温30〜40℃で1時間かけて滴下した。得られた混合物に続いてメタノール6.4g(0.2モル)を滴下ロートから内温30〜40℃で30分かけて滴下した。得られた混合物に続いてトルエン220mlを添加して得られた混合物を内温90℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行った。
反応液に塩化アンモニウム飽和水溶液160mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。得られた混合物の水層を有機層から分離してトリイソプロピルメトキシシランを含む有機層を得た。
(b)トリオルガノクロロシランの合成(第3の本発明方法による)
上記(a)で得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、78℃〜80℃/10mmHgの留分として、24gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率60%)。
実施例24
実施例22、(b)で用いたメタノールの代わりに、イソプロパノール12.0g(0.2モル)を用いて実施例22、(b)と同様にイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液に反応させた。生成されたイソプロポキシマグネシウムクロライドと未反応のイソプロピルマグネシウムクロライドの混合溶液を得た。
得られた混合溶液に実施例22、(c)と同様にテトラクロロシランを反応させた。得られた反応溶液を実施例22、(c)と同様に後処理して、トリイソプロピルイソプロポキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、78℃〜80℃/10mmHgの留分として23gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率58%)。
実施例25
実施例22、(b)で用いたメタノールの代わりに、エチレンオキサイド8.8g(0.2モル)を用いて実施例22、(b)と同様にイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液に反応させた。生成された3−メチルブトキシマグネシウムクロライドと未反応のイソプロピルマグネシウムクロライドの混合溶液を得た。
得られた混合溶液に実施例22、(c)と同様にテトラクロロシランを反応させた。得られた反応溶液を実施例22、(c)と同様に後処理して、トリイソプロピル−3−メチルブトキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。分液後、有機層を減圧下に分別蒸留して、沸点が78℃〜80℃/10mmHgの留分として、23gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率58%)。
実施例26
実施例22、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、sec−ブチルクロライド81.5g(0.88モル)を用いて、これをTHF中で金属マグネシウムと実施例22、(a)と同様にして反応させた。sec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。得られたsec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液に実施例22、(b)と同様にメタノールに反応させた。
生成されたメトキシマグネシウムクロライドと未反応のsec−ブチルマグネシウムクロライド混合物の溶液を得た。得られた混合物溶液に実施例22、(c)と同様にテトラクロロシランを加え反応させた。得られた反応溶液を実施例22、(c)と同様に後処理して、トリ−sec−ブチルメトキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、93℃〜95℃/5mmHgの留分として26gのトリ−sec−ブチルクロロシランが得られた(収率54%)。
実施例27
実施例22、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、シクロヘキシルクロライド104.4g(0.88モル)を用いて、これをTHF中で金属マグネシウム16.0gと実施例17、(a)と同様にして反応させた。シクロヘキシルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
得られたシクロヘキシルマグネシウムクロライドのTHF溶液に、実施例23、(a)と同様にテトラクロロシランおよびメタノールを反応させた。得られた反応溶液を実施例23、(a)と同様に後処理して、トリシクロヘキシルメトキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に濃縮した。こうして得られた結晶をn−ヘキサンで再結晶して34gのトリシクロヘキシルクロロシランが得られた(収率55%)。
実施例28
実施例17、(a)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を実施例22、(b)と同様にメタノールと反応させ、生成されたメトキシマグネシウムクロライドと未反応のイソプロピルマグネシウムクロライドの混合溶液を得た。上記で得たメトキシマグネシウムクロライドとイソプロピルマグネシウムクロライドの混合物溶液に、実施例22、(c)で用いたテトラクロロシランに代えてメチルトリクロロシラン29.9g(0.2モル)を加えて、実施例22、(c)と同様に反応させた。得られた反応液を、実施例22、(c)で用いた飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを120mlに減量して同様に後処理して、ジイソプロピルメチルメトキシシランを含む有機層が得られた。
得られた有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、57℃〜59℃/43mmHgの留分として27gのジイソプロピルメチルクロロシランが得られた(収率80%)。
実施例29
実施例17、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、sec−ブチルクロライド61.1g(0.66モル)を用いて、これをTHF中で金属マグネシウムと実施例17、(a)と同様にして反応させた。sec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。得られたsec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液に実施例22、(b)と同様にメタノールに反応させた。生成されたメトキシマグネシウムクロライドと未反応のsec−ブチルマグネシウムクロライドの混合物溶液を得た。
上記で得たメトキシマグネシウムクロライドとsec−ブチルマグネシウムクロライドの混合物溶液に、実施例22、(c)で用いたテトラクロロシランに代えてメチルトリクロロシラン29.9g(0.2モル)を加えて、実施例22、(c)と同様に反応させた。得られた反応液を実施例22、(c)で用いた飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを120mlに減量して用いる以外は同様に後処理して、ジ−sec−ブチルメチルメトキシシランを含む有機層が得られた。
得られたジ−sec−ブチルメチルメトキシシランを含む有機層を実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、78℃〜81℃/16mmHgの留分として32gのジ−sec−ブチルメチルクロロシランが得られた(収率81%)。
実施例30
(a)トリオルガノ−ハイドロシラン化合物からのトリオルガノモノアルコキシシランの合成
300mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付け、該フラスコに28%ナトリウムメチラートメタノール溶液200gを仕込んだ。内温を60℃に加熱し、攪拌しながらこの中に、滴下ロートからトリイソプロピルハイドロシラン31.7g(0.2モル)を30分かけて滴下した。得られた混合物を還流させながら10時間攪拌下した。得られた反応混合物は、主としてナトリウムメチラートメタノール溶液からなる下層と、主としてトリイソプロピルメトキシシランからなる上層との2層に分かれた。下層を分離除去すると、トリイソプロピルメトキシシランを含む有機層の反応溶液が得られた。
(b)トリオルガノクロロシランの合成(第3の本発明方法による)
上記(a)で得られた有機層中のトリイソプロピルメトキシシランを実施例15、(d)と同様に35%塩酸と反応させた。水層から分離された有機層を減圧下に分別蒸留すると、78℃〜80℃/10mmHgの留分として、31gのトリイソプロピルクロロシランが得られた(収率80%)。
実施例31
実施例30、(a)で用いたトリイソプロピルシランに代えて、tert−ブチルジメチルシラン23.3g(0.2モル)を用いて、実施例30、(a)と同様に反応させた。tert−ブチルジメチルメトキシシランを含む反応溶液が得られた。
上記で得られたtert−ブチルジメチルメトキシシランを含む反応溶液に35%塩酸300gを加え、20℃で10時間攪拌した。生成したtert−ブチルジメチルクロロシランが結晶として析出したので濾過により水層と分けた。得られた結晶を常圧で蒸留すると124〜125℃の留分として24gのtert−ブチルジメチルクロロシランが得られた(収率78%)。
以下、第4の本発明を実施例32〜42について詳細に説明する。
なお、第4の本発明方法の実施方法(A)は、後記の実施例32〜39および実施例42により、またその実施方法(B)は後記の実施例40〜41により例示される。
実施例32
(a)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた1リットル容量の4ツ口フラスコに金属マグネシウム21.4g(0.88モル)、テトラヒドロフラン360mlと少量のヨウ素を仕込み、得られた混合物に窒素ガス雰囲気下でイソプロピルクロライド69.1g(0.88モル)を内温40〜50℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物をその後、50℃で1時間加熱攪拌し、生成されたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)を含む反応溶液を得た。
(b)メトキシマグネシウムクロライド含有の反応溶液の調製
上記(a)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のテトラヒドロフラン溶液に、メタノール6.4g(0.2モル)を20〜30℃で30分間かけて滴下により加えて反応させた(第4の本発明方法の実施方法Aによる)。これにより、グリニャール試薬とメトキシマグネシウムクロライドとを含む反応溶液を得た。
(c)グリニャール反応
上記(b)で得られたイソプロピルグリニャール試薬とメトキシマグネシウムクロライドを含むテトラヒドロフラン中の反応溶液に、四塩化ケイ素(すなわちテトラクロロシラン)34.0g(0.2モル)を30〜40℃で1時間かけて滴下により加えた。続いて加熱し、内温75℃で4時間攪拌して反応を続けた。反応の終了後に、得られた反応液をガスクロマトグラフィで分析したところ、トリイソプロピルメトキシシランが72%生成していた。
反応終了後に、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。その後、水性層から分けた有機層を蒸留して85℃〜86℃/20mmHgの留分を得た。23gのトリイソプロピルメトキシシランが得られた。(収率60%)。
実施例33
実施例32、(b)で用いたメタノールの代わりに、n−ブタノール14.8g(0.2モル)を用いて、実施例32、(b)と同様にイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のテトラヒドロフラン溶液にn−ブタノールを反応させた。イソプロピルマグネシウムクロライドとn−ブトキシマグネシウムクロライドとを含む反応溶液を得た。
次に該反応溶液へ実施例32、(c)と同様にして四塩化ケイ素を加えてグリニャール反応を行った。反応の終了後に、反応液を実施例32、(c)と同様に後処理し、得られた有機層を蒸留して沸点98℃〜102℃/12mmHgの留分として28gのトリイソプロピル−n−ブトキシシランが得られた(収率59%)。
実施例34
実施例32、(b)で用いたメタノールの代わりに、エチレンオキサイド8.8g(0.2モル)を用いて、実施例32、(b)と同様にイソプロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液にエチレンオキサイドを加え、反応させた。イソプロピルマグネシウムクロライドと3−メチルブトキシマグネシウムクロライドとを含む反応溶液を得た。
次に実施例32、(c)と同様にして、四塩化ケイ素を加えてグリニャール反応を行った。反応終了後に、反応液を実施例32、(c)と同様に後処理し、有機層を蒸留して沸点118℃〜120℃/5mmHgの留分として29gのトリイソプロピル−3−メチルブトキシシランが得られた(収率59%)。
実施例35
実施例32、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、sec−ブチルクロライド81.5g(0.88モル)を用いて、これをテトラヒドロフラン(THF)中で金属マグネシウム21.4g(0.88モル)、と実施例32、(a)と同様にして反応させた。sec−ブチルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
このグリニャール試薬のTHF溶液に、実施例32、(b)と同様にしてメタノールを加え、反応させてsec−ブチルマグネシウムクロライドとメトキシマグネシウムクロライドとを含む反応溶液を得た。
次に実施例32、(c)を同様にして四塩化ケイ素を加えてグリニャール反応を行った。反応の終了後に、反応液を実施例32、(c)と同様に後処理し、有機層を蒸留して沸点89℃〜91℃/5mmHgの留分として26gのトリ−sec−ブチルメトキシシランが得られた(収率55%)。
実施例36
実施例32、(a)で用いたイソプロピルクロライドの代わりに、シクロヘキシルクロライド104.4g(0.88モル)を用いて、これをTHF中で金属マグネシウム21.4g(0.88モル)、と実施例32、(a)と同様にして反応させた。シクロヘキシルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
このグリニャール試薬のTHF溶液に、実施例32、(b)で用いたメタノールの代わりにn−ブタノール14.8g(0.2モル)を用いて加えて、反応させた。シクロヘキシルマグネシウムクロライドとn−ブトキシマグネシウムクロライドとを含む反応溶液を得た。
この反応溶液に対して、次に実施例32、(c)を同様にして四塩化ケイ素を加えてグリニャール反応を行った。反応終了後に、反応液を実施例32、(c)と同様に後処理し、有機層を濃縮してトリシクロヘキシル−n−ブトキシシランの粗結晶を得た。ヘキサンで再結晶して40gのトリシクロヘキシル−n−ブトキシシランが得られた(収率55%)。
実施例37
実施例32、(a)で用いた金属マグネシウム21.4g(0.88モル)を16.0g(0.66モル)に、THF360mlを270mlに、イソプロピルクロライド69.1g(0.88モル)を51.8g(0.66モル)に減量して用いて、実施例32、(a)と同様に金属マグネシウムとイソプロピルクロライドを反応させ、イソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
次に実施例32、(b)と同様にしてメタノールを該反応溶液に加え、反応させ、イソプロピルマグネシウムクロライドとメトキシマグネシウムクロライドを含む反応溶液を得た。
これに、実施例32、(c)で用いた四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシラン29.9g(0.2モル)を加えてグリニャール反応を行った。反応終了後に、反応液を実施例32、(c)で用いた飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを120mlに減量して用いて同様に後処理し、有機層を蒸留して沸点55℃〜56℃/43mmHgの留分として27gのジイソプロピルメチルメトキシシランが得られた(収率81%)。
実施例38
実施例35で用いた金属マグネシウム21.4g(0.88モル)を16.0g(0.66モル)に、THF360mlを270mlに、sec−ブチルクロライド81.5g(0.88モル)を61.1g(0.66モル)に減量して用い、これを実施例32、(a)と同様に金属マグネシウムと反応させた。これによってsec−ブチルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
上記のsec−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液に実施例32、(b)と同様にしてメタノールを反応させて、sec−ブチルマグネシウムクロライドとメトキシマグネシウムクロライドとを含む反応溶液を得た。
次に、この反応溶液に対して、実施例32、(c)で用いた四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシラン29.9g(0.2モル)を加えてグリニャール反応を行った。反応終了後に、反応液を実施例32、(c)で用いた飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを120mlに減量して同様に後処理し、有機層を蒸留して沸点76℃〜78℃/16mmHgの留分として32gのジ−sec−ブチルメチルメトキシシランが得られた(収率82%)。
実施例39
実施例36で用いた金属マグネシウム21.4g(0.88モル)を16.0g(0.66モル)に、THF360mlを270mlに、シクロヘキシルクロライド104.4g(0.88モル)を78.3g(0.66モル)にそれぞれ減量して用い、これを実施例32、(a)と同様に金属マグネシウムと反応させ、これによってシクロヘキシルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
このシクロヘキシルマグネシウムクロライドのTHF溶液に実施例32、(b)と同様にしてメタノールを加えて反応させた。シクロヘキシルマグネシウムクロライドとメトキシマグネシウムクロライドとを含む反応溶液を得た。
次に、実施例32、(c)で用いた四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシラン29.9g(0.2モル)を加えてグリニャール反応を行った。反応液を実施例32、(c)で用いた飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを120mlに減量して用いて同様に後処理し、有機層を蒸留して沸点128℃〜129℃/7mmHgの留分として41gのジシクロヘキシルメチルメトキシシランが得られた(収率83%)。
実施例40
実施例32、(a)で用いたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液に四塩化ケイ素34.0g(0.2モル)を30〜40℃で1時間かけて滴下により加え、反応させた(第4の本発明方法の実施方法Bによる)。
得られた反応混合物に更にメタノール6.4g(0.2モル)を30〜40℃で30分かけて滴下により加えて反応させた。この混合物を内温75℃で4時間攪拌下に加熱して反応を進めた。得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、トリイソプロピルメトキシシランが73%生成していた。
この反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した後、有機層を蒸留して85℃〜86℃/20mmHgの留分を得た。23gのトリイソプロピルメトキシシランが得られた(収率61%)。
実施例41
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた1リットル容量の4ツ口フラスコに四塩化ケイ素34.0g(0.2モル)およびTHF200mlを仕込んだ。このフラスコ中に実施例32、(a)で用いたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を30〜40℃で1時間かけて滴下により加え、反応させた。
得られた反応混合物に更にメタノール6.4g(0.2モル)を30〜40℃で30分間かけて滴下により加えて反応させた(第4の本発明方法の実施方法Bによる)。この反応混合物を内温75℃で4時間攪拌して反応を進めた。
ここで得られた反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。その後に、有機層を分け取り、蒸留して85〜86℃/20mmHgの留分を得た。29gのトリイソプロピルメトキシシランが得られた(収率77%)。
実施例42
(a)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた500mlの4ツ口フラスコに金属マグネシウム11.7g(0.48モル)、テトラヒドロフラン(THF)200mlと少量のヨウ素を仕込み、窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド37.7g(0.48モル)を40〜50℃で1時間かけて滴下した。その後、得られた反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、生成されたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
(b)グリニャール反応
上記(a)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液に対して、テトラクロロシラン34.0g(0.2モル)を30〜40℃で1時間かけて滴下した。続いて加熱し、75℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行った。反応の終了後に、得られた反応液をガスクロマトグラフィで分析したところ、ジクロロジイソプロピルシランが76%生成していた。
(c)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた1リットルの4ツ口フラスコに金属マグネシウム4.9g(020モル)、テトラヒドロフラン(THF)80mlと少量のヨウ素を仕込み、窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド15.7g(0.20モル)を40〜50℃で1時間かけて滴下した。その後、得られた反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
(d)メトキシマグネシウムクロライド溶液の調製
上記(c)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液に、メタノール6.4g(0.2モル)を20〜30℃で30分かけて滴下し、メトキシマグネシウムクロライド溶液を得た。
(e)モノアルコキシジアルキルモノクロロシランの製造
上記(d)で得られたメトキシマグネシウムクロライド溶液に、上記(b)で得られたジクロロジイソプロピルシランを含む溶液を30〜40℃で1時間かけて滴下した。その後、反応混合物を75℃で4時間加熱攪拌して反応を行った。得られた反応液をガスクロマトグラフィで分析したところ、クロロジイソプロピルメトキシシランが74%生成していた。
(f)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた200mlの4ツ口フラスコに金属マグネシウム4.9g(0.20モル)、テトラヒドロフラン(THF)80mlと少量のヨウ素を仕込み、窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド15.7g(0.20モル)を40〜50℃で1時間かけて滴下した。得られた反応混合物をその後、50℃で1時間加熱攪拌し、イソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
(g)グリニャール反応
上記(e)で得られたクロロジイソプロピルメトキシシランを含む溶液に、上記(f)で得られたイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を30〜40℃で1時間かけて滴下した。その後、反応混合物を75℃で4時間加熱攪拌して反応を行った。得られた反応液をガスクロマトグラフィで分析したところ、トリイソプロピルメトキシシランが72%生成していた。
反応終了後に、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液160mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。分液後、有機層を減圧下に分別蒸留して沸点が85℃〜86℃/20mmHgの留分として、23gのトリイソプロピルメトキシシランが得られた。(収率60%)。
実施例43
(a)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた200mlの4ツ口フラスコに金属マグネシウム9.7g(0.40モル)、テトラヒドロフラン(THF)165mlと少量のヨウ素を仕込み、窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド31.4g(0.40モル)を40〜50℃で1時間かけて滴下した。その後、得られた反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、イソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を得た。
(b)グリニャール反応
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた1リットルの4ツ口フラスコにテトラクロロシラン34.0g(0.2モル)を仕込み、このテトラクロロシランに対して、上記(a)で調製したイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を30〜40℃で1時間かけて滴下した。得られた混合物へトルエン150mlを添加して、90℃で4時間攪拌してグリニャール反応を行い、ジクロロジイソプロピルシランを含む溶液を得た。
(c)モノアルコキシジアルキルモノクロロシランの製造
上記(b)で得られたジクロロジイソプロピルシランを含む溶液に対して、メタノール6.4g(0.2モル)を10〜25℃で1時間かけて滴下した。その後、得られた反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、クロロジイソプロピルメトキシシランを含む溶液を得た。
(d)グリニャール試薬の調製
攪拌装置、温度計、ジムロートを取り付けた200mlの4ツ口フラスコに金属マグネシウム6.3g(0.26モル)、テトラヒドロフラン(THF)105mlと少量のヨウ素を仕込み、窒素ガス雰囲気下にイソプロピルクロライド20.4g(0.26モル)を40〜50℃で1時間かけて滴下した。その後、得られた反応混合物を50℃で1時間加熱攪拌し、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液を得た。
(e)グリニャール反応
上記(c)で得られたクロロジイソプロピルメトキシシランを含む溶液に上記(d)で調製したイソプロピルマグネシウムクロライド(グリニャール試薬)のTHF溶液を30〜40℃で1時間かけて滴下した。その後、反応混合物を90℃で4時間加熱攪拌してグリニャール反応を行った。
得られた反応液に塩化アンモニウム飽和水溶液120mlを滴下してマグネシウム塩を溶解した。分液後、有機層を減圧下に分別蒸留して沸点が85℃〜86℃/20mm/Hgの留分として、27gのトリイソプロピルメトキシシランが得られた(収率70%)。
産業上の利用可能性
前記に説明したとおり、本発明のおいては、産業に有用であるトリオルガノ−モノアルコキシシランの新しい製法が提供され、また産業に有用であるトリオルガノ−モノクロロシランの新しい製法が提供された。第1〜第4の本発明による諸方法は産業に利用できる。
Claims (27)
- 次の一般式(I)
〔式中、R1は第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は第2級アルキル基、第3級アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基であるか、あるいは基−OR3は次式(A)
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基、またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基であり、xは0または1の整数を表し、yは0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数である〕で示されるオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランに、次の一般式(II)
(Rは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはRはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素または臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬を反応させることを特徴とする、一般式(III)
(式中、R1、R2、R3は前記の意味をもち、またRは前記の第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、さらにxおよびyは前記の意味をもつ整数を示す)で示されるところの、嵩高い炭化水素基Rを含有するトリオルガノモノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランの製造方法。 - 出発化合物として用いられる請求の範囲1に記載の一般式(I)のオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシラン(但し一般式(I)中の基−OR3が式(A)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基である場合を除く)は、次の一般式(IV)
(式中、R1およびR2は請求の範囲1で定義された意味をもち、またxおよびyは請求の範囲1に定義された意味をもつ整数である。)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(V)
(式中、R3は請求の範囲1で定義された第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコールと反応させて製造された化合物である、請求の範囲1に記載の方法。 - 出発化合物として用いられる請求の範囲1に記載の一般式(I)のオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランのうち、次の一般式(I’)
(式中、R1、R2、R4は請求の範囲1に定義された意味をもち、またxおよびyは請求の範囲1に定義された意味をもつ整数である)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ置換アルコキシ−トリ、ジまたはモノクロロシランは、次の一般式(IV)
(式中、R1、R2は請求の範囲1で定義された意味をもち、またxおよびyは請求の範囲1に定義された意味をもつ整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(VI)
〔式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基、またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルと反応させて製造された化合物である、請求の範囲1に記載の方法。 - 出発化合物として用いられる請求の範囲1に記載の一般式(I)のオルガノ非置換あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシラン(但し、一般式(I)中の基−OR3が式(A)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基である場合を除く)は、次の一般式(IV)
(式中、R1およびR2は請求の範囲1で定義された意味をもち、またxおよびyは請求の範囲1に定義された意味をもつ整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランに、次の一般式(VII)
〔式中、R1、R2およびR3は請求の範囲1に定義されたと同じ意味をもち、xは0または1の整数を表し、yは0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数であり、またzは2、3または4の整数を表すが但し2≦(x+y+z)≦4の範囲の整数である〕で示されるアルコキシシランを加えて、一般式(IV)のテトラクロロシランあるいはクロロシランと一般式(VII)のアルコキシシランとの間で不均化反応を行うことにより製造された化合物である、請求の範囲1に記載の方法。 - 製造された一般式(III)のトリオルガノモノアルコキシシランがトリイソプロピルモノアルコキシシランである、請求の範囲1に記載の方法。
- 製造された一般式(III)のトリオルガノモノアルコキシシランがトリ−sec−ブチルモノアルコキシシランである、請求の範囲1に記載の方法。
- 製造された一般式(III)のトリオルガノモノアルコキシシランがトリシクロヘキシル−モノアルコキシシランである、請求の範囲1に記載の方法。
- テトラクロロシランを無溶媒で、またはグリニャール反応に常用されるエーテル系溶媒中でまたは芳香族炭化水素系溶媒中で次の一般式(Va)
(式中、R3aは炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状アルキル基またはシクロアルキル基あるいはアラルキル基を示す)で示されるアルコール、あるいは次の一般式(VIa)
(式中、R4aは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4aは(C1〜C20)アルキルオキシメチレン基、(C2〜C10)アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)で示されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルと反応させ、これにより次の一般式(Ia)
(式中、R3aは前記と同じ意味をもつ炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基またはアラルキル基である)のモノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリクロロシラン、あるいは次の一般式(Ib)
〔式中、基R3bO−は次式(A’)
(但しR4aは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4aは(C1〜C20)アルキルオキシメチレン基、(C2〜C10)アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基を示す〕のモノ(2−置換または非置換−2−クロロエトキシ)−トリクロロシランを生成する第1工程と、第1工程で生成された一般式(Ia)のモノ(アルコキシまたはシクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリクロロシラン、または一般式(Ib)のモノ(2−置換または非置換−2−クロロエトキシ)−トリクロロシランを含む反応溶液に、次の一般式(II’)
(Raは第2級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはRaはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル基置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素または臭素または沃素原子を示す)のグリニャール試薬を加えて一般式(Ia)または一般式(Ib)の化合物とのグリニャール反応を行う第2工程とから成ることを特徴とする、一般式(IIIa)
(式中、R3aは前記と同じ意味をもつアルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基であり、Raは第2級アルキル基またはシクロアルキル基、あるいは前記のアルキル基置換の芳香族炭化水素基である)で示されるトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランあるいは一般式(IIIb)
(式中R4aは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4aは(C1〜C20)アルキルオキシメチレン基、(C2〜C10)アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基であり、Raは前記の第2級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル基置換の芳香族炭化水素を示す)で示されるトリオルガノ−モノ(2−置換または非置換2−クロロエトキシ)シランの製造方法。 - 次の一般式(XIa)
〔式中、R1、R2、R3はそれぞれ同じかもしくは相異なることができ、第1級、第2級または第3級アルキル基、あるいはシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基であるが但しR1、R2、R3はすべて同時にメチル基であることはなく、Z1は加水分解性基を示す〕で表されるトリオルガノシラン化合物、特に次の一般式(XIb)
〔式中、R1、R2はそれぞれ同じかもしくは相異なることができ、第1級、第2級または第3級アルキル基、あるいはシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基であるが、R3aは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基であるか、あるいはR3aは芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基であり、さらにZ2は第1級あるいは第2級アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基またはアラルキルオキシ基であるか、あるいはZ2は次式(A)
(式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基である)で示される2−置換または非置換2−クロロエトキシ基である〕で表される嵩高な炭化水素基R3aを含有するトリオルガノシラン化合物を、塩酸と反応させ、これにより次の一般式(XIIa)
〔式中、R1、R2、R3はそれぞれ前記と同じ意味をもつ〕で示されるトリオルガノモノクロロシラン、あるいは次の一般式(XIIb)
〔式中、R1、R2、R3aはそれぞれ前記と同じ意味をもつ〕で示されるトリオルガノモノクロロシランを生成することを特徴とする、一般式(XIIa)のトリオルガノモノクロロシランまたは一般式(XIIb)のトリオルガノモノクロロシランの製造方法。 - 一般式(XIa)のトリオルガノシラン化合物における加水分解性の基Z1は、置換または非置換アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アラルキルオキシ基、アシロキシ基、アミノ基、無機酸エステル残基、または擬ハロゲン基、特にシアノ基である、請求の範囲9に記載の方法。
- 反応に用いる塩酸は10重量%ないし37重量%の濃度の塩化水素を含有する塩化水素水溶液である、請求の範囲9に記載の方法。
- 塩酸との反応は−20℃〜100℃の温度、好ましくは−10℃ないし50℃の温度で行う、請求の範囲9に記載の方法。
- 出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物(但し一般式(XIb)中の基Z2が式(A)の2−置換または非置換−2−クロロエトキシ基である場合を除く)は、次の一般式(XIII)
(式中、R1およびR2は請求の範囲9で定義された意味をもち、またx、yはそれぞれに0、1または2の整数であるが但し0≦(x+y)≦2の範囲にある)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(XIV)
(式中、R6は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコールと反応させ、次の一般式(XVa)
(式中、R1、R2、R6、x、yは前記と同じ意味をもつ)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランを生成し、次いで一般式(XVa)のトリ、ジまたはモノクロロシラン化合物に次の一般式(XVI)
(式中、R3aは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはR3aはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素、臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬を反応させることから成る方法によって製造されたところのものである、請求の範囲9に記載の方法。 - 出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物のうち、次の一般式(XIb−1)
(式中、R1、R2、R3a、R4は請求の範囲9に定義された意味をもつ)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノまたはジオルガノ−モノ(2−置換または非置換−2−クロロエトキシ)シランは、一般式(XIII)
(式中、R1、R2は前記で定義された意味をもち、またxおよびyは前記で定義された意味をもつ整数であり、0≦(x+y)≦2の範囲の整数である)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを、次の一般式(XVII)
〔式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基またはアリール基である)のアルコキシメチレン基、アルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルと反応させて、次の一般式(XVb)
(式中、R1、R2、R4は請求の範囲9に定義された意味もち、x、yは0≦(x+y)≦2の整数である)で示されるオルガノ非置換−あるいはモノオルガノまたはジオルガノ−モノ(2−置換または非置換−2−クロロエトキシ)−トリ、ジまたはモノクロロシランを生成し、次いで一般式(XVb)のクロロシラン化合物に一般式(XVI)
(R3aは前記の第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいは前記のアルキル置換の芳香族炭化水素基である)で示されるグリニャール試薬を反応させることから成る方法によって製造されるところのものである、請求の範囲9に記載の方法。 - 出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物は、次の一般式(XVI)
(式中、R3aは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはR3aはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素、臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬に、次の一般式(XIV)
(式中、R6は請求の範囲13に示されたとおり第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコール、あるいは次の一般式(XVII)
〔式中、R4は請求の範囲14に示されたとおり水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基、またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させ、得られた反応混合物に次の一般式(XIII)
〔式中、R1、R2は請求の範囲9に示されたとおりそれぞれ同じであるか、もしくは異なる第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、さらにx、yはそれぞれ0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数である〕で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを加えて反応させ、そして生成された種々の反応生成物から、前記の一般式(XIb)のトリオルガノシラン化合物を回収することから成る方法によって製造されたところの一般式(Ib)の化合物である、請求の範囲9に記載された方法。 - 出発化合物として用いる一般式(XIb)
のトリオルガノシラン化合物は、請求の範囲13に記載の一般式(XVI)のグリニャール試薬に請求の範囲13に記載の一般式(XIII)のテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを加えて反応させ、得られた反応混合物に請求の範囲13に記載の一般式(XIV)のアルコールあるいは請求の範囲14に記載の一般式(XVII)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させ、そして生成された種々の反応生成物から前記の一般式(XIb)のトリオルガノシラン化合物を回収することから成る方法によって製造されたところの一般式(XIb)の化合物である、請求の範囲9に記載の方法。 - 出発化合物として用いられる一般式(XIa)
のトリオルガノシラン化合物は、次の一般式(XVIII)
(式中、R1、R2、R3は請求の範囲9に示されたとおり、同じかもしくは異なる第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基であるが但しR1、R2、R3はすべて同時にメチル基であることはない)で示されるトリオルガノ−ハイドロシラン化合物を、アルカリ触媒の存在下に一般式(XIV)
(式中、R6は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコールと反応させることから成る方法によって製造されたところの、次式(XIa−1)
(式中、R1、R2、R3、R6は前記の意味をもつ)で示されるトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアルケニルオキシ)シランである、請求の範囲9に記載の方法。 - 製造された(MIIa)または(XIIb)のトリオルガノモノクロロシランがtert−ブチルジメチルモノクロロシランである、請求の範囲9に記載の方法。
- 製造された一般式(XIIa)または(XIIb)のトリオルガノモノクロロシランがトリイソプロピルクロロシランである、請求の範囲9に記載の方法。
- 製造された一般式(XIIa)または(XIIb)のトリオルガノモノクロロシランがトリ−sec−ブチルモノクロロシランである、請求の範囲9に記載の方法。
- 製造された一般式(XIIa)または(XIIb)のトリオルガノモノクロロシランがトリシクロヘキシルモノクロロシランである、請求の範囲9に記載の方法。
- 次の一般式(XXI)
〔式中、R1は第1級、第2級または第3級アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2は第2級アルキル基、第3級アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、xは0または1の整数を表し、yは0、1または2の整数を表すが但し0≦(x+y)≦2の範囲の整数である〕で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランに、次の一般式(XXII)
(式中、Rは第2級アルキル基、第3級アルキル基またはシクロアルキル基を示すか、あるいはRはマグネシウム原子に結合している芳香族炭化水素基中の炭素原子に隣る炭素原子上にアルキル基を置換基として有するアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、Xは塩素、臭素または沃素原子を示す)で示されるグリニャール試薬を反応させるに際して、次の一般式(XXIII)
(式中、R3は第1級あるいは第2級アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基を表す)で示されるアルコール、あるいは次の一般式(XXIV)
〔式中、R4は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であるか、もしくはR4は式−CH2−O−R5(但しR5は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基あるいは炭素数2〜10のアルケニル基、またはアリール基である)のアルコキシメチレン基またはアルケニルオキシメチレン基またはアリールオキシメチレン基を示す〕で表されるアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させることを特徴とする、一般式(XXVa)
(式中、R1、R2は前記の意味をもち、またRは前記の意味の第2級または第3級アルキル基あるいはシクロアルキル基であるか、あるいは前記のアルキル置換の芳香族炭化水素基を示し、R7はR3と同じであるか、またはR7は式−CH2−CH(R)−R4の基であり、さらにxおよびyは前記の意味をもつ整数を示す)で示されるところの、嵩高い炭化水素基Rを含有するトリオルガノ−モノ(アルコキシ、シクロアルキルオキシまたはアラルキルオキシ)シランの製造法。 - 一般式(XXII)のグリニャール試薬に一般式(XXIII)のアルコール、あるいは一般式(XXIV)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させ、得られた反応混合物に一般式(XXI)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランを加えて反応させることから成る、請求の範囲22に記載された方法。
- 一般式(XXII)のグリニャール試薬と一般式(XXI)で示されるテトラクロロシランあるいはジまたはモノオルガノ−ジまたはトリクロロシランとを反応させ、得られた反応混合物に一般式(XXIII)のアルコール、あるいは一般式(XXIV)のアルキレンオキサイドまたはグリシジルエーテルを加えて反応させることから成る、請求の範囲22に記載の方法。
- 製造された一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノアルコキシシランがトリイソプロピルモノアルコキシシランである、請求の範囲22に記載の方法。
- 製造された一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノアルコキシシランがトリ−sec−ブチルモノアルコキシシランである、請求の範囲22に記載の方法。
- 製造された一般式(XXVa)のトリオルガノ−モノアルコキシシランがトリシクロヘキシル−モノアルコキシシランである、請求の範囲22に記載の方法。
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