JPWO2003033710A1 - 新規n−アセチルグルコサミン転移酵素、それをコードする核酸及びそれに対する抗体並びにこれらの癌若しくは腫瘍診断用途 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、N−アセチルガラクトサミニル基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する新規な酵素及びそれをコードする核酸、並びに該核酸を測定するための核酸に関する。さらに本発明は、該酵素と抗原抗体反応する抗体、その癌又は腫瘍診断用途、並びに該酵素の遺伝子の発現量を指標とする癌又は腫瘍診断に関する。
背景技術
N−アセチルガラクトサミニル基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する、コア3糖鎖(N−アセチルグルコサミニルβ1−3N−アセチルガラクトサミニルα1−R)の合成酵素は、その活性自体は知られているものの、酵素は未だ単離、同定されていない。従って、コア3糖鎖構造を作製または製造するためには、化学合成するか、生体成分より分離するか、または、酵素学的に組織ホモジネートを使用して合成しなければならない。さらに、本酵素活性は、正常な消化管に存在するが、消化管由来の樹立細胞株では活性が消失していることが報告されている。このことは、正常な消化管に本酵素が存在するが、癌や消化管ポリープなどの異常な組織では本酵素活性が低下することが考えられ、本酵素の発現量の変化を調べることやコア3糖鎖の量を調べることにより、診断や治療においても重要であると考えられる。
N−アセチルガラクトサミニル基にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する酵素を単離し、その遺伝子の構造を明らかにすることにより、該酵素の遺伝子工学的な生産や、該遺伝子に基づく癌等の診断が可能になる。しかしながら、該酵素は、未だ精製分離もされておらず、該酵素の単離及び遺伝子の同定についての手がかりはない。そのために、該酵素に対する抗体も作製されていない。
発明の開示
従って、本発明の目的は、N−アセチルガラクトサミニル基にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する酵素及びそれをコードする核酸を提供することである。また、本発明の目的は、該核酸を宿主細胞内で発現する組換えベクター及び該核酸が導入され、前記核酸および酵素タンパク質を発現する細胞を提供することである。また、発現該酵素タンパク質は、抗体作製用に利用でき、該酵素タンパク質の産生方法を提供するものである。さらに、発現該酵素タンパク質および該酵素タンパク質に対する抗体を用いたい免疫組織染色およびRIAやEIAなどの免疫測定法に利用できる。さらに、本発明の目的は、上記本発明の核酸を測定するための測定用核酸を提供することである。さらに、本発明の目的は、上記酵素と抗原抗体反応する抗体を提供することである。さらに、本発明は、癌又は腫瘍、とりわけ、消化器系の癌又は腫瘍の診断及びそれに用いられる試薬を提供することである。
上記の通り、目的とする酵素は、未だ単離されていないので、その部分アミノ酸配列を知ることもできない。一般に、細胞に微量しか含まれていないタンパク質を単離精製することは容易ではなく、現在に至るまで単離されていない酵素を細胞から単離することは容易でないことが予想される。本願発明者は、目的とする酵素と比較的類似した作用を有する種々の酵素遺伝子の塩基配列間に、もしも相同性の高い領域が存在していれば、目的とする酵素の遺伝子もその相同配列を有しているかもしれないと考えた。そして、公知のβ1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子、β1,3−ガラクトース転移酵素およびβ1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素遺伝子等の塩基配列を検索した結果、相同な領域が見つかった。そこで、この相同領域にプライマーを設定してcDNAライブラリーからPCRでクローニングすることを基本として種々検討した結果、該酵素の遺伝子のクローニングに成功し、その塩基配列及び推定アミノ酸配列を決定することができ、本発明に至った。さらに、このクローニングした遺伝子を発現させて該酵素を得、これを抗原として該酵素に対するモノクローナル抗体を作製した。そして、このモノクローナル抗体を用いて大腸及び胃の癌並びにポリープを免疫組織染色したところ、該酵素は、正常な大腸及び胃では発現されているが、癌又は進行したポリープでは発現されていない場合が多いことを確認し、該酵素の遺伝子の発現量を指標にして癌又は腫瘍の診断が可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列又は該アミノ配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有し、N−アセチルガラクトサミニル基にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質を提供する。また、本発明は、該タンパク質をコードする核酸を提供する。さらに、本発明は、該核酸を含み、宿主細胞中で該核酸を発現することができる組換えベクターを提供する。さらに、本発明は、該組換えベクターにより形質転換され、前記核酸を発現する細胞を提供する。さらに、本発明は、核酸と特異的にハイブリダイズする、該核酸の測定用核酸を提供する。さらに、本発明は、該測定用核酸の癌又は腫瘍の診断用途を提供する。さらに、本発明は、上記本発明のタンパク質と抗原抗体反応する抗体又はその抗原結合性断片並びにこれらの癌又は腫瘍の診断用途を提供する。さらに、本発明は、生体から分離された試料細胞中における、上記酵素の遺伝子の発現量を調べることを含む、癌又は腫瘍の診断方法を提供する。さらに本発明は、上記本発明の核酸測定用核酸と、上記本発明の核酸とをアニーリングすることによりハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした核酸を測定することを含む、上記本発明の核酸の測定方法を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の抗体又はその抗原結合性断片と、試料細胞中及び/又は細胞上の上記本発明の酵素とを抗原抗体反応させ、結合した前記抗体若しくはその抗原結合性断片又は前記酵素を測定することを含む、癌及び/又は腫瘍の診断方法を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の核酸測定用核酸の、上記本発明の核酸の測定用核酸製造のための使用を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の核酸測定用核酸の、癌及び/又は腫瘍の診断試薬製造のための使用を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の抗体又はその抗原結合性断片の、癌及び/又は腫瘍の診断試薬製造のための使用を提供する。
本発明により、N−アセチルガラクトサミニル基にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する酵素及びそれをコードする核酸が初めて提供された。また、本発明により、該核酸を測定するための核酸及び該酵素と抗原抗体反応する抗体がはじめて提供された。さらに、本発明により、該酵素遺伝子の発現量を指標とする、癌又は腫瘍、とりわけ消化器の癌又は腫瘍の簡便で正確な診断方法及びそれに用いられる測定用核酸及び抗体が初めて提供された。したがって、本発明は、消化器癌や腫瘍の診断に大いに貢献するものと期待される。
発明を実施するための最良の形態
下記実施例において詳述する方法によりクローニングされた、本発明のタンパク質をコードする核酸は、配列表の配列番号2に示される塩基配列を有し、それがコードする推定アミノ酸配列が、該塩基配列の下に記載されている。配列番号1には、該アミノ酸配列のみを取り出して示す。
下記実施例で得られた本発明のタンパク質(「beta3GnT−6」と命名)は、次の性質を有する酵素である。なお、各性質及びその測定方法は下記実施例において詳述されている。
作用: N−アセチルガラクトサミニル基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する(EC 2.4.1.147、Acetylgalactosaminyl−O−glycosyl−glycoprotein beta−1,3−N−acetylglucosaminyltransferase)。触媒する反応を反応式で記載すると、UDP−N−アセチル−D−グルコサミン + N−アセチル−D−ガラクトサミニル−R → UDP + N−アセチル−β−D−グルコサミニル−1,3−N−アセチル−D−ガラクトサミニル−R(GalNAc−R + UDP−GlcNAc → GlcNAcβ1−3GalNAc−R + UDP)
基質特異性: N−アセチルガラクトサミニル基、例えばN−アセチルガラクトサミニルα1−R(Rは、タンパク質中のセリンやスレオニン等の側鎖の水酸基やp−ニトロフェノール等の水酸基とエーテル結合した残基)。
なお、一般に、酵素のような生理活性を有するタンパク質において、そのアミノ酸配列のうち、1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加された場合であっても、該生理活性が維持されることがあることは周知である。従って、配列番号1に示されるアミノ配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有し、N−アセチルガラクトサミニル基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質(以下、便宜的に「修飾タンパク質」)も本発明の範囲に含まれる。このような修飾タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有することが好ましい。なお、アミノ酸配列の相同性は、FASTAのような周知のコンピューターソフトを用いて容易に算出することができ、このようなソフトはインターネットによっても利用に供されている。さらに、該修飾タンパク質としては、配列番号1に示されるアミノ酸配列又は該配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有するものが特に好ましい。
本発明は、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする核酸及び上記修飾タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸も提供する。核酸としてはDNAが好ましい。なお、周知の通り、コドンには縮重があり、1つのアミノ酸をコードする塩基配列が複数存在するアミノ酸もあるが、上記アミノ酸配列をコードする塩基配列であれば、いずれの塩基配列を有するものも本願発明の範囲に含まれる。なお、下記実施例において実際にクローニングされたcDNAの塩基配列が配列番号2に示されている。配列2に示す塩基配列を有する核酸とストリンジェント条件下(すなわち、5×Denhardt’s reagent,6×SSC,0.5% SDS又は0.1% SDSといった一般的なハイブリダイゼーション溶液を用いて50〜65℃で反応を行なう)において、ハイブリダイズし、かつ、上記修飾タンパク質をコードする核酸も本発明の範囲内に入る。
上記本発明の核酸を、発現ベクターのクローニング部位に挿入することにより、宿主細胞中で上記核酸を発現させることができる組換えベクターを得ることができる。発現ベクターとしては、種々の宿主細胞用の種々のプラスミドベクター及びウイルスベクターが周知であり、市販もされている。本発明では、このような市販の発現ベクターを好ましく用いることができる。また、このような組換えベクターで宿主細胞を形質転換又は形質導入する方法も周知である。本発明はまた、該核酸が形質転換、形質導入又はトランスフェクション等により宿主細胞に導入され、該核酸を発現する細胞を提供する。宿主細胞に外来遺伝子を導入する方法自体は周知であり、上記組換えベクターを用いること等により容易に行うことができる。宿主細胞としては、特に限定されず、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母、細菌等を用いることができる。なお、組換えベクターの構築及びそれを用いて本発明の核酸を宿主細胞に導入する方法の具体例が下記実施例に詳述されている。
なお、本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列が上記した通りのものであり、上記した酵素活性を有するものであれば、タンパク質に糖鎖が結合していてもよい。すなわち、本発明の「タンパク質」は「糖タンパク質」をも包含する。
本発明により、本発明の新規酵素のcDNAの塩基配列が明らかになったので、該酵素のmRNA又はcDNAとストリジェント条件下(上述)でハイブリダイズする、前記本発明の測定用核酸(以下、単に「測定用核酸」)が本発明により提供された。測定用核酸は、上記本発明の核酸、とりわけ配列番号2に示される塩基配列を有する核酸中の部分領域と相同的な配列を有することが一般的に好ましいが、1〜2塩基程度の不一致があっても差し支えないことが多い。測定用核酸は、プローブ又は核酸増幅法におけるプライマーとして用いることができる。特異性を確保するために、測定用核酸の塩基数は15塩基以上、さらに好ましくは18塩基以上である。サイズは、プローブとして用いる場合には、15塩基以上、さらに好ましくは20塩基以上、コード領域の全長(1152塩基)以下が好ましく、プライマーとして用いる場合には、15塩基以上、さらに好ましくは18塩基以上、50塩基以下が好ましい。被検核酸の部分領域と相補的な配列を有する核酸をPCRのような遺伝子増幅法のプライマー、又はプローブとして用いて被検核酸を測定する方法自体は周知であり、下記実施例には、ヒト細胞中の本発明の酵素のmRNAをノーザンブロット及びインサイチューハイブリダイゼーションにより測定した方法が具体的に詳述されている。なお、本明細書において、「測定」には、検出、定量、半定量のいずれもが包含される。
PCRのような核酸増幅法自体は、この分野において周知であり、そのための試薬キット及び装置も市販されているので容易に行うことができる。すなわち、例えば、鋳型となる被検核酸(例えば、本発明の酵素の遺伝子のcDNA)と本発明の測定用核酸(プライマー)の一対とを、緩衝液中で、Taqポリメラーゼ及びdNTPの存在下で、変性、アニーリング、伸長の各工程を反応液の温度を変化させることにより行う。通常、変性工程は、90〜95℃、アニーリング工程は、鋳型とプライマーのTm又はその近傍(好ましくは±4℃以内)、伸長工程はTaqポリメラーゼの至適温度である72℃で行われる。各工程は30秒〜2分程度で適宜選択される。この熱サイクルを例えば25〜40回程度繰り返すことにより、一対のプライマーで挟まれた鋳型核酸の領域が増幅される。なお、核酸増幅法はPCRに限定されるものではなく、この分野において周知の他の核酸増幅法も用いることができる。このように、上記した本発明の測定用核酸の一対をプライマーとして用い、被検核酸を鋳型として用いて核酸増幅法を行うと、被検核酸が増幅されるのに対し、検体中に被検核酸が含まれない場合には増幅が起きないので、増幅産物を検出することにより検体中に被検核酸が存在するか否かを知ることができる。増幅産物の検出は、増幅後の反応溶液を電気泳動し、バンドをエチジウムブロミド等で染色する方法や、電気泳動後の増幅産物をナイロン膜等の固相に不動化し、被検核酸と特異的にハイブリダイズする標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、該標識を検出することにより行うことができる。また、クエンチャー蛍光色素とレポーター蛍光色素を用いたいわゆるリアルタイム検出PCRを行うことにより、検体中の被検核酸の量を定量することも可能である。なお、リアルタイム検出PCR用のキットも市販されているので、容易に行うことができる。さらに、電気泳動バンドの強度に基づいて被検核酸を半定量することも可能である。なお、被検核酸は、mRNAでも、mRNAから逆転写したcDNAであってもよい。被検核酸としてmRNAを増幅する場合には、上記一対のプライマーを用いたNASBA法(3SR法、TMA法)を採用することもできる。NASBA法自体は周知であり、そのためのキットも市販されているので、上記一対のプライマーを用いて容易に実施することができる。
プローブとしては、上記測定用核酸に蛍光標識、放射標識、ビオチン標識等の標識を付した標識プローブを用いることができる。核酸の標識方法自体は周知である。被検核酸又はその増幅物を固相化し、標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、固相に結合された標識を測定することにより、検体中に被検核酸が存在するか否かを調べることができる。あるいは、測定用核酸を固相化し、被検核酸をハイブリダイズさせ、固相に結合した被検核酸を標識プローブ等で検出することも可能である。このような場合、固相に結合した測定用核酸もプローブと呼ばれる。なお、核酸プローブを用いた被検核酸の測定方法もこの分野において周知であり、緩衝液中、核酸プローブを被検核酸とTm又はその近傍(好ましくは±4℃以内)で接触させることによりハイブリダイズさせ、洗浄後、ハイブリダイズした標識プローブ又は固相プローブに結合された鋳型核酸を測定することにより行うことができる。このような方法には、下記実施例に記載されるノーザンブロットやインサイチューハイブリダイゼーション、さらにはサザンブロット法等の周知の方法が包含される。
本発明の酵素を、N−アセチルガラクトサミニル基を有する糖タンパク質、オリゴ糖又は多糖等に作用させることにより、N−アセチルグルコサミンがβ−1,3結合される。従って、本発明の酵素は、糖タンパク質の糖鎖の修飾や、糖類の合成に用いることができる。さらに、この酵素を免疫原として動物に投与することにより、該酵素に対する抗体を作製することができ、該抗体を用いて免疫測定法により該酵素を測定することが可能になる。従って、本発明の酵素及びこれをコードする核酸は、このような免疫原の作製に有用である。また、消化器(胃や結腸等)由来細胞株では、細胞中の該酵素の活性が消失又は低下することが知られている(Glycobiology Vol.5,No3,351−357,1995 Vavasseur,F.,Yang,J−M.,Dole,K.,Paulsen,H.and Brockhausen,I.)ので、本発明の測定用核酸を用いて結腸細胞中の本発明酵素のmRNA量を調べることにより、胃癌や結腸癌等の消化器癌の診断が可能になる。最近、正常大腸組織での糖鎖構造についての報告(Biochem.J.358,657−664,2001 Capon,C.,Maes,E.,Michalski,J−C.,Leffler,H.and Kim,Y.S.)がなされた。この報告によると、正常大腸組織のムチンに結合しているグリカンは、core3構造が主要産物であり、このcore3構造から糖鎖が伸びてSda/Cad−antigen−like structuresを形成している。一方、大腸癌や大腸癌由来の細胞株では、core1構造やcore2が主であることが報告されている。すなわち、正常大腸組織ではcore3構造の糖鎖が生理学的に非常に重要であると考えられ、core3合成酵素(該酵素)およびcore3構造の糖鎖の変動を調べることは非常に重要である。また、これらの診断に対して該酵素を用いて抗体を作製して免疫学的な検出が可能になる。
本願発明者らは、下記実施例に具体的に記載するように、上記した本発明の酵素を遺伝子工学的に生産し、これを抗原として用いて該酵素と抗原抗体反応するモノクローナル抗体を作製した。このモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ(MA−136 G8 NO.144’02.10.1)は、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにブダペスト条約に基づき、2002年10月4日にFERM BP−8200の受託番号で寄託されている。さらに、下記実施例に具体的に記載する通り、得られたモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色により、胃及び大腸の正常組織では該酵素が検出されるのに対し、癌や異型度グループ4以上の腫瘍(ポリープ)ではほとんど検出されないことが確認された。したがって、本発明の酵素と抗原抗体反応する抗体、好ましくはモノクローナル抗体は、癌又は腫瘍、好ましくは消化器系の癌又は腫瘍、特に胃又は大腸の癌又は腫瘍、さらに好ましくは胃癌又は大腸癌の診断に用いることができる。抗体を癌又は腫瘍の診断に用いる場合、試料となる細胞中の上記酵素と、該抗体との抗原抗体反応を利用した免疫測定方法により、上記酵素を測定し、正常細胞における測定結果と比較し、酵素の測定量が正常細胞よりも少なければ、特に、酵素が検出されなければ、癌又は腫瘍の可能性が高いと診断することができる。免疫測定方法自体は、周知であり、周知のいずれの免疫測定方法をも採用することができる。すなわち、測定形式で分類すれば、サンドイッチ法、競合法、凝集法、ウェスタンブロット法などがあり、用いる標識で分類すれば蛍光法、酵素法、放射法、ビオチン法等があるが、これらのいずれをも用いることができる。さらに、免疫組織染色によって診断することもできる。免疫測定方法に標識抗体を用いる場合、抗体の標識方法自体は周知であり、周知のいずれの方法をも採用することができる。また、周知のとおり、抗体をパパイン分解やペプシンで分解することにより、FabフラグメントやF(ab’)2フラグメントのような、対応抗原との結合性を有する抗体断片(本明細書において「抗原結合性断片」という)が得られることが知られているが、本発明の抗体の抗原結合性断片も本発明の抗体と同様に用いることができる。
なお、これらの免疫測定法自体は周知であり、本明細書で説明する必要はないが、簡単に記載すると、例えば、サンドイッチ法では、本発明の抗体又はその抗原結合性断片を第1抗体として固相に不動化し、検体と反応させ、洗浄後、本発明の酵素と抗原抗体反応する第2抗体を反応させ、洗浄後、固相に結合した第2抗体を測定する。第2抗体を酵素、蛍光物質、放射性物質、ビオチン等で標識しておくことにより固相に結合した第2抗体を測定することができる。濃度既知の複数の標準試料中について上記方法により測定し、測定された標識量と標準試料中の本発明の酵素の関係に基づき検量線を作成し、未知濃度の被検試料についての測定結果をこの検量線に当てはめることにより、被検試料中の本発明の酵素を定量することができる。なお、第1抗体と第2抗体を上記の説明と入れ替えてもよい。また、凝集法では、ラテックス等の粒子に本発明の抗体又はその抗原結合性断片を不動化し、検体と反応させて吸光度を測定する。濃度既知の複数の標準試料中について上記方法により測定し、測定された標識量と標準試料中の本発明の酵素の関係に基づき検量線を作成し、未知濃度の被検試料についての測定結果をこの検量線に当てはめることにより、被検試料中の本発明の酵素を定量することができる。
また、各免疫測定に必要な試薬類も周知であり、用いる抗体に特徴があること以外は、通常の免疫測定キットを用いて免疫測定を行うことができる。例えば、通常、緩衝液、固相、標識第2抗体等が含まれる。
下記実施例に具体的に記載するように、本発明の酵素の発現量を指標として癌又は腫瘍の診断を行うことができることが確認されたので、本発明は、生体から分離された試料細胞中における、上記本発明の酵素の遺伝子の発現量を調べることを含む、癌又は腫瘍の診断方法をも提供するものである。なお、下記実施例に具体的に示されるように、本発明の診断方法により検出可能な腫瘍は、癌又は癌が強く疑われる腫瘍である。前記試料細胞としては、消化器系器官の細胞が好ましく、特に大腸又は胃由来の細胞が好ましく、これらの細胞を対象とすることで消化器の癌又は腫瘍、特に大腸又は胃の癌又は腫瘍の診断を行うことができる。遺伝子の発現量は、細胞中の、該遺伝子から転写されたmRNA若しくは該mRNAを鋳型として作製されたcDNAの量を調べることによって測定することができるし、試料細胞中で生産された酵素を、上記本発明の抗体を用いた免疫測定法により測定することによっても測定することができる。mRNA又はcDNAの量の測定は、上記した本発明の測定用核酸を用いて、上記のようにして行うことができる。
実施例
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
実施例1 酵素遺伝子のクローニング及び塩基配列決定並びに発現
1.遺伝子データベースの検索とbeta3GnT−6の塩基配列決定
既存のβ1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子、β1,3−ガラクトース転移酵素(AF117222、Y15060、Y15014、AB026730、AF145784、AF145784)およびβ1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素(Y15062)遺伝子等の類似遺伝子を用いて、遺伝子データベースから類似遺伝子の検索を行った。用いた配列はβ1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子の配列番号(Gene Bank):AB049584、AB049585、AB049586、AB045278、β1,3−ガラクトース転移酵素遺伝子の配列番号:AF117222、Y15060、Y15014、AB026730、AF145784、AF145784、1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素遺伝子の配列番号:Y15062である。また検索は、Blast[Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410(1990)]等のプログラムを利用した。
その結果、EST配列Gene Bank Accetion No.AW182889およびNo.AW192172が見出された。さらに、ゲノム配列Gene Bank accetion No.AP000752.3が見出され、上記2つのESTが同一遺伝子であることを見出した。しかし、翻訳開始点は不明であったので、CLONTECH社の大腸と胃のMarathon cDNAを用いてクローニングを行った。
具体的には、Marathon cDNA付属のAP1プライマーと(DNA断片の両側にAP1、AP2のアダプターがついている)、見出した配列部分に設定したプライマーGP61(ctccagacac atgcccatgt aggc)でPCR(94℃20秒、64℃30秒、72℃2分を30サイクル)を行った。さらに、Marathon cDNA付属のAP2プライマーと、配列部分に設定したプライマーbeta3GnT−6−RACE−06(gtcgtcgtcg ccgctgagca gaaa)でnested PCR(94℃20秒、66℃30秒、72℃2分を25サイクル)を行なった。目的とするフラグメントをゲルから切りだし、常法により精製し、塩基配列を決定した(配列番号2)。
2.beta3GnT−6の発現ベクターへの組込み
beta3GnT−6の発現系を作成するため、まずbeta3GnT−6をインビトロジェン社のGatewayシステムのpFastBacに組込み、さらにインビトロジェン社のBac−to−BacシステムによるBacmidを作成した。以下に詳細を述べる。
GatewayシステムによるpFastBacへの組込み
▲1▼エントリークローンの作成
Marathon cDNAを鋳型としてプライマーF(beta3GnT−6−02:5’−ggggacaagt ttgtacaaaa aagcaggctt ccaggaggag acgccagagg g−3’)とプライマーR(beta3GnT−6−03:5’−ggggaccact ttgtacaaga aagctgggtc tggcctcagg agacccggtg−3’)によりPCR(94℃20秒、66℃30秒、72℃2分を35サイクル)により再度DNA断片を得た。目的の断片をゲルから切りだし、精製後BPクロナーゼ反応によってpDONR201へ組込み、「エントリークローン」を作成した。反応は目的とするDNA断片5μl、pDONR201 1μl(150ng)、反応緩衝液2μl、BPクロナーゼmix2μlを25℃で1時間インキュベートして行った。プロテイナーゼKを1μl加えて37℃10分おき反応を終了させた。
その後上記mix全量(11μl)をコンピテントセル(大腸菌DH5α)100μlと混合し、ヒートショック法の後、カナマイシンを含むLBプレートにまいた。翌日コロニーをとり、直接PCRで目的DNAを確認し、ベクター(pDONR−beta3GnT−6)を抽出・精製した。
▲2▼発現クローンの作成
上記エントリークローンは挿入部位の両側にラムダファージが大腸菌から切り出される際の組換部位であるattLを持つもので、LRクロナーゼ(ラムダファージの組換酵素Int、IHF、Xisを混合したもの)とデステイネーションベクターと混合することで、挿入部位がデステイネーションベクターに移り、発現クローンが作成される。具体的工程は以下のとおりである。
まずエントリークローン1μl、pFBIHを0.5μl(75ng)、LR反応緩衝液2μl、TE4.5μl、LRクロナーゼmix2μlを25℃で1時間反応させ、プロテイナーゼKを1μl加えて37℃10分インキュベートして反応を終了させた(この組換え反応でpFBIH−beta3GnT−6が生成される)。pFBIHは、pFastBac1にIgκシグナル配列(MHFQVQIFSFLLISASVIMSRG)とHisタグ(His6個)のシーケンスを加えたもので、OT5(5’−gatcatgcattttcaagtgcagattttcagcttcctgctaatcagtgcctcagtcataatgtcacgtggacatcaccatcaccatcac−3’)を鋳型に、プライマーOT20(5’−cgggatccat gcattttcaa gtgcag−3’)と、OT22(5’−ggaattcgtgatggtgatggtgatg−3’)を用いてPCRを行い、得られたDNA断片をBam H1とEco R1で挿入した。さらに、Gateway配列を挿入するため、Gateway Vector Conversion System(インビトロジェン社)を用いてConversion cassetteを入れた。Igκシグナル配列は発現タンパク質を分泌型にするため、Hisタグは精製のため挿入した。
その後上記混合液全量(11μl)をコンピテントセル(大腸菌DH5α)100μlと混合し、ヒートショック法の後、アンピシリンを含むLBプレートにまいた。翌日コロニーをとり、直接PCRで目的DNAを確認し、ベクター(pFBIH−beta3GnT−6)を抽出・精製した。
またpFBIHに変えてpFBIFでも同様に実験を行った。即ちpFBIFはHisタグに変えて、精製用にFLAGペプチド(DYKDDDDK)を入れたもので、OT3(5’−gatcatgcattttcaagtgcagattttcagcttcctgctaatcagtgcctcagtcataatgtcacgtggagattacaaggacgacgatgacaag−3’)を鋳型とし、プライマーOT20(上記と配列同じ)と、OT21(5’−ggaat tcttgt catcg tcgtc cttg−3’)によって得られたDNA断片を上記と同様にBam H1とEco R1で挿入し、Gateway配列を挿入するため、Gateway Vector Conversion System(インビトロジェン社)を用いてConversion cassetteを入れた。
Bac−to−BacシステムによるBacmidの作成
続いてBac−to−Bacシステム(インビトロジェン社)を用いて上記pFBIH−beta3GnT−6又はpFBIF−beta3GnT−6とpFastBacとの間で組換えをさせ、昆虫細胞中で増殖可能なBacmidにbeta3GnT−6その他の配列を挿入した。このシステムはTn7の組換部位を利用して、Bacmidを含む大腸菌(DH10BAC)に目的遺伝子を挿入させたpFastBacを導入するだけで、ヘルパープラスミドから産生される組換タンパク質によって目的とする遺伝子がBacmidへとりこまれるというものである。またBacmidにはlacZ遺伝子が含まれており、古典的な青(挿入なし)−白コロニー(挿入あり)による選択が可能である。
即ち、上記精製ベクター(pFBIH−beta3GnT−6又はpFBIF−beta3GnT−6)をコンピテントセル(大腸菌DH10BAC)50μlと混合し、ヒートショック法の後、カナマイシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、Bluo−gal、及びIPTGを含むLBプレートにまき、翌日白い単独コロニーをさらに培養し、Bacmidを回収した。
3.Bacmidの昆虫細胞への導入
上記白コロニーから得られたBacmidに目的配列が挿入していることを確認した後、このBacmidを昆虫細胞Sf21(インビトロジェン社より市販)に導入した。即ち35mmのシャーレにSf21細胞9×105細胞/2ml(抗生物質を含むSf−900SFM(インビトロジェン社)を加え、27℃で1時間培養して細胞を接着した。(Solution A)精製したBacmid DNA5μlに抗生物質を含まないSf−900SFM(インビトロジェン社)100μl加えた。(Solution B)CellFECTIN Reagent(インビトロジェン社)6μlに抗生物質を含まないSf−900SFM(インビトロジェン社)100μl加えた。その後、Solution AおよびSolution Bを丁寧に混合して15〜45分間、室温でインキュベートした。細胞が接着したことを確認して、培養液を吸引して抗生物質を含まないSf−900SFM(インビトロジェン社)2mlを加えた。Solution AとSolution Bを混合して作製した溶液(lipid−DNA complexes)に抗生物質を含まないSf900II 800μlを加えて丁寧に混和した。細胞から培養液を吸引し、希釈したlipid−DNA complexes溶液を細胞に加え、27℃で5時間インキュベーションした。その後、トランスフェクション混合物を除き、抗生物質を含むSf−900SFM(インビトロジェン社)培養液2mlを加えて27℃で72時間インキュベーションした。トランスフェクションから72時間後にピペッティングにより細胞を剥がし、細胞と培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存した(この上清が一次ウイルス液となる)。
T75培養フラスコにSf21細胞1×107細胞/20ml Sf−900SFM(インビトロジェン社)(抗生物質入り)を入れて、27℃で1時間インキュベートした。細胞が接着したら一次ウイルスを800μlを添加して、27℃で48時間培養した。48時間後にピペッティングにより細胞を剥がし、細胞と培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存する(この上清を二次ウイルス液とした)。
さらに、T75培養フラスコにSf21細胞1×107細胞/20ml Sf−900SFM(インビトロジェン社)(抗生物質入り)を入れて、27℃で1時間インキュベートした。細胞が接着したら二次ウイルス液1000μlを添加して、27℃で72〜96時間培養した。培養後にピペッティングにより細胞を剥がし、細胞と培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存した(この上清を三次ウイルス液とした)。
加えて、100ml用スピナーフラスコにSf21細胞6×105細胞/ml濃度で100mlを入れ、三次ウイルス液を1ml添加して27℃で約96時間培養した。培養後に、細胞及び培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存した(この上清を四次ウイルス液とした)。
一次から三次までのセルペレットをソニケーションし(ソニケーション緩衝液:20mM HEPES pH7.5、2% Triton X−100)細胞粗抽出液をH2Oで20倍にし、常法によりSDS−PAGEによる電気泳動についてウエスタンブロッテイングを行い、目的とするbeta3GnT−6タンパク質の発現を確認した。抗体は、ヒスチジンタグのついたbeta3GnT−6にはモノクローナル抗体6−His(MMS−156P、COVANCE社)、FLAG配列のついたbeta3GnT−6には抗FLAG M2−ペルオキシダーゼ(A−8592、SIGMA社)を用いた。
6His−beta3GnT−6、FLAG−beta3GnT−6ともに40K、45Kの位置にバンドが検出された。
4.beta3GnT−6のレジン精製
上記三次感染のボトルからさらに四次感染をさせ、両ボトルからペレットと上清を回収し、遠心分離後(5000rpm10分を2回)ペレットをソニケーションした(ソニケーション緩衝液:20mM HEPES pH7.5、2% Triton X−100)、ペレット粗抽出液と上清についてタンパク質定量(BIO−RAD社DC Protein Assay Kit)し、タンパク量を調整の上SDS−PAGE、ウエスタンブロッテイングでbeta3GnT−6の発現を確認した。この結果から精製には、もっとも相対的発現量の多い、FLAG−beta3GnT−6の上清を使用することとした。
四次感染のFLAG−beta3GnT−6上清10mlにNaN3(0.05%)、NaCl(150mM)、CaCl2(2mM)、抗M1レジン(Sigma社)(50μl)を混合し、4℃で一夜攪拌した。翌日遠心して(3000rpm 5分4℃)ペレットを回収し、2mMのCaCl2・TBSを900μl加えて再度遠心分離(2000rpm 5分4℃)し、ペレットを200μlの1mM CaCl2・TBSに浮遊させ活性測定のサンプル(beta3GnT−6酵素液)とした。
5.beta3GnT−6の受容体基質の探索
beta3GnT−6は、β1,3−N−アセチルグルコサミニル転移酵素類およびβ1,3−ガラクトシル転移酵素類と比較して分子進化学的に解析した結果、β1,3−N−アセチルグルコサミニル転移酵素類に分類された。そこで、第一に供与体基質(donor substrate)としてUDP−GlcNAcを用いて検討した。
以下の反応系を用いて、beta3GnT−6の受容体基質を調べた。下記反応液の「受容体基質」には、pNp−α−Glc pNp−β−Glc pNp−α−GlcNAc pNp−β−GlcNAc pNp−α−Gal pNp−β−Gal pNp−α−GalNAc pNp−α−Xyl pNp−β−Xyl pNp−α−Fuc Bz−α−Man Bz−α−ManNAc LacCer GalCertypel Bz−β−lactoside(すべてSigma社)を用いてそれぞれが受容体として機能するかどうかを調べた。
反応液(カッコ内は最終濃度)は受容体基質(10nmol)、カコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)(50mM)、MnCl2(10mM)、UDP−GlcNAC(480μM)、UDP−[14C]GlcNAC(175nCi)、から成り、これにbeta3GnT−6酵素液を5μl加えて、さらにH2Oを加えて全量25μlとした。
上記反応混合液を37℃で一昼夜反応させ、反応終了後、H2Oを200μl加え、軽く遠心後上清を取得した。10mlのメタノールで1回洗浄後、10mlのH2Oで2回洗浄して平衡化したSep−Pak plus C18 Cartridge(Waters)に該上清を通し、上清中の基質および生成物をカートリッジに吸着させた。10mlのH2Oにて2回カートリッジを洗浄後、5mlのメタノールで吸着した基質および生成物を溶出した。溶出液を40℃のヒートブロックにて加熱しながら、窒素ガスを吹き付け蒸発乾固させた。これに、メタノール20μlを添加し、TLCプレート(HPTLC plate Silica gel 60:MERCK社製)にプロットし、クロロホルム:メタノール:水(0.2%CaCl2含む)=65:35:8の組成からなる展開溶媒を用いて展開した。TLCプレートの上端から5mmの所まで展開し、プレートを乾燥後、バイオ・イメージアナライザーFLA3000(富士写真フィルム社製)を用いて生成物に取り込まれている放射線の量を測定した。
その結果、pNp−β−Galがごくわずかに反応し、pNp−α−GalNAcには強い反応が示され、beta3GnT−6がN−アセチルグルコサミニルβ1−3アセチルガラクトサミニルα1−R)の合成酵素であることが示唆された。
6.N−アセチルガラクトサミニル−セリン(GalNAc α1−3Ser)を受容体基質とした活性の確認
上記の実験でbeta3GnT−6がコア3糖鎖(N−アセチルグルコサミニルβ1−3アセチルガラクトサミニルα1−R)の合成酵素であることが示唆されたため、GalNAc α1−3Serを受容体基質として再度上記実験を行ったところ、pNp−α−GalNAcに対する場合と同様の強い反応が示され、beta3GnT−6が新規のコア3糖鎖合成酵素であることが示された。具体的には、GalNAc α1−3SerのSerのアミノ残基にCy5標識(Cy5 Reactive Dye Pack,Amersham Pharnacia Biothech社)を行ない、HPLC(C18カラム使用)にてCy5の蛍光を指標にCy5標識GalNAc α1−3Serを分取して凍結乾燥後、受容体基質として用いた。反応系は実施例5と同様である。反応終了後、反応液10μlをHPLCにて分析した。供与体基質(UDP−GlcNAc)を加えたものは、Cy5標識GalNAc α1−3Ser(受容体基質)の分のピークを検出した。これに対して、供与体基質を加えたものは、受容体基質のピークと 分に新たなピークを確認した。すなわち、beta3GnT−6は、GalNAc α1−3SerのGalNAcにGlcNAc転移活性を示した。
7.N−アセチルグルコサミンとN−アセチルガラクトサミニルα1−Rとの結合様式の解析
反応溶液は、50mM HEPES緩衝液、10mM MnCl2、0.1% Triton−CF54、1mM pNp−α−GalNAc、1.5mM UDP−GlcNAc、beta3GnT−6酵素液5μl加え、全量20μlで、37℃で16時間反応した。反応終了後、HPLCにて分析を行なった。使用したカラムは、Mightysil RP−18,250×4mm,溶媒はアセトニトリル:H2O=10:90、検出は210nmの吸収で行なった。また、標品としてGlcNAcβ1−3GalNAc−α−pNp(core3構造)、GlcNAcβ1−6GalNAc−α−pNp(core6構造)を使用した(Sigma社)。その結果、標品は、pNp−α−GalNAcは23.5分、GlcNAcβ1−3GalNAc−α−pNpは18.6分、GlcNAcβ1−6GalNAc−α−pNpは20分に溶出された。beta3GnT−6反応液は、23.5分のピーク(pNp−α−GalNAc)と18.6分のピーク(GlcNAcβ1−3GalNAc−α−pNp)が認められた。すなわち、beta3GnT−6は、N−アセチルガラクトサミニル基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する新規な酵素であった。
8.種々株化細胞での発現
各種株化細胞より総RNAを抽出し、常法によりcDNAを作製した。このcDNAを用いてPCRにより発現を確認した。使用したプライマーはGP−57(5’−gcctacatgggcatgtgtctggag−3’)、GP−60(5’−agagctgggc aggacgtaag gtac−3’)である。使用した酵素はAmpliTaq Gold(アプライドバイオシステムズ社)を使用した。反応は、95℃30秒、64℃30秒、72℃30秒を45サイクルで行い、2%アガロースゲル電気泳動で確認した。予想PCR増幅産物は、323塩基であり、このサイズの増幅産物が認められた場合を“+”とし、増幅産物が認められない場合“−”で示した。増幅産物はシングルバンドとして認められ、それ以外は増幅産物が認められなかった。また、幾つかの増幅産物については、制限酵素処理を行ない、beta3GnT−6遺伝子由来の増幅産物であることを確認している。結果は以下の表1に示した。
9.正常組織での発現
ヒト正常組織での発現について各組織のMarathon cDNA(クロンテック社)を用いて発現を確認した。使用したプライマーはGP−57(5’−gcctacatgggcatgtgtctggag−3’)、GP−60(5’−agagctgggc aggacgtaag gtac−3’)である。使用した酵素はLATaq(TakaRa)を使用した。反応は、95℃20秒、64℃30秒、72℃60秒を30サイクルで行い、1%アガロースゲル電気泳動で確認した。予想PCR増幅産物は、323塩基であり、このサイズの増幅産物が認められた場合を“+”とし、増幅産物が認められない場合“−”で示した。結果は以下の表2に示した。増幅産物はシングルバンドとして認められ、それ以外は増幅産物が認められなかった。発現している組織は、食道、胃、大腸、であった。
実施例2 抗酵素モノクローナル抗体の作製
(1)マウスの免疫
実施例1で得られたHis−beta3Gn−T6タンパク質をTALON(商標)CellThru(クロンテック社)ビーズを充填したカラムで精製して抗原として使用した。常法により調整した免疫用抗原エマルジョンをマウスに皮下注射し、その後2週間おきに3回追加免疫した。
(2)ミエローマ細胞の調製
ミエローマ細胞P3X63Ag8U1を使用し、当日5−10×107個の細胞が得られるように融合の1週間前に培養を開始した。当日細胞を4℃1200rpmで5分間遠心し、沈殿にRPMI1640を加え再度懸濁と遠心を行い、RPMI1640 20mlを加え懸濁させ細胞数を数えた。
(3)脾細胞の調製
免疫したマウス2匹から取り出した脾臓をステンレスメッシュ上において細胞をかき出し、RPMI1640(GIBCO)でステンレスメッシュを洗って細胞を培養皿に落とした。グラスウールで細胞懸濁液を濾過し、濾液を4℃1000rpmで5分間遠心して細胞を回収し、そこに40mlのRPMI1640を加え細胞数を数えた。
(4)細胞融合
ミエローマ細胞と脾細胞が1対5になるように混ぜ、4℃1000rpmで5分間遠心した。上清を除きPEG−イーグルMEM1mlを徐々に加え細胞をほぐし、その後37℃のRPMI1640 30mlを徐々に添加した。遠心(800rpm、室温、5分)後上清を除き、37℃の10%FCS+RPMI−1640を10ml加え、37℃で60分放置後蓋をしめて天地にゆっくりと振って沈殿をほぐした。10%FCS+RPMI−1640を40ml加え、25mlづつ分注し、10%FCS+RPMI−1640を加え50mlとした。先端をカットしたクリスタルチップで96穴プレート10枚に100μlずつまき、37℃で一晩培養した。
(5)HAT選択
融合の翌日、10%FCS+RPMI−1640に50×HAT(SIGMA社)を加え2×HATを作製し、各ウエルに100μlずつ加えた。その後2、3日おきに100μlずつ培地を交換した。
(6)スクリーニング及びクローニング
融合10日後から実施例1で得られた発現タンパクHis−beta3Gn−T6を抗原としたELISA法によりスクリーニングを開始した。ELISA法は具体的には次のようにして行った。TALON(商標)CellThru(クロンテック社)ビーズを充填したカラムで精製したHis−beta3Gn−T6をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて1μg/mlに調整して96ウエルプレートに50μl/wellで添加し、4℃で16時間静置した。その後、生理食塩水300μl/wellにて3回洗浄した。これに精製水で4倍に希釈したブロックエース(大日本製薬)を200μl添加して37℃で1時間インキュベーションした。その後、生理食塩水300μl/wellにて3回洗浄した。これに、培養上清を50μl添加して37℃で1時間インキュベーションした。その後、その後、生理食塩水300μl/wellにて3回洗浄した。これに、抗マウスイムノグロブリン・ヤギポリクローナル抗体・アルカリフォスファターゼ標識(ダコ)50μg/mlを50μl/wellで添加して37℃で1時間インキュベーションした。その後、その後、生理食塩水300μl/wellにて3回洗浄した。発色は、ALPローゼ・シノテスト(シノテスト)を用い基質液50μl/well添加して室温にて20分間静置した後、呈色液50μl/wellを加えて、510−620nmで吸光度を測定した。吸光度が0.1以上を陽性とした。
その結果、960ウエル中126ウエルに陽性が認められた。この126種類の培養上清を用いて、実施例1で得られたFLAG−beta3GnT−6を抗原に大腸の組織標本を用いて免疫染色を行い、さらに、ウエスタンブロット法を行なった。免疫染色の方法は一般的なDAB法(ENVISION+キット/HRP(DAB)−ユニバーサル(マウス)、ダコ社)を用いて次のように行った。大腸組織はホルマリンにて固定して定法に従いパラフィン切片を作製した。内因性パーオキシダーゼブロッキング試薬に浸漬、30分間室温にて静置した。その後、TBSにて試薬を洗い流してトリス緩衝生理食塩水(TBS)に室温にて5分間浸漬した。各培養上清を100μl切片に添加して4℃にて一晩インキュベーションした。その後、TBSにて培養上清を洗い流してTBSに浸漬(5分間、3回)して洗浄した。続いて、EVISION+ポリマー試薬を切片に滴下して室温にて60分間インキュベーシンした。TBSにて試薬を洗い流してTBSに浸漬(5分間、3回)して洗浄した。ジアミノベンチジン溶液に浸漬して10分間静置した。精製水で試薬を洗い流して精製水に浸漬した。さらに、ヘマトキシリン溶液に7秒間浸漬した後、流水にて5分間洗浄した。脱水、透徹、封入後顕微鏡にて観察した。また、ウェスタンブロットは具体的に次のようにして行った。FLAG−beta3Gn−T6をSDS−PAGEにて電気泳動してPVDF膜に転写した後、精製水にて4倍に希釈したブロックエースにてブロッキングした。このPVDF膜を細い短冊状に切断し、PVDF膜を培養液に浸漬して室温にて1時間反応した。0.1%Tween−20を含むPBSにて3回洗浄した。これに、抗マウスイムノグロブリン・ヤギポリクローナル抗体・ハーオキシダーゼ標識(ダコ)50μg/mlを添加して室温にて1時間反応した。その後、5%Tween−20を含むPBSにて2回、PBSにて1回洗浄した。発色はイムノステインHRP−1000キット(KONICA)を用いて行った。
その結果、3種類に陽性反応が認められた。そこで、この選択した3種類のハイブリドーマ細胞群より、限界希釈法によるクローニング操作を行なった。即ち、ウエル当たり0.3細胞になるようにハイブリドーマを希釈して10日間培養し、顕微鏡下、1ウエルに1コロニーであることを確認して、その培養上清を再度上記ELISA法で陽性コロニーをスクリーニングした。この操作を再度行い、2個の抗beta3Gn−T6抗体産生クローンを得た。得られた2クローンのハイブリドーマのうちの一方をMA−136 G8 NO.144’02.10.1と命名し、上記の通り、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにブダペスト条約に基づき寄託した。受託番号は、FERM BP−8200である。
実施例3 モノクローナル抗体の反応性の確認
約2×107細胞/mlの前述のモノクローナル抗体産生細胞(FERM BP−8200)をBALB/Cおよびヌードマウスの腹腔内に投与した。2週間後腹水を採取し、30%硫安沈殿及びPBSによる透析を行い、実施例2と同様にして、ウエスタンブロッテイングおよび組織免疫染色法で確認した。その結果、大腸および胃の粘膜上皮細胞に強い反応性を認めた。
実施例4 モノクローナル抗体を用いた癌及び腫瘍の検出
上記モノクローナル抗体(FERM BP−8200)を用いて、実施例2と同様にして、胃癌、大腸癌、および家族性大腸ポリポーシスの組織の染色を行なった。その結果、胃および大腸組織の正常組織ではbeta3G−T6のモノクローナル抗体により染色が認められ、beta3Gn−T6は、胃の粘膜上皮細胞のゴルジ体領域が、大腸粘膜の杯細胞のゴルジ体領域発現していることが確認できた。胃癌および大腸癌の組織においてはbeta3Gn−T6は完全に消失していた。
家族性大腸ポリポーシスの組織は、異型度からグループ1〜5に分類した。グループ1〜5の分類基準は次のとおりである。
グループ1:正常組織、および異型を示さない良性(非腫瘍性)病変
グループ2:異型を示すが良性(非腫瘍性)と判定される病変
グループ3:良性(非腫瘍性)と悪性の境界領域の病変
グループ4:癌が強く疑われる病変
グループ5:癌
免疫組織染色の結果、グループ4以上の腫瘍性ポリープ部分ではbeta3Gn−T6は完全に消失していた。組織染色の結果は以下の表3に示した。
【配列表】
Claims (41)
- 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列又は該アミノ配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有し、N−アセチルガラクトサミニル基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有する請求項1記載のタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有する請求項1記載のタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列又は該配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有する請求項1記載のタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する請求項4記載のタンパク質。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする核酸。
- 配列番号2に示される塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、請求項1記載のタンパク質をコードする核酸。
- 配列表の配列番号2に示される塩基配列の1nt〜1152ntまでの塩基配列を有する請求項6記載の核酸。
- 請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸を含み、宿主細胞中で該核酸を発現することができる組換えベクター。
- 請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸が導入され、該核酸を発現する細胞。
- 請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、該核酸の測定用核酸。
- 請求項8記載の核酸中の部分領域と相補的な配列を有する請求項11記載の核酸測定用核酸。
- プローブ又はプライマーである請求項11又は12記載の核酸測定用核酸。
- 塩基数が15塩基以上である請求項13記載の核酸測定用核酸。
- 癌及び/又は腫瘍の診断に用いられる請求項11ないし14のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸。
- 消化器の癌及び/又は腫瘍の診断に用いられる請求項15記載の核酸測定用核酸。
- 大腸癌及び/又は胃癌の診断に用いられる請求項16記載の核酸測定用核酸。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタンパク質と抗原抗体反応する抗体又はその抗原結合性断片。
- 請求項5記載のタンパク質と抗原抗体反応する、請求項18記載の抗体又はその抗原結合性断片。
- モノクローナル抗体である請求項18又は19記載の抗体又はその抗原結合性断片。
- 標識が結合されている請求項18ないし20のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
- 癌及び/又は腫瘍の診断に用いられる請求項18ないし21のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合性断片。
- 消化器の癌及び/又は腫瘍の診断に用いられる請求項12記載の抗体又はその抗原結合性断片。
- 大腸癌及び/又は胃癌の診断に用いられる請求項23記載の抗体又はその抗原結合性断片。
- 生体から分離された試料細胞中における、請求項5記載のタンパク質の遺伝子の発現量を調べることを含む、癌及び/又は腫瘍の診断方法。
- 前記試料細胞が消化器由来の細胞であり、消化器の癌及び/又は腫瘍を診断する請求項25記載の方法。
- 前記試料細胞が、大腸又は胃由来の細胞であり、大腸癌又は胃癌を診断する請求項26記載の方法。
- 請求項11ないし14のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸と、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸とを接触させることによりハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした核酸を測定することを含む、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸の測定方法。
- 請求項11ないし14のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の一対をプライマーとし、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸を鋳型として核酸増幅法を行い、増幅産物を測定することを含む、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸の測定方法。
- 請求項5記載のタンパク質の遺伝子の発現量を、請求項11ないし14のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸と、該遺伝子から転写されたmRNA又は該mRNAを鋳型として生成されるcDNAとを接触させることによりハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした核酸を測定することを含む、請求項25ないし27のいずれか1項に記載の癌及び/又は腫瘍を診断する方法。
- 請求項5記載のタンパク質の遺伝子の発現量を、請求項11ないし14のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の一対をプライマーとし、該遺伝子から転写されたmRNA又は該mRNAを鋳型として生成されるcDNAを鋳型として核酸増幅法を行い、増幅産物を測定することを含む、請求項25ないし27のいずれか1項に記載の癌及び/又は腫瘍を診断する方法。
- 請求項18ないし21のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合性断片と、試料細胞中及び/又は細胞上の請求項5記載のタンパク質とを抗原抗体反応させ、結合した前記抗体若しくはその抗原結合性断片又は前記タンパク質を測定することを含む、癌及び/又は腫瘍の診断方法。
- 前記試料細胞が消化器由来の細胞であり、消化器の癌及び/又は腫瘍を診断する請求項32記載の方法。
- 前記試料細胞が、大腸又は胃由来の細胞であり、大腸癌又は胃癌を診断する請求項33記載の方法。
- 請求項11ないし14のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸の測定用核酸製造のための使用。
- 請求項15ないし17のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の、癌及び/又は腫瘍の診断試薬製造のための使用。
- 前記癌及び/又は腫瘍は、消化器の癌及び/又は腫瘍である請求項36記載の使用。
- 前記消化器の癌及び/又は腫瘍は、胃癌又は大腸癌である請求項37記載の使用。
- 請求項18ないし21のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合性断片の、癌及び/又は腫瘍の診断試薬製造のための使用。
- 前記癌及び/又は腫瘍は、消化器の癌及び/又は腫瘍である請求項39記載の使用。
- 前記消化器の癌及び/又は腫瘍は、胃癌又は大腸癌である請求項40記載の使用。
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