JPWO2002061284A1 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

スクロール圧縮機の固定スクロール部材(12)を固定するためのガイドフレーム(22)が複数の円筒面(33、35)を有し、揺動スクロール部材(14)をガイドフレーム(22)内において軸方向に支持するためのコンプライアントフレーム(24)が前記円筒面(33、35)に係合する複数の円筒面(23、25)を有し、ガイドフレーム(22)とコンプライアントフレーム(24)との組立を容易にするため、コンプライアントフレーム(24)をガイドフレーム(22)に挿入する際、径の小さい第1の円筒面(25、35)から順に係合される構成とする。

Description

技術分野
本発明は、一般に冷凍機器、空調機器等に使用されるスクロール圧縮機に関する。
背景技術
従来の一般的なスクロール圧縮機は、例えば特開平2000−161254号公報にて開示されており、その構成を図6を参照して説明する。
密閉容器10内において、固定スクロール部材12と揺動スクロール部材14が設けられる。固定スクロール部材12と揺動スクロール部材14はそれぞれ実質的に同一形状の板状渦巻歯16、18を有し、板状渦巻歯16、18は互いに噛み合っており、これら板状渦巻歯16、18の間で相対的に容積が変化する圧縮室20を形成している。
固定スクロール部材12は、焼きばめまたは溶接などの手段により密閉容器10の内壁に固着されたガイドフレーム22に、図示しない複数のボルトにより固定されている。固定スクロール部材12とガイドフレーム22とで形成される内部空間に前記揺動スクロール部材14とその下位に位置して揺動スクロール部材14を軸方向に支持するコンプライアントフレーム24が収容される。
揺動スクロール部材14の台板部15のほぼ中央部には中空円筒のボス部26がコンプライアントフレーム24の内部に延びるように形成されており、このボス部26に軸受27を介して主軸28の上端部のクランク軸29が回転自在に結合されている。
主軸28は、これに固定されたロータ31と、密閉容器10の内壁に固定されたステータ32とからなるモータ30によって回転駆動される。主軸28は下方に延びており、上部の第1の軸受34、第2の軸受36を介してコンプライアントフレーム24に、また下部の第3の軸受38を介してサブフレーム35に、それぞれ回転自在に軸支されている。さらに、主軸28には、クランク軸29の下側に主軸バランサ41が焼きばめなどにより固着され、ロータ31の上下面には上バランサ42と下バランサ43が固定されている。これら3個のバランサ41、42、43により、主軸28の静バランスと動バランスがとられている。なお図中、44はガラス封止されたモータ給電用の端子である。
また、揺動スクロール部材14の自転を防止するためにオルダムリング45がコンプライアントフレーム24上に載置されている。オルダムリング45は、90度の位相差をもつそれぞれ2個の爪46、47(図1では理解を容易にするため、爪46と爪47は180度の位相差で示してある。)を有し、爪46は固定スクロール部材12の台板部13にほぼ一直線上に形成された2個のオルダム案内溝48にそれぞれ往復摺動自在に係合し、爪47はこのオルダム案内溝48と90度の位相差でもって揺動スクロール部材14の台板部15にほぼ一直線上に形成された2個のオルダム案内溝49にそれぞれ往復摺動自在に係合している。そのため、主軸28のクランク軸29の回転により駆動される揺動スクロール部材14は自転することなく偏心旋回運動を行うことになる。
コンプライアントフレーム24は、外周の上下に少なくとも2個の円筒面23、25を有し、これらの円筒面23、25はガイドフレーム22に形成された円筒面33、35にそれぞれ係合し半径方向に支持されている。コンプライアントフレーム24とガイドフレーム22とは上下2個のシール材37、39を介して嵌合されており、これらのシール材37、39により両部材24、22間に形成されるフレーム空間50をシールしている。
フレーム空間50はコンプライアントフレーム24に設けられた連絡通路51に連通しており、連絡通路51の上端部は多少拡径されてコンプライアントフレーム24の上端面に開口する開口部52となっている。コンプライアントフレーム24の上端面はスラスト軸受56となっており、このスラスト軸受56を介して揺動スクロール部材14をその台板部15下面に形成されるスラスト面58と圧接摺動自在に支持する構造となっている。
揺動スクロール部材14の台板部15には抽出孔53が設けられており、その下端開口部54はスラスト面58に開口しており、上端開口部55は前記圧縮室20に開口している。そしてさらに、抽出孔53のスラスト面側開口部54は、通常運転時にはそのなす円軌跡がコンプライアントフレーム24のスラスト軸受56面に開口する連絡通路51の開口部52に収まるように配置されており、揺動スクロール部材14とコンプライアントフレーム24の密着摺動により、吸入圧力雰囲気空間17へのリークはない構造となっている。
吸入圧力雰囲気空間17は固定スクロール部材12の台板部13の外周部に設けられており、その空間17内に冷媒ガスの吸入管19が密閉容器10を貫通して圧入されている。また、台板部13には圧縮された冷媒ガスの吐出ポート21が設けられている。吐出ポート21は固定スクロール部材12と密閉容器10との間に形成される高圧室40に連通し、さらに固定スクロール部材12とガイドフレーム22の外周部に設けられた切欠き溝からなる通路60を経てガイドフレーム22の下側の同様の高圧室62に連通している。吐出管64は高圧室62に連通するよう密閉容器10に取り付けられている。
密閉容器10の底部には、例えば冷凍機油等の潤滑油70が貯留されており、この潤滑油70の中に前記主軸28の下端部に連接したオイルパイプ72が挿入されている。オイルパイプ72により吸い上げられた潤滑油70は主軸28内を軸方向に貫通する通油孔74を通り、上端の開口部76よりクランク軸29の軸受部27に導かれる。さらに、この軸受部27を潤滑した潤滑油70は、揺動スクロール部材14とコンプライアントフレーム24とで囲まれる空間(ボス部空間)78を満たすようになっている。
図7はコンプライアントフレーム24に設けられる圧力調整機構を示す部分断面図である。
図7に示すように、コンプライアントフレーム24に中間圧調整弁80が仕組まれている。中間圧調整弁80はスプリング81によって調整弁前流路82を閉じており、調整弁前流路82は前記ボス部空間78に連通している。また、調整弁後流路83は弁室と台板外周部空間すなわち低圧の吸入圧力雰囲気空間17に連通している。
次に、この従来のスクロール圧縮機の基本動作について説明する。低圧の吸入冷媒は吸入管19から固定スクロール部材12および揺動スクロール部材14の相互に噛み合っている板状渦巻歯16、18で形成される圧縮室20に入る。モータ30により駆動される揺動スクロール部材14は偏心旋回運動を行うとともに圧縮室20の容積を中心部に向かって減少させる。この圧縮行程により吸入冷媒は高圧となり、固定スクロール部材12の吐出ポート21より密閉容器10内に吐出される。また、前記圧縮行程において、圧縮途中の中間圧力の冷媒ガスは揺動スクロール部材14の抽出孔53よりコンプライアントフレーム24の通路60を経て、フレーム空間50に導かれ、この空間50の中間圧力雰囲気を維持する。高圧となった吐出ガスは密閉容器10内を高圧雰囲気で満たし、やがて吐出管64から圧縮機外に放出される。
密閉容器10底部の潤滑油70は、密閉容器10内の高圧の圧力により主軸28の通油孔74を通り、クランク軸29の軸受部27に導かれる。この軸受部27の絞り作用によって中間圧力となった潤滑油は、揺動スクロール部材14とコンプライアントフレーム24とで囲まれるボス部空間78を満たし、この空間78と低圧雰囲気空間17を連絡する中間圧調整弁80を経由して低圧雰囲気空間17に導かれ、低圧の冷媒ガスとともに圧縮室20に吸入される。圧縮行程により潤滑油70は高圧の冷媒ガスとともに吐出ポート21から密閉容器10内に開放され、ここで冷媒ガスと分離されて、再び密閉容器底部に戻る。また、ボス部空間78は、中間圧調整スプリング81のバネ定数と調整弁前流路82の断面積との積で決定される差圧を維持し、低圧雰囲気空間17より、この差圧分だけ高い中間圧に設定される。このため、揺動スクロール部材14に働く下向きの力は、この中間圧により、一部キャンセルされ、スラスト力の軽減を図ることが可能となる。
コンプライアントフレーム24には、圧縮作用により固定スクロール部材12と揺動スクロール部材14が軸方向に離れようとするスラストガス力と、ボス部空間78の中間圧力によりコンプライアントフレーム24と揺動スクロール部材14が離れようとする力の合計が、図中下向きの力として作用する。
一方、圧縮途中の冷媒ガスを導いて中間圧力雰囲気となったフレーム空間50の圧力によりコンプライアントフレーム24とガイドフレーム22を引き離そうとする力と、ガイドフレーム22下部の高圧雰囲気に露出している部分に作用する圧力との差圧力の合計が、上向きの力として作用する。
定常運転時においては前述した上向きの力が下向きの力を上回るように設定されており、このためコンプライアントフレーム24は、上下2つの嵌合された円筒面23、25がガイドフレーム22の円筒面33、35にガイドされて上方に浮上する。揺動スクロール部材14はコンプライアントフレーム24と密着摺動して同様に浮上し、その板状渦巻歯18を固定スクロール部材12に接触させて摺動する。
また、起動時や液圧縮時などには前述したスラストガス力が大きくなり、揺動スクロール部材14はスラスト軸受56を介してコンプライアントフレーム24を下方に強く押し下げるので、揺動スクロール部材14と固定スクロール部材12の板状渦巻歯18、16の歯先と歯底には比較的大きな隙間が生じ、圧縮室20の異常な圧力上昇は回避される。この動作をリリーフ動作といい、生じる隙間量をリリーフ量という。
リリーフ量はコンプライアントフレーム24とガイドフレーム22が衝突するまでの距離により管理される。
コンプライアントフレーム24には揺動スクロール部材14に発生する転覆モーメントの一部または全部が、スラスト軸受56を介して伝達されるものの、主軸28の第1の軸受34から受ける軸受負荷と、その反作用である2つの合力、すなわちコンプライアントフレーム24とガイドフレーム22の上下2つの円筒嵌合面(23、33),(25、35)から受ける反力の合力によって生じる偶力が前記転覆モーメントを打ち消すように作用するので、非常に良好な定常運転時追随動作安定性、およびリリーフ動作安定性を有する。
しかしながら、従来のスクロール圧縮機では、コンプライアントフレームとガイドフレームの組立時において次のような課題があった。すなわち、コンプライアントフレームは真っ直ぐにガイドフレームに挿入する必要があるが、少しでも傾いて入れると、コンプライアントフレームのジャミングを引き起こし、一旦そのような状態になると、それ以上挿入することも、入れ直すことも、非常に難しくなる。しかも、無理やりにコンプライアントフレームを木ハンマー等で叩いて入れたりすると、往々にして円筒嵌合面に傷を付けたり、あるいはシール材に傷を付けたりシール材が切れたりすることがあった。さらに、コンプライアントフレームはガイドフレームに挿入後回転させて位相を合わせていたが、これもシール材の損傷等の原因になるものであった。また、シール材の入れ忘れというようなミスも起こり得るものであった。
発明の開示
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、コンプライアントフレームとガイドフレームの組立が容易なスクロール圧縮機を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、コンプライアントフレームとガイドフレームの正常な組立を容易にしたスクロール圧縮機を提供するものである。
本発明の他の目的は、コンプライアントフレームの挿入と同時にその位相をも決めてしまうようにしたスクロール圧縮機を提供することにある。
本発明の請求項1に記載のスクロール圧縮機は、密閉容器内に設けられ、この密閉容器に固定されるガイドフレームに固定される固定スクロール部材と、この固定スクロール部材の板状渦巻歯と相互間に圧縮室を形成するように噛み合う板状渦巻歯を有する揺動スクロール部材と、この揺動スクロール部材を前記ガイドフレーム内において軸方向に支持するコンプライアントフレームとを備え、前記コンプライアントフレームを半径方向に支持するための少なくとも2つの径の異なる円筒面をそれぞれ前記コンプライアントフレームおよび前記ガイドフレームに設けたスクロール圧縮機において、前記コンプライアントフレームを前記ガイドフレームに挿入する際、径の小さい前記円筒面から順に係合される構成としたことを特徴とする。
このように本発明のスクロール圧縮機は、コンプライアントフレームをガイドフレームに挿入する際、コンプライアントフレームとガイドフレームが係合される個所の順序を規定したことを特徴とするものである。すなわち、径の小さい第1の円筒面から順に係合することにより、第1の円筒面のリーディング作用によりコンプライアントフレームの挿入が容易になるとともに、傾きにくくなる。そのため、コンプライアントフレームをジャミングを生じさせることなく真っ直ぐに、スムーズに挿入することができる。従って、コンプライアントフレームとガイドフレームの組立が容易なものとなる。
本発明の請求項2に記載のスクロール圧縮機は、請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームの間に形成されるフレーム空間をシールするための少なくとも2つのシール材を有し、前記コンプライアントフレームを前記ガイドフレームに挿入する際、前記2つの円筒面が先に係合され、その後、前記シール材が係合されることを特徴とする。
2つの円筒面が係合したのち、シール材が係合するので、シール材は真っ直ぐにガイドされながら係合していくため、シール材の損傷等を防ぐことができる。
本発明の請求項3に記載のスクロール圧縮機は、請求項2に記載のスクロール圧縮機において、前記コンプライアントフレームの位相決め手段を設け、前記コンプライアントフレームを前記ガイドフレームに挿入する際、前記位相決め手段により前記ガイドフレームに対し前記コンプライアントフレームの位相を拘束した後、前記シール材が係合されることを特徴とする。
この位相決め手段により、コンプライアントフレームの位相すなわち、コンプライアントフレームに設けた連絡通路の位置が挿入と同時に決まることになる。従って、コンプライアントフレームを挿入後、回転させて連絡通路の位置を合わせる必要がなくなるので、シール材の損傷等を防ぐことができる。
本発明の請求項4に記載のスクロール圧縮機は、請求項3に記載のスクロール圧縮機において、前記位相決め手段は、1つ以上のピンと穴またはこれに類似する手段からなり、前記コンプライアントフレームの回転を阻止するとともに軸方向の移動を許容するものであることを特徴とする。
位相決め手段は、コンプライアントフレームの回転を阻止し、軸方向の移動(昇降)を許容するものであれば、ピンと穴あるいはキーとキー溝等、その手段は問わないものである。
本発明の請求項5に記載のスクロール圧縮機は、請求項2または請求項3に記載のスクロール圧縮機において、前記シール材を全て前記コンプライアントフレームに装着することを特徴とする。
シール材の有無を目視で容易に確認できるため、シール材の入れ忘れ等のミスを防ぐことができる。
本発明の請求項6に記載のスクロール圧縮機は、請求項5に記載のスクロール圧縮機において、前記円筒面が係合する部分の前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームのクリアランスは、前記シール材が係合する部分の前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームのクリアランスよりも小さいことを特徴とする。
このように構成することにより、コンプライアントフレームの挿入時の傾きがしにくくなり、シール材に無理な力が働かないため、シール材の損傷等を防ぐことができ、正常なシール作用を保証することができる。
本発明の請求項7に記載のスクロール圧縮機は、請求項6に記載のスクロール圧縮機において、前記シール材の一つは前記径の小さい第1の円筒面の挿入方向後部に装着され、このシール材が装着されるシール部円筒面が前記第1の円筒面よりも若干小さく形成されていることを特徴とする。
第1の円筒面は、コンプライアントフレームをガイドフレームに挿入する際に最初に係合しリーディングの役目を果たす部分であるので、前記効果を有効に発揮させるためには第1の円筒面におけるガイド部円筒面およびシール部円筒面のはめあい公差が特に重要になる。シール部円筒面をガイド部円筒面よりも僅かに小さく形成することで、リーディングの機能と第1のシール材の正常なシール作用の保証を確保する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明のいくつかの実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明は図示の例に限定されるものではない。
実施の形態1
図1には、本発明のスクロール圧縮機の組立後の全体構成が示される。基本的に、本発明で使用される構成部品は、図6の従来例と同じであり、従ってその機能も同じであるので、同一符号を用いることとし、主として本発明に関連する事項について説明する。
図1に示すように、コンプライアントフレーム24は、上円筒面もしくは第2の円筒面23とこの円筒面23より径の小さい下円筒面もしくは第1の円筒面25を有する。下円筒面もしくは第1の円筒面25はほぼストレート(略同一外径)の外周面を有する形状となっている。下円筒面(第1の円筒面)25の全長は、従来例の段付部を含む下円筒面25の全長とほとんど同じである。また、下円筒面(第1の円筒面)25の長さは上円筒面(第2の円筒面)23のそれより長くなっている。そして、本発明では、下シール材(または第1のシール材)39が下円筒面25の外周部、特にコンプライアントフレーム24の挿入方向の後部に装着されている。同様に、上シール材(または第2のシール材)37もコンプライアントフレーム24側に装着されている。すなわち、上シール材37は上円筒面23と下円筒面25の間の段付形状で形成される中間円筒面24aに装着されている。従って、コンプライアントフレーム24の挿入の際、目視でシール材37、39の有無を容易に確認できるので、シール材37、39の入れ忘れなどの不具合ないしミスをなくすことができる。
図2は、本発明のスクロール圧縮機の主要部品の組立手順を示したものである。
まず、(a)図に示すように、コンプライアントフレーム24にシール材37、39および第1の軸受34、第2の軸受36を装着し、そのコンプライアントフレーム24をガイドフレーム22に挿入する。このとき、図3に示すように、コンプライアントフレーム24の径の小さい下円筒面(第1の円筒面)25が先にガイドフレーム22の下円筒面35の入口面35aに係合し、コンプライアントフレーム24の下円筒面25はガイドフレーム22の下円筒面35にガイドされながら挿入されていく(この作用を下円筒面25のリーディング作用と呼ぶ。)。その後、径の大きい上円筒面(第2の円筒面)23がガイドフレーム22の上円筒面33に係合する。このため、コンプライアントフレーム24をガイドフレーム22に真っ直ぐに、かつ、スムーズに挿入することができる。また、たとえコンプライアントフレーム24を僅かに傾けて挿入した場合であっても、挿入の初期段階では未だ上円筒面(第2の円筒面)23はガイドフレーム22の上円筒面33に係合しない寸法関係となっているため、容易に傾きを修正することができる。従って、コンプライアントフレーム24の挿入が容易であるとともに、傾きにくいものとなる。よって、コンプライアントフレーム24のジャミングを生じさせることなく、スムーズにコンプライアントフレーム24をガイドフレーム22に挿入することができる。
その後は、図2の(b)図に示すように、主軸バランサ41を焼きばめまたは圧入した主軸28をコンプライアントフレーム24の第1の軸受部34および第2の軸受部36に挿入する。ついで、コンプライアントフレーム24にオルダムリング45、揺動スクロール部材14、固定スクロール部材12を順にセットする((c)〜(e)図参照)。そして、固定スクロール部材12をボルト(図示せず)によってガイドフレーム22に締め付け固定する。ボルトの締め付け方向は、固定スクロール部材側からでもガイドフレーム側からでもどちらでもよい。その後、主軸28の下方よりロータ31を挿入し主軸28に固定する((e)図参照)。
実施の形態2
図4に、本発明の他の実施の形態を示す。同図はコンプライアントフレーム24をガイドフレーム22に挿入する際の説明図である。すなわち、コンプライアントフレーム24の上円筒面23および下円筒面25がそれぞれガイドフレーム22の上円筒面33、下円筒面35に係合したのち、上下のシール材37、39がそれぞれガイドフレーム22の中間円筒面22a、下円筒面35に係合する構成となっている。もちろんこの実施の形態でも、実施の形態1と同様に、先にコンプライアントフレーム24の下円筒面25がガイドフレーム22の下円筒面35に係合し、その後コンプライアントフレーム24の上円筒面23がガイドフレーム22の上円筒面33に係合する関係となっている。
この実施の形態では、コンプライアントフレーム24の上下円筒面23、25とガイドフレーム22の上下円筒面33、35との間のクリアランス(ガイド部クリアランス)は、シール材37、39が装着されている部分のコンプライアントフレーム24とガイドフレーム22との間のクリアランス(シール部クリアランス)に対し小さく設定されているため、上下円筒面23と33、25と35が先に係合し、その後、シール材37、39がガイドフレーム22の中間円筒面22a、下円筒面35に係合するので、ガイドフレーム22に対しコンプライアントフレーム24の姿勢を真っ直ぐに保ったまま、シール材37、39を係合することができる。このため、シール材の損傷等を防ぐことができる。また、前記のシール部クリアランスの下シール部クリアランスは、ガイドフレーム22の下円筒面35と下シール材39の装着部であるコンプライアントフレーム24の下シール部円筒面25aとの間のクリアランスであり、この下シール部円筒面25aは下円筒面25に対して僅かに小さい外径で形成されている。もちろんガイドフレーム22の下円筒面35側を若干径を大きくして、コンプライアントフレーム24の下円筒面25を全長にわたって同一径とすることもできるが、コンプライアントフレーム24の挿入時の傾きをしにくくするためにはこの実施の形態の方が好ましい。
実施の形態3
図5は、本発明のさらに他の実施の形態を示すものであり、コンプライアントフレーム24をガイドフレーム22に挿入する際の説明図である。
この実施の形態は、コンプライアントフレーム24の位相決め手段90を設けたものである。この位相決め手段90は、例えば、ピンと穴からなるものであり、複数のピン91をガイドフレーム22に立設し、ピン91が挿入される穴92をコンプライアントフレーム24の上円筒面23を形成するフランジ部93に設けたものである。
この位相決め手段90により、コンプライアントフレーム24をガイドフレーム22に挿入すると同時に、ガイドフレーム22に対するコンプライアントフレーム24の位相を決めることができる。すなわち、これによって連絡通路51の位置決めができ、またこのようにガイドフレーム22に対し、コンプライアントフレーム24の位相を拘束した後、シール材37、39が係合されるので、従来のようにシール材37、39が係合されてから、位相合わせのためにコンプライアントフレーム24を回転させる必要がなくなり、シール材の損傷等を防ぐことができる。
なお、位相決め手段90は、ピン91と穴92からなるもので説明したが、コンプライアントフレーム24の回転を阻止するとともに軸方向の移動を許容するものであれば何でもよく、例えばキーおよびキー溝でもよいものである。また、図5では複数のピンを記載しているが、1つでも同等の機能が満たされれば1つのピンでもよいものである。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施の形態1によるスクロール圧縮機の縦断面図である。
図2はこのスクロール圧縮機の主要部品の組立手順を示す断面図である。
図3はこのスクロール圧縮機におけるコンプライアントフレームとガイドフレームの挿入時の状態を示す断面図である。
図4は本発明の実施の形態2によるコンプライアントフレームとガイドフレームの挿入時の状態を示す断面図である。
図5は本発明の実施の形態3によるコンプライアントフレームとガイドフレームの挿入時の状態を示す断面図である。
図6は従来のスクロール圧縮機の縦断面図である。
図7はは従来のスクロール圧縮機の圧力調整機構を示す縦断面図である。

Claims (7)

  1. 密閉容器内に設けられ、この密閉容器に固定されるガイドフレームに固定される固定スクロール部材と、この固定スクロール部材の板状渦巻歯と相互間に圧縮室を形成するように噛み合う板状渦巻歯を有する揺動スクロール部材と、この揺動スクロール部材を前記ガイドフレーム内において軸方向に支持するコンプライアントフレームとを備え、前記コンプライアントフレームを半径方向に支持するための少なくとも2つの径の異なる円筒面をそれぞれ前記コンプライアントフレームおよび前記ガイドフレームに設けたスクロール圧縮機において、
    前記コンプライアントフレームを前記ガイドフレームに挿入する際、径の小さい前記円筒面から順に係合される構成としたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームの間に形成されるフレーム空間をシールするための少なくとも2つのシール材を有し、前記コンプライアントフレームを前記ガイドフレームに挿入する際、前記2つの円筒面が先に係合され、その後、前記シール材が係合されることを特徴とする請求項1記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記コンプライアントフレームの位相決め手段を設け、前記コンプライアントフレームを前記ガイドフレームに挿入する際、前記位相決め手段により前記ガイドフレームに対し前記コンプライアントフレームの位相を拘束した後、前記シール材が係合されることを特徴とする請求項2記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記位相決め手段は、1つ以上のピンと穴またはこれに類似する手段からなり、前記コンプライアントフレームの回転を阻止するとともに軸方向の移動を許容するものであることを特徴とする請求項3記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記シール材を全て前記コンプライアントフレームに装着することを特徴とする請求項2または請求項3記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記円筒面が係合する部分の前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームのクリアランスは、前記シール材が係合する部分の前記コンプライアントフレームと前記ガイドフレームのクリアランスよりも小さいことを特徴とする請求項5記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記シール材の一つは前記径の小さい第1の円筒面の挿入方向後部に装着され、このシール材が装着されるシール部円筒面が前記第1の円筒面よりも若干小さく形成されていることを特徴とする請求項6記載のスクロール圧縮機。
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