JPWO2002041375A1 - 搬送方法及びその装置、露光方法及びその装置、並びにデバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明では、基板Rの搬送中に、所定のガスが供給される空間内に基板Rを収容し、基板Rの表面に付着した異物又は基板Rの表面近傍の異物に所定の力を与えてその異物を基板Rの表面から離れさせ、基板Rの表面から離れた異物を所定のガスとともに空間の外に排出する。これにより、微小な異物の付着を防ぎ、搬送中の基板を清浄な状態に保つことができる。
Description
技術分野
本発明は、パターンが形成された基板を搬送する搬送方法及びその装置に係り、特に、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCDなど)、又は薄膜磁気ヘッド等の電子デバイスを製造するための露光方法及びその装置に用いられるものである。
背景技術
従来より、半導体素子(集積回路等)、液晶ディスプレイ等の電子デバイスの微細パターンの形成に際しては、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して描画した、基板としてのフォトマスクあるいはレチクル(以下、「マスク」と総称する)のパターンを、ステッパ等の投影露光装置を用いて、ウエハ等の被露光基板上に露光転写する方法が用いられている。
マスクには、一般に、パターン領域への塵埃などの異物の付着を防止するために、ペリクルと呼ばれる薄膜が装着されている。ペリクルは、通常、ニトロセルロース等の有機物を主成分とする厚さが数百nm〜数μm程度の透明な薄い膜状の部材からなる。投影露光装置では、こうしたペリクルが装着されたマスクを使用することにより、パターン領域への異物の直接付着が防止される。
なお、投影露光装置では、露光装置本体内にマスクを搬送するとき、予めペリクルに付着した異物の検査を行い、その検査に合格したものだけを露光装置本体内に自動搬送している。異物検査は、通常、レーザ光などの検査用照明光をペリクル表面及びマスク表面に照射し、異物からの散乱光を検出することにより行っている。
ところで、投影露光装置では、半導体集積回路の微細化に対応するために、その露光ビームの波長を、より短波長側にシフトしてきた。すなわち、これまで主流だった水銀ランプに代わって、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)といった短波長の露光光源を使用するようになり、さらに短波長の真空紫外域の光としてF2レーザー(157nm)を使用する投影露光装置も実用化の段階にある。
しかしながら、近年、パターンの微細化に伴って、ペリクル表面またはマスク表面への付着が許容される異物の大きさが小さくなり、そうした微小な異物を上述した異物検査によって正確に検出するのが難しくなる傾向にある。
120〜200nm程度の真空紫外域の光を用いる投影露光装置では、ペリクルとして前述したニトロセルロース等の有機物を用いた場合、真空紫外域の光束に対するエネルギー吸収が極めて大きい。そのため、露光ビームに真空紫外域の光束を用いる場合、有機物の薄膜からなるペリクルを装着しないマスクを使用する検討がなされている。このように、ペリクルを装着しないマスクでは、許容される異物の大きさがさらに小さくなる。そのため、検査対象としての微小な異物を正確に検出する必要がある。しかしながら、スループットに影響を与えない短い時間内で、微小な異物を検出するのは極めて難しい。
こうした微小な異物は、機械部品同士のわずかな擦れや部材表面からも発生する。従って、搬送中あるいは露光装置本体に搭載されているマスクに、微小な異物が付着するおそれがあるため、マスクの搬送空間あるいはマスクが搬送される空間をこれまでにも増して清浄な状態に保つ必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、微小な異物の付着を防ぎ、搬送中の基板を清浄な状態に保つことができる搬送方法及び搬送装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、スループット及び露光精度の向上を図ることができる露光方法及び露光装置、並びにデバイスの製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明の搬送方法は、基板を搬送する搬送方法において、前記基板の搬送中に、所定のガスが充填された空間内に前記基板を収容し、前記基板の表面に付着した異物又は前記基板の表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記基板の表面から離れさせ、前記空間内に供給された前記所定のガスとともに前記基板の表面から離れた異物を前記空間外に排出する。
この搬送方法では、搬送中の基板の表面に付着した異物又はその基板の表面近傍の異物に所定の力を与えることにより、その異物を基板の表面から離れさせ、基板の表面又はその近傍から異物を除去する。さらに、所定のガスが供給される空間内に基板を収容し、基板の表面から離れた異物を所定のガスとともに排出することにより、基板への異物の再付着が防止されるとともに、その空間内における異物の量が低減される。所定のガスは、基板を空間内に収容する前に供給してもよいし、基板の表面から異物が離れた後に供給してもよい。
この場合において、前記基板の表面にガスを噴出して又は前記基板の表面に沿ってガスを流すことにより、異物に流体の力を与えてその異物を基板の表面から離れさせることができる。
前記基板又は前記基板の表面に付着した異物を音波又は超音波によって振動させてもよい。この場合、基板又は異物が振動することにより、基板の表面に付着した異物がその表面から離れやすくなる。
また、前記基板の表面に帯電している静電気を除去することにより、基板の表面から異物が離れやすくなるとともに、静電気力による異物の再付着が抑制される。
本発明の露光方法は、パターンが形成されたマスクに露光ビームを照射して、前記マスクのパターンを物体上に転写する露光方法において、所定のガスが供給される空間内に前記マスクを収容し、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記マスクの表面から離れさせ、前記空間内に供給された前記所定のガスとともに前記マスクの表面から離れた異物を前記空間外に排出する。
この露光方法では、上述した搬送方法と同様に、搬送中のマスクの表面に付着した異物又はそのマスクの表面近傍の異物に所定の力を与えることにより、その異物をマスクの表面から離れさせ、マスクの表面又はその近傍から異物を除去する。さらに、所定のガスが供給される空間内にマスクを収容し、マスクの表面から離れた異物を所定のガスとともに排出することにより、マスクへの異物の再付着が防止されるとともに、その空間内における異物の量が低減される。したがって、露光装置本体に搭載中のマスクが清浄な状態に保たれる。所定のガスは、基板を空間内に収容する前に供給してもよいし、基板の表面から異物が離れた後に供給してもよい。
この場合において、前記露光ビームの光路上から前記マスクを退避させたときに、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物を前記マスクの表面から離れさせるとよい。この場合、マスクから除去した異物が露光ビームの光路上の他の物体に付着するのを抑制することができる。
前記マスクは、前記パターンが形成された面を保護する保護部材が装着されていないマスクであり、前記露光ビームは、波長200nm以下のエネルギービームであり、前記所定のガスは、前記露光ビームに対してエネルギー吸収の少ない透過ガスであってもよい。この場合、短波長の露光光源を用いた露光を実施することができる。
上記本発明の搬送方法を用いて、前記空間内に前記マスクを搬送してもよい。この場合、前記空間内に搬送されるマスクが清浄な状態に保たれる。
上記本発明の搬送方法は、基板を搬送する搬送装置において、所定のガスが供給される空間内に前記基板を収容する収容体と、前記基板の表面に付着した異物又は前記基板の表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記基板の表面から離れさせ、前記基板の表面から離れた異物を前記収容体から前記所定のガスとともに排出する異物除去装置とを備える本発明の搬送装置によって実現することができる。
上記本発明の露光方法は、パターンが形成されたマスクに露光ビームを照射して、前記マスクのパターンを物体上に転写する露光装置において、所定のガスが供給される空間内に前記マスクを収容するマスク室と、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記マスクの表面から離れさせ、前記マスクの表面から離れた異物を前記マスク室から前記所定のガスとともに排出する異物除去装置とを備える本発明の露光装置によって実現することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例を説明する。ただし、本発明は以下の各実施例に限定されるものではなく、例えばこれら実施例の構成要素同士を適宜組み合わせてもよいし、周知の構成を組み合わせてもよい。
図1は、本発明に係る搬送装置の第1実施例を示しており、この搬送装置H1は、基板として回路パターンが形成されたフォトマスク(以後、レチクルRと称する)を、後述する露光装置本体内に向けて搬送するためのものである。
搬送装置H1は、搬送中のレチクルRが収容されるレチクル搬送室10、レチクルRを保持しかつ所定の方向に移動するレチクルローダ11、レチクルRに付着した異物を除去するための異物除去装置12等を含んで構成されている。搬送装置H1の動作は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等を含むマイクロコンピュータ(又はミニコンピュータ)から構成される主制御装置60により統括的に制御される。
レチクル搬送室10は、隔壁20によって囲われた空間からなり、隔壁20には、レチクルRの搬出・搬入のための開口部20a,20bが形成されている。この開口部20a,20bは扉21,22によって開閉可能な構造となっている。扉21,22は不図示の駆動系を介して主制御装置60によって開閉制御される。
この搬送装置H1が搬送するレチクルRは、真空紫外域の露光ビームを用いる投影露光装置に使用される。真空紫外域の光(以下、真空紫外光と称する)は、空気中に含まれる酸素分子・水分子・二酸化炭素分子、有機物質などの物質(以後、吸光物質と称する)によってその光のエネルギーが吸収される。そのため、吸光物質がレチクルRに付着するのを防止するのを目的として、レチクル搬送室10は、所定のガスにガス置換される。このガス置換に用いられる置換ガスとしては、真空紫外域の光が透過するガス(エネルギ吸収がほとんど無い物質)、例えば、窒素ガス(N2)や、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)よりなる希ガスなどが用いられる。以降、この窒素ガス及び希ガスをまとめて「透過ガス」と呼ぶことにする。
レチクル搬送室10の隔壁20には、給気弁23と排気弁24とが設けられている。給気弁23は、給気管路を介して不図示のガス供給装置25に接続され、排気弁24は排気管路を介してガス排出装置26に接続されている。さらに、レチクル搬送室10には、レチクル搬送室10内の所定の物質(ここでは吸光物質)の濃度を計測する濃度センサ27が設置されている。ガス供給装置25、ガス排出装置26、及び濃度センサ27はそれぞれ、主制御装置60により制御される。
ガス供給装置25は、上述した透過ガス(例えばヘリウムガス)が高純度の状態で圧縮又は液化されて貯蔵されたボンベ、ガス供給用の配管、及び流量調整バルブ(いずれも不図示)等を有し、主制御装置60の制御のもとで、レチクル搬送室10内に透過ガスを供給するように構成されている。ガス排出装置26は、ガス排出用の配管、この配管を介して筐体の内部の気体を排気するための真空ポンプ、開閉バルブ(いずれも不図示)等を有し、主制御装置60の制御のもとで、レチクル搬送室10からガスを排出するように構成されている。濃度センサ27としては、例えば、酸素濃度計、水蒸気の濃度計としての露点計、及び二酸化炭素のセンサ等を組み合わせた複合センサ、質量分析計の類の装置等が用いられる。ガスの供給・排出動作のタイミングは、濃度センサの計測結果に基づいて、制御される。
レチクルローダ11は、レチクル搬送室10に隣接する第2空間SP2に対して、開口部20aを介してレチクルRを搬入及び搬出するロボットアームなどからなる。なお、扉22の外部の第1空間SP1にも、レチクル搬送室10に対してレチクルRを搬入及び搬出するロボットアームなどからなる不図示のレチクル搬送系が設けられている。
レチクルローダ11は、レチクルRのパターン面を下にした状態で、レチクルRのパターンが形成された領域(パターン領域PA)の周辺を吸着保持する。さらに、レチクルローダ11には、このレチクルRのパターン領域PAがレチクル搬送室10内の空間(下部空間)に対して露出するように、開口11aが設けられている。
上述したように、この搬送装置H1が搬送するレチクルRは、真空紫外域の露光ビームを用いる投影露光装置に使用される。通常、レチクルRのパターン面側には、パターン領域PAへの異物の付着を防止するためのペリクルと呼ばれる有機物の薄膜がペリクルフレームを介して装着されているが、有機物の薄膜は上記真空紫外域の光束に対するエネルギー吸収が極めて大きいために、本例のレチクルRには装着されていない。すなわち、レチクル搬送室10内において、レチクルRのパターン面(パターン領域PA)は、レチクル搬送室10内の雰囲気に曝されることになる。
異物除去装置12は、特にレチクルRのパターン領域PAに付着あるいは付着しようとしている異物を除去することを目的とする。なお、レチクルRは、レチクル搬送室10よりも汚れた空間、即ち、異物が浮遊する空間から搬送されてくるものとする。異物としては、第1空間SP1に配置される、例えばレチクル搬送機構部や部材表面から発生した微小な異物が含まれる。
異物除去装置12は、レチクルRのパターン面に沿って上述した透過ガス(ヘリウムガスなど)を流すガス供給装置30、レチクルRのパターン面に沿って流れた透過ガスをレチクル搬送室10内から外部へ排出するガス排出装置31とを備えている。この異物除去用のガス供給装置30は、上述したガス置換用のガス供給装置25とほぼ同じ構成とされ、上述した透過ガスが高純度の状態で圧縮又は液化されて貯蔵されたボンベ、ガス供給用の配管、及び流量調整バルブ(いずれも不図示)等に加え、レチクルRのパターン面に沿ったガスの流れを形成するためのガス流形成ノズル32を有している。異物除去用のガス排出装置31も同様に、上述したガス置換用のガス排出装置26とほぼ同じ構成とされ、ガス排出用の配管、この配管を介して筐体の内部の気体を排気するための真空ポンプ、開閉バルブ(いずれも不図示)等に加え、レチクルRのパターン面の表面から離れた異物をガスとともに吸引するためのガス吸引ノズル33を有している。本例では、レチクルRはパターン面を下に向けた状態で搬送されることから、ガス流形成ノズル32及びガス吸引ノズル33は、搬送中のレチクルRに対して下方かつパターン面に近づけて配置される。異物除去装置12におけるガスの供給・排出動作のタイミング、及びその流量等は、主制御装置60によって制御される。
なお、上述したガス置換用及び異物除去用のガス供給用の配管途中に、微小なパーティクルを除去するためのフィルタ(HEPAフィルタ,ULPAフィルタなど)や、吸光物質(吸収性のガスなど)を除去するためのケミカルフィルタ等を配設しておくのが好ましい。さらに、こうしたフィルタを介することにより、透過ガスを循環使用するようにしてもよい。
次に、この搬送装置H1において、レチクルRを、レチクル搬送室10を介して第1空間SP1から第2空間SP2に搬送する動作について、主制御装置60の制御動作を中心として説明する。
まず、レチクルRの搬送に先立って、主制御装置60は、レチクル搬送室10内を上述した透過ガスにガス置換する。すなわち、主制御装置60では、給気弁23を開放し、ガス供給装置25を駆動して透過ガスをレチクル搬送室10内に供給すると同時に、排気弁24を開放し、ガス排出装置26を駆動してレチクル搬送室10内からガスを排出する。主制御装置60は、このときの単位時間あたりのガスの給気量及び排出量が同程度となるように、不図示の流量調整バルブを調整する。レチクル搬送室10内が透過ガスに置換されたか否かは、濃度センサ27によってレチクル搬送室10から排気されるガス中の吸光物質の濃度の計測結果に基づいて判断すればよい。これにより、レチクル搬送室10内に透過ガスが充填され、吸光物質が低減された状態となる。
レチクル搬送室10がガス置換されると、主制御装置60は、レチクルRを保持した第1空間SP1内の不図示のレチクル搬送系からレチクル搬送室10内に向けてレチクルRの搬送を開始する。第1空間SP1内のレチクル搬送系がレチクル搬送室10に対して所定距離内に近づくと、隔壁20に設けられた扉22を開放する。このとき、レチクル搬送室10と第2空間SP2との境界の開口部20aは、扉21によって閉鎖された状態にある。
続いて、主制御装置60では、レチクルRを保持した第1空間SP1内のレチクル搬送系からレチクル搬送室10内のレチクルローダ11に開口部20bを介してレチクルRを受け渡す。レチクルRの受け渡し終了後、主制御装置60では、扉22を閉鎖する。これにより、レチクル搬送室10には密閉度を高めた空間が形成される。すなわち、レチクルRが、透過ガスが充填された密閉室であるレチクル搬送室10に収容された状態となる。
レチクル搬送室10にレチクルRが収容されると、主制御装置60では、異物除去装置12によってレチクルRに付着した異物を除去する。すなわち、主制御装置60では、ガス供給装置30を駆動して異物除去用のガス(上述した透過ガス)をレチクルRに向けて供給するとともに、ガス排出装置31を駆動してレチクルRから流れてきたガスを外部に排出する。このとき、ガス流形成ノズル32によってレチクルRのパターン面に沿ったガスの流れが形成され、このガスの流れの力によってレチクルRのパターン面に付着している異物が例えばパターン面の下方あるいはガスの流れに沿った水平方向に離れるようになる。さらに、このガスの流れの力によってレチクルRのパターン面の近傍に浮遊している異物もそのパターン面から離れるようになる。そして、レチクルRのパターン面から離れた異物は、ガスとともにガス吸引ノズル33に吸引され、ガス排出装置31によって外部に排出される。なお、ガス供給装置30による時間あたりのガスの供給量とガス排出装置31によるガスの排出量がほぼ同程度となるように不図示の流量調整バルブによって調整される。
こうした異物除去装置12による異物除去は、レチクル搬送室10内にレチクルRが収容されている間、継続的に行われる。すなわち、レチクルローダ11が停止している状態、移動している状態のいずれの場合にもレチクルRのパターン面に沿ってガスの流れが形成される。つまり、レチクルRのパターン面は、ガス供給装置30からのガスによって常時覆われた状態となる。そのため、レチクル搬送室10内に配置される機構部や部材表面から発生する微小な異物がレチクルRのパターン面に新たに付着したり、パターン面から離れた異物が再付着したりするのが防止される。ガス中に含まれる異物はガス排出装置31によってすぐに外部に排出されることから、レチクル搬送室10内における異物の量が低減される。
本例では、搬送対象のレチクルがペリクルを装着していないことから、パターン面への付着が許容される異物の大きさは極めて小さい。しかしながら、異物(吸光物質を含む)が低減された空間内で、上述した異物除去を継続的に行うことにより、搬送中のレチクルのパターン面が常に清浄な状態に保たれる。
続いて、レチクル搬送室10内のレチクルローダ11が次の搬送先である第2空間SP2に対して所定距離内に近づくと、主制御装置60では、扉21を開放し、レチクルローダ11によりレチクルRを第2空間SP2内のレチクル搬送系に搬入する。さらに、レチクルローダ11を開口部20aを介してレチクル搬送室10に戻し、扉21を閉じる。
こうした一連の動作により、パターン面を常に清浄な状態に保ちつつ、レチクルRを、レチクル搬送室10を介して第1空間SP1から第2空間SP2内に搬送することができる。
本実施例では、レチクル搬送室10に、給気弁23、ガス供給装置25、排気弁24、及びガス排出装置26を設けているが、ガス流形成ノズル32を構成するガス給気管に給気弁23を設け、ガス吸引ノズル33を構成するガス排気管に排気弁24を設け、ガス供給装置25、ガス排出装置26、及びそれらの配管を省略することも可能である。
次に、本発明に係る搬送装置の第2実施例について図2、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。なお、図2、図3Aおよび図3Bにおいて、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第2実施例の搬送装置H2は、上記実施例と異なり、異物除去装置として、レチクルRの表面にガスを噴出するガス噴出装置40と、レチクルRの表面で衝突したガスをレチクル搬送室10から外部に排出するガス排出装置41とを備えている。ガス噴出装置40は、圧力を高めた所定のガス(ここでは透過ガス)をレチクルRのパターン面に局所的に吹き出すものであり、噴出ガスの流れを整えるための噴出ノズル42を有している。噴出ノズル42の形態としては、例えば、図3Aに示す、ガス供給管上に所定の間隔で並べて配設された複数のノズルからなるもの、図3Bに示す、スリット状の隙間からシート状にガスを噴出する形状のものなどが用いられる。ガス排出装置41は、ガス噴出装置40によってガスの噴出が行われた付近のガスを効率的に吸引するためのガス吸引ノズル43を有している。
この第2実施例の搬送装置H2では、ガス噴出装置40からガスを噴出することによりレチクルRのパターン面にガスを衝突させる。このとき、ガスの噴流の力により、レチクルRのパターン面から異物が容易に離れるようになる。そして、レチクルRのパターン面から離れた異物は、ガスとともに、ガス排出装置41によって外部に排出される。
ガスの噴流の力を用いた異物除去は、ガスの運動量が大きいために、少ない流量のガスで効果的な異物除去が可能である。レチクルRのパターン面全体の異物除去を行うには、ガス噴出装置40の噴出ノズル42とレチクルRとを相対移動させればよい。つまり、噴出ノズル42を所定の位置に固定しておき、この噴出ノズル42に対してレチクルローダ11に搭載されたレチクルRを移動させたり、逆に、所定の駆動装置によって噴出ノズル42をレチクルRのパターン面に沿って移動または回転させたりするとよい。複数の噴出ノズル41を、レチクル搬送室10の開口部20a,20b、及びレチクル搬送室10の中央など、レチクル搬送室10の内部に分けて配置するようにしてもよい。さらに、ガス噴出装置40によって噴出するガスを高温にして、ガスの噴流のエネルギーを高めるようにしてもよい。
次に、本発明に係る搬送装置の第3実施例について図4を参照して説明する。なお、図4において、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第3実施例の搬送装置H3は、上記各実施例と異なり、レチクルR又はレチクルRの表面に音波又は超音波を与える音波発生装置45を備えている。音波発生装置45は、音波を発生するための振動子や、電源、発信器などからなる。振動子としては、例えば圧電振動子(水晶など)、電歪振動子、磁歪振動子、発音機などが用いられる。レチクルR又はレチクルRの表面に音波又は超音波を与える方法としては、上記振動子をレチクルRやレチクルRを保持するレチクルローダ11に直接接触させたり、レチクル搬送室10内のガスを媒質として上記振動子による音波を非接触にレチクルRに与えたりするとよい。異物除去用のガス供給装置30から供給されるガスに音波を乗せてレチクルRに与えるようにしてもよい。なお、音波を発生するタイミング、その周波数、及び強さは主制御装置60によって制御される。
この第3実施例の搬送装置H3では、音波発生装置45によってレチクルR又はレチクルローダ11に音波を与えることにより、レチクルRを振動(微小振動)させる。このときのレチクルRの振動により、レチクルRの表面に付着した異物が自由落下しやすくなるなど、レチクルRの表面からの異物の離脱が促進される。音波の周波数や強さ、付与時間は、レチクルR及びレチクルローダ11に支障が生じないように定められる。なお、本実施例では、レチクルRを振動させるのに音波又は超音波を用いているが、他の手段を用いてレチクルRを振動させてもよい。また、ここで発生した振動が他の機器に伝達するのを避けるために、レチクル搬送室10を防振構造としたり、レチクル搬送室10と他の機器との間に防振部材を配置したりするとよい。
次に、本発明に係る搬送装置の第4実施例について図5を参照して説明する。なお、図5において、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第4実施例の搬送装置H4は、上記各実施例と異なり、レチクルRの表面に帯電している静電気を除去する静電気除去装置(イオナイザ)47を備えている。イオナイザ47としては、例えば、コロナ放電を利用して除電用の正負イオンを作るもの、X線(軟X線など)あるいはα線をガス中に放射して電離イオンを作るもの等が用いられるが、これらに限定されるものではない。イオナイザ47は、例えば異物除去用のガス供給装置30の配管経路中に除電用のイオンを放出し、異物除去用のガスとともにレチクルRのパターン面にそのイオンを送るように配置される。ガス供給装置30を介することなく、レチクルRのパターン面に向けて除電用のイオンを放出(遠隔照射)するように配置してもよい。
この第4実施例の搬送装置H4では、イオナイザ47によってレチクルRのパターン面に帯電表出する静電気が非接触で除去される。この静電気の除去により、レチクルRの表面から異物が離れやすくなるとともに、静電気力による異物の付着(あるいは再付着)が抑制される。静電気は、搬送中におけるレチクルRの表面とガスとの摩擦、レチクルRの受け渡し動作に伴う物体同士の剥離などによって発生する。そのため、上記除電は、レチクルRに対して常時行っておくのが好ましい。
次に、本発明に係る搬送装置の第5実施例について図6を参照して説明する。なお、図6において、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第5実施例の搬送装置H5は、上記各実施例と異なり、レチクルRのパターン面を覆う保護部材50がレチクルローダ11に取り付けられ、その保護部材50で覆われた内部空間に異物除去用のガス(ここでは上述した透過ガス)が常時流れるように構成されている。すなわち、搬送装置H5には、レチクルRのパターン面を覆う、レチクル搬送室10とは別の略密閉空間が設けられ、その空間内が異物のない清純な状態に保持される。なお、異物除去用のガスを供給するガス供給用の配管51や排出用の配管52として、フレキシブルな構造のものを用いるとよい。
この第5実施例の搬送装置H4では、保護部材50によってレチクルRのパターン面が覆われる構成であることから、そのパターン面に、レチクル搬送室10内の機構部や部材表面から発生する異物が付着するのが防止される。その保護部材50によりレチクルRのパターン面を覆う略密閉の狭い空間が形成され、その空間は、レチクルRと一体的に移動することから、レチクルRの搬送中、レチクルRのパターン面に接するガスを清浄な状態に確実に維持することが可能となる。
上述した各実施例で示した搬送装置は、例えば図7に示す投影露光装置に使用される。
次に、本発明に係る露光装置の一実施例について図7を参照して説明する。図7に示す露光装置は、真空紫外域の露光ビームLBをマスクとしてのレチクルRに照射して、そのレチクルRのパターンを投影光学系PLを介して物体としてのウエハW上に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置、すなわちステッパである。
図7は、本例の投影露光装置の概略構成を示す図であり、この図7において、投影露光装置の機構部は照明系100、レチクル操作部101、投影光学系PL、及びウエハ操作部102に大きく分かれている。照明系100、レチクル操作部101、投影光学系PL、及びウエハ操作部102は、それぞれ箱状の気密構造からなる照明系チャンバ105、レチクル室106、鏡筒107、及びウエハ室108の内部に、外気(ここでは後述のチャンバ内の気体)から隔離された状態で収納されている。投影露光装置は全体として、内部の気体の温度が所定の目標範囲内に制御された一つの大きいチャンバ(不図示)の内部に収納されている。
投影露光装置の動作は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等を含むマイクロコンピュータ(又はミニコンピュータ)から構成される主制御装置60により統括的に制御される。なお、投影光学系PLの光軸に垂直な面内で図2の紙面直交方向をX方向、同面内でX方向に垂直な方向をY方向、投影光学系PLの光軸に平行な方向をZ方向として以後説明する。本例の露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向はY方向であるとする。
照明系100において、露光光源200としては、ここでは、波長約120nm〜約180nmの真空紫外域に属する光を発する光源、例えば発振波長157nmのフッ素レーザ(F2レーザ)、発振波長146nmのクリプトンダイマーレーザ(Kr2レーザ)、発振波長126nmのアルゴンダイマーレーザ(Ar2レーザ)などが用いられている。なお、光源として発振波長193nmのArFエキシマレーザ等を用いてもよい。
露光光源200から照明系チャンバ105内に射出された露光ビームLBは、ミラー201で反射され、振動等による光軸ずれをあわせるための不図示の自動追尾部、及び露光ビームLBの断面形状の整形と光量制御とを行う不図示のビーム整形光学系等を介してオプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)としてのフライアイレンズ(又はロッドレンズ)203に入射する。フライアイレンズ203の射出面には開口絞り(不図示)が配置され、フライアイレンズ203から射出されてその開口絞りを通過した露光ビームLBは、その大部分がビームスプリッタ204で反射され、リレーレンズ205を介して視野絞り(レチクルブラインド)206に達する。ビームスプリッタ204の透過光路上には、光電変換素子よりなる光量モニタ210が配置されている。
視野絞り206の配置面は露光対象のレチクルRのパターン面とほぼ共役であり、視野絞り206は、そのパターン面での細長い矩形等の照明領域の形状を規定するための固定ブラインドと、走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光を防止するためにその照明領域を閉じる可動ブラインドとを備えている。視野絞り206を通過した露光ビームLBは、リレーレンズ207、ミラー208、及び照明系チャンバ105の先端部に固定された透過窓209等を介してレチクルRのパターン面上の矩形(スリット状)の照明領域を均一な照度分布で照明する。なお、上述した露光光源200、及びミラー201から透過窓209までの複数の光学部材により上記照明系100が構成される。照明系100内の露光ビームLBの光路、すなわち露光光源200から透過窓209までの光路は、照明系チャンバ105によって密閉度が高められた空間内にある。
レチクル操作部101において、レチクルRはレチクルステージ220上に保持されている。レチクルステージ220は不図示のレチクルベース上でY方向にレチクルRを連続移動するとともに、X方向、Y方向及び回転方向に、後述するウエハステージ230との同期誤差を低減させるようにレチクルRを微小駆動する。レチクルステージ220の位置及び回転角は不図示のレーザ干渉計によって高精度に計測され、この計測値及び主制御装置60からの制御情報に基づいてレチクルステージ220が駆動される。レチクルステージ220、不図示のレチクルベース、及びレチクルローダ等からレチクル操作部101が構成され、レチクル操作部101内の露光ビームLBの光路、すなわち上記透過窓209から投影光学系PLまでの光路は、レチクル室106によって密閉度が高められた空間内にある。
投影光学系PLとしては、本例では、物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石等を光学硝材とした複数の光学素子を有する縮小倍率の屈折光学系が使用される。光学系を構成する複数の光学素子は、鏡筒107内に収納されており、投影光学系PLのレチクルR側の光学素子からウエハW側の光学素子までの光路は、鏡筒107によって密閉度が高められた空間内にある。上述した照明系100からの露光ビームLBのもとで、レチクルRの照明領域内のパターンの像が投影光学系PLを介して投影倍率β(βは例えば1/4,1/5等)で、感光材(フォトレジスト)が塗布されたウエハW上に投影される。なお、ウエハWは例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の円板状の基板である。
ウエハ操作部102において、ウエハWはウエハホルダ230上の載置面に吸着保持される。ウエハホルダ230は、投影光学系PLの像面側に配置されるステージ装置としてのウエハステージ231上に固定され、ウエハステージ231は不図示のウエハベース上でY方向にウエハWを連続移動するとともに、X方向及びY方向にウエハWをステップ移動するように構成されている。ウエハステージ231のX方向、Y方向の位置、X軸の回りの回転角(ピッチング量)、Y軸の回りの回転角(ローリング量)、及びZ軸の回りの回転角(ヨーイング量)はレーザ干渉計232によって高精度に計測され、この計測値及び主制御装置60からの制御情報に基づいて不図示の駆動装置を介してウエハステージ231が駆動される。
ウエハホルダ230、ウエハステージ231、ウエハベース、及び駆動装置によりウエハ操作部102が構成され、ウエハ操作部102から離れた位置(例えばウエハ操作部102からX方向に離れた位置)には、ウエハローダ等のウエハ搬送系233が配置されている。さらに、ウエハ操作部102の上部及び投影光学系PLの下部側面は、ウエハ室108を構成するカバーで覆われ、その内部の密閉度が高められた空間内にある。
上記構成により、この投影露光装置では、レチクルステージ220に保持されたレチクルRに露光ビームLBを照射することにより、レチクルRに形成されたパターンの像を、ウエハステージ231に保持されたウエハWに転写する露光処理を行う。
ところで、本例のように、真空紫外域の波長の光を露光ビームとする場合には、酸素分子、水分子、二酸化炭素分子、有機物質等の吸光物質を含むガス、すなわち係る波長帯域の光に対し強い吸収特性を有するガスを光路から排除する必要がある。このため、本実施例では、光路上の空間、すなわち、照明系100、レチクル室106、投影光学系PL、及びウエハ室108における各内部空間に、真空紫外域の光に対する吸収の少ない特性を有するガス、すなわち上述した透過ガスを充填し、その気圧を大気圧より高く、具体的には、大気圧に対し1〜10%程度高く設定している。符号IB1〜IB7は、上記各内部空間への透過ガスの供給を制御するための給気弁、符号OB1〜OB7は、上記各内部空間からのガスの排出を制御するための排気弁である。
レチクル室106へのレチクルRの搬入に際し、レチクルRとともに外気がレチクル室106内に僅かでも混入すると、外気に含まれる吸光物質により露光ビームLBに対して著しい吸収が生じてしまい、許容できない透過率低下や透過率変動を招くことになる。そのため、本実施例では、レチクルRを保管するレチクルライブラリRLとレチクル室106との間に、上記透過ガスで充填された空間を有するレチクル搬送路240が設けられている。なお、レチクルライブラリRLは、レチクルRがそれぞれ保管される複数段の棚を有し、内部空間が上記透過ガスにより所定の気圧で充填される。
レチクル搬送路240は、2つに分割された第1及び第2レチクル搬送室241,242からなり、このうちレチクル室106に隣接する第2レチクル搬送室241が先の図1に示した搬送装置H1が備えるレチクル搬送室10である。この第2レチクル搬送室241とレチクルライブラリRLとの間に配される第1レチクル搬送室242も先の図1に示した搬送装置H1が備えるレチクル搬送室10とほぼ同じ構成からなる。すなわち、先の図1に示した搬送装置H1は、この投影露光装置において、レチクルライブラリRLの側の第1レチクル搬送室242から露光装置本体のレチクル室106に、レチクルRを搬送する。
前述したように、本例における搬送対象のレチクルRは、ペリクルが装着されていない。そのため、パターン面への付着が許容される異物の大きさは極めて小さい。しかしながら、前述したように、上記搬送装置H1では、異物除去装置により、搬送中のレチクルRのパターン面が常に清浄な状態に保たれることから、この投影露光装置では、露光装置本体(レチクル室106)内に搬送する際のレチクルRの異物検査に係る工程を省くことが可能となる。
なお、本実施例では、第1及び第2レチクル搬送室241、242に搬送装置H1を備える構成について説明したが、第1及び第2レチクル搬送室241、242のいずれか一方に搬送装置H1を備えるようにしてもよい。
また、搬送中のレチクルRには、異物の他に有機物質が付着しているおそれがある。そのために、他の実施例として、紫外線の光を発生する光洗浄装置を搬送路に設け、搬送中にレチクルRを光洗浄することが望ましい。例えば、第1レチクル搬送室241に搬送装置H1を設け、第2レチクル搬送室242に光洗浄装置250を設ければよい。この光洗浄装置250は、紫外線の光を発生するレーザ光源、低圧水銀ランプ又は紫外線ランプを備える構成であり、紫外線の光としては、ArF(193nm)、KrF(248nm)、XeCl(308nm)等が用いられる。このように、レチクルRに紫外線の光を照射することによって、レチクルRの表面(パターン面及びパターン面とは反対側の面)に付着している有機物質が光化学反応によって分解・分離される。なお、第1レチクル搬送室241に光洗浄装置250を設け、第2レチクル搬送室242に搬送装置H1を設けてもよいし、あるいは第1及び第2レチクル搬送室241、242の各々に光洗浄装置と異物検出装置を設けてもよい。
また、第1レチクル搬送室241にレチクルRに付着した異物を検出する異物検出装置を設け、第2レチクル搬送室242に搬送装置H1を設けてもよい。この構成によれば、第2レチクル搬送室242の搬送装置H1が備える異物除去装置により、レチクルRのパターン面に付着した異物(パターン転写に影響を及ぼす程度の大きさのものであり、パターン転写に影響を及ぼさない大きさのものは無視してもよい)の有無の確認を行うことができる。なお、第1レチクル搬送室241に搬送装置H1を設け、第2レチクル搬送室242に上記異物検出装置を設けてもよい。この構成によれば、第2レチクル搬送室242の搬送装置H1が備える異物除去装置により、レチクルRのパターン面に付着した異物(パターン転写に影響を及ぼす程度の大きさのものであり、パターン転写に影響を及ぼさない大きさのものは無視してもよい)の有無の確認を行うととができ、レチクルRのパターン面に異物が付着していなければ、第1レチクル搬送室241における異物除去作業を省略することもできる。
この投影露光装置では、レチクル室106内においてもレチクルRのパターン面に対して異物除去動作を行う。つまり、図8に示すように、レチクル室106内には、先の図1〜図6に示した搬送装置H1〜H5が備える異物除去装置のうちのいずれかもしくはそれらを組み合わせた異物除去装置250が配設されている。異物除去装置250の配設位置としては、露光ビームLBの光路上からレチクルRが退避する位置とするのが好ましい。レチクルRの退避位置に異物除去装置を配設することにより、除去された異物が露光ビームの光路上の部材に付着するのを抑制することができる。レチクル室106内のレチクルRに対して異物除去を行うタイミングとしては、所定の時間経過時、レチクルRの交換時、などが挙げられる。定期的にレチクルRのパターン面の異物除去を行うことにより、レチクル室106に搬入された後も、レチクルRのパターン面が清浄な状態に保たれる。
また、ウエハ交換時、あるいは1ショットのスキャン露光動作が完了、すなわち、レチクルRの移動が停止する度に、異物除去を行ってもよい。
このように、この投影露光装置では、搬送中あるいはレチクル室106内に収容した後も、異物除去装置を用いて、レチクルRのパターン面を常に清浄な状態に保つことができる。したがって、異物による露光不良を防ぎ、露光精度の向上を図ることができる。
なお、上述した実施例において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。本発明は、以下のような変更をも含むものとする。
また、本実施例で説明した各構成要件あるいは各構成要素のそれぞれを、単独であるいは組み合わせて抽出することによって、一つあるいは複数の発明とすることができる。
上述した実施例では、露光ビームとして真空紫外光を用いるため、ペリクルが装着されていないレチクルを用いているが、これに限るものではない。すなわち、有機物に吸収されない露光ビームを用いる場合には有機物の薄膜からなるペリクルを装着したレチクルを用いてもよい。有機物の薄膜のペリクルに代えて、ペリクルとして、石英を主成分とする材質、例えば、水酸基を10ppm以下程度に排除し、フッ素を1%程度含有させたフッ素ドープ石英、ホタル石、フッ化マグネシウム、フッ化リチウムなどの結晶材料からなる300〜1000μm程度の厚さの薄板を使用することもできる。なお、ペリクルを装着したレチクルを、本実施例におけるレチクル搬送室、レチクル室内に搬送した場合に、ペリクル表面に付着した異物を除去することができる。いずれのレチクルも本発明における異物除去を行うことにより、従来に増して清浄な状態を保つことが可能となる。
なお、各実施例では、レチクル搬送室10がガス置換された後に、レチクルRをレチクル搬送室10内にレチクルRを搬送したが、レチクルRをレチクル搬送室10に搬送してからレチクル搬送室10内をガス置換してもよい。そうすることによって、レチクルR上の異物除去及びレチクル搬送室10のガス置換を同時に行うことができる。
本発明における搬送対象の基板は、レチクルに限らず、被露光基板、例えばウエハやガラスプレートにも適用される。
先の図1に示したレチクルライブラリRLに保管されている各レチクルRに対して、常に上述した異物除去を実施してもよい。
さらに、スミフボックスと呼ばれる、レチクル搬送用にレチクルを収容する収容ボックスの内部に上述した異物除去装置を設置し、ボックス内のレチクルに対して常に上述した異物除去を実施するようにしてもよい。
レチクル搬送室では、異物除去装置による物理的な異物の除去(Particle Removing)だけに限らず、レチクル搬送室に所定の波長の照明光を導き、レチクル搬送室内のレチクルに対して、光洗浄するようにしてもよい。
本発明が適用される露光装置は、露光用照明光(露光ビーム)に対してマスク(レチクル)と基板(ウエハ)とをそれぞれ相対移動する走査露光方式(例えば、ステップ・アンド・スキャン方式など)に限られるものではなく、マスクと基板とをほぼ静止させた状態でマスクのパターンを基板上に転写する静止露光方式、例えばステップ・アンド・リピート方式などでもよい。さらに、基板上で周辺部が重なる複数のショット領域にそれぞれパターンを転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置などに対しても本発明を適用することができる。投影光学系は縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでもよいし、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでもよい。さらに、投影光学系を用いない、例えばプロキシミティ方式の露光装置などに対しても本発明を適用できる。
本発明が適用される露光装置は、露光ビームとしてg線、i線、KrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエキシマレーザ光(193nm)、F2レーザ光(157nm)、レーザ光、及びAr2レーザ光などの紫外光だけでなく、例えばEUV光、X線、あるいは電子線やイオンビームなどの荷電粒子線などを用いてもよい。さらに、露光用光源は水銀ランプやエキシマレーザだけでなく、YAGレーザ又は半導体レーザなどの高調波発生装置、SOR、レーザプラズマ光源、電子銃などでもよい。
本発明が適用される露光装置は、半導体デバイス製造用に限られるものではなく、液晶表示素子、ディスプレイ装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどのマイクロデバイス(電子デバイス)製造用、露光装置で用いられるフォトマスクやレチクルの製造用などでもよい。
上述したウエハステージやレチクルステージにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力又はリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。さらに、ステージの駆動装置として平面モータを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
ウエハステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
レチクルステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
本発明が適用される露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図9は、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートである。まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターンを設計する。
次に、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。
次いで、ステップ305(デバイス組立てステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
産業上の利用の可能性
本発明の搬送方法又は搬送装置によれば、基板を収容する空間内の異物の低減化を図りつつ、基板の表面又はその表面近傍から異物を除去しかつその異物の再付着を防止することにより、搬送中の基板を清浄な状態に保つことができる。
また、本発明の露光方法又は露光装置又はデバイスの製造方法によれば、搬送中の基板を常に清浄な状態に保つことにより、露光装置本体内に搬送する際の基板の異物検査を省き、スループットの向上を図ることができる。また、搬送中あるいは露光装置本体に搭載中の基板を清浄な状態に保つことにより、露光精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る搬送装置の第1実施例を示す断面図である。
図2は、本発明に係る搬送装置の第2実施例を示す断面図である。
図3Aおよび図3Bは、噴出ノズルの形態例を示す斜視図である。
図4は、本発明に係る搬送装置の第3実施例を示す断面図である。
図5は、本発明に係る搬送装置の第4実施例を示す断面図である。
図6は、本発明に係る搬送装置の第5実施例を示す断面図である。
図7は、本発明に係る露光装置の一実施例を示す断面図である。
図8は、レチクル室に異物除去装置を配設した様子を示す断面図である。
図9は、本発明に係るデバイス製造方法の一実施例のフローチャートである。
本発明は、パターンが形成された基板を搬送する搬送方法及びその装置に係り、特に、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCDなど)、又は薄膜磁気ヘッド等の電子デバイスを製造するための露光方法及びその装置に用いられるものである。
背景技術
従来より、半導体素子(集積回路等)、液晶ディスプレイ等の電子デバイスの微細パターンの形成に際しては、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して描画した、基板としてのフォトマスクあるいはレチクル(以下、「マスク」と総称する)のパターンを、ステッパ等の投影露光装置を用いて、ウエハ等の被露光基板上に露光転写する方法が用いられている。
マスクには、一般に、パターン領域への塵埃などの異物の付着を防止するために、ペリクルと呼ばれる薄膜が装着されている。ペリクルは、通常、ニトロセルロース等の有機物を主成分とする厚さが数百nm〜数μm程度の透明な薄い膜状の部材からなる。投影露光装置では、こうしたペリクルが装着されたマスクを使用することにより、パターン領域への異物の直接付着が防止される。
なお、投影露光装置では、露光装置本体内にマスクを搬送するとき、予めペリクルに付着した異物の検査を行い、その検査に合格したものだけを露光装置本体内に自動搬送している。異物検査は、通常、レーザ光などの検査用照明光をペリクル表面及びマスク表面に照射し、異物からの散乱光を検出することにより行っている。
ところで、投影露光装置では、半導体集積回路の微細化に対応するために、その露光ビームの波長を、より短波長側にシフトしてきた。すなわち、これまで主流だった水銀ランプに代わって、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)といった短波長の露光光源を使用するようになり、さらに短波長の真空紫外域の光としてF2レーザー(157nm)を使用する投影露光装置も実用化の段階にある。
しかしながら、近年、パターンの微細化に伴って、ペリクル表面またはマスク表面への付着が許容される異物の大きさが小さくなり、そうした微小な異物を上述した異物検査によって正確に検出するのが難しくなる傾向にある。
120〜200nm程度の真空紫外域の光を用いる投影露光装置では、ペリクルとして前述したニトロセルロース等の有機物を用いた場合、真空紫外域の光束に対するエネルギー吸収が極めて大きい。そのため、露光ビームに真空紫外域の光束を用いる場合、有機物の薄膜からなるペリクルを装着しないマスクを使用する検討がなされている。このように、ペリクルを装着しないマスクでは、許容される異物の大きさがさらに小さくなる。そのため、検査対象としての微小な異物を正確に検出する必要がある。しかしながら、スループットに影響を与えない短い時間内で、微小な異物を検出するのは極めて難しい。
こうした微小な異物は、機械部品同士のわずかな擦れや部材表面からも発生する。従って、搬送中あるいは露光装置本体に搭載されているマスクに、微小な異物が付着するおそれがあるため、マスクの搬送空間あるいはマスクが搬送される空間をこれまでにも増して清浄な状態に保つ必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、微小な異物の付着を防ぎ、搬送中の基板を清浄な状態に保つことができる搬送方法及び搬送装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、スループット及び露光精度の向上を図ることができる露光方法及び露光装置、並びにデバイスの製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明の搬送方法は、基板を搬送する搬送方法において、前記基板の搬送中に、所定のガスが充填された空間内に前記基板を収容し、前記基板の表面に付着した異物又は前記基板の表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記基板の表面から離れさせ、前記空間内に供給された前記所定のガスとともに前記基板の表面から離れた異物を前記空間外に排出する。
この搬送方法では、搬送中の基板の表面に付着した異物又はその基板の表面近傍の異物に所定の力を与えることにより、その異物を基板の表面から離れさせ、基板の表面又はその近傍から異物を除去する。さらに、所定のガスが供給される空間内に基板を収容し、基板の表面から離れた異物を所定のガスとともに排出することにより、基板への異物の再付着が防止されるとともに、その空間内における異物の量が低減される。所定のガスは、基板を空間内に収容する前に供給してもよいし、基板の表面から異物が離れた後に供給してもよい。
この場合において、前記基板の表面にガスを噴出して又は前記基板の表面に沿ってガスを流すことにより、異物に流体の力を与えてその異物を基板の表面から離れさせることができる。
前記基板又は前記基板の表面に付着した異物を音波又は超音波によって振動させてもよい。この場合、基板又は異物が振動することにより、基板の表面に付着した異物がその表面から離れやすくなる。
また、前記基板の表面に帯電している静電気を除去することにより、基板の表面から異物が離れやすくなるとともに、静電気力による異物の再付着が抑制される。
本発明の露光方法は、パターンが形成されたマスクに露光ビームを照射して、前記マスクのパターンを物体上に転写する露光方法において、所定のガスが供給される空間内に前記マスクを収容し、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記マスクの表面から離れさせ、前記空間内に供給された前記所定のガスとともに前記マスクの表面から離れた異物を前記空間外に排出する。
この露光方法では、上述した搬送方法と同様に、搬送中のマスクの表面に付着した異物又はそのマスクの表面近傍の異物に所定の力を与えることにより、その異物をマスクの表面から離れさせ、マスクの表面又はその近傍から異物を除去する。さらに、所定のガスが供給される空間内にマスクを収容し、マスクの表面から離れた異物を所定のガスとともに排出することにより、マスクへの異物の再付着が防止されるとともに、その空間内における異物の量が低減される。したがって、露光装置本体に搭載中のマスクが清浄な状態に保たれる。所定のガスは、基板を空間内に収容する前に供給してもよいし、基板の表面から異物が離れた後に供給してもよい。
この場合において、前記露光ビームの光路上から前記マスクを退避させたときに、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物を前記マスクの表面から離れさせるとよい。この場合、マスクから除去した異物が露光ビームの光路上の他の物体に付着するのを抑制することができる。
前記マスクは、前記パターンが形成された面を保護する保護部材が装着されていないマスクであり、前記露光ビームは、波長200nm以下のエネルギービームであり、前記所定のガスは、前記露光ビームに対してエネルギー吸収の少ない透過ガスであってもよい。この場合、短波長の露光光源を用いた露光を実施することができる。
上記本発明の搬送方法を用いて、前記空間内に前記マスクを搬送してもよい。この場合、前記空間内に搬送されるマスクが清浄な状態に保たれる。
上記本発明の搬送方法は、基板を搬送する搬送装置において、所定のガスが供給される空間内に前記基板を収容する収容体と、前記基板の表面に付着した異物又は前記基板の表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記基板の表面から離れさせ、前記基板の表面から離れた異物を前記収容体から前記所定のガスとともに排出する異物除去装置とを備える本発明の搬送装置によって実現することができる。
上記本発明の露光方法は、パターンが形成されたマスクに露光ビームを照射して、前記マスクのパターンを物体上に転写する露光装置において、所定のガスが供給される空間内に前記マスクを収容するマスク室と、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記マスクの表面から離れさせ、前記マスクの表面から離れた異物を前記マスク室から前記所定のガスとともに排出する異物除去装置とを備える本発明の露光装置によって実現することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例を説明する。ただし、本発明は以下の各実施例に限定されるものではなく、例えばこれら実施例の構成要素同士を適宜組み合わせてもよいし、周知の構成を組み合わせてもよい。
図1は、本発明に係る搬送装置の第1実施例を示しており、この搬送装置H1は、基板として回路パターンが形成されたフォトマスク(以後、レチクルRと称する)を、後述する露光装置本体内に向けて搬送するためのものである。
搬送装置H1は、搬送中のレチクルRが収容されるレチクル搬送室10、レチクルRを保持しかつ所定の方向に移動するレチクルローダ11、レチクルRに付着した異物を除去するための異物除去装置12等を含んで構成されている。搬送装置H1の動作は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等を含むマイクロコンピュータ(又はミニコンピュータ)から構成される主制御装置60により統括的に制御される。
レチクル搬送室10は、隔壁20によって囲われた空間からなり、隔壁20には、レチクルRの搬出・搬入のための開口部20a,20bが形成されている。この開口部20a,20bは扉21,22によって開閉可能な構造となっている。扉21,22は不図示の駆動系を介して主制御装置60によって開閉制御される。
この搬送装置H1が搬送するレチクルRは、真空紫外域の露光ビームを用いる投影露光装置に使用される。真空紫外域の光(以下、真空紫外光と称する)は、空気中に含まれる酸素分子・水分子・二酸化炭素分子、有機物質などの物質(以後、吸光物質と称する)によってその光のエネルギーが吸収される。そのため、吸光物質がレチクルRに付着するのを防止するのを目的として、レチクル搬送室10は、所定のガスにガス置換される。このガス置換に用いられる置換ガスとしては、真空紫外域の光が透過するガス(エネルギ吸収がほとんど無い物質)、例えば、窒素ガス(N2)や、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)よりなる希ガスなどが用いられる。以降、この窒素ガス及び希ガスをまとめて「透過ガス」と呼ぶことにする。
レチクル搬送室10の隔壁20には、給気弁23と排気弁24とが設けられている。給気弁23は、給気管路を介して不図示のガス供給装置25に接続され、排気弁24は排気管路を介してガス排出装置26に接続されている。さらに、レチクル搬送室10には、レチクル搬送室10内の所定の物質(ここでは吸光物質)の濃度を計測する濃度センサ27が設置されている。ガス供給装置25、ガス排出装置26、及び濃度センサ27はそれぞれ、主制御装置60により制御される。
ガス供給装置25は、上述した透過ガス(例えばヘリウムガス)が高純度の状態で圧縮又は液化されて貯蔵されたボンベ、ガス供給用の配管、及び流量調整バルブ(いずれも不図示)等を有し、主制御装置60の制御のもとで、レチクル搬送室10内に透過ガスを供給するように構成されている。ガス排出装置26は、ガス排出用の配管、この配管を介して筐体の内部の気体を排気するための真空ポンプ、開閉バルブ(いずれも不図示)等を有し、主制御装置60の制御のもとで、レチクル搬送室10からガスを排出するように構成されている。濃度センサ27としては、例えば、酸素濃度計、水蒸気の濃度計としての露点計、及び二酸化炭素のセンサ等を組み合わせた複合センサ、質量分析計の類の装置等が用いられる。ガスの供給・排出動作のタイミングは、濃度センサの計測結果に基づいて、制御される。
レチクルローダ11は、レチクル搬送室10に隣接する第2空間SP2に対して、開口部20aを介してレチクルRを搬入及び搬出するロボットアームなどからなる。なお、扉22の外部の第1空間SP1にも、レチクル搬送室10に対してレチクルRを搬入及び搬出するロボットアームなどからなる不図示のレチクル搬送系が設けられている。
レチクルローダ11は、レチクルRのパターン面を下にした状態で、レチクルRのパターンが形成された領域(パターン領域PA)の周辺を吸着保持する。さらに、レチクルローダ11には、このレチクルRのパターン領域PAがレチクル搬送室10内の空間(下部空間)に対して露出するように、開口11aが設けられている。
上述したように、この搬送装置H1が搬送するレチクルRは、真空紫外域の露光ビームを用いる投影露光装置に使用される。通常、レチクルRのパターン面側には、パターン領域PAへの異物の付着を防止するためのペリクルと呼ばれる有機物の薄膜がペリクルフレームを介して装着されているが、有機物の薄膜は上記真空紫外域の光束に対するエネルギー吸収が極めて大きいために、本例のレチクルRには装着されていない。すなわち、レチクル搬送室10内において、レチクルRのパターン面(パターン領域PA)は、レチクル搬送室10内の雰囲気に曝されることになる。
異物除去装置12は、特にレチクルRのパターン領域PAに付着あるいは付着しようとしている異物を除去することを目的とする。なお、レチクルRは、レチクル搬送室10よりも汚れた空間、即ち、異物が浮遊する空間から搬送されてくるものとする。異物としては、第1空間SP1に配置される、例えばレチクル搬送機構部や部材表面から発生した微小な異物が含まれる。
異物除去装置12は、レチクルRのパターン面に沿って上述した透過ガス(ヘリウムガスなど)を流すガス供給装置30、レチクルRのパターン面に沿って流れた透過ガスをレチクル搬送室10内から外部へ排出するガス排出装置31とを備えている。この異物除去用のガス供給装置30は、上述したガス置換用のガス供給装置25とほぼ同じ構成とされ、上述した透過ガスが高純度の状態で圧縮又は液化されて貯蔵されたボンベ、ガス供給用の配管、及び流量調整バルブ(いずれも不図示)等に加え、レチクルRのパターン面に沿ったガスの流れを形成するためのガス流形成ノズル32を有している。異物除去用のガス排出装置31も同様に、上述したガス置換用のガス排出装置26とほぼ同じ構成とされ、ガス排出用の配管、この配管を介して筐体の内部の気体を排気するための真空ポンプ、開閉バルブ(いずれも不図示)等に加え、レチクルRのパターン面の表面から離れた異物をガスとともに吸引するためのガス吸引ノズル33を有している。本例では、レチクルRはパターン面を下に向けた状態で搬送されることから、ガス流形成ノズル32及びガス吸引ノズル33は、搬送中のレチクルRに対して下方かつパターン面に近づけて配置される。異物除去装置12におけるガスの供給・排出動作のタイミング、及びその流量等は、主制御装置60によって制御される。
なお、上述したガス置換用及び異物除去用のガス供給用の配管途中に、微小なパーティクルを除去するためのフィルタ(HEPAフィルタ,ULPAフィルタなど)や、吸光物質(吸収性のガスなど)を除去するためのケミカルフィルタ等を配設しておくのが好ましい。さらに、こうしたフィルタを介することにより、透過ガスを循環使用するようにしてもよい。
次に、この搬送装置H1において、レチクルRを、レチクル搬送室10を介して第1空間SP1から第2空間SP2に搬送する動作について、主制御装置60の制御動作を中心として説明する。
まず、レチクルRの搬送に先立って、主制御装置60は、レチクル搬送室10内を上述した透過ガスにガス置換する。すなわち、主制御装置60では、給気弁23を開放し、ガス供給装置25を駆動して透過ガスをレチクル搬送室10内に供給すると同時に、排気弁24を開放し、ガス排出装置26を駆動してレチクル搬送室10内からガスを排出する。主制御装置60は、このときの単位時間あたりのガスの給気量及び排出量が同程度となるように、不図示の流量調整バルブを調整する。レチクル搬送室10内が透過ガスに置換されたか否かは、濃度センサ27によってレチクル搬送室10から排気されるガス中の吸光物質の濃度の計測結果に基づいて判断すればよい。これにより、レチクル搬送室10内に透過ガスが充填され、吸光物質が低減された状態となる。
レチクル搬送室10がガス置換されると、主制御装置60は、レチクルRを保持した第1空間SP1内の不図示のレチクル搬送系からレチクル搬送室10内に向けてレチクルRの搬送を開始する。第1空間SP1内のレチクル搬送系がレチクル搬送室10に対して所定距離内に近づくと、隔壁20に設けられた扉22を開放する。このとき、レチクル搬送室10と第2空間SP2との境界の開口部20aは、扉21によって閉鎖された状態にある。
続いて、主制御装置60では、レチクルRを保持した第1空間SP1内のレチクル搬送系からレチクル搬送室10内のレチクルローダ11に開口部20bを介してレチクルRを受け渡す。レチクルRの受け渡し終了後、主制御装置60では、扉22を閉鎖する。これにより、レチクル搬送室10には密閉度を高めた空間が形成される。すなわち、レチクルRが、透過ガスが充填された密閉室であるレチクル搬送室10に収容された状態となる。
レチクル搬送室10にレチクルRが収容されると、主制御装置60では、異物除去装置12によってレチクルRに付着した異物を除去する。すなわち、主制御装置60では、ガス供給装置30を駆動して異物除去用のガス(上述した透過ガス)をレチクルRに向けて供給するとともに、ガス排出装置31を駆動してレチクルRから流れてきたガスを外部に排出する。このとき、ガス流形成ノズル32によってレチクルRのパターン面に沿ったガスの流れが形成され、このガスの流れの力によってレチクルRのパターン面に付着している異物が例えばパターン面の下方あるいはガスの流れに沿った水平方向に離れるようになる。さらに、このガスの流れの力によってレチクルRのパターン面の近傍に浮遊している異物もそのパターン面から離れるようになる。そして、レチクルRのパターン面から離れた異物は、ガスとともにガス吸引ノズル33に吸引され、ガス排出装置31によって外部に排出される。なお、ガス供給装置30による時間あたりのガスの供給量とガス排出装置31によるガスの排出量がほぼ同程度となるように不図示の流量調整バルブによって調整される。
こうした異物除去装置12による異物除去は、レチクル搬送室10内にレチクルRが収容されている間、継続的に行われる。すなわち、レチクルローダ11が停止している状態、移動している状態のいずれの場合にもレチクルRのパターン面に沿ってガスの流れが形成される。つまり、レチクルRのパターン面は、ガス供給装置30からのガスによって常時覆われた状態となる。そのため、レチクル搬送室10内に配置される機構部や部材表面から発生する微小な異物がレチクルRのパターン面に新たに付着したり、パターン面から離れた異物が再付着したりするのが防止される。ガス中に含まれる異物はガス排出装置31によってすぐに外部に排出されることから、レチクル搬送室10内における異物の量が低減される。
本例では、搬送対象のレチクルがペリクルを装着していないことから、パターン面への付着が許容される異物の大きさは極めて小さい。しかしながら、異物(吸光物質を含む)が低減された空間内で、上述した異物除去を継続的に行うことにより、搬送中のレチクルのパターン面が常に清浄な状態に保たれる。
続いて、レチクル搬送室10内のレチクルローダ11が次の搬送先である第2空間SP2に対して所定距離内に近づくと、主制御装置60では、扉21を開放し、レチクルローダ11によりレチクルRを第2空間SP2内のレチクル搬送系に搬入する。さらに、レチクルローダ11を開口部20aを介してレチクル搬送室10に戻し、扉21を閉じる。
こうした一連の動作により、パターン面を常に清浄な状態に保ちつつ、レチクルRを、レチクル搬送室10を介して第1空間SP1から第2空間SP2内に搬送することができる。
本実施例では、レチクル搬送室10に、給気弁23、ガス供給装置25、排気弁24、及びガス排出装置26を設けているが、ガス流形成ノズル32を構成するガス給気管に給気弁23を設け、ガス吸引ノズル33を構成するガス排気管に排気弁24を設け、ガス供給装置25、ガス排出装置26、及びそれらの配管を省略することも可能である。
次に、本発明に係る搬送装置の第2実施例について図2、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。なお、図2、図3Aおよび図3Bにおいて、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第2実施例の搬送装置H2は、上記実施例と異なり、異物除去装置として、レチクルRの表面にガスを噴出するガス噴出装置40と、レチクルRの表面で衝突したガスをレチクル搬送室10から外部に排出するガス排出装置41とを備えている。ガス噴出装置40は、圧力を高めた所定のガス(ここでは透過ガス)をレチクルRのパターン面に局所的に吹き出すものであり、噴出ガスの流れを整えるための噴出ノズル42を有している。噴出ノズル42の形態としては、例えば、図3Aに示す、ガス供給管上に所定の間隔で並べて配設された複数のノズルからなるもの、図3Bに示す、スリット状の隙間からシート状にガスを噴出する形状のものなどが用いられる。ガス排出装置41は、ガス噴出装置40によってガスの噴出が行われた付近のガスを効率的に吸引するためのガス吸引ノズル43を有している。
この第2実施例の搬送装置H2では、ガス噴出装置40からガスを噴出することによりレチクルRのパターン面にガスを衝突させる。このとき、ガスの噴流の力により、レチクルRのパターン面から異物が容易に離れるようになる。そして、レチクルRのパターン面から離れた異物は、ガスとともに、ガス排出装置41によって外部に排出される。
ガスの噴流の力を用いた異物除去は、ガスの運動量が大きいために、少ない流量のガスで効果的な異物除去が可能である。レチクルRのパターン面全体の異物除去を行うには、ガス噴出装置40の噴出ノズル42とレチクルRとを相対移動させればよい。つまり、噴出ノズル42を所定の位置に固定しておき、この噴出ノズル42に対してレチクルローダ11に搭載されたレチクルRを移動させたり、逆に、所定の駆動装置によって噴出ノズル42をレチクルRのパターン面に沿って移動または回転させたりするとよい。複数の噴出ノズル41を、レチクル搬送室10の開口部20a,20b、及びレチクル搬送室10の中央など、レチクル搬送室10の内部に分けて配置するようにしてもよい。さらに、ガス噴出装置40によって噴出するガスを高温にして、ガスの噴流のエネルギーを高めるようにしてもよい。
次に、本発明に係る搬送装置の第3実施例について図4を参照して説明する。なお、図4において、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第3実施例の搬送装置H3は、上記各実施例と異なり、レチクルR又はレチクルRの表面に音波又は超音波を与える音波発生装置45を備えている。音波発生装置45は、音波を発生するための振動子や、電源、発信器などからなる。振動子としては、例えば圧電振動子(水晶など)、電歪振動子、磁歪振動子、発音機などが用いられる。レチクルR又はレチクルRの表面に音波又は超音波を与える方法としては、上記振動子をレチクルRやレチクルRを保持するレチクルローダ11に直接接触させたり、レチクル搬送室10内のガスを媒質として上記振動子による音波を非接触にレチクルRに与えたりするとよい。異物除去用のガス供給装置30から供給されるガスに音波を乗せてレチクルRに与えるようにしてもよい。なお、音波を発生するタイミング、その周波数、及び強さは主制御装置60によって制御される。
この第3実施例の搬送装置H3では、音波発生装置45によってレチクルR又はレチクルローダ11に音波を与えることにより、レチクルRを振動(微小振動)させる。このときのレチクルRの振動により、レチクルRの表面に付着した異物が自由落下しやすくなるなど、レチクルRの表面からの異物の離脱が促進される。音波の周波数や強さ、付与時間は、レチクルR及びレチクルローダ11に支障が生じないように定められる。なお、本実施例では、レチクルRを振動させるのに音波又は超音波を用いているが、他の手段を用いてレチクルRを振動させてもよい。また、ここで発生した振動が他の機器に伝達するのを避けるために、レチクル搬送室10を防振構造としたり、レチクル搬送室10と他の機器との間に防振部材を配置したりするとよい。
次に、本発明に係る搬送装置の第4実施例について図5を参照して説明する。なお、図5において、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第4実施例の搬送装置H4は、上記各実施例と異なり、レチクルRの表面に帯電している静電気を除去する静電気除去装置(イオナイザ)47を備えている。イオナイザ47としては、例えば、コロナ放電を利用して除電用の正負イオンを作るもの、X線(軟X線など)あるいはα線をガス中に放射して電離イオンを作るもの等が用いられるが、これらに限定されるものではない。イオナイザ47は、例えば異物除去用のガス供給装置30の配管経路中に除電用のイオンを放出し、異物除去用のガスとともにレチクルRのパターン面にそのイオンを送るように配置される。ガス供給装置30を介することなく、レチクルRのパターン面に向けて除電用のイオンを放出(遠隔照射)するように配置してもよい。
この第4実施例の搬送装置H4では、イオナイザ47によってレチクルRのパターン面に帯電表出する静電気が非接触で除去される。この静電気の除去により、レチクルRの表面から異物が離れやすくなるとともに、静電気力による異物の付着(あるいは再付着)が抑制される。静電気は、搬送中におけるレチクルRの表面とガスとの摩擦、レチクルRの受け渡し動作に伴う物体同士の剥離などによって発生する。そのため、上記除電は、レチクルRに対して常時行っておくのが好ましい。
次に、本発明に係る搬送装置の第5実施例について図6を参照して説明する。なお、図6において、図1に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
第5実施例の搬送装置H5は、上記各実施例と異なり、レチクルRのパターン面を覆う保護部材50がレチクルローダ11に取り付けられ、その保護部材50で覆われた内部空間に異物除去用のガス(ここでは上述した透過ガス)が常時流れるように構成されている。すなわち、搬送装置H5には、レチクルRのパターン面を覆う、レチクル搬送室10とは別の略密閉空間が設けられ、その空間内が異物のない清純な状態に保持される。なお、異物除去用のガスを供給するガス供給用の配管51や排出用の配管52として、フレキシブルな構造のものを用いるとよい。
この第5実施例の搬送装置H4では、保護部材50によってレチクルRのパターン面が覆われる構成であることから、そのパターン面に、レチクル搬送室10内の機構部や部材表面から発生する異物が付着するのが防止される。その保護部材50によりレチクルRのパターン面を覆う略密閉の狭い空間が形成され、その空間は、レチクルRと一体的に移動することから、レチクルRの搬送中、レチクルRのパターン面に接するガスを清浄な状態に確実に維持することが可能となる。
上述した各実施例で示した搬送装置は、例えば図7に示す投影露光装置に使用される。
次に、本発明に係る露光装置の一実施例について図7を参照して説明する。図7に示す露光装置は、真空紫外域の露光ビームLBをマスクとしてのレチクルRに照射して、そのレチクルRのパターンを投影光学系PLを介して物体としてのウエハW上に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置、すなわちステッパである。
図7は、本例の投影露光装置の概略構成を示す図であり、この図7において、投影露光装置の機構部は照明系100、レチクル操作部101、投影光学系PL、及びウエハ操作部102に大きく分かれている。照明系100、レチクル操作部101、投影光学系PL、及びウエハ操作部102は、それぞれ箱状の気密構造からなる照明系チャンバ105、レチクル室106、鏡筒107、及びウエハ室108の内部に、外気(ここでは後述のチャンバ内の気体)から隔離された状態で収納されている。投影露光装置は全体として、内部の気体の温度が所定の目標範囲内に制御された一つの大きいチャンバ(不図示)の内部に収納されている。
投影露光装置の動作は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等を含むマイクロコンピュータ(又はミニコンピュータ)から構成される主制御装置60により統括的に制御される。なお、投影光学系PLの光軸に垂直な面内で図2の紙面直交方向をX方向、同面内でX方向に垂直な方向をY方向、投影光学系PLの光軸に平行な方向をZ方向として以後説明する。本例の露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向はY方向であるとする。
照明系100において、露光光源200としては、ここでは、波長約120nm〜約180nmの真空紫外域に属する光を発する光源、例えば発振波長157nmのフッ素レーザ(F2レーザ)、発振波長146nmのクリプトンダイマーレーザ(Kr2レーザ)、発振波長126nmのアルゴンダイマーレーザ(Ar2レーザ)などが用いられている。なお、光源として発振波長193nmのArFエキシマレーザ等を用いてもよい。
露光光源200から照明系チャンバ105内に射出された露光ビームLBは、ミラー201で反射され、振動等による光軸ずれをあわせるための不図示の自動追尾部、及び露光ビームLBの断面形状の整形と光量制御とを行う不図示のビーム整形光学系等を介してオプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)としてのフライアイレンズ(又はロッドレンズ)203に入射する。フライアイレンズ203の射出面には開口絞り(不図示)が配置され、フライアイレンズ203から射出されてその開口絞りを通過した露光ビームLBは、その大部分がビームスプリッタ204で反射され、リレーレンズ205を介して視野絞り(レチクルブラインド)206に達する。ビームスプリッタ204の透過光路上には、光電変換素子よりなる光量モニタ210が配置されている。
視野絞り206の配置面は露光対象のレチクルRのパターン面とほぼ共役であり、視野絞り206は、そのパターン面での細長い矩形等の照明領域の形状を規定するための固定ブラインドと、走査露光の開始時及び終了時に不要な部分への露光を防止するためにその照明領域を閉じる可動ブラインドとを備えている。視野絞り206を通過した露光ビームLBは、リレーレンズ207、ミラー208、及び照明系チャンバ105の先端部に固定された透過窓209等を介してレチクルRのパターン面上の矩形(スリット状)の照明領域を均一な照度分布で照明する。なお、上述した露光光源200、及びミラー201から透過窓209までの複数の光学部材により上記照明系100が構成される。照明系100内の露光ビームLBの光路、すなわち露光光源200から透過窓209までの光路は、照明系チャンバ105によって密閉度が高められた空間内にある。
レチクル操作部101において、レチクルRはレチクルステージ220上に保持されている。レチクルステージ220は不図示のレチクルベース上でY方向にレチクルRを連続移動するとともに、X方向、Y方向及び回転方向に、後述するウエハステージ230との同期誤差を低減させるようにレチクルRを微小駆動する。レチクルステージ220の位置及び回転角は不図示のレーザ干渉計によって高精度に計測され、この計測値及び主制御装置60からの制御情報に基づいてレチクルステージ220が駆動される。レチクルステージ220、不図示のレチクルベース、及びレチクルローダ等からレチクル操作部101が構成され、レチクル操作部101内の露光ビームLBの光路、すなわち上記透過窓209から投影光学系PLまでの光路は、レチクル室106によって密閉度が高められた空間内にある。
投影光学系PLとしては、本例では、物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石等を光学硝材とした複数の光学素子を有する縮小倍率の屈折光学系が使用される。光学系を構成する複数の光学素子は、鏡筒107内に収納されており、投影光学系PLのレチクルR側の光学素子からウエハW側の光学素子までの光路は、鏡筒107によって密閉度が高められた空間内にある。上述した照明系100からの露光ビームLBのもとで、レチクルRの照明領域内のパターンの像が投影光学系PLを介して投影倍率β(βは例えば1/4,1/5等)で、感光材(フォトレジスト)が塗布されたウエハW上に投影される。なお、ウエハWは例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の円板状の基板である。
ウエハ操作部102において、ウエハWはウエハホルダ230上の載置面に吸着保持される。ウエハホルダ230は、投影光学系PLの像面側に配置されるステージ装置としてのウエハステージ231上に固定され、ウエハステージ231は不図示のウエハベース上でY方向にウエハWを連続移動するとともに、X方向及びY方向にウエハWをステップ移動するように構成されている。ウエハステージ231のX方向、Y方向の位置、X軸の回りの回転角(ピッチング量)、Y軸の回りの回転角(ローリング量)、及びZ軸の回りの回転角(ヨーイング量)はレーザ干渉計232によって高精度に計測され、この計測値及び主制御装置60からの制御情報に基づいて不図示の駆動装置を介してウエハステージ231が駆動される。
ウエハホルダ230、ウエハステージ231、ウエハベース、及び駆動装置によりウエハ操作部102が構成され、ウエハ操作部102から離れた位置(例えばウエハ操作部102からX方向に離れた位置)には、ウエハローダ等のウエハ搬送系233が配置されている。さらに、ウエハ操作部102の上部及び投影光学系PLの下部側面は、ウエハ室108を構成するカバーで覆われ、その内部の密閉度が高められた空間内にある。
上記構成により、この投影露光装置では、レチクルステージ220に保持されたレチクルRに露光ビームLBを照射することにより、レチクルRに形成されたパターンの像を、ウエハステージ231に保持されたウエハWに転写する露光処理を行う。
ところで、本例のように、真空紫外域の波長の光を露光ビームとする場合には、酸素分子、水分子、二酸化炭素分子、有機物質等の吸光物質を含むガス、すなわち係る波長帯域の光に対し強い吸収特性を有するガスを光路から排除する必要がある。このため、本実施例では、光路上の空間、すなわち、照明系100、レチクル室106、投影光学系PL、及びウエハ室108における各内部空間に、真空紫外域の光に対する吸収の少ない特性を有するガス、すなわち上述した透過ガスを充填し、その気圧を大気圧より高く、具体的には、大気圧に対し1〜10%程度高く設定している。符号IB1〜IB7は、上記各内部空間への透過ガスの供給を制御するための給気弁、符号OB1〜OB7は、上記各内部空間からのガスの排出を制御するための排気弁である。
レチクル室106へのレチクルRの搬入に際し、レチクルRとともに外気がレチクル室106内に僅かでも混入すると、外気に含まれる吸光物質により露光ビームLBに対して著しい吸収が生じてしまい、許容できない透過率低下や透過率変動を招くことになる。そのため、本実施例では、レチクルRを保管するレチクルライブラリRLとレチクル室106との間に、上記透過ガスで充填された空間を有するレチクル搬送路240が設けられている。なお、レチクルライブラリRLは、レチクルRがそれぞれ保管される複数段の棚を有し、内部空間が上記透過ガスにより所定の気圧で充填される。
レチクル搬送路240は、2つに分割された第1及び第2レチクル搬送室241,242からなり、このうちレチクル室106に隣接する第2レチクル搬送室241が先の図1に示した搬送装置H1が備えるレチクル搬送室10である。この第2レチクル搬送室241とレチクルライブラリRLとの間に配される第1レチクル搬送室242も先の図1に示した搬送装置H1が備えるレチクル搬送室10とほぼ同じ構成からなる。すなわち、先の図1に示した搬送装置H1は、この投影露光装置において、レチクルライブラリRLの側の第1レチクル搬送室242から露光装置本体のレチクル室106に、レチクルRを搬送する。
前述したように、本例における搬送対象のレチクルRは、ペリクルが装着されていない。そのため、パターン面への付着が許容される異物の大きさは極めて小さい。しかしながら、前述したように、上記搬送装置H1では、異物除去装置により、搬送中のレチクルRのパターン面が常に清浄な状態に保たれることから、この投影露光装置では、露光装置本体(レチクル室106)内に搬送する際のレチクルRの異物検査に係る工程を省くことが可能となる。
なお、本実施例では、第1及び第2レチクル搬送室241、242に搬送装置H1を備える構成について説明したが、第1及び第2レチクル搬送室241、242のいずれか一方に搬送装置H1を備えるようにしてもよい。
また、搬送中のレチクルRには、異物の他に有機物質が付着しているおそれがある。そのために、他の実施例として、紫外線の光を発生する光洗浄装置を搬送路に設け、搬送中にレチクルRを光洗浄することが望ましい。例えば、第1レチクル搬送室241に搬送装置H1を設け、第2レチクル搬送室242に光洗浄装置250を設ければよい。この光洗浄装置250は、紫外線の光を発生するレーザ光源、低圧水銀ランプ又は紫外線ランプを備える構成であり、紫外線の光としては、ArF(193nm)、KrF(248nm)、XeCl(308nm)等が用いられる。このように、レチクルRに紫外線の光を照射することによって、レチクルRの表面(パターン面及びパターン面とは反対側の面)に付着している有機物質が光化学反応によって分解・分離される。なお、第1レチクル搬送室241に光洗浄装置250を設け、第2レチクル搬送室242に搬送装置H1を設けてもよいし、あるいは第1及び第2レチクル搬送室241、242の各々に光洗浄装置と異物検出装置を設けてもよい。
また、第1レチクル搬送室241にレチクルRに付着した異物を検出する異物検出装置を設け、第2レチクル搬送室242に搬送装置H1を設けてもよい。この構成によれば、第2レチクル搬送室242の搬送装置H1が備える異物除去装置により、レチクルRのパターン面に付着した異物(パターン転写に影響を及ぼす程度の大きさのものであり、パターン転写に影響を及ぼさない大きさのものは無視してもよい)の有無の確認を行うことができる。なお、第1レチクル搬送室241に搬送装置H1を設け、第2レチクル搬送室242に上記異物検出装置を設けてもよい。この構成によれば、第2レチクル搬送室242の搬送装置H1が備える異物除去装置により、レチクルRのパターン面に付着した異物(パターン転写に影響を及ぼす程度の大きさのものであり、パターン転写に影響を及ぼさない大きさのものは無視してもよい)の有無の確認を行うととができ、レチクルRのパターン面に異物が付着していなければ、第1レチクル搬送室241における異物除去作業を省略することもできる。
この投影露光装置では、レチクル室106内においてもレチクルRのパターン面に対して異物除去動作を行う。つまり、図8に示すように、レチクル室106内には、先の図1〜図6に示した搬送装置H1〜H5が備える異物除去装置のうちのいずれかもしくはそれらを組み合わせた異物除去装置250が配設されている。異物除去装置250の配設位置としては、露光ビームLBの光路上からレチクルRが退避する位置とするのが好ましい。レチクルRの退避位置に異物除去装置を配設することにより、除去された異物が露光ビームの光路上の部材に付着するのを抑制することができる。レチクル室106内のレチクルRに対して異物除去を行うタイミングとしては、所定の時間経過時、レチクルRの交換時、などが挙げられる。定期的にレチクルRのパターン面の異物除去を行うことにより、レチクル室106に搬入された後も、レチクルRのパターン面が清浄な状態に保たれる。
また、ウエハ交換時、あるいは1ショットのスキャン露光動作が完了、すなわち、レチクルRの移動が停止する度に、異物除去を行ってもよい。
このように、この投影露光装置では、搬送中あるいはレチクル室106内に収容した後も、異物除去装置を用いて、レチクルRのパターン面を常に清浄な状態に保つことができる。したがって、異物による露光不良を防ぎ、露光精度の向上を図ることができる。
なお、上述した実施例において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。本発明は、以下のような変更をも含むものとする。
また、本実施例で説明した各構成要件あるいは各構成要素のそれぞれを、単独であるいは組み合わせて抽出することによって、一つあるいは複数の発明とすることができる。
上述した実施例では、露光ビームとして真空紫外光を用いるため、ペリクルが装着されていないレチクルを用いているが、これに限るものではない。すなわち、有機物に吸収されない露光ビームを用いる場合には有機物の薄膜からなるペリクルを装着したレチクルを用いてもよい。有機物の薄膜のペリクルに代えて、ペリクルとして、石英を主成分とする材質、例えば、水酸基を10ppm以下程度に排除し、フッ素を1%程度含有させたフッ素ドープ石英、ホタル石、フッ化マグネシウム、フッ化リチウムなどの結晶材料からなる300〜1000μm程度の厚さの薄板を使用することもできる。なお、ペリクルを装着したレチクルを、本実施例におけるレチクル搬送室、レチクル室内に搬送した場合に、ペリクル表面に付着した異物を除去することができる。いずれのレチクルも本発明における異物除去を行うことにより、従来に増して清浄な状態を保つことが可能となる。
なお、各実施例では、レチクル搬送室10がガス置換された後に、レチクルRをレチクル搬送室10内にレチクルRを搬送したが、レチクルRをレチクル搬送室10に搬送してからレチクル搬送室10内をガス置換してもよい。そうすることによって、レチクルR上の異物除去及びレチクル搬送室10のガス置換を同時に行うことができる。
本発明における搬送対象の基板は、レチクルに限らず、被露光基板、例えばウエハやガラスプレートにも適用される。
先の図1に示したレチクルライブラリRLに保管されている各レチクルRに対して、常に上述した異物除去を実施してもよい。
さらに、スミフボックスと呼ばれる、レチクル搬送用にレチクルを収容する収容ボックスの内部に上述した異物除去装置を設置し、ボックス内のレチクルに対して常に上述した異物除去を実施するようにしてもよい。
レチクル搬送室では、異物除去装置による物理的な異物の除去(Particle Removing)だけに限らず、レチクル搬送室に所定の波長の照明光を導き、レチクル搬送室内のレチクルに対して、光洗浄するようにしてもよい。
本発明が適用される露光装置は、露光用照明光(露光ビーム)に対してマスク(レチクル)と基板(ウエハ)とをそれぞれ相対移動する走査露光方式(例えば、ステップ・アンド・スキャン方式など)に限られるものではなく、マスクと基板とをほぼ静止させた状態でマスクのパターンを基板上に転写する静止露光方式、例えばステップ・アンド・リピート方式などでもよい。さらに、基板上で周辺部が重なる複数のショット領域にそれぞれパターンを転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置などに対しても本発明を適用することができる。投影光学系は縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでもよいし、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでもよい。さらに、投影光学系を用いない、例えばプロキシミティ方式の露光装置などに対しても本発明を適用できる。
本発明が適用される露光装置は、露光ビームとしてg線、i線、KrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエキシマレーザ光(193nm)、F2レーザ光(157nm)、レーザ光、及びAr2レーザ光などの紫外光だけでなく、例えばEUV光、X線、あるいは電子線やイオンビームなどの荷電粒子線などを用いてもよい。さらに、露光用光源は水銀ランプやエキシマレーザだけでなく、YAGレーザ又は半導体レーザなどの高調波発生装置、SOR、レーザプラズマ光源、電子銃などでもよい。
本発明が適用される露光装置は、半導体デバイス製造用に限られるものではなく、液晶表示素子、ディスプレイ装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどのマイクロデバイス(電子デバイス)製造用、露光装置で用いられるフォトマスクやレチクルの製造用などでもよい。
上述したウエハステージやレチクルステージにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力又はリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。さらに、ステージの駆動装置として平面モータを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
ウエハステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
レチクルステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
本発明が適用される露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図9は、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートである。まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターンを設計する。
次に、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。
次いで、ステップ305(デバイス組立てステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
産業上の利用の可能性
本発明の搬送方法又は搬送装置によれば、基板を収容する空間内の異物の低減化を図りつつ、基板の表面又はその表面近傍から異物を除去しかつその異物の再付着を防止することにより、搬送中の基板を清浄な状態に保つことができる。
また、本発明の露光方法又は露光装置又はデバイスの製造方法によれば、搬送中の基板を常に清浄な状態に保つことにより、露光装置本体内に搬送する際の基板の異物検査を省き、スループットの向上を図ることができる。また、搬送中あるいは露光装置本体に搭載中の基板を清浄な状態に保つことにより、露光精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る搬送装置の第1実施例を示す断面図である。
図2は、本発明に係る搬送装置の第2実施例を示す断面図である。
図3Aおよび図3Bは、噴出ノズルの形態例を示す斜視図である。
図4は、本発明に係る搬送装置の第3実施例を示す断面図である。
図5は、本発明に係る搬送装置の第4実施例を示す断面図である。
図6は、本発明に係る搬送装置の第5実施例を示す断面図である。
図7は、本発明に係る露光装置の一実施例を示す断面図である。
図8は、レチクル室に異物除去装置を配設した様子を示す断面図である。
図9は、本発明に係るデバイス製造方法の一実施例のフローチャートである。
Claims (27)
- 基板を搬送する搬送方法であって、
前記基板の搬送中に、所定のガスが供給される空間内に前記基板を収容する工程、
前記基板の表面に付着した異物又は前記基板の表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記基板の表面から離れさせる工程、および
前記空間内に供給された前記所定のガスとともに前記基板の表面から離れた異物を前記空間外に排出する工程を具備する。 - 請求項1に記載の搬送方法であって、前記基板の表面にガスを噴出して又は前記基板の表面に沿ってガスを流して、前記基板の表面に付着した異物又は前記基板の表面近傍の異物を前記基板の表面から離れさせる工程を具備する。
- 請求項1に記載の搬送方法であって、前記基板又は前記基板の表面に付着した異物を音波又は超音波によって振動させる工程を具備する。
- 請求項1に記載の搬送方法であって、前記基板の表面に帯電している静電気を除去する工程を具備する。
- 請求項1に記載の搬送方法であって、
前記基板の搬送中に前記基板を光洗浄する工程を具備する。 - パターンが形成されたマスクに露光ビームを照射して、前記マスクのパターンを物体上に転写する露光方法であって、
所定のガスが供給される空間内に前記マスクを収容する工程、
前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記マスクの表面から離れさせる工程、および
前記空間内に供給された前記所定のガスとともに前記マスクの表面から離れた異物を前記空間外に排出する工程を具備する。 - 請求項6に記載の露光方法であって、前記露光ビームの光路上から前記マスクを退避させたときに、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物を前記マスクの表面から離れさせる工程を具備する。
- 請求項6に記載の露光方法であって、前記マスクの表面にガスを噴出して又は前記マスクの表面に沿ってガスを流して、前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物を前記マスクの表面から離れさせる工程を具備する。
- 請求項6に記載の露光方法であって、前記マスク又は前記マスクの表面に付着した異物を音波又は超音波によって振動させる工程を具備する。
- 請求項6に記載の露光方法であって、前記マスクの表面に帯電している静電気を除去する工程を具備する。
- 請求項6に記載の露光方法であって、
前記マスクは、前記パターンが形成された面を保護する保護部材が装着されていないマスクであり、
前記露光ビームは、波長200nm以下のエネルギービームであり、
前記所定のガスは、前記露光ビームに対してエネルギー吸収の少ない透過ガスである。 - 請求項1に記載の搬送方法を用いて、前記空間内に前記マスクを搬送する請求項6に記載の露光方法。
- 請求項6に記載の露光方法であって、前記基板の搬送中に、前記マスクを光洗浄する工程を具備する。
- 基板を搬送する搬送装置であって、
所定のガスが供給される空間内に前記基板を収容する収容体、および
前記基板の表面に付着した異物又は前記基板の表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記基板の表面から離れさせ、前記基板の表面から離れた異物を前記収容体から前記所定のガスとともに排出する異物除去装置を備える。 - 請求項14に記載の搬送装置であって、前記異物除去装置は、前記基板の表面にガスを噴出するガス噴出装置を備える。
- 請求項14に記載の搬送装置であって、前記基板又は前記基板の表面に音波又は超音波を与える音波発生装置を備える。
- 請求項14に記載の搬送装置であって、前記基板の表面に帯電している静電気を除去する静電気除去装置を備える。
- 請求項14に記載の搬送装置であって、
前記基板の搬送路に設けられ、前記基板に紫外線を照射し、前記基板を光洗浄する光洗浄装置を有する。 - パターンが形成されたマスクに露光ビームを照射して、前記マスクのパターンを物体上に転写する露光装置であって、
所定のガスが供給される空間内に前記マスクを収容するマスク室、および
前記マスクの表面に付着した異物又は前記マスクの表面近傍の異物に所定の力を与えて前記異物を前記マスクの表面から離れさせ、前記マスクの表面から離れた異物を前記マスク室から前記所定のガスとともに排出する異物除去装置を備える。 - 請求項19に記載の露光装置であって、前記異物除去装置は、前記露光ビームの光路上から前記マスクが退避する位置に配置されている。
- 請求項20に記載の露光装置であって、前記異物除去装置は、前記マスクの表面にガスを噴出するガス噴出装置を備える。
- 請求項20に記載の露光装置であって、前記マスク又は前記マスクの表面に音波又は超音波を与える音波発生装置を備える。
- 請求項19に記載の露光装置であって、前記マスクの表面に帯電している静電気を除去する静電気除去装置を備える。
- 請求項19に記載の露光装置であって、
前記マスクの搬送路に設けられ、前記マスクに紫外線を照射し、前記マスクを光洗浄する光洗浄装置を有する。 - パターンが形成されたマスクに露光ビームを照射して、前記マスクのパターンを物体上に転写する露光装置であって、
所定のガスが充填された空間内に前記マスクを収容するマスク室、および
前記マスク室内に前記マスクを搬送する請求項14に記載の搬送装置を備える。 - 請求項25に記載の露光装置であって、前記収容体は、前記マスク室に隣接しかつ前記マスクを一時的に収容する予備室である。
- 露光工程を含むデバイスの製造方法であって、
前記露光工程において請求項19に記載の露光装置を用いて露光を行う。
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