JP2001345264A - 露光装置及び露光方法並びにデバイスの製造方法 - Google Patents

露光装置及び露光方法並びにデバイスの製造方法

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JP2001345264A
JP2001345264A JP2001094128A JP2001094128A JP2001345264A JP 2001345264 A JP2001345264 A JP 2001345264A JP 2001094128 A JP2001094128 A JP 2001094128A JP 2001094128 A JP2001094128 A JP 2001094128A JP 2001345264 A JP2001345264 A JP 2001345264A
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JP2001094128A
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Takashi Aoki
貴史 青木
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Nikon Corp
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マスクにおける保護部材により形成される空
間内から吸光物質を効率よく安定して低減し、露光精度
を向上させることができる露光装置及び露光方法並びに
デバイスの製造方法を提供する。 【解決手段】 マスクRをユニット55a内に収容し、
このユニット55a内に露光光が透過する所定ガスを供
給し、マスクRにおける保護部材PEにより形成される
空間GS内を、ユニット55a内に供給される所定ガス
で置換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子、液晶
表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド等の
電子デバイスを製造するための露光装置及び露光方法並
びにデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子や液晶表示素子等の電子デバ
イスをフォトリソグラフィ工程で製造する際に、パター
ンが形成されたマスクあるいはレチクル(以下、レチク
ルと称する)のパターン像を投影光学系を介して感光材
(レジスト)が塗布された基板上の各投影(ショット)
領域に投影する投影露光装置が使用されている。電子デ
バイスの回路は、上記投影露光装置で被露光基板上に回
路パターンを露光することにより転写され、後処理によ
って形成される。こうして形成される回路配線を例えば
20層程度にわたって繰り返し成層したものが集積回路
である。
【0003】近年、集積回路の高密度集積化、すなわち
回路パターンの微細化が進められており、これに伴い、
投影露光装置における露光用照明光(露光光)が短波長
化される傾向にある。すなわち、露光光として、これま
で主流だった水銀ランプの輝線にかわって、KrFエキ
シマレーザ(波長:248nm)が用いられるようにな
り、さらに短波長のArFエキシマレーザ(193n
m)の実用化も最終段階に入りつつある。また、さらな
る高密度集積化をめざして、F2 レーザ(157nm)
やAr2 レーザ(126nm)の研究も進められてい
る。
【0004】波長120nm〜200nm程度の光(エ
ネルギビーム)は真空紫外域に属し、これらの光(以
下、真空紫外光と称する)は、空気を透過しない。これ
は、空気中に含まれる酸素分子・水分子・二酸化炭素分
子などの物質(以下、吸光物質と称する)によって光の
エネルギが吸収されるからである。
【0005】そのため、真空紫外光を露光光として用い
る場合、露光光を十分な照度で基板に到達させるには、
露光光の光路上の空間から吸光物質を低減する必要があ
る。こうしたことから、従来の露光装置では、光路空間
における吸光物質を低減するために、該空間を減圧した
状態に維持したり、該空間を減圧した後に露光光のエネ
ルギ吸収の少ないガス(低吸収性ガス)を供給して該空
間内をガス置換したりしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、レチクルに
は、パターン形成領域への異物の付着を防止するため
に、ペリクルと呼ばれる保護部材がフレーム(金枠)を
介して取り付けられているのが一般的である。そのた
め、上述のように真空紫外線光を露光光として用いる場
合、保護部材と金枠とで形成される空間(保護部材内空
間)内の吸光物質も低減する必要がある。ところが、保
護部材は非常に薄い部材で形成されており、上述したよ
うに空間内を減圧する方法では、該空間内の圧力変化に
伴って保護部材が変形して破損する恐れがあり、安定し
て吸光物質を低減するのが難しい。
【0007】本発明は、上述する事情に鑑みてなされた
ものであり、レチクルにおける保護部材により形成され
る空間内から吸光物質を効率よく安定して低減し、露光
精度を向上させることができる露光装置及び露光方法並
びにデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述課題を解決すること
を目的として、請求項1に記載の発明は、マスク基板上
のパターン形成領域を保護する保護部材(PE)と該保
護部材(PE)を支持するフレーム(PF)とで形成さ
れる空間(GS)を有するマスク(R)を用いて、基板
(W)に前記マスク(R)のパターンを転写する露光装
置(10)において、前記マスク(R)を収容するユニ
ット(55a)と、前記ユニット(55a)内に露光光
が透過する所定ガスを供給するガス供給装置(70)
と、前記空間(GS)内を前記ユニット(55a)内に
供給される前記所定ガスで置換するガス置換機構とを有
することを特徴とする。この露光装置では、ガス供給装
置により、露光光が透過する所定ガスがマスクを収容す
るユニット内に供給され、ガス置換機構により、マスク
基板を保護する保護部材の内部の空間がユニット内に供
給された所定ガスにガス置換される。これにより、保護
部材の内部の空間から吸光物質が効率よく安定して低減
される。
【0009】この場合において、請求項2に記載の発明
のように、前記空間(GS)から前記ユニット(55
a)内に排気された気体を、該ユニット(55a)内か
ら排気する排気装置(71)を有することにより、より
短時間でガス置換が実施される。
【0010】また、請求項3に記載の発明のように、前
記フレーム(PF)は、前記空間(GS)内に前記ユニ
ット(55a)内の前記所定ガスを給気する給気口(h
3,h4)と、前記ユニット(55a)内に前記空間
(GS)の気体を排気する排気口(h1,h2)とを有
するとよい。
【0011】また、請求項4に記載の発明のように、前
記ガス置換機構は、前記ユニット(55a)内に供給さ
れた前記所定ガスが前記空間(GS)内に流入するよう
に、前記ガス供給装置(70)と前記ガス排気装置(7
1)とを制御する制御装置(23)を有してもよい。こ
の場合、制御装置(23)の制御により、ユニット(5
5a)内に供給された所定ガスが空間(GS)内に安定
的に流入する。
【0012】また、請求項5に記載の発明のように、前
記フレーム(PF)は、前記所定ガスを給気する給気口
(h3,h4)と、前記空間(GS)の気体を排気する
排気口(h1,h2)とを有し、前記ガス置換機構は、
前記給気口(h3,h4)に接続され、前記空間(G
S)に前記所定ガスを供給するガス供給ノズル(74)
と、前記排気口(h1,h2)に接続され、前記空間
(GS)の気体を排気する排気ノズル(77)とを有す
るとよい。この場合には、ガス供給ノズルにより、所定
ガスがフレームの給気口を介して保護部材内の空間内に
直接導かれるとともに、排気ノズルにより、その空間内
の気体がフレームの排出口を介して直接排気される。そ
のため、その空間のガス置換に伴って消費される所定ガ
スに無駄が少ない。
【0013】また、請求項6に記載の発明のように、前
記ガス置換機構は、前記空間(GS)の圧力変化を検出
する検出装置(121)と、前記検出装置(121)の
検出結果に基づいて前記ガス供給装置(123)及び前
記ガス排気装置(124)のうち、少なくとも一つを制
御して前記空間(GS)の圧力を所定の圧力に保つ制御
装置(122)とを備えてもよい。この場合には、検出
装置による検出結果に基づいて保護部材内の空間が所定
の圧力に保たれるために、保護部材の破損が確実に防止
される。
【0014】この場合において、請求項7に記載の発明
のように、前記検出装置(121)は、前記保護部材
(PE)の変位を検出する変位センサを備えることによ
り、外部から保護部材内の空間内の圧力変化を検出でき
る。
【0015】また、請求項8に記載の発明のように、前
記ガス置換室(130)は、前記マスク(R)又は前記
保護部材(PE)の少なくとも一方を光洗浄する光洗浄
装置(131)を備えてもよい。この場合には、光洗浄
装置により、保護部材に付着した吸光物質が酸化分解さ
れるために、保護部材を有するレチクルを露光光が確実
に透過するようになる。
【0016】請求項9に記載の発明は、マスク基板上の
パターン形成領域を保護する保護部材(PE)と該保護
部材(PE)を支持するフレーム(PF)とで形成され
る空間(GS)を有するマスク(R)を用いて、基板
(W)に前記マスク(R)のパターンを転写する露光方
法において、前記マスク(R)をユニット(55a)内
に収容し、前記ユニット(55a)内に露光光が透過す
る所定ガスを供給し、前記空間(GS)内を前記ユニッ
ト(55a)内に供給される前記所定ガスで置換するこ
とを特徴とする。この露光方法では、請求項1に記載の
発明と同様に、保護部材の内部の空間から吸光物質が効
率よく安定して低減される。
【0017】この場合において、請求項10に記載の発
明のように、前記フレーム(PF)は、前記空間(G
S)内に前記ユニット(55a)内の前記所定ガスを給
気する給気口(h3,h4)と、前記ユニット(55
a)内に前記空間(GS)内の気体を排気する排気口
(h1,h2)とを有し、前記ユニット(55a)内に
供給された前記所定ガスが前記給気口(h3,h4)を
介して前記空間(GS)内に流入するように、前記所定
ガスの供給及び前記ユニット(55a)内の気体の排気
を制御するとよい。
【0018】さらに、この場合において、請求項11に
記載の発明のように、前記給気口(h3,h4)に接続
されたガス供給ノズル(74)を介して、前記空間(G
S)に前記所定ガスを供給し、前記排気口(h1,h
2)に接続された排気ノズル(77)を介して、前記空
間(GS)の気体を排気するとよい。
【0019】請求項12に記載の発明は、リソグラフィ
工程を含むデバイスの製造方法であって、前記リソグラ
フィ工程では請求項1から請求項8のいずれか一項に記
載の露光装置を用いてデバイスを製造することを特徴と
する。このデバイスの製造方法では、上述した発明に係
る露光装置を用いてデバイスを製造するために、十分な
照度の露光光で基板が照射され、デバイスのパターン精
度が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る露光装置の第
1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、
本発明に係る露光装置10の概略構成を示している。
【0021】この露光装置10は、マスクとしてのレチ
クルRと基板としてのウエハWとを一次元方向に同期移
動させつつ、レチクルRに形成されたパターンを投影光
学系PLを介してウエハWの各ショット領域に転写す
る、ステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影露光装
置である。
【0022】露光装置10は、光源20、該光源20か
らの光束LBをレチクルRに照明する照明光学系LO、
レチクルRを収容するレチクル室21、レチクルRから
射出される露光光ILをウエハW上に投射する投影光学
系PL、ウエハWを収容するウエハ室22、及び主制御
装置23等を備えている。
【0023】前記光源20としては、ここでは、波長約
120nm〜約180nmの真空紫外光域に属する光を
発する光源、例えば発振波長157nmのフッ素レーザ
(F 2 レーザ)、発振波長146nmのクリプトンダイ
マーレーザ(Kr2 レーザ)、発振波長126nmのア
ルゴンダイマーレーザ(Ar2 レーザ)などが用いられ
ている。なお、光源として発振波長193nmのArF
エキシマレーザ等を用いてもよい。
【0024】前記照明光学系LOは、光源20から射出
された光束(レーザビーム)LBを所定の方向に折り曲
げるミラー30、該ミラー30によって導かれた光束L
Bをほぼ均一な照度分布の光束に調整して露光光ILに
変換するオプチカルインテグレータ31、露光光ILの
大部分(例えば97%)を透過するとともに残りの部分
(例えば3%)をインテグレータセンサ32bに導くビ
ームスプリッタ33、該ビームスプリッタ33を透過し
ミラー34及びリレーレンズ35等で導かれた露光光I
Lを所定の照明範囲に規定するレチクルブラインド3
6、該レチクルブラインド36の開口を透過した露光光
ILをレチクル室21に導くリレーレンズ37及びミラ
ー38等を含んで構成されている。また、ビームスプリ
ッタ33を透過し、ウエハWもしくはビームスプリッタ
33とウエハWとの間に配置される複数の光学部材から
反射して戻ってきた露光光ILをビームスプリッタ33
を介して受光する反射率モニタ32aとを備える。
【0025】反射率モニタ32a及びインテグレータセ
ンサ32bは光電変換素子等からなっており、ビームス
プリッタ33によって導かれる露光光ILの一部分を光
電変換し、その光電変換信号を主制御装置23に供給す
るものである。すなわち、主制御装置23はこの反射率
モニタ32a及びインテグレータセンサ32bからの情
報に基づいて光源20を駆動・停止させるようになって
おり、これによってウエハWに対する露光量(露光光の
照射量)が制御される。インテグレータセンサ32bの
出力信号は、露光動作前に、ウエハステージ47に取り
付けられた照射量モニタで、投影光学系PLを通過して
きた露光光ILを受光して得られる出力信号と関係付け
られている。
【0026】また、レチクルブラインド36は、例え
ば、平面L字状に屈曲し露光光ILの光軸と直交する面
内で組み合わせられることによって矩形状の開口を形成
する一対のブレード(不図示)と、これらブレードを主
制御装置23の指示に基づいて光軸と直交する面内で変
位させる遮光部変位装置(不図示)とを備えている。こ
のとき、ブレードはレチクルRのパターン面と共役な面
に配置される。また、レチクルブラインド36の開口の
大きさはブレードの変位に伴って変化し、この開口によ
り規定された露光光ILは、リレーレンズ37を介して
レチクル室21に配されたレチクルRの特定領域をほぼ
均一な照度で照明する。
【0027】前記レチクル室21は、照明光学系LOの
ハウジングIU及び投影光学系PLのハウジングと隙間
無く接合された隔壁40によって形成されており、その
内部空間において、レチクルRを真空吸着によって保持
するレチクルホルダ41を備えている。すなわち、本実
施例では、この隔壁40が一つのユニット(以下、レチ
クル室21と称する)を構成しており、このレチクル室
21は外部に対して内部空間が気密性を持つ気密構造で
ある。ここで、気密構造とは、レチクル室21外に気体
から完全に遮断された完全密閉構造であってもよいし、
レチクル室21内の圧力がレチクル室21外の圧力より
も高めに設定され、空間内から空間外に気体が漏れる構
造であってもよい。また、レチクル室21内外が同気圧
であり、レチクル室21外との間で気体の流れがほとん
どない構造も含まれる。
【0028】このレチクルホルダ41は、レチクルR上
のパターンが形成された領域であるパターン領域に対応
した開口を有し、不図示の駆動系によりX方向、Y方
向、θ方向(Z軸回りの回転方向)に微動可能となって
いる。これにより、パターン領域の中心が投影光学系P
Lの光軸を通るようにレチクルRの位置決めが可能な構
成となっている。なお、レチクルホルダ41の駆動機構
は、例えば2組のボイスコイルモータを用いて構成され
る。
【0029】また、レチクル室21の隔壁40の天井部
には、照明光学系LOにおけるハウジングIUの内部空
間とレチクル室21の内部空間とを分離するように光学
部材42が配置されている。この光学部材42は、照明
光学系LOからレチクルRに照明される露光光ILの光
路上に配置されるため、真空紫外線光である露光光IL
に対して透過性の高い蛍石等の結晶材料によって形成さ
れる。
【0030】前記投影光学系PLは、蛍石、フッ化リチ
ウム等のフッ化物結晶からなるレンズや反射鏡などの複
数の光学部材をハウジング(鏡筒)で密閉度を高めたも
のである。本実施形態では、この投影光学系PLとし
て、投影倍率が例えば1/4あるいは1/5の縮小光学
系が用いられてる。このため、照明光学系LOからの露
光光ILによりレチクルRが照明されると、レチクルR
に形成されたパターンが投影光学系PLによりウエハW
上の特定領域(ショット領域)に縮小投影される。な
お、投影光学系PLの各光学部材は、それぞれ保持部材
(不図示)を介してハウジングに支持され、該各保持部
材は、各光学部材の周縁部を保持するように例えば円環
状に形成されている。
【0031】前記ウエハ室22は、投影光学系PLのハ
ウジングと隙間無く接合された隔壁45によって形成さ
れており、その内部空間において、ウエハWを真空吸着
によって保持するウエハホルダ46と、該ウエハホルダ
46を支持するウエハステージ47とを備えている。本
実施例では、この隔壁45によって形成されるウエハ室
22は、レチクル室21と同様に定義される気密構造で
構成される。
【0032】ウエハステージ47は、例えば磁気浮上型
の2次元リニアアクチュエータ(平面モータ)等からな
る駆動系(不図示)により、XY平面(投影光学系PL
の光軸に垂直な方向)に沿った水平方向に自在に駆動さ
れるように構成されている。また、ウエハステージ47
の位置は、レーザ光源やプリズム等の光学部材及びディ
テクタなどからなるレーザ干渉システムによって調整さ
れる。このレーザ干渉システムを構成する部材は、該部
材から発生する異物によって露光に対して悪影響が生じ
るのを防止するために、ウエハ室22の外部に配置され
ている。なお、各レーザ干渉計を構成する各部品から吸
光物質の発生が十分に抑制されている場合は、これら各
部品をウエハ室22に配置してもよい。
【0033】また、ウエハ室22では、ウエハステージ
47のXY面内の移動により、ウエハW上の任意のショ
ット領域をレチクルRのパターンの投影位置(露光位
置)に位置決めし、レチクルRのパターン像を投影転写
するようになっている。これにより、本実施形態の露光
装置10では、主制御装置23により、ウエハW上の各
ショット領域を露光開始位置に順次位置決めするように
ウエハステージ47を移動するショット間ステッピング
動作と、レチクルRとウエハWとをXY平面に沿った水
平方向に同期移動させつつ、レチクルRのパターンをウ
エハWのショット領域に転写する露光動作とが繰り返し
行われるようになっている。
【0034】ところで、本実施形態のように、真空紫外
域の波長の光を露光光とする場合には、酸素分子、水分
子、二酸化炭素分子等の物質(以下、吸光物質と称す
る)を含むガス、すなわち係る波長帯域の光に対し強い
吸収特性を有するガス(以下、吸収性ガスと称する)を
光路から排除する必要がある。このため、本実施形態で
は、光路上の空間、すなわち、照明光学系LO、レチク
ル室21、投影光学系PL、及びウエハ室22における
各内部空間に、真空紫外域の光に対する吸収の少ない特
性を有する窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプ
トンなどのガス、またはそれらの混合ガス(以下、総称
して低吸収性ガスと称する)を満たし、その気圧を大気
圧より高く、具体的には、大気圧に対し1〜10%程度
高く設定している。また、光路上の空間に配置される各
部材(例えば光学部材を支持するための保持部材等)
は、ガス溜まりが生じないようにその形状や配置状態
(傾斜角度など)が定められている。
【0035】また、レチクル室21へのレチクルRの搬
入に際し、レチクルRとともに外気がレチクル室21内
に僅かでも混入すると、外気に含まれる吸光物質により
露光光ILに対して著しい吸収が生じてしまい、許容で
きない透過率低下や透過率変動を招くことになる。その
ため、本実施形態では、レチクルRを保管するレチクル
ライブラリRLとレチクル室21との間に、前記低吸収
性ガスで満たされた空間を有するレチクル搬送路50が
設けられている。なお、レチクルライブラリRLは、レ
チクルRがそれぞれ保管される複数段の棚を有し、内部
空間が前記低吸収性ガスにより所定の気圧に満たされる
ようになっている。
【0036】レチクル搬送路50は、レチクル室21の
隔壁40及びレチクルライブラリRLと隙間無く接合さ
れた隔壁51によって形成されており、露光光ILの光
路上とは異なる場所に内部空間を有している。なお、レ
チクル搬送路50における内部空間の圧力(気圧)は、
前述した光路上の空間と同様に大気圧に比べて高いもの
の、レチクル搬送路50から他の場所への異物の流入を
防止するために、レチクル室21及びレチクルライブラ
リRLに比べて低く設定されている。
【0037】ここで、レチクルRのパターン面側には、
パターン形成領域への異物の付着を防止するために、ペ
リクルと呼ばれる透明で薄い保護部材が取り付けられて
いるのが一般的である。
【0038】図2に示すように、保護部材PEは、レチ
クルRのパターン面PAに、ペリクルフレームと呼ばれ
る金枠PFを介して接着されている。保護部材PEとし
ては、通常ニトロセルロース等を主成分とする透明な薄
膜が用いられるが、本実施形態のように、波長約120
nm〜約180nmの真空紫外域の露光光ILを用いる
場合には、該露光光ILを良好に透過させるために、レ
チクル及びレンズ系と同材質の蛍石、フッ化マグネシウ
ム、フッ化リチウム等の結晶材料からなる薄板状部材を
用いてもよい。さらに、この保護部材として、例えば
0.1mm〜0.5mm程度の厚さを有する石英ガラス
(フッ素ドープ石英等)を用いてもよい。
【0039】また、保護部材PE及び金枠PFにより、
保護部材PEとパターン面PAとの間に保護部材内空間
GSが形成されている。金枠PFには、気圧の変化に伴
う保護部材PEの破損を防止するための、通気孔h(h
1、h2、h3、h4)が形成されている。この通気孔
hによって、保護部材内空間GSの密閉性が低下され、
例えば、航空機による輸送や天候の変化等によって気圧
が低下し空間GS内の気体が膨張した際などにおいて、
保護部材PEの破損が防止される。
【0040】こうしたレチクルRは、前述したように、
レチクル室21に収容されて、露光光ILの光路上に配
されるものであるので、レチクル室21への搬入に際し
ては、保護部材内空間GS内の吸光物質が低減されてい
る必要がある。
【0041】このため、本実施形態では、図1に示すよ
うに、このレチクル搬送路50は、レチクル室21と、
レチクルライブラリRLとの間に設けられた隔壁51に
よって形成されており、さらに隔壁51内には、側壁5
2が設けられている。そして、レチクル搬送路50の内
部空間が側壁52により、複数に分割される(本実施の
形態では、レチクルガス置換室55aと、レチクルガス
搬送室55bとに分割される)。ここで、レチクルガス
置換室55aは、隔壁51、側壁52、及びレチクル室
21を構成する隔壁40の一部との間に構成される空間
である。これら隔壁51、側壁52、及び隔壁40の一
部によって、レチクル室21とは異なる第2ユニット
(以下、レチクルガス置換室55aと称する)が形成さ
れる。この第2ユニットは、レチクル室21と同様に定
義される気密構造で構成される。
【0042】そして、前述したように、レチクル搬送路
50内の空間内圧力は、大気圧よりも高く、かつレチク
ル室21及びレチクルライブラリRLに比べて低く設定
されている。さらに、レチクルガス置換室55aと、レ
チクル搬送室55bとの圧力関係は、レチクルガス置換
室55aの圧力がレチクル搬送室55bの圧力より高く
設定されている。即ち、レチクル搬送室55bの圧力
は、大気圧よりも高く、かつレチクル室21、レチクル
ライブラリRL、レチクルガス置換室55aの各圧力よ
りも低く設定されている。
【0043】なお、レチクル搬送路50には、レチクル
ライブラリRLとレチクルガス置換室55aとの間でレ
チクルRを搬送する第1レチクル搬送系56と、該第1
レチクル搬送系56とレチクル室21との間でレチクル
Rを搬送する第2レチクル搬送系57とが設けられてい
る。これら第1及び第2レチクル搬送系56,57は、
主制御装置23に接続されており、レチクル搬送路50
の内部空間(すなわち、レチクルガス置換室55a、レ
チクル搬送室55b)を、主制御装置23の指示に基づ
いて動作するようになっている。
【0044】また、レチクル搬送路50の隔壁51(あ
るいはレチクル室21の隔壁40)や側壁52には、レ
チクルRを出し入れするための開口60,61,62が
設けられており、これら各開口60,61,62には、
主制御装置23の指示により開閉する扉63,64,6
5がそれぞれ設置されている。
【0045】ここで、レチクルガス置換室55aについ
て、図3を参照してさらに詳しく説明する。
【0046】レチクルガス置換室55aには、保護部材
内空間GS内の気体(ここでは、所定ガスの純度が吸光
物質の影響により低下したガス)を、露光光ILが透過
する所定ガス(後述する低吸収性ガス)に置換するガス
置換機構が設けられている。すなわち、レチクルガス置
換室55aは、該レチクルガス置換室55a内に所定の
ガスを供給するガス供給装置70と、該レチクルガス置
換室55a内の気体を排気するガス排気装置71とを備
えている。これらガス供給装置70及びガス排気装置7
1は、主制御装置23(図1参照)の指示に基づいて動
作するようになっている。
【0047】ガス供給装置70は、レチクルガス置換室
55aの内部空間に開放される開口としての供給口73
を有する供給ノズル74と、主制御装置23の制御のも
とで流量調整可能な供給弁75とを有し、図示しないガ
ス供給源からレチクルガス置換室55aに露光光を透過
し、吸収が少ない低吸収性ガス(窒素、ヘリウム、アル
ゴン等)を移送し、前記供給口73を介して所定流量の
該低吸収性ガスをレチクルガス置換室55a内に供給す
るように構成されている。
【0048】ガス排気装置71は、レチクルガス置換室
55aの内部空間に開放される開口としての排気口76
を有する排気ノズル77と、主制御装置23の制御のも
とで流量調整可能な排気弁78とを有し、レチクルガス
置換室55a内の気体を前記排気口76を介して外部に
向けて排気するように構成されている。
【0049】また、ガス供給装置70の供給ノズル74
は、該供給ノズル74の供給口73と金枠PFに設けら
れる通気孔hの少なくとも一つ(ここでは通気孔h3,
h4)とが互いに対向するように、一つもしくは複数
(ここでは2つ)配置されている。同様に、ガス排気装
置71の排気ノズル77は、該排気ノズル77の排気口
76と金枠PFに設けられる通気孔hの少なくとも一つ
(ここでは通気孔h3,h4)とが互いに対向するよう
に、一つもしくは複数(ここでは2つ)配置されてい
る。
【0050】さらに、金枠PFに設けられる通気孔hの
うち、供給ノズル74の供給口73と対向する通気孔
(以後、給気口と称す)h3,h4と、排気ノズル77
の排気口76と対向する通気孔(以後、排出口と称す)
h1,h2とは、保護部材内空間GSを挟んでそれぞれ
対向する位置に配されている。なお、供給ノズル74の
供給口73及び排気ノズル77の排気口76の開口面積
は、通気孔hに比べて大きく形成されるのが好ましい。
【0051】このような構成のレチクルガス置換室55
aを備えることにより、この露光装置10では、レチク
ル室21へのレチクルRの搬入に際し、保護部材内空間
GSの吸光物質を低減するようになっている。すなわ
ち、この露光装置10は、図1に示すレチクルライブラ
リRLからレチクル室21内にレチクルRを搬入する際
に、レチクルガス置換室55aにレチクルRを一時設置
し、レチクルRの保護部材内空間GSの気体を低吸収性
ガスに置換する。
【0052】ここで、レチクルライブラリRLからレチ
クル室21内にレチクルRを搬入する一連の動作につい
て、主制御装置23の制御動作を中心として説明する。
【0053】前提として、光路上の空間(照明光学系L
O、レチクル室21、投影光学系PL、及びウエハ室2
2における各内部空間)や、レチクル搬送路50(レチ
クルガス置換室55a、及びレチクル搬送室55bを含
む)の内部空間、及びレチクルライブラリRLの内部空
間は、予め、各空間がそれぞれ低吸収性ガスで満たされ
るとともに、所定の気圧に設定されており、これによ
り、各空間における吸光物質が低減され、外部からの異
物の混入が抑制された状態にあるものとする。
【0054】まず、図1において、主制御装置23で
は、レチクルRの搬入に際し、レチクル搬送室55b内
の第1レチクル搬送系56によって、レチクルライブラ
リRLに保管されているレチクルRを取り出し、扉65
を閉鎖した後、レチクルガス置換室55aに向けてレチ
クルRの搬送を開始する。第1レチクル搬送系56がレ
チクルガス置換室55aに対して所定距離内に近づく
と、側壁52に設けられた扉64を開放する。このと
き、レチクルガス置換室55aとレチクル室21との境
界の開口60は、扉63によって閉鎖された状態にあ
る。
【0055】続いて、主制御装置23では、レチクルR
を保持した第1レチクル搬送系56からレチクルガス置
換室55a内の第2レチクル搬送系57に開口61を介
してレチクルRを受け渡す。
【0056】このとき、側壁52の扉64が開放されて
いるため、開口61を介して気体の出入りが生じるが、
前述したように、レチクル搬送室55bの圧力が大気圧
よりも高く、かつレチクル室21、レチクルライブラリ
RL、レチクルガス置換室55aの各圧力よりも低く設
定されているため、レチクル室21、及びレチクルライ
ブラリRLに対して、レチクルガス置換室55a内で排
出される保護部材内空間GSの吸光物質が流入すること
なく、それら吸光物質がレチクル搬送室55bに流入し
てくる。従って、レチクル搬送室55bに、レチクル搬
送室55b内の気体を排気する排気装置を設けることに
より、レチクルガス置換室55aから流入する吸光物質
をレチクル搬送路50から排気することができる。
【0057】上記のレチクルRの受け渡し終了後、主制
御装置23では、扉64を閉鎖する。これにより、レチ
クルガス置換室55aには密閉度を高めた空間が形成さ
れる。すなわち、保護部材PEを装着したレチクルR
が、密閉室であるレチクルガス置換室55aに収容され
た状態となる。
【0058】レチクルガス置換室55aにレチクルRが
収容されると、主制御装置23では、ガス供給装置70
及びガス排気装置71によって、レチクルRの保護部材
PEと金枠PFとで形成される空間GSのガス置換を実
施する。なお、ガス置換は、一般に、所定の空間内を例
えば0.1[hPa]程度まで減圧した(減圧工程)後
に、該空間に置換用のガスを供給することにより行うこ
とが多いが、本例では、所定の空間に対してガスの供給
と排出とを同時に行うことにより、上記減圧工程を伴う
ことなくガス置換を実施する。
【0059】すなわち、主制御装置23では、図3に示
すように、供給弁75を開放し、ガス供給装置70を駆
動して低吸収性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)を
レチクルガス置換室55a内に供給すると同時に、排気
弁78を開放し、ガス排気装置71を駆動してレチクル
ガス置換室55a内から気体を排出する。また、主制御
装置23(図1参照)は、このときの単位時間あたりの
ガスの給気量及び排出量が同程度、あるいは、保護部材
内空間GS内に低吸収性ガスが流入するように、供給弁
75及び排気弁78を制御する。
【0060】このとき、レチクルガス置換室55a内に
おける気体の流動に伴い、保護部材内空間GSにおいて
気体が流動するようになり、金枠PFに設けられた給気
口h3,h4及び排気口h1,h2を介してレチクルガ
ス置換室55aの内部空間と保護部材内空間GSとの間
で気体の出し入れが行われる。
【0061】すなわち、金枠PFの給気口h3,h4と
供給ノズル74の供給口73とが互いに対向して配され
ているので、供給ノズル74からレチクルガス置換室5
5aに流入した低吸収性ガスの一部は、その流動性をあ
る程度維持した状態で、金枠PFの給気口h3,h4か
ら保護部材内空間GSに流入する。一方、金枠PFの排
出口h1,h2と排気ノズル77の排気口76とが互い
に対向して配されているので、排気ノズル77による吸
引作用によって発生するガスの流れにより、保護部材内
空間GSの気体が押し出されるようにして、排出口h
1,h2からレチクルガス置換室55aの内部空間に気
体が流出する。また、金枠PFの給気口h3,h4と排
出口h1,h2とは互いに対向する位置に配されている
ために、保護部材内空間GSにおける気体は主として一
方向(給気口h3,h4から排出口h1,h2に向かう
方向)に安定して流れる。こうした保護部材内空間GS
における気体の流れにより、保護部材内空間GSの気体
中に低吸収性ガスが混入されて、該空間GS内の気体が
低吸収性ガスに徐々に置換され、これに伴い、該空間G
Sから吸光物質が排除される。また、この保護部材内空
間GSからレチクルガス置換室55a内に排出された気
体は、排気ノズル77の排気口76を介してレチクルガ
ス置換室55aの外部に排気される。
【0062】このとき、前述したように、レチクルガス
置換室55aに対する単位時間あたりのガスの給気量及
び排気量が同程度であるので、レチクルガス置換室55
a内は全体として圧力変化がほとんど生じない。また、
保護部材内空間GSは、給気口h3,h4及び排出口h
1,h2を介して、レチクルガス置換室55aと連通し
た状態にあるとともに、レチクルガス置換室55aとの
間で気体の出し入れが徐々に行われるために、保護部材
内空間GSとレチクルガス置換室55aとが互いに同程
度の内圧に保たれて両者に大きな気圧差が生じることが
ない。そのため、圧力変化に伴う保護部材PEの変形が
抑制され、保護部材PEが破損してしまうという事態の
発生が防止される。
【0063】保護部材内空間GSの気体が低吸収性ガス
に置換されると、図1に示す主制御装置23は、ガス供
給装置70及びガス排気装置71を制御して、ガス置換
動作を停止する。その後、扉63を開放して、レチクル
Rをレチクル室21内部のレチクルホルダ41上に設置
する。保護部材内空間GSの気体が低吸収性ガスに置換
されたか否かは、ガス排気装置71側の排気管の途中に
ガス濃度計(例えば、酸素濃度計、露点計等)を配置
し、レチクルガス置換室55aから排気される気体中の
吸光物質の濃度、又は低吸収性ガスの濃度の計測結果に
基づいて判断すればよい。
【0064】この際、扉63が開放されるが、前述した
ように、レチクルガス置換室55a内の気圧がレチクル
室21に比べて低く設定されているために、レチクルガ
ス置換室55a内からレチクル室21に気体が流出する
ことはほとんどなく、光路上の空間であるレチクル室2
1内へレチクルガス置換室55a内の気体の流入が抑制
される。従って、レチクルガス置換室55a内に保護部
材内空間GSの気体(吸光物質を含む)が残っていたと
しても、レチクル室21にその気体が流入する可能性が
少ない。
【0065】なお、本実施形態では、上述したレチクル
ガス置換室55aにおける保護部材内空間GSのガス置
換動作は、主制御装置23に予め入力されている所定時
間経過後に停止されるようになっている。このガス置換
動作を停止するタイミングは、これに限るものではな
く、例えば、上述したように、レチクルガス置換室55
aから排出する気体に含まれる吸光物質の濃度を計測す
る濃度計を設置し、該濃度計の計測結果に基づいて定め
てもよい。
【0066】そして、こうした一連の動作によってレチ
クルRがレチクルライブラリRLからレチクル室21内
に搬入されると、主制御装置23は、レチクルホルダ4
1に保持されたレチクルRに露光光ILを照射すること
により、レチクルRに形成されたパターンの像を、ウエ
ハホルダ46に保持されたウエハWに転写する露光処理
を行う。
【0067】すなわち、本実施形態の露光装置10によ
れば、レチクルガス置換室55aによって、保護部材内
空間GSの圧力を所定の圧力に保ちながら、保護部材内
空間GSを低吸収性ガスにガス置換するために、保護部
材PEを破損することなく、安定して該空間GSから吸
光物質が低減される。また、レチクルガス置換室55a
内での気体の流れを利用して、レチクルRの保護部材内
空間GSに気体を流出入させることにより、減圧工程を
伴うことなく保護部材内空間GSのガス置換が短時間で
実施される。そして、光路上に配される保護部材内空間
GSの吸光物質が排除されることから、露光光ILがレ
チクルRを透過して十分な照度でウエハWに到達するよ
うになる。
【0068】また、レチクル搬送路50(レチクルガス
置換室55a、及びレチクル搬送室55bを含む)に比
較的多く吸光物質が含まれるような場合にも、上述した
ガス置換動作により、レチクルガス置換室55a内の吸
光物質濃度が低減されるため、レチクル室21へのレチ
クルRの搬入に伴うレチクル室21の汚染が防止され
る。
【0069】なお、レチクルRの保護部材内空間GSを
減圧するには、保護部材PEの破損を防止しなければな
らないために、極めて遅い速度で圧力を低下させる必要
があり、多大な時間を費やす場合が多い。本実施形態の
ように、大気圧と同程度の圧力に保ちながらガス置換を
実施すれば、そうした減圧工程に要する時間が節約され
ることになる。本実施例では、レチクルガス置換室55
a内で保護部材内空間GSのガス置換を行った後、レチ
クル室21にレチクルRを搬送する。
【0070】次に、本発明に係る露光装置の第2実施形
態について図4を参照して説明する。第2実施形態と第
1実施形態との異なる点は、第1実施形態の供給ノズル
74と排気ノズル77とが、レチクルガス置換室55a
の内部空間に開放されるように配置されているのに対
し、第2実施形態の供給ノズル101と排気ノズル10
2とは、レチクルガス置換室55aに収容されているレ
チクルRの金枠PFの通気孔hに接続されるように配置
される点である。
【0071】すなわち、本実施形態のレチクルガス置換
室100は、金枠PFの通気孔(給気口h3,h4)に
接続される供給ノズル101を有するガス供給装置10
3と、金枠PFの通気孔(排出口h1,h2)に接続さ
れる排気ノズル102を有するガス排気装置104とを
有して構成されている。
【0072】こうした構成により、本実施形態では、ガ
ス供給装置103から供給される低吸収性ガスがレチク
ルガス置換室100の内部空間を経ることなく、供給ノ
ズル101を介して、レチクルRの保護部材内空間GS
内に直接供給されるとともに、ガス排気装置104によ
り、保護部材内空間GS内の気体が排気ノズル102を
介して直接排気される。
【0073】そのため、ガス供給装置103からの低吸
収性ガスが無駄なく保護部材内空間GSに供給されると
ともに、保護部材内空間GSの気体がガス排気装置10
4により容易に外部に排気され、第1実施形態に比べて
短時間で効率的にレチクルRの保護部材内空間GSのガ
ス置換が実施される。
【0074】このとき、保護部材内空間GS内の気体が
レチクルガス置換室100の内部空間にほとんど流出し
ないため、レチクルガス置換室55a内のガスは別途低
吸収性ガスに置換されるのが望ましい。レチクルガス置
換室100の内部空間に対する吸光物質による汚染が抑
制される。
【0075】この場合、保護部材内空間GSのガス置換
に際しては、該空間GSの内圧がレチクルガス置換室1
00の内部空間と同程度になるように、ガス供給装置1
03及びガス排気装置104によってガスの給気量及び
排出量を制御することで、保護部材PEの破損が防止さ
れる。
【0076】また、供給ノズル101及び排気ノズル1
02を可動するための可動機構を設け、レチクルガス置
換室100内にレチクルRを収容した後に、供給ノズル
101及び排気ノズル102を移動させて金枠PFの給
気口h3,h4及び排気口h1,h2に接続するように
構成してもよい。これにより、レチクルガス置換室10
0へのレチクルRの搬出入する際に、レチクルRと供給
ノズル101及び排気ノズル102との機械的な干渉が
容易に避けられるとともに、供給ノズル及び排気ノズル
が確実に給気口及び排気口に接続され、安定したガス置
換動作が実施される。
【0077】なお、上記各実施形態では、レチクルガス
置換室に対して供給ノズル及び排気ノズルをそれぞれ2
つずつ配置しているが、これに限るものではなく、供給
ノズルや排気ノズルの数や大きさあるいは配置といった
ものは任意である。例えば、保護部材内空間GSを短時
間でガス置換することを目的として、金枠PFにおける
給気口及び排出口を多数設け、ガスが流出入する開口の
面積をなるべく広くしてもよい。
【0078】また、より効率的にガス置換を実施するこ
とを目的として、ガス供給装置及びガス排気装置による
ガス置換に伴うガスの流量を保護部材PEに影響を与え
ない範囲で、所定の時間ごとに変化させたり、その流れ
の方向を変化させたりすることにより、保護部材内空間
における局所的な気体の滞留を防止してもよい。
【0079】さらに、レチクルRの金枠PFの通気孔h
(排気口h1,h2又は給気口h3,h4の少なくとも
一方)に異物の流入を防ぐためのフィルタが取り付けら
れている場合にも、ガスの流量等を調節することで保護
部材内空間GSをガス置換することが可能となる。
【0080】また、上記各実施形態では、ガス置換に際
し、レチクルRの金枠PFに設けられている通気孔hを
給気口及び排出口として利用しているため、従来のレチ
クルRを用いることが可能であるという利点を有する
が、これに限らず、ガス置換用に金枠PFに新たに開口
部を設けてもよい。これにより、形状の異なる複数のレ
チクルR(保護部材PE及び金枠PF)に対して柔軟に
対応を取ることが可能となる。
【0081】また、レチクルRの金枠PFの通気孔hを
介して、保護部材内空間GSをガス置換する際に、金枠
PFの通気孔hに取り付けられているフィルタを取り外
してもよい。すなわち、例えば、金枠PFの通気孔hに
対して、フィルタを着脱自在に取り付けるとともに、金
枠PFに対してフィルタを取り付け又は取り外しを行う
ロボットアームをレチクルガス置換室55aに配置す
る。そして、レチクルガス置換室55aにレチクルRが
搬送された際に、そのロボットアームを駆動して、金枠
PFからフィルタを取り外せばよい。
【0082】さらに、このガス置換用の開口部に開閉自
在な扉を設置してもよい。すなわち、レチクルRの通常
搬送時には該開口部を閉鎖状態にしておき、ガス置換時
において該開口部を開放してガスを流出入させること
で、ガス置換動作に対する制御応答性の向上を図りつ
つ、通常搬送時における保護部材内空間GSへの汚染物
質(吸光物質など)の混入が抑制される。この場合、前
述したように金枠PFの通気孔hにフィルタが取り付け
られているレチクルRに対して好ましく適用される。
【0083】次に、本発明に係る露光装置の第3実施形
態について図5を参照して説明する。第3実施形態と上
記各実施形態との異なる点は、第3実施形態のガス供給
装置110が、保護部材内空間GSに比べて容積が大き
くかつ内部が所定の圧力に保持されるリザーバタンク1
11を有していることである。
【0084】このリザーバタンク111には、保護部材
内空間GSの気圧とほぼ同程度の圧力で低吸収性ガスが
貯溜され、供給配管112を介して保護部材内空間GS
に接続されている。また、リザーバタンク111内の気
圧が所定の圧力に維持されるように、該タンクに低吸収
性ガスを適宜供給する気圧維持装置113が接続されて
いる。なお、ガス排気装置114は上記各実施形態で示
したものと同様の構成である。
【0085】こうした構成により、本実施形態では、ガ
ス排気装置114によって、保護部材内空間GSの気体
を排気することにより、排気された量とほぼ同量の低吸
収性ガスがリザーバタンク111から保護部材内空間G
Sに流入する。これにより、保護部材内空間GSに対す
る単位時間あたりのガスの給気量及び排出量が同程度と
なってガスの流出入に伴う圧力変化が抑制される。その
ため、複雑な制御を伴うことなく、容易に保護部材PE
の変形が抑制される。
【0086】この場合、例えば排気配管115に比べて
供給配管112の流路断面積を大きくするなど、給気系
のコンダクタンスが排気系よりも大きくなるように構成
することで、ガスの流出入に伴う保護部材内空間GSの
圧力変化が確実に抑制されるようになる。
【0087】次に、本発明に係る露光装置の第4実施形
態について図6を参照して説明する。第4実施形態と上
記各実施形態との異なる点は、第4実施形態のレチクル
ガス置換室120が、保護部材内空間GSの圧力変化を
検出する検出装置121を備えていることである。本実
施形態では、検出装置121として、保護部材PEの変
位を検出する変位センサが用いられている。
【0088】この変位センサ121は、保護部材PEの
変位を計測するものであって、レーザ変位センサを始め
とする種々の変位センサが適用される。例えば、レーザ
変位センサを用いる場合、変位センサ121からの投光
光は保護部材PEで反射し、ディテクタに受光される。
また、変位センサ121での検出結果(出力信号)は、
主制御装置122に送られる。
【0089】主制御装置122は、保護部材PEの変位
が所定範囲(破損の原因となるような影響が生じない範
囲、もしくは、レチクル上のパターンを露光している時
における光学的な影響(例えばペリクルのたわみによる
屈折率の変化)が残らない範囲)より小さい場合には、
ガス供給装置123及びガス排気装置124の少なくと
も一方に対して供給もしくは排気動作に伴うガスの流量
を多くするように指示する。一方、保護部材PEの変位
が所定範囲より大きいか又は大きくなる直前である場合
には、ガスの流量を小さくするように指示する。
【0090】こうした構成により、本実施形態では、保
護部材内空間GSのガス置換に際し、保護部材PEの変
位を所定の範囲内に収めることで、保護部材内空間GS
の圧力が一定範囲内に保持される。そのため、保護部材
PEに影響を与えない範囲で、ガス置換に伴うガスの流
量が多くなり、より短時間のうちに保護部材内空間GS
のガス置換が実施される。また、保護部材PEの変位を
検出しながらガス置換を進めるために、保護部材PEの
破損が確実に防止される。
【0091】なお、保護部材PEの変位によって制御す
る対象はガス供給装置123及びガス排気装置124の
いずれか一方だけでもよい。また、上記第3実施形態で
示したように、ガス供給装置としてリザーバタンクを備
える構成としてもよい。さらに、本例では、検出装置と
して変位センサ121を用いているため、保護部材内空
間GSの圧力変化を保護部材PEの外側から容易に検出
できるという利点がある。しかしながら、保護部材内空
間GSの圧力変化を検出する検出装置としては、この変
位センサに限るものではなく、例えば保護部材内空間G
Sの圧力を直接検出する圧力センサなど、他の検出装置
を用いてもよい。
【0092】次に、本発明に係る露光装置の第5実施形
態について図7を参照して説明する。第5実施形態と上
記各実施形態との異なる点として、第5実施形態のレチ
クルガス置換室130には、ペリクル支え板HBが配さ
れている。
【0093】このペリクル支え板HBは、保護部材の膨
張を防ぐためのものである。すなわち、保護部材内空間
GS内の気体を低吸収性ガスに置換する際に、保護部材
内空間GS内の圧力がレチクルガス置換室55a内の圧
力より高くなり、保護部材PEがレチクルRから離れる
方向に動く、すなわち、保護部材PEが膨張する可能性
がある。このように、保護部材内空間GS内の気体を低
吸収性ガスに置換する際に生じる保護部材の膨張を防ぐ
ために、レチクルガス置換室55a内にペリクル支え板
HBを支柱HSを介して配置する。
【0094】ペリクル支え板HBは、ペリクルPEの全
体の面積よりも広い面積を備え、ペリクルPEとほぼ同
一の表面粗さを有するペリクル接触面を備える。なお、
ペリクル支え板HBを金属で形成し、その金属の表面上
にペリクルPEと同様の材質を配設しておいてもよい。
このように、ペリクル支え板HBのペリクル接触面の表
面粗さや、材質を考慮することによって、ペリクルPE
の損傷を防ぐことができる。
【0095】そして、レチクル搬送系56によって搬送
されたレチクルRは、ペリクル支え板HBのペリクル接
触面に、レチクルRの保護部材を載置する。これによっ
て、ペリクル接触面と保護部材の全面とが互いに接触す
ることになり、保護部材内空間GS内の圧力が高くなっ
たとしても、保護部材の膨張を防ぐことができる。
【0096】次に、本発明に係る露光装置の第6実施形
態について図8を参照して説明する。第6実施形態と上
記各実施形態との異なる点は、第6実施形態のレチクル
ガス置換室130が、レチクルR又は保護部材PEの少
なくとも一つを光洗浄する光洗浄装置131を備える点
である。
【0097】本実施形態のレチクルガス置換室130
は、光洗浄装置131として、前記第1実施形態と同じ
光源20及び照明光学系LOと、該照明光学系LOから
ビームスプリッタ132を介して分岐される露光光IL
をレチクルガス置換室130に導く光学系133とを有
している。すなわち、本例では、ウエハWへのパターン
転写用の露光光ILを分岐して、その分岐した光をレチ
クルガス置換室130内に照射するように構成されてい
る。なお、照射する光としては、第1実施形態で用いた
2 レーザ光など、波長約120nm〜約180nmの
真空紫外域に属する紫外光が用いられる。また、光源2
0には、図示しない光源制御装置が併設されており、こ
の光源制御装置は、主制御装置23からの指示に応じ
て、射出されるパルス紫外光の発振中心波長及びスペク
トル半値幅の制御、パルス発振のトリガ制御、レーザチ
ャンバ内のガスの制御等を行うようになっている。
【0098】こうした構成により、本実施形態では、レ
チクルガス置換室130内にレチクルRを設置した状態
で、保護部材内空間GSをガス置換する動作と平行し
て、光洗浄装置131により、光源20から紫外光をレ
チクルガス置換室130に導き、該光をレチクルRに照
射する。
【0099】このとき、紫外線光により、レチクルRの
表面や保護部材PEに付着した汚染物質(主として吸光
物質)が酸化分解(光洗浄)され、副次的に生成される
水分子や二酸化炭素分子等の物質(分解物質)が保護部
材内空間GSの気体中に放出される。また、部材表面に
吸着している水分子等は紫外線光を受けて高温化される
ことにより、より脱離しやすくなり、保護部材内空間G
Sの気体中に放出されやすくなる。そして、ガス置換動
作に伴い、この分解物質、脱離物質及び気体中の吸光物
質が保護部材内空間GSから排除される。
【0100】すなわち、本例では、ガス置換動作時に、
レチクルRの表面や保護部材PEに付着した汚染物質
(吸光物質)が排除されるために、レチクル室21内で
光路上に配置されたレチクルRに対して露光光ILが確
実に透過するようになる。
【0101】なお、光洗浄装置により、レチクルRに光
を照射するタイミングは任意であり、ガス置換動作に先
立って紫外光によりレチクルRの表面および保護部材P
Eを光洗浄するようにしてもよい。
【0102】また、本例では、レチクルガス置換室13
0内に照射する光として、ウエハWへのパターン転写用
の露光光ILを分岐したものを用いているが、図9に示
すように、パターン転写用の光源20とは別に、新たに
光源135を設置し、該光源135からの光(紫外光)
をレチクルガス置換室130に導くように構成してもよ
い。この場合、パターン転写用の露光光と異なる波長の
光をレチクルガス置換室130に照射することが可能と
なる。例えば、前述したF2 レーザ光の場合は、酸素分
子などにより著しく吸収されるため、酸素分子が存在し
ても比較的透過されやすい光(F2レーザ光より波長が
長い光、例えばArFレーザ光やエキシマランプ光等)
を用いることで、保護部材内空間GSに吸光物質が多く
含まれている場合にも確実に保護部材PEを光洗浄する
ことが可能となる。
【0103】なお、上述した各実施形態において示した
各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本
発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基
づき種々変更可能であることは明らかである。本発明
は、例えば以下のような変更をも含むものとする。
【0104】上記各実施形態では、レチクル室に隣接し
て設けられたレチクルガス置換室において、レチクルR
の保護部材内空間GSのガス置換を実施しているが、こ
れに限るものではなく、この保護部材内空間GSのガス
置換は他の場所、例えば、図1に示すレチクルライブラ
リRL内やレチクル室21で行ってもよい。
【0105】また、上述したレチクルライブラリRLの
代わりに、レチクル(マスク)を収納する手段として、
不活性ガスが充填されたマスク搬送ケース(SMIFポ
ット)を用いてもよい。この場合、このケース内に収納
されているレチクルRの保護部材内空間は通常は低吸収
性ガスで置換されていると考えられるが、保護部材PE
や金枠PFからの脱ガス(アウトガス)によって保護部
材内空間GSが汚染されている恐れがあるため、レチク
ル室21に搬入する前に、上述したガス置換を実施する
のが好ましい。
【0106】また、上記実施形態では、レチクルライブ
ラリRLとレチクル室21との間に低吸収性ガスで所定
圧に満たされたレチクル搬送路50が設けられている
が、これに限るものではなく、レチクルライブラリRL
とレチクル室21との間でレチクルRを搬送する搬送機
構を設け、レチクルRが直接外気(露光装置10のチャ
ンバ内空間)に触れる構成としてもよい。この場合、レ
チクル室21に隣接して低吸収性ガスで満たされたレチ
クルガス置換室を設けることで、レチクル室21へのレ
チクルRの搬入に伴う外気の流入を防止するとともに、
このレチクルガス置換室において上述したレチクルRの
保護部材内空間GSのガス置換を実施するのが好まし
い。
【0107】また、照明光学系LO、レチクル室21、
投影光学系PL、及びウエハ室22における各内部空間
や、レチクル搬送路50(レチクルガス置換室55aを
含む)、レチクルライブラリRLの内部空間を満たす低
吸収性ガスとして、全てを同一種類としてもよいし、異
なる種類のガスを用いてもよい。ただし、低吸収性ガス
として窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の単一ガス
を用いる場合には、少なくともレチクル室21、レチク
ル搬送路50、及びレチクルライブラリRLに供給する
ガスは同一のガスを用いることが望ましい。これは、ガ
スの混合を避けるためである。
【0108】また、光路上の各空間の給気管路及び排気
管路中にエアフィルタ及びケミカルフィルタを設け、各
室内のガスを循環させてもよい。この場合、循環される
ガス中の上記不純物はほどんど除去されるので、特定ガ
スを長時間に渡って循環しても、露光に対して悪影響を
ほとんど及ぼさない。
【0109】また、レチクルガス置換室を2つ設け、一
方をレチクルRの搬入専用、他方をレチクルRの搬出専
用として、上述した各実施形態のレチクル室21からレ
チクルRを搬出する動作とレチクル室21にレチクルR
を搬入する動作とを並行して行うようにしてもよい。こ
の場合、搬出専用のレチクルガス置換室は、搬出に先立
ってガス置換を完了しておく必要があるが、レチクルR
のレチクル室21への搬入の終了を待つことなく、レチ
クルガス置換室から外部にレチクルRを搬出できるの
で、レチクルRの交換時間を短縮することができる。
【0110】また、レチクルライブラリRLとレチクル
室21との間に低吸収性ガスで所定圧に満たされたレチ
クル搬送路50(レチクルガス置換室55a、レチクル
搬送室55bを含む)を設ける構成について説明した
が、レチクル搬送室55bを省略してもよい。すなわ
ち、レチクルガス置換室55a内に、レチクルライブラ
リRLとレチクル室との間でレチクルRを搬送するレチ
クル搬送機構を設ける。そして、このレチクル搬送機構
を使用して、レチクルライブラリRLからレチクルRを
取り出す場合、開口60を扉63で閉じるとともに、開
口61を開けて、レチクル搬送機構のレチクル搬送アー
ムをレチクルライブラリRLに移動させ、レチクルRを
真空吸着してレチクルRをレチクルガス置換室55a内
に搬送する。レチクルガス置換室55a内にレチクルR
が搬送されると、開口61で扉64を閉じ、保護部材内
空間GS内の気体を低吸収性ガスに置換する。置換が終
了すると、開口60を開けて、レチクル室21にレチク
ルRを搬送する。なお、レチクルガス置換室55a内に
搬送されたレチクルRは、レチクル搬送アームに載置し
たまま、保護部材内空間GS内の気体を低吸収性ガスに
置換してもよいし、レチクルガス置換室55a内に予め
設けられたテーブルに載置した状態で上記ガス置換して
もよい。また、レチクルガス置換室55a内にレチクル
搬送機構を設けることによって、搬送機構を構成する駆
動部から発生する吸光物質がレチクル室21、及びレチ
クルライブラリRLに流入する恐れがある。そこで、レ
チクル搬送室55aの圧力を、大気圧よりも高く、かつ
レチクル室21、レチクルライブラリRLの各圧力より
も低く設定することにより、吸光物質の流入を抑制する
ことができる。
【0111】また、上記各実施形態においては、レチク
ル室21の隔壁40、ウエハ室22の隔壁45、レチク
ル搬送路50(レチクルガス置換室55aを含む)の隔
壁51、照明光学系LOのハウジングIU、投影光学系
PLのハウジング(鏡筒)、特定ガスの供給配管等は、
研磨などの処理によって、表面粗さが低減されたステン
レス(SUS)等の材質を用いているので、脱ガスの発
生が抑制されている。
【0112】また、本発明に係るウエハWとしては、薄
膜磁気ヘッド用のセラミックウエハのみならず、半導体
デバイス用の半導体ウエハや、液晶表示デバイス用のガ
ラスプレートであってもよい。
【0113】また、露光装置10としては、レチクルR
とウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを
露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・
アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)にも適
用することが可能である。
【0114】また、露光装置10の種類としては、上記
半導体製造用のみならず、液晶表示デバイス製造用の露
光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるい
はレチクルRなどを製造するための露光装置などにも広
く適用できる。
【0115】また、光源20として、水銀ランプから発
生する輝線(g線(436nm)、h線(404.7n
m)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ
(248nm)、ArFエキシマレーザ(193n
m)、F2レーザ(157nm)のみならず、X線や電
子線などの荷電粒子線などを用いることができる。例え
ば、電子線を用いる場合には、電子銃として熱電子放射
型のランタンヘキサボライト(LaB6 )、タンタル
(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや
半導体レーザなどの高周波などを用いてもよい。
【0116】また、投影光学系PLの倍率は、縮小系の
みならず、等倍系および拡大系のいずれでもよい。
【0117】また、投影光学系PLとしては、エキシマ
レーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や
蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2 レーザ
やX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系
にし(レチクルも反射型タイプのものを用いる)、ま
た、電子線を用いる場合には光学系として電子レンズお
よび偏向器からなる電子光学系を用いればいい。なお、
電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまで
もない。
【0118】また、ウエハステージやレチクルホルダに
リニアモータを用いる場合には、エアベアリングを用い
たエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力
を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、ウ
エハステージ、レチクルホルダは、ガイドに沿って移動
するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイ
プであってもよい。
【0119】また、ステージの駆動装置として平面モ−
タを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユ
ニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニッ
トと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベー
ス)に設ければよい。
【0120】また、ウエハステージの移動により発生す
る反力は、特開平8−166475号公報に記載されて
いるように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)
に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた
露光装置においても適用可能である。
【0121】また、レチクルステージの移動により発生
する反力は、特開平8−330224号公報に記載され
ているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大
地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備
えた露光装置においても適用可能である。
【0122】以上のように、本願実施形態の露光装置
は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む
各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、
光学的精度を保つように、組み立てることで製造され
る。これら各種精度を確保するために、この組み立ての
前後には、各種光学系については光学的精度を達成する
ための調整、各種機械系については機械的精度を達成す
るための調整、各種電気系については電気的精度を達成
するための調整が行われる。各種サブシステムから露光
装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機
械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等
が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組
み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程
があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光
装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行わ
れ、露光装置全体としての各種精度が確保される。な
お、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理さ
れたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0123】また、図10は、デバイス(半導体素子、
液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド
等)の製造例のフローチャートを示している。デバイス
は、この図Xに示すように、デバイスの機能・性能設計
を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマ
スク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン
材料からウエハを製造するステップ203、前述した実
施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに
露光するウエハ処理ステップ204、デバイス組み立て
ステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケ
ージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て
製造される。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば
以下の効果を得ることができる。請求項1から請求項1
0に記載の各発明によれば、マスク基板を保護する保護
部材の内部の空間を、マスクを収容するユニット内に供
給された所定ガスにガス置換することにより、保護部材
の内部の空間から吸光物質を効率よく安定して低減する
ことができる。これにより、露光精度を向上させること
ができる。また、請求項11および請求項12に記載の
各発明によれば、形成されたパターンの精度が向上した
デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る露光装置の第1実施形態を説明
するための構成図である。
【図2】 保護部材を装着したマスク(レチクル)を説
明するための図である。
【図3】 第1実施形態のレチクルガス置換室を示す図
である。
【図4】 本発明に係る露光装置の第2実施形態を説明
するための図である。
【図5】 本発明に係る露光装置の第3実施形態を説明
するための図である。
【図6】 本発明に係る露光装置の第4実施形態を説明
するための図である。
【図7】 本発明に係る露光装置の第5実施形態を説明
するための図である。
【図8】 本発明に係る露光装置の第6実施形態を説明
するための図である。
【図9】 第6実施形態の変形例を説明するための図で
ある。
【図10】 デバイスの製造工程の一例を示すフローチ
ャート図である。
【符号の説明】
R レチクル(マスク) W ウエハ(基板) PE 保護部材 PF 金枠(フレーム) GS 保護部材内空間(第1空間) h3,h4 給気口 h1,h2 排出口 10 露光装置 20 光源 23,122 制御装置 55a,100,120,130 レチクルガス置換室
(ガス置換室) 70,103,123 ガス供給装置 71,104,114,124 ガス排気装置 73 供給口 76 排気口 101 供給ノズル 102 排気ノズル 121 検出装置 131 光洗浄装置

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク基板上のパターン形成領域を保護
    する保護部材と該保護部材を支持するフレームとで形成
    される空間を有するマスクを用いて、基板に前記マスク
    のパターンを転写する露光装置において、 前記マスクを収容するユニットと、 前記ユニット内に露光光が透過する所定ガスを供給する
    ガス供給装置と、 前記空間内を前記ユニット内に供給される前記所定ガス
    で置換するガス置換機構とを有することを特徴とする露
    光装置。
  2. 【請求項2】 前記空間から前記ユニット内に排気され
    た気体を、該ユニット内から排気する排気装置を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 【請求項3】 前記フレームは、前記空間内に前記ユニ
    ット内の前記所定ガスを給気する給気口と、前記ユニッ
    ト内に前記空間の気体を排気する排気口とを有すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の露光装置。
  4. 【請求項4】 前記ガス置換機構は、前記ユニット内に
    供給された前記所定ガスが前記空間内に流入するよう
    に、前記ガス供給装置と前記ガス排気装置とを制御する
    制御装置を有することを特徴とする請求項1から請求項
    3のいずれか一項に記載の露光装置。
  5. 【請求項5】 前記フレームは、前記所定ガスを給気す
    る給気口と、前記空間の気体を排気する排気口とを有
    し、 前記ガス置換機構は、前記給気口に接続され、前記空間
    に前記所定ガスを供給するガス供給ノズルと、前記排気
    口に接続され、前記空間の気体を排気する排気ノズルと
    を有することを特徴とする請求項1から請求項4のうち
    のいずれか一項に記載の露光装置。
  6. 【請求項6】 前記ガス置換機構は、前記空間の圧力変
    化を検出する検出装置と、前記検出装置の検出結果に基
    づいて前記ガス供給装置及び前記ガス排気装置のうち、
    少なくとも一つを制御して前記空間の圧力を所定の圧力
    に保つ制御装置とを備えることを特徴とする請求項1か
    ら請求項5のうちいずれか一項に記載の露光装置。
  7. 【請求項7】 前記検出装置は、前記保護部材の変位を
    検出する変位センサを備えることを特徴とする請求項6
    に記載の露光装置。
  8. 【請求項8】 前記ガス置換室は、前記マスク又は前記
    保護部材の少なくとも一方を光洗浄する光洗浄装置を備
    えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか
    一項に記載の露光装置。
  9. 【請求項9】 マスク基板上のパターン形成領域を保護
    する保護部材と該保護部材を支持するフレームとで形成
    される空間を有するマスクを用いて、基板に前記マスク
    のパターンを転写する露光方法において、 前記マスクをユニット内に収容し、 前記ユニット内に露光光が透過する所定ガスを供給し、 前記空間内を前記ユニット内に供給される前記所定ガス
    で置換することを特徴とする露光方法。
  10. 【請求項10】 前記フレームは、前記空間内に前記ユ
    ニット内の前記所定ガスを給気する給気口と、前記ユニ
    ット内に前記空間内の気体を排気する排気口とを有し、 前記ユニット内に供給された前記所定ガスが前記給気口
    を介して前記空間内に流入するように、前記所定ガスの
    供給及び前記ユニット内の気体の排気を制御することを
    特徴とする請求項9に記載の露光方法。
  11. 【請求項11】 前記給気口に接続されたガス供給ノズ
    ルを介して、前記空間に前記所定ガスを供給し、前記排
    気口に接続された排気ノズルを介して、前記空間の気体
    を排気することを特徴とする請求項10に記載の露光方
    法。
  12. 【請求項12】 リソグラフィ工程を含むデバイスの製
    造方法であって、 前記リソグラフィ工程では請求項1から請求項8のいず
    れか一項に記載の露光装置を用いてデバイスを製造する
    ことを特徴とするデバイスの製造方法。
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