JP2001133959A - マスク基板、パターン保護材、マスク保護装置及びマスク、並びに露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

マスク基板、パターン保護材、マスク保護装置及びマスク、並びに露光装置及びデバイス製造方法

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JP2001133959A
JP2001133959A JP31616799A JP31616799A JP2001133959A JP 2001133959 A JP2001133959 A JP 2001133959A JP 31616799 A JP31616799 A JP 31616799A JP 31616799 A JP31616799 A JP 31616799A JP 2001133959 A JP2001133959 A JP 2001133959A
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Soichi Yamato
壮一 大和
Naomasa Shiraishi
直正 白石
Hiroyuki Nagasaka
博之 長坂
Takashi Aoki
貴史 青木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス置換された環境下においても安定して使
用可能なマスク基板を提供する。 【解決手段】 マスク基板本体54のパターン面及びそ
の反対側の面の少なくとも一方に導電帯膜56が設けら
れている。また、マスク基板54に形成された前記導電
帯膜56をマスクステージ14を介して電気的に接地す
る接地機構(58a、58b、60a、60b、64、
66)を備えている。このため、静電気現象によりマス
ク基板に電荷が発生したとしても、その電荷は、導電体
膜56内を伝導して速やかに広がり、更に上記接地機構
を介してグランドに落ちる。これにより、マスク基板5
4の部分的な帯電及び電荷の放電によるパターンの損傷
や、マスク基板本体に対する塵や埃の付着等を防止ある
いは効果的に抑制することができる。従って、ガス置換
された環境下においてもマスク基板R1を安定して使用
することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マスク基板、パタ
ーン保護材、マスク保護装置及びマスク、並びに露光装
置及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、例えば
半導体素子(集積回路、例えばCPU、DRAM等)、
撮像素子(CCD等)、液晶表示素子、あるいは薄膜磁
気ヘッド等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程
で、所定のパターンを基板上に形成するのに用いられる
マスク基板、該マスク基板の汚染防止に用いられるパタ
ーン保護材及びマスク保護装置、及びマスク基板にマス
ク保護装置が取り付けられたマスク、並びにマスク基板
又はマスクを保持するマスクステージを備えた露光装
置、及び該露光装置を用いて電子デバイスを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体素子等の製造における
リソグラフィ工程では、種々の露光装置が用いられてい
る。近年では、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比
例拡大して形成したマスク基板(レチクルとも呼ばれ
る)のパターンを、投影光学系を介してウエハ等の被露
光基板上に縮小転写するステップ・アンド・リピート方
式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このス
テッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式
の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッ
パ)等の投影露光装置が、主流となっている。
【0003】これらの投影露光装置では、集積回路の微
細化に対応して高解像度を実現するため、その露光波長
を、より短波長側にシフトしてきた。現在、その波長は
KrFエキシマレーザの248nmが主流となっている
が、より短波長のArFェキシマレーザの193nmも
実用化段階に入りつつある。この波長の光を光源とした
露光装置では空気中の物質により露光光が吸収されるこ
とや、露光光により活性化された物質がレンズ等に付着
し透過率の悪化を招くなどの現象が起こる。このため光
路を光に対して不活性なガスで満たすことが有効である
とされている。
【0004】将来的に露光波長の更なる短波長化が進む
ことは間違いなく、真空紫外線である波長157nmの
2レーザや、波長126nmのAr2レーザを使用する
投影露光装置の開発も行なわれている。
【0005】これらの真空紫外と呼ばれる波長域の光束
は、光学ガラスの透過率が悪く、使用可能なレンズ、マ
スク基板の材料は、ホタル石やフッ化マグネシウム、フ
ッ化リチウム等のフッ化物結晶に限定される。また、酸
素や水蒸気,炭化水素ガス等(以下「吸収性ガス」と称
する)による吸収も極めて大きいため、露光光が通る光
路上の空間中のこれらの吸収性ガスの濃度を数ppm以
下の濃度にまで下げるべく、その光路上の空間の気体
を、吸収の少ない、窒素や、へリウム等の希ガス(以下
「低吸収性ガス」と称する)で置換する必要がある。
【0006】また、マスク基板上のパターンに、塵や化
学的汚れ等の汚染物質が付着すると、その部分の透過率
が低下するとともに、その汚染物質がウエハ上に投影転
写され、ウエハ上のパターン誤転写の原因となる。そこ
で、マスク基板のパターン形成面(パターン面)をペリ
クルと呼ばれる薄膜で覆い、パターン面の塵等による汚
染を防止することが比較的多く行われている。ペリクル
は、ペリクルフレームと呼ばれる金属製の枠によって、
マスクのパターン面より6.3mm程度離れた位置に設
置される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】露光波長が真空紫外光
となり、上述のように、露光光の光路周囲の空間中の水
蒸気濃度を極端に抑えると、湿度の低下によりその光路
周囲の空間内の物質には静電気現象(以下、「静電気」
と略述する)による帯電が起こり易くなる。例えば、可
動部分等では摩擦による静電気の発生が考えられるが、
マスク基板付近にも可動部分は多くあり、マスク基板が
部分的に帯電する恐れがある。特に、マスク基板とウエ
ハ等の被露光基板とを相対的に走査しつつ露光を行なう
走査型露光装置では、マスク基板表面またはペリクルの
表面が、秒速1m以上の速度で周囲のガスと擦れ合うた
めに、その摩擦により帯電し易い。そして、このマスク
基板に部分的な帯電が発生すると、ミクロな放電により
回路パターンが損傷する恐れがある。
【0008】一方、ペリクルを取り付けないマスク基板
の場合、マスク基板上の帯電した部分が埃や塵などを集
めてしまう可能性も考えられる。このようなことが起こ
れば、ウエハ上に間違ったパターンを焼き付けてしま
い、不良チップを産出してしまうことになる。
【0009】しかしながら、従来の露光装置では、光路
上の空間から水分を上記の如く厳密に取り除く必要がな
かったため、マスク基板あるいはペリクルの帯電を防止
するための措置は施されていなかった。
【0010】本発明は、かかる事情の下でなされたもの
で、その第1の目的は、ガス置換された環境下において
も安定して使用可能なマスク基板、パターン保護材、マ
スク保護装置及びマスクを提供することにある。
【0011】また、本発明の第2の目的は、ガス置換さ
れた環境下においても、良好な露光を安定して行うこと
が可能な露光装置を提供することにある。
【0012】また、本発明の第3の目的は、高集積度の
マイクロデバイスの生産性を向上することが可能なデバ
イス製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、露光装置で用いられるマスク基板であって、一方の
面に電子回路パターン(PA)が形成されたマスク基板
本体(54)と;前記マスク基板本体の前記電子回路パ
ターンが形成されたパターン面及びその反対側の面の少
なくとも一方に設けられた導電帯膜(56)とを備え
る。
【0014】これによれば、マスク基板本体のパターン
面及びその反対側の面の少なくとも一方に導電帯膜が設
けられていることから、静電気現象(以下、「静電気」
と呼ぶ)により電荷が発生したとしてもその電荷は導電
体膜内を伝導して速やかに広がるので、マスク基板の部
分的な帯電を防ぐことができ、これにより、電荷の放電
によるパターンの損傷や、マスク基板本体に対する塵や
埃の付着等を防止あるいは効果的に抑制することがで
き、ガス置換された環境下、すなわち静電気の発生し易
い環境下においても安定して使用することが可能とな
る。
【0015】この場合において、導電体膜は、マスク基
板本体のパターン面と反対側、パターン面側のいずれ
か、あるいは両方に設けても良いが、パターン面側に設
ける場合に、例えば請求項2に記載の発明の如く、前記
導電帯膜が、前記パターン面側の前記マスク基板本体と
前記電子回路パターンとの間に設けられていても良い。
かかる場合には、絶縁体であるマスク基板本体の露出面
積が大きく、静電気が発生しやすいパターン面と反対側
で発生した電荷が、電子回路パターンに伝達されるのを
導電体膜により防止することができるとともに、電子回
路パターン部分に発生した電荷は導電体膜内を伝導して
速やかに広がるので、回路パターン部分における部分的
な帯電を防ぐことができる。
【0016】上記請求項1及び2に記載の各発明におい
て、請求項3に記載の発明の如く、導電帯膜を形成する
物質は、銅、金、及び白金のいずれかであっても良い。
かかる物質は、電気伝導度が高い物質であるので、帯電
防止という観点からは望ましい。
【0017】請求項4に記載の発明は、一方の面にパタ
ーンが形成されたマスク基板(R)の汚染を防止するた
めに、フレーム(75)を介して前記マスク基板の少な
くともパターン面(54a)側に取り付けられるパター
ン保護材であって、特定の材質より成る光透過性を有す
る板状の光学部材(78)と;前記光学部材の前記マス
ク基板のパターン面側及びその反対側の面の少なくとも
一方に形成された導電層(80)とを備える。
【0018】これによれば、本発明に係るパターン保護
材がマスク基板に取付けられた状態では、パターン保護
材を形成する板状の光学部材のマスク基板のパターン面
側及びその反対側の面の少なくとも一方に導電層が形成
されていることから、この導電層によりパターン保護材
全体に電荷の伝導性を持たせることができ、これにより
静電気に起因するパターン保護材の(部分的な)帯電を
防止することができる。従って、ガス置換された環境
下、すなわち静電気の発生し易い環境下においても安定
して使用することが可能となる。
【0019】この場合において、光学部材を形成する光
透過性を有する特定の材質は種々のものが考えられ、例
えば請求項5に記載の発明の如く、前記特定の材質は、
石英を主成分とする材質又は二酸化シリコンを主成分と
する材質であっても良い。石英を主成分とする材質等
は、その厚さにもよるが、上記のガス置換が不可欠とな
る真空紫外域の露光光であっても吸収が小さい。この場
合において、請求項6に記載の発明の如く、前記特定の
材質は、水酸基濃度が100ppm以下で、かつフッ素
を含有する合成石英(フッ素ドープ石英)であることが
望ましい。かかるフッ素ドープ石英は、真空紫外域の露
光光であっても十分な透過率を有する(吸収が一層小さ
い)。
【0020】上記請求項4〜6に記載の各発明に係るパ
ターン保護材において、請求項7に記載の発明の如く、
前記光学部材は、厚さが100〜300μmであること
が望ましい。光学部材の厚さが厚いと、このパターン保
護材を取り付けたマスク基板を露光装置に装填した場合
に、その露光装置で転写されるパターンの像位置がパタ
ーン保護材(光学部材)の撓みによって変動し位置精度
が低下するので、位置精度低下防止の観点から光学部材
の厚さは300μm程度が上限となり、この一方、光学
部材の厚さがあまりに薄いと、加工が困難になるので、
加工のし易さの面から100μm程度が下限となる。
【0021】上記請求項4〜7に記載の各発明に係るパ
ターン保護材において、請求項8に記載の発明の如く、
前記導電層は、金属薄膜及び金属酸化物薄膜のいずれか
であってっも良い。導電層の厚さを薄く設定すること
で、露光光の吸収を極小に抑えることが可能になる。
【0022】請求項9に記載の発明は、露光装置に用い
られるマスク保護装置であって、マスク基板(R)の回
路パターンが形成されたパターン面(54a)側に取り
付けられるフレーム(75)と;前記フレームにより前
記パターン面との間に所定のクリアランスを介して取り
付けられる請求項4〜8のいずれか一項に記載のパター
ン保護材(76)とを備える。
【0023】これによれば、マスク基板のパターン面側
に、フレームにより所定のクリアランスを介して上記請
求項4〜8に記載の各発明に係るパターン保護材が取り
付けられることから、パターン保護材を形成する光学部
材に形成された導電層により、静電気に起因するパター
ン保護材に対する(部分的な)帯電を防止することがで
き、そのパターン保護材によりマスク基板のパターン面
の帯電は勿論、パターン面への塵等の汚染物質の付着も
防止することができる。従って、本発明に係るマスク保
護装置は、ガス置換された環境下、すなわち静電気の発
生し易い環境下においても安定して使用することが可能
となる。
【0024】この場合において、請求項10に記載の発
明の如く、前記フレームは、前記パターン保護材に形成
された前記導電層との間に導電性を有することとしても
良い。かかる場合には、パターン保護材に仮に電荷が発
生してもその電荷は導電層を介してフレーム側に速やか
に伝達されるので、パターン保護材の帯電を防止するこ
とが可能になる。
【0025】請求項11に記載の発明は、マスク基板
(R)と、該マスク基板に取り付けられた請求項9又は
10に記載のマスク保護装置(73)とを備え、前記マ
スク保護装置を構成する前記フレーム(75)と前記マ
スク基板(R)との間が導電性を有していることを特徴
とする。
【0026】これによれば、マスク保護装置を構成する
パターン保護材で発生した電荷がフレームを介してマス
ク基板(正確には、マスク基板表面の金属膜)に伝達さ
れ、―層確実にパターン保護材の帯電を防止することが
できる。
【0027】請求項12に記載の発明は、エネルギビー
ムにより基板を露光する露光装置であって、請求項1〜
4のいずれか一項に記載のマスク基板(R)が載置され
るマスクステージ(14)と;前記マスク基板から出射
される前記エネルギビームを前記基板(W)に投射する
投影光学系(PL)と;前記マスク基板に設けられた前
記導電帯膜(56)を前記マスクステージを介して電気
的に接地する接地機構(58a,60a、58b,60
b、58c,60c、58d,60d、64、66)と
を備える。
【0028】これによれば、マスクステージ上に請求項
1〜4のいずれか一項に記載のマスク基板が載置される
と、接地機構によりマスク基板に設けられた導電体膜が
マスクステージを介して電気的に接地されるので、導電
体膜内を伝導する電荷はマスクステージを介してグラン
ドに伝達され、これによりマスク基板の部分的な帯電を
ほぼ確実に防止することができ、電荷の放電によるパタ
ーンの損傷や、マスク基板に対する塵や埃の付着等を防
止することができる。また、エネルギビームがマスクス
テージ上のマスク基板に照射され、そのマスク基板から
出射されるエネルギビームが投影光学系により基板に投
射され、基板が露光されるが、パターンの損傷や、マス
ク基板に対する塵や埃の付着等が防止されているので、
基板上には回路パターンの転写像(投影像)が精度良く
形成される。従って、ガス置換された環境下、すなわち
静電気の発生し易い環境下においても、良好な露光を安
定して行うことが可能となる。
【0029】この場合において、接地機構の構成は種々
考えられ、例えば請求項13に記載の発明の如く、前記
接地機構は、前記マスク基板と前記マスクステージとに
それぞれ設けられ、両者を電気的に接続する少なくとも
1組の接点と、前記マスクステージ側の接点に接続され
た外部アース線とを有することとすることができる。
【0030】請求項14に記載の発明は、エネルギビー
ムにより基板を露光する露光装置であって、請求項11
に記載のマスク(M)が載置されるマスクステージ(1
14)と;前記マスクから出射される前記エネルギビー
ムを前記基板(W)に投射する投影光学系(PL)と;
前記マスクを構成する前記パターン保護材(76)に形
成された前記導電層(80)を前記マスクステージを介
して電気的に接地する接地機構(75、82、90A、
90B)とを備える。
【0031】これによれば、マスクがマスクステージに
載置されると、接地機構がマスクを構成するパターン保
護材に形成された導電層をマスクステージを介して電気
的に接地するので、パターン保護材で発生し導電層内に
伝達された電荷がマスクステージを介してグランドに落
ち、パターン保護材の帯電、ひいてはマスク基板の帯電
を防止することができ、パターンの損傷や、マスク基板
に対する塵や埃の付着等を防止することができる。ま
た、エネルギビームがマスクステージ上のマスクに照射
され、そのマスクから出射されるエネルギビームが投影
光学系により基板に投射され、基板が露光されるが、パ
ターンの損傷や、マスク基板に対する塵や埃の付着等が
防止されているので、基板上には回路パターンの転写像
(投影像)が精度良く形成される。従って、ガス置換さ
れた環境下、すなわち静電気の発生し易い環境下におい
ても、良好な露光を安定して行うことが可能となる。
【0032】この場合において、請求項15に記載の発
明の如く、前記接地機構は、前記フレーム(75)及び
前記マスク基板(R)の一方と前記マスクステージ(1
14)とを電気的に接続する開閉可能な接点機構(90
A、90B)を含むこととすることができる。かかる場
合には、接点機構により、フレーム又はマスク基板とマ
スクステージとを電気的に接続することができる。従っ
て、フレーム又はフレーム及びマスク基板を介して導電
層を接地することができ、パターン保護材の帯電、ひい
てはマスク基板の帯電を防止することが可能となる。
【0033】上記請求項12〜15に記載の各発明に係
る露光装置において、請求項16に記載の発明の如く、
前記エネルギビームは波長200nm以下の真空紫外光
であり、かつ前記マスク基板周囲の空間を含む前記エネ
ルギビームの光路上の空間が前記エネルギビームが透過
する不活性ガスで満たされていても良い。
【0034】かかる場合には、前記マスク基板周囲の空
間を含む前記エネルギビームの光路上の空間が波長20
0nm以下の真空紫外光(エネルギビーム)が透過する
不活性ガスで満たされているので、マスク基板に照射さ
れる真空紫外光の透過率を高く維持することができると
ともに、投影光学系によるマスク基板上の回路パターン
の投影像の解像度が向上し、微細パターンを高解像度で
基板上に形成することが可能になる。この場合におい
て、マスク基板にパターン保護材が取り付けられている
場合には、マスク基板周囲の空間には、パターン保護材
とマスク基板との間の空間も含まれる。
【0035】請求項17に記載の発明は、リソグラフィ
工程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフ
ィ工程において、請求項16に記載の露光装置を用いて
露光を行うことを特徴とする。これによれば、上記の如
く、マスク基板の回路パターンが投影光学系を介して基
板上に高解像度で転写されるので、微細パターンを基板
上に精度良くに転写することが可能となり、これにより
高集積度のマイクロデバイスの生産性を向上することが
可能になる。
【0036】
【発明の実施の形態】《第1の実施形態》以下、本発明
の第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図
1には、第1の実施形態の露光装置の構成が概略的に示
されている。この露光装置100は、真空紫外域のエネ
ルギビームとしての露光用照明光ELをマスク基板とし
てのレチクルRに照射して、該レチクルRと基板として
のウエハWとを所定の走査方向(ここでは、X軸方向と
する)に相対走査してレチクルRのパターンを投影光学
系PLを介してウエハW上に転写するステップ・アンド
・スキャン方式の投影露光装置、すなわちいわゆるスキ
ャニング・ステッパである。
【0037】この露光装置100は、光源1及び照明光
学系を含み、露光用照明光(以下、「露光光」と呼ぶ)
ELによりレチクルRを照明する照明系、レチクルRを
保持するマスクステージとしてのレチクルステージ1
4、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上
に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持する基板ス
テージとしてのウエハステージWST等を備えている。
【0038】前記光源1としては、ここでは、波長約1
20nm〜約180nmの真空紫外域に属する光を発す
る光源、例えば出力波長157nmのフッ素レーザ(F
2レーザ)、出力波長146nmのクリプトンダイマー
レーザ(Kr2レーザ)、出力波長126nmのアルゴ
ンダイマーレーザ(Ar2レーザ)などが用いられてい
る。なお、光源として出力波長193nmのArFエキ
シマレーザ等を用いても構わない。
【0039】前記照明光学系は、照明系ハウジング2
と、その内部に所定の位置関係で配置された折り曲げミ
ラー3、フライアイレンズ等のオプチカルインテグレー
タ4、反射率が大きく透過率が小さなビームスプリッタ
5、リレーレンズ7,8、視野絞りとしてのレチクルブ
ラインド機構BL及び折り曲げミラー9等とを含んで構
成されている。この場合、レチクルブラインド機構BL
は、実際には、レチクルRのパターン面に対する共役面
から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR
上の照明領域を規定する所定形状の開口部が形成された
固定レチクルブラインドと、この固定レチクルブライン
ドの近傍のレチクルRのパターン面に対する共役面に配
置され、走査方向に対応する方向の位置及び幅が可変の
開口部を有する可動レチクルブラインドとを含んで構成
されている。固定レチクルブラインドの開口部は、投影
光学系PLの円形視野内の中央で走査露光時のレチクル
Rの移動方向(X軸方向)と直交したY軸方向に直線的
に伸びたスリット状又は矩形状に形成されているものと
する。
【0040】この場合、走査露光の開始時及び終了時に
可動レチクルブラインドを介して照明領域を更に制限す
ることによって、不要な部分の露光が防止されるように
なっている。この可動レチクルブラインドは、不図示の
駆動系を介して不図示の制御装置によって制御される。
また、ビームスプリッタ5の透過光路上には光電変換素
子より成る光量モニタ6が配置されている。
【0041】ここで、照明光学系の作用を簡単に説明す
ると、光源1からほぼ水平に射出された真空紫外域の光
束(レーザビーム)LBは、折り曲げミラー3によりそ
の光路が90度折り曲げられ、オプチカルインテグレー
タ4に入射する。そして、このレーザビームLBは該オ
プチカルインテグレータ4によって強度分布がほぼ一様
な露光光ELに変換され、その大部分(例えば97%程
度)がビームスプリッタ5で反射され、リレーレンズ7
を介してレチクルブラインド機構BLを構成する固定レ
チクルブラインドを均一な照度で照明する。こうして固
定レチクルブラインドの開口部を通った露光光ELは、
可動レチクルブラインドを通過した後、リレーレンズ
8、折り曲げミラー9及び後述する光透過窓12を介し
てレチクルR上の所定の照明領域(Y軸方向に直線的に
伸びたスリット状又は矩形状の照明領域)を均一な照度
分布で照明する。
【0042】一方、ビームスプリッタ5を透過した残り
部分(例えば3%程度)の露光光ELは、光量モニタ6
によって受光されて光電変換され、その光電変換信号が
不図示の制御装置に供給される。制御装置では、光源1
の発光開始に伴って、光量モニタ6の出力に基づいて所
定の演算により像面(ウエハW面)上の照度を推定し、
該推定結果に基づいてウエハW上の各点に与えるべき積
算露光量を制御するようになっている。
【0043】ところで、真空紫外域の波長の光を露光光
とする場合には、その光路から酸素、水蒸気、炭化水素
系のガス等の、かかる波長帯域の光に対し強い吸収特性
を有するガス(以下、適宜「吸収性ガス」と呼ぶ)を排
除する必要がある。このため、本実施形態では、照明系
ハウジング2の内部には、真空紫外域の光に対する吸収
の少ない特性を有する不活性ガス、例えば窒素、ヘリウ
ム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどのガス、または
それらの混合ガス(以下、適宜「低吸収性ガス」と呼
ぶ)を満たし、その気圧を大気圧より僅かに高く、具体
的には、大気圧に対し1〜10%程度高く設定してい
る。この結果、照明系ハウジング2の内部の吸収性ガス
の濃度は数ppm以下の濃度となっている。なお、以下
においては、上記の大気圧に対し1〜10%程度高い気
圧を便宜上「所定の目標圧力」と呼ぶ。
【0044】これを更に詳述すると、照明系ハウジング
2には、図1に示されるように光源1側の端部に給気弁
10が設けられ、その給気弁10から最も遠い他端側に
排気弁11が設けられている。この場合、給気弁10は
給気管路を介して不図示のガス供給装置の一端に接続さ
れ、排気弁11は排気管路を介して前記ガス供給装置の
他端に接続されている。また、図示は省略されている
が、排気弁11が設けられた排気管路には、HEPAフ
ィルタあるいはULPAフィルタ等の塵(パーティク
ル)を除去するフィルタ(以下、「エアフィルタ」と総
称する)と、前述した酸素等の吸収性ガスを除去するケ
ミカルフィルタとが配置されている。同様に、図示は省
略されているが、給気弁10が設けられた給気管路に
は、エアフィルタ、ケミカルフィルタが配置されるとと
もに、第1ポンプが設けられている。
【0045】本実施形態では、給気弁10、排気弁11
及び不図示の第1ポンプは、不図示の制御装置に接続さ
れており、制御装置では、照明系ハウジング2内のガス
の交換(置換)が必要なときに、給気弁10及び排気弁
11をともに開成した状態で、不図示の第1ポンプを作
動させる。これにより、不図示のガス供給装置から給気
管路を介して低吸収性ガスが照明系ハウジング2内に送
り込まれると同時に、照明系ハウジング2内部のガスが
排気弁11を介して排気され、排気管路を介してガス供
給装置に戻り、このようにして照明系ハウジング2内の
ガス置換が効率良く行われるようになっている。
【0046】この場合、上記エアフィルタ、及びケミカ
ルフィルタの作用より、低吸収性ガスを長時間に渡って
循環使用しても、露光に対して悪影響を殆ど及ぼさない
ようになっている。
【0047】なお、照明系ハウジング2内の低吸収性ガ
スの内圧を上記の所定の目標圧力とするのは、照明系ハ
ウジング2内への外気の混入(リーク)を防止するとい
う観点からは、内部の気圧を大気圧より高めに設定する
ことが望ましい反面、内部の気圧をあまりに高く設定す
ると、気圧差を支えるためにハウジング2を頑丈にしな
ければならず、重量化を招くためである。但し、露光装
置を設置する半導体工場の床強度が十分あり、装置の重
量化を許容できるのであれば、ガス置換に際し、はじめ
にハウジング2内を0.1hPa程度まで減圧し、続い
て低吸収性ガスを満たす方法とした方が効率が良くな
る。
【0048】前記レチクルステージ14は、レチクルR
を保持してレチクル室15内に配置されている。このレ
チクル室15は、照明系ハウジング2及び投影光学系P
Lの鏡筒と隙間なく接合された隔壁18で覆われてお
り、その内部のガスが外部と隔離されている。レチクル
室15の隔壁18は、ステンレス(SUS)等の脱ガス
の少ない材料にて形成されている。
【0049】レチクル室15の隔壁18の天井部には、
レチクルRより一回り小さい矩形の開口が形成されてお
り、この開口部分に照明系ハウジング2の内部空間と、
露光すべきレチクルRが配置されるレチクル室15の内
部空間とを分離する状態で透過窓12が配置されてい
る。この透過窓12は、照明光学系からレチクルRに照
射される露光光ELの光路上に配置されるため、露光光
としての真空紫外光に対して透過性の高いホタル石等の
結晶材料によって形成されている。
【0050】なお、照明系ハウジング2内のガス置換
を、一度減圧動作を経て行う場合には、減圧動作時に、
この透過窓12に減圧分の圧力が加わり、ホタル石が損
傷する恐れがある。そこで、減圧時には、図1中透過窓
12の上部に、可動式の金属製耐圧蓋を設け、これによ
って透過窓12を気圧差から守ることも可能である。
【0051】レチクルステージ14は、レチクルRを不
図示のレチクルベース定盤上でX軸方向に大きなストロ
ークで直線駆動するとともに、Y軸方向とθz方向(Z
軸回りの回転方向)に関しても微小駆動が可能な構成と
なっている。
【0052】これを更に詳述すると、レチクルステージ
14は、不図示のレチクルベース定盤上をリニアモータ
等によってX軸方向に所定ストロークで駆動されるレチ
クル走査ステージ14Aと、このレチクル走査ステージ
14A上に搭載されレチクルRを吸着保持するレチクル
ホルダ14Bとを含んで構成されている。レチクルホル
ダ14Bは、不図示のレチクル駆動系によってXY面内
で微少駆動(回転を含む)可能に構成されている。レチ
クル駆動系は、例えば2組のボイスコイルモータを含ん
で構成される。
【0053】次に、本実施形態における最大の特徴部分
である、レチクルR及びこれを保持するレチクルステー
ジ14の構成等について、図2及び図3に基づいて詳述
する。図2には、レチクルRの一例であるレチクルR1
が装填された状態のレチクルステージ14の平面図が示
され、また図3には、図2のA−A線断面図が示されて
いる。
【0054】図2に示されるように、レチクル走査ステ
ージ14Aの上面には、平面視長方形の部材から成りほ
ぼX軸方向に延びる一対のレチクルホルダ14B1、1
4B2が所定間隔で相互に対向して配置されている。こ
のように、レチクルホルダは、実際には一対の部材から
構成されているが、図1ではこれらが代表してレチクル
ホルダ14Bとして示されている。
【0055】レチクルホルダ14B1、14B2の上面に
は、図2に示されるように、各一対の真空吸着機構(バ
キュームチャック)52a,52c及び52b,52d
が固定されている。この場合、真空吸着機構52aと真
空吸着機構52bとが対向し、真空吸着機構52cと真
空吸着機構52dとが対向している。これら4つの真空
吸着機構52a〜52dによってレチクルR1がその4
隅の近傍をそれぞれ吸着され、保持されている。この場
合、真空吸着機構52a〜52dの吸着面の材質は、例
えばルーロンやテフロン、セラミック等の、導電性の低
い材質によって形成されている。
【0056】前記レチクルR1は、図3に示されるよう
に、一方の面(図3における下面)に微細な電子回路パ
ターン(以下、適宜「回路パターン」と呼ぶ)PAが形
成されたマスク基板本体としてのガラス基板54と、こ
のガラス基板54の回路パターンPAが形成されたパタ
ーン面と反対側の面(図3における上面)に設けられた
導電体膜56とを備えている。
【0057】ガラス基板54は、石英を主成分とする材
質、例えば、水酸基を10ppm以下程度に排除し、フ
ッ素を1%程度含有させたフッ素ドープ石英によって形
成されている。
【0058】導電体膜56は、銅や金、白金など露光光
ELの透過率が高く、かつ電気伝導度の高い物質が、ガ
ラス基板54のパターン面と反対側の面に蒸着され形成
されている。導電体膜56の膜厚は、露光光ELの透過
を妨げない程度のものとなっている。例えば、蒸着膜材
料に金を用いる場合、90%の透過率を得たいときは膜
厚を約0.5nm、80%の透過率得たいときには膜厚
を約1.8nmとすれば良い。
【0059】また、このレチクルR1には、図2に示さ
れるように、長手方向に直交する方向の両端部近傍の長
手方向の中央部近傍に各一対合計4つの平面視円形の接
点58a、58b、58c、58dが設けられている。
これらの接点58a〜58dは、電気伝導度の高い素材
から成り、図3に接点58a、58bで代表して示され
るように、上下の大径部とその中間の小径部とを有する
側面視H字状を有している。そして、これらの接点58
a〜58dの上側の大径部が、導電体膜56の内部に埋
め込まれ、小径部がガラス基板54を上下方向に貫通
し、下側の大径部がガラス基板54から露出した状態と
なっている。
【0060】一方、レチクルステージ14側のレチクル
ホルダ14B1、14B2には、図3に示されるように、
上記4つの接点58a〜58dとほぼ同一の位置関係で
4つの段付き円柱状の接点60a、60b、60c、6
0d(但し、紙面奥側の接点60c、60dは図示省
略)が一部埋め込まれて固定されている。本実施形態の
場合、レチクルRがレチクルホルダ14B(14B1
14B2)上にロードされ、真空吸着機構52a〜52
dによって真空吸着されることにより、レチクルR側の
接点58a、58b、58c、58dとレチクルステー
ジ14側の接点60a、60b、60c、60dとが相
互に圧接されるようになっている。
【0061】また、レチクルステージ14側の接点60
a、60b、60c、60d相互間は、実際にはレチク
ルホルダ14B1、14B2を介してレチクル走査ステー
ジ14A内に達し、該走査ステージ14A内に平面視で
Uの字状に配設されたリード線64により相互に電気的
に接続されており、このリード線64は、外部アース線
66に接続されている。なお、図3において、符号70
は、レチクル走査ステージ14に形成された露光光EL
の通路となる開口を示す。
【0062】これまでの説明から明らかなように、本実
施形態では、マスク基板としてのレチクルR1とマスク
ステージとしてのレチクルステージ14とにそれぞれ設
けられ、両者を電気的に接続する4組の接点(58a,
60a、58b,60b、58c,60c、58d,6
0d)と、リード線64と、外部アース線66とによっ
て、レチクルRに形成された導電帯膜56をレチクルス
テージ14を介して電気的に接地する接地機構が構成さ
れている。
【0063】上述のように、本実施形態に係るレチクル
R1では、ガラス基板54のパターン面と反対側の面
(以下、適宜「反パターン面」と呼ぶ)に導電体膜56
が形成されているので、反パターン面側では静電気の発
生し易い絶縁体であるガラス基板54の露出面積がほぼ
零であり、静電気の発生による部分的な帯電が防止され
る。
【0064】一方、パターン面側は、回路パターンPA
の存在のため、ガラス基板54の露出部分が存在するの
で、静電気が発生するが、これにより発生した電荷は、
ガラス基板54表面を介して導電体膜56に伝わり、該
導電体膜56の全体に速やかに広がるので、パターン面
側の部分的な帯電が抑制されるようになっている。従っ
て、電荷の放電による回路パターンPAの損傷を抑制で
きるとともに、そのパターン領域内部に対する塵等の付
着も抑制することができる。
【0065】さらに、レチクルR1がレチクルステージ
14上ロードされ、真空吸着機構52a〜52dによっ
て真空吸着されることにより、レチクルR1側の接点5
8a、58b、58c、58dとレチクルステージ14
側の接点60a、60b、60c、60dとが相互に圧
接され、レチクルR上の導電体膜56が4組の接点、リ
ード線64及び外部アース線66を介してグランド(大
地)に電気的に接続されるので、レチクルRで発生した
電荷がグランドに落ち、レチクルRの帯電をほぼ確実に
防止することができるようになっている。
【0066】なお、上述したレチクルR1に代えて、図
4(A)、(B)、(C)、(D)にそれぞれ示される
レチクルR2、R3、R4、R5をレチクルステージ1
4上に、上記と同様にして装填しても良い。
【0067】図4(A)のレチクルR2は、ガラス基板
54のパターン面側に、導電体膜56と同様の構成の導
電体膜56Aが回路パターンPAの上から蒸着により形
成されている。また、この場合、前述した接点58a〜
58dに代えて、円筒状の接点58a’〜58d’(但
し、紙面奥側の接点58c’,58d’は図示省略)
が、導電体膜56A内に一部埋め込まれ、かつガラス基
板54に接触した状態で設けられている。
【0068】このレチクルR2によると、パターン面側
で静電気が起こるのを防止することができ、パターン面
の帯電を防ぐことができ、これによりパターン面の埃の
付着、及び放電による回路パターンPAの損傷などを防
ぐことができる。このレチクルR2をレチクルステージ
14上に装填した際には、ガラス基板54の上面等で静
電気により電荷が発生すると、その電荷は、導電体膜5
6A、接点58a’〜58d’及びこれらの接点に対応
する接点60a〜60d、リード線64、外部アース線
66を介してグランドに落ちるので、レチクルR2の帯
電をほぼ確実に防止することができる。
【0069】図4(B)のレチクルR3は、ガラス基板
54のパターン面側の、ガラス基板54と回路パターン
PAとの間に導電体膜56と同様の構成の導電体膜56
Bが形成されている。この場合も、前述した接点58a
〜58dに代えて、円筒状の接点58a’〜58d’
が、導電体膜56B内に一部埋め込まれ、かつガラス基
板54に接触した状態で設けられている。
【0070】このレチクルR3によると、回路パターン
PA部分で静電気が起こるのを防止することができ、そ
の回路パターンPA部分が帯電することを防ぐことがで
き、これにより埃の付着、及び放電による回路パターン
PAの損傷などの弊害を防ぐことができる。また、絶縁
体であるガラス基板54の露出面積が大きく、静電気が
発生しやすい反パターン面側で発生した電荷が、回路パ
ターンPAに伝達されるのを導電体膜56Bにより防止
することができる。このレチクルR3をレチクルステー
ジ14上に装填した際には、上記と同様にしてガラス基
板54の上面等で静電気により発生した電荷は、グラン
ドに落ちるので、レチクルR3の部分的な帯電がほぼ確
実に防止される。
【0071】図4(C)のレチクルR4は、前述したレ
チクルR1において、パターン面側のガラス基板54と
回路パターンPAとの間に導電体膜56と同様の構成の
導電体膜56Bが形成されているものである。従って、
このレチクルR4では、反パターン面側のみならず、導
電体膜56Bによりパターン面における静電気の発生及
び帯電をも防止することができる。
【0072】また、図4(D)のレチクルR5は、前述
したレチクルR2において、反パターン面側に導電体膜
56が更に形成されている。従って、このレチクルR5
では、パターン面側のみならず、導電体膜56により反
パターン面における静電気の発生及び帯電をも防止する
ことができる。
【0073】レチクルR4、R5も、レチクルステージ
14上に装填した際には、上記と同様にしてガラス基板
54の側面等で発生した電荷は、グランドに落ちるの
で、レチクルR4、R5の部分的な帯電がほぼ確実に防
止される。
【0074】なお、レチクルR、すなわち、レチクルR
1〜R4は、後述する露光時に、露光光ELを吸収する
が、電気伝導度の高い物質は一般に熱伝導率も高いの
で、本実施形態では導電体膜56、56A又は56Bに
よってレチクルが吸収した熱エネルギが他の部分に速や
かに逃がされ、結果的にレチクルの熱膨張を低減させる
付随的な効果も期待できる。
【0075】図1に戻り、レチクル室15の内部には低
吸収性ガスを満たし、その気圧を上記所定の目標圧力に
設定している。これは、真空紫外の露光波長を使用する
露光装置では、酸素等の吸収性ガスによる露光光の吸収
を避けるために、レチクルRの近傍も前記低吸収性ガス
で置換する必要があるためである。このレチクル室15
内も低吸収性ガスの濃度が数ppm以下の濃度となって
いる。
【0076】レチクル室15の隔壁18には、図1に示
されるように給気弁16と排気弁17とが設けられてい
る。この場合、給気弁16は給気管路を介して前述した
ガス供給装置(図示省略)の一端に接続され、排気弁1
7は排気管路を介してガス供給装置の他端に接続されて
いる。この場合、図示は省略されているが、排気弁17
が設けられた排気管路には、パーティクルを除去するエ
アフィルタと酸素等の吸収性ガスを除去するケミカルフ
ィルタとが設けられている。また、図示は省略されてい
るが、給気弁16が設けられた給気管路には、エアフィ
ルタ、ケミカルフィルタ及び第2ポンプが設けられてい
る。給気弁16、排気弁17、第2ポンプは、不図示の
制御装置に接続されている。制御装置では、前述した照
明系ハウジング2内のガス置換と同様の手順で、不図示
の圧力センサの出力をモニタしつつ、給気弁16、排気
弁17の開閉及び上記第2ポンプの作動・停止を行っ
て、レチクル室15内のガス置換を効率良く行うように
なっている。
【0077】この場合も、給気管路及び排気管路中のエ
アフィルタとケミカルフィルタの存在により、循環使用
されるガス中の上記不純物は殆ど除去されるので、低吸
収性ガスを長時間に渡って循環使用しても、露光に対し
て悪影響を殆ど及ぼさないようになっている。
【0078】なお、レチクル室15内を上記所定の目標
圧力にする理由、真空にしない理由は、前述した照明系
ハウジング2の場合と同様である。従って、重量増加を
許容できるなら、レチクル室15のガス置換に際し、最
初に減圧を行い、続いて低吸収性ガスを充填する方法を
採用することもできる。
【0079】前記レチクル室15の隔壁18の−X側の
側壁には光透過窓71が設けられている。これと同様
に、図示は省略されているが、隔壁18の+Y側(図1
における紙面奥側)の側壁にも光透過窓が設けられてい
る。これらの光透過窓は、隔壁18に形成された窓部
(開口部)に該窓部を閉塞する光透過部材、ここでは一
般的な光学ガラスを取り付けることによって構成されて
いる。この場合、光透過窓70を構成する光透過部材の
取り付け部分からのガス漏れが生じないように、取り付
け部には、インジウムや銅等の金属シールや、フッ素系
樹脂による封止(シーリング)が施されている。
【0080】前記レチクルホルダ14Bの−X側の端部
には、平面鏡から成るX移動鏡72XがY軸方向に延設
されている。このX移動鏡72Xにほぼ垂直にレチクル
室15の外部に配置されたX軸レーザ干渉計74Xから
の測長ビームが光透過窓71を介して投射され、その反
射光が光透過窓71を介してレーザ干渉計74X内部の
ディテクタによって受光され、レーザ干渉計74X内部
の参照鏡の位置を基準としてX移動鏡72Xの位置、す
なわちレチクルRのX位置が検出される。
【0081】同様に、図示は省略されているが、レチク
ルホルダ14Bの+Y側の端部には、平面鏡から成るY
移動鏡がX軸方向に延設されている。そして、このY移
動鏡を介して不図示のY軸レーザ干渉計によって上記と
同様にしてY移動鏡の位置、すなわちレチクルRのY位
置が検出される。上記2つのレーザ干渉計の検出値(計
測値)は不図示の制御装置に供給されており、制御装置
では、これらのレーザ干渉計の検出値に基づいてレチク
ルステージ14の位置制御を行うようになっている。
【0082】このように、本実施形態では、レーザ干渉
計、すなわちレーザ光源、プリズム等の光学部材及びデ
ィテクタ等が、レチクル室15の外部に配置されている
ので、レーザ干渉計を構成するディテクタ等から仮に微
量の吸収性ガスが発生しても、これが露光に対して悪影
響を及ぼすことがないようになっている。
【0083】前記投影光学系PLは、ホタル石、フッ化
リチウム等のフッ化物結晶からなるレンズや反射鏡から
なる光学系を、鏡筒で密閉したものである。本実施形態
では、この投影光学系PLとして、投影倍率βが例えば
1/4あるいは1/5の縮小光学系が用いられている。
このため、前述の如く、照明光学系からの露光光ELに
よりレチクルRが照明されると、レチクルRに形成され
た回路パターンPAが投影光学系PLによりウエハW上
のショット領域に縮小投影され、回路パターンPAの縮
小像が転写形成される。
【0084】本実施形態のように、真空紫外の露光波長
を使用する露光装置では、酸素等の吸収性ガスによる露
光光の吸収を避けるために、投影光学系PLの鏡筒内部
の気体も低吸収性ガスで置換する必要がある。このた
め、本実施形態では、投影光学系PLの鏡筒内部には、
前記低吸収性ガスを満たし、その気圧を前記所定の目標
圧力に設定している。
【0085】これを更に詳述すると、投影光学系PLの
鏡筒には、図1に示されるように給気弁30と排気弁3
1とが設けられている。給気弁30は給気管路を介して
不図示のガス供給装置の一端に接続され、排気弁31は
排気管路を介してガス供給装置の他端に接続されてい
る。図示は省略されているが、排気弁31が設けられた
排気管路には、パーティクルを除去するエアフィルタと
酸素等の吸収性ガスを除去するケミカルフィルタとが設
けられている。また、図示は省略されているが、給気弁
30が設けられた給気管路には、エアフィルタ、ケミカ
ルフィルタ及び第3ポンプが設けられている。給気弁3
0、排気弁31、第3ポンプは、制御装置に接続されて
いる。制御装置では、前述した照明系ハウジング2内の
ガス置換と同様の手順で、不図示の圧力センサの出力を
モニタしつつ、給気弁30、排気弁31の開閉及び第3
ポンプの作動・停止を行って、投影光学系PLの鏡筒内
のガス置換を効率良く行うようになっている。
【0086】この場合も、給気管路及び排気管路中のエ
アフィルタとケミカルフィルタの存在により、循環使用
されるガス中の上記不純物は殆ど除去されるので、低吸
収性ガスを長時間に渡って循環使用しても、露光に対し
て悪影響を殆ど及ぼさないようになっている。
【0087】また、この場合も、制御装置は、上記第3
ポンプの作動停止のタイミングをガスセンサの出力に基
づいて決定したり、あるいは、低吸収性ガスを投影光学
系PLの鏡筒内に流し続ける(フローさせる)ようにし
ても構わない。
【0088】なお、投影光学系PLの鏡筒内を上記所定
の目標圧力にする理由は前述と同様であり、真空にしな
い理由は、真空にすると、鏡筒の内外に大きな圧力差を
生じ、鏡筒をその圧力差に耐えられる頑丈な構造としな
ければならず、鏡筒が重量化及び大型化して装置の大型
化を招くためでる。この場合も、重量増加を許容できる
なら、投影光学系PLのガス置換に際し、最初に減圧を
行い、続いて低吸収性ガスを充填する方法を採用するこ
とができる。
【0089】前記ウエハステージWSTは、ウエハ室4
0内に配置されている。このウエハ室40は、投影光学
系PLの鏡筒と隙間なく接合された隔壁41で覆われて
おり、その内部のガスが外部と隔離されている。ウエハ
室40の隔壁41は、ステンレス(SUS)等の脱ガス
の少ない材料にて形成されている。
【0090】前記ウエハステージWSTは、例えば磁気
浮上型の2次元リニアアクチュエータ(平面モータ)等
から成る不図示のウエハ駆動系によってベースBSの上
面に沿ってかつ非接触でXY面内で自在に駆動されるよ
うになっている。
【0091】ウエハステージWST上にウエハホルダ3
5が搭載され、該ウエハホルダ35によってウエハWが
吸着保持されている。
【0092】真空紫外の露光波長を使用する露光装置で
は、酸素等の吸収性ガスによる露光光の吸収を避けるた
めに、投影光学系PLからウエハWまでの光路について
も前記低吸収性ガスで置換する必要がある。このため、
本実施形態では、ウエハ室40の内部には、前記低吸収
性ガスを満たし、その気圧を前記所定の目標圧力に設定
している。
【0093】これを更に詳述すると、ウエハ室40の隔
壁41には、図1に示されるように給気弁32と排気弁
33とが設けられている。給気弁32は、給気管路を介
して前述したガス供給装置の一端に接続され、排気弁3
3は排気管路を介してガス供給装置の他端に接続されて
いる。この場合、排気弁33が設けられた排気管路に
は、パーティクルを除去するエアフィルタと吸収性ガス
を除去するケミカルフィルタとが設けられている。給気
弁32が設けられた給気管路には、エアフィルタ、ケミ
カルフィルタ及び第4ポンプが設けられている。給気弁
32、排気弁33、第4ポンプは、制御装置に接続され
ている。制御装置では、前述した照明系ハウジング2内
のガス置換と同様の手順で、不図示の圧力センサの出力
をモニタしつつ、給気弁32、排気弁33の開閉及び第
4ポンプの作動・停止を行って、ウエハ室40内のガス
置換を効率良く行うようになっている。
【0094】この場合も、エアフィルタとケミカルフィ
ルタの存在により、循環使用されるガス中の上記不純物
は殆ど除去されるので、低吸収性ガスを長時間に渡って
循環使用しても、露光に対して悪影響を殆ど及ぼさない
ようになっている。
【0095】この場合も、制御装置では、第4ポンプの
作動停止のタイミングをガスセンサの出力に基づいて決
定したり、あるいは、低吸収性ガスをウエハ室40内に
流し続ける(フローさせる)ようにしても構わない。
【0096】なお、ウエハ室40内を所定の目標圧力に
する理由及び真空にしない理由は、前述した照明系ハウ
ジング2の場合と同様である。
【0097】前記ウエハ室40の隔壁41の−X側の側
壁には光透過窓38が設けられている。これと同様に、
図示は省略されているが、隔壁41の+Y側(図1にお
ける紙面奥側)の側壁にも光透過窓が設けられている。
これらの光透過窓は、隔壁41に形成された窓部(開口
部)に該窓部を閉塞する光透過部材、ここでは一般的な
光学ガラスを取り付けることによって構成されている。
この場合、光透過窓38を構成する光透過部材の取り付
け部分からのガス漏れが生じないように、取り付け部に
は、インジウムや銅等の金属シールや、フッ素系樹脂に
よる封止(シーリング)が施されている。
【0098】前記ウエハホルダ35の−X側の端部に
は、平面鏡から成るX移動鏡36XがY方向に延設され
ている。このX移動鏡36Xにほぼ垂直にウエハ室40
の外部に配置されたX軸レーザ干渉計37Xからの測長
ビームが光透過窓38を介して投射され、その反射光が
光透過窓38を介してレーザ干渉計37X内部のディテ
クタによって受光され、レーザ干渉計37X内部の参照
鏡の位置を基準としてX移動鏡36の位置、すなわちウ
エハWのX位置が検出される。
【0099】同様に、図示は省略されているが、ウエハ
ホルダ35の+Y側の端部には、平面鏡から成るY移動
鏡がX方向に延設されている。そして、このY移動鏡を
介して不図示のY軸レーザ干渉計によって上記と同様に
してY移動鏡の位置、すなわちウエハWのY位置が検出
される。上記2つのレーザ干渉計の検出値(計測値)は
制御装置に供給されており、制御装置では、これらのレ
ーザ干渉計の検出値をモニタしつつ不図示のウエハ駆動
系を介してウエハステージWSTの位置制御を行うよう
になっている。
【0100】このように、本実施形態では、レーザ干渉
計、すなわちレーザ光源、プリズム等の光学部材及びデ
ィテクタ等が、ウエハ室40の外部に配置されているの
で、上記ディテクタ等から仮に微量の吸収性ガスが発生
しても、これが露光に対して悪影響を及ぼすことがない
ようになっている。
【0101】なお、ウエハ室40外部、すなわち光透過
窓38より外部の測長ビームの光路部分を、両端に光透
過窓が設けられた容器で覆い、該容器の内部のガスの温
度、圧力等を制御するようにしても良い。あるいは、こ
の容器内部を真空にしても良い。これにより、その外部
の光路上の空気揺らぎに起因する測長誤差を低減するこ
とができる。かかる詳細は、例えば特開平10−105
241号公報等に開示されている。
【0102】なお、レーザ干渉計用の参照鏡(固定鏡)
を投影光学系PLに固定し、これを基準としてX移動鏡
36X、Y移動鏡の位置を計測することも比較的多く行
われるが、かかる場合には、参照ビームと測長ビームと
を分離する偏光ビームスプリッタ(プリズム)より先の
光学素子をウエハ室40内に収納し、レーザ光源、ディ
テクタ等をウエハ室40外に配置するようにしても良
い。
【0103】次に、上述のようにして構成された露光装
置100における露光動作について、図1を参照しつ
つ、不図示の制御装置の制御動作を中心として説明す
る。
【0104】前提として、ウエハW上のショット領域を
適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の
露光条件が予め設定される。また、不図示のレチクル顕
微鏡及び不図示のオフアクシス・アライメントセンサ等
を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の
準備作業が行われ、その後、アライメントセンサを用い
たウエハWのファインアライメント(EGA(エンハン
スト・グローバル・アライメント)等)が終了し、ウエ
ハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0105】このようにして、ウエハWの露光のための
準備動作が終了すると、制御装置では、アライメント結
果に基づいてウエハ側のレーザ干渉計37X及び不図示
のY軸レーザ干渉計の計測値をモニタしつつウエハWの
ファーストショット(第1番目のショット領域)の露光
のための走査開始位置にウエハステージWSTを移動す
る。
【0106】そして、制御装置ではレチクルステージ1
4とウエハステージWSTとのX方向の走査を開始し、
両ステージ14、WSTがそれぞれの目標走査速度に達
すると、露光光ELによってレチクルRのパターン領域
が照明され始め、走査露光が開始される。
【0107】この走査露光の開始に先立って、光源1の
発光は開始されているが、制御装置によってレチクルブ
ラインドBLを構成する可動ブラインドの各ブレードの
移動がレチクルステージ14の移動と同期制御されてい
るため、レチクルR上のパターン領域外への露光光EL
の照射が遮光されることは、通常のスキャニング・ステ
ッパと同様である。
【0108】制御装置では、特に上記の走査露光時にレ
チクルステージ14のX軸方向の移動速度Vrとウエハ
ステージWSTのX軸方向の移動速度Vwとが投影光学
系PLの投影倍率βに応じた速度比に維持されるように
レチクルステージ14及びウエハステージWSTを同期
制御する。
【0109】そして、レチクルRのパターン領域の異な
る領域が紫外パルス光で逐次照明され、パターン領域全
面に対する照明が完了することにより、ウエハW上のフ
ァーストショットの走査露光が終了する。これにより、
レチクルRの回路パターンPAが投影光学系PLを介し
てファーストショットに縮小転写される。
【0110】このようにして、ファーストショットの走
査露光が終了すると、制御装置によりウエハステージW
STがX、Y軸方向にステップ移動され、セカンドショ
ット(第2番目のショット領域)の露光のための走査開
始位置に移動される。このステッピングの際に、制御装
置ではウエハ側のレーザ干渉計37X及びY軸レーザ干
渉計の計測値に基づいてウエハステージWSTのX、
Y、θz方向の位置変位をリアルタイムに計測する。こ
の計測結果に基づき、制御装置ではXY位置変位が所定
の状態になるようにウエハステージWSTの位置を制御
する。
【0111】また、制御装置ではウエハステージWST
のθz方向の変位の情報に基づいて、そのウエハW側の
回転変位の誤差を補償するようにレチクルステージ14
上のレチクルホルダ14Bを回転制御する。
【0112】そして、制御装置ではセカンドショットに
対して上記と同様の走査露光を行う。
【0113】このようにして、ウエハW上のショット領
域の走査露光と次ショット領域露光のためのステッピン
グ動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の全ての露光対
象ショット領域にレチクルRの回路パターンPAが順次
転写される。
【0114】ところで、本実施形態では、レチクル室1
5内の吸収性ガスの濃度が数ppm以下となっており、
湿度が極端に低くなっているので、上記の走査露光時に
レチクルステージ14が例えば1m/s程度の高速で移
動し、その際レチクルR(すなわち、前述したレチクル
R1〜R5)とレチクル室15内の低吸収性ガスとが擦
れ合い、絶縁体であるガラス基板54の低吸収性ガスに
接触している部分に静電気による電荷が発生し易い状況
となっている。
【0115】しかし、本実施形態では、レチクルステー
ジ14上にレチクルRが載置されると、前述の如く、接
地機構(58a〜58d、60a〜60d、64、6
6)によりレチクルRに設けられた導電体膜がレチクル
ステージ14を介して電気的に接地されるので、導電体
膜内を伝導する電荷はレチクルステージ14を介してグ
ランドに伝達され、これによりレチクルRの部分的な帯
電をほぼ確実に防止することができ、電荷の放電による
回路パターンPAの損傷や、レチクルRに対する塵や埃
の付着等を防止することができるようになっている。
【0116】従って、上記の走査露光時に、ウエハW上
には、レチクルRに形成された回路パターンPAの転写
像(投影像)が精度良く形成される。この場合、真空紫
外域の露光光ELを用いて、かつ露光光路中の透過率の
低下を極力抑制して露光量制御を高精度に行いつつ、走
査露光が行われるので、高解像度で回路パターンPAの
縮小像をウエハW上に形成することができる。従って、
ガス置換された環境下、すなわち静電気の発生し易い環
境下においても、良好な露光を安定して行うことが可能
となっている。
【0117】なお、上記実施形態では、レチクルR(R
1〜R5)及びレチクルホルダ14Bに、接点がそれぞ
れ4つ設けられる場合、すなわち4組の接点が設けられ
る場合について説明したが、これに限らず、接点は何組
であっても良い。
【0118】また、レチクルステージ14(レチクルホ
ルダ14B)上の真空吸着機構52a〜52bとレチク
ルRとの間に導電性がある場合には、必ずしもこれらの
接点を設ける必要はない。要は、レチクルR上の導電体
膜がグランドに電気的に接続されれば良い。
【0119】なお、マスク基板本体(ガラス基板54)
に導電体膜を設ける本発明は、ハーフトーンマスク、位
相シフトマスクにも好適に適用できることは勿論であ
る。
【0120】なお、上記の説明では特に明示しなかった
が、照明系ハウジング2、レチクル室15、投影光学系
PLの鏡筒、ウエハ室40等の内部は、不図示のエンバ
イロメンタル・チャンバと同程度の精度で温度調整が行
われている。また、上記では特に明示しなかったが、照
明系ハウジング2、投影光学系PLの鏡筒等の低吸収性
ガスが直接接触する部分は、前述したレチクル室15、
ウエハ室40の隔壁と同様にステンレス(SUS)等の
脱ガスの少ない材料で構成することが望ましい。あるい
は、照明系ハウジング2、レチクル室15、投影光学系
PLの鏡筒、ウエハ室40等の低吸収性ガスが直接接触
する部分にはその表面に炭化水素等の吸収性ガスの脱ガ
スによる発生の少ないフッ素系樹脂等のコーティングを
施しても良い。
【0121】《第2の実施形態》次に、本発明の第2の
実施形態を図5〜図9に基づいて説明する。ここで、前
述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分に
ついては同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略
にし、若しくは省略するものとする。
【0122】この第2の実施形態は、マスクステージ及
び該マスクステージに装填されるマスクの構成が前述し
た第1の実施形態と異なり、その他の部分の構成等は、
前述した第1の実施形態と同一であるから、以下におい
ては上記相違点を中心として説明する。
【0123】本第2の実施形態では、図5に示されるよ
うに、マスク基板としてのレチクルRと、その一方の面
(図5における下面)に取り付けられたマスク保護装置
としてのレチクル保護装置73とを備えるマスクMが後
述するマスクステージ114(図8及び図9参照)に載
置される。このマスクステージ114は、前述したレチ
クルステージ14に代えて、マスク室15内に配置され
る。
【0124】この場合、レチクルRは、図5における下
面に微細パターン(回路パターンPA)が形成されたガ
ラス基板54によって形成されている(図6参照)。
【0125】レチクル保護装置73は、図5に示される
ように、レチクルRのパターン面54a(図6参照)に
接着された矩形枠状のフレームとしての金属製のペリク
ルフレーム75と、このペリクルフレーム75のレチク
ルRのパターン面と反対側の面に接着されたパターン保
護材としてのペリクル76とを備えている。この場合、
このレチクル保護装置73、主としてペリクル76によ
って、レチクルRのパターン面への塵、化学的汚れ等の
付着、堆積が防止されるようになっている。
【0126】ペリクル76は、レチクルRのパターン面
から6mm程度離れた位置に、ペリクルフレーム75を
介して取り付けられている。ペリクル76は、ここで
は、図5に示されるように、ペリクルフレーム75に接
着された板状の光学部材としてのペリクル本体78と、
該ペリクル本体78の表面(パターン面と反対側の面)
に設けられた導電層80とを有している。
【0127】図6には、図5のマスクMの一部が拡大し
て断面図にて示されている。以下、図5及び図6を参照
しつつ、ペリクル76等の構成について説明する。
【0128】本第2の実施形態では、前述した第1の実
施形態と同様の光源1が用いられ、露光光として波長2
00nm以下のいわゆる真空紫外域の光が用いられてい
る。かかる真空紫外域の光は、酸素や水蒸気等のガスだ
けでなく、ガラスや有機物中の透過率も低いため、ガラ
ス基板54やペリクル本体78も、真空紫外光に対する
透過率の高い材料を使用する必要がある。ガラス基板5
4の材料としては、例えば、水酸基を10ppm以下程
度に排除し、フッ素を1%程度含有させたフッ素ドープ
石英が適している。
【0129】そして、このフッ素ドープ石英は、ペリク
ル本体78の素材としての使用も可能であり、本実施形
態ではペリクル本体78にも上記フッ素ドープ石英が用
いられている。
【0130】但し、ペリクル本体78の厚さが厚いと、
露光装置で転写される回路パターンPAの像位置が、ペ
リクル本体78の撓みによって変動し位置精度が低下す
るので、あまり厚いガラス基板を使用することはできな
い。すなわち、回路パターンの投影位置の位置変動を防
止する観点から、ペリクルの厚さは300μm程度が上
限となる。一方、あまりに薄いと加工が困難になるの
で、100μm程度が下限となる。なお、この程度の厚
さであれば、一般的な合成石英であっても、真空紫外領
域の露光光の吸収は少なく、使用することも可能であ
る。
【0131】なお、ペリクル本体78として、従来から
使用されるニトロセルロース等を主成分とする有機系の
物質から成る透明な薄膜を使用することも勿論可能であ
る。この場合、真空紫外光の透過率を改善するために、
フッ素を含有する有機系の膜を使用することが好まし
い。
【0132】同様に、ペリクル本体78上に設けられた
導電層80も真空紫外光に対する透過性を有する必要が
ある。本実施形態では、導電層80として、例えばクロ
ム、金あるいは銅等の金属薄膜が用いられている。クロ
ム、金あるいは銅は、波長157nm(F2レーザの波
長)での吸収係数が小さく、すなわち透過率が高く、導
電層材料として好適である。その厚さは、クロムであれ
ば5nm、金又は銅であれば3nm程度が、透過率と導
電性の点で最適となる。但し、銅については、酸化によ
る経時変化が懸念されるが、本実施形態では、ペリクル
76及びレチクルRが、前述の如く、ガス置換された環
境下で保管及び使用されるので、酸化が問題となるおそ
れは殆どない。
【0133】一方、金及びクロムは、化学的に安定であ
り、導電層材料として優れている。導電層80の材料と
しては、この他に酸化インジウム、酸化スズ及び酸化亜
鉛等の金属酸化物も適している。そして、その製法とし
ては、蒸着又はスパッタ等を使用する。
【0134】ペリクルフレーム75の素材としては、ア
ルミニウムやその合金等の、導電性の高い金属が使用さ
れている。
【0135】本実施形態のレチクル保護装置73では、
図6に示されるように、導電層80がペリクル本体78
のパターン面54aと反対側の面に形成されている。こ
の場合には、ペリクルフレーム75にペリクル76を接
着するのみでは、導電層80とペリクルフレーム75と
を導通することができないので、ペリクルフレーム75
にペリクル76を接着した後に、図6に示されるよう
に、導電部材82を使用して、ペリクルフレーム75と
導電層80との導通を確保している。導電部材82とし
ては、金属を用いても良く、あるいは導電性接着剤か、
金属粉を混入した接着剤を用いても良い。
【0136】また、レチクルRのペリクルフレーム75
との接触部は、導電性の金属膜84で覆われており、こ
れによってペリクルフレーム75とレチクルRのパター
ン面54aとの導通が確保されている。金属膜84は、
回路パターンPAを形成している遮光膜と同一の膜であ
る。
【0137】さらに、本実施形態では、ペリクル76と
ペリクルフレーム75とレチクルRのパターン面54a
とで囲まれる空間GS(図6参照)内のガスも、露光光
である真空紫外光に対する吸収の少ない窒素、又はヘリ
ウム等の希ガスで置換されている。
【0138】なお、図6のペリクル76及びレチクル保
護装置73の構成は、一例であって、本発明に係るパタ
ーン保護材及びマスク保護装置の構成がこれに限定され
るものではない。
【0139】図7(A)、(B)には、ペリクル及びレ
チクル保護装置の他の構成例が示されている。この内、
図7(A)に示されるレチクル保護装置73Aでは、パ
ターン保護材としてのペリクル76Aを構成するペリク
ル本体78上の導電層80が、ペリクル本体78のパタ
ーン面54a側に形成されている。この場合には、ペリ
クル76Aをペリクルフレーム75に接着することで、
導電層80とペリクルフレーム75の導電性を確保でき
る。さらに良好な導電性を得るには、接着剤に導電材料
を使用するか、接着剤中に金属粉を混入させると良い。
この図7(A)の場合も、レチクルRのペリクルフレー
ム75との接触部は、導電性の金属膜84で覆われ、ペ
リクルフレーム75とレチクルRのパターン面54aと
の導通が確保されている。
【0140】但し、回路パターンPAを形成する遮光膜
の性質によっては、ペリクルフレーム75が接触するレ
チクルパターン面54a上の遮光膜とペリクルフレーム
75との導電性がない場合もある。図7(B)には、こ
のようなレチクル(便宜上「レチクルR’」と呼ぶ)
に、図7(A)に示されるレチクル保護装置73Aが取
り付けられた場合が示されている。この場合、図7
(B)に示されるように、ペリクルフレーム75周辺の
パターン面54a上に、導電性の膜88を、遮光膜84
とは別に形成し、その導電性の膜88とペリクルフレー
ム75とを、前述した導電部材82と同様の導電部材8
6により導通させると良い。
【0141】上述のように本実施形態では、ペリクル7
6(又は76A)が、マスク基板としてのレチクルR
(又はR’)に取付けられた状態では、ペリクル76
(又は76A)を形成するペリクル本体78のレチクル
のパターン面と反対側の面(又はパターン面側の面)に
導電層80が形成されていることから、この導電層80
によりペリクル76(又は76A)全体に電荷の伝導性
を持たせることができ、これにより静電気に起因するペ
リクルの(部分的な)帯電を防止することができる。
【0142】また、本実施形態に係るレチクル保護装置
73(又は73A)によると、レチクルR(又はR’)
のパターン面54a側に、ペリクルフレーム75により
約6mm程度のクリアランスを介してペリクル76(又
は76A)が取り付けられることから、ペリクル76
(又は76A)を形成するペリクル本体78に形成され
た導電層80により、静電気に起因するペリクル76
(又は76A)の(部分的な)帯電を防止することがで
き、そのペリクル76(又は76A)によりレチクルR
(又はR’)のパターン面の帯電は勿論、パターン面へ
の塵等の汚染物質の付着も防止することができる。
【0143】従って、本実施形態に係るペリクル及びレ
チクル保護装置、並びにレチクルRにペリクル保護装置
が取り付けられて成るマスクMは、前述したガス置換さ
れた環境(水蒸気を排除し、窒素や、ヘリウム等の希ガ
スを充填した環境)の下、すなわち静電気の発生し易い
環境下においても安定して使用することが可能となる。
【0144】また、本実施形態では、ペリクルフレーム
75は、ペリクル76(又は76A)との間に導電性を
有するので、ペリクル76(又は76A)に仮に電荷が
発生してもその電荷は導電層80を介してペリクルフレ
ーム75側に速やかに伝達され、ペリクル76(又は7
6A)の帯電を防止することが可能になる。
【0145】さらに、本実施形態に係るマスクMでは、
図6又は図7(A)、(B)から明らかなように、レチ
クル保護装置73(又は73A)を構成するペリクルフ
レーム75とレチクルR(又はR’)との間が導電性を
有していることから、レチクル保護装置73(又は73
A)を構成するペリクル76(又は76A)で発生した
電荷がペリクルフレーム75を介してレチクルR(又は
R’)、より正確には、レチクル表面の金属膜84又は
88に伝達され、―層確実にペリクルの帯電を防止する
ことができる。
【0146】なお、上述した空間GSの密閉性を高める
と、台風等の接近で気圧が低下した際に空間GS内の気
体が膨張し、ペリクルが破損してしまうので、ペリクル
フレーム75には、通気孔を複数箇所に形成することが
望ましい。
【0147】次に、本第2の実施形態に係るマスクステ
ージ114について、図8及び図9に基づいて説明す
る。図8には、前述したマスクMが装填された状態のマ
スクステージ114の平面図が示され、また図9には、
図8のB−B線断面図が示されている。
【0148】図8に示されるように、レチクル走査ステ
ージ14Aの上面に設けられたレチクルホルダ14
1、14B2上の真空吸着機構(バキュームチャック)
52a,52bの近傍に、一対の接点機構90A、90
Bが設けられている。
【0149】一方の接点機構90Aは、図9に示される
ように、導電ピン92Aと、該導電ピン92AをZ軸回
りに回動する回動機構94Aとを備えている。導電ピン
92Aは、導電性の良い金属から成り、その表面には金
メッキが施されている。
【0150】回動機構94Aでは、導電ピン92Aを回
動することにより、導電ピン92Aの先端(回動端)を
ペリクルフレーム75に接触させ、あるいはその接触を
解除できるようになっている。
【0151】他方の接点機構90Bは、導電ピン92
B、回動機構94Bを含んで上記と同様にして構成され
ている。
【0152】本実施形態では、レチクルホルダ14
1、14B2、及びレチクル走査ステージ14Aとして
金属製のものが用いられており、従って、回動機構94
A、94Bは、これらレチクルホルダ14B1、14
2、及びレチクル走査ステージ14Aを介して不図示
のレチクルベース定盤に電気的に接続され、該レチクル
ベース定盤がレチクル室15の隔壁18を介して接地さ
れている。
【0153】すなわち、本実施形態では、接点機構90
A、90Bにより、ペリクルフレーム75とマスクステ
ージ114とを電気的に接続する開閉可能な接点機構が
それぞれ構成され、接点機構90A、90Bとペリクル
フレーム75と導電部材82とによってペリクル76に
形成された導電層80をマスクステージ114を介して
電気的に接地する接地機構が構成されている。
【0154】従って、本実施形態では、マスクMがマス
クステージ114に載置されると、このマスクMは真空
吸着機構(バキュームチャック)52a〜52dによっ
て4隅の部分を吸着され保持される。そして、回動機構
94A、94Bが、導電ピン92A、92Bを所定量回
動することにより、前記マスクMを構成するペリクルフ
レーム75に導電ピン92A、92Bの先端が接触し、
ペリクルフレーム54及びマスクステージ114を介し
てペリクル76の導電層80が電気的に接地される。こ
れにより、ペリクル76で発生し導電層80内に伝達さ
れた電荷がマスクステージ114を介してグランドに落
ち、ペリクル76の帯電、ひいてはレチクルRの帯電を
防止することができ、回路パターンPAの損傷や、パタ
ーン面に対する塵や埃の付着等を防止することができ
る。
【0155】本第2の実施形態においても、前述した第
1の実施形態と同様にして、走査露光が行われるが、上
記の如く、回路パターンPAの損傷や、パターン面に対
する塵や埃の付着等が防止されているので、ウエハW上
には回路パターンPAの転写像(投影像)が精度良く形
成される。また、この場合も、真空紫外光を露光光とし
て走査露光が行われるので、高解像度で回路パターンP
Aの縮小像をウエハW上に形成することができる。従っ
て、本第2の実施形態に係る露光装置によると、ガス置
換された環境下、すなわち静電気の発生し易い環境下に
おいても、良好な露光を安定して行うことが可能とな
る。
【0156】なお、上記第2の実施形態では、接点機構
90A、90Bを構成する導電ピン92A、92Bを回
動機構94A、94Bにより回動することにより、接点
を開閉する場合について説明したが、これに限らず、導
電ピンを直線駆動する直動機構を設け、これにより導電
ピンの先端をペリクルフレーム75に接触又は非接触状
態とすることにより、接点を開閉する構成を採用しても
良い。
【0157】また、図6及び図7(A)、(B)に示さ
れるように、レチクルのパターン面54aとペリクルフ
レーム75との導通性が確保されているマスクMを使用
する場合には、導電ピン92A、92Bを、ペリクルフ
レーム75でなく、レチクルパターン面の導電膜84又
は88で覆われた部位に接触させても良い。
【0158】上記各実施形態では、レチクルR1及びペ
リクル本体78に、膜厚が全面にわたって均等な導電層
を設ける構成について説明したが、この導電層を桝目状
のパターンで構成しても良い。このようにすれば、電光
光の透過率を向上(増加)することができる。
【0159】なお、上記各実施形態では、ステップ・ア
ンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用
された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこ
れに限定されないことは勿論である。すなわちステップ
・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置にも本発明
は好適に適用できる。
【0160】また、ウエハステージWST、レチクル走
査ステージ14Aの浮上方式として、磁気浮上でなく、
ガスフローによる浮上力を利用した方式を採用すること
も勿論できるが、かかる場合には、ステージの浮上用に
供給するガスは、前記低吸収性ガスを用いることが望ま
しい。
【0161】なお、複数のレンズから構成される照明光
学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整
をするとともに、多数の機械部品からなるウエハステー
ジ(スキャン型の場合はレチクルステージも)を露光装
置本体に取り付けて配線や配管を接続し、レチクル室1
5、ウエハ室40を構成する各隔壁、レチクルガス置換
室、ウエハガス置換室等を組み付け、ガスの配管系を接
続し、制御装置等の制御系に対する各部の接続を行い、
更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることによ
り、上記実施形態の露光装置100等の本発明に係る露
光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造
は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルーム
で行うことが望ましい。
【0162】《デバイス製造方法》次に、上述した各実
施形態に係る露光装置をリソグラフィ工程で使用したデ
バイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0163】図10には、デバイス(ICやLSI等の
半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、
マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示され
ている。図10に示されるように、まず、ステップ20
1(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設
計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、そ
の機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続
き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、
設計した回路パターンPAが形成されたマスク基板(レ
チクル)又はマスクを製作する。一方、ステップ203
(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を
用いてウエハを製造する。
【0164】次に、ステップ204(ウエハ処理ステッ
プ)において、ステップ201〜ステップ203で用意
したマスク基板とウエハを使用して、後述するように、
リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を
形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立ステ
ップ)において、ステップ204で処理されたウエハを
用いてデバイス組立を行う。このステップ205には、
ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージン
グ工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれ
る。
【0165】最後に、ステップ206(検査ステップ)
において、ステップ205で作製されたデバイスの動作
確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工
程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0166】図11には、半導体デバイスの場合におけ
る、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されてい
る。図11において、ステップ211(酸化ステップ)
においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212
(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形
成する。ステップ213(電極形成ステップ)において
はウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ2
14(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオ
ンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214
それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成し
ており、各段階において必要な処理に応じて選択されて
実行される。
【0167】ウエハプロセスの各段階において、上述の
前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程
が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ2
15(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光
剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステッ
プ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露
光装置)及び露光方法によってマスク基板(レチクル)
の回路パターンPAをウエハに転写する。次に、ステッ
プ217(現像ステップ)においては露光されたウエハ
を現像し、ステップ218(エッチングステップ)にお
いて、レジストが残存している部分以外の部分の露出部
材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ21
9(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済
んで不要となったレジストを取り除く。
【0168】これらの前処理工程と後処理工程とを繰り
返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターン
PAが形成される。
【0169】以上説明した本実施形態のデバイス製造方
法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上
記各実施形態の露光装置が用いられるので、真空紫外域
の露光光により解像力の向上が可能となり、しかも光学
系透過率の低下を可能な限り抑制して、露光量制御を高
精度に行うことができるので、結果的に最小線幅が0.
1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まり良く生産す
ることができる。
【0170】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る、マ
スク基板、パターン保護材、マスク保護装置及びマスク
は、ガス置換された環境下においても安定して使用が可
能であるという効果がある。
【0171】また、本発明に係る露光装置によれば、ガ
ス置換された環境下においても、良好な露光を安定して
行うことができるという効果がある。
【0172】また、本発明に係るデバイス製造方法によ
れば、高集積度のマイクロデバイスの生産性を向上する
ことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的
に示す図である。
【図2】レチクルRの一例であるレチクルR1が装填さ
れた状態の図1のレチクルステージを示す平面図であ
る。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図4(A)〜(D)は、図1のレチクルステー
ジ上に装填されるレチクルRのその他の構成例を示す図
である。
【図5】第2の実施形態に係るマスクを一部破断して示
す斜視図である。
【図6】図6は、図5のマスクの一部を拡大して示す断
面図である。
【図7】図7(A)、(B)は、ペリクル及びレチクル
保護装置の他の構成例を説明するための図である。
【図8】図6のマスクMが装填された状態の第2の実施
形態に係るマスクステージを示す平面図である。
【図9】図8のB−B線断面図である。
【図10】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を
説明するためのフローチャートである。
【図11】図10のステップ204の詳細を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
14…レチクルステージ(マスクステージ)、54…ガ
ラス基板(マスク基板本体)、54a…パターン面、5
8a,60a…接点(接地機構の一部)、58b,60
b…接点(接地機構の一部)、58c,60c…接点
(接地機構の一部)、58d,60d…接点(接地機構
の一部)、56,56A,56B…導電帯膜、64…リ
ード線(接地機構の一部)、66…外部アース線(接地
機構の一部)、73,73A…レチクル保護装置(マス
ク保護装置)、75…ペリクルフレーム(フレーム、接
地機構の一部)、76,76A…ペリクル(パターン保
護材)、78…ペリクル本体(光学部材)、80…導電
層、82…導電部材(接地機構の一部)、90A、90
B…接点機構(接地機構の一部)、100…露光装置、
114…マスクステージ、R,R1,R2,R3,R
4,R5…レチクル(マスク基板)、PA…電子回路パ
ターン、M…マスク、PL…投影光学系、W…ウエハ
(基板)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/30 515D (72)発明者 長坂 博之 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 青木 貴史 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 2H095 BA02 BA07 BB30 BC17 BC26 BC33 BC35 BC39 2H097 AA03 BA04 CA13 GB01 JA02 LA10 5F046 AA22 AA28 BA04 BA05 CA03 CA08 CB17 CB20 CB23 CC01 CC02 CC03 CC09 CC10 CC16 CC18 DA27

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 露光装置で用いられるマスク基板であっ
    て、 一方の面に電子回路パターンが形成されたマスク基板本
    体と;前記マスク基板本体の前記電子回路パターンが形
    成されたパターン面及びその反対側の面の少なくとも一
    方に設けられた導電帯膜とを備えるマスク基板。
  2. 【請求項2】 前記導電帯膜が、前記パターン面側の前
    記マスク基板本体と前記電子回路パターンとの間に設け
    られていることを特徴とする請求項1に記載のマスク基
    板。
  3. 【請求項3】 前記導電帯膜を形成する物質は、銅、
    金、及び白金のいずれかであることを特徴とする請求項
    1又は2に記載のマスク基板。
  4. 【請求項4】 一方の面にパターンが形成されたマスク
    基板の汚染を防止するために、フレームを介して前記マ
    スク基板の少なくともパターン面側に取り付けられるパ
    ターン保護材であって、 特定の材質より成る光透過性を有する板状の光学部材
    と;前記光学部材の前記マスク基板のパターン面側及び
    その反対側の面の少なくとも一方に形成された導電層と
    を備えるパターン保護材。
  5. 【請求項5】 前記特定の材質は、石英を主成分とする
    材質又は二酸化シリコンを主成分とする材質であること
    を特徴とする請求項4に記載のパターン保護材。
  6. 【請求項6】 前記特定の材質は、水酸基濃度が100
    ppm以下で、かつフッ素を含有する合成石英であるこ
    とを特徴とする請求項5に記載のパターン保護材。
  7. 【請求項7】 前記光学部材は、厚さが100〜300
    μmであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一
    項に記載のパターン保護材。
  8. 【請求項8】 前記導電層は、金属薄膜及び金属酸化物
    薄膜のいずれかであることを特徴とする請求項4〜7の
    いずれか一項に記載のパターン保護材。
  9. 【請求項9】 露光装置に用いられるマスク保護装置で
    あって、 マスク基板の回路パターンが形成されたパターン面側に
    取り付けられるフレームと;前記フレームにより前記パ
    ターン面との間に所定のクリアランスを介して取り付け
    られる請求項4〜8のいずれか一項に記載のパターン保
    護材とを備えるマスク保護装置。
  10. 【請求項10】 前記フレームは、前記パターン保護材
    に形成された前記導電層との間に導電性を有することを
    特徴とする請求項9に記載のマスク保護装置。
  11. 【請求項11】 マスク基板と、該マスク基板に取り付
    けられた請求項9又は10に記載のマスク保護装置とを
    備え、 前記マスク保護装置を構成する前記フレームと前記マス
    ク基板との間が導電性を有していることを特徴とするマ
    スク。
  12. 【請求項12】 エネルギビームにより基板を露光する
    露光装置であって、 請求項1〜3のいずれか一項に記載のマスク基板が載置
    されるマスクステージと;前記マスク基板から出射され
    る前記エネルギビームを前記基板に投射する投影光学系
    と;前記マスク基板に形成された前記導電帯膜を前記マ
    スクステージを介して電気的に接地する接地機構とを備
    える露光装置。
  13. 【請求項13】 前記接地機構は、前記マスク基板と前
    記マスクステージとにそれぞれ設けられ、両者を電気的
    に接続する少なくとも1組の接点と、前記マスクステー
    ジ側の接点に接続された外部アース線とを有することを
    特徴とする請求項12に記載の露光装置。
  14. 【請求項14】 エネルギビームにより基板を露光する
    露光装置であって、 請求項11に記載のマスクが載置されるマスクステージ
    と;前記マスクから出射される前記エネルギビームを前
    記基板に投射する投影光学系と;前記マスクを構成する
    前記パターン保護材に形成された前記導電層を前記マス
    クステージを介して電気的に接地する接地機構とを備え
    る露光装置。
  15. 【請求項15】 前記接地機構は、前記フレーム及び前
    記マスク基板の一方と前記マスクステージとを電気的に
    接続する開閉可能な接点機構を含むことを特徴とする請
    求項14に記載の露光装置。
  16. 【請求項16】 前記エネルギビームは波長200nm
    以下の真空紫外光であり、かつ前記マスク基板周囲の空
    間を含む前記エネルギビームの光路上の空間が前記エネ
    ルギビームが透過する不活性ガスで満たされていること
    を特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の
    露光装置。
  17. 【請求項17】 リソグラフィ工程を含むデバイス製造
    方法であって、 前記リソグラフィ工程において、請求項16に記載の露
    光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製
    造方法。
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