JPWO2002023280A1 - 電子写真装置用転写定着部材 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、耐熱性、耐久性を有し、トナーの離型性を向上させた転写定着部材を提供することにあり、ゾルゲル法によってフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を転写定着部材の基体表面上に形成する。
Description
〔技術分野〕
本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ等において、感光体上に形成されたトナー画像を、紙等の画像支持体に転写するために使用される中間転写ベルトや該画像支持体に転写されたトナー画像を定着するために使用される定着ローラあるいは定着ベルト、あるいは転写と定着の両方を行う転写定着ベルトのような転写定着部材に関するものである。
〔背景技術〕
電子写真装置においては、一般的に、帯電させた感光体の表面に、画像読取装置で得られた画像に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像器によってトナー画像とした後、該トナー画像を中間転写ベルトに静電転写(一次転写)し、そして該中間転写ベルトから紙等の画像支持体に再度転写(二次転写)して最終的なトナー画像を形成する。上記のようにして最終的なトナー画像を転写された画像支持体は次いで定着ローラまたは定着ベルト間に挟持加熱され、該トナー画像は該画像支持体に永久像として定着される。
上記電子写真装置に使用される中間転写ベルトや転写定着ベルトとしては、静電気除去装置を使用することなく静電気を容易に除去出来るように導電性を有し、かつ、正確で鮮明な画像を形成するために、伸び量が少ない(引張弾性率が高い)ものであることが要求されている。これらの特性を満たす中間転写ベルトの材料としては、従来より、ポリイミド樹脂にカーボンブラック、導電性金属酸化物等の導電性フィラーを分散させたものが主に使用されている(特開昭63−311263号等)。
しかしながら、上記ポリイミド樹脂を材料とした中間転写ベルトや転写定着ベルトは、引張弾性率は高いものゝ、タック性があり、トナーの離型性が悪いという欠点があった。このようにトナーの離型性が悪い中間転写ベルトや転写定着ベルトを使用すると、所定の画像支持体への転写後も該ベルト表面にトナーが残存(オフセット)し、該残存したトナーが次の画像支持体に転写されてしまうという問題、あるいは該ベルト表面にトナーが堆積し、いわゆるフィルミングが形成され、転写不良・画質低下といった問題が発生する。
従って、本発明の課題は、所定の導電性を維持しつつ、トナーの離型性を向上させた電子写真装置用中間転写ベルトあるいは中間転写ドラム、あるいは耐熱性、耐久性を有し、オフセットやロール表面の損傷が発生しにくい定着ローラや定着ベルト、更には中間転写と定着とに兼用される転写定着ベルトを提供することである。
〔発明の開示〕
上記従来の課題を解決するための手段として、基体表面にゾルゲル法によってフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した電子写真装置用転写定着部材を提供する。
本発明は更に、該基体がポリイミド樹脂からなることが好ましく、更に該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層は金属または半金属のアルコキシドを有機ケイ素化合物と反応させることによって得ることが好ましい。
該転写定着部材は中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトであり、該基体は中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては導電性を有する樹脂基体、中間転写ドラムにあっては円筒状の芯金である。
上記中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトにあっては、該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが0.05〜100μmであることが好ましく、また中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施されること、あるいは、中間転写定着ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無機酸化物からなる接着層が介在されることが好ましい。
更に、該中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトの表面抵抗値は、5〜14logΩ/□であり、体積抵抗値は、5〜13logΩ・cmであることが好ましい。
更に、該転写定着部材は定着ローラまたは定着ベルトである。
該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが定着ローラの場合は0.2〜40mm、定着ベルトの場合は0.05〜100μmであることが好ましく、また該基体は定着ローラにあっては円筒状の芯金または樹脂被覆した円筒状の芯金であり、定着ベルトにあっては樹脂基体であることが好ましく、更には、該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施されるか、あるいは、該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無機酸化物からなる接着層を介在させることが好ましい。
有機・無機ハイブリッド材料の有機成分としてフルオロアルキル基を有する化合物を使用することで、該有機・無機ハイブリッド材料から得られる離型層のタック性を低減し、離型性を向上せしめる。
本発明の転写定着部材は、タック性が少なく、トナーの離型性に優れ、かつ良好な耐熱性、耐久性を有し、更にオフセット等の画質不良や定着部材表面の損傷の発生も確実に防止することが出来る。
〔発明の詳細な説明〕
以下、本発明を詳細に説明する。
(A.基体)
本発明の電子写真装置用転写定着部材に使用される樹脂基体を構成する原料樹脂としては、主として高引張り弾性率を有するポリイミド樹脂(PI)が使用されるが、その他ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリアミド樹脂(PA)等の熱可塑性樹脂も使用可能であり、上記原料樹脂は単独でまたは混合して用いられ、あるいはポリマーアロイとして用いられる。転写定着ベルトの場合には、PEN,PAR,PEN−PARポリマーアロイのような耐熱性樹脂を材料とすることが望ましい。
中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトの場合には、上記樹脂基体に導電性を付与するために、通常、上記原料樹脂に導電性物質が配合される。そのような導電性物質としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;カーボン表面に存在する官能基に疎水性のオリゴマー(スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等のオリゴマー)をグラフトしたグラフトカーボン;導電性の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン等の導電性金属酸化物;導電性の硫酸バリウム、硼酸アルミニウム等の導電性金属塩;ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子などの粉状物が使用される。
この導電性物質の上記原料樹脂に対する配合量は、得られる中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトが所望の電気抵抗値を示すような量であればよく、該導電性物質が有する電気特性によって適宜調整すればよい。具体的には、この樹脂基体の表面抵抗値が5〜14logΩ/□となり、体積抵抗値が5〜13logΩ・cmとなるように調整するのが好ましい。
また、上記樹脂基体は、導電性を有する樹脂そのものによって構成してもよく、そのような導電性樹脂を使用する場合には、上述したような導電性物質の配合は不要となる。該導電性樹脂としては、例えば、繰り返し単位中に酸無水物部分とジアミン部分とを含む芳香族ポリイミドであって、該ジアミン部分が、ベンゼン環またはベンゼン環の縮合環相互を共役系または硫黄原子を介して結合した骨格を有する導電性ポリイミド等が挙げられる。
上記樹脂基体は、通常熱可塑性樹脂に添加され得る第三成分、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、防炎剤、酸化防止剤、離型剤等の添加剤等を通常使用される量で含有してもよい。
上記樹脂基体の引張弾性率は、200kg/mm2以上、特に250kg/mm2以上であるのが好ましい。また、該樹脂基体の厚みは、ベルトの場合80〜100μmであるのが好ましい。
(B.離型層)
本発明の電子写真装置用転写定着部材における離型層は、ゾルゲル法によって上記基体上に形成されるフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド材料からなり、耐熱性、耐久性を有し、かつトナーの離型性に優れるものである。
該ゾルゲル法は、ゾル液を上記基体の表面に塗布した後、該ゾル液を脱水処理(加熱処理)してゲル化、更には離型層とするものである。
上記離型層を構成する有機・無機ハイブリッド材料は、無機成分としての金属または半金属のアルコキシドと、有機成分としての有機ケイ素化合物との反応によって得られるものが好ましい(特開平7−213995号、特開平10−245490号、特開平10−95852号等)。
上記アルコキシドを形成する金属または半金属の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属または半金属が挙げられる。
また、アルコキシドの種類は特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられ、更には、アルコキシ基の一部をβ−ジケトン、β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン等で置換したアルコキシド誘導体であってもよい。
上記有機ケイ素化合物としては、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン、末端シラノールポリジメチルシロキサン等を使用することが出来る。
該ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン等が挙げられる。
上記末端シラノールポリジメチルシロキサンは、分子量が400〜10000であるのものが好ましい。
本発明においては、該有機・無機ハイブリッド離型層中にフッ素を含有させる。該離型層中にフッ素を含有せしめるには、上記有機ケイ素化合物の有機基の水素原子の一部または全部にフッ素原子に置換した有機ケイ素化合物、即ちフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物を使用する。該有機ケイ素化合物としては、トリアルキルアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン等のアルコキシシラン類のアルキル基の水素の一部または全部をフッ素で置換した化合物が例示される。上記フルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物のうち望ましいものは炭素数1〜13のアルキル基およびアルコキシ基を有するものであり、例えば3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明で使用するフルオロアルキルアルコキシシランとしては、モノフルオロアルキルトリアルコキシシラン、モノフルオロアルキルモノアルキルジアルコキシシラン、ジフルオロアルキルジアルコキシシラン、モノフルオロアルキルジアルキルモノアルコキシシラン、ジフルオロアルキルモノアルキルモノアルコキシシラン、トリフルオロアルキルモノアルコキシシランがある。フルオロアルキル基としては、−CF3,−C2F5,−C3F7,−C4F9,−CH2CH2CF3,−CH2CH2C6F13,−CH2CH2C8F17等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビニル基等が挙げられる。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
上記各種の離型層を形成するには、まず、所望の金属または半金属のアルコキシドの加水分解物と、上記有機ケイ素化合物の有機成分とを反応させ、ゾル液を調製する。該有機成分は、加水分解前のアルコキシドに対して配合してもよいし、加水分解したアルコキシドに対して配合してもよい。
上記ゾル液調整の際、所望ならば溶媒を使用してもよい。このとき使用する溶媒としては、アルコキシドおよび有機成分を均一に分散、溶解出来る溶媒であれば特に限定されることなく、例えば、メタノール、エタノール等の各種アルコールの他、アセトン、トルエン、キシレン等が一般的に使用される。
なお、上記アルコキシドの加水分解反応を促進させるために、塩酸、リン酸、酢酸等の触媒を適宜使用してもよい。
本発明では、上記有機成分中にフッ素原子に置換した有機ケイ素化合物が5.0重量%以上含まれることが望ましい。フッ素原子に置換した有機ケイ素化合物の含有量が5.0重量%未満であると、得られる離型層のタック性が充分改良されない場合がある。
また有機成分と、無機成分であるアルコキシドとの配合比は、有機成分/(有機成分+無機成分)のモル比が0.1〜0.7となる範囲であるのが好ましい。該モル比が0.1未満では、得られる離型層が硬く脆くなり、弾性変形しなくなるおそれがあり、該モル比が0.7を超えると、有機成分と無機成分との反応物がゲル化しない場合がある。
以上のようにして得られるゾル液は、攪拌等によってアルコキシドを十分加水分解するとともに、一部脱水重合を行うことにより、上記基体、特に上記樹脂基体に対する密着性を向上させることが出来る。
得られたゾル液を上記基体の表面に塗布する方法としては、公知の方法を利用することが出来、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の方法を利用することが出来る。
このようにして上記基体の表面に塗布したゾル液は、脱水乾燥して最終的に離型層とする。該脱水乾燥は、自然乾燥によって行ってもよいが、通常は、加熱処理によって行う。該加熱処理の条件は、60〜450℃×20秒〜7時間であるのが好ましい。このコーティング工程は、1回だけでなく、複数回行ってもよい。すなわち、該離型層は、1コートからなるものであってもよいし、複数コートからなるものであってもよい。
この離型層は、上記ゾルゲル法によって通常形成されるが、定着ローラにおいて芯金上に直接弾性体層として形成される場合には厚さは通常0.2〜40mmとされ、また定着ベルト、中間転写ベルト、あるいは転写定着ベルトの樹脂基体上に薄膜として形成される場合には、具体的には、0.05〜100μmであるのが好ましい。
以上説明したゾルゲル法によって形成される有機・無機ハイブリッド材料からなる離型層は、トナーの離型に適したタック性を有し、更に耐熱性、耐久性、およびトナーの離型性に優れるものであるため、この離型層を有する転写定着部材は、トナー残存あるいは付着に基づく転写不良・画質低下等の問題が解決され、正確で鮮明な画像を形成することが出来、また長寿命が獲得出来る。
また、上記離型層は、中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトにあってはゾルゲル法によって均一にかつ薄膜に形成されるため、上記樹脂基体の電気特性をほとんど変化させることがなく、したがって、トナーを効率良く静電吸着することが出来るとともに、静電気が容易に除去され得る。なお、該離型層を含めた中間転写ベルト全体が所定の電気抵抗を有するように、該離型層に導電性物質を配合することも可能である。
さらに、本発明における離型層は、有機・無機ハイブリッド材料からなるものであるため、該離型層は有機成分に基づく可撓性および弾性を有し、上記樹脂基体への追従性が高く、定着ローラや転写定着ベルトに適用した場合には優れたニップ性が得られまた定着ベルトや転写定着ベルトに適用した場合には、ベルトとしての機能を妨げないという利点を有する。特に、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサンを使用した場合の離型層は、ポリジメチルシロキサンの主骨格となっているフレキシブルなシロキサン結合のために優れたゴム弾性を示すとともに、鎖状のシロキサン結合の絡み合った構造のために柔軟性および機械的強度に優れる。
さらにまた、樹脂基体に有機・無機ハイブリッド材料からなる離型層を形成した場合、得られる転写定着部材の耐摩耗性が向上し、寿命が延びるという付随的効果も生じる。
中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトの場合、最終的に得られる表面抵抗値は、5〜14logΩ/□であるのが好ましく、体積抵抗値は、5〜13logΩ・cmであるのが好ましい。中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトの表面抵抗値が5logΩ/□未満であるか、体積抵抗率が5logΩ・cm未満であると、該中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトを帯電させるために付与される電荷が該ベルトの導電性によって脱落し易くなるため、該ベルトにトナー画像が保持されにくゝなってブラーが生じ、画像支持体に転写される画像がノイズの大きいものとなる。一方、該ベルトの表面抵抗値が14logΩ/□を超えるか、体積抵抗率が13logΩ・cmを超えると、静電転写時における転写電界によって該ベルト表面が帯電するため、除電機構が必要となる。
(C.密着性の向上)
基体が樹脂基体である場合、上記樹脂基体と離型層との密着性を向上させるために、該樹脂基体の表面に、あらかじめ紫外線照射処理を施しておいてもよい。このように該樹脂基体の表面に紫外線を照射すると、該樹脂基体の樹脂中の親油基が親水基に変化し、上記ゾル液中に存在するOH基と結合し得るため、該樹脂基体と離型層との密着性が向上する。
この紫外線照射処理は、185nmおよび254nmの波長で5秒間〜60分間行うのが好ましい。
また上記樹脂基体と離型層との密着性を向上させるために、NaOH化学エッチングを該樹脂基体の表面に施してもよい。
樹脂基体と離型層との密着性を向上させるための更なる方法として、両者の間にゾルゲル法によって形成した無機酸化物からなる接着層を介在させる方法がある。
該無機酸化物の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属または半金属の酸化物が挙げられ、上記無機酸化物からなる接着層は上述したゾルゲル法によって樹脂基体上に通常薄膜として形成することが出来る。
このようにゾルゲル法によって樹脂基体上に形成された該接着層は、上記樹脂基体の電気特性をほとんど変化させることがない。この接着層の厚みは、0.05〜5.0μmであるのが好ましい。
なお、該接着層についても、該接着層を含めた中間転写ベルトあるいは転写定着ベルト全体が所定の電気抵抗を有するように、該接着層に導電性物質を配合することも可能である。
(D.転写定着部材)
本発明の転写定着部材には、中間転写ベルト(1)、中間転写ドラム(11)、定着ローラ(21)、定着ベルト(31)、転写定着ベルト(41)等が含まれる。
図1には転写ベルトを使用した転写システムを示す。該中間転写ベルト(1)は駆動ロール(2)、被駆動ロール(3)、およびテンションロール(4)に懸架され、駆動ロール(2)と被駆動ロール(3)との間で感光体ドラム(5)に接し、該感光体ドラム(5)に対向して一次転写ロール(6)が配置され、テンションロール(4)と被駆動ロール(3)との間において一対の対向する二次転写ロール(7)が配置され、該ベルト(1)は該二次転写ロール(7)に挟時され、更に該ベルト(1)は被駆動ロール(3)に対向してベルトクリーナ(8)が配置される。
上記構成では感光体ドラム(5)上に形成されたトナー画像は該感光体ドラム(5)と等速で駆動される中間転写ベルト(1)に一次転写され、該ベルト(1)上に転写されたトナー画像は二次転写ロール(7)間に送込みロール(9)によって送込まれる紙P等の画像支持体に二次転写され、二次転写後にベルト(1)上に残存するトナーはベルトクリーナー(8)によって除去される。
図2に中間転写ドラム(11)を使用した転写システムを示す。該中間転写ドラム(11)にはロール(13,14,15,16)に懸架される感光体ベルト(12)と転写ローラ(17)と接している。
上記構成では感光体ベルト(12)上のトナー画像は該感光体ベルト(12)と等速で駆動される中間転写ドラム(11)に一次転写され、該ドラム(11)上に転写されたトナー画像は該ドラム(11)と該転写ローラ(17)との間に送込みロール(18)によって送込まれる紙P等の画像支持体に二次転写される。一次転写後にベルト(12)上に残存するトナーはベルトクリーナー(19)によって除去される。
図3に定着ローラ(21)を使用した定着システムを示す。該定着ローラ(21)は加熱ローラ(22)と、該加熱ローラ(22)に圧接する加圧ローラ(23)とからなり、送りコンベア(24)から等速回転するローラ(22,23)間に送込まれた紙P等の画像支持体に転写されているトナー画像を構成するトナーを溶融して該トナー画像を画像支持体に定着する。定着後加熱ローラ(22)に付着したトナーはクリーニングロール(25)によって除去する。
図4に定着ベルト(31)を使用した定着システムを示す。該ベルト(31)は駆動ロール(32)、被駆動ロール(33)、およびテンションロール(34)に懸架され、加熱ローラ(35)が圧接する。ベルト(31)とローラ(35)とは等速回動してその間には送りロール(36)からトナー画像を転写した紙P等の画像支持体が送込まれ、トナー画像の定着が行なわれる。定着後加熱ローラ(35)に付着したトナーはクリーングロール(37)によって除去される。
図5に転写定着ベルト(41)を使用した転写定着システムを示す。該転写定着ベルト(41)は駆動ロール(42)、ガイドロール(43,44)、テンションロール(45)、および加熱ローラ(46)に懸架され、駆動ロール(42)と加熱ローラ(46)との間においてそれぞれ異色トナー画像が形成された四個の感光体ドラム(47A,47B,47C,47D)が接し、それに対向して転写器(48A,48B,48C,48D)が配置され、加熱ローラ(46)には加圧ローラ(49)が圧接されている。
上記構成において、ベルト(41)には四個の感光体ドラム(47A,47B,47C,47D)から多色トナー画像が一次転写され、加熱ローラ(46)と加圧ローラ(49)間には紙P等の画像支持が送込まれ、該ベルト(41)上の多色トナー画像は該画像支持体上に二次転写されると共に加熱定着される。
以下、実施例より本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔発明を実施するための最良の形態〕
(実施例1)
無機成分としてテトラブトキシジルコニウムを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:テトラブトキシジルコニウム:アセト酢酸エチル:水:3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを、0.200:1:2:2:1の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該テトラブトキシジルコニウムの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、10.4重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例1によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は105.1°、静摩擦係数が0.31、動摩擦係数が0.22、微小硬度が0.879、光沢度が100であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=1.0であり品質規格内であった。
(実施例2)
無機成分としてテトラブトキシジルコニウムを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを使用した。エタノールを溶媒として末端シラノールポリジメチルシロキサン:テトラブトキシジルコニウム:アセト酢酸エチル:水:3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを、0.200:1:2:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該テトラブトキシジルコニウムの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、20.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例2によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は104.3°、静摩擦係数が0.29、動摩擦係数が0.18、微小硬度が0.900、光沢度が100であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=1.0であり品質規格内であった。
(実施例3)
無機成分としてテトライソプロポキシチタン(以下、TIPと称す)を使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.200:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、15.6重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例3によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は4H、水との接触角は111.3°、静摩擦係数が0.24、動摩擦係数が0.14であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.39であり品質規格内であった。
(実施例4)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.250:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、14.3重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例4によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は106.8°、静摩擦係数が0.61、動摩擦係数が0.39であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.75であり品質規格内であった。
(実施例5)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.300:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、9.4重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例5によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は4H、水との接触角は106.3°、静摩擦係数が0.73、動摩擦係数が0.46であった。また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.83であり品質規格内であった。
(実施例6)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.400:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、8.3重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例6によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は6B、水との接触角は106.2°、静摩擦係数が0.91、動摩擦係数が0.55であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.88であり品質規格内であった。
(実施例7)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.600:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、6.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例7によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は6B、水との接触角は107.2°、静摩擦係数が1.01、動摩擦係数が0.51であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.95であり品質規格内であった。
(実施例8)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.250:1:2:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、28.6重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例8によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は107.3°、静摩擦係数が0.70、動摩擦係数が0.49であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.65であり品質規格内であった。
(実施例9)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.300:1:2:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、12.5重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例9によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はF、水との接触角は106.5°、静摩擦係数が0.66、動摩擦係数が0.43であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.72であり品質規格内であった。
(実施例10)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.300:1:2:2:3の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、18.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例10によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はH、水との接触角は107.6°、静摩擦係数が0.58、動摩擦係数が0.34であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.63であり品質規格内であった。
(実施例11)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分としてジメチルジエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシランを使用した。ジメチルジエトキシシラン:TIP:酢酸:水:3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシランを、9:1:0.05:18:2.0の配合比(モル比)にて混合して、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、15.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例11によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は15.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はH、水との接触角は104.2°、静摩擦係数が0.29、動摩擦係数が0.19であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.61であり品質規格内であった。
なお上記実施例の離型層は、いづれもトナー離型性および耐磨耗性に優れており、該離型層を有する転写定着ベルトは、オフセット、トナー歪み、位置ずれ等の画質不良を改善することが出来る。
また本実施例の離型層は、光沢性が高いので、特に高画質出力機において使用した場合、写真レベルの高画質を得ることが出来る。
(比較例1)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)を使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:テトライソプロポキシチタン:アセト酢酸エチル:水を、0.310:1:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基材表面上に有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
比較例1によって得られた有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はB、水との接触角は106.0°、静摩擦係数が0.66、動摩擦係数が0.42であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、離型層はトナーの転写定着性が悪く、オフセット不良が見られた。なおトナーオフセットΔC*=4.00であり品質規格外であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、中間転写ベルトによる転写システムの説明図であり、第2図は、中間転写ドラムによる転写システムの説明図であり、第3図は、定着ローラによる定着システムの説明図であり、第4図は、定着ベルトによる定着システムの説明図であり、第5図は、転写定着ベルトによる転写定着システムの説明図である。
(符号の説明)
1 中間転写ベルト
11 中間転写ドラム
21 定着ローラ
31 定着ベルト
41 転写定着ベルト
本発明は、電子写真式の複写機、プリンタ等において、感光体上に形成されたトナー画像を、紙等の画像支持体に転写するために使用される中間転写ベルトや該画像支持体に転写されたトナー画像を定着するために使用される定着ローラあるいは定着ベルト、あるいは転写と定着の両方を行う転写定着ベルトのような転写定着部材に関するものである。
〔背景技術〕
電子写真装置においては、一般的に、帯電させた感光体の表面に、画像読取装置で得られた画像に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像器によってトナー画像とした後、該トナー画像を中間転写ベルトに静電転写(一次転写)し、そして該中間転写ベルトから紙等の画像支持体に再度転写(二次転写)して最終的なトナー画像を形成する。上記のようにして最終的なトナー画像を転写された画像支持体は次いで定着ローラまたは定着ベルト間に挟持加熱され、該トナー画像は該画像支持体に永久像として定着される。
上記電子写真装置に使用される中間転写ベルトや転写定着ベルトとしては、静電気除去装置を使用することなく静電気を容易に除去出来るように導電性を有し、かつ、正確で鮮明な画像を形成するために、伸び量が少ない(引張弾性率が高い)ものであることが要求されている。これらの特性を満たす中間転写ベルトの材料としては、従来より、ポリイミド樹脂にカーボンブラック、導電性金属酸化物等の導電性フィラーを分散させたものが主に使用されている(特開昭63−311263号等)。
しかしながら、上記ポリイミド樹脂を材料とした中間転写ベルトや転写定着ベルトは、引張弾性率は高いものゝ、タック性があり、トナーの離型性が悪いという欠点があった。このようにトナーの離型性が悪い中間転写ベルトや転写定着ベルトを使用すると、所定の画像支持体への転写後も該ベルト表面にトナーが残存(オフセット)し、該残存したトナーが次の画像支持体に転写されてしまうという問題、あるいは該ベルト表面にトナーが堆積し、いわゆるフィルミングが形成され、転写不良・画質低下といった問題が発生する。
従って、本発明の課題は、所定の導電性を維持しつつ、トナーの離型性を向上させた電子写真装置用中間転写ベルトあるいは中間転写ドラム、あるいは耐熱性、耐久性を有し、オフセットやロール表面の損傷が発生しにくい定着ローラや定着ベルト、更には中間転写と定着とに兼用される転写定着ベルトを提供することである。
〔発明の開示〕
上記従来の課題を解決するための手段として、基体表面にゾルゲル法によってフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した電子写真装置用転写定着部材を提供する。
本発明は更に、該基体がポリイミド樹脂からなることが好ましく、更に該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層は金属または半金属のアルコキシドを有機ケイ素化合物と反応させることによって得ることが好ましい。
該転写定着部材は中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトであり、該基体は中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては導電性を有する樹脂基体、中間転写ドラムにあっては円筒状の芯金である。
上記中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトにあっては、該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが0.05〜100μmであることが好ましく、また中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施されること、あるいは、中間転写定着ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無機酸化物からなる接着層が介在されることが好ましい。
更に、該中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトの表面抵抗値は、5〜14logΩ/□であり、体積抵抗値は、5〜13logΩ・cmであることが好ましい。
更に、該転写定着部材は定着ローラまたは定着ベルトである。
該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが定着ローラの場合は0.2〜40mm、定着ベルトの場合は0.05〜100μmであることが好ましく、また該基体は定着ローラにあっては円筒状の芯金または樹脂被覆した円筒状の芯金であり、定着ベルトにあっては樹脂基体であることが好ましく、更には、該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施されるか、あるいは、該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無機酸化物からなる接着層を介在させることが好ましい。
有機・無機ハイブリッド材料の有機成分としてフルオロアルキル基を有する化合物を使用することで、該有機・無機ハイブリッド材料から得られる離型層のタック性を低減し、離型性を向上せしめる。
本発明の転写定着部材は、タック性が少なく、トナーの離型性に優れ、かつ良好な耐熱性、耐久性を有し、更にオフセット等の画質不良や定着部材表面の損傷の発生も確実に防止することが出来る。
〔発明の詳細な説明〕
以下、本発明を詳細に説明する。
(A.基体)
本発明の電子写真装置用転写定着部材に使用される樹脂基体を構成する原料樹脂としては、主として高引張り弾性率を有するポリイミド樹脂(PI)が使用されるが、その他ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリアミド樹脂(PA)等の熱可塑性樹脂も使用可能であり、上記原料樹脂は単独でまたは混合して用いられ、あるいはポリマーアロイとして用いられる。転写定着ベルトの場合には、PEN,PAR,PEN−PARポリマーアロイのような耐熱性樹脂を材料とすることが望ましい。
中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトの場合には、上記樹脂基体に導電性を付与するために、通常、上記原料樹脂に導電性物質が配合される。そのような導電性物質としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;カーボン表面に存在する官能基に疎水性のオリゴマー(スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等のオリゴマー)をグラフトしたグラフトカーボン;導電性の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン等の導電性金属酸化物;導電性の硫酸バリウム、硼酸アルミニウム等の導電性金属塩;ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子などの粉状物が使用される。
この導電性物質の上記原料樹脂に対する配合量は、得られる中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトが所望の電気抵抗値を示すような量であればよく、該導電性物質が有する電気特性によって適宜調整すればよい。具体的には、この樹脂基体の表面抵抗値が5〜14logΩ/□となり、体積抵抗値が5〜13logΩ・cmとなるように調整するのが好ましい。
また、上記樹脂基体は、導電性を有する樹脂そのものによって構成してもよく、そのような導電性樹脂を使用する場合には、上述したような導電性物質の配合は不要となる。該導電性樹脂としては、例えば、繰り返し単位中に酸無水物部分とジアミン部分とを含む芳香族ポリイミドであって、該ジアミン部分が、ベンゼン環またはベンゼン環の縮合環相互を共役系または硫黄原子を介して結合した骨格を有する導電性ポリイミド等が挙げられる。
上記樹脂基体は、通常熱可塑性樹脂に添加され得る第三成分、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、防炎剤、酸化防止剤、離型剤等の添加剤等を通常使用される量で含有してもよい。
上記樹脂基体の引張弾性率は、200kg/mm2以上、特に250kg/mm2以上であるのが好ましい。また、該樹脂基体の厚みは、ベルトの場合80〜100μmであるのが好ましい。
(B.離型層)
本発明の電子写真装置用転写定着部材における離型層は、ゾルゲル法によって上記基体上に形成されるフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド材料からなり、耐熱性、耐久性を有し、かつトナーの離型性に優れるものである。
該ゾルゲル法は、ゾル液を上記基体の表面に塗布した後、該ゾル液を脱水処理(加熱処理)してゲル化、更には離型層とするものである。
上記離型層を構成する有機・無機ハイブリッド材料は、無機成分としての金属または半金属のアルコキシドと、有機成分としての有機ケイ素化合物との反応によって得られるものが好ましい(特開平7−213995号、特開平10−245490号、特開平10−95852号等)。
上記アルコキシドを形成する金属または半金属の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属または半金属が挙げられる。
また、アルコキシドの種類は特に限定されることなく、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられ、更には、アルコキシ基の一部をβ−ジケトン、β−ケトエステル、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン等で置換したアルコキシド誘導体であってもよい。
上記有機ケイ素化合物としては、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン、末端シラノールポリジメチルシロキサン等を使用することが出来る。
該ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン等が挙げられる。
上記末端シラノールポリジメチルシロキサンは、分子量が400〜10000であるのものが好ましい。
本発明においては、該有機・無機ハイブリッド離型層中にフッ素を含有させる。該離型層中にフッ素を含有せしめるには、上記有機ケイ素化合物の有機基の水素原子の一部または全部にフッ素原子に置換した有機ケイ素化合物、即ちフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物を使用する。該有機ケイ素化合物としては、トリアルキルアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン等のアルコキシシラン類のアルキル基の水素の一部または全部をフッ素で置換した化合物が例示される。上記フルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物のうち望ましいものは炭素数1〜13のアルキル基およびアルコキシ基を有するものであり、例えば3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明で使用するフルオロアルキルアルコキシシランとしては、モノフルオロアルキルトリアルコキシシラン、モノフルオロアルキルモノアルキルジアルコキシシラン、ジフルオロアルキルジアルコキシシラン、モノフルオロアルキルジアルキルモノアルコキシシラン、ジフルオロアルキルモノアルキルモノアルコキシシラン、トリフルオロアルキルモノアルコキシシランがある。フルオロアルキル基としては、−CF3,−C2F5,−C3F7,−C4F9,−CH2CH2CF3,−CH2CH2C6F13,−CH2CH2C8F17等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビニル基等が挙げられる。またアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
上記各種の離型層を形成するには、まず、所望の金属または半金属のアルコキシドの加水分解物と、上記有機ケイ素化合物の有機成分とを反応させ、ゾル液を調製する。該有機成分は、加水分解前のアルコキシドに対して配合してもよいし、加水分解したアルコキシドに対して配合してもよい。
上記ゾル液調整の際、所望ならば溶媒を使用してもよい。このとき使用する溶媒としては、アルコキシドおよび有機成分を均一に分散、溶解出来る溶媒であれば特に限定されることなく、例えば、メタノール、エタノール等の各種アルコールの他、アセトン、トルエン、キシレン等が一般的に使用される。
なお、上記アルコキシドの加水分解反応を促進させるために、塩酸、リン酸、酢酸等の触媒を適宜使用してもよい。
本発明では、上記有機成分中にフッ素原子に置換した有機ケイ素化合物が5.0重量%以上含まれることが望ましい。フッ素原子に置換した有機ケイ素化合物の含有量が5.0重量%未満であると、得られる離型層のタック性が充分改良されない場合がある。
また有機成分と、無機成分であるアルコキシドとの配合比は、有機成分/(有機成分+無機成分)のモル比が0.1〜0.7となる範囲であるのが好ましい。該モル比が0.1未満では、得られる離型層が硬く脆くなり、弾性変形しなくなるおそれがあり、該モル比が0.7を超えると、有機成分と無機成分との反応物がゲル化しない場合がある。
以上のようにして得られるゾル液は、攪拌等によってアルコキシドを十分加水分解するとともに、一部脱水重合を行うことにより、上記基体、特に上記樹脂基体に対する密着性を向上させることが出来る。
得られたゾル液を上記基体の表面に塗布する方法としては、公知の方法を利用することが出来、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の方法を利用することが出来る。
このようにして上記基体の表面に塗布したゾル液は、脱水乾燥して最終的に離型層とする。該脱水乾燥は、自然乾燥によって行ってもよいが、通常は、加熱処理によって行う。該加熱処理の条件は、60〜450℃×20秒〜7時間であるのが好ましい。このコーティング工程は、1回だけでなく、複数回行ってもよい。すなわち、該離型層は、1コートからなるものであってもよいし、複数コートからなるものであってもよい。
この離型層は、上記ゾルゲル法によって通常形成されるが、定着ローラにおいて芯金上に直接弾性体層として形成される場合には厚さは通常0.2〜40mmとされ、また定着ベルト、中間転写ベルト、あるいは転写定着ベルトの樹脂基体上に薄膜として形成される場合には、具体的には、0.05〜100μmであるのが好ましい。
以上説明したゾルゲル法によって形成される有機・無機ハイブリッド材料からなる離型層は、トナーの離型に適したタック性を有し、更に耐熱性、耐久性、およびトナーの離型性に優れるものであるため、この離型層を有する転写定着部材は、トナー残存あるいは付着に基づく転写不良・画質低下等の問題が解決され、正確で鮮明な画像を形成することが出来、また長寿命が獲得出来る。
また、上記離型層は、中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトにあってはゾルゲル法によって均一にかつ薄膜に形成されるため、上記樹脂基体の電気特性をほとんど変化させることがなく、したがって、トナーを効率良く静電吸着することが出来るとともに、静電気が容易に除去され得る。なお、該離型層を含めた中間転写ベルト全体が所定の電気抵抗を有するように、該離型層に導電性物質を配合することも可能である。
さらに、本発明における離型層は、有機・無機ハイブリッド材料からなるものであるため、該離型層は有機成分に基づく可撓性および弾性を有し、上記樹脂基体への追従性が高く、定着ローラや転写定着ベルトに適用した場合には優れたニップ性が得られまた定着ベルトや転写定着ベルトに適用した場合には、ベルトとしての機能を妨げないという利点を有する。特に、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサンを使用した場合の離型層は、ポリジメチルシロキサンの主骨格となっているフレキシブルなシロキサン結合のために優れたゴム弾性を示すとともに、鎖状のシロキサン結合の絡み合った構造のために柔軟性および機械的強度に優れる。
さらにまた、樹脂基体に有機・無機ハイブリッド材料からなる離型層を形成した場合、得られる転写定着部材の耐摩耗性が向上し、寿命が延びるという付随的効果も生じる。
中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトの場合、最終的に得られる表面抵抗値は、5〜14logΩ/□であるのが好ましく、体積抵抗値は、5〜13logΩ・cmであるのが好ましい。中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトの表面抵抗値が5logΩ/□未満であるか、体積抵抗率が5logΩ・cm未満であると、該中間転写ベルトあるいは転写定着ベルトを帯電させるために付与される電荷が該ベルトの導電性によって脱落し易くなるため、該ベルトにトナー画像が保持されにくゝなってブラーが生じ、画像支持体に転写される画像がノイズの大きいものとなる。一方、該ベルトの表面抵抗値が14logΩ/□を超えるか、体積抵抗率が13logΩ・cmを超えると、静電転写時における転写電界によって該ベルト表面が帯電するため、除電機構が必要となる。
(C.密着性の向上)
基体が樹脂基体である場合、上記樹脂基体と離型層との密着性を向上させるために、該樹脂基体の表面に、あらかじめ紫外線照射処理を施しておいてもよい。このように該樹脂基体の表面に紫外線を照射すると、該樹脂基体の樹脂中の親油基が親水基に変化し、上記ゾル液中に存在するOH基と結合し得るため、該樹脂基体と離型層との密着性が向上する。
この紫外線照射処理は、185nmおよび254nmの波長で5秒間〜60分間行うのが好ましい。
また上記樹脂基体と離型層との密着性を向上させるために、NaOH化学エッチングを該樹脂基体の表面に施してもよい。
樹脂基体と離型層との密着性を向上させるための更なる方法として、両者の間にゾルゲル法によって形成した無機酸化物からなる接着層を介在させる方法がある。
該無機酸化物の種類としては、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、カドミウム、タンタル等のアルコキシドを形成し得る金属または半金属の酸化物が挙げられ、上記無機酸化物からなる接着層は上述したゾルゲル法によって樹脂基体上に通常薄膜として形成することが出来る。
このようにゾルゲル法によって樹脂基体上に形成された該接着層は、上記樹脂基体の電気特性をほとんど変化させることがない。この接着層の厚みは、0.05〜5.0μmであるのが好ましい。
なお、該接着層についても、該接着層を含めた中間転写ベルトあるいは転写定着ベルト全体が所定の電気抵抗を有するように、該接着層に導電性物質を配合することも可能である。
(D.転写定着部材)
本発明の転写定着部材には、中間転写ベルト(1)、中間転写ドラム(11)、定着ローラ(21)、定着ベルト(31)、転写定着ベルト(41)等が含まれる。
図1には転写ベルトを使用した転写システムを示す。該中間転写ベルト(1)は駆動ロール(2)、被駆動ロール(3)、およびテンションロール(4)に懸架され、駆動ロール(2)と被駆動ロール(3)との間で感光体ドラム(5)に接し、該感光体ドラム(5)に対向して一次転写ロール(6)が配置され、テンションロール(4)と被駆動ロール(3)との間において一対の対向する二次転写ロール(7)が配置され、該ベルト(1)は該二次転写ロール(7)に挟時され、更に該ベルト(1)は被駆動ロール(3)に対向してベルトクリーナ(8)が配置される。
上記構成では感光体ドラム(5)上に形成されたトナー画像は該感光体ドラム(5)と等速で駆動される中間転写ベルト(1)に一次転写され、該ベルト(1)上に転写されたトナー画像は二次転写ロール(7)間に送込みロール(9)によって送込まれる紙P等の画像支持体に二次転写され、二次転写後にベルト(1)上に残存するトナーはベルトクリーナー(8)によって除去される。
図2に中間転写ドラム(11)を使用した転写システムを示す。該中間転写ドラム(11)にはロール(13,14,15,16)に懸架される感光体ベルト(12)と転写ローラ(17)と接している。
上記構成では感光体ベルト(12)上のトナー画像は該感光体ベルト(12)と等速で駆動される中間転写ドラム(11)に一次転写され、該ドラム(11)上に転写されたトナー画像は該ドラム(11)と該転写ローラ(17)との間に送込みロール(18)によって送込まれる紙P等の画像支持体に二次転写される。一次転写後にベルト(12)上に残存するトナーはベルトクリーナー(19)によって除去される。
図3に定着ローラ(21)を使用した定着システムを示す。該定着ローラ(21)は加熱ローラ(22)と、該加熱ローラ(22)に圧接する加圧ローラ(23)とからなり、送りコンベア(24)から等速回転するローラ(22,23)間に送込まれた紙P等の画像支持体に転写されているトナー画像を構成するトナーを溶融して該トナー画像を画像支持体に定着する。定着後加熱ローラ(22)に付着したトナーはクリーニングロール(25)によって除去する。
図4に定着ベルト(31)を使用した定着システムを示す。該ベルト(31)は駆動ロール(32)、被駆動ロール(33)、およびテンションロール(34)に懸架され、加熱ローラ(35)が圧接する。ベルト(31)とローラ(35)とは等速回動してその間には送りロール(36)からトナー画像を転写した紙P等の画像支持体が送込まれ、トナー画像の定着が行なわれる。定着後加熱ローラ(35)に付着したトナーはクリーングロール(37)によって除去される。
図5に転写定着ベルト(41)を使用した転写定着システムを示す。該転写定着ベルト(41)は駆動ロール(42)、ガイドロール(43,44)、テンションロール(45)、および加熱ローラ(46)に懸架され、駆動ロール(42)と加熱ローラ(46)との間においてそれぞれ異色トナー画像が形成された四個の感光体ドラム(47A,47B,47C,47D)が接し、それに対向して転写器(48A,48B,48C,48D)が配置され、加熱ローラ(46)には加圧ローラ(49)が圧接されている。
上記構成において、ベルト(41)には四個の感光体ドラム(47A,47B,47C,47D)から多色トナー画像が一次転写され、加熱ローラ(46)と加圧ローラ(49)間には紙P等の画像支持が送込まれ、該ベルト(41)上の多色トナー画像は該画像支持体上に二次転写されると共に加熱定着される。
以下、実施例より本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔発明を実施するための最良の形態〕
(実施例1)
無機成分としてテトラブトキシジルコニウムを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:テトラブトキシジルコニウム:アセト酢酸エチル:水:3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを、0.200:1:2:2:1の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該テトラブトキシジルコニウムの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、10.4重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例1によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は105.1°、静摩擦係数が0.31、動摩擦係数が0.22、微小硬度が0.879、光沢度が100であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=1.0であり品質規格内であった。
(実施例2)
無機成分としてテトラブトキシジルコニウムを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを使用した。エタノールを溶媒として末端シラノールポリジメチルシロキサン:テトラブトキシジルコニウム:アセト酢酸エチル:水:3,3,3トリフルオロプロピルトリメトキシシランを、0.200:1:2:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該テトラブトキシジルコニウムの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、20.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例2によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は104.3°、静摩擦係数が0.29、動摩擦係数が0.18、微小硬度が0.900、光沢度が100であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=1.0であり品質規格内であった。
(実施例3)
無機成分としてテトライソプロポキシチタン(以下、TIPと称す)を使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.200:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、15.6重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例3によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は4H、水との接触角は111.3°、静摩擦係数が0.24、動摩擦係数が0.14であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.39であり品質規格内であった。
(実施例4)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.250:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、14.3重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例4によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は106.8°、静摩擦係数が0.61、動摩擦係数が0.39であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.75であり品質規格内であった。
(実施例5)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.300:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、9.4重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例5によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は4H、水との接触角は106.3°、静摩擦係数が0.73、動摩擦係数が0.46であった。また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.83であり品質規格内であった。
(実施例6)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.400:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、8.3重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例6によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は6B、水との接触角は106.2°、静摩擦係数が0.91、動摩擦係数が0.55であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.88であり品質規格内であった。
(実施例7)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.600:1:2:2:1.5の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、6.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例7によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は6B、水との接触角は107.2°、静摩擦係数が1.01、動摩擦係数が0.51であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.95であり品質規格内であった。
(実施例8)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.250:1:2:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、28.6重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例8によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度は2H、水との接触角は107.3°、静摩擦係数が0.70、動摩擦係数が0.49であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.65であり品質規格内であった。
(実施例9)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.300:1:2:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、12.5重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例9によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はF、水との接触角は106.5°、静摩擦係数が0.66、動摩擦係数が0.43であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.72であり品質規格内であった。
(実施例10)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)、フルオロアルキルアルコキシシランを使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:TIP:アセト酢酸エチル:水:フルオロアルキルアルコキシシランを、0.300:1:2:2:3の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、18.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例10によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はH、水との接触角は107.6°、静摩擦係数が0.58、動摩擦係数が0.34であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.63であり品質規格内であった。
(実施例11)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分としてジメチルジエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシランを使用した。ジメチルジエトキシシラン:TIP:酢酸:水:3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシランを、9:1:0.05:18:2.0の配合比(モル比)にて混合して、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。本ゾル液中のフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物の濃度は、15.8重量%であった。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基体表面上にフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
実施例11によって得られたフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は15.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はH、水との接触角は104.2°、静摩擦係数が0.29、動摩擦係数が0.19であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、オフセット不良は見られなかった。なおトナーオフセットΔC*=0.61であり品質規格内であった。
なお上記実施例の離型層は、いづれもトナー離型性および耐磨耗性に優れており、該離型層を有する転写定着ベルトは、オフセット、トナー歪み、位置ずれ等の画質不良を改善することが出来る。
また本実施例の離型層は、光沢性が高いので、特に高画質出力機において使用した場合、写真レベルの高画質を得ることが出来る。
(比較例1)
無機成分としてTIPを使用し、有機成分として末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000)を使用した。末端シラノールポリジメチルシロキサン:テトライソプロポキシチタン:アセト酢酸エチル:水を、0.310:1:2:2の配合比(モル比)にて混合して0.5時間充分攪拌することによって、該TIPの十分な加水分解と、一部該末端ポリジメチルシロキサンとの縮合重合を行ない、有機・無機ハイブリッドゾル液を調製した。
上記有機・無機ハイブリッドゾル液が塗布される基体は、導電材が混合されたポリイミド樹脂からなる転写定着ベルト基体であり、該基体の表面の汚れを十分落し、紫外線照射を行った後、フローコートマシーンにセットし、該基体上に上記有機・無機ハイブリッドゾル液を塗布した。
その後空気雰囲気下、200℃で0.5時間、350℃で0.1時間加熱処理して、該基材表面上に有機・無機ハイブリッド離型層を形成した。
比較例1によって得られた有機・無機ハイブリッド離型層の膜厚は20.0μm、表面粗さRa=0.04μm、鉛筆硬度はB、水との接触角は106.0°、静摩擦係数が0.66、動摩擦係数が0.42であった。
また該離型層のオフセット評価として、定着評価ベンチを定着温度170℃の条件で行った。その結果、離型層はトナーの転写定着性が悪く、オフセット不良が見られた。なおトナーオフセットΔC*=4.00であり品質規格外であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、中間転写ベルトによる転写システムの説明図であり、第2図は、中間転写ドラムによる転写システムの説明図であり、第3図は、定着ローラによる定着システムの説明図であり、第4図は、定着ベルトによる定着システムの説明図であり、第5図は、転写定着ベルトによる転写定着システムの説明図である。
(符号の説明)
1 中間転写ベルト
11 中間転写ドラム
21 定着ローラ
31 定着ベルト
41 転写定着ベルト
【0002】
という欠点があった。このようにトナーの離型性が悪い中間転写ベルトや転写定着ベルトを使用すると、所定の画像支持体への転写後も該ベルト表面にトナーが残存(オフセット)し、該残存したトナーが次の画像支持体に転写されてしまうという問題、あるいは該ベルト表面にトナーが堆積し、いわゆるフィルミングが形成され、転写不良・画質低下といった問題が発生する。
従って、本発明の課題は、所定の導電性を維持しつつ、トナーの離型性を向上させた電子写真装置用中間転写ベルトあるいは中間転写ドラム、あるいは耐熱性、耐久性を有し、オフセットやロール表面の損傷が発生しにくい定着ローラや定着ベルト、更には中間転写と定着とに兼用される転写定着ベルトを提供することである。
〔発明の開示〕
上記従来の課題を解決するための手段として、基体表面に金属または半金属のアルコキンドとフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物とを使用してゾルゲル法によってフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した電子写真装置用転写定着部材を提供する。
本発明は更に、該基体がポリイミド樹脂からなることが好ましく、更に該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層は金属または半金属のアルコキシドを有機ケイ素化合物と反応させることによって得ることが好ましい。
該転写定着部材は中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトであり、該基体は中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては導電性を有する樹脂基体、中間転写ドラムにあっては円筒状の芯金である。
上記中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトにあっては、該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが0.05〜100μmであることが好ましく、また中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施されること、あるいは、中間転写定着ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無
という欠点があった。このようにトナーの離型性が悪い中間転写ベルトや転写定着ベルトを使用すると、所定の画像支持体への転写後も該ベルト表面にトナーが残存(オフセット)し、該残存したトナーが次の画像支持体に転写されてしまうという問題、あるいは該ベルト表面にトナーが堆積し、いわゆるフィルミングが形成され、転写不良・画質低下といった問題が発生する。
従って、本発明の課題は、所定の導電性を維持しつつ、トナーの離型性を向上させた電子写真装置用中間転写ベルトあるいは中間転写ドラム、あるいは耐熱性、耐久性を有し、オフセットやロール表面の損傷が発生しにくい定着ローラや定着ベルト、更には中間転写と定着とに兼用される転写定着ベルトを提供することである。
〔発明の開示〕
上記従来の課題を解決するための手段として、基体表面に金属または半金属のアルコキンドとフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物とを使用してゾルゲル法によってフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成した電子写真装置用転写定着部材を提供する。
本発明は更に、該基体がポリイミド樹脂からなることが好ましく、更に該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層は金属または半金属のアルコキシドを有機ケイ素化合物と反応させることによって得ることが好ましい。
該転写定着部材は中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトであり、該基体は中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては導電性を有する樹脂基体、中間転写ドラムにあっては円筒状の芯金である。
上記中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトにあっては、該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが0.05〜100μmであることが好ましく、また中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施されること、あるいは、中間転写定着ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無
Claims (13)
- 基体表面にゾルゲル法によってフルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層を形成したことを特徴とする電子写真装置用転写定着部材
- 該基体はポリイミド樹脂からなる請求項1に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層は金属または半金属のアルコキシドを有機ケイ素化合物と反応させることによって得られる請求項1または請求項2に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該転写定着部材は中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトであり、該基体は中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては導電性を有する樹脂基体、中間転写ドラムにあっては円筒状の芯金である請求項1〜請求項3に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが0.05〜100μmである請求項1〜請求項4に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 中間転写ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施される請求項1〜請求項5に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 中間転写定着ベルトまたは転写定着ベルトにあっては、該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無機酸化物からなる接着層が介在する請求項1〜請求項6に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該中間転写ベルトまたは中間転写ドラムまたは転写定着ベルトの表面抵抗値は、5〜14logΩ/□であり、体積抵抗値は、5〜13logΩ・cmである請求項4〜請求項7に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該転写定着部材は定着ローラまたは定着ベルトである請求項1〜請求項3に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該フルオロアルキル基を有する有機・無機ハイブリッド離型層の厚さが定着ローラの場合は0.2〜40mm、定着ベルトの場合は0.05〜100μmである請求項9に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該基体は定着ローラにあっては円筒状の芯金または樹脂被覆した円筒状の芯金であり、定着ベルトにあっては樹脂基体である請求項9または請求項10に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該離型層の形成前に、該樹脂基体の表面には紫外線照射処理が施される請求項9〜請求項11に記載の電子写真装置用転写定着部材
- 該樹脂基体と該離型層との間には、ゾルゲル法によって形成された無機酸化物からなる接着層が介在する請求項9〜請求項12に記載の電子写真装置用転写定着部材
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