JP2008180984A - 画像形成装置用エンドレスベルト及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐屈曲性などの機械的特性、電気的特性及び表面特性が良好で、トナー転写性及びトナークリーニング性に優れた高画質対応の画像形成装置用エンドレスベルトと、この画像形成装置用エンドレスベルトを含む画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に用いられるエンドレスベルトであって、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーよりなる熱可塑性ポリマー成分を主成分とする成形材料よりなるエンドレスベルトにおいて、該成形材料が、酸化防止剤成分とシリコーン成分及び/又はシラン化合物(以下、これらを「Si化合物」と称す。)とを含有し、Si化合物の含有量が、前記熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であり、酸化防止剤成分の含有量に対するSi化合物の含有量の割合が0.05以上200未満であることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐屈曲性などの機械的特性及び表面特性、更には電気的特性が良好で、トナー転写性及びトナークリーニング性に優れた高画質対応の画像形成装置用エンドレスベルト(無端ベルト)と、この画像形成装置用エンドレスベルトを含む画像形成装置に関する。
従来より、OA機器等などの画像形成装置として、感光体、トナーを用いた電子写真方式やトナーではなくゲル状のインクを用いた画像形成装置が考案され上市されている。これらの装置には継ぎ目の有無に関わらず感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送転写ベルト、転写分離ベルト、帯電チューブ、現像スリーブ、定着用ベルト、トナー転写ベルト等の導電性、半導電性、絶縁性の各種電気抵抗に制御したエンドレスベルトが用いられている。
例えば、電子写真方式に用いられる中間転写装置は、中間転写体上にトナー像を一旦形成し、次に紙等へトナーを転写させるように構成されている。この中間転写体の表層におけるトナーへの帯電、除電のためにシームレスベルトよりなるエンドレスベルトが用いられている。このシームレスベルトは、マシーンの機種毎に異なった表面電気抵抗や厚み方向電気抵抗(以下「体積電気抵抗」という)に設定され、導電、半導電、又は絶縁性に調整されている。
また、紙搬送転写装置は、紙を一旦搬送転写体上に保持した上で感光体からのトナーを搬送転写体上に保持した紙上へ転写させ、更に除電により紙を搬送転写体より離すように構成されている。この搬送転写体表層においては紙への帯電、除電のためにシーム有り、無しのエンドレスベルトが用いられている。このエンドレスベルトは、上記中間転写ベルトと同様にマシーン機種毎に異なった表面電気抵抗や体積電気抵抗に設定されている。
図1は一般的な中間転写装置の側面図である。図中、1は感光ドラム、6は導電性エンドレスベルトである。1の感光ドラムの周囲には、帯電器2、半導体レーザー等を光源とする露光光学系3、トナーが収納されている現像器4及び残留トナーを除去するためのクリーナー5よりなる電子写真プロセスユニットが配置されている。導電性エンドレスベルト6は、搬送ローラ7,8,9に掛け渡されて、矢印方向に回転する感光ドラムと同調して矢印方向に移動するようになっている。
次に、動作について説明する。まず矢印A方向に回転する感光ドラム1の表面を帯電器2により一様に帯電する。次に、光学系3により図示しない画像読み取り装置等で得られた画像に対応する静電潜像を感光ドラム1上に形成する。静電潜像は現像器4でトナー像に現像される。このトナー像を、静電転写機10により導電性エンドレスベルト6へ静電転写し、搬送ローラ9と押圧ローラ12の間で記録紙11に転写する。
ところで、電子写真式複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる導電性エンドレスベルトの場合には、機能上2本以上のロールにより高張力で高電圧にて長時間駆動されるため、十分な機械的、電気的耐久性が要求される。
特に、中間転写装置等に使用される中間転写ベルトの場合は、ベルト上でトナーによる画像を形成して紙へ転写するため、駆動中にベルトが弛んだり、伸びたり、蛇行したりすると、画像ズレの原因となるため、高寸法精度(ベルト幅方向の周長差が少ないことと厚みが均一であること)、高弾性率(ベルト周方向の引張り弾性率が高いこと)、高耐屈曲性(割れにくいこと)に優れたものが望まれている。
また、近年カラーレーザプリンタやカラーLEDプリンタ等の電子写真式画像形成装置は、低価格なインクジェット方式の画像形成装置との競争が一層激しくなっている。そのため、電子写真式画像形成装置は、高速での印刷技術でインクジェット方式との差異化を狙い、感光体を4つ並べたタンデム型の紙搬送転写、中間転写方式により高速で印刷する画像形成装置が商品化されてきた。このため、画像形成装置用エンドレスベルトには、より一層の耐久性の向上と画像ズレ防止が益々重要となってきている。
従来、エンドレスベルトについては、その素材の改良により一定の成果を上げてきている。しかしながら、最近では、高速印刷のみならず、画質の向上への要求も高まってきており、特に、広範囲な温度湿度の環境において、高画質な画像が得られること、カラープリンタ用の特殊な紙だけではなく、上質紙、再生紙、裏紙、OHPフィルムといった様々な用紙においても高画質が得られることが、インクジェットプリンタに対する特長を明確にするために特に重要になってきている。
そのため、トナーにおいては重合トナーの開発も進み、粒径4〜6μmの小粒径で粒度ばらつきの少ないトナーが商品化されており、転写ベルトへの表面特性、化学特性、電気的特性への改良要求も益々高まってきている。
特に、中間転写装置等に使用される転写ベルトの場合は、感光体上のトナーを静電気力にて直接転写ベルト上に転写(一次転写)し、転写ベルト上でカラー画像を合成した後トナーを紙へ静電力で転写(二次転写)させるため、転写ベルトの表面電気抵抗や体積電気抵抗特性といった電気抵抗特性が重要であるだけでなく、表面物理特性、表面化学特性等においても改良する必要がある。例えば、近年益々小粒径化しているトナーに対するクリーニング性向上させるために、エンドレスベルトの表面は益々平滑性が求められているが、エンドレスベルトの表面が平滑すぎると、残留トナーをかきとるブレードとの摩擦が大きくなり、トナークリーニング性に関係するトラブルが発生しやすくなる。
以上のことより、近年の転写ベルト等の画像形成装置用エンドレスベルトには、次の<1>〜<8>の条件が要求されている。
<1> 半導体領域にて所定の表面電気抵抗率と体積電気抵抗率を有し、抵抗ばらつきが
少なく、トナー離型性に優れること
<2> 適度に表面平滑で、トナークリーニング性に優れること
<3> 厚みが薄く均一であること
<4> 機械的強度が強い(伸びにくく、割れにくい)こと
<5> 環境(温度湿度)による抵抗値、寸法、機械強度の変動が少ないこと
<6> 低コストであること
<7> シームレスで真円(ベルト幅方向の周長差が少ない)ベルトであること
<8> 様々な紙の種類において高画質なプリントができること
従来、転写ベルトの上に転写されたトナーの非固着性を向上させる目的で、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等のベースポリマーに対し、フッ素樹脂、シリコーン等の改質剤を添加した転写ベルトが提案されている。
例えば、特許文献1には、表面官能基が多いカーボンブラックを使用した場合の弊害として起こる溶融加工時の熱分解や発泡などの外観不良を低減すべく、シラン系カップリング剤やアルキルシランを配合した材料から押し出し法により作製されたシームレスベルトが提案されている。
しかしながら、この特許文献1では、トナークリーニング性を改良する観点からの記載はなく、酸化防止剤の配合、表面粗さ、表面張力、耐折れ強さ、引っ張り弾性率の改質に関し何等考慮されていない。
特許文献2には、カーボンブラックの分散性向上のために、熱可塑性樹脂にカーボンブラック、無機充填剤およびチタネート系カップリング剤を配合した組成物を用い、押し出し成形法で得られる半導電性樹脂製ベルトが開示されている。
しかしながら、この特許文献2では、トナークリーニング性を改良のための酸化防止剤の配合、表面粗さ、表面張力、耐折れ強さ、引っ張り弾性率の改善に関し何等考慮されていない。
特許文献3には、カーボンブラックの分散性向上のために、シリコーンオイルやフッ素系界面活性剤や各種カップリング剤を表面処理したフィラーを配合した材料から押し出し成形法により得られる中間転写体および転写部材が開示されている。
しかしながら、特許文献3に記載される実施例では、マトリックスポリマーとしてポリプロピレンを用いて各種の表面処理を施したフィラーを配合してあるのみであり、酸化防止剤の配合、表面粗さ、表面張力、耐折れ強さ、引っ張り弾性率の改善に関し何等考慮されていない。
特許文献4には、マトリックス樹脂に対し、シリコーンの含有量が0.5〜10重量%である材料から押し出し成形法で作製された転写ベルトの記載があり、表面の潤滑性向上、クリーニングブレードの磨耗低減、表面の耐フィルミング性を向上させている。
しかしながら、この特許文献4では、シリコーンをマトリックス樹脂中に含有させること、平均分子量10万以上好ましくは10万〜500万のシリコーンを用いることが表面の潤滑性の向上に良いとの記載があるのみで、最適な表面潤滑性、表面粗さ、引張り弾性率のバランスはもとより、酸化防止剤の配合に関する記載が無く、酸化防止剤を配合した場合の問題について何等考慮されていない。
特許文献5には、熱可塑性樹脂を主体とする原料樹脂にシリコーンゴム粒子或いはフッ素ゴム粒子の少なくとも1つを含有させてなる樹脂組成物よりなる中間転写ベルトの記載がある。
しかしながら、特許文献5では、シリコーンゴム粒子は、インフレーション成形法における寸法精度を高めるために、摩擦を軽減すべく、ある程度のゴム弾性と離型性を付与する目的で配合されており、トナークリーニング性の観点からの酸化防止剤の配合、表面粗さ、表面張力、耐折れ強さ、引っ張り弾性率の改善に関し何等考慮されていない。
なお、転写ベルト等の画像形成装置用ベルトは、その製造工程(材料の加熱混練時、押し出し成形時)及び使用環境において高温に晒されることから、通常、特別な熱可塑性樹脂材料を除いて酸化防止剤を含むことが必須である。即ち、酸化防止剤を含まないベルトでは、加熱混練時および押し出し成形時の酸化劣化で耐屈曲性等の機械的特性が損なわれたりクラックが発生しやすくなるといった問題があり、また、使用時において経時劣化が著しく、耐久性において、実用上満足しうる性能が得られない。
一方で、安価なベルト製造方法として、押し出し機の先端に環状ダイを取り付けた押し出し成形法による転写ベルトの製造法が提案されている。
特開平2001−305891号公報 特開平2003−177612号公報 特開平2002−214927号公報 特開平2005−316040号公報 特開平2004−70255号公報
前述の如く、転写ベルトの上に転写されたトナーの非固着性を向上させる目的で、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等のベースポリマーに対し、シリコーンを添加することは知られているが、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等のポリマーに、シリコーン樹脂、シリコーンゴムのような表面エネルギーの小さいトナー離型性付与成分を単に添加した成形材料を押し出し成形すると、ポリマー材料とシリコーン成分との相溶性が悪いために混じりあわず、得られるベルトの耐屈曲性等の機械的特性が低下するなどの悪影響を及ぼすばかりでなく、ベルト表面粗さが悪化し表面特性も悪化し、そのためトナークリーニング性が損なわれるといった問題があった。
また、カーボンブラック等のフィラーに予めシリコーン成分やシラン化合物等のフィラー表面処理剤を添着させた場合においても、マトリックスであるポリマーと表面処理剤とフィラーとの相互作用効果を考慮しなければ、耐屈曲性等の機械物性が悪化したり、表面粗さが悪化し、トナークリーニング不良が発生するといった問題があった。
本発明は上記従来の問題点を解決し、エンドレスベルトの表面張力を程よく下げつつ、表面粗さ特性についても程よく平滑で、かつ耐屈曲性などの機械的特性を向上させたエンドレスベルトを提供することを目的としている。
さらにエンドレスベルトの表面特性、電気的特性が良好で、トナー転写性及びトナークリーニング性に優れた高画質対応の画像形成装置用エンドレスベルトと、この画像形成装置用エンドレスベルトを含む画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、付加的成分としてある特定のSi化合物をある特定量で酸化防止剤とともに配合して加熱混練することにより、マトリックスポリマーと酸化防止剤とSi化合物との相互作用が起こりうること、そして、この3成分間の相互作用により、機械的強度の向上とクリーニング不良の改良とを同時に達成しうることを見出した。
エンドレスベルトにおいては、材料の調合の際に加熱混練する方法や、成形材料の滞留時間が比較的長い押し出し成形法によりエンドレスベルトを得る場合には、特に耐熱性に優れた熱可塑性ポリマー成分や付加的成分を選定し、更に混練機中での酸化劣化反応や加熱押し出し成形時の酸化劣化反応を阻止するための酸化防止剤等の添加剤の配合等に細心の注意を払う必要がある。
本発明者らが従来のエンドレスベルトのトナークリーニング不良発生メカニズムについて調べた結果、この酸化防止剤がエンドレスベルト表面にブリードし、これがクリーニング不良を引き起こす主原因となりうることを知見した。
即ち、ベルト表面にブリードアウトした酸化防止剤が、トナークリーニングの際にクリーニングブレードと摩擦されることによりクリーニングブレードに固着してしまい、ブレードの端部に酸化防止剤が堆積し、その結果、酸化防止剤が堆積した箇所のブレード部においてトナーのかきとり効果が低減し、クリーニング不良(トナーのクリーニングブレードすり抜け現象)が発生するようになる。
従来用いられているシリコーン樹脂、シラン系カップリング剤、シリコーンオイルの類では、この酸化防止剤のブリードアウトによるクリーニング不良を防止し得なかいばかりか、ベルト表面の平滑性や機械的強度を向上させることが出来なかった。
この問題を解決するために、クリーニング不良の主要因となる酸化防止剤の配合を低減することが考えられるが、この場合には、混練時または押し出し成形時に材料へ加えられる熱による熱可塑性ポリマー成分の酸化劣化(熱劣化)で、エンドレスベルトの機械特性が低下する問題が発生する。また、酸化防止剤の量が少ない場合においてでも、ベルト表面とブレードとの摩擦が大きい場合には、ベルト表面に僅かに付着した酸化防止剤がブレードによりかきとられブレードに固着することになり、何れはクリーニング不良が発生する。
従って、酸化防止剤を配合した上でクリーニング不良を解決する必要がある。
そこで、ブレードとエンドレスベルト表面との摩擦係数を低下させやすく、かつ、酸化防止剤がブレードに固着しにくくなるようなSi化合物の種類、配合量を検討した結果、ある特定の種類のSi化合物と酸化防止剤をある特定量熱可塑性ポリマーに配合することにより、ベルトの表面平滑性を維持しつつ、また、表面張力を下げつつ、機械的耐久性を向上させると同時に、酸化防止剤によるクリーニング不良が発生しにくくすることができることを見出した。
即ち、本発明は、以下を要旨とするものである。
[1] 画像形成装置に用いられるエンドレスベルトであって、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーよりなる熱可塑性ポリマー成分を主成分とする成形材料よりなるエンドレスベルトにおいて、該成形材料が、酸化防止剤成分とシリコーン成分及び/又はシラン化合物(以下、これらを「Si化合物」と称す。)とを含有し、Si化合物の含有量が、前記熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であり、酸化防止剤成分の含有量に対するSi化合物の含有量の割合が0.05以上200未満であることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[2] [1]において、エンドレスベルトの外側表面のRaで表される表面粗さ(Ra)が0.02μm以上0.2μm以下で、表面濡れ張力(E)が27dyne/cm以上35dyn/cm以下であり、表面粗さ(Ra)と表面濡れ張力(E)との関係が下記(1)式を満たすことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
Ra×100<−2×E+80 …(1)
[3] [1]または[2]において、前記Si化合物がシリコーンゴムであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[4] [3]において、前記シリコーンゴムがアクリル成分を含有することを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[5] [1]又は[2]において、前記Si化合物が、シリコーンオイルであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、前記成形材料が導電性成分を含むことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[7] [6]において、前記Si化合物が、熱可塑性ポリマー成分と混合されて成形材料とされる前に、予め前記導電性成分に添着されていることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[8] [6]又は[7]において、前記導電性成分がカーボンブラックであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[9] [8]において、前記Si化合物がシリコーンオイルであり、カーボンブラックに重量換算で1%以上20%以下の割合で添着されていることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[10] [6]ないし[9]のいずれかにおいて、前記熱可塑性ポリマー成分とSi化合物と導電性成分とを加熱混練して前記成形材料を得、該成形材料を加熱押し出し成形することにより得られたことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[11] [10]において、前記成形材料を環状ダイから加熱押し出した溶融チューブを冷却固化または冷却固化しつつ引き取ることにより成形されてなることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[12] [1]ないし[11]のいずれかにおいて、前記熱可塑性ポリマー成分が、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とを重量比で、熱可塑性エラストマー/熱可塑性樹脂=5/95〜95/5の割合で含むことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[13] [1]ないし[12]のいずれかにおいて、熱可塑性エラストマーがポリエステル系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[14] [1]ないし[13]のいずれかにおいて、熱可塑性樹脂がポリアルキレンテレフタレートを主成分とすることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[15] [14]において、ポリアルキレンテレフタレートがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[16] [1]ないし[15]のいずれかにおいて、耐折回数が2000回以上、引張り弾性率が1500MPa以上3500MPa以下であることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[17] [1]ないし[16]のいずれかにおいて、シームレス状の中間転写ベルト、搬送転写ベルト、転写定着ベルト、定着ベルト、感光体ベルト、又は現像スリープであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
[18] [1]ないし[17]のいずれかに記載の画像形成装置用エンドレスベルトを含むことを特徴とする画像形成装置。
熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーよりなる熱可塑性ポリマー成分を主成分とするエンドレスベルトにおいて、酸化防止剤成分と、Si化合物、即ち、シリコーン成分及び/又はシラン化合物とを、Si化合物の含有量が、熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下、酸化防止剤成分の含有量に対するSi化合物の含有量の割合が0.05以上200未満となるように配合することにより、
(1) ブレードとエンドレスベルトとの摩擦係数を下げ、ブレードに酸化防止剤が押さえつけられる力が弱まり、ブレードエッジ部への酸化防止剤の付着を防止する。
(2) Si化合物が、酸化防止剤とともにブリードすることにより、酸化防止剤自体に離型性を付与して、ブレードへの酸化防止剤の堆積を防止する。
ことより、酸化防止剤とブレードとの付着力を低減し、その結果、機械的強度を低下させることなくまた表面粗さを悪化させることなく、トナー転写性、クリーニング性に優れた化学的、物理的物性を得ることができ、耐屈曲性などの機械的特性及び表面特性が良好で、トナー転写性及びトナークリーニング性に優れた高画質対応の画像形成装置用エンドレスベルトを提供することが可能となる。
本発明においては、上述のような割合で酸化防止剤とSi化合物とを配合することにより、エンドレスベルトの外側表面のRaで表される表面粗さ(Ra)が0.02μm以上0.2μm以下で、表面濡れ張力(E)が27dyne/cm以上35dyn/cm以下であり、表面粗さ(Ra)と表面濡れ張力(E)との関係が下記(1)式を満たすようにすることが好ましい(請求項2)。
Ra×100<−2×E+80 …(1)
また、本発明で用いるSi化合物がシリコーンゴムであることが好ましく(請求項3)、このシリコーンゴムはアクリル成分を含有することが好ましい(請求項4)。
即ち、例えば、シリコーンゴムがシリコーンゴムとアクリルゴムとの共重合体であると、熱可塑性ポリマー成分との混和性に優れ、また、表面張力を下げる効果に優れるため好ましい。特に、シリコーン−アクリル共重合体が、ポリメチルメタアクリレートやスチレン−アクリロニトリル共重合体で覆われていると、より一層熱可塑性ポリマー成分中でのシリコーンゴムの分散性が向上するため好ましい。
また、Si化合物としては、シリコーンオイルも好ましく(請求項5)、シリコーンオイルは、導電性成分としてのカーボンブラックに重量換算で1%以上20%以下の割合で予め添着されていることが好ましい(請求項9)。
本発明において、成形材料は、カーボンブラック等の導電性成分を含むことが好ましく(請求項6,8)、Si化合物は、熱可塑性ポリマー成分と混合されて成形材料とされる前に、予め導電性成分に添着されていることが好ましく(請求項7)、特にシリコーンオイルはカーボンブラックに予め添着されていることが好ましい。
即ち、Si化合物を熱可塑性ポリマー成分に配合する方法としては、特に制限はなく、予め、熱可塑性ポリマー成分とSi化合物とカーボンブラックのうちから2種以上をブレンドし、混練機のホッパー投入口から一度にあるいは別々に供給し加熱混練したり、Si化合物のみを熱可塑性ポリマー成分や導電性成分等とは別に混練機中に送り込む別フィード方式等が挙げられるが、カーボンブラック等の導電性成分に予めシリコーンオイル等のSi化合物を添着させ、Si化合物をカーボンブラック等の導電性成分表面に被覆した上で混練機を用いて熱可塑性ポリマー成分と加熱混合して導電性組成物を調製することにより、カーボンブラック等の導電性成分とシリコーンオイル等のSi化合物と熱可塑性ポリマー成分との相互作用をより効果的に引き出すことが可能となる。
本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、熱可塑性ポリマー成分とSi化合物と導電性成分とを加熱混練して成形材料を得、この成形材料を加熱押し出し成形してなることが好ましく(請求項10)、特に該成形材料を環状ダイから加熱押し出した溶融チューブを冷却固化または冷却固化しつつ引き取ることにより成形されてなることが好ましい(請求項11)。
このように、環状ダイから連続押し出し成形にて押し出されてなるチューブを環状の状態で押し出し、筒状体のまま引き取り、これを輪切りにして得られるエンドレスベルトにより、低コスト化と寸法安定性を同時に達成できる。また、環状ダイの円周方向に複数の温度調節機構を設けることにより、電気抵抗率のばらつきの少ないエンドレスベルトを低コストに製造することができる。
本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、熱可塑性ポリマー成分として、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とを重量比で、熱可塑性エラストマー/熱可塑性樹脂=5/95〜95/5の割合で含むものが好ましく、熱可塑性エラストマーとしてはポリエステル系熱可塑性エラストマーが、熱可塑性樹脂としてはポリアルキレンテレフタレート、とりわけポリブチレンテレフタレートが好適である(請求項12〜15)。
このような熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とのアロイ材料であれば、良好な耐久性と適度な弾性率を得ることができ、本発明の好適な電気的特性を満たすと共に、良好な押し出し成形性を得ることができる。
また、本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、耐折回数が2000回以上、引張り弾性率が500MPa以上3500MPa以下であることが好ましい(請求項16)。
本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、特に、シームレス状の中間転写ベルト、搬送転写ベルト、転写定着ベルト、定着ベルト、感光体ベルト、又は現像スリープに好適である(請求項17)。
このような本発明の画像形成装置用エンドレスベルトを含む本発明の画像形成装置であれば、長期に亘り、高画質画像を形成することができる(請求項18)。
以下に本発明の画像形成装置用エンドレスベルト及び画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
(1) エンドレスベルト材料
本発明のエンドレスベルトは、熱可塑性エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂よりなる熱可塑性ポリマー成分と酸化防止剤及びSi化合物と、更に好ましくは導電性物質と、必要に応じて配合されるその他の添加成分で構成される。本発明に係るエンドレスベルト材料は、基本的に熱可塑性ポリマー成分に対して、酸化防止剤とSi化合物の所定量を含むものであれば良く、また、好ましくは表面粗さ(Ra)、表面濡れ張力(E)、引張り弾性率、耐屈曲性がある範囲を満たしていれば良く、熱可塑性ポリマー成分、酸化防止剤、その他の材料の種類において制限はない。本発明のエンドレスベルトは、導電性フィラー或いはイオン導電性物質等の導電性を発現する物質の必要量を配合することにより、所望の導電性を得ることができる。
[熱可塑性ポリマー成分]
<熱可塑性樹脂>
本発明のエンドレスベルトに用いる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度,中密度,低密度,直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロック又はランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール(POM)、ポリアリレート(Par)、ポリカーボネート(PC)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンオキシド(PPE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリオキシベンジレン(POB)、ポリイミド(PI)、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリビスアミドトリアゾール、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ素化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等の1種又はこれらの2種以上の混合物からなるものが使用できる。
本発明のエンドレスベルトに用いる熱可塑性樹脂の中でも、結晶性樹脂として好ましいのは、水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有するものであり、結晶化度が20%以上、90%未満であれば特に制限はなく汎用の樹脂を用いることができる。
具体的には熱可塑性結晶性樹脂の中でも、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)が好ましく、なかでもPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)はより好ましく、PBTは結晶化速度が速いので成形条件による結晶化度の変化が少なく、一般に30%前後と結晶化度で安定しているので特に好ましい。
また、本発明に用いる結晶性樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で共重合成分を導入することもできる。具体的な例として主鎖にエステル結合を有し、ポリテトラメチレングリコールやポリカプロラクトンのような脂肪族ポリエステルやポリシクロヘキサジメチレンなどの脂環式ポリエステルなどを導入したものなどを挙げることができる。
本発明のエンドレスベルトに用いる熱可塑性結晶性樹脂の分子量としては、重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張り破断伸びなどの機械物性の高い要求がある場合には、高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であれば更に好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
本発明のエンドレスベルトに用いる熱可塑性樹脂の中でも、非晶性樹脂として好ましいのは、水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有するものであり、結晶化度が0%以上、10%未満であれば特に制限はなく汎用の樹脂を用いることができる。
具体的にはPC(ポリカーボネート)やPAr(ポリアリレート)などのポリエステルやPMMA(ポリメチルメタクリレート)などの側鎖にエステル結合を有する樹脂が好適な例として挙げることができる。なかでもポリエステルが好ましく、PCは特に好適に用いることができる。
また、本発明のエンドレスベルトに用いる非晶性樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で共重合成分を導入することができる。具体的な例として主鎖にエステル結合を有し、ポリテトラメチレングリコールやポリカプロラクトンのような脂肪族ポリエステルやポリシクロヘキサジメチレンなどの脂環式ポリエステル、ポリメチレングリコールなどエステル結合を導入したものなどを挙げることができる。
本発明のエンドレスベルトに用いる非晶性樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張り破断伸びなど機械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であれば更に好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
<熱可塑性エラストマー>
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、塩ビ系等の熱可塑性エラストマー等が使用できる。
熱可塑性エラストマーの特徴は、エンドレスベルトの耐クラック性を大幅に高めることと、柔軟性を付与できる点である。
<熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのアロイ材料>
熱可塑性ポリマー成分として、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのアロイ材料を用いる場合、熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性樹脂と共通の官能基を持つなど、熱可塑性樹脂との親和性の高い熱可塑性エラストマーを用いることにより、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーのアロイ分散性が良くなり、耐クラック性の飛躍的な向上や引張り弾性率の調整が可能となり、優れた表面平滑性や、カーボンブラック等の導電性物質分散性が得られるため、好ましい。
従って、熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル及び/又はポリカーボネートを用いる場合には、ポリエステル系、又はポリエーテル系の熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。また、ナイロン等のアミド系熱可塑性樹脂には、ポリアミド系の熱可塑性エラストマーを組み合わせることが好ましい。
ポリエステル系エラストマーとしては、ハード成分に芳香族ポリエステル、ソフト成分に脂肪族ポリエーテルを用いたポリエステルポリエーテルブロック共重合体、ハード成分に芳香族ポリエステル、ソフト成分に脂肪族ポリエステルを用いたポリエステルポリエステルブロック共重合体を用いることができる。
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体、ポリエステルポリエステルブロック共重合体としては、より具体的には、次の(A),(B)を用いることができる。
(A)ポリエステルポリエーテルブロック共重合体
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体は、(a)炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環式ジオールと、(b)芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステル、及び(c)重量平均分子量が400〜6,000のポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応、又は、エステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものである。炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環式ジオールとしては例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、好ましくは、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールを主成分とするものであり、これらの1種又は2種以上を併用したものを使用することができる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等があり、好ましくは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするものであり、これらの2種以上を併用したものでも良い。また、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート、2,6−ジメチルナフタレート等のジメチルエステルが挙げられ、好ましくはジメチルテレフタレート、2,6−ジメチルナフタレートであり、これらを2種以上併用したものでも良い。また、上記以外に3官能のジオール、その他のジオールや他のジカルボン酸及びそのエステルを少量共重合したものも良く、更に、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸、又は、そのアルキルエステル等を共重合成分として使用したものも良い。
ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、重量平均分子量が400〜6,000のものが使用されるが、好ましくは500〜4,000のものである。ここで、ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2及び1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロック又はランダム共重合体等が挙げられる。特に好ましくはポリテトラメチレンエーテルグリコールである。ポリアルキレンエーテルグリコールの含有量は、生成するブロック共重合体に対し、5〜95重量%であることが望ましく、好ましくは10〜85重量%であることが望ましい。
(B)ポリエステルポリエステルブロック共重合体
ポリエステルポリエステルブロック共重合体は、上記(c)重量平均分子量が400〜6,000のポリアルキレンエーテルグリコールのかわりに、(d)脂肪族又は脂環式ジカルボン酸と脂肪族ジオールとが縮合したポリエステルオリゴマー、(e)脂肪族ラクトン又は脂肪族モノオールカルボン酸から合成されたポリエステルオリゴマーと、前記(a)炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環式ジオールと、(b)芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとを原料とし、エテル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものである。
上記(d)の例としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸又はコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸のうちの一種以上とエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール等のジオールのうちの一種以上とを縮合した構造のポリエステルオリゴマーが挙げられ、上記(e)の例としてε−カプロラクトン、ω−オキシカプロン酸等から合成されたポリカプロラクトン系ポリエステルオリゴマーが挙げられる。
本発明に用いられるポリエステル系以外の熱可塑性エラストマーとしては、具体的にはポリスチレン系では、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー等があり、ポリ塩化ビニル系では、架橋(三次元)塩化ビニル−直鎖塩化ビニルポリマー等があり、オレフィン系としては、ポリエチレン−EPDMコポリマー、ポリプロピレン−EPDMコポリマー、ポリエチレン−EPMコポリマーポリプロピレン−EPMコポリマー、等があり、ポリエステル系としては、PBT(1,4−ブタジエンジオール−テレフタル酸縮合物)−PTMEGT(ポリテトラメチレングリコール−テレフタル酸縮合物)コポリマー等が挙げられ、ポリアミド系としては、例えばナイロンオリゴマー−ジカルボン酸−ポリエーテルオリゴマーを基本骨格としたコポリマーを挙げることができ、前記ナイロンオリゴマーとしては例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、等があり、ポリエーテルオリゴマーとしては、例えばポリエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。ウレタン系としては例えばポリウレタン−ポリカーボネートポリオールコポリマー、ポリウレタン−ポリエーテルポリオールコポリマー、ポリウレタン−ポリカプロラクトンポリエステルコポリマー、ポリウレタン−アジベートポリエステルコポリマーが挙げられる。
(熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーの重量比)
熱可塑性ポリマー成分として、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのアロイ材料を用いる場合、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーの重量比に特に制限はない。ただし、一般に熱可塑性樹脂の中で結晶性樹脂は耐薬品性、耐屈曲性に優れ、非晶性樹脂は成形寸法安定性に優れるので、使用目的に応じ、熱可塑性エラストマーとの比率を設定することができるが、なかでも、熱可塑性樹脂/熱可塑性エラストマーの重量比が1/99〜99/1が好ましく、5/95〜95/5がより好ましく、10/90〜90/10が更に好ましく、70/30〜30/70が特に好ましく、60/40〜40/60がとりわけ好ましい。
(熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーの粘度差)
熱可塑性ポリマー成分として、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのアロイ材料を用いる場合、両材料の粘度差が大きすぎると、製造条件を調整しても良好な分散が得られず、また、特に導電性成分やSi化合物も、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーのいずれか一方の相に分散することとなり、不均一分散となりやすいことがあるので、粘度差は小さい方が好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーを同一条件でMFR測定したときの比が1/20〜20/1程度の範囲に収まることが好ましく、1/10〜10/1の範囲となれば更に好ましい。
なお、MFRの測定方法としてはJIS K−7210に準拠し、測定温度条件は熱可塑性樹脂組成物の加工温度に近い条件を選択することが好ましい。例えば、PBTとポリエステルエラストマーを選択した場合、加工温度となる240℃を測定温度として設定し、両材料の粘度差を比較することが好ましい。また、荷重としては例えば2.16kgを選択することで好適に測定できる。
<熱可塑性ポリマー成分の融点>
本発明においては、熱可塑性ポリマー成分として以下のDSC測定による融点が130℃以上、260℃以下のものを用いることが好ましい。
DSC(示差走査熱量)測定
セイコー電子工業(株)製SSC−5200(商品名)を使用し、試料を昇温速度20℃/minにて400℃まで昇温 させ、融解ピーク温度をDSC測定による融点とする。
熱可塑性ポリマー成分の融点が低すぎると、得られるエンドレスベルトの耐熱性が悪くなり、ローラの癖跡がつきやすくなるばかりか、クリープ性が悪くなるため好ましくない。逆に熱可塑性ポリマー成分の融点が高すぎると、加熱混練時、加熱押し出し時の成形温度が高すぎ、添加成分の揮発で、ベルト表面の外観が荒れる場合がある。熱可塑性ポリマー成分のより好ましい融点は180℃以上 250℃以下、更に好ましくは200℃以上240℃以下である。
尚、熱可塑性ポリマー成分としては、熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を用いても良く、熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上を用いても良く、これらを混合して用いても良い。
[酸化防止剤]
本発明においては、加熱混練ないし加熱成形工程での成形材料の熱分解による酸化劣化や、使用時の経時劣化を防止するために、成形材料に酸化防止剤を配合する。また、後述の重合触媒を配合する場合、重合触媒の活性が高すぎると、熱可塑性ポリマー成分の解重合を促進して分子量低下による機械的物性の低下、低分子量体発生に併なう発泡などが問題になることがあるが、酸化防止剤として、重合触媒中の金属にキレートする能力を有するキレーターが存在すると、解重合を抑制することができるため。この点においても酸化防止剤の配合は好ましい。
酸化防止剤の種類としては特に制限はなく、公知の酸化防止剤(キレーター)を用いることができる。
例としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル、リン酸塩、ヒドラジン類や、フェノール系、イオウ系の酸化防止剤を挙げることができ、これらは例えば、イルガホス168(日本チバガイギー(株)製)、PEP36(旭電化工業(株)製)、サンドスタブP−EPQ(クラリアントジャパン(株)製)の亜リン酸エステル、IRGANOX MD1024(日本チバガイギー(株)製)、CDA−6(旭電化工業(株)製)のヒドラジン類、スミライザーBP101(住友化学(株)製)、イルガノックス1010(日本チバガイギー(株)製)アデカスタブAO−80のフェノール系、スミライザーTPS(住友化学(株)製)、ヨシノックスDMTP(API社製)、アンチオックスS(日本油脂(株)製)のイオウ系などとして容易に市場から入手することができる。
本発明においては、酸化防止剤の含有量は、全熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して0.01重量部以上であることが好ましく、より良好な添加効果を得るためには0.1重量部以上であることが好ましい。
酸化防止剤の含有量が少なすぎると、上述したような酸化防止剤の添加効果を十分に得ることが出来ないが、多すぎると過剰な酸化防止剤がベルト表面にブリードし、ブレードへの酸化防止剤の固着でクリーニング不良を引き起こす。また、重合触媒の活性を失い 良好な物性のエンドレスベルトが得られないことがあるので、添加過多にはならない方が好ましく、前熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましく、0.5重量部以下であると更に好ましい。
[Si化合物]
本発明において、酸化防止剤とともに配合されるSi化合物は、シリコーン、即ち、シリコーンゴム、シリコーンレジン(シリコーン微粒子)、シリコーンオイルと、シラン化合物であり、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
なお、Si化合物の各材料は次の通り定義される。
シリコーン:シロキサン結合を有する高分子化合物であり、シリコーンオイルとシリコ
ーンパウダーに大きく2分される。
シリコーンオイル:シリコーンのうち、架橋構造を有しない鎖状又は環状のものであり
、未変性のストレートシリコーンオイルと、変性シリコーンオイルとに分
類される。
シリコーンパウダー:シリコーンのうち、架橋構造を有するものであり、2次元架橋の
シリコーンゴムと3次元架橋のシリコーンレジンとに分類される。
シラン化合物:4価のSiを含む低分子化合物であり、シランカップリング剤(有機樹脂と無機物との各々に反応する2種以上の官能基を備えるもの)とアルキルシランとに分類される。
また、Si化合物を熱可塑性ポリマー成分に配合する方法としては、前述の如く、予め、熱可塑性ポリマー成分と、酸化防止剤と、Si化合物と、カーボンブラック等の導電性成分のうちから2種以上をブレンドし、混練機のホッパー投入口から一度にあるいは別々に供給し加熱混練したり、Si化合物のみを熱可塑性ポリマーやカーボンブラック等とは別に混練機中に送り込む別フィード方式等が挙げられるがこれに制限されることは無い。また、Si化合物は、熱可塑性ポリマー成分に対し、カーボンブラック等の導電性成分、酸化防止剤とともに加熱混練する際に配合しても良い。
また、上記と別の方法として、カーボンブラック等の導電性成分に予めSi化合物を添着させ、Si化合物をカーボンブラック等の導電性成分表面に被覆した上でベースポリマーとしての熱可塑性ポリマー成分と混練機を用いて加熱混合して導電性ポリマー組成物を調製する方法があり、これにより、カーボンブラック等の導電性成分とSi化合物と熱可塑性ポリマー成分との相互作用をより効果的に引き出すことが可能となる。
この場合、Si化合物としては、シリコーンオイルまたはシラン化合物(例えばシランカップリング剤)を用いることが好ましい。
導電性成分、特にカーボンブラックの表面にSi化合物を添着処理する際の処理方法としては、乾式処理法と湿式処理法などが知られている。乾式処理法は、カーボンブラックの表面に、溶媒中に分散させたシリコーンを噴霧させる方式が一般的であり、コスト的に有利である反面、カーボンブラック表面に完全に添着しにくいので、処理のバラツキが発生しやすいという欠点がある。
一方、湿式法としては、各種溶媒中に分散させたシリコーン溶液中にカーボンブラックを入れ、攪拌混合した後、溶剤を乾燥除去する方法があるが、カーボンブラック表面に完全に添着しやすいので製品バラツキは少ないが、コストが高い欠点がある。これらは適宜選択すればよく、これらの処理方法に何等制限されることはない。
また、Si化合物と熱可塑性ポリマー成分とカーボンブラックとの相互作用(付加的成分を添加することにより耐屈曲性が向上する作用)を向上させる効果をより有効に発揮させるために、カーボンブラックにSi化合物を添着させた後、溶媒を除去する乾燥工程において、100℃以上、例えば100〜300℃で、1時間以上24時間以下で加熱して焼付け反応をさせることが好ましい。
以下に、各Si化合物について説明する。
<シリコーンゴム>
(シリコーンゴムの種類)
本発明において用いられるSi化合物として好ましいシリコーンゴムとしては、常温で固体状態のミラブル型と液状型とがあるが、好ましいのはミラブル型のシリコーンゴムである。
また、シリコーンゴムとアクリルゴムとの共重合体であることが樹脂との混和性を向上させつつ、ベルト表面張力を下げる効果があるため特に好ましく、さらには、シリコーン−アクリル共重合体がポリメチルメタアクリレート(PMMA)やスチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)で覆われているとさらにシリコーンゴムの分散性が向上し、表面平滑性を損なうことがなくなるため更に好ましい。
尚、シリコーンゴム−アクリルゴムの共重合体の場合の各成分の重量比は、シリコーン成分/アクリル成分の重量比で、9/1〜1/9が好ましく、更に好ましいのは8/2〜2/8である。極端にシリコーン成分が多いとベルトの表面張力は下がるが、熱可塑性ポリマー成分との分散性が劣るため、表面凹凸が発生し、好ましくない。反対にアクリル成分が極端に多い場合は、アクリル成分はポリエステル等の熱可塑性ポリマーとの界面張力が近いため混和性に優れているが故にベルト表面凹凸はできにくい利点はあるものの、表面張力は下がりにくい欠点もあり、好ましくない。
本発明に用いられる代表的なシリコーンゴムは、例えば、三菱レイヨン(株)社製の商品名メタブレンS−2001,SRK200,SX−006,SX−005などが挙げられる。
(シリコーンゴムの配合方法)
シリコーンゴムを熱可塑性ポリマーに配合する方法としては、予め、熱可塑性ポリマー成分とシリコーンゴムとカーボンブラック等の導電性成分のうちから2種以上をブレンドし、混練機のホッパー投入口から一度にあるいは別々に供給し加熱混練したり、シリコーンゴムのみを熱可塑性ポリマーやカーボンブラック等とは別に混練機中に送り込む別フィード方式等が挙げられるがこれに制限されることは無い。なお、ここで酸化防止剤は熱可塑性ポリマーにプリブレンドしたのち投入し加熱混練されたり、加熱混練機の中ほどより少量添加できる重量フィーダーによって供給して混練する方法が挙げられるが、酸化防止剤の構造、目的などによって選択されるがこれに制限されることはない。
<シリコーンレジン>
(シリコーンレジンの種類)
本発明において用いられるSi化合物として好ましいシリコーンレジンは、シリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムをシリコーンレジンで被覆したシリコーン複合パウダーが用いられる。一般にシリコーンレジンパウダーはシロキサン結合が三次元網目状に架橋した構造のため有機溶剤に不溶でまた耐熱性に優れ熱溶融もしにくい。更には粒子は凝集しにくく、分散性は良好であるため、熱可塑性ポリマー成分との加熱混合においては、加熱温度に対する制約が少なくなるため好ましい。
好ましいシリコーンレジンの粒子径は、配合した際のエンドレスベルト表面に適度な粗さが得られるように平均粒子径0.3μm〜12.0μmが好ましく、特に好ましい平均粒子径は、0.5μm〜5μmである。
本発明に用いられる代表的なシリコーンレジンとしては、例えば、東芝シリコーン(株)社製の商品名トスパール103、105、108、120、130、145などが挙げられる。
(シリコーンレジンの配合方法)
シリコーンレジンの配合方法としては、上述のシリコーンゴムと同様の方法を採用することができる。
<シリコーンオイル>
(シリコーンオイルの種類)
本発明において、Si化合物として好ましいシリコーンオイルは、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーンなどであり、これらはオイル状もしくはガム状でカーボンブラックなどのフィラーに添着されることが好ましい。
また、シリコーンオイルにグラフト結合やブロック結合で金属成分や他のポリマー成分を部分的に導入することもできる。具体的な例としてメタクリル樹脂を主鎖とし、ポリジメチルシロキサンなどをグラフト結合したものなどを挙げることができる。
<シラン化合物>
(シラン化合物の種類)
本発明に用いられるSi化合物として好ましいシラン化合物は、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アルキルトリエトキシシラン、アルキル、n−デシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどを挙げることができる。
(シラン化合物の配合方法)
シラン化合物の配合方法としては、無機材料(カーボンブラックなど)への処理と有機材料への添加に分けられ、無機材料への処理は攪拌機のついたミキサーなどで攪拌しつつ、シラン化合物の原液または希釈溶液を噴霧または滴下させて均一に分散して処理する乾式法や、無機材料をシランカップリング剤が均一に分散された溶液に入れてスラリー化したのち、攪拌して濾過し、乾燥などで溶液を除去する湿式法などがある。また、有機材料への添加としては、加熱混練する際に直接添加するインテグラルブレンド法や少量の有機材料に予めシランカップリング剤を混合してマスターバッチとして加熱混練するマスターバッチ法などがある。いずれの方法においても目的とされる物性とコストを勘案して決定されるが、本発明においてはこれに制限されない。
<Si化合物の配合量>
本発明において、シリコーンゴム、シリコーンレジン、シリコーンオイル、及びシラン化合物の1種又は2種以上からなるSi化合物の配合量は、これらの2種以上を用いる場合はその合計の配合量として、熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜7重量部である。Si化合物の配合割合が多すぎると熱可塑性ポリマー成分との混和性が劣るため、ベルトの表面粗さが悪化するとともに熱可塑性ポリマー成分との界面で剥離を起こし機械物性が極度に低下するため好ましくない。特に、シリコーンゴムの場合には、エンドレスベルトの弾性率が低下し、クリープ変形が起こりやすくなるため好ましくない。逆に、Si化合物の配合割合が少なすぎると、クリーニングブレードとの摩擦が大きくなり、クリーニングブレードによるトナー掻きとり効果が低減し、クリーニング不良が発生しやすくなる。また、ベルト表面にブリードした酸化防止剤の滑材効果も少なくなり、酸化防止剤がブレードと固着しやすくなってクリーニング不良が発生しやすくなる。
また、Si化合物と酸化防止剤との配合割合は、酸化防止剤に対するSi化合物の割合、即ち、Si化合物/酸化防止剤の重量比で0.05以上200未満、好ましくは0.1以上150以下である。Si化合物の配合量が、酸化防止剤に対して少な過ぎるとベルト表面にブリードした酸化防止剤の滑材効果も少なくなり、酸化防止剤がブレードと固着しやすくなってクリーニング不良が発生しやすくなる。逆に、Si化合物の配合量が、酸化防止剤に対して多過ぎると酸化防止剤の本来の機能を阻害するように作用するだけでなく、ベルト表面性が悪化し、クリーニング不良が発生する。
<Si化合物の好適な配合方法>
本発明においては、Si化合物としては特にシリコーンを用い、これを、導電性成分であるカーボンに予め添着して他の成分と配合することが好ましい。
以下に、このシリコーンの好適な配合方法について説明する。
(シリコーンの平均分子量)
カーボンブラックに添着するシリコーンの平均分子量は100以上10万未満であることが好ましい。シリコーンの平均分子量が高いと相対的に官能基当量が上がる(官能基が少なくなる)ため、カーボンブラックへ添着しにくくなりグラフト効率が低下し、添着せずにブリードアウトしやすくなるため好ましくない。また、平均分子量が100未満の低分子量であると、低分子量のシロキサンガスが発生しやすくなり、加熱混合、加熱押し出しの際に発泡傷の原因となったりするので好ましくない。また、通常シリコーンは鎖状で存在しているが、低分子量になると環状になりやすく、環状になるとカーボンブラックに添着できないだけでなく、揮発して電子機器部品のスイッチ部などに付き、それらがスイッチ部の熱でシリカ(絶縁)になることでスイッチング不良を起こすため、好ましくない。特に、プリンターなどの製品として使用する際に揮発するようなオリゴマーなどは感光体を汚染する可能性もあり好ましくない。
なお、シリコーンの平均分子量とはゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される分子量分布曲線におけるピーク値から求められるポリスチレン換算重量平均分子量のことである。
(シリコーンの官能基)
また、カーボンブラックに添着するシリコーンの官能基の量と種類は、混合対象であるカーボンブラックの種類によって決められるものであり、例えばアセチレンカーボンブラックの場合は0.1〜10重量%の添着量で官能基はアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基などが好適であり、またポリエーテルやフェノール変性したもの、シラノール基やシラザン基を有するものも好適である。さらに官能基当量は500以上10万以下とすると好ましい。
なお、官能基当量とは官能基1モルあたりの化合物の物質量のことであり、g/molで表され、核磁気共鳴分光法(NMR)にて測定されたピークにおいて、想定される構造より、官能基のピーク(面積)とシリコーンのピーク(面積)の比より求められる。
また、官能基とは水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、エステル基、アルコキシ基、イミド基、エポキシ基、メタクリル基、カルボジイミド基、カルボニル基のことなどを言い、主にフィラーにグラフトさせたり、ポリマーとの相溶性を向上させる目的で導入されたものを指す。
また、官能基のあるシリコーンの合成方法として例えば、一般的なアミノ変性シリコーンの場合、アミノアルキルメチルジメトキシシランの加水分解によって得られたシロキサンオリゴマー、環状シロキサンとジシロキサン及び塩基性触媒を用いて平衡反応させることによって得られる。また、アミノアルキルメチルジメトキシシランの加水分解物と両末端にシラノール基を有するシロキサンおよび塩基性触媒を用いて合成することによって得られる。
シリコーンの官能基の測定方法は次の通りである。
Varian製Inova500分光計を用い、定量性を上げるため、緩和試薬として酢酸クロムを最終濃度50mMとなるように添加してSi−NMRを測定する。具体的には酢酸クロムを227.3mg秤り取り、重クロロホルム6.5mlに溶かす。さらに10mlのサンプル瓶にシリコーンサンプルと該重クロロホルム溶液を1.5mlずつ入れ、その混合液を外径10mmのNMR試料管に移し、25℃、パルス幅30°、パルス繰り返し時間は5秒に設定し、化学シフトの基準としてジメチルシロキシ主鎖シグナルを121.00pmとして測定する。
なお、官能基のないシリコーンとして最も一般的であるポリジメチルシロキサンを用いて、上記方法でNMRを測定し、それより得られるジメチルシロキシ主鎖とトリメチルシリル基の帰属するピークとを比較して、それ以外のピークを官能基のピークとして帰属させ、官能基1molあたりのシリコーンとして官能基当量が求められる。
官能基当量は少なすぎるとカーボンブラックへのグラフト時に使用しきれず、未反応官能基が加熱混合時に熱可塑性樹脂を劣化させてしまい、機械特性低下、劣化樹脂による発泡跡の外観不良や溶融粘度低下による電気特性不良を引き起こす。また官能基当量が多すぎてもカーボンブラックにグラフトされず、ブリードしてしまうため好ましくない。
(カーボンブラックの物性)
本発明において、カーボンブラックは、エンドレスベルトにした際の機械特性、電気特性、寸法特性、化学特性を考慮して混合されるものであるが、シリコーンを添着して用いるカーボンブラックは、加熱混合前にシリコーンを混合するため、粉体品、もしくは粒状品であることが好ましく、また粉体は均一であることが好ましい。
シリコーンを添着して用いるカーボンブラックは、次の理由からpH4以上、DBP吸油量50〜300cm/100g、比表面積35〜500m/g、揮発分0〜20%、平均一次粒径20〜50nmを満たすカーボンブラックであることが好ましい。
・カーボンブラックのpHについて
シリコーンを添着させる際、カーボンブラックのpHが低いとシリコーンが加水分解を起こし、シリコーンの分子量が低下し、シリコーンの主鎖であるシロキサン結合が分解されてシラノール基が増える。そのため、熱可塑性ポリマー成分とカーボンブラックを加熱混合する時に分解して低分子量のシロキサンガスが発生し、発泡の原因となるため好ましくない。また、シリコーンが加水分解を起こしカーボンブラックの表面に添着できずにブリードし、サージングを起こしたり、ブリードしたシリコーンが低分子量だと発泡の原因になったりする。また、加熱混合時、または押し出し成形時にpHを調整し中性にしたとしても、添着時に生成したシラノール基が脱水縮合するため、水を発生し成形機内で蒸気となってこれも発泡の原因となるため好ましくない。従って加熱混合前にカーボンブラックのpHを低くすることが望ましく、好ましくはpHは12以下がよい。
また、カーボンブラックのpHが4以上10以下であればシリコーンの加水分解が抑制され、重縮合が起こるため、シリコーンの表面に添着され好ましい。
また、カーボンブラックのpHが10より大きい場合は、シリコーンの加水分解よりも重縮合が進行し易くなるものの、pH4以上10以下である場合に比べて加水分解される傾向があるため、処理条件などを勘案する必要がある。
従って、シリコーンを添着させるカーボンブラックのpHは4〜10、特に5〜10であることが好ましい。
なお、カーボンブラックのpHは、例えばビーカーにカーボンブラック1gにつき水10mgを加え、15分間煮沸したものを室温まで冷却した後、傾斜法、又は遠心分離法にて上澄み液を除去した後の泥状物にガラス電極pH計の電極を挿入してJIS 28802に従って計測される。
・カーボンブラックのDBP吸油量について
シリコーンを加熱混合前に添着させる場合、カーボンブラックのDBP吸油量が多いほど、シリコーンを物理吸着できるため好ましいが、多すぎるとシリコーンによって覆われないカーボンの表面官能基が多くなり、熱可塑性樹脂との加熱混合時における樹脂の劣化の原因となり好ましくない。従って、好ましいカーボンブラックのDBP吸油量は、50〜300cm/100gである。
・カーボンブラックの粒子径及び比表面積について
シリコーンを添着させるためには比表面積が小さすぎると添着する官能基が相対的に減少し、シリコーンがカーボンブラックに結合されずブリードする。また、比表面積が大きすぎると未添着の官能基が存在するため、主成分の熱可塑性ポリマー成分を劣化させたり、吸着水分量が多くなるため、成形前に乾燥する時間が長くなり好ましくない。従って、好ましいカーボンブラックの平均一次粒径は20〜50nmであり、比表面積は35〜500m/gである。
・カーボンブラックの揮発分について
カーボンブラックの揮発分が多いほど、その表面特性によりカーボンの分散性は良好になる反面、加熱混練中にガスを発生させるため、成形上不利である。逆に、カーボンブラックの揮発分が少ないほど、加熱混練中のガスが発生しにくいため、成形性は良好である反面、カーボンの分散性は悪化する傾向にある。
従って、好ましいカーボンブラックの揮発分量は、0〜20%であり、特に好ましいカーボンブラックの揮発分量は、0〜10%である
(カーボンブラックへの添着方法)
シリコーンをカーボンブラックに添着させるには、カーボンブラックの表面官能基とシリコーンの官能基が化学的に結合されることが望ましく、そのため、官能基の種類によっては添着させる際に一定の加熱を行った方が結合させやすい。また、添着の方法としてはスプレー塗布、ミキサーでの混合などの乾式や、溶液にカーボンブラックとシリコーンを分散混合させ、乾燥して溶液をとばす湿式の方法がある。乾式はコストに優れ、湿式は均一に添着できるメリットがあるため、用途によって使い分けるとよい。
(カーボンブラックへ添着させるシリコーンの添着量、配合量)
前述の如く、シリコーンとカーボンブラックの官能基は、いずれか一方が多すぎると熱可塑性ポリマー成分とカーボンブラックを加熱混合する際に熱可塑性ポリマー成分が劣化して発泡する原因となったりするため好ましくない。
そのため、添着されるシリコーンの最適量はカーボンブラックの種類や量、目的とするトナー離型性のための表面張力、表面粗さの観点から好適な範囲が存在し、カーボンブラックへのシリコーンの添着量はカーボンブラック重量に対して1〜20重量%、特に1.5〜10重量%が好ましく、成形材料中にカーボンブラックを熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し5〜20重量部程度含有するベルトにおいては、シリコーンの添着量は熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し0.1〜10重量部配合するのが好適である。
本発明によれば、特に好ましくは官能基500g/mol以上のシリコーンを他の材料に加熱混合する前に、予めカーボンブラックに添着混合することにより、シームレスベルトの成形時や成形後のブリードを防ぎ、カーボンブラックを分散させることにより、シリコーンも均一に分散されるため、表面に凝集せず、表面凹凸が小さくなり、さらに成形材料のシリコーンの含有量を0.1〜10重量%、シリコーンの平均分子量を100以上10万未満にすることにより、効率よくカーボンブラックにグラフトされ、未反応官能基による熱可塑性ポリマー成分への劣化作用での発泡ガス跡の表面凹凸がなく、且つベルトのトナーとの離型性が向上するため好ましい。
[導電性物質]
エンドレスベルトに導電性物質を配合することにより、エンドレスベルトに導電性を付与し、また、導電性の程度を調節することができる。
導電性物質としては、用途に要求される性能を満たすものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができ、具体的には、導電性フィラーとして、カーボンブラックやカーボンファイバー、グラファイトなどのカーボン系フィラー、金属系導電性フィラー、金属酸化物系導電性フィラーなどが用いられ、導電性フィラーの他には、イオン導電性物質、例えば四級アンモニウム塩等が例示されるが、これらの導電性物質の中でも、カーボンブラックを用いることが電気抵抗率の湿度依存性が小さくなる傾向にあるため好ましい。カーボンブラックはイオン導電性物質等のその他の導電性物質と併用して用いても良い。
導電性成分の配合量は用いる種類によっても異なり、例えばカーボンブラックであれば熱可塑性樹脂成分100重量部に対して0.1〜30重量部とすることが好ましい。この範囲よりも少ないと導電性が発現されなかったり、カーボンブラックの分散状態が粗くなり電気抵抗率がばらつきやすくなり、また、接触抵抗が大きく環境に左右されるようになり、画像形成装置にエンドレスベルトとして搭載した場合、環境によっては画像異常を発生させる場合がある。また、多すぎるとエンドレスベルトの剛性が上がり耐久性が損なわれたり、成形性が損なわれたりするため好ましくない。
好ましいカーボンブラックの配合量は、熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して5〜20重量部とすることが好ましい。
本発明では、シリコーンの添着の有無にかかわらず、次の理由からカーボンブラックとして、DBP吸油量50〜300cm/100g、比表面積35〜500m/g、揮発分0〜20%、平均一次粒径20〜50nmを満たすカーボンブラックを用いることが好ましい。
1)カーボンブラックのDBP吸油量について
カーボンブラックのDBP吸油量が大きいほど、カーボンは数珠状に連なった連鎖(カーボンストラクチャクチャー)を形成しやすく、カーボン凝集体が発生しにくい利点と、少ない添加量で導電性を発現しやすいため低コストな利点があったが、その反面、材料配合から成形加工の過程においてカーボンブラックを配合した樹脂に加えられる様々な剪断力によりカーボン連鎖が壊れて電気抵抗率がばらつきやすく、安定しないといった問題点がある。
反対にカーボンブラックのDBP吸油量が少なすぎると、カーボン連鎖を形成しにくいため導電性を発現させるためのカーボン添加量が多くなりすぎ、材料の耐屈曲性を損なう問題点がある。
従って好ましいカーボンブラックのDBP吸油量は、50〜300cm/100gである。
2)カーボンブラックの粒子径及び比表面積について
カーボンブラックの比表面積が大きいほど、少ない添加重量で導電性が発現するため、機械的強度を割れにくさの点で有利となる反面、カーボン添加量により導電性が急激に変化する傾向にあるため半導電領域にコントロールするためには±0.05%以内の配合精度が必要であり、エンドレスベルトの抵抗ばらつきを±1オーダー以内で均一にすることが難しい。また、比表面積が大きいカーボンブラックは一般に粒径が小さいため、樹脂中に分散させる場合にカーボンブラック粒子がだまになりやすく、その結果、カーボン凝集体が成型品に混在し、カーボン凝集体の箇所に電気が集中し部分的な絶縁破壊を発生させやすい。また、カーボンブラックの比表面積が小さすぎる(カーボン粒子が大きすぎる)と、カーボン凝集体を形成しにくいため成型品の外観は平滑な反面、カーボン粒子間の接触により導電性発現が左右されやすく電気抵抗率がばらつきやすいので最適化したカーボン粒子径を選択した方が好ましい。
従って、好ましいカーボンブラックの平均一次粒径は20〜50nmであり、比表面積は35〜500m/gである。
3)カーボンブラックの揮発分について
カーボンブラックの揮発分が多いほど、その表面特性によりカーボン分散は良好になる反面、加熱混練中にガスを発生させるため、成形上不利である。逆に、カーボンブラックの揮発分が少ないほど、加熱混練中のガスが発生しにくいため成形性は良好である反面、カーボン分散は悪化する傾向にある。
従って、好ましいカーボンブラックの揮発分量は、0〜20%であり、特に好ましいカーボンブラックの揮発分量は、1〜10%である。
カーボンブラックは、上記DBP吸油量、比表面積、揮発分、平均一次粒径を満たすものであれば、その種類には特に制限はなく、また、使用するカーボンブラックは1種類であっても2種類以上であっても良い。
ただし、シリコーンをカーボンブラックに添着して用いる場合、カーボンブラックは、前述の好適物性を満たすことが好ましい。
カーボンブラックの種類としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが好適に使用でき、この中でもカリウム、カルシウム、ナトリウムなどの灰分とよばれる不純物が少なく外観不良を発生しにくいアセチレンブラックが特に好適に使用できる。また、樹脂を被覆したカーボンブラックや、加熱処理したカーボンブラックや黒鉛化処理したカーボンブラック等や、酸性処理したカーボンブラック等の公知の後処理工程を施したカーボンブラックを用いても何ら問題はない。
更に、分散性を向上させる目的、ガス発生を抑制させる目的でシラン系、アルミネート系、チタネート系、及びジルコネート系等のカップリング剤で処理したカーボンブラックを用いても良い。
本発明において、エンドレスベルト中のカーボンブラックの含有量(以下「カーボンブラック濃度」と称す場合がある。)が、下記式(i),(ii)を充たすことが、抵抗値の温度湿度依存性への影響が少なくなるため好ましい。
式(i):LogY≧−X+20
式(ii):LogY≦−X+30
ただし、X,Yは次の通り。
X:エンドレスベルト中のカーボンブラックの含有量(重量%)
Y:エンドレスベルトの100V印加電圧,10秒での表面電気抵抗率(Ω)
即ち、例えば、表面電気抵抗率が1×106(Ω)のベルトの場合は、カーボンブラック濃度は14〜24重量%であり、表面電気抵抗率が1×1010(Ω)のベルトの場合は、カーボンブラック濃度は10〜20重量%であり、表面電気抵抗率が1×1014(Ω)のベルトの場合は、カーボンブラック濃度6〜16重量%であることが、高温高湿から低温低湿での環境変動に対する、電気抵抗率の変動が少ないエンドレスベルトとすることができる点において好ましい。
X,Yは、特に
logY≧−X+21
logY≦−X+29
であることが好ましい。
上記範囲を超えてカーボンブラック濃度が高いと、カーボンブラック自身の分解ガス等の発生により製品の外観を悪化させると共に、カーボンブラックと樹脂との反応により樹脂が分解して発泡に由来する傷が発生するため、外観上好ましくない。また、耐折れ性も悪化する。
上記範囲を超えてカーボンブラック濃度が低いと、導電性を発現できなくなる上に、カーボンブラック分散状態が粗くなり電気抵抗率がばらつきやすくなり、また、接触抵抗が大きく環境に左右されるようになり、画像形成装置にエンドレスベルトとして搭載した場合、環境によっては画像異常を発生させる場合がある。
[重合触媒]
本発明では、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを単に混合したもの、重合段階からこれらを混合したもの、これらを触媒を反応させながら混合したもの等公知のアロイ化技術を用いることができるが、重合触媒を用いて加熱混合したものがコストの観点から最も好ましい。
重合触媒は、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーを重合する能力を有していれば特に制限はない。
重合触媒のなかでもTi系重合触媒は好ましく、アルキルチタネートなどが好適に用いることができる。
アルキルチタネートの中でもテトラブチルチタネート又はテトラキス(2−エチルヘキシル)オルソチタネートが好ましく、これらはTYZOR TOT(DuPont製)やTYZOR TBT(DuPont製)として市販品を容易に入手することができる。
また、Ti系重合触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属含有化合物又は亜鉛含有化合物と組み合わせることで、より有効に作用するので好ましく、なかでもマグネシウム含有化合物を重合触媒として有することは特に好ましい。
マグネシウムを含む化合物として特に制限はないが有機酸マグネシウム塩が特に好ましく、酢酸マグネシウムが特に好ましい。
重合触媒の含有量としては、少なすぎると有効に作用しないことがあるので、ある程度高い方が好ましく、具体的には重合触媒中の金属分の質量が全熱可塑性ポリマー成分(熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの合計)に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上であれば更に好ましく、20ppm以上であれば特に好ましい。一方、エステル系樹脂は重金属の多量存在下により、解重合を起こすことがあると知られているので、ある程度は小さい方が好ましく、具体的には10000ppm以下が好ましく、1000ppm以下であれば更に好ましく、500ppm以下であれば特に好ましい。なお、以下において、全熱可塑性ポリマー成分に対する重合触媒のTi,Mgの重量割合を「Ti濃度」,「Mg濃度」と称す場合がある
[キレーター]
重合触媒の活性が高すぎると、熱可塑性ポリマー成分の解重合を促進して分子量低下による機械的物性低下,低分子量体発生に伴う発泡などが問題になることがあるが、重合触媒中の金属にキレートする能力を有するキレーターが存在すると、解重合を抑制することができるため、必要に応じてキレーターを用いることが好ましい。
キレーターの種類としては特に制限はなく、公知のキレーターを用いることができる。
例としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル、リン酸塩、ヒドラジン類を挙げることができ、これらは例えば、イルガホス168(日本チバガイギー(株)製)、PEP36(旭電化工業(株)製)、サンドスタブP−EPQ(クラリアントジャパン(株)製)の亜リン酸エステル、IRGANOX MD1024(日本チバガイギー(株)製)、CDA−6(旭電化工業(株)製)のヒドラジン類などとして容易に市場から入手することができる。
本発明では成形条件の適正化により解重合及び低分子量体発生を抑制することで、キレーター無添加とすることもできるが、解重合の抑制が必要な場合にはキレーターの添加量は、全熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して0.001重量部以上添加することが好ましく、より良好な効果を得るには0.1重量部以上添加することが好ましい。
キレーターの量が多すぎると重合触媒が活性を失い良好な物性のエンドレスベルトを得られないことがあるので添加過多にはならない方が好ましく、全熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、10重量部以下が好ましく、5重量部以下であると更に好ましい。
一般的にはキレーターの使い方としては全熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して0.1重量部以下の少量添加で使うことが好ましいとされるが、本発明でキレーターを使う場合には、特に好ましい使い方の例としては、重合触媒の添加量を50〜500ppmと多く添加し、キレーターも0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜1重量部と常識より高い量を用いて、更にエンドレスベルトを得るための成形条件(温度,滞留時間など)を適正化すると、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの化学結合生成及び分子量増加を促進しつつ、解重合を抑制でき、従来に無い物性の優れたエンドレスベルトを得ることができる。
[増粘剤]
高粘度の熱可塑性樹脂と低粘度の熱可塑性エラストマーとのアロイ化の場合、粘度差が大きいために、低粘度の熱可塑性エラストマーが混練時にその他の成分と十分に混ざらず、エンドレスベルト中の各成分の分散が悪くなることがある。この問題を解決するために、本発明においては熱可塑性樹脂/熱可塑性エラストマー/導電性成分混合系全体の粘度を増大させ、低粘度の熱可塑性エラストマーを相当量含んでいても各成分が十分に分散し得る粘度に増大させる目的で、増粘剤を配合しても良い。
全く添加しない熱可塑性樹脂/熱可塑性エラストマー/導電性成分配合材料を用いたエンドレスベルトにおいては、表面電気抵抗率における印加電圧依存性が非常に大きく、そのために高精度な画質が得られない。
増粘剤は、JIS K7210によるMFR値(190℃、2.16kgf荷重)が0.01〜10g/10分の範囲の値を示すポリマーが好ましく、より好ましくは0.05〜5g/10分、特に好ましくは0.1〜3g/10分のMFR値を示すポリマーである。MFR値が0.01g/10分未満であると粘度が高くなりすぎて混練できなくなり、10g/10分を超えると、増粘剤の粘度が低すぎて、増粘効果が十分に得られない。
本発明に用いる増粘剤の例としては、グリシジルメタクリレート基等のエポキシ基を含有するポリマーが挙げられる。エポキシ基は反応性が高いために、樹脂混練時に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーとの反応による高分子量化が起こり、増粘効果が非常に大きい。エポキシ基を含有するポリマーの具体例としては、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)にPMMAがグラフト重合したモディパーA4200やEGMAにアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)がグラフト重合したモディパーA4400(共に、日本油脂製)が挙げられる。
増粘剤の添加量は、全熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、更に好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、最も好ましくは0.1〜5重量部である。この増粘剤の添加量が0.01重量部未満であると増粘効果が十分に得られず、20重量部を超えると粘度が高くなりすぎて混練できなくなる。
[付加的配合材;任意成分]
本発明のエンドレスベルトには、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。
具体的には、イルガノックス1010などのフェノール系酸化防止剤、イルガホス168,サンドスタブPEPQなどのリン系酸化防止剤などの酸化防止剤、熱安定剤、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤、ワックス等の各種添加剤を添加することができる。
更に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、第2,第3成分として各種熱可塑性樹脂、各種エラストマー、熱硬化性樹脂、フィラー等の配合材を配合することができる。
熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン、ポリエチレン(高密度,中密度,低密度,直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロック又はランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンスチレンブロック共重合体又は、その水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン、ポリフッ素化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等の1種又はこれらの混合物からなるものが使用できる。
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の1種又はこれらの混合物からなるものが使用できる。また、各種フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム(重質、軽質)、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラス繊維、ガラスビーズ、ベントナイト、アスベスト、中空ガラス玉、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化チタン、炭酸繊維、アルミニウム繊維、スチレンスチール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉末、木粉、もみ殻、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩等のフィラーの他、添加剤として酸化防止剤(フェノール系、硫黄系、リン酸エステル系など)、滑剤、有機・無機の各種顔料、紫外線防止剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、銅害防止剤、難燃剤、架橋剤、流れ性改良剤等を挙げることができる。
(2) エンドレスベルトの製造方法
[加熱混練及び成形]
本発明においては、前記熱可塑性ポリマー成分と酸化防止剤及びSi化合物、更に好ましくは導電性成分、或いは、好ましくはSi化合物を添着した導電性成分と、必要に応じて他の任意成分を加熱混練して熱可塑性樹脂組成物とした後にエンドレスベルトを成形する、或いは、これらを加熱混練してそのままエンドレスベルトを成形しても良い。
エンドレスベルトの製造にあたっては、熱可塑性樹脂組成物を得る段階での加熱混練か、樹脂組成物をエンドレスベルトに成形する段階での加熱混練のいずれかで、所望の表面電気抵抗率が得られるような混練条件を調節する。いずれの場合でも、溶融状態でないと十分な分散ができないので、加熱温度はある程度は高い方が好ましく、具体的には結晶性樹脂の融点を目安に用いて、結晶性樹脂の融点以上とすることが好ましく、融点+10℃以上であると更に好ましい。また、加熱温度が高すぎると熱分解を引き起こして物性劣化を招くことがあるので高すぎるのも良くはない。具体的には結晶性樹脂の融点を目安に用いて、結晶性樹脂の融点+80℃以下が好ましく、融点+60℃以下であることが更に好ましい。
また、加熱混練前には原料の乾燥をすることにより、より良い物性のエンドレスベルトを得られることがあるので乾燥は施しておいた方が好ましい。また、場合によっては、加熱混練して熱可塑性樹脂組成物とした後に、融点以下で熱処理を施してエステル結合を生成させた後、エンドレスベルトに成形することもできる。
本発明において、熱可塑性ポリマー成分として熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とを併用する場合、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とのある特定の分散状態が、エンドレスベルトの良好な導電性物質の分散と表面の適度な粗さを作りだし、トナー転写性と離形性の両方に優れたエンドレスベルトが得られると考えられる。従って、加熱混練時の温度、及び熱を受ける時間が重要となるので、得られるエンドレスベルトの分散形態を把握しつつ、加熱混練条件を設定することが望ましい。そのときにアロイ状態の指標となるのが、後述の電気抵抗率の電圧依存性特性と電気抵抗率のばらつきと表面電気抵抗率と体積電気抵抗率の比率である。
加熱混練手段にも特に制限はなく公知の技術を用いることができる。例えば、まず熱可塑性ポリマー成分、酸化防止剤と、Si化合物を添着した導電性成分、及び必要に応じて配合されるその他の添加成分を加熱混練して樹脂組成物とするのであれば、一軸押し出し機、二軸混練押し出し機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。特に、これらを例えば二軸混練押し出し機により混合し、ペレット化した後にエンドレスベルトとなるように成形する手法が特に好ましく用いられる。
成形方法については、特に限定されるものではなく、連続溶融押し出し成形法、射出成形法、ブロー成形法、或いはインフレーション成形法、遠心成形法、ゴム押し出し成形法等の公知の方法を採用してベルトを得ることができるが、特に望ましいのは、連続溶融押し出し成形法である。特に、環状ダイより押し出した溶融チューブを、冷却又は冷却固化しつつ引き取る押し出し成形法が好ましく、特にチューブの内径を高精度で制御可能な下方押し出し方式の内部冷却マンドレル方式或いはバキュームサイジング方式が好ましい。特に、内部冷却マンドレル方式がシームレスなエンドレスベルトを簡単に得ることができるため画像形成装置用エンドレスベルトの成形法としては最も好ましい。この場合、環状ダイとしては、その円周方向に複数の温度調節機構が設けられているものが好ましい。また、溶融チューブの冷却は、30〜150℃の範囲に温度調節した金型を、その内側又は外側に接触させて行うことが好ましく、このようにして、溶融チューブを円筒形状を保持したまま引き取ることが好ましい。
なお、この場合、成形材料は、溶融粘度がMFR値(240℃,2.16kgf荷重)で0.1g/10分以上であることが好ましい。成形材料の溶融粘度がMFR0.1g/分未満であると押し出し成形時の流動性が乏しく、押し出し成形しにくいことに加え、溶融樹脂に加えられる剪断応力が大きくなるため、抵抗調整しにくくなる。ただし、成形材料の溶融粘度が過度に高いと溶融張力が低く、溶融状態から冷却固化するまでの間にチューブ状態を維持することが難しいため25g/10分以下であることが好ましく、特に0.5〜20g/10分であることが好ましい。従って、このような溶融粘度が得られるように、必要に応じて粘性ポリマーにより粘度調整することが好ましい。
また、インフレーション成形法により一旦折り目有りのフィルムを作製したのち、後加工にて折り目を見かけ状無くした状態でエンドレスベルトとして用いても何ら問題はなく、帯状のシートを一旦加工した後、つないでシーム有りのエンドレスベルトとしても良い。
しかしながら引き取り手段としては、エンドレスチューブを扁平させることなく円筒状を維持したまま引き取る成形方法が好ましい。
このような成形時の温度、滞留時間等の適正化により、より良好な物性のエンドレスベルトを得ることができるので、各配合にあわせて条件を調整することが好ましい。
[熱処理]
このようにして得られたエンドレスベルトを熱処理することにより、より物性の向上したエンドレスベルトとすることが可能となる。特に、耐折れ回数、引っ張り弾性率や耐ローラーの癖つきの改善が見られる。
熱処理条件は、原料として用いた熱可塑性ポリマー成分にもよるが、通常50〜100℃の温度、好ましくは60〜90℃の温度で15分〜5時間であり、好ましくは1時間〜3時間程度である。
エンドレスベルトの熱処理は、ベルトを2本以上のローラに張架させて駆動させながら熱をかけて行っても良いし、円筒状の型にエンドレスベルトを装着して熱処理しても良い。更には、円筒状のまま熱処理をしても良い。
(3) エンドレスベルトの物性
[表面電気抵抗率と体積電気抵抗率]
本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、
印加電圧100V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(100V)、
印加電圧500V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(500V)、
印加電圧100V,10秒にて測定した時の体積電気抵抗率をVR(100V)、
印加電圧250V,10秒にて測定した時の体積電気抵抗率をVR(250V)、
としたときに、以下の式(a)、(b)及び(c)を満たすことが好ましい。
式(a):SR(100V)/SR(500V)<VR(100V)/VR(250V)
式(b):SR(100V)/SR(500V)≦30
式(c):8≦VR(100V)/VR(250V)≦100
即ち、印加電圧100〜500Vで測定された表面電気抵抗率の最大値/最小値(MAX/MIN)で表される変化率(以下「表面電気抵抗変化率」と称す場合がある。)SR(100V)/SR(500V)が30倍以下で、かつ印加電圧100〜250Vで測定された体積電気抵抗率のMAX/MINで表される変化率(以下「体積電気抵抗変化率」と称す場合がある。)VR(100V)/VR(250V)が8〜100で、表面電気抵抗変化率SR(100V)/SR(500V)と体積電気抵抗変化率VR(100V)/VR(250V)との関係が表面電気抵抗率<体積電気抵抗率、即ちSR(100V)/SR(500V)<VR(100V)/VR(250V)である。
表面電気抵抗変化率が小さい特性とは、ローラ等により印加される電圧変動に対しても均一にトナーの転写が行われる点で重要であるが、体積電気抵抗変化率が表面電気抵抗変化率よりも大きいことは、二次転写されずに残ったベルト上の帯電トナーが、自己除電されるクリーニング部材によりクリーニングしやすいといった効果と共に、二次転写時のベルト上のトナー転写効率を向上させる効果がある。
好ましい表面電気抵抗変化率SR(100V)/SR(500V)は10倍以内で、かつ体積電気抵抗変化率VR(100V)/VR(250V)との関係が、表面電気抵抗変化率の2倍が体積電気抵抗変化率以下であることが好ましい。なお、表面電気抵抗変化率の下限は特に制限はないが通常1.5程度である。
また、体積電気抵抗変化率VR(100V)/VR(250V)が大きすぎると、電圧変動により電流がリークしてしまう問題があるため、体積電気抵抗変化率VR(100V)/VR(250V)は100倍以内、好ましくは50倍以内であることが重要である。なお、体積電気抵抗変化率VR(100V)/VR(250V)の下限はベルトに自己除電機能を付与させる効果を発現させる点で8以上であり、特に10以上である。
従って、本発明の画像形成装置用ベルトは、特に下記式(a'),(b'),(c')を満たすことが好ましい。
式(a'):SR(100V)/SR(500V)×2≦VR(100V)/VR(250V)
式(b'):5≦SR(100V)/SR(500V)≦10
式(c'):10≦VR(100V)/VR(250V)≦50
なお、本発明の画像形成装置用ベルトの抵抗領域はその使用目的により異なるが、表面電気抵抗率1×10〜1×1014Ω又は体積電気抵抗率1×10〜1×1014Ω・cmの範囲から選定される。
抵抗領域の更に好ましい範囲は用途により異なるが、例えば感光体ベルトとして用いる場合には必要に応じて外表面の電荷を内表面に逃がせるように表面電気抵抗率1×10〜1×10Ω又は体積電気抵抗率1×10〜1×10Ω・cmと低い抵抗率が好ましく、中間転写ベルトとして用いる場合には帯電−転写の容易にできる表面電気抵抗率1×10〜1×1013Ω又は体積電気抵抗率1×10〜1×1013Ω・cmが好ましく、搬送転写ベルトとして用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しにくい1×1010〜1×1016Ω又は体積電気抵抗率1×1010〜1×1016Ω・cmと高い領域が好ましい。
また、エンドレスベルト1本中の表面電気抵抗率の分布は狭い方が好ましく、それぞれの好ましい表面電気抵抗率領域において、1本中の最大値と最小値の差が2桁以内であること(最大値が最小値の100倍以下であること)が好ましい。
なお、エンドレスベルトの表面電気抵抗率や体積電気抵抗率は例えばダイヤインスツルメンツ(株)製商品名「ハイレスタ」や、「ロレスタ」又はアドバンテスト(株)製商品名「R8340A」などにより容易に測定することができる。
[引張り弾性率]
本発明のエンドレスベルトの引張り弾性率は、500MPa以上3500MPa以下であることが好ましい。エンドレスベルトの引張り弾性率が低いと、例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合に張力により少し伸びが発生してしまい、色ズレなどの不具合を発生することがあり、また、引張り弾性率が高すぎる場合は、ベルトを駆動する際にモータ負荷がかかるため、厚み設定を薄くする必要が生じ、一旦ローラとベルト間にゴミが入り込んだり、感光体との摩擦による傷等が入るとクラックが入り易く、信頼性に問題があるため好ましくない。また、一次転写におけるトナーの転写効率を向上させるためには、ベルトが伸びない程度の引張り弾性率が必要であり、かつエンドレスベルトが硬くならない程度の引張り弾性率が必要である。従って、好ましい引張り弾性率の範囲は1000MPa以上3000MPa以下、特に1200MPa以上2800MPa以下である。
エンドレスベルトの引張り弾性率は、トナーの転写効率向上の観点から調整されるが、前述のようにベルト表面の化学特性(水との接触角)のトナーの転写効率向上効果、電気特性によるトナー転写効率向上効果との関係にて最も適正な範囲を決定すれば良い。
[表面粗さ(Ra)]
本発明のエンドレスベルトの表面粗さ(Ra)は0.02μm以上0.2μm以下であることが好ましい。表面粗さ(Ra)が0.02μm未満であると、トナー一次転写効率が悪化してしまう。また、0.2μmを超えるとトナーの二次転写効率が悪化する。好ましい本発明のエンドレスベルトの表面粗さ(Ra)は0.03μm以上0.15μm以下、特に0.03μm以上0.1μm以下であることが好ましい。
[表面濡れ張力(E)]
本発明のエンドレスベルトの表面濡れ張力(E)は、27dyne/cm以上35dyne/cm以下であることがトナー離型性を向上させることができるため好ましい。
表面濡れ張力(E)が27dyne/cm未満であると感光体とベルトとの摩擦がすくなりなりすぎ、トナー一次転写効率が悪くなる。一方、表面濡れ張力(E)が35dyne/cmを超えるとトナー離型性が悪くなって二次転写効率は悪化するため好ましくない。
好ましい表面濡れ張力(E)は、30dyne/cm以上35dyne/cm以下で、特に好ましい表面濡れ張力(E)は31dyne/cm以上34dyne/cm以下である。
[表面粗さ(Ra)と表面濡れ張力(E)との関係]
表面が平滑で表面粗さ(Ra)が小さければ、表面濡れ張力(E)は比較的大きくてもトナークリーニング性、トナー転写性は良好であり、言い換えると表面粗さ(Ra)が粗い場合には、表面濡れ張力(E)を小さくするとクリーニングしやすくなる。
本発明者らは、この両者の関係にはある特性があり、表面粗さ(Ra)と表面濡れ張力(E)との関係が下記一般式(1)を満たすことが好ましいことを見出した。
Ra×100<−2×E+80 …(1)
従って、本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、表面粗さ(Ra)と表面濡れ張力(E)がそれぞれ前述の範囲であり、かつ、上記(1)式を満たすことが好ましい。
[耐折回数]
本発明のエンドレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、耐屈曲性が悪いとクラックが発生して画像が得られなくなるので耐屈曲性の良好なエンドレスベルトが好ましい。
耐屈曲性の程度は、JIS P−8115の耐折回数の測定方法に従うことで定量的に評価でき、耐折回数の大きいエンドレスベルトほどクラックが入りにくく、耐屈曲性に優れていると判断することができる。
具体的な数値としては、2000回を超えていれば装置寿命の間、エンドレスベルトとして優れた機能を発揮して使用することができるが、実用的には8000回以上が好ましく、10000回以上であれば更に好ましい。
本発明によれば、熱可塑性エラストマーの添加量やアロイ化によっては、5万回以上、更には10万以上の耐折回数が得られるので、エンドレスベルトの端部からのクラックを防止するために通常用いられるクラック防止用補強テープ等の二次加工を施さなくても、十分な耐クラック性を得られることができ、好ましい。
[収縮率]
本発明のエンドレスベルトの収縮率特性としては、温度60℃湿度90%、24hr放置後の温度23℃湿度50%に対する収縮率が0.2%以下であることが好ましい。これらの条件範囲より収縮率が大きいと、エンドレスベルトを輸送、保管中に寸法変化が大きくなり使用できなくなるばかりか電気特性、機械特性も変化することがあるため好ましくない。より好ましい収縮率特性は0.1%以下であり、特に好ましいのは0.05%以下である。
[エンドレスベルトの厚み]
エンドレスベルトの厚みが過度に大きいと、ローラとの曲率が大きい場合、ベルト外側と内側の変形差が大きく、割れ易くなる。また、外側部に転写されたトナーが変形、飛散して画像が変形するようになる。一方、エンドレスベルトの厚みが過度に小さいと、わずかなローラとベルト間に入り込んだゴミ、或いは感光体等との接触による傷によりクラックが入り易く、ベルトが破損し易くなる。従って、本発明のエンドレスベルトの厚みは70〜300μmであることが好ましく、100〜200μmであれば特に好ましい。
(4) 画像形成装置用ベルトの用途
本発明の画像形成装置用ベルトの用途に特に制限はないが、寸法精度,耐屈曲性,引張り弾性率など要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材には好適に用いることができる。このエンドレスベルトをシームレスベルト形状とした場合、割れ,伸びなど不具合が少ないので好適である。
本発明の画像形成装置用エンドレスベルトは、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等の画像形成装置の、特に中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルトなどとして好適に用いることができる。
本発明のエンドレスベルトはそのままベルトとして使用しても良いし、ドラム或いはロール等に巻き付けて使用しても良い。
また、端面補強等の目的のために、このエンドレスベルトの外側及び/又は内側に、必要に応じて側縁に沿って耐熱テープ等の補強テープを貼り合わせても良い。補強テープとしては、2軸延伸ポリエステルテープがコスト、強度の点で好ましく、そのテープ幅は4mm以上20mm以下が装置レイアウト上コンパクトになり好ましい。補強テープの厚みは、20μm以上200μm以下がフレキシブルを維持するため低テンションでエンドレスベルトが駆動できる点と耐クラック発生防止の点で好ましい。
また、エンドレスベルトの蛇行防止目的で、エンドレスベルトの側縁に、ウレタンゴムやシリコンゴム等のゴム製のシート(蛇行防止ガイド)を接着剤にて張り合わせても良い。この場合、用いるゴム製シートの好ましいシート幅は2〜10mmで装置のレイアウト上及び接着強度の点より3〜8mmが特に好ましい。また、蛇行防止の観点より蛇行防止ゴムの厚みは0.5〜3mmが好ましく、特に0.7〜2mmが蛇行防止の貼り合わせの簡易さと蛇行防止効果の点より好ましい。
更には、上記補強テープと組み合わせて、補強テープをエンドレスベルトに貼り合わせた上で蛇行防止ガイドを貼り合わせた方がベルト耐クラック発生防止効果とベルト蛇行防止効果があるため好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果を示す。
〈原料〉
原料は下記のものを用い、配合割合は表1の通りとした。
(熱可塑性樹脂)
・PBT:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ノバデュラン5040ZS」
重量平均分子量=40,000
PS換算重量平均分子量=122,000
MFR(240℃、2.16kgf荷重)=4g/10分
Ti濃度 84ppm、Mg濃度 43ppm
・PC:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロンE2000」
重量平均分子量=28,000
PS換算重量平均分子量=64,000
MFR(280℃、2.16kgf荷重):4.8g/10分
(熱可塑性エラストマー)
・PEER:東洋紡積(株)製 ポリエステル−ポリエステルエラストマー「ペルプ
レンS3001」
MFR(240℃、2.16kgf荷重)=21g/10分
結晶融点=216℃
(カーボンブラック)
・カーボンブラックCB1:電気化学(株)製「デンカブラック」
DBP吸油量=180ml/100g
比表面積=65m/g
揮発分=0%
平均一次粒径=39nm
pH=9
(重合触媒)
チタニウム(IV)ブトキシド/酢酸マグネシウム
(酸化防止剤)
クラリアントジャパン(株)製 リン酸化防止剤「PEPQ」
(Si化合物)
・シリコーンゴム1:三菱レーヨン(株)製「SX005」
シリコーン主成分のアクリルシリコーン共重合体
・シリコーンゴム2:三菱レーヨン(株)製「S2001」
アクリル主成分のアクリルシリコーン共重合体
・シリコーンゴム3:三菱レーヨン(株)製「SRK200」
アクリルーシリコン等分アクリルシリコーン共重合体
・シリコーンオイル4:信越化学工業(株)製「KPN−3504」
官能基当量=2900g/mol
平均分子量=2900
・シリコーンオイル5:東レダウコーニング(株)製「SH200」
官能基当量=5000以上
平均分子量=4400
・シリコーンレジン6:東芝シリコーン(株)製「トスパール120」
平均粒子径=2μm
なお、熱可塑性ポリマー成分についてDSC測定により求めた融点は、表1に示す通りであった。
<加熱混練>
各原料を、二軸混練押し出し機(IKG(株)製「PMT32」)を用いて材料をペレット化した。混練条件は、シリンダー温度260℃を基本としたが、途中溶融樹脂の温度が上昇するニーディング部のシリンダー温度を230℃から250℃に設定すること以外は220℃から270℃の範囲で調整した。
<エンドレスベルトの成形方法>
この材料ペレットを乾燥し、直径φ190mm、ダイスリップ幅1.3mmの6条スパイラル型環状ダイ付き40mmφの押し出し機(環状ダイの円周方向に16個の温度調節機構を有する。)により、環状ダイ下方に溶融チューブ状態で押し出し、押し出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した外径184mmの冷却マンドレルの外表面(温度90℃)に接しめて冷却固化させつつ、次に、シームレスベルトの中に設置されている円筒形の中子と外側に設置されている4点式ベルト式引取機により、シームレスベルトを円筒形を保持した状態で引き取りつつ300mm長の長さで輪切りにして、厚み140μm、表面電気抵抗率1×1010〜1×1011Ωとなるようとなるよう押し出し量と引取速度、押し出し温度を調整しつつ、内径184mmのシームレスベルトとした。押し出し条件は、シリンダー、ダイス温度をいずれも260℃を基本条件とした。
<評価>
評価は必要に応じ、エンドレスベルトを必要な大きさに切り開いて実施し、結果を表1に示した。
・表面電気抵抗率
ダイヤインスツルメント(株)製 商品名「ハイレスタ(UR端子)」を使用し、500V、10秒の条件にて20mmピッチにてベルト円周方向を測定した。
・体積電気抵抗率
ダイヤインスツルメント(株)製 商品名「ハイレスタ(UR端子)」を使用し、500V、10秒の条件にて20mmピッチにてベルト円周方向を測定した。
・引張り弾性率
ISO R1184−1970に準拠し、試験片を幅15mm、長さ150mmに切断し、引張速度1mm/min、つかみ具間距離100mmとして測定した。
・耐折れ回数
JIS P−8115に準拠し、試験片を幅15mm、長さ100mmの大きさに切断し、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回転角度135°左右、引張荷重1.0kgfの条件にて、折り曲げ治具の先端部の曲率半径をR=0.38mmとして破壊に至る折り曲げ回数を測定した。
耐折れ性の合否判定基準としては、2万回以上を◎、1万回以上2万回未満を○、1000回以上1万回未満を△、1000回未満を×とした。
・表面濡れ張力(E)
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液からなる和光純薬紗製の濡れ試験用試薬を用い、JISK6768−1995にもとづき、エンドレスベルトの外表面の表面濡れ張力(E)を測定した。
具体的には、各種濡れ試験用試薬を綿棒を用いてベルト表面に塗り(約6cm2を0.5秒)、塗布2秒後のベルト表面を観察し、濡れているか濡れていないかを調べる。2秒間濡らすのに最も近い標準液をみつけ、その濡れ張力をもってベルトの表面濡れ張力(E)とした。
尚、数値が低いほどベルトの表面エネルギーが小さいことを示す。
・表面粗さ(Ra)
エンドレスベルト外側表面を約50mm×50mmのサンプルにカットし、(株)キーエンス製超深度形状測定顕微鏡商品名「VK8500」を用い、レンズ100倍、ピッチ0.01μm、シャッタースピードAUTO、ゲイン835の測定条件にて40μm×40μmのエリアの表面粗さを4点測定し、その平均値を表面粗さの測定値とした。
・クリーニング性評価
リコー社製中間転写タンデム機「CX3000」の転写ベルトユニットに、転写ベルトを装着し、クリーニングブレードをつけ、廃トナーをベルト表面に接触するような状態にして、から回し試験を実施し、ベルト10回転後にトナーがブレードにクリーニングされずにスジ状に残る本数を数え、これが3箇所以下であれば◎、4箇所以上5箇所以下であれば○、6箇所以上10箇所以下であれば△とし、11箇所以上の場合は×とした。
<各実施例及び比較例の仕様>
(実施例)
実施例1:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物1のシリコンアクリルゴム「SX005」を2重量部、酸化防止剤を0.3重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例2:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物2のシリコンアクリルゴム「S2001」を5重量部、酸化防止剤を0.3重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例3:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物1のシリコンアクリルゴム「SX005」を5重量部、酸化防止剤を0.3重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例4:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物3のシリコンアクリルゴム「SRK200」を5重量部、酸化防止剤を0.3重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例5:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物1のシリコンアクリルゴム「SX005」を10重量部、酸化防止剤を1重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例6:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物2のシリコンアクリルゴム「S2001」を10重量部、酸化防止剤を1重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例7:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物3のシリコンアクリルゴム「SRK200」を10重量部、酸化防止剤を1重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例8:PBTを40重量%、PCを60重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物1のシリコンアクリルゴム「SX005」を5重量部、酸化防止剤を1重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例9:PBTを40重量%、PCを60重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物2のシリコンアクリルゴム「S2001」を10重量部、酸化防止剤を1重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例10:PBTを40重量%、PCを60重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、Si化合物3のシリコンアクリルゴム「SRK200」を10重量部、酸化防止剤を1重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
実施例11:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物4のシリコーンオイル「KPN−3504」をカーボンブラックCB1に対し2.5重量%処理し、常温で24時間以上乾燥したものを、熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、13.83重量部配合した。シリコーンオイルの配合量は、熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、0.33重量部、カーボンブラックの配合量は熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、13.5重量部。
実施例12:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物5のシリコーンオイル「SH200」をカーボンブラックCB1に対し2.5重量%処理し、常温で24時間以上乾燥させたものを、熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、13.83重量部配合した。シリコーンオイルの配合量は、熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、0.33重量部、カーボンブラックの配合量は熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、13.5重量部。
実施例13:PBTを70重量%、PEERを30重量%で配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、Si化合物6のシリコーンレジン「トスパール120」を2重量部、酸化防止剤を0.3重量部、カーボンブラックを13.5重量部配合した。
(比較例)
比較例1:Si化合物を配合しないこと以外は実施例1から4と同一配合とし、Si化合物と酸化防止剤との比を0となるようにした。
比較例2:Si化合物を配合しないこと以外は実施例5から7と同一配合とし、Si化合物と酸化防止剤との比を0となるようにした。
比較例3:Si化合物を配合しないこと以外は実施例8から10と同一配合とし、Si化合物と酸化防止剤との比を0となるようにした。
比較例4:酸化防止剤を0.05重量部と極端に少なく配合し、Si化合物1のシリコンアクリルゴム「SX005」を10重量部配合し、Si化合物と酸化防止剤との比を200となるようにした。
Figure 2008180984
Figure 2008180984
表1,2より次のことが明らかである。
いずれの実施例のエンドレスベルトも耐クラック性、クリーニング性は問題なく、実用レベルであった。
比較例1と実施例1〜4とを比較すると、何れの実施例のエンドレスベルトも、比較例1より耐クラック性が向上していることがわかる。つまり、カーボンブラックと熱可塑性ポリマーへの相互からみあい作用が働いていると考えられる。また、カーボンブラック配合濃度を変更することなくほぼ同じ電気抵抗値を示していることからカーボンブラック分散性向上への寄与は少ないと考えられる。また、Si化合物の配合により表面粗さが大きくなったが、表面濡れ張力が低下していることからクリーニング性は向上した。
比較例2と実施例5〜7とを比較すると、何れの実施例のエンドレスベルトも、比較例2より耐クラック性が向上していることがわかる。つまり、カーボンブラックと熱可塑性ポリマーへの相互からみあい作用が働いていると考えられる。また、カーボンブラック配合濃度を変更することなくほぼ同じ電気抵抗値を示していることからカーボンブラック分散性向上への寄与は少ないと考えられる。また、Si化合物の配合により表面粗さが大きくなったが、表面濡れ張力が低下していることからクリーニング性は向上した。
比較例3と実施例8〜10とを比較すると、何れの実施例のエンドレスベルトも、比較例3より耐クラック性が向上していることがわかる。つまり、カーボンブラックと熱可塑性ポリマーへの相互からみあい作用が働いていると考えられる。また、カーボンブラック配合濃度を変更することなくほぼ同じ電気抵抗値を示していることからカーボンブラック分散性向上への寄与は少ないと考えられる。また、Si化合物の配合により表面粗さが大きくなったが、表面濡れ張力が低下していることからクリーニング性は向上した。
比較例4と実施例1〜7、11〜13とを比較すると、比較例4では、酸化防止剤が少ない中でSi化合物の配合量が多いためか、表面粗さが大きくなり、クリーニング性に問題があった。
以上の結果から、熱可塑性ポリマー成分に、酸化防止剤と共にSi化合物の所定量を配合することにより、好ましくは、シリコーンオイルをカーボンブラックに予め添着して配合するか、シリコーンゴムを配合することにより、クリーニング性のよい高画質対応で高耐久性の画像形成装置用エンドレスベルトを提供することができることが分かる。
一般的な中間転写装置の側面図である。
符号の説明
1 感光ドラム
2 帯電器
3 露光光学系
4 現像器
5 クリーナー
6 導電性エンドレスベルト
7,8,9 搬送ローラ

Claims (18)

  1. 画像形成装置に用いられるエンドレスベルトであって、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーよりなる熱可塑性ポリマー成分を主成分とする成形材料よりなるエンドレスベルトにおいて、該成形材料が、酸化防止剤成分とシリコーン成分及び/又はシラン化合物(以下、これらを「Si化合物」と称す。)とを含有し、Si化合物の含有量が、前記熱可塑性ポリマー成分100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であり、酸化防止剤成分の含有量に対するSi化合物の含有量の割合が0.05以上200未満であることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  2. 請求項1において、エンドレスベルトの外側表面のRaで表される表面粗さ(Ra)が0.02μm以上0.2μm以下で、表面濡れ張力(E)が27dyne/cm以上35dyn/cm以下であり、表面粗さ(Ra)と表面濡れ張力(E)との関係が下記(1)式を満たすことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
    Ra×100<−2×E+80 …(1)
  3. 請求項1または2において、前記Si化合物がシリコーンゴムであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  4. 請求項3において、前記シリコーンゴムがアクリル成分を含有することを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  5. 請求項1又は2において、前記Si化合物が、シリコーンオイルであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記成形材料が導電性成分を含むことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  7. 請求項6において、前記Si化合物が、熱可塑性ポリマー成分と混合されて成形材料とされる前に、予め前記導電性成分に添着されていることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  8. 請求項6又は7において、前記導電性成分がカーボンブラックであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  9. 請求項8において、前記Si化合物がシリコーンオイルであり、カーボンブラックに重量換算で1%以上20%以下の割合で添着されていることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  10. 請求項6ないし9のいずれか1項において、前記熱可塑性ポリマー成分とSi化合物と導電性成分とを加熱混練して前記成形材料を得、該成形材料を加熱押し出し成形することにより得られたことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  11. 請求項10において、前記成形材料を環状ダイから加熱押し出した溶融チューブを冷却固化または冷却固化しつつ引き取ることにより成形されてなることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項において、前記熱可塑性ポリマー成分が、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂とを重量比で、熱可塑性エラストマー/熱可塑性樹脂=5/95〜95/5の割合で含むことを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項において、熱可塑性エラストマーがポリエステル系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  14. 請求項1ないし13のいずれか1項において、熱可塑性樹脂がポリアルキレンテレフタレートを主成分とすることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  15. 請求項14において、ポリアルキレンテレフタレートがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  16. 請求項1ないし15のいずれか1項において、耐折回数が2000回以上、引張り弾性率が500MPa以上3500MPa以下であることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  17. 請求項1ないし16のいずれか1項において、シームレス状の中間転写ベルト、搬送転写ベルト、転写定着ベルト、定着ベルト、感光体ベルト、又は現像スリープであることを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルト。
  18. 請求項1ないし17のいずれか1項に記載の画像形成装置用エンドレスベルトを含むことを特徴とする画像形成装置。
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