JPWO2002022847A1 - 精製アントシアニンの製造法および結晶性アントシアニン - Google Patents
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Abstract
ラムノシダーゼを用いて、アントシアニジンルチノシドのラムノース末端を切断し、アントシアニジンルチノシド成分をアントシアニジングルコシドに変換させた後、アントシアニジングルコシド成分を精製して単離することを特徴とする精製アントシアニジングルコシドの製造法、あるいはこの精製アントシアニジングルコシドをさらに結晶化して得られる結晶性アントシアニジングルコシド塩およびその製造方法を提供する。また、β−グルコシダーゼを用いて、アントシアニジングルコシドのグルコース末端を切断し、分解除去した後に、アントシアニジンルチノシド成分を精製して単離することを特徴とする精製アントシアニジンルチノシドの製造法、あるいはこの精製アントシアニジンルチノシドをさらに結晶化して得られる結晶性アントシアニジンルチノシド塩およびその製造方法を提供する。
Description
技術分野
本発明は、天然物由来のアントシアニンから精製アントシアニンを製造する方法および精製アントシアニンをさらに結晶化して結晶性アントシアニンを製造する方法、ならびに該製造法で調製される結晶性アントシアニンに関する。
さらに詳しくは、アントシアニン類を構成するアントシアニジンルチノシドまたはアントシアニジングルコシドを酵素的に変換または除去して、アントシアニジンルチノシドまたはアントシアニジングルコシドをより減少させることにより、以降の精製・結晶化工程を容易にすることを特徴とする方法である。
背景技術
アントシアンとは、下記の式(I)に示される骨格を有するアントシアニジンとそれに糖が結合して配糖体となったアントシアニンとの総称である。
アグリコンであるアントシアニジンとしては、例えばデルフィニジン(Delphinidin)、シアニジン(Cyanidin)、マルビジン(Malvidin)、ペラルゴニジン(Pelargonidin)、ペオニジン(Peonidin)、ペチュニジン(Petunidin)などがある。アントシアニンは例えば、上記アントシアニジンにグルコースが配糖体として結合している場合はアントシアニジングルコシドと呼ぶ。また、アントシアニンに見いだされる糖としては単糖類であるグルコース以外に、ガラクトース、アラビノースや2糖類であるルチノース、ソフォロースなどがある。
アントシアン類は自然界に幅広く存在し、主に天然系色素として食品、あるいはその機能性から欧州では、医薬品、医薬部外品、化粧品などに幅広く使用されている。例えば特公昭59−53883号に記載されるような瘢痕形成剤としての利用、あるいは、特開平3−81220号公報に記載されるようなブルーベリー由来のアントシアニンを用いた末梢血管の疾病治療について価値ある薬理学的性質が見出されている。昨今日本国内でもアントシアニンの色素以外の利用法としてアントシアニンの機能性に注目が集まってきている。本発明者らも、カシス(英名Blackcurrant,和名黒フサスグリ)のアントシアニンにいくつかの有用な効能を見出し、報告(WO01/01798)している。
しかし、薬理学的性質を持つこれらアントシアニンを医薬品などとして用いる場合には、高純度に精製されたものが求められるのに対して、高純度に精製された精製アントシアニンが大量に製造された例は過去になかった。また高純度アントシアニンは安定性・吸湿性などの面から好ましくは結晶製品が求められるが、結晶性アントシアニンが大量に製造された例も過去に無かった。
また、従来の医薬品用のアントシアニン組成物は主にブルーベリー由来の製剤であるが、アントシアニン含有量が25重量%以下であり、有効性を発揮するためにはアントシアニン製剤として少なくとも1回当たり数百mgも投与しなくてはならず、少量の摂取で薬理学的な効果を出すことは事実上不可能であり、高純度の精製アントシアニンを含有したアントシアニン高含有組成物が求められていた。
高純度の精製アントシアニンが存在しなかった理由は、ブルーベリー由来のアントシアニンを例に取るとアントシアニン成分が15種も存在しており、それらの物質の物理化学的性質が非常に似ているために分取用カラムなどによる精製においてそれぞれの流出ピークが重なってしまうことや、また、それぞれの成分が非常に少量であるために分離精製が不可能であったためである。
また、カシス由来のアントシアニンを例にあげると、シアニジン−3−O−グルコシド(以下C3Gと略記する。)、シアニジン−3−O−ルチノシド(以下C3Rと略記する。)、デルフィニジン−3−O−グルコシド(以下D3Gと略記する。)およびデルフィニジン−3−O−ルチノシド(以下D3Rと略記する。)の4成分がアントシアニン類として含まれているが、ブルーベリー由来のアントシアニンと同様に該4物質の物理化学的性質が非常に似ているために、これら4成分の混合物であってもクロマトピークが接近しており、分取用クロマトグラフィーや遠心分配クロマトグラフィーを用いて精製アントシアニンを得ようとしても極端な収率の低下を伴うため大量調製は不可能であった。また、カシス中の代表的なアントシアニン類の量比はD3G,D3R,C3G及びC3Rがそれぞれ、12.5%、47.9%、4.1%及び35.5%であり、含有量の低いD3G,C3G成分を大量精製するのは更に困難であり、精製アントシアニンを大量に製造する方法が求められていた。
一方、従来からアントシアンは安定性に問題のあることが判っており、本発明者らは、アントシアニン高含有物の安定化剤としてフィチン酸、糖類、糖アルコール類を添加することによる安定化法を特許出願(PCT/JP00/09204)している。しかし、アントシアニンを高含有量で使用して製剤化する時には、このような添加物を入れる余地がないために、さらに安定性の高い物性が要請されており、より物理的に安定な結晶形態のアントシアニンを使用した製剤が求められていた。そのため、従来医薬品用途として高純度アントシアニンは、例えば特許第3030509号に記載のデルフィニジン塩酸塩(配糖体ではなくアグリコンのアントシアニジン塩酸塩)の合成法などにより、いくつもの段階を経て有機合成されていたが、天然物から大量に調製された例はなかった。
また、合成法によって製造されたアントシアニジン塩酸塩は、強酸性条件下では安定であるが、弱酸性から中性領域では配糖体に比べ分解されやすいことが判明しており、その応用範囲は甚だ狭いものになっていた。従って、酸性から中性領域でより安定なアントシアニンを結晶として調製することが求められていたが、有機合成法によりアントシアニンを大量に調製することは現状ではできていない。
アントシアニン類の特性は、Dictionary of natural products(Chapman & HALL社刊,1994,London)に列記されている。例を挙げて引用すると、D3Rの結晶は従来報告されておらず、D3G塩酸塩の結晶形に関する報告はあるが融点の記載はなく大量に調製することが難しかったことがわかる。同様にC3R塩酸塩については、融点、結晶形共に記載があるが、C3G塩酸塩では融点の記載はなく大量に調製することが難しかったことがわかる。従来までは、結晶、非結晶を問わず精製されたアントシアニンが、微量にしか調製できなかったため、各種酵素のアントシアニンへの反応性を調べた研究はほとんどなかった。特に、ラムノシダーゼのアントシアニンに対する反応性を述べたものは皆無であった。以上のことより、煩雑な合成法を用いずに高純度の精製アントシアニンを天然物より大量に製造する方法が求められ、さらに精製アントシアニンを結晶化した結晶性アントシアニン塩を大量に製造する方法が求められていた。
発明の開示
本発明はラムノシダーゼを用いて、アントシアニジンルチノシドのラムノース末端を切断し、アントシアニジンルチノシド成分をアントシアニジングルコシドに変換させた後、アントシアニジングルコシド成分を精製して単離することを特徴とする精製アントシアニンの製造法、あるいはこの精製アントシアニンをさらに結晶化して、結晶性アントシアニジングルコシド塩・水和物を製造する方法に関する。
また別の本発明は、β−グルコシダーゼを用いて、アントシアニジングルコシドのグルコース末端を切断し、分解除去した後に、アントシアニジンルチノシド成分を精製して単離することを特徴とする精製アントシアニンの製造法、あるいはこの精製アントシアニンをさらに結晶化して、結晶性アントシアニジンルチノシド塩・水和物を製造する方法に関する。
さらにまた別の本発明は、これらの製造法を用いて調製された結晶性アントシアニン塩・水和物に関するものである。
本発明を具体的に説明すると、第1発明は少なくとも1種以上のアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にラムノシダーゼを作用させ、アントシアニジンルチノシドを加水分解することによりアントシアニジングルコシドに変換させた後、アントシアニジングルコシドを単離し、精製することを特徴とする、精製アントシアニジングルコシドを製造する方法を提供する。
第2の発明は少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドとアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にβ−グルコシダーゼを作用させ、アントシアニジングルコシドを加水分解し、アントシアニジングルコシドを減じせしめた後、アントシアニジンルチノシドを単離し、精製することを特徴とする、精製アントシアニジンルチノシドを製造する方法を提供する。
上記の第1及び第2の発明において、アントシアニン組成物としてはカシス、イチジク、コーヒー、バナナ、ブラックベリーなどから選択される一種以上の果実から得られる果汁および/またはアメリカマコモ、サトイモなどから得られるアントシアニン濃縮物が挙げられる。ラムノシダーゼとしてはヘスペリジナーゼ、ナリンジナーゼ等が挙げられる。また、β−グルコシダーゼとしてはアントシアニジンルチノシドのβ−グルコシド結合は分解せずに、アントシアニジングルコシドのβ−グルコシド結合のみを選択的に分解できる酵素であり、その具体例としてはアーモンド由来のものが挙げられる。
第3の発明は下記の工程を経て結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物を製造する方法を提供する。
a)少なくとも1種以上のアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にラムノシダーゼを作用させ、アントシアニジンルチノシドを加水分解することによりアントシアニジングルコシドに変換する。
b)該アントシアニジングルコシドを精製することにより純度99%以上のアントシアニジングルコシドを得る。
c)該アントシアニジングルコシドを塩酸/アルコール系の混合溶媒を用いて結晶化する。
第4の発明は上記第3の発明の方法により得られる結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物を提供する。
第5の発明は下記の工程を経て結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物を製造する方法を提供する。
a)少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドとアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にβ−グルコシダーゼを作用させ、アントシアニジングルコシドを加水分解することによりアントシアニジングルコシドを減じせしめる。
b)該アントシアニジンルチノシドを精製することにより純度99%以上のアントシアニジンルチノシドを得る。
c)該アントシアニジンルチノシドを塩酸/アルコール系の混合溶媒を用いて結晶化する。
第6の発明は上記第5の発明の方法により得られる結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物を提供する。
上記の第3及び第5の発明において、b)工程の精製法としてはイオン交換吸着クロマトグラフィーおよび/またはHPLCを用いることができ、c)工程の塩酸/アルコール系の混合溶媒としては5%(V/V)塩酸/95%(V/V)メタノールをもちいることがでできる。
第7の発明は下記の物理的性質を有する結晶性デルフィニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・0.5水和物を提供する。
熱分析による融点:258℃
Uvλmax(ε):517nm(27500)
FAB−MS m/z:M+:465
組成式:C21H21O12Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.00 4.50 6.80
第8の発明は下記の物理的性質を有する結晶性シアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・0.5水和物を提供する。
熱分析による融点:245℃
Uvλmax(ε):510nm(26300)
FAB−MS m/z:M+:449
組成式:C21H21O11Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.80 4.70 6.90
第9の発明は下記の物理的性質を有する結晶性デルフィニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・1.5水和物。
熱分析による融点:224℃
Uvλmax(ε):520nm(27800)
FAB−MS m/z:M+:611
組成式:C27H31O16Cl・1.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 45.80 5.30 5.20
第10の発明は下記の物理的性質を有する結晶性シアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・0.5水和物を提供する。
熱分析による融点:214〜226℃
Uvλmax(ε):512nm(27400)
FAB−MS m/z:M+:595
組成式:C27H31O15Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 50.00 5.30 5.30
本明細書においてアントシアニンとは、アグリコンであるアントシアニジンに糖類が結合した配糖体のことを示し、グルコース、ルチノース、アラビノース、ガラクトースなどの糖類が結合したグルコシド、ルチノシド、アラビノシド、ガラクトシドなどを含む。
本発明において酵素反応に用いられる少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドおよび/またはアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物としては、アントシアニンを含むいかなるものでもよく、市販の果汁、濃縮ジュース、飲料、色素溶液、あるいは食品医薬品などの原料となる粉末などがあげられる。濃縮ジュースとして好ましくは、カシス、イチジク、コーヒー、バナナ、ブラックベリーなどから選択される一種以上の果実から得られる果汁および/またはアメリカマコモ、サトイモなどから得られるアントシアニン濃縮物がよい。また、該粉末を水や緩衝液などに溶解してから、反応に用いる。より好ましくは、本発明者らがWO01/01798に報告した方法で調製したアントシアニン高含有組成物を用いるのがよく、事前に酸類・糖類・ポリフェノール類などが除去されているので、酵素反応後の精製工程において操作が容易になる。
本発明の精製アントシアニンの製造法におけるアントシアニンのアグリコンの種類は、特に限定はしない。好ましくはカシス由来のアントシアニン類およびその塩がよい。カシス由来のアントシアニンのアグリコン部分は、デルフィニジンとシアニジンのみであるが、酵素反応では、特にこの2種類のアントシアニジンにおける特異性があるとは考えられず、他のアントシアニジンの配糖体、例えば、式(I)に示されるマルビジン、ペラルゴニジン、ペチュニジン、ペオニジンなどの配糖体にも応用可能である。なお、カシス由来のアントシアニン成分の組成は、シアニジン−3−O−グルコシド(C3G)、シアニジン−3−O−ルチノシド(C3R)、デルフィニジン−3−O−グルコシド(D3G)、デルフィニジン−3−O−ルチノシド(D3R)の4成分からなっている。
また、結晶性アントシアニン塩を構成する塩の種類は、塩酸、硫酸などの鉱酸、リン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、酢酸などの有機酸の塩(フラビニウム塩)が含まれるが、結晶のしやすさなどから、塩酸、TFA、リン酸との塩が好ましい。
本発明に用いられるラムノシダーゼとしては、動物、植物、微生物など特に起源は問わないが、作用機作としてアントシアニン末端のα−ラムノシダーゼ活性をもつものであればよいが、この際に注意しなくてはならないのはβ−グルコシダーゼ活性が低いことが重要である。さらには、アントシアニンは、中性から塩基性領域に長時間放置すると分解することが知られており、さらに加温により分解が促進されることが知られている。よって、pH4.0以下、温度40℃以下で高い活性を持つことが必要である。好ましくは、ヘスペリジナーゼまたはナリンジナーゼがあげられ、より好ましくは、ヘスペリジナーゼがあげられる。ヘスペリジナーゼは、温州みかんの白濁成分であるヘスペリジンを分解することを目的として工業的に生産されているAspergillus niger由来のものがあげられる。なお、これまでAspergillus niger由来のヘスペリジナーゼのアントシアニンに対する反応作用は知られていなかった。ナリンジナーゼも落果みかんや夏みかんなどの苦味成分であるナリンジンを分解して呈味改善などに用いられているAspergillus niger由来のものなどがあげられる。なお、Aspergillus niger由来のナリンジナーゼのアントシアニンに対しての応用は報告されていなかった。
本発明に用いられるβ−グルコシダーゼとしては、特にその起源は問わないが、アントシアニンに対して反応しなくてはならないのは当然のこととして、アントシアニジンルチノシドのβ−グルコシド結合を分解せず、アントシアニジングルコシドのβ−グルコシド結合のみを分解する基質特異性が必要である。つまり、末端のグルコースにのみ反応し、分子内の中央部のグルコースには反応しないものが適している。また、ラムノシダーゼと同様にpH4.0以下、温度40℃以下で高い活性を持つことが必要である。好ましくは、アーモンド由来のβ−グルコシダーゼがあげられる。なお、アーモンド由来のβ−グルコシダーゼは、代表的なβ−グルコシダーゼであるが、アントシアニンに対する反応性を調べた研究は存在しなかった。
β−グルコシダーゼのアントシアニンに対する反応処理の例としては、従来からブドウ汁、ピーチネクター等の果汁工業やワイン、シャンパンなどを含むスパークリングワインなどのワイン工業でβ−グルコシダーゼの一種であるアントシアナーゼを脱色、脱苦味に用いていることがあげられる。しかし、アントシアナーゼは、アントシアニンのグルコシドとルチノシド双方に反応し、分解してしまうために、精製アントシアニンの製造には不向きである。
これらの酵素をアントシアニンに作用させる反応条件は、とくに限定はしないが上記のようにアントシアニンは、中性から塩基性領域に長時間放置すると分解することが知られており、さらに高温により分解が促進されることが知られているため、酸性領域が好ましく、高温で反応させないことが好ましい。具体的には、pH4.0以下、温度40℃以下で反応させるのが最も好ましいと考えられる。
酵素反応に用いるアントシアニン含有物中の基質の濃度は、特に限定されないが、極端に高濃度であると、反応液の粘性が増大し反応速度が落ち、また反応液中に存在する物質による阻害反応や、基質に対する転移反応などが心配されるため、基質濃度として10(w/v)%以下が好ましく、より好ましくは5(w/v)%以下である。また、酵素の添加量は、反応時間との関連で特に限定するものではない。
ラムノシダーゼまたはβ−グルコシダーゼによる酵素反応によってアントシアニン含有物における基質、すなわち、アントシアニジンルチノシドまたはアントシアニジングルコシドの含有量を減じせしめた後の酵素反応の停止法としては、通常用いられる方法である、加熱する温度上昇法、酸アルカリなどを加えるpH調整法、有機溶媒添加法などが可能であるが、上記のようにアントシアニン類は中性から塩基性領域では不安定であり、加熱によって分解が促進されるため、好ましくは、塩酸、TFA、リン酸などの強酸の添加によるpH低下法、あるいはメタノールなどの有機溶媒添加法による酵素反応停止が望ましい。
本発明において、酵素反応終了後の精製方法は、カラムクロマトグラフ法以外にも、必要に応じて他のクロマトグラフ法、樹脂吸着法や膜分離法などを適宜組み合わせて行うことが可能である。中でも、ODSシリカゲルを用いたクロマトグラフ法が最も好ましい。また、必要に応じて予め陽イオン交換樹脂などにアントシアニン成分を吸着させた後、溶出させることにより、予備精製を行ったものを同様に精製してもよい。
本明細書においてアントシアニン含有量は、PCT/JP00/09204またはWO01/01798に記載してあると同様に、含まれるアントシアニンの各成分の含有量を合計したものであり、HPLCによるアントシアニンのピーク面積比によって算出する。
すなわち、最初に、重量既知のアントシアニン標品をHPLCで分析し、520nmにおけるピーク面積から検量線を作成し、各アントシアニン成分の含量を求める。さらに、各成分の含量をピーク面積で除した応答係数、即ちmg/ピーク面積を得る。次に、アントシアニン含有サンプルをHPLC分析し、それぞれの成分のピーク面積に標品から求めた応答係数を乗じて、それぞれの成分含有量を計算し、注入量との比からアントシアニン純度を重量(w/w)%として求める。そのため、アントシアニンの純度はアグリコンであるアントシアニジンの量だけでなく、結合している糖の量も含むものとして算出される。本発明の精製アントシアニンの純度は、HPLC分析によれば純度99%以上である。
本発明における結晶化方法は、主に有機溶媒からの結晶化が好ましく、メタノールを結晶化溶媒とするのが好ましい。この際に、アントシアニン類は、酸との塩を作って結晶となるため、結晶化溶媒中に酸を添加しておくことが好ましく、1%〜5%(V/V)程度の塩酸、TFA、リン酸などを添加しておくことが好ましい。
後記の実施例1または3で調製された結晶D3G、結晶D3R、結晶C3G、結晶C3Rの熱分析を行ったところ、以下のような結果となった。
D3Gの融点は258℃であり、D3Rの融点は224℃であり、C3Gの融点は245℃であり、C3Rの融点は214〜226℃である。
本発明の結晶性アントシアニン塩は、偏光顕微鏡観察、元素分析、融点測定、HPLC分析により99%以上の純度を有する結晶であり、吸湿性もなく融点も200℃以上で大変安定な物質である。
従来は高純度の精製アントシアニンや結晶性アントシアニン塩を製造することはできなかったが、本発明の製造法を用いることにより、天然物から精製する形で高純度の精製アントシアニンならびに結晶性アントシアニン塩を製造することができた。このようにして製造された結晶性アントシアニン塩は吸湿性を示さず、安定な性状であった。
発明を実施するための最良の形態
本発明を以下の実施例、参考例および比較例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
参考例1 アントシアニン高含有組成物の調製
WO01/01798に記載される方法に従ってアントシアニン高含有組成物を調製した。すなわち、市販のカシス濃縮果汁3Kg(固形分当たりのアントシアニン純度2.8%)を水で希釈し、Bx.10の濃度に調製した。この希釈果汁を濾紙で濾過して異物を除去した後、日東電工社製の膜分離装置(NTR−7410)を用い、膜分離を行った。膜分離により得られた濃縮液をスプレードライすることにより粉末状のアントシアニン高含有組成物を得た。本組成物のアントシアニン純度は固形分当たり14.1%であった。本組成物は、室温に放置しておくと吸湿性を有した。
実施例1 ヘスペリジナーゼを用いた精製デルフィニジン−3−O−グルコシドと精製シアニジン−3−O−グルコシドの製造
参考例1で得られた粉末40g(アントシアニン純度は14.1%であり、アントシアニンの各成分割合は、D3G,D3R,C3G及びC3Rはそれぞれ、12.5%、47.9%、4.1%及び35.5%である。)を50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解してアントシアニン基質溶液とした。なお、基質溶液中のアントシアニンの含有量は計算では5.64gであり、D3G,D3R,C3G及びC3Rの含有量はそれぞれ0.71g、2.70g、0.23g及び2.00gとなる。
別途、田辺製薬社製ヘスペリジナーゼ(商品名ヘスペリジナーゼ田辺二号)79.35gを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解しておき、酵素溶液とした。(ラムノシダーゼ活性42.5U/mlに相当する)
基質溶液と酵素溶液をそれぞれ40℃に加温した後、混合し反応を開始した。反応は40℃で6時間行い、3%(W/V)リン酸溶液2Lを加え反応を停止させた。続いてイオン交換樹脂XAD−7(ロームアンドハース社製)4Lをカラム(内径13cm X 長さ 30cm)に充填し、その反応混合液(4L)を通液させ、アントシアニン成分を吸着させた。次に、0.1%(W/V)TFA(2L)を通液し非吸着成分を洗浄した。さらに、0.1%TFAを含む80%(V/V)メタノール水溶液を通液し、吸着成分を溶出した。このメタノール溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度として10%(W/V)になるように3%リン酸水溶液に転溶することにより濃縮液を得た。
本濃縮液をODS−120Tシリカゲルカラムを用い(東ソー社製、ID5.5×30cm,20μm)、0.1%TFAを含む9%(V/V)アセトニトリル水溶液で流速80ml/分で520nmの波長で検出し、R.T.(Retention Time)が66−90分のD3G画分と158−200分のC3G画分を得た。これらの画分は、HPLC分析により単一ピークであり、純度99%以上の精製デルフィニジン−3−O−グルコシドと精製シアニジン−3−O−グルコシドを調製することが出来た。
なお、純度測定のHPLC分析条件は以下の通りである。即ち、ヒューレットパッカードシリーズ1100(横川アナリチカルシステムズ社製)HPLCシステムを用いて以下のようなグラジエント条件で分析を実施した。
HPLCグラジエント条件:
時間(分) A液(0.5%リン酸水溶液) B液(メタノール)
0 80 20
15 77 23
20 77 23
30 50 50
40 50 50
カラムは、ヒューレットパッカード社製Zorbax SB−C18,4.6mm×250mm,5μmを用いた。流速は1ml/min、検出は波長520nmで測定した。標品のD3GおよびC3GのR.T.はそれぞれ、10.54分、14.60分であった。
また、酵素反応前の基質溶液と酵素反応を停止させた溶液の一部を採取し、孔径0.45μmのマイクロフィルターで異物を除去してアントシアニジングルコシド液を調製した。反応前と反応後のアントシアニン成分の含有量を測定した。結果は表1に示したとおりである。基質溶液中のアントシアニジンルチノシドが分解されてアントシアニジングルコシドが生成し、アントシアニジングルコシドのみの組成となっていることが示されている。しかも、反応前と比べてD3Gで3.36倍、C3Gで6.78倍に増加していることが示されている。
実施例2 結晶性デルフィニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物と結晶性シアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物の製造
実施例1で得られたD3G画分とC3G画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、30mlのヘプタンを加え再度濃縮乾固し、分離操作中に混入するTFAを除去した。重量測定したところ、得られたD3G画分は1.51gであり、C3G画分は0.98gであった。
上記のD3G画分及びC3G画分をそれぞれ別個に5%塩酸/95%メタノールに溶解後、5℃で24時間静置し結晶化を行った。桐山ロートとWhatman社製NO.2の濾紙を用いて固液分離を行い、さらに少量のアセトンで洗浄後乾燥し、析出物を得た。得られた両析出物は偏光顕微鏡で観察すると偏光が観測され結晶形であることがわかった。収量は結晶性D3G塩酸塩が1.06gであり、結晶性C3G塩酸塩は0.59gであった。
得られた結晶性D3G塩酸塩と結晶性C3G塩酸塩についてNMRによる構造決定を実施した。これらの2種のアントシアニンは従来報告のあるスペクトルデータと一致した。
また、結晶性D3G塩酸塩と結晶性C3G塩酸塩のその他の物性値は以下の通りである。
結晶性D3G塩酸塩:
熱分析による融点:258℃
Uvλmax(ε):517nm(27500)
FAB−MS m/z:M+:465
組成式:C21H21O12Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.00 4.50 6.80
計算値: 47.78 4.58 6.72
結晶性C3G塩酸塩:
熱分析による融点:245℃
Uvλmax(ε):510nm(26300)
FAB−MS m/z:M+:449
組成式:C21H21O11Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.80 4.70 6.90
計算値: 49.57 4.73 6.93
実施例3 アーモンド由来のβ−グルコシダーゼを用いた精製デルフィニジ−3−O−ルチノシドと精製シアニジン−3−O−ルチノシドの製造
参考例1で得られた粉末3.42gを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解して、アントシアニン基質溶液とした。
別途、SIGMA社製のアーモンド由来のβ−グルコシダーゼ208gを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解して酵素液とした(500U/mlに相当)。基質溶液1Lを40℃で10分間保温して温度を安定させた後、酵素溶液1Lを加えてよく攪拌し反応を開始した。60分経過後、2Lの0.3N塩酸を加え反応を停止した。
続いて反応を停止させた反応混合液4Lを実施例1に記載されている方法と同様にイオン交換樹脂吸着によって処理して、さらに、ODSシリカゲルカラムを用いたHPLCによって精製することによりR.T.が69−96分のD3R画分と144−174分のC3R画分を得た。
これらの画分は、実施例1記載のHPLC分析条件(標品D3RおよびC3RのR.T.はそれぞれ、12.63分、18.19分)で分析した結果、上記D3R画分とC3R画分は単一ピークであった。従って、純度99%以上の精製デルフィニジン−3−O−ルチノシドと精製シアニンジン−3−O−ルチノシドが調製できた。
また、HPLCにより測定した反応前の基質溶液と反応後の溶液におけるアントシアニン含有量を表2に示した。表2によればアントシアニジングルコシドのみが分解され、アントシアニジンルチノシドは大部分が分解されずに残っており、精製に最適な組成の反応液が得られていた。
実施例4 結晶性デルフィニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物と結晶性シアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物の製造
実施例2と同様の結晶化工程を経て、析出物を得た。得られた両析出物は偏光顕微鏡で観察すると偏光が観測され結晶形であることがわかった。収量は結晶C3R塩酸塩が58mgであり、結晶D3R塩酸塩が88mgであった。
得られた結晶性D3R塩酸塩と結晶性C3R塩酸塩についてNMRによる構造決定を実施した。これらの2種のアントシアニンは従来報告のあるスペクトルデータと一致した。
また、結晶性D3R塩酸塩と結晶性C3R塩酸塩の物性値は下記の通りである。
結晶性D3R塩酸塩:
熱分析による融点:224℃
Uvλmax(ε):520nm(27800)
FAB−MS m/z:M+:611
組成式:C27H31O16Cl ・1.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 45.80 5.30 5.20
計算値: 45.86 5.38 4.98
結晶性C3R塩酸塩:
熱分析による融点:214〜226℃
Uvλmax(ε):512nm(27400)
FAB−MS m/z:M+:595
組成式:C27H31O15Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 50.00 5.30 5.30
計算値: 49.97 5.13 5.46
比較例1 市販のアントシアナーゼを用いた酵素反応
参考例1で得られた粉末342mgを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)100mlに溶解して、アントシアニン基質溶液とした。
別途、果汁工業に用いられる代表的なアントシアナーゼの一種、GIST−brocades社製 商品名CYTOLASE PCL5を50mM酢酸緩衝液(pH3.5)で10倍に希釈することにより酵素液を得た。
基質溶液2mlを40℃で10分間保温して温度を安定させた後、酵素溶液2mlを加えてよく攪拌し反応を開始した。15分経過後200μlの反応液をサンプリングし、200μlの0.3N塩酸を加え反応を停止した。
反応前と反応後のアントシアニン組成をHPLCで測定した。反応前後のアントシアニンの含有量と組成を以下の表3に示した。アントシアニジングルコシド、アントシアニジンルチノシドの双方が分解されておりアントシアニン配糖体の精製には適さないことが判明した。
産業上の利用の可能性
本発明により、天然物から精製する形で高純度の精製アントシアニン並びに結晶性アントシアニン塩を製造することができた。このようにして製造された結晶性アントシアニン塩は吸湿性を示さず、安定な性状であった。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2000−276540号の明細書に記載された内容を包含する。そして、本明細書中で引用した全ての刊行物、特許、特許出願をそのまま参考として本明細書中に取り入れるものとする。
本発明は、天然物由来のアントシアニンから精製アントシアニンを製造する方法および精製アントシアニンをさらに結晶化して結晶性アントシアニンを製造する方法、ならびに該製造法で調製される結晶性アントシアニンに関する。
さらに詳しくは、アントシアニン類を構成するアントシアニジンルチノシドまたはアントシアニジングルコシドを酵素的に変換または除去して、アントシアニジンルチノシドまたはアントシアニジングルコシドをより減少させることにより、以降の精製・結晶化工程を容易にすることを特徴とする方法である。
背景技術
アントシアンとは、下記の式(I)に示される骨格を有するアントシアニジンとそれに糖が結合して配糖体となったアントシアニンとの総称である。
アグリコンであるアントシアニジンとしては、例えばデルフィニジン(Delphinidin)、シアニジン(Cyanidin)、マルビジン(Malvidin)、ペラルゴニジン(Pelargonidin)、ペオニジン(Peonidin)、ペチュニジン(Petunidin)などがある。アントシアニンは例えば、上記アントシアニジンにグルコースが配糖体として結合している場合はアントシアニジングルコシドと呼ぶ。また、アントシアニンに見いだされる糖としては単糖類であるグルコース以外に、ガラクトース、アラビノースや2糖類であるルチノース、ソフォロースなどがある。
アントシアン類は自然界に幅広く存在し、主に天然系色素として食品、あるいはその機能性から欧州では、医薬品、医薬部外品、化粧品などに幅広く使用されている。例えば特公昭59−53883号に記載されるような瘢痕形成剤としての利用、あるいは、特開平3−81220号公報に記載されるようなブルーベリー由来のアントシアニンを用いた末梢血管の疾病治療について価値ある薬理学的性質が見出されている。昨今日本国内でもアントシアニンの色素以外の利用法としてアントシアニンの機能性に注目が集まってきている。本発明者らも、カシス(英名Blackcurrant,和名黒フサスグリ)のアントシアニンにいくつかの有用な効能を見出し、報告(WO01/01798)している。
しかし、薬理学的性質を持つこれらアントシアニンを医薬品などとして用いる場合には、高純度に精製されたものが求められるのに対して、高純度に精製された精製アントシアニンが大量に製造された例は過去になかった。また高純度アントシアニンは安定性・吸湿性などの面から好ましくは結晶製品が求められるが、結晶性アントシアニンが大量に製造された例も過去に無かった。
また、従来の医薬品用のアントシアニン組成物は主にブルーベリー由来の製剤であるが、アントシアニン含有量が25重量%以下であり、有効性を発揮するためにはアントシアニン製剤として少なくとも1回当たり数百mgも投与しなくてはならず、少量の摂取で薬理学的な効果を出すことは事実上不可能であり、高純度の精製アントシアニンを含有したアントシアニン高含有組成物が求められていた。
高純度の精製アントシアニンが存在しなかった理由は、ブルーベリー由来のアントシアニンを例に取るとアントシアニン成分が15種も存在しており、それらの物質の物理化学的性質が非常に似ているために分取用カラムなどによる精製においてそれぞれの流出ピークが重なってしまうことや、また、それぞれの成分が非常に少量であるために分離精製が不可能であったためである。
また、カシス由来のアントシアニンを例にあげると、シアニジン−3−O−グルコシド(以下C3Gと略記する。)、シアニジン−3−O−ルチノシド(以下C3Rと略記する。)、デルフィニジン−3−O−グルコシド(以下D3Gと略記する。)およびデルフィニジン−3−O−ルチノシド(以下D3Rと略記する。)の4成分がアントシアニン類として含まれているが、ブルーベリー由来のアントシアニンと同様に該4物質の物理化学的性質が非常に似ているために、これら4成分の混合物であってもクロマトピークが接近しており、分取用クロマトグラフィーや遠心分配クロマトグラフィーを用いて精製アントシアニンを得ようとしても極端な収率の低下を伴うため大量調製は不可能であった。また、カシス中の代表的なアントシアニン類の量比はD3G,D3R,C3G及びC3Rがそれぞれ、12.5%、47.9%、4.1%及び35.5%であり、含有量の低いD3G,C3G成分を大量精製するのは更に困難であり、精製アントシアニンを大量に製造する方法が求められていた。
一方、従来からアントシアンは安定性に問題のあることが判っており、本発明者らは、アントシアニン高含有物の安定化剤としてフィチン酸、糖類、糖アルコール類を添加することによる安定化法を特許出願(PCT/JP00/09204)している。しかし、アントシアニンを高含有量で使用して製剤化する時には、このような添加物を入れる余地がないために、さらに安定性の高い物性が要請されており、より物理的に安定な結晶形態のアントシアニンを使用した製剤が求められていた。そのため、従来医薬品用途として高純度アントシアニンは、例えば特許第3030509号に記載のデルフィニジン塩酸塩(配糖体ではなくアグリコンのアントシアニジン塩酸塩)の合成法などにより、いくつもの段階を経て有機合成されていたが、天然物から大量に調製された例はなかった。
また、合成法によって製造されたアントシアニジン塩酸塩は、強酸性条件下では安定であるが、弱酸性から中性領域では配糖体に比べ分解されやすいことが判明しており、その応用範囲は甚だ狭いものになっていた。従って、酸性から中性領域でより安定なアントシアニンを結晶として調製することが求められていたが、有機合成法によりアントシアニンを大量に調製することは現状ではできていない。
アントシアニン類の特性は、Dictionary of natural products(Chapman & HALL社刊,1994,London)に列記されている。例を挙げて引用すると、D3Rの結晶は従来報告されておらず、D3G塩酸塩の結晶形に関する報告はあるが融点の記載はなく大量に調製することが難しかったことがわかる。同様にC3R塩酸塩については、融点、結晶形共に記載があるが、C3G塩酸塩では融点の記載はなく大量に調製することが難しかったことがわかる。従来までは、結晶、非結晶を問わず精製されたアントシアニンが、微量にしか調製できなかったため、各種酵素のアントシアニンへの反応性を調べた研究はほとんどなかった。特に、ラムノシダーゼのアントシアニンに対する反応性を述べたものは皆無であった。以上のことより、煩雑な合成法を用いずに高純度の精製アントシアニンを天然物より大量に製造する方法が求められ、さらに精製アントシアニンを結晶化した結晶性アントシアニン塩を大量に製造する方法が求められていた。
発明の開示
本発明はラムノシダーゼを用いて、アントシアニジンルチノシドのラムノース末端を切断し、アントシアニジンルチノシド成分をアントシアニジングルコシドに変換させた後、アントシアニジングルコシド成分を精製して単離することを特徴とする精製アントシアニンの製造法、あるいはこの精製アントシアニンをさらに結晶化して、結晶性アントシアニジングルコシド塩・水和物を製造する方法に関する。
また別の本発明は、β−グルコシダーゼを用いて、アントシアニジングルコシドのグルコース末端を切断し、分解除去した後に、アントシアニジンルチノシド成分を精製して単離することを特徴とする精製アントシアニンの製造法、あるいはこの精製アントシアニンをさらに結晶化して、結晶性アントシアニジンルチノシド塩・水和物を製造する方法に関する。
さらにまた別の本発明は、これらの製造法を用いて調製された結晶性アントシアニン塩・水和物に関するものである。
本発明を具体的に説明すると、第1発明は少なくとも1種以上のアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にラムノシダーゼを作用させ、アントシアニジンルチノシドを加水分解することによりアントシアニジングルコシドに変換させた後、アントシアニジングルコシドを単離し、精製することを特徴とする、精製アントシアニジングルコシドを製造する方法を提供する。
第2の発明は少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドとアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にβ−グルコシダーゼを作用させ、アントシアニジングルコシドを加水分解し、アントシアニジングルコシドを減じせしめた後、アントシアニジンルチノシドを単離し、精製することを特徴とする、精製アントシアニジンルチノシドを製造する方法を提供する。
上記の第1及び第2の発明において、アントシアニン組成物としてはカシス、イチジク、コーヒー、バナナ、ブラックベリーなどから選択される一種以上の果実から得られる果汁および/またはアメリカマコモ、サトイモなどから得られるアントシアニン濃縮物が挙げられる。ラムノシダーゼとしてはヘスペリジナーゼ、ナリンジナーゼ等が挙げられる。また、β−グルコシダーゼとしてはアントシアニジンルチノシドのβ−グルコシド結合は分解せずに、アントシアニジングルコシドのβ−グルコシド結合のみを選択的に分解できる酵素であり、その具体例としてはアーモンド由来のものが挙げられる。
第3の発明は下記の工程を経て結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物を製造する方法を提供する。
a)少なくとも1種以上のアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にラムノシダーゼを作用させ、アントシアニジンルチノシドを加水分解することによりアントシアニジングルコシドに変換する。
b)該アントシアニジングルコシドを精製することにより純度99%以上のアントシアニジングルコシドを得る。
c)該アントシアニジングルコシドを塩酸/アルコール系の混合溶媒を用いて結晶化する。
第4の発明は上記第3の発明の方法により得られる結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物を提供する。
第5の発明は下記の工程を経て結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物を製造する方法を提供する。
a)少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドとアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にβ−グルコシダーゼを作用させ、アントシアニジングルコシドを加水分解することによりアントシアニジングルコシドを減じせしめる。
b)該アントシアニジンルチノシドを精製することにより純度99%以上のアントシアニジンルチノシドを得る。
c)該アントシアニジンルチノシドを塩酸/アルコール系の混合溶媒を用いて結晶化する。
第6の発明は上記第5の発明の方法により得られる結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物を提供する。
上記の第3及び第5の発明において、b)工程の精製法としてはイオン交換吸着クロマトグラフィーおよび/またはHPLCを用いることができ、c)工程の塩酸/アルコール系の混合溶媒としては5%(V/V)塩酸/95%(V/V)メタノールをもちいることがでできる。
第7の発明は下記の物理的性質を有する結晶性デルフィニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・0.5水和物を提供する。
熱分析による融点:258℃
Uvλmax(ε):517nm(27500)
FAB−MS m/z:M+:465
組成式:C21H21O12Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.00 4.50 6.80
第8の発明は下記の物理的性質を有する結晶性シアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・0.5水和物を提供する。
熱分析による融点:245℃
Uvλmax(ε):510nm(26300)
FAB−MS m/z:M+:449
組成式:C21H21O11Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.80 4.70 6.90
第9の発明は下記の物理的性質を有する結晶性デルフィニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・1.5水和物。
熱分析による融点:224℃
Uvλmax(ε):520nm(27800)
FAB−MS m/z:M+:611
組成式:C27H31O16Cl・1.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 45.80 5.30 5.20
第10の発明は下記の物理的性質を有する結晶性シアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・0.5水和物を提供する。
熱分析による融点:214〜226℃
Uvλmax(ε):512nm(27400)
FAB−MS m/z:M+:595
組成式:C27H31O15Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 50.00 5.30 5.30
本明細書においてアントシアニンとは、アグリコンであるアントシアニジンに糖類が結合した配糖体のことを示し、グルコース、ルチノース、アラビノース、ガラクトースなどの糖類が結合したグルコシド、ルチノシド、アラビノシド、ガラクトシドなどを含む。
本発明において酵素反応に用いられる少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドおよび/またはアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物としては、アントシアニンを含むいかなるものでもよく、市販の果汁、濃縮ジュース、飲料、色素溶液、あるいは食品医薬品などの原料となる粉末などがあげられる。濃縮ジュースとして好ましくは、カシス、イチジク、コーヒー、バナナ、ブラックベリーなどから選択される一種以上の果実から得られる果汁および/またはアメリカマコモ、サトイモなどから得られるアントシアニン濃縮物がよい。また、該粉末を水や緩衝液などに溶解してから、反応に用いる。より好ましくは、本発明者らがWO01/01798に報告した方法で調製したアントシアニン高含有組成物を用いるのがよく、事前に酸類・糖類・ポリフェノール類などが除去されているので、酵素反応後の精製工程において操作が容易になる。
本発明の精製アントシアニンの製造法におけるアントシアニンのアグリコンの種類は、特に限定はしない。好ましくはカシス由来のアントシアニン類およびその塩がよい。カシス由来のアントシアニンのアグリコン部分は、デルフィニジンとシアニジンのみであるが、酵素反応では、特にこの2種類のアントシアニジンにおける特異性があるとは考えられず、他のアントシアニジンの配糖体、例えば、式(I)に示されるマルビジン、ペラルゴニジン、ペチュニジン、ペオニジンなどの配糖体にも応用可能である。なお、カシス由来のアントシアニン成分の組成は、シアニジン−3−O−グルコシド(C3G)、シアニジン−3−O−ルチノシド(C3R)、デルフィニジン−3−O−グルコシド(D3G)、デルフィニジン−3−O−ルチノシド(D3R)の4成分からなっている。
また、結晶性アントシアニン塩を構成する塩の種類は、塩酸、硫酸などの鉱酸、リン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、酢酸などの有機酸の塩(フラビニウム塩)が含まれるが、結晶のしやすさなどから、塩酸、TFA、リン酸との塩が好ましい。
本発明に用いられるラムノシダーゼとしては、動物、植物、微生物など特に起源は問わないが、作用機作としてアントシアニン末端のα−ラムノシダーゼ活性をもつものであればよいが、この際に注意しなくてはならないのはβ−グルコシダーゼ活性が低いことが重要である。さらには、アントシアニンは、中性から塩基性領域に長時間放置すると分解することが知られており、さらに加温により分解が促進されることが知られている。よって、pH4.0以下、温度40℃以下で高い活性を持つことが必要である。好ましくは、ヘスペリジナーゼまたはナリンジナーゼがあげられ、より好ましくは、ヘスペリジナーゼがあげられる。ヘスペリジナーゼは、温州みかんの白濁成分であるヘスペリジンを分解することを目的として工業的に生産されているAspergillus niger由来のものがあげられる。なお、これまでAspergillus niger由来のヘスペリジナーゼのアントシアニンに対する反応作用は知られていなかった。ナリンジナーゼも落果みかんや夏みかんなどの苦味成分であるナリンジンを分解して呈味改善などに用いられているAspergillus niger由来のものなどがあげられる。なお、Aspergillus niger由来のナリンジナーゼのアントシアニンに対しての応用は報告されていなかった。
本発明に用いられるβ−グルコシダーゼとしては、特にその起源は問わないが、アントシアニンに対して反応しなくてはならないのは当然のこととして、アントシアニジンルチノシドのβ−グルコシド結合を分解せず、アントシアニジングルコシドのβ−グルコシド結合のみを分解する基質特異性が必要である。つまり、末端のグルコースにのみ反応し、分子内の中央部のグルコースには反応しないものが適している。また、ラムノシダーゼと同様にpH4.0以下、温度40℃以下で高い活性を持つことが必要である。好ましくは、アーモンド由来のβ−グルコシダーゼがあげられる。なお、アーモンド由来のβ−グルコシダーゼは、代表的なβ−グルコシダーゼであるが、アントシアニンに対する反応性を調べた研究は存在しなかった。
β−グルコシダーゼのアントシアニンに対する反応処理の例としては、従来からブドウ汁、ピーチネクター等の果汁工業やワイン、シャンパンなどを含むスパークリングワインなどのワイン工業でβ−グルコシダーゼの一種であるアントシアナーゼを脱色、脱苦味に用いていることがあげられる。しかし、アントシアナーゼは、アントシアニンのグルコシドとルチノシド双方に反応し、分解してしまうために、精製アントシアニンの製造には不向きである。
これらの酵素をアントシアニンに作用させる反応条件は、とくに限定はしないが上記のようにアントシアニンは、中性から塩基性領域に長時間放置すると分解することが知られており、さらに高温により分解が促進されることが知られているため、酸性領域が好ましく、高温で反応させないことが好ましい。具体的には、pH4.0以下、温度40℃以下で反応させるのが最も好ましいと考えられる。
酵素反応に用いるアントシアニン含有物中の基質の濃度は、特に限定されないが、極端に高濃度であると、反応液の粘性が増大し反応速度が落ち、また反応液中に存在する物質による阻害反応や、基質に対する転移反応などが心配されるため、基質濃度として10(w/v)%以下が好ましく、より好ましくは5(w/v)%以下である。また、酵素の添加量は、反応時間との関連で特に限定するものではない。
ラムノシダーゼまたはβ−グルコシダーゼによる酵素反応によってアントシアニン含有物における基質、すなわち、アントシアニジンルチノシドまたはアントシアニジングルコシドの含有量を減じせしめた後の酵素反応の停止法としては、通常用いられる方法である、加熱する温度上昇法、酸アルカリなどを加えるpH調整法、有機溶媒添加法などが可能であるが、上記のようにアントシアニン類は中性から塩基性領域では不安定であり、加熱によって分解が促進されるため、好ましくは、塩酸、TFA、リン酸などの強酸の添加によるpH低下法、あるいはメタノールなどの有機溶媒添加法による酵素反応停止が望ましい。
本発明において、酵素反応終了後の精製方法は、カラムクロマトグラフ法以外にも、必要に応じて他のクロマトグラフ法、樹脂吸着法や膜分離法などを適宜組み合わせて行うことが可能である。中でも、ODSシリカゲルを用いたクロマトグラフ法が最も好ましい。また、必要に応じて予め陽イオン交換樹脂などにアントシアニン成分を吸着させた後、溶出させることにより、予備精製を行ったものを同様に精製してもよい。
本明細書においてアントシアニン含有量は、PCT/JP00/09204またはWO01/01798に記載してあると同様に、含まれるアントシアニンの各成分の含有量を合計したものであり、HPLCによるアントシアニンのピーク面積比によって算出する。
すなわち、最初に、重量既知のアントシアニン標品をHPLCで分析し、520nmにおけるピーク面積から検量線を作成し、各アントシアニン成分の含量を求める。さらに、各成分の含量をピーク面積で除した応答係数、即ちmg/ピーク面積を得る。次に、アントシアニン含有サンプルをHPLC分析し、それぞれの成分のピーク面積に標品から求めた応答係数を乗じて、それぞれの成分含有量を計算し、注入量との比からアントシアニン純度を重量(w/w)%として求める。そのため、アントシアニンの純度はアグリコンであるアントシアニジンの量だけでなく、結合している糖の量も含むものとして算出される。本発明の精製アントシアニンの純度は、HPLC分析によれば純度99%以上である。
本発明における結晶化方法は、主に有機溶媒からの結晶化が好ましく、メタノールを結晶化溶媒とするのが好ましい。この際に、アントシアニン類は、酸との塩を作って結晶となるため、結晶化溶媒中に酸を添加しておくことが好ましく、1%〜5%(V/V)程度の塩酸、TFA、リン酸などを添加しておくことが好ましい。
後記の実施例1または3で調製された結晶D3G、結晶D3R、結晶C3G、結晶C3Rの熱分析を行ったところ、以下のような結果となった。
D3Gの融点は258℃であり、D3Rの融点は224℃であり、C3Gの融点は245℃であり、C3Rの融点は214〜226℃である。
本発明の結晶性アントシアニン塩は、偏光顕微鏡観察、元素分析、融点測定、HPLC分析により99%以上の純度を有する結晶であり、吸湿性もなく融点も200℃以上で大変安定な物質である。
従来は高純度の精製アントシアニンや結晶性アントシアニン塩を製造することはできなかったが、本発明の製造法を用いることにより、天然物から精製する形で高純度の精製アントシアニンならびに結晶性アントシアニン塩を製造することができた。このようにして製造された結晶性アントシアニン塩は吸湿性を示さず、安定な性状であった。
発明を実施するための最良の形態
本発明を以下の実施例、参考例および比較例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
参考例1 アントシアニン高含有組成物の調製
WO01/01798に記載される方法に従ってアントシアニン高含有組成物を調製した。すなわち、市販のカシス濃縮果汁3Kg(固形分当たりのアントシアニン純度2.8%)を水で希釈し、Bx.10の濃度に調製した。この希釈果汁を濾紙で濾過して異物を除去した後、日東電工社製の膜分離装置(NTR−7410)を用い、膜分離を行った。膜分離により得られた濃縮液をスプレードライすることにより粉末状のアントシアニン高含有組成物を得た。本組成物のアントシアニン純度は固形分当たり14.1%であった。本組成物は、室温に放置しておくと吸湿性を有した。
実施例1 ヘスペリジナーゼを用いた精製デルフィニジン−3−O−グルコシドと精製シアニジン−3−O−グルコシドの製造
参考例1で得られた粉末40g(アントシアニン純度は14.1%であり、アントシアニンの各成分割合は、D3G,D3R,C3G及びC3Rはそれぞれ、12.5%、47.9%、4.1%及び35.5%である。)を50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解してアントシアニン基質溶液とした。なお、基質溶液中のアントシアニンの含有量は計算では5.64gであり、D3G,D3R,C3G及びC3Rの含有量はそれぞれ0.71g、2.70g、0.23g及び2.00gとなる。
別途、田辺製薬社製ヘスペリジナーゼ(商品名ヘスペリジナーゼ田辺二号)79.35gを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解しておき、酵素溶液とした。(ラムノシダーゼ活性42.5U/mlに相当する)
基質溶液と酵素溶液をそれぞれ40℃に加温した後、混合し反応を開始した。反応は40℃で6時間行い、3%(W/V)リン酸溶液2Lを加え反応を停止させた。続いてイオン交換樹脂XAD−7(ロームアンドハース社製)4Lをカラム(内径13cm X 長さ 30cm)に充填し、その反応混合液(4L)を通液させ、アントシアニン成分を吸着させた。次に、0.1%(W/V)TFA(2L)を通液し非吸着成分を洗浄した。さらに、0.1%TFAを含む80%(V/V)メタノール水溶液を通液し、吸着成分を溶出した。このメタノール溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度として10%(W/V)になるように3%リン酸水溶液に転溶することにより濃縮液を得た。
本濃縮液をODS−120Tシリカゲルカラムを用い(東ソー社製、ID5.5×30cm,20μm)、0.1%TFAを含む9%(V/V)アセトニトリル水溶液で流速80ml/分で520nmの波長で検出し、R.T.(Retention Time)が66−90分のD3G画分と158−200分のC3G画分を得た。これらの画分は、HPLC分析により単一ピークであり、純度99%以上の精製デルフィニジン−3−O−グルコシドと精製シアニジン−3−O−グルコシドを調製することが出来た。
なお、純度測定のHPLC分析条件は以下の通りである。即ち、ヒューレットパッカードシリーズ1100(横川アナリチカルシステムズ社製)HPLCシステムを用いて以下のようなグラジエント条件で分析を実施した。
HPLCグラジエント条件:
時間(分) A液(0.5%リン酸水溶液) B液(メタノール)
0 80 20
15 77 23
20 77 23
30 50 50
40 50 50
カラムは、ヒューレットパッカード社製Zorbax SB−C18,4.6mm×250mm,5μmを用いた。流速は1ml/min、検出は波長520nmで測定した。標品のD3GおよびC3GのR.T.はそれぞれ、10.54分、14.60分であった。
また、酵素反応前の基質溶液と酵素反応を停止させた溶液の一部を採取し、孔径0.45μmのマイクロフィルターで異物を除去してアントシアニジングルコシド液を調製した。反応前と反応後のアントシアニン成分の含有量を測定した。結果は表1に示したとおりである。基質溶液中のアントシアニジンルチノシドが分解されてアントシアニジングルコシドが生成し、アントシアニジングルコシドのみの組成となっていることが示されている。しかも、反応前と比べてD3Gで3.36倍、C3Gで6.78倍に増加していることが示されている。
実施例2 結晶性デルフィニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物と結晶性シアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物の製造
実施例1で得られたD3G画分とC3G画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、30mlのヘプタンを加え再度濃縮乾固し、分離操作中に混入するTFAを除去した。重量測定したところ、得られたD3G画分は1.51gであり、C3G画分は0.98gであった。
上記のD3G画分及びC3G画分をそれぞれ別個に5%塩酸/95%メタノールに溶解後、5℃で24時間静置し結晶化を行った。桐山ロートとWhatman社製NO.2の濾紙を用いて固液分離を行い、さらに少量のアセトンで洗浄後乾燥し、析出物を得た。得られた両析出物は偏光顕微鏡で観察すると偏光が観測され結晶形であることがわかった。収量は結晶性D3G塩酸塩が1.06gであり、結晶性C3G塩酸塩は0.59gであった。
得られた結晶性D3G塩酸塩と結晶性C3G塩酸塩についてNMRによる構造決定を実施した。これらの2種のアントシアニンは従来報告のあるスペクトルデータと一致した。
また、結晶性D3G塩酸塩と結晶性C3G塩酸塩のその他の物性値は以下の通りである。
結晶性D3G塩酸塩:
熱分析による融点:258℃
Uvλmax(ε):517nm(27500)
FAB−MS m/z:M+:465
組成式:C21H21O12Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.00 4.50 6.80
計算値: 47.78 4.58 6.72
結晶性C3G塩酸塩:
熱分析による融点:245℃
Uvλmax(ε):510nm(26300)
FAB−MS m/z:M+:449
組成式:C21H21O11Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.80 4.70 6.90
計算値: 49.57 4.73 6.93
実施例3 アーモンド由来のβ−グルコシダーゼを用いた精製デルフィニジ−3−O−ルチノシドと精製シアニジン−3−O−ルチノシドの製造
参考例1で得られた粉末3.42gを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解して、アントシアニン基質溶液とした。
別途、SIGMA社製のアーモンド由来のβ−グルコシダーゼ208gを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)1Lに溶解して酵素液とした(500U/mlに相当)。基質溶液1Lを40℃で10分間保温して温度を安定させた後、酵素溶液1Lを加えてよく攪拌し反応を開始した。60分経過後、2Lの0.3N塩酸を加え反応を停止した。
続いて反応を停止させた反応混合液4Lを実施例1に記載されている方法と同様にイオン交換樹脂吸着によって処理して、さらに、ODSシリカゲルカラムを用いたHPLCによって精製することによりR.T.が69−96分のD3R画分と144−174分のC3R画分を得た。
これらの画分は、実施例1記載のHPLC分析条件(標品D3RおよびC3RのR.T.はそれぞれ、12.63分、18.19分)で分析した結果、上記D3R画分とC3R画分は単一ピークであった。従って、純度99%以上の精製デルフィニジン−3−O−ルチノシドと精製シアニンジン−3−O−ルチノシドが調製できた。
また、HPLCにより測定した反応前の基質溶液と反応後の溶液におけるアントシアニン含有量を表2に示した。表2によればアントシアニジングルコシドのみが分解され、アントシアニジンルチノシドは大部分が分解されずに残っており、精製に最適な組成の反応液が得られていた。
実施例4 結晶性デルフィニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物と結晶性シアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物の製造
実施例2と同様の結晶化工程を経て、析出物を得た。得られた両析出物は偏光顕微鏡で観察すると偏光が観測され結晶形であることがわかった。収量は結晶C3R塩酸塩が58mgであり、結晶D3R塩酸塩が88mgであった。
得られた結晶性D3R塩酸塩と結晶性C3R塩酸塩についてNMRによる構造決定を実施した。これらの2種のアントシアニンは従来報告のあるスペクトルデータと一致した。
また、結晶性D3R塩酸塩と結晶性C3R塩酸塩の物性値は下記の通りである。
結晶性D3R塩酸塩:
熱分析による融点:224℃
Uvλmax(ε):520nm(27800)
FAB−MS m/z:M+:611
組成式:C27H31O16Cl ・1.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 45.80 5.30 5.20
計算値: 45.86 5.38 4.98
結晶性C3R塩酸塩:
熱分析による融点:214〜226℃
Uvλmax(ε):512nm(27400)
FAB−MS m/z:M+:595
組成式:C27H31O15Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 50.00 5.30 5.30
計算値: 49.97 5.13 5.46
比較例1 市販のアントシアナーゼを用いた酵素反応
参考例1で得られた粉末342mgを50mM酢酸緩衝液(pH3.5)100mlに溶解して、アントシアニン基質溶液とした。
別途、果汁工業に用いられる代表的なアントシアナーゼの一種、GIST−brocades社製 商品名CYTOLASE PCL5を50mM酢酸緩衝液(pH3.5)で10倍に希釈することにより酵素液を得た。
基質溶液2mlを40℃で10分間保温して温度を安定させた後、酵素溶液2mlを加えてよく攪拌し反応を開始した。15分経過後200μlの反応液をサンプリングし、200μlの0.3N塩酸を加え反応を停止した。
反応前と反応後のアントシアニン組成をHPLCで測定した。反応前後のアントシアニンの含有量と組成を以下の表3に示した。アントシアニジングルコシド、アントシアニジンルチノシドの双方が分解されておりアントシアニン配糖体の精製には適さないことが判明した。
産業上の利用の可能性
本発明により、天然物から精製する形で高純度の精製アントシアニン並びに結晶性アントシアニン塩を製造することができた。このようにして製造された結晶性アントシアニン塩は吸湿性を示さず、安定な性状であった。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2000−276540号の明細書に記載された内容を包含する。そして、本明細書中で引用した全ての刊行物、特許、特許出願をそのまま参考として本明細書中に取り入れるものとする。
Claims (19)
- 少なくとも1種以上のアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にラムノシダーゼを作用させ、アントシアニジンルチノシドをアントシアニジングルコシドに変換させた後、アントシアニジングルコシドを単離し、精製することを特徴とする、精製アントシアニジングルコシドを製造する方法。
- アントシアニン組成物がカシス、イチジク、コーヒー、バナナ、ブラックベリーから選択される一種以上の果実から得られる果汁および/またはアメリカマコモ、サトイモから得られるアントシアニン濃縮物である請求項1記載の精製アントシアニジングルコシドを製造する方法。
- ラムノシダーゼがヘスペリジナーゼ、ナリンジナーゼである請求項1または2記載の精製アントシアニジングルコシドを製造する方法。
- 少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドとアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にβ−グルコシダーゼを作用させてアントシアニジングルコシドを減じせしめた後、アントシアニジンルチノシドを単離し、精製することを特徴とする、精製アントシアニジンルチノシドを製造する方法。
- アントシアニン組成物がカシス、イチジク、コーヒー、バナナ、ブラックベリーから選択される一種以上の果実から得られる果汁および/またはアメリカマコモ、サトイモから得られるアントシアニン濃縮物である請求項4記載の精製アントシアニジンルチノシドを製造する方法。
- β−グルコシダーゼがアントシアニジンルチノシドのβ−グルコシド結合は分解せずに、アントシアニジングルコシドのβ−グルコシド結合のみを選択的に分解できる酵素である請求項4または5記載の精製アントシアニジンルチノシドを製造する方法。
- β−グルコシダーゼがアーモンド由来のβ−グルコシダーゼである請求項4乃至6記載の精製アントシアニジンルチノシドを製造する方法。
- 下記の工程を経て結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物を製造する方法。
a)少なくとも1種以上のアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にラムノシダーゼを作用させ、アントシアニジンルチノシドをアントシアニジングルコシドに変換する。
b)該アントシアニジングルコシドを精製することにより純度99%以上のアントシアニジングルコシドを得る。
c)該アントシアニジングルコシドを塩酸/アルコール系の混合溶媒を用いて結晶化する。 - 請求の範囲8記載のb)工程の精製法がイオン交換吸着クロマトグラフィーおよび/またはHPLCを用いた精製法である請求項8記載の結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物を製造する方法。
- 塩酸/アルコール系の混合溶媒が5%(V/V)塩酸/95%(V/V)メタノールである請求項8または9記載の結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物を製造する方法。
- 請求項8乃至10のいずれか1項記載の方法で得られた結晶性アントシアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・水和物。
- 下記の工程を経て結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物を製造する方法。
a)少なくとも1種以上のアントシアニジングルコシドとアントシアニジンルチノシドを含有するアントシアニン組成物にβグルコシダーゼを作用させてアントシアニジングルコシドを減じせしめる。
b)該アントシアニジンルチノシドを精製することにより純度99%以上のアントシアニジンルチノシドを得る。
c)該アントシアニジンルチノシドを塩酸/アルコール系の混合溶媒を用いて結晶化する。 - 請求項12記載のb)工程の精製法がイオン交換吸着クロマトグラフィーおよび/またはHPLCを用いた精製法である請求の範囲12記載の結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物を製造する方法。
- 塩酸/アルコール系の混合溶媒が5%(V/V)塩酸/95%(V/V)メタノールである請求項12または13記載の結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物を製造する方法。
- 請求項12乃至14のいずれか1項記載の方法で得られた結晶性アントシアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・水和物。
- 下記の物理的性質を有する結晶性デルフィニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・0.5水和物。
熱分析による融点:258℃
Uvλmax(ε):517nm(27500)
FAB−MS m/z:M+:465
組成式:C21H21O12Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.00 4.50 6.80 - 下記の物理的性質を有する結晶性シアニジン−3−O−グルコシド塩酸塩・0.5水和物。
熱分析による融点:245℃
Uvλmax(ε):510nm(26300)
FAB−MS m/z:M+:449
組成式:C21H21O11Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 48.80 4.70 6.90 - 下記の物理的性質を有する結晶性デルフィニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・1.5水和物。
熱分析による融点:224℃
Uvλmax(ε):520nm(27800)
FAB−MS m/z:M+:611
組成式:C27H31O16Cl・1.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 45.80 5.30 5.20 - 下記の物理的性質を有する結晶性シアニジン−3−O−ルチノシド塩酸塩・0.5水和物。
熱分析による融点:214〜226℃
Uvλmax(ε):512nm(27400)
FAB−MS m/z:M+:595
組成式:C27H31O15Cl・0.5H2O
元素分析値: C H Cl
測定値: 50.00 5.30 5.30
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