JPS646285Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は透明性が良好で、かつ内容物保護性能
に優れた射出成形に係る透明容器である。 従来、透明性の良好な容器としてはポリスチレ
ン樹脂単体の射出成形容器があつた。ポリスチレ
ンは透明性が良好で、かつ成形性に優れていると
いう特徴があるが、酸素ガス等のバリヤ性が著し
く小さいので酸素により劣化するものを長期に保
存することができず、したがつて冷蔵保存の容器
として使用されているのが現状である。 又、アクリロニトリル樹脂も透明性があり、か
つガスバリヤ性に富んでいるが、衛生上の問題か
ら、食品に直接ふれるような方法でのアクリロニ
トリル樹脂の使用は好ましくない。また透明性の
良好な樹脂で、ガスバリヤ性がある樹脂として、
塩化ビニル樹脂があるが、塩化ビニルモノマーの
衛生上の問題の他、粘度が高く、熱安定性に欠け
るため、射出成形には向いていないなどの欠点が
あり、容器として使用されることは少ない。 本考案は上記の点に鑑み、ガス透過性が小さ
く、かつ内容物の状態が良く見えるような透明容
器で、販売上もアピールしやすい容器を提供する
ものである。 以下、図面を用いて詳細に説明すると、第１図
は本考案の透明容器の口元および本体の一部を示
す縦断面図であり、本考案は透明性が良好で成形
性にも優れたポリスチレン樹脂とアクリロニトリ
ル樹脂との積層射出成形容器であり、容器の口部
１および本体２において、アクリロニトリル樹脂
層３がポリスチレン樹脂層４で被われていること
を特徴とする透明容器である。 本考案に用いられるポリスチレン樹脂は、いわ
ゆるゼネラルパーパスポリスチレン（GPPS）樹
脂で透明性をそれほど必要としない場合はブタジ
エン等のゴム成分との共重合体を用いても良い。 一方、アクリロニトリル樹脂としては、アクリ
ロニトリルを主成分とし、メタアクリレート等と
の共重合樹脂で通常は有色透明であるが、これに
紫外線吸収剤を入れて耐光性を上げても良い。 本考案の透明容器の製造方法は、溶融樹脂の金
型キヤビテイへの射出と成形、該成形体の冷却お
よび金型からの取り外しを１サイクルとするが、
この１サイクルに溶融樹脂の金型キヤビテイへの
射出を、ポリスチレン樹脂とアクリロニトリル樹
脂をポリスチレン樹脂によつて金型キヤビテイ内
で包みつつ、二つの樹脂を、混練せず、層状にし
た状態で金型キヤビテイを満す事により、中間層
がアクリロニトリル樹脂で、その内外層がポリス
チレン樹脂で被われた容器が得るものである。こ
のような成形は二つの射出シリンダを持つ射出成
形機によつて、容易に行う事ができる。以下実施
例により図面を用いて詳細に説明する。すなわち
第２図に示すような二つの射出シリンダ５，５′
を持つ射出成形機によつて行うもので、すなわ
ち、アクリロニトリル樹脂とポリスチレン樹脂と
を、それぞれ独立した射出シリンダ５，５′内で
別々に溶融混練し、該射出シリンダ５，５′の先
端が同一のノズル６、金型キヤビテイ７の同一ゲ
ート８につながるようになつた装置によつて、ま
ずポリスチレン樹脂を金型キヤビテイ７を満すに
は不充分な量すなわち金型キヤビテイ７の10〜60
％容積分の樹脂を射出し、該金型キヤビテイ７中
のポリスチレン樹脂のゲート８部分、および射出
された樹脂の芯部が冷却固化しない内に、引き続
きアクリロニトリル樹脂を該金型キヤビテイ７中
のポリスチレン樹脂の内にポリスチレン樹脂を射
出すると、容器のゲート８部もアクリロニトリル
樹脂が表面に出なくなり、より衛生性に良い。 以上の射出成形を行うと、アクリロニトリル樹
脂は、ポリスチレン樹脂を伴つて、金型キヤビテ
イ７中の未充填部分に層状になつて充填される。
ここで、初めのポリスチレン樹脂の射出量を金型
キヤビテイ７の容積の10％未満であると、第３図
に示すごとく、表面、殊にゲート８から離れた周
縁部、すなわち成形容器の口部１付近において、
その成形体の表面にアクリロニトリル樹脂３がポ
リスチレン樹脂層４から出てしまつたり、表面が
ざらつく現象があり、又ポリスチレン樹脂の射出
量が60％以上では、アクリロニトリル樹脂が周縁
部まで行き渡らないという問題があり、ポリスチ
レン樹脂の射出量を金型キヤビテイの10〜60％に
することが好ましい。又ゲート８はキヤビテイ７
中央の位置、すなわちセンターゲートであること
が好ましく、容器端部より樹脂を入れるいわゆる
サイドゲートでは、平らな成形物以外ではウエル
ドが強く出てしまい、アクリロニトリル樹脂が行
き渡らない場所が出て、光の透過量（透明性）が
場所によつて著しく異なると共に、内容物保護性
能が低下してしまうのでセンターゲートの金型が
好ましい。 以下、本考案の具体的な実施例および比較例を
示す。 ＜実施例＞ 第２図に示すごとくコツプ状容器（容量200c.c.
肉厚1.0mm）の金型を用い、まずゼネラルパーパ
スポリスチレン樹脂を金型キヤビテイの40％容量
分射出し、次にアクリロニトリル樹脂を50％分射
出し、残り10％は再度、ゼネラルパーパスポリス
チレン樹脂を射出して、金型キヤビテイを樹脂で
満し成形し多層の透明容器を得た。 ＜比較例＞ 上記＜実施例＞と同じ成形金型を用いて、ゼネ
ラルパーパスポリスチレン樹脂のみで射出成形
し、単層の透明容器を得た。 次に上記＜実施例１＞と＜比較例１＞とを比較
した結果を下記表１に示す。

【表】 本考案は上記の如くの構成であつて、防湿性、
ガスバリヤ性がポリスチレン単層容器に比べ、著
しく良好であり、本考案の目的が達せられた。 又本考案の透明容器は第１図に示したごとく、
中間層のアクリロニトリル樹脂がポリスチレン樹
脂に被われているので、内容物に直接触れないの
で食品衛生上の問題がなく、しかも内容物保護性
能が高いなどの他、透明性が高く、又アクリロニ
トリル単体に比べて安価であるなどのメリツトは
大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の透明容器の口元および本体一
部の縦断面図であり、第２図は本考案の製造装置
を示す説明図であり、第３図は最初に射出するポ
リスチレン樹脂の量を金型キヤビテイの10％容量
以下にしたときの容器の口部及び本体一部の縦断
面図である。 １……口部、２……本体、３……ポリスチレン
樹脂層、４……アクリロニトリル樹脂層、５，
５′……射出シリンダ、６……ノズル、７……金
型キヤビテイ、８……ゲート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポリスチレン樹脂およびアクリロニトリル樹脂
   の積層射出成形容器であり、容器の口部および本
   体において、アクリロニトリル樹脂層がポリスチ
   レン樹脂層で被われていることを特徴とする透明
   容器。