JPS645004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車に装備される遠隔操作式リツ
ドロツク装置、詳しくは車体に開閉自在に取付け
られたフイラリツド等のリツド体を閉位置にロツ
クするリツドロツク装置の改良に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来、この種自動車の遠隔操作式リツドロツク
装置として、例えば実開昭53−4512号公報等に開
示されているように、車体パネルに、中心に貫通
孔を有するベース体を取付け、該ベース体の貫通
孔に、リツド体の係合部に係脱自在なプランジヤ
を軸方向に移動自在に嵌挿するとともに、該プラ
ンジヤを、リツド体の係合部と係合する方向に付
勢する付勢部材と、該付勢部材の付勢力に抗して
リツド体係合部との係合を外す方向に移動させる
遠隔操作部材とを設けて、リツド体を開ける時に
は上記遠隔操作部材の操作によりリツド体係合部
とプランジヤとの係合を解除する一方、リツド体
を閉める時には上記付勢部材の付勢力によりリツ
ド体係合部とプランジヤとを係合させてリツド体
を閉位置にロツクするようにしたものは知られて
いる。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上記従来のものでは、プランジヤが
直接ベース体の貫通孔の内壁に接している関係
上、リツド体開方向への付勢力等の外力がプラン
ジヤに対してその軸方向と交差する方向に作用し
た場合、該プランジヤに大きな摩擦抵抗が生じる
ため、プランジヤの摺動動作が緩慢になつたりあ
るいは全く動かなくなつたりして、プランジヤの
遠隔操作がスムーズに行えずリツド体の開閉が困
難になるという問題があつた。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、上
述の如くベース体の貫通孔内を移動するプランジ
ヤにプランジヤ径よりも大径でプランジヤの軸方
向に転動するローラを設け、該ローラでプランジ
ヤの移動をガイドして摺動抵抗（摩擦抵抗）を低
減するようにすることにより、プランジヤの軸方
向と交差する方向に外力が作用した場合でも、該
プランジヤが遠隔操作でスムーズに移動し得るよ
うにすることを主たる目的とする。

さらに、本考案の目的は、上記遠隔操作部材等
の故障時においても、手動操作される補助用操作
レバーによりプランジヤの軸方向の移動を確保す
るとともに、この補助用操作レバーを利用してプ
ランジヤに対する上記ローラのガイド機能を確実
に行わしめることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、本考案の解決手段
は、車体に開閉自在に取付けられたリツド体を閉
位置にロツクするリツドロツク装置であつて、車
体パネルに取付けられたベース体と、該ベース体
に設けられた貫通孔に該貫通孔よりも小径で貫通
孔の内壁との間に所定間隙をもつて軸方向に移動
自在に嵌挿され、上記リツド体の係合部に係脱自
在なプランジヤと、該プランジヤに回転自在に取
付けられ、プランジヤの径よりも大径に形成され
かつプランジヤに形成された切欠部内に上記リツ
ド体の支軸と平行なピンで軸支され、上記貫通孔
の内壁に当接してプランジヤの軸方向に転動する
ローラと、上記プランジヤをリツド体の係合部と
係合する方向に付勢する付勢部材と、上記プラン
ジヤを上記付勢部材の付勢力に抗してリツド体係
合部との係合を外す方向に移動させる遠隔操作部
材と、上記ベース体にその貫通孔に連通せしめて
設けられプランジヤの軸方向に延びるガイド孔
と、該ガイド孔に摺動自在に係合し、一端が上記
プランジヤに連結され、他端がガイド孔を介して
外部に導出された補助用操作レバーとからなる構
成としたものである。

（作用） このことにより、本考案では、プランジヤの遠
隔操作による後方移動あるいは付勢部材の付勢力
による前方移動は、貫通孔の内壁に直接接するこ
となく、プランジヤの切欠き部内に設けたローラ
が貫通孔内壁に当接して転動することにより行わ
れるので、たとえリツド体等からの外力がプラン
ジヤの軸方向と交差する方向に作用した場合で
も、該プランジヤと貫通孔内壁との間で摩擦抵抗
（摺動抵抗）が増大することはほとんどなく、よ
つてプランジヤの移動をスムーズにかつ確実に行
うことができる。

また、遠隔操作部材等の故障時には、補助用操
作レバーを操作することにより、プランジヤを軸
方向に移動させてリツド体の開閉を行うことがで
きる。

その際、上記ローラの支軸（ピン）はリツド体
の支軸と平行に設けられているので、リツド体か
らプランジヤにその軸方向と交差する方向に作用
する外力を、ローラの外周面が貫通孔の内壁に当
接することによつて確実に受けとめることがで
き、上記プランジヤのスムーズな移動を確保でき
る。しかも、上記ローラが軸支されたプランジヤ
は、補助用操作レバーがガイド孔に摺動自在に係
合していることから回り止めされ、かつ軸方向の
移動が案内されるので、上記プランジヤの軸方向
のスムーズな移動を確実なものとすることができ
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図ないし第４図は本考案の実施例に係る自
動車の遠隔操作式フイラリツドロツク装置を示
し、１はリヤデツキパネル、２はトランクルーム
３の開口部３ａを開閉するトランクリツド、４は
上記開口部３ａの周縁部（図ではその前側を示
す）を構成するパツケージジヤクソンであつて、
該パツケージジヤクソン４は上記リヤデツキパネ
ル１およびトランクリツド２よりも一段低い位置
に設けられ、その一部にてフイラボツクス５を形
成している。

上記フイラボツクス５には給油管６が接続され
ているとともに、該フイラボツクス５の前端部に
は、上記リヤデツキパネル１およびトランクリツ
ド２とほぼ同一面位置にて上記フイラボツクス５
を覆うフイラリツド７がその前端部にて、捩りス
プリング８ｂを有するヒンジ８を介して取付けら
れて、該フイラリツド７を開閉自在にかつ開方向
に付勢せしめるように構成されている。また、上
記フイラリツド７の後端部下面には下端部が前方
に向つて湾曲した係合部９が突設され、該係合部
９にはポンチプレス加工により係止孔１０が穿設
されている。

一方、上記フイラボツクス５には上記係合部９
に対応する位置に、フイラリツド７を閉位置にロ
ツクするフイラリツドロツク装置１１が取付けら
れている。該フイラリツドロツク装置１１は、上
記フイラボツクス５にボルト１２，１２止めによ
り接合されたベース体１３を有している。該ベー
ス体１３は合成樹脂やジユラルミン等の非磁性体
材からなり、その中心には上記フイラボツクス５
内の空間に連通する貫通孔１４が設けられ、該貫
通孔１４には貫通孔１４よりも小径に形成された
磁性体材からなるプランジヤ１５が貫通孔１４内
壁との間に所定の間隙を持つて軸方向に移動自在
に嵌挿されている。該プランジヤ１５の前端面に
は上記係合部９の係止孔１０に係脱自在なロツク
ピン１６が突設されている。

また、上記プランジヤ１５の前部には上下方向
に貫通する矩形状の切欠き部１８が形成され、該
切欠き部１８内には上記貫通孔１４の内壁に当接
してプランジヤ１５の軸方向に転動するローラ１
９が設けられている。該ローラ１９は、プランジ
ヤ１５径より大径の円板状のもので、さらにその
幅は後に述べる補助用操作レバー３０が通過する
ガイド孔３１の幅より大になつている。このロー
ラ１９は上記ヒンジ８の支軸８ａと平行なピン２
０によつて軸支されている。

さらに、上記ベース体１３の後端部には、プラ
ンジヤ１５の貫通孔１４より後方に延出した部分
を覆うカバー体２１が連結されている。該カバー
体２１は、両端にフランジ部２２ａ，２２ａを有
する円管状の内筒２２と外筒２３とを内部に環状
の空間部２４を形成するように嵌合固着するとと
もに、上記内筒２２の後側フランジ部２２ａに円
板状の底板２５を固着することにより構成されて
いる。上記カバー体２１の内部には、プランジヤ
１５の後端面に当接して該プランジヤ１５を上記
係合部９とロツクピン１６とが係合する方向に付
勢するコイルスプリングからなる付勢部材２６が
配設されている。

一方、上記カバー体２１の空間部２４内には電
磁石２７が配設されていて、該電磁石２７に通電
することにより上記プランジヤ１５を、上記付勢
部材２６の付勢力に抗して係合部９とロツクピン
１６との係合を外す方向に吸引移動させる遠隔操
作部材２８を構成している。尚、２９は給油管６
用のキヤツプである。

さらに、３０は一端がプランジヤ１５の前端部
に装着された補助用操作レバーであつて、遠隔操
作部材２８等の故障時、トランクルーム３側から
該操作レバー３０の他端を操作することによりプ
ランジヤ１５の軸方向に移動させ得るようにして
いる。また、３１は、上記操作レバー３０との干
渉を避けるため、ベース体１３に貫通孔１４に連
通せしめて設けられプランジヤ１５の軸方向に延
びるガイド孔であつて、該ガイド孔３１は、操作
レバー３０の両側面と摺動自在に係合してプラン
ジヤ１５の回転を防止する回り止め機能をも併せ
有している。３２はベース体１３の貫通孔１４の
フイラボツクス側開口部１４ａ周縁部にプランジ
ヤ１５前端面に当接可能に形成されたストツパ部
であつて、電磁石２７の非通電時、プランジヤ１
５前端面に当接して該プランジヤ１５前端のロツ
クピン１６の前方への突出量を規制するようにし
ている。

次に、上記実施例の作動について説明するに、
フイラリツド７を開ける場合には、電磁石２７に
通電すると、該電磁石２７の磁力により被吸引部
材１７が吸引されて、プランジヤ１５がベース体
１３の貫通孔１４内を付勢部材２６の付勢力に抗
して後方に移動することにより、該プランジヤ１
５前端のロツクピン１６とフイラリツド７の係合
部９との係合が解除されるので、フイラリツド７
がヒンジ８の付勢力により自動的に開けられる。

その際、上記プランジヤ１５の遠隔操作による
後方移動は、貫通孔１４の内壁に直接接すること
なく、プランジヤ１５の切欠き部１８内に設けた
該プランジヤ１５径よりも大径のローラ１９が貫
通孔１４内壁に当接してプランジヤ１５の軸方向
に転動することにより行われるので、たとえスプ
リング８ｂの付勢力等の外力がプランジヤ１５の
軸方向と交差する方向に作用した場合でも、該プ
ランジヤ１５と貫通孔１４内壁との間で摩擦抵抗
が増大することはほとんどなく、よつてプランジ
ヤ１５の遠隔操作による後方移動をスムーズにか
つ確実に行うことができる。

一方、フイラリツド７を閉める場合には、予
め、電磁石２７への通電を遮断し、付勢部材２６
の付勢力によりプランジヤ１５をベース体１３の
貫通孔１４内を前方に移動させておく。その場
合、上記プランジヤ１５の前端面がベース体１３
のストツパ部３２の当接するまで前方に移動する
と、その前方移動が上記ストツパ部３２により規
制されるため、プランジヤ１５前端のロツクピン
１６はフイラボツクス５内に所定量だけ突出す
る。しかる後、フイラリツド７の後端部をヒンジ
８の付勢力に抗して下方に押圧すると、先ず、上
記ロツクピン１６先端がフイラリツド７係合部９
の下端部湾曲面に当つて、該係合部９からロツク
ピン１６を介してプランジヤ１５に押圧力が作用
するため、該プランジヤ１５はベース体１３の貫
通孔１４内を付勢部材２６の付勢力に抗して一旦
後方に移動したのち、フイラリツド７が閉位置に
まで閉められると、上記係合部９の係止孔１０と
ロツクピン１６とが対向するようになり、プラン
ジヤ１５が付勢部材２６の付勢力によりベース体
１３の貫通孔１４内を逆に前方に移動して、係合
部９とロツクピン１６とが係合し、上記フイラリ
ツド７は閉位置にロツクされる。

その際、上記プランジヤ１５が係合部９からの
押圧力あるいは付勢部材２６からの付勢力により
ベース体１３の貫通孔１４内を前後方向に移動す
るときには、上述のフイラリツド７の開時におけ
るプランジヤ１５の後方移動と同時に、プランジ
ヤ１５は、上記貫通孔１４内壁に当接して転動す
るローラ１９により案内されて、摩擦抵抗を受け
ずに移動するので、上記プランジヤ１５の前後移
動をスムーズにかつ確実に行うことができる。

したがつて、このように、フイラリツド７を開
閉するいずれの場合でも、プランジヤ１５は該プ
ランジヤ１５径よりも大径でプランジヤ１５の軸
方向に転動するローーラ１９の案内により摩擦抵
抗を受けることなく、その前後移動をスムーズに
かつ確実に行うことができるので、フイラリツド
７の開閉操作を容易にかつ確実に行うことがで
き、また、プランジヤ１５を移動させるための付
勢部材２６および電磁石２７は小型のものの使用
が可能となり、フイラリツドロツク装置１１の小
型化およびコストダウン化を図ることができる。

しかも、上記実施例においては、ローラ１９は
プランジヤ１５径より大径の円板状のものであつ
て、該ローラ１９をプランジヤ１５の切欠き部１
８内にフイラリツド７のヒンジ８の支軸８ａと平
行なピン２０で軸支するという極めて簡単な構成
を採つているので、構造がコンパクトとなりコス
ト的に安価に実施することができる。

また、遠隔操作部材２８等の故障時には、補助
用操作レバー３０を操作することにより、プラン
ジヤ１５を軸方向に移動させてフイラリツド７の
開閉を行うことができる。

さらに、上記ローラ１９の支軸（ピン２０）は
フイラリツド７の支軸８ａと平行に設けられてい
るので、フイラリツド７からプランジヤ１５にそ
の軸方向と交差する方向に作用する外力を、ロー
ラ１９の外周面が貫通孔１４の内壁に当接するこ
とによつて確実に受けとめることができ、上記プ
ランジヤ１５のスムーズな移動を確保できる。し
かも、上記ローラ１９が軸支されたプランジヤ１
５は、その補助用操作レバー３０がガイド孔３１
に摺動自在に係合していることから回り止めさ
れ、かつ軸方向の移動が案内されるので、上記プ
ランジヤ１５の軸方向のスムーズな移動を確実な
ものとすることができる。

また、上記実施例では、遠隔操作部材２８を、
通電によりプランジヤ１５を吸引する電磁石２７
で構成したが、本考案は、一端が車室内に設けた
操作レバーに連結されたワイヤの他端をプランジ
ヤに接続し、該操作レバーの操作によりワイヤを
介してプランジヤを引張るようにしてもよいのは
勿論である。

さらに、上記実施例では、フイラリツド７を閉
位置にロツクするフイラリツドロツク装置１１に
ついて説明したが、トランクリツド等その他各種
のリツド体を閉位置にロツクするリツドロツク装
置にも同様に適用できるのは言うまでもない。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の遠隔操作式リツ
ドロツク装置によれば、プランジヤの切欠部にリ
ツド体の支軸と平行なピンで軸支され、該プラン
ジヤ径よりも大径でプランジヤの軸方向に転動す
るローラを設けるという簡単な構成によつてプラ
ンジヤのベース体貫通孔内における軸方向の遠隔
操作による移動をスムーズにかつ確実に行うこと
ができるので、リツド体の開閉操作を容易にかつ
確実に行うことができるとともに、装置自体の小
型化およびコストダウン化を併せ図ることができ
る。

しかも、遠隔操作部材等の故障時には補助用操
作レバーの操作によりプランジヤの軸方向の移動
を確保しながら、該補助用操作レバーとガイド孔
との摺動自在な係合によりプランジヤを回り止め
しかつその軸方向移動を案内するので、プランジ
ヤに対する上記ローラのガイド作用を確実なもの
とすることができ、装置の作動信頼性、安定性の
向上を一層図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を例示するもので、第１
図は自動車のフイラリツド部の全体構造を示す縦
断面図、第２図はフイラリツドロツク装置部分の
一部切開した平面図、第３図はプランジヤ部分の
一部切開した側面図、第４図は第３図の−線
における断面図である。 ７……フイラリツド、８ａ……支軸、９……係
合部、１１……フイラリツドロツク装置、１３…
…ベース体、１４……貫通孔、１５……プランジ
ヤ、１８……切欠き部、１９……ローラ、２０…
…ピン、２６……付勢部材、２７……電磁石、２
８……遠隔操作部材、３０……補助用操作レバ
ー、３１……ガイド孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体に開閉自在に取付けられたリツド体を閉位
   置にロツクするリツドロツク装置であつて、車体
   パネルに取付けられたベース体と、該ベース体に
   設けられた貫通孔に該貫通孔よりも小径で貫通孔
   の内壁との間に所定間隙をもつて軸方向に移動自
   在に嵌挿され、上記リツド体の係合部に係脱自在
   なプランジヤと、該プランジヤに回転自在に取付
   けられ、プランジヤの径よりも大径に形成されか
   つプランジヤに形成された切欠部内に上記リツド
   体の支軸と平行なピンで軸支され、上記貫通孔の
   内壁に当接してプランジヤの軸方向に転動するロ
   ーラと、上記プランジヤをリツド体の係合部と係
   合する方向に付勢する付勢部材と、上記プランジ
   ヤを上記付勢部材の付勢力に抗してリツド体係合
   部との係合を外す方向に移動させる遠隔操作部材
   と、上記ベース体にその貫通孔に連通せしめて設
   けられプランジヤの軸方向に延びるガイド孔と、
   該ガイド孔に摺動自在に係合し、一端が上記プラ
   ンジヤに連結され、他端がガイド孔を介して外部
   に導出された補助用操作レバーとからなることを
   特徴とする自動車の遠隔操作式リツドロツク装
   置。