JPH021414Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は自動車用トランクロツク装置に係り、
特に支軸に回動及びスライド自在に係合されたキ
ヤンセルレバーの軸受孔をその作用点部から力点
部へ臨むべく傾斜して形成することにより、キヤ
ンセルレバーの作動の確実化と切換操作の容易化
を図つた自動車用トランクロツク装置に関する。

［従来の技術的背景及びその問題点］ 自動車のトランクルームを覆う開閉蓋体には、
これを車体に閉蓋状態にロツクするためのロツク
装置が設けられており、このロツク装置としては
トランクルーム内収納物の盗難防止のためにコン
トロールケーブルの引張操作に拘わらずロツクが
解除されないようにした所謂空振機構付きのロツ
ク装置が知られている。

第１図はこの種のロツク装置の一例を示し、車
体側に固定されたストライカーａと、このストラ
イカーａに係合すべく開閉蓋体側に枢支されたロ
ツクレバーｂと、このロツクレバーｂの支軸ｃに
回動及びスライド自在に係合され、上記ロツクレ
バーｂを解除操作すべく車内側からのコントロー
ルケーブルｄを介して回動操作されるキヤンセル
レバーｅとから主に構成されている。上記ロツク
レバーｂにはこれを回動するための力点部たるア
ームｆが形成され、上記キヤンセルレバーｅには
上記アームｆに係合してロツクレバーｂを解除方
向へ回動させるための作用点部たる突起ｇが設け
られていると共に、この突起ｇをアームｆから離
脱させて空振りさせるべく上記支軸ｃに係合しつ
つキヤンセルレバーｅをスライド変位させるため
の軸受孔ｈが形成されている。

ところで、かかる従来のロツク装置にあつて
は、上記軸受孔ｈが上記コントロールケーブルｄ
の張設方向に平行に形成されており、このままで
はケーブルｄを引張すると、これに伴なつてキヤ
ンセルレバーｅもスライド変位してしまい、ロツ
ク解除が困難になる虞れがあるので、軸受孔ｈに
はキヤンセルレバーｅの濫らなスライド変位を防
止するためのストツパーｉが設けられていた。

しかしながら、このストツパーｉはキヤンセル
レバーｅのスライド変位を規制するので、その切
えを困難にする不具合があつた。

［考案の目的］ 本考案は上記実状に着目して創案されたもので
あり、その目的はキヤンセルレバーの作動の確実
化と切換操作の容易化を達成し得る自動車用トラ
ンクロツク装置を提供するにある。

［考案の概要］ 本考案は上記目的を達成するために、キヤンセ
ルレバーの軸受孔をその作用点部から力点部へ臨
むべくコントロールケーブルに対して傾斜して形
成し、支軸との摩擦抵抗によつてキヤンセルレバ
ーのスライド変位を規制するようにしたものであ
る。

［考案の実施例］ 以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第２図において、１はトランクルームの開閉蓋
体に設けられたベースプレート、２はこれに対向
する車体側に起立して固定されたストライカーで
ある。このストライカー２には係合孔３が形成さ
れている。上記ベースプレート１には支軸４を介
してロツクレバー５が回動自在に取付けられ、こ
のロツクレバー５の下端部にはその回動によつて
上記ストライカー２の係合孔３に係合する鉤部６
が形成され、上側部と上記ベースプレート１との
間には鉤部６をストライカー２の係合孔３に係合
させる方向に付勢する付勢手段たる付勢ばね７が
掛け渡されている。また、ロツクレバー５の枢支
部近傍には図示左方向に延出したロツク解除用力
点部たるアーム８が一体形成されている。即ち、
アーム８を付勢ばね７のばね力に抗して押し動か
すことにより、作用点部たる鉤部６がストライカ
ー２の係合孔３から離脱するようになつている。
なお、９はストライカー２をロツクレバー５の鉤
部６に案内するためにベースプレートに形成され
た案内溝である。

一方、上記支軸４にはこれに係合する長孔状の
軸受孔１０を有するキヤンセルレバー１１が回動
及びスライド自在に取付けられている。このキヤ
ンセルレバー１１は逆Ｌ字状片からなり、その上
側の一端が力点部１２を左側に臨んだ他端が作用
点部１３を形成しており、力点部１２には車内側
から導かれたコントロールケーブル１４の端部が
連結されている。このコントロールケーブル１４
は上記ストライカー２の延長線に直角に交わるべ
く図示左方向から導かれて張設され、その引張操
作によりキヤンセルレバー１１を反時計方向へ回
動させるようにしてある。キヤンセルレバー１１
の作用点部１３にはキヤンセルレバー１１を切換
操作するため及びロツクレバー５のアーム８に係
合してこれを押動させるための突起１５が設けら
れている。即ち、この突起１５はキヤンセルレバ
ー１１の回動によつてロツクレバー５のアーム８
に係合してロツクレバー５を回動させ、もつてロ
ツクレバー５の鉤部６をストライカー２の係合孔
３から離脱させるようになつている。また、上記
突起１５は支軸４に平行に設けられ、ベースプレ
ート１を貫通すべく延出形成されており、車体外
側から操作できるようになつている。なお、ベー
スプレート１には突起１５の移動を許容するため
の窓１６が形成されている。また、キヤンセルレ
バー１１の作用点部１３とベースプレート１との
間にはコントロールケーブル１４の張力が解放さ
れた時に突起１５をアーム８から離すべくキヤン
セルレバー１１を復帰させるための復帰ばね１７
が掛け渡されている。

特に、上記軸受孔１０はキヤンセルレバー１１
にその作用点部１３から力点部１２へ臨むべく傾
斜して設けられ、軸受孔１０の延長線は上記コン
トロールケーブル１４の延長線に所定角度で交わ
つている。したがつてコントロールケーブル１４
を引張すると、支軸４が軸受孔１０の内壁に圧接
されることにより摩擦抵抗を生じ、キヤンセルレ
バー１１のスライド変位を規制するようになつて
いる。また、軸受孔１０はその作用点部１３側端
部に支軸４が位置した時突起１５がロツクレバー
５のアーム８と係合し、力点部１２側端部に支軸
４が位置した時突起１５がロツクレバー５のアー
ム８から離脱する長さに設定されている。したが
つて、キヤンセルレバー１１は軸受孔１０の範囲
で支点が移動して、その突起１５がアーム８に係
合する係合位置と、突起１５がアーム８から離脱
する空振位置とに手動操作で切換わるようになつ
ている。

次に実施例の作用を述べる。

コントロールケーブル１４を引張しなければ、
キヤンセルレバー１１が第３図に示すごとく係合
位置にあるのと、第５図に示すごとく空振位置に
あるとにかかわらず、ロツクレバー５はロツク可
能な状態にあり、したがつて開閉蓋体を閉じると
蓋体側のストライカー２の係合孔３にロツクレバ
ー５の鉤部６が係合してロツク状態となる。この
ロツク状態をコントロールケーブル１４の操作に
よつては解除できなくするには、突起１５を摘ん
で車体外部からの操作でキヤンセルレバー１１を
スライド移動させて第５図に示すごとく空振位置
に切換えればよい。この空振位置ではキヤンセル
レバー１１の突起１５がロツクレバー５のアーム
８に係合しないため、コントロールケーブル１４
を引張操作しても第６図に示すようにキヤンセル
レバー１１が空振りするだけで、ロツクレバー５
を回動させることできず、従つてトランクルーム
内収納物の盗難防止が図られることになる。

また、空振位置では支点と力点部１２との間の
距離が短く、且つ支点と作用点部１３との間の距
離長くなるため、復帰ばね１７のばね力に抗して
キヤンセルレバー１１を操作する力が多く必要に
なり、コントロールケーブル１４を引張しにくく
なるので、都合がよい。

次に、開閉蓋体を開けるには、キヤンセルレバ
ー１１を第３図に示すごとく係合位置に切換え
て、コントロールケーブル１４を引張操作すれば
よい。この場合、軸受孔１０がキヤンセルレバー
１１の作用点部１３から力点部１２に臨んで傾斜
して設けられているため、コントロールケーブル
１４の引張に伴う反力Ｎは支軸４から軸受孔１０
の内壁にかかることにより、キヤンセルレバー１
１はその摩擦抵抗によつて濫らなスライド変位が
規制されることになる。したがつて、キヤンセル
レバー１１を介してロツクレバー５を確実に作動
させることができる。

また、上記軸受孔１０は突起部のない形状に形
成されているため、切換操作を円滑に行なうこと
ができる。

なお、上記実施例とは逆に、ベースプレート１
を車体側にストライカー１を蓋体側に設けるよう
にしてもよい。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次のごとき優れた
効果を発揮する。

１ キヤンセルレバーの軸受孔をその作用点部か
ら力点部へ臨むべくコントロールケーブルに対
して傾斜して形成し、その傾斜面と支軸との摩
擦抵抗によつてキヤンセルレバーのスライド変
位を規制するようにしたので、ストツパー等の
規制部材を設けることなくキヤンセルレバーの
スライド変位を防止することができ、作動の確
実化を達成し得る。

２ 軸受孔からストツパー等の規制部材を不要化
することができるので、キヤンセルレバーの切
換操作の円滑容易化を達成し得る。

３ 構造が簡単であるため、製作が容易で、安価
に製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車用トランクロツク装置の従来構
造を示す図、第２図は本考案の一実施例を示す自
動車用トランクロツク装置の斜視図、第３図は同
ロツク状態を示す正面図、第４図はロツク解除状
態を示す正面図、第５図はキヤンセルレバーを空
振位置に切換た状態を示す正面図、第６図は同空
振状態を示す正面図である。 図中、２はストライカー、４は支軸、５はロツ
クレバー、７は付勢手段たる付勢ばね、８はロツ
クレバーのロツク解除用力点部たるアーム、１０
は軸受孔、１１はキヤンセルレバー、１２，１３
はその力点部及び作用点部、１４はコントロール
ケーブルである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トランクルームの開閉蓋体か車体の一方に設け
   られたストライカーと、該ストライカーに係合す
   べく他方に支軸で回動自在に設けられ、ロツク解
   除用力点部を有するロツクレバーと、上記支軸に
   長孔状軸受孔を介してスライド及び回動自在に支
   持され、コントロールケーブルが連結された力点
   部及びスライドでロツク解除用力点部と係合離脱
   する作用点部を有するキヤンセルレバーとを備
   え、上記軸受孔を作用点部から力点部へ臨むべく
   上記ケーブルに対して傾斜して形成したことを特
   徴とする自動車用トランクロツク装置。