JPS641018Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は塗装ブースに係り、特に自動車の車体
等を塗装する比較的大型の塗装ブースの改良に関
する。

塗装ブースにおいては、塗装仕上がりを良好に
維持するために塗装室内における塵埃、塗料粒子
等の浮遊を極力防止すると同時に、作業環境を維
持するために気化有機溶剤を除去する必要があ
り、このため塗装室内に清浄空気を流通させてこ
れら塵埃、塗料粒子及び気化有機溶剤等を排出す
るようにしている。

ところで、このように塗装室内に流通せられる
清浄空気の風速は、従来から塗装室内の各部で均
一になるよう調整されていたが、近年省エネルギ
ー化の要請により必要な部位以外の風速を低下さ
せて塗装ブース全体の必要風量を低減させる新し
い試みが種々提案されている。

第１図はその一例を示し、図中１は塗装ブース
であつて、上方から空調装置（図示せず）からの
空調空気が供給される動圧室２、静圧室３、塗装
室４及び排出処理室５に四分割されている。

６は動圧室２及び静圧室３間に介装されたバツ
クフイルタ、７は静圧室３及び塗装室４間に介装
された所要の空気抵抗を有する整流フイルタであ
つて、整流フイルタ７の下面に空気噴出孔８を有
するカバー９が配設され、該カバー９によつて整
流フイルタ７からの空気を集めて空気噴出孔８か
ら噴出させることにより、所望位置の必要風量を
確保すべく構成されている。

しかしながら、このような構成によると、必要
風量を確保するにはカバー９の整流フイルタ７に
対する開口面積と、空気噴出孔８の開口面積とを
適宜調整しなければならず、その調整が非常に面
倒であると同時に、整流フイルタ７の塗装室４側
にカバー９が設置されているため該カバー９に空
気中の浮遊粒子が付着して落下する虞があるとい
う欠点を有していた。

また、他の例として第２図に示す如く静圧室３
内に整流フイルタ７に対向して空気噴出ダクト１
０を配設し、該空気噴出ダクト１０に塗装ブース
１外に配設されたフアン１１から空気を供給して
必要部位の風速を強制的に増加させる手段も提案
されているが、この場合は空気噴出ダクト１０の
長手方向の風量バランスを正確に維持することが
困難であると同時に、整流フイルタ７上に空気噴
出ダクト１０が配設されているので整流フイルタ
７の交換作業が非常に面倒であるという欠点があ
り、而も外部のフアン１１にバツクフイルタ６に
対応するフイルタを配設しなければならないとい
う不利があつた。

そこで本考案は、塗装ブースの長手方向の風量
バランスを崩すことなく、而も整流フイルタの交
換等の保守点検を容易に行い得ると共に塗装室内
の流通空気に淀みを生じさせない新規な塗装ブー
スを提供することを目的とする。

上記目的を達成するために本考案は、空調空気
が供給される動圧室と、該動圧室にフイルタを介
して連設された静圧室と、該静圧室に所要の空気
抵抗を有する整流フイルタを介して連設された塗
装室とを有する塗装ブースにおいて、前記整流フ
イルタの所望位置にこれを貫通する複数の強制給
気機構が塗装ブースの長手方向に連設され、これ
ら各強制給気機構が前記静圧室内の空気を吸引す
る吸気フアンと、該吸気フアンの空気吐出側に着
脱自在に配設された整流フイルタと、該整流フイ
ルタによつて整流された空気を前記塗装室に噴出
する空気噴出口とから成ることを特徴とする。

以下、本考案を第３図乃至第５図に示す実施例
に基づいて説明する。

第３図は本考案による塗装ブースの一例を示す
断面図、第４図はその強制給気機構の外観を示す
斜視図であり、強制給気機構１５はその空気噴出
口１６が整流フイルタ７を貫通して塗装室４に開
口されて、静圧室３内に所定の単位長で塗装ブー
ス１の長手方向に複数個連設されている。

各強制給気機構１５は、下部が塗装室４に開口
する空気噴出口１６に形成された断面漏斗状の箱
状体１７の上面に静圧室３内に開口する空気取入
口１８が形成され、その下側に吸気フアン１９が
配設されると共に、該吸気フアン１９の空気吐出
側に所要の空気抵抗を有する整流フイルタ２０が
着脱自在に配設された構成からなる。

ここで、各強制給気機構１５の外郭を成す箱状
体１７の長手方向の長さは任意に選定し得るが、
吸気フアン１９によつて吸引される静圧室３内の
空気が整流フイルタ２０から均一に噴出される程
度の長さ、例えば吸気フアン１９が１個の場合は
２〜５ｍ程度、また吸気フアン１９が２個の場合
は５〜10ｍ程度の長さに選定することが最も望ま
しい。

また、箱状体１７はその内部に配設された整流
フイルタ２０の交換及び保守点検を容易にするた
め、整流フイルタ２０の近傍位置で二分割され、
これらが例えば蝶番２１によつて開閉自在に枢着
されている。

なお、図中２２は排気フアンである。

以上が本実施例の構成であり、次にその作用に
ついて説明する。

動圧室２に供給される空調空気は、バツクフイ
ルタ６を通じて静圧室３内に導入される。そして
この静圧室３内に導入された空気の一部は、直接
整流フイルタ７を通じて塗装室４に導入される。

ここで、このように整流フイルタ７を通じて塗
装室４内に導入される空気の風速は、整流フイル
タ７の空気抵抗によつて0.2〜0.5ｍ／sec程度に抑
制される。

一方、静圧室３内に導入された上記以外の空気
は、吸気フアン１９によつて空気取入口１８を通
じて強制給気機構１５内に取り入れられ、整流フ
イルタ２０を通じて空気噴出口１６から塗装室４
内に１〜５ｍ／sec程度の比較的大きな風速で導
入される。これにより、塗装室４内において第３
図に示す如く、中央部の風速が大で両壁面に向か
うに従つてしだいに風速が低下するという風速分
布を形成することができる。

また、塗装室４の中央部の風速を調整するには
吸気フアン１９に可変風量フアンを適用し、その
風量を適宜可変することによつて容易にこれを行
うことができる。

更に、箱状体１７内の整流フイルタ２０の交換
や保守点検等を行う場合には、開閉自在に形成さ
れた箱状体１７を開けることによつて容易にその
作業を行うことができる。

なお、上述の実施例においては、強制給気機構
１５を塗装ブース１内の中央部に配設した場合に
ついて説明したが、これに限らず例えば第５図に
示す如く、所要間隔を以て二列配設してＷ字状の
風速分布を形成するなど、必要に応じて適宜所要
列配設しても良い。

また、箱状体１７の形状は断面漏斗状に限るも
のではなく、断面方形などであつても良い。

更に、吸気フアン１９と整流フイルタ２０と
は、各図に示す如く近接配置する場合に限らず、
両者を離間させてその間をダクトで連通させるよ
うにしても良く、また第５図に示す如く吸気フア
ン１９を箱状体１７の上部に配設しても良い。

以上述べたように本考案によれば、静圧室内に
配設され且つユニツト化された強制給気機構によ
つて塗装室の所望位置の必要風量を確保するよう
にしているので、塗装ブースの長手方向の風量バ
ランスが崩れることがなく、而も整流フイルタの
交換、保守点検等の作業を容易に行い得ると共に
塗装室内に空気が滞留して淀むことがなく塵埃、
塗料粒子等の付着を完全に防止し得るなどの優れ
た効果を有し、省エネルギー化にも資する極めて
有用性の高い塗装ブースを提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ従来の塗装ブース
の例を示す断面図、第３図は本考案による塗装ブ
ースの一例を示す断面図、第４図は強制給気機構
の一例外観を示す斜視図、第５図は本考案の他の
例を示す断面図である。 符号の説明、１……塗装ブース、２……動圧
室、３……静圧室、４……塗装室、６……バツク
フイルタ、７……整流フイルタ、１５……強制給
気機構、１６……空気噴出口、１８……空気取入
口、１９……吸気フアン、２０……整流フイル
タ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 空調空気が供給される動圧室と、該動圧室に
   フイルタを介して連設された静圧室と、該静圧
   室に所要の空気抵抗を有する整流フイルタを介
   して連設された塗装室とを有する塗装ブースに
   おいて、前記整流フイルタの所望位置にこれを
   貫通する複数の強制給気機構が塗装ブースの長
   手方向に連設され、これら各強制給気機構が前
   記静圧室内の空気を吸引する吸気フアンと、該
   吸気フアンの空気吐出側に着脱自在に配設され
   た整流フイルタと、該整流フイルタによつて整
   流された空気を前記塗装室に噴出する空気噴出
   口とから成ることを特徴とする塗装ブース。 (2) 前記各強制給気機構の外郭が開閉自在に形成
   された箱状体から成る実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の塗装ブース。