JP3603255B2 - 垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブース - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブースに関し、更に詳しくは該塗装ブース内で空気整流を形成するために、該空気整流板の透孔の数を、該塗装ブースの反排気側で多くし、排気側に向かうに従って順次少なくし、該塗装ブースの下部の該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク内の洗浄水に気液接触させながら該空気清浄室内に導き、該整流板から該空気清浄室の下部排水口に導かれる空気層流の到着時間を同一とし、浮遊溶剤等を含む汚染気を外部に排出させない垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブースに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
(1)給気の整流をプッシュ・プル型塗装ブースで乱流式層流で処理し、被塗装物に噴射される塗料のオーバ・ミストの巻き上がりを防止する方式が実施されている。
しかし、公知の装置に於いては、送風ファンを有する給気ブースから塗装ブースの天井板に設けられた整流板を介して空気清浄室の下部排気口に導かれる給気垂直送風流の時間が一定でないから、塗料オーバ・ミストの巻き上がりを完全に防止する事が不可能であり、該塗装ブース内の空気の層流に乱れが生じ、排出されるべき溶剤を含む空気の澱みエリアが生じ、従って該塗装ブース内から塗料のオーバ・ミストの飛散を完全に防止する事は困難であった。
【0003】
(2)従来、密閉型乾式塗装ブースに於ては、溶剤等の作業者への飛散、跳ね返り防止手段が取られている。具体的には、スポット・クーラ又は天井パネル面に、給気ブースを設ける実施例が提案されている。しかし、塗装ブース内の空気の流れの調整作業が局所的にしか対処されず、しかも繁雑で長時間を要する欠陥がある。
【0004】
(3)公知のプッシュ・プル型塗装ブースは、前面密閉型としたものが効果的であったが、前面開放型としたものでは余り効果的で無く、又、給気量の調整をする必要があった。
【0005】
(4)公知のプッシュ・プル型塗装ブースに於ては、排気ファンがプッシュ・プル型塗装ブースに直接取付けられているので、該塗装ブース内の騒音が極めて大きく(90〜95dB)、その中でスプレー・ガンを用いて塗装作業をする作業員に相当の負担となった。
そして、公知の塗装ブースに於ては、運転中は塗装スラッジの清掃が出来ないので、塗装装置の運転を中止しなくてはならなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の要旨は、ダンパーを有する給気ブースと、その下部に設けられた塗装ブースと、該給気ブースと該塗装ブースとを区画する整流板とを有する塗装ブース本体と、該塗装ブース本体の下部に設けられたミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンクと、フィルタと、エリミネータと、複数のバッフル板とを有し、下端に排気口を形成した該塗装ブース本体の排気側に設けられた空気清浄室と、該空気清浄室の上部で、それから分離して設けられた排気部と、排気ファンに接続された排気ダクトとから成り;該塗装ブース内で空気整流を形成するために、該空気整流板の透孔の数を、該塗装ブースの反排気側で多くし、排気側に向かうに従って順次少なくし、該塗装ブースの下部の該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク内の洗浄水に気液接触させながら該空気清浄室内に導き、該整流板から該空気清浄室の下部排水口に導かれる空気層流の到着時間を同一とし、浮遊溶剤等を含む汚染気を外部に排出させない事を特徴とする垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブースである。
【0007】
この発明の第2の要旨は、給気ブースと塗装ブースとを区画する整流板に穿設された空気透孔の数を、塗装ブースの反排気側で多くし、排気側に向かうに従って順次少なくした事を特徴とする垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブースである。
【0008】
この発明の第3の要旨は、ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンクに設けるスラッジ清掃口を空気清浄室の外側に位置させ、運転中でも該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク内のスラッジの清掃を可能とした事を特徴とする垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブースである。
【0009】
この発明の第4の要旨は、ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンクから独立して水位計タンクを設け、該水位計タンク内に水位検知センサを設け、ミスト洗浄水の水位が所定基準より低くなった場合、該水位を検知し、自動的に給水して所定基準に保持する事を特徴とする垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブースである。
【0010】
【発明の作用】
従って、この発明に係る垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブースは、給気ブースからの空気整流版の透孔の数を、該塗装ブースの反排気側で多くし、排気側に向かうに従って順次少なくし、該塗装ブース内で空気整流を形成して該塗装ブース下部のミスト洗浄水兼塗料ミスト洗浄水補集タンク内の洗浄水に気液接触させ、渦巻きを形成しながら該空気清浄室内に導き、清浄後排気ダクトから排気し、該空気整流板から該空気清浄室の下部の排気口に導かれる空気整流に層流を形成して到着時間を同一とし、浮遊溶剤等を含む汚染気を外部に排出させない事を特徴とする垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブースである。
【0011】
【実施例】
この出願の特許請求の範囲の請求項1記載の発明に係る垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブースの実施例を図面について説明する。
図1〜7に於て、塗装ブース本体10は、所要容積を有する塗装ブース30と、その上部に一体に設けられたダンパー22を有する給気ブース20と、該給気ブース20と該塗装ブース30とを区画する整流板34(該給気ブース20の底板と該塗装ブース30との天井パネルに対応)、該塗装ブース30の下部に設けられたミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40及び該塗装ブース30の排気側に設けられた空気清浄室50とから成り、該ダンパー22を別に設けた送風ファン(図示せず)に接続する。
【0012】
該塗装ブース30の前板30aに対応する後板30bの下端30cは、該塗装ブース30の地面30dに接近する箇所から外側に向かって部分的に湾曲し、上部から落下する排気層流を該空気清浄室50内に効果的に導びける様にする。
【0013】
請求項2に於て、該給気ブース20と該塗装ブース30とを区画する該整流板34に穿設される空気透孔34a、34a・・の数は、該塗装ブース30の給気側、図面では該前板30a側で多くし、排気側即ち該後板30bに向かうに従って順次少なくし、給気整流される空気に層流を形成し、該空気清浄室50の下部排気口52内に導かれる時間を同一となる様にし、該整流板34上に該空気透孔34a、34a・・を覆う様にフィルタ36を設ける。
【0014】
請求項に於て、該塗装ブース30の該地面30d上約半分の位置から該空気清浄室50を貫通してその外側から所要距離まで該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40を設け、該空気清浄室50から外側に設けられる部分の上部に蓋42を開閉自在に設け、塗料ミスとのスラッジを回収する構成とする。
【0015】
そして、該空気整流板34の該空気透孔34a、34aから送風された空気層流は、該塗装ブース30内に導かれ、該塗装ブース30内で被塗装物Wに向かってスプレー・ガンGからスプレーされた浮遊溶剤(塗料のオーバ・ミスト)と共に該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40を経て該空気清浄室50の該下部排気口51から排気として上方に導かれ、該浮遊溶剤(塗料のオーバ・ミスト)の一部は、該洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40内で洗浄水と渦巻きを形成しながら気液接触するので塗料ミストの該排気口51からのスラッジを回収出来る構成とする。
【0016】
請求項4に於て、該空気清浄室50内には、その内側即ち該後板30bと、それに対応する外板50aにやや下向きに複数のバッフル板52、52を相対して交互に設け、該空気清浄室50内の上部にエリミネータ54を設け、該エリミネータ54の上部にフィルタ(デミスタ)56を設ける。
【0017】
図7に示す通り、該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40から独立して水位計タンク42を設け、該水位計タンク42内に水位検知センサ44を設け、該タンク42内のミスト洗浄水の水位が所定基準より低くなった場合、該水位を検知して自動的に給水して常時所定基準に保持する構成とする。
【0018】
該空気清浄室50の上部で、それと独立して排気部58を設け、該排気部58の排気ファン(図示せず)を回転して排気を外部に排出する構成とする。
【0019】
該空気清浄室50外の上部に、給水部60に循環ポンプ64を介して該タンク40から水を循環させ、該給水部60に、長手方向に一定間隔で散水透孔(図示せず)を穿設したパイプ62を水平に接続し、該空気清浄室50外に該散水透孔から該後板30b面に流水される水を、該バッフル板52、52を介して該空気清浄室50内で下方に導びき、排気と接触させる構成とする。
【0020】
【発明の効果】
(1)請求項1、2記載の垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブース10に於いて、該送風ファンから該ダンパー22を介して該給気ブース20内に導かれた空気は、該空気整流板34の該空気透孔34a、34aを経て該プッシュ・プル型湿式溶剤塗装ブ−ス、該前面開放型湿式溶剤塗装ブ−ス、該塗装ブース30内に導かれるが、該空気整流板34aの数は、該前板30a側で多く、該後板30bに向かって順次少なくなる様に配設されているから該塗装ブース30内で均一な層流となり、作業員MやワークWによる乱流が発生しても、該給気ブース20から該下部排気口51に到達する給気層流の到達時間が同一となり、その結果従来の様に給気量の調整が全く不要となる。
【0021】
(2)従って、該塗装ブース30内で均一な給気層流が発生され、排出されるべき溶剤を含む空気の澱みエリアが生じなくなり、塗料のオーバ・ミストの巻き上がりや、汚染空気の拡散防止を完全に防止する。
【0022】
(3)そして、該送風ファンから該ダンパー22を介して該給気ブース20内に導かれた空気は、該整流板34を経て該塗装ブース30内に導かれ、該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40内のミスト洗浄水と渦巻きを形成し、気液接触しながら該塗装ブース30の該空気清浄室60の該下部排気口52から排気として該空気清浄室50の上方の該排気部58の排気ファンにより排気がプッシュ・プルされて導かれ、該空気清浄室50を経て外部に効果的に導かれる。
【0023】
(4)該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40に於て、該塗装ブース30から該下部排気口51を経て該空気清浄室50に導かれる塗料ミスとを含む層流は、該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40内の水面と気液接触するので塗料ミストが該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40内に導かれ、更に、該層流は、該パイプ62からの流水により、複数の該バッフル板52、52、該エリミネータ54と、該フィルタ(デミスタ)56を介して洗浄され、該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40内に導かれるので、浮遊溶剤等を含む汚染空気を外部に全く排出させない。
【0024】
(5)該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40内に導かれた塗料ミストは、該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40に設けた蓋42を開いて回収出来るので、塗料ミストの回収に該塗装ブース本体10の運転を一々停止させる必要がなくなり、そのまま塗装作業を実施出来るので、作業効率が低下しない。
【0025】
(6)該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク40の該水位計タンク42内に設けた該水位検知センサ44により、該タンク42内のミスト洗浄水の水位が所定基準より低くなった場合、該水位を検知し、自動的に給水して常時所定基準に保持する構成としたので操作が容易となる。
【0026】
(7)該空気清浄室50の上部で、それと独立して該排気部58を設けたので、該排気部58の排気ファンの騒音が、該塗装ブース30内の作業員Mに直接伝わらなくなるので作業環境が格段に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る請求項1記載の垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブースの実施例の一部透視断面正面略図である。
【図2】図1の実施例から排気部を取除いた拡大平面略図である。
【図3】塗装ブース内で作業員が被塗装物にスプレー・ガンから塗料をスプレー中の状態を模式的に示す図2の実施例の111−111線縦断面略図である。
【図4】図2、3に於て、給気ブースの底板で、且つ塗装ブースの天井板を形成する整流板から一枚の整流板を取出した整流板の拡大平面略図である。
【図5】図4の整流板のV−V線縦断面略図である。
【図6】図4の整流板のV1−V1線縦断面略図である。
【図7】図1に於て、ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンクに設けられる水位計タンクと水位検知センサとを示す部分断面略図である。
【符号の説明】
10 ・・・ 塗装ブ−ス本体;
20 ・・・ 給気ブ−ス;
22 ・・・ ダンパー;
30 ・・・ 塗装ブ−ス;
30a ・・・ 前板;
30b ・・・ 後板;
30c ・・・ 下端;
30d ・・・ 地面;
34 ・・・ 整流板;
34a ・・・ 空気透孔;
36 ・・・ フィルタ;
40 ・・・ ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク;
40a ・・・ スラッジ清掃口;
42 ・・・ 蓋;
44 ・・・ 水位検知センサ;
50 ・・・ 空気清浄室;
50a ・・・ 外板;
51 ・・・ 下部排気口;
52 ・・・ バッフル板;
54 ・・・ エリミネータ;
56 ・・・ フィルタ(デミスタ);
58 ・・・ 排気部;
60 ・・・ 給水部;
62 ・・・ パイプ;
64 ・・・ 循環ポンプ;
G ・・・ スプレー・ガン;
M ・・・ 作業員;
W ・・・ ワーク。
Claims (4)
- ダンパーを有する給気ブースと、その下部に設けられた塗装ブースと、該給気ブースと該塗装ブースとを区画する整流板とを有する塗装ブース本体と;
該塗装ブース本体の下部に設けられたミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンクと;
フィルタと、エリミネータと、複数のバッフル板とを有し、下端に排気口を形成した該塗装ブース本体の排気側に設けられた空気清浄室と;
該空気清浄室の上部で、それから分離して設けられた排気部と;
排気ファンに接続された排気ダクトとから成り;
該塗装ブース内で空気整流を形成するために、該空気整流板の透孔の数を、該塗装ブースの反排気側で多くし、排気側に向かうに従って順次少なくし、該塗装ブースの下部の該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク内の洗浄水に気液接触させながら該空気清浄室内に導き、該整流板から該空気清浄室の下部排水口に導かれる空気層流の到着時間を同一とし、浮遊溶剤等を含む汚染気を外部に排出させない事を特徴とする垂直送風流を有する垂直プッシュ・プル型塗装ブース。 - 該給気ブースと該塗装ブースとを区画する該整流板に穿設された空気透孔の数を、該塗装ブース側の反排気側で多くし、排気側に向かうに従って順次少なくした事を特徴とする請求項1記載の垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブース。
- 該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンクに設けるスラッジ清掃口を該空気清浄室の外側に位置させ、運転中でも該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンク内のスラッジの清掃を可能とした事を特徴とする請求項1記載の垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブース。
- 該ミスト洗浄水兼塗料ミスト捕集タンクから独立して設けた水位計タンクを設け、該水位計タンク内に水位検知センサを設け、ミスト洗浄水の水位が所定基準より低くなった場合、該水位を検知して自動的に給水して所定基準に保持する事を特徴とする請求項1記載の垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブース。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family Applications (1)
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JP06374799A Expired - Lifetime JP3603255B2 (ja) | 1999-02-04 | 1999-02-04 | 垂直送風流を有するプッシュ・プル型塗装ブース |
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