JPS639447Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、蓋体あるいは車体のいずれか一方に
固着されるピン部材と、他方に固着され、このピ
ン部材に嵌合する嵌合部材とより成る蓋体のがた
止め装置に関する。

従来の蓋体のがた止め装置の例をあげると、ド
アロツクあるいはストライカにウエツジバンパを
組み込んで巾方向のがた止めを行なつたものや、
別にドアと車体との間にウエツジバンパを介装し
たものなどがあるが、前者は一個所だけでしかも
一方向だけのがた止めのためヒンジやドアの振動
変形等に完全に対処できず、後者は車体精度によ
る影響を受け、がた止めの効果はやはり一方向に
限られており有効でなかつた。

本考案は、上記従来の問題点に着目してなされ
たもので、がた止めの効果が全方向に亘つてあ
り、安定して作用する蓋体のがた止め装置を提供
することを目的としている。

上記目的を達成するため、本考案においては、
蓋体あるいは車体のいずれか一方に固着されるピ
ン部材と、他方に固着され、該ピン部材に嵌合す
る嵌合部材とより成る蓋体のがた止め装置であつ
て、該嵌合部材には、該ピン部材のピンの片側に
摺接する固定係合部が設けられ、該嵌合部材と該
ピン部材とのいずれか一方に、先端方向に付勢さ
れて摺動可能に保持され、前記ピンの片側に対応
する位置に円周に沿つて摺動方向の複数の傾斜突
起が配設されたスライダが設けられ、他方に、該
傾斜突起に当接する傾斜面が設けられていること
を特徴とする蓋体のがた止め装置とし、ピン部材
と嵌合部材とが常に３点で安定して当接するよう
にしたものである。

以下、図面に示す実施例に基づき本考案を説明
する。

第１図乃至第６図は本考案の一実施例を示して
いる。

第１図に示すように、自動車の後部にハツチバ
ツクドアＡがヒンジＡ１により開閉可能に取り付
けられ、車体ＢにドアロツクＢ１がハツチバツク
ドアＡにストライカＢ２が設けられて両者が噛み
合つてドアロツクされる。ハツチバツクドアＡの
両側にピン部材１がハツチバツクドアＡの開閉方
向に突設されている。車体Ｂには該ピン部材を迎
えて嵌合する嵌合部材２が取り付けられている。

ピン部材１はハツチバツクドアＡに固着される
ベースプレート１１に、先端が円錘状をしており
その外周が傾斜面１２をなすと共に基部１３が円
柱状をなすピン１４が突設されて成る。

嵌合部材２は、車体Ｂに固着される固定プレー
ト２１にピン部材１の基部１３より大径の透孔で
ある固定係合部２２が穿設され、その入口には迎
え面２２ａが形成されている。この固定プレート
２１に嵌合筒２３が組み合わされている。嵌合筒
２３内には、付勢バネ２４ａによりピン部材１を
迎える先端方向に付勢され、外周の上下方向に形
成された摺動突起２４ｂ，２４ｂ，２４ｂにより
嵌合筒２３内を上下方向に摺動可能の筒状のスラ
イダ２４が設けられ、スライダ２４の内周には一
方に偏して２個の傾斜突起２５，２５が配設され
ている。さらに、スライダ２４の内側には付勢バ
ネ２６ａにより先端方向に付勢され先端に受け面
２６ｂを有するダンパーピン２６がスライダ２４
内を上下方向に摺動可能に設けられている。

上記構成を有する蓋体のがた止め装置では、ハ
ツチバツクドアＡを閉じると、ピン部材１のピン
１４の先端が嵌合部材２の固定係合部２２へ先ず
進入する。この進入はピン部材１に傾斜面１２が
あり固定係合部２２には迎え面２２ａも設けられ
ているので円滑に進入する。さらに進入すると、
ピン１４の傾斜面１２がスライダ２４の傾斜突起
２５，２５に当接するとともにダンパーピン２６
の受け面２６ｂに当接して両者を付勢バネ２４
ａ，２６ａの付勢力に抗して後端方向へ摺動させ
る。このとき、ピン部材１は傾斜突起２５，２５
の反力により反対側へ押され、ピン１４の基部１
３の片側が固定係合部２２へ押し付けられ、第５
図および第６図に示す状態になり、ハツチバツク
ドアＡは全閉され、ドアロツクＢ１とストライカ
Ｂ２とが噛み合つてドアロツクされる。

この状態では、ピン部材１のピン１４は、基部
１３の片側が固定係合部２２により、傾斜面１２
がこの片側に対向する位置で傾斜突起２５，２５
により保持されている。したがつてピン１４は、
その長手方向との直角方向には方向性が制限され
ることなく全方向に亘つて保持されている。同時
にピン１４の先端がダンパーピン２６に押されて
いるのでドアロツクＢ１とストライカＢ２との噛
み合い関係を一方に突つ張ることになる。

このようにして、ハツチバツクドアＡは、その
面平行方向があらゆる方向に保持されてがた止め
される。また、ダンパーピン２６の作用により開
閉方向もがた止めされる。

なお、ピン部材１と嵌合部材２とはハツチバツ
クドアＡと車体Ｂとの一方と他方とに適宜配され
れば良い。ピン部材１が嵌合部材２に嵌入すると
き偏位方向はハツチバツクドアＡの取付状態によ
り異なるから、固定係合部２２は透孔のいずれか
の位置が形成するようにし、傾斜突起２５はスラ
イダ２４の内周全体に配設して、偏位状態により
そのうちの２個が選択的に傾斜面１２へ当接する
ようにしても良い。

第７図および第８図は本考案の他の実施例を示
している。

ピン部材１ａには円柱状のスライダ支持部１５
の先端に当接部１６を備えたピン１４ａが突設さ
れ、付勢バネ１７ａにより先端方向に付勢され、
先端方向に傾斜した円錘状をなし、外周に一方に
偏して傾斜突起１８，１８が配設されたスライダ
１７がスライダ支持部１５に摺動可能に支持され
ている。嵌合部材２ａは車体Ｂに固着されるフラ
ンジ２１ａを備え、先端側に円錘受面状の傾斜面
２７が形成され後端部が商部２３ａで内周が固定
係合部をなしている嵌合筒２３ｂにより成り、筒
部２３ａの内部の底には、ピン部材１ａの当接部
１６を受け止める弾性材料より成るダンパー部材
２６ｃが充填されている。

本実施例によれば、ハツチバツクドアＡを閉じ
るとき、ピン部材１ａの当接部１６が嵌合部材２
ａの傾斜面２７に集内されて嵌合筒２３ｂ内へ進
入しスライダ１７の傾斜突起１８が傾斜面２７に
当接すると当接部１６の片側が筒部２３ａの内周
の固定係合部２８に当接するとともに、スライダ
１７に対してピン１４ａが摺動してピン１４ａは
筒部２３ａ内にさらに進入しダンパー部材２６ｃ
に当接する。本実施例においても、ピン部材１ａ
は傾斜突起１８，１８および固定係合部２８の３
箇所で支持されるので方向性が制限されることな
く全方向に亘つて安定して保持されている。

本考案に係る蓋体のがた止め装置によれば、ハ
ツチバツクドア、フード等の蓋体がその面平行方
向には方向性が制限されることなく全方向に亘つ
て保持されるので、蓋体ががた付くことなく確実
かつ効果的に保持される。また、ピン部材のピン
が嵌合部材に円滑に進入して適切な保持状態にな
るので、それらの間の組付時の位置合わせが容易
になり組付作業性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第６図は本考案の一実施例を示して
おり、第１図は自動車を後方より見た斜視図、第
２図は、要部を断面で示した斜視図、第３図は嵌
合部材の平面図、第４図は第３図−線位置に
おける嵌合前の状態を示す断面図、第５図は同様
に嵌合状態を示す断面図、第６図は第５図−
断面図、第７図および第８図は本考案の他の実施
例を示し、第７図は嵌合状態の第８図−線位
置の縦断面図、第８図は第７図−断面図であ
る。 １，１ａ……ピン部材、２，２ａ……嵌合部
材、２２，２８……固定係合部、１２，２７……
傾斜面、１８，２５……傾斜突起。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 蓋体あるいは車体のいずれか一方に固着される
   ピン部材と、他方に固着され、該ピン部材に嵌合
   する嵌合部材とより成る蓋体のがた止め装置であ
   つて、 前記嵌合部材には、前記ピン部材のピンの片側
   に摺接する固定係合部が設けられ、 前記嵌合部材と前記ピン部材とのいずれか一方
   に、先端方向に付勢されて摺動可能に保持され、
   前記ピンの片側に対応する位置に円周に沿つて複
   数の摺動方向の傾斜突起が配設されたスライダが
   設けられ、 他方に、前記傾斜突起に当接する傾斜面が設け
   られていることを特徴とする蓋体のがた止め装
   置。