JPS6366485B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は育苗や田植を省力化できるようにした
種籾の直播方法に関する。

(ロ) 従来技術 従来稲を育てるには、水田に直接に播種した
後、種籾を芽干しする方法か、又は育苗した後、
苗を水田に植える方法が行われているが、前者は
芽干しの際にスズメ等の鳥害があり、後者は苗づ
くりや田植の作業に大きな労力を要する。

最近これらの欠点を解決するため、種籾に過酸
化カルシウムをコーテイングし、これを代掻き後
の水田に一定深さに、直接に埋播する湛水土壌中
直播方法（特公昭53−46726号）が提案されてい
る。

(ハ) 発明が解決しようとする問題点 しかし、この直播方法は種籾をコーテイングす
る作業が必要であり、コーテイングの準備および
コーテイング作業に要する手数は少なくない。

本発明者らは上述のような従来法の欠点を完全
に解消し、さらに省力化して育稲の農作業を著る
しく簡易化できる方法として、催芽した種籾と高
吸水性高分子からなるヒドロゲル又はこのヒドロ
ゲルに発芽促進剤を混合したものを土壌に播種す
る種籾の直播方法（特願昭57−105818号）を提案
した。

この先行発明に用いる高吸水性高分子は分子中
にカルボン酸塩を含むもので、自重の数百倍から
千倍程度の水を吸収して膨潤する機能を有し、そ
れ故に先行発明は育稲作業を著るしく簡易化する
ことに成功したのである。

しかし本発明者らのその後の研究によると、高
吸水性高分子がカルボン酸塩（例えばカルボン酸
ナトリウム）を含むため、発芽促進剤として過酸
化カルシウムを混合すると、カルシウムイオンの
影響により高吸水性高分子は膨潤が妨げられて吸
水機能が著るしく低下し、この低下現象は過酸化
カルシウム以外の金属過酸化物や過酸化水素を混
合した場合にも起きることが判明した。

これらの場合に先行発明は多量の高吸水性高分
子を要するから不経済となるだけでなく、均等に
播種しにくい等の問題点を生じた。

本発明はこのような先行発明の問題点に鑑みて
なされたので、催芽した種籾と高吸水性高分子か
らなるヒドロゲルと、発芽促進剤とを混合するこ
となく別々に播くことにより、先行発明の問題点
を解決した。

(ニ) 実施例 本発明は種籾を一定時間流水に浸漬させた後脱
水し、さらに布などに包んだ状態で放置して催芽
させた種籾を用いる。種籾の催芽方法はこれに限
定されないが、根の長さが５〜10mmになるよう催
芽させたものが好ましい。

本発明に用いる高吸水性高分子は、高分子電解
質を物理的又は化学的に架橋させたもので、高分
子電解質の例として分子中にカルボン酸塩を有す
るものが挙げられ、カルボン酸塩の塩基はナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなど
が種籾の発芽や生育上好ましい。

ここに高吸水性高分子を例示すると、デンプ
ン／アクリル酸塩グラフト共重合体、スチレン／
無水マレイン酸塩共重体、架橋ポリアクリル酸塩
重合体、ポリビニルアルコール／無水マレイン酸
共重合体の変性架橋物、ビニルエステル／エチレ
ン不飽和カルボン酸又はその誘導体のケン化物な
どがあり、特にポリアクリル酸ソーダの架橋物、
ビニルエステル／エチレン不飽和カルボン酸のケ
ン化物などの高吸水性高分子は、吸水後の強度が
高いから本発明において使用するのに好ましい。

本発明に用いる高吸水性高分子の形状は特に制
限されないが、粒状ないしフレーク状が良く、こ
の形状の高吸水性高分子は例えば懸濁重合法によ
つて製造することができる。

催芽した芽を傷めないためには、高吸水性高分
子の大きさは100μ以上であることが好ましい。

高吸水性高分子の使用量は播種密度や芽の長さ
などに応じて適宜に選択する。

催芽した種子と高吸水性高分子からなるヒドロ
ゲルに発芽促進剤を加えると、活力の弱い種籾で
も発芽が安定し、苗立率が高くなるから有効であ
る。

発芽促進剤は酸素を供給できる物質で、種籾に
障害を与えないものであればよいが、価格の点か
ら過酸化カルシウムや過酸化水素が好ましい。又
必要に応じてこのヒドロゲルに殺菌剤、殺虫剤な
どの農薬や肥料などを混合してもよい。

本発明における催芽した種籾と高吸水性高分子
は前記の先行発明（特願昭57−105818号）と同じ
であり、発芽促進剤も先行発明のものと同じであ
る。

本発明は催芽した種籾と高吸水性高分子からな
るヒドロゲルと発芽促進剤とを混合さずに別々に
播くことを要旨とし、これにより高吸水性高分子
の過酸化カルシウムなどの金属イオンによる膨潤
障害を解消したのである。

ここで別々に播くとは、発芽促進剤を播いた後
ヒドロゲルを播く方法、ヒドロゲルを播いた後発
芽促進剤を播く方法の何れでもよい。

ここで両者は同一の位置か、出来る限り近くの
位置に播かれなければならない。

播く位置が離れ過ぎていると発芽促進効果が低
下し好ましくないのである。

本発明に係る直播方法は乾田直播、湛水壌中直
播、折衷直播などの直播栽培に適用できるが、栽
培の昇力化を考えると代掻き後の水田に一定の深
さに埋播する湛水土壌中直播が最適である。

(ホ) 発明の効果 その結果本発明においては発芽促進剤として過
酸化カルシウムなどを用いても、高吸水性高分子
が先行発明と同じように自重の数百倍から千倍程
度の水を吸収して膨潤するので、多量の高吸水性
高分子を用いる必要が無い。

本発明においては催芽した種籾と高吸水性高分
子からなるヒドロゲルと発芽促進剤とを混合する
ことなく別々に播くから、発芽促進剤による高吸
水性高分子の膨潤障害が解消し、従つて多量の高
吸水性高分子を用いる必要が無いので経済的価値
は大きい。

又本発明においては育苗作業を著るしく簡素化
することができ、苗立率が高くしかも土壌に根を
降ろすことが出来ない浮き苗や、根の部分が土壌
外に露出してしまつたタコ苗がなく、従来法に比
べて生育が早くかつ収穫も多い等の効果を有する
ものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 催芽した種籾と高吸水性高分子からなるヒド
   ロゲルと発芽促進剤とを混合せずに別々に播くこ
   とを特徴とする種籾の直播方法。 ２ 高吸水性高分子が分子中にカルボン酸塩を含
   む特許請求の範囲第１項に記載の種籾の直播方
   法。 ３ 高吸水性高分子の大きさが100μ以上である
   特許請求の範囲第１項に記載の種籾の直播方法。