JPS6261283B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は種子の催芽方法に関する。 野菜種子や花種子などの播種は農業技術の基幹
的なものであり、従来から数多くの改良がなされ
今日に至つている。 播種作業において種子の発芽率を高めて安定し
た農作物の生産をはかることはきわめて重要なこ
とである。このために、昔から種子を催芽して播
種する方法が行なわれている。例えば、夏まきの
法蓮草はほとんど催芽させて播種する方法が普及
している。従来の催芽方法は一定時間流水に浸漬
させたのち、脱水し、さらに布などで包んだ状態
で放置し催芽させていた。一般に催芽させた種子
は手でまきにくいため、本発明者らは、高吸水性
高分子からなるヒドロゲルに催芽種子を混合し、
機械播種する方法を提案した。（特願昭55−
108494、特公昭60−49443号公報）この新規な播
種方法によると、発芽が早くなり、かつ発芽率も
高くなることが判明している。 また、一般に作物の生育を揃えるためには、播
種する種子の催芽（根の長さなど）を均一に行な
う必要がある。しかしながら、上述のような通常
行なわれている催芽方法では特に硬実種子や発芽
に長時間要する種子の場合には発芽率が低下した
り、あるいは均一に発芽しにくい。 本発明者らは上述の欠点を解決すべき鋭意検討
を行なつた結果、あらかじめ、水に浸漬させた種
子と粒状の高吸収性高分子からなるヒドロゲルを
混合して催芽させることにより解決できることを
見出し本発明に到達した。 本発明に用いられる粒状の高吸水性高分子は高
分子電解質を物理的または化学的に架橋させたも
のである。高分子電解質としては分子中にカルボ
ン酸塩基を有するものが例としてあげられる。塩
としてはナトリウム、カリウム、アンモニアなど
の塩が作物の生育上好ましい。例えば、スチレ
ン／無水マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル
酸塩重合体、ポリビニルアルコール／アクリル酸
塩グラフト共重合体、ビニルエステル／エチレン
系不飽和カルボン酸またはその誘導体のケン化
物、ポリビニルアルコール／無水マレイン酸反応
物、ポリビニルアルコールの架橋物などをあげる
ことができる。 特に、ビニルエステル（Ｘ）としてエチレン系
不飽和カルボン酸またはその誘導体（Ｙ）を主成
分としてＸ：Ｙ＝20：80〜80：20なる範囲のモル
比で構成される共重合体のケン化物、ポリアクリ
ル酸塩重合体、ポリビニルアルコール／アクリル
酸塩グラフト共重合体、ポリビニルアルコールの
架橋物、ポリビニルアルコール／無水マレイン酸
反応物の塩などの分子中に水酸基を有する高吸水
性高分子は吸水後の強度が高いため、本発明に使
用するにふさわしい。 本発明に用いられる高吸水性高分子の形状は粒
状であり、例えば、懸濁重合方法によつて得られ
る。 本発明の種子の催芽方法を具体的に説明する。
あらかじめ種子を流水に一定時間浸漬後水に充分
吸水させた高吸水性高分子のヒドロゲルと均一に
混合する。次にぬれた布袋で外側を包み水分の蒸
発を抑えた状態で催芽させる。 本発明の方法によると、種子の表面がたえずヒ
ドロゲルから放出する水分により適当な水分状態
になり、発芽に好適な条件となる。以上のような
理由により、従来の催芽方法にくらべ、硬実種子
や発芽に長時間要する種子でも発芽率が高くな
り、また均一に発芽させることができる。 また、本発明に用いられる高吸水性高分子のヒ
ドロゲルの使用量は催芽させる種子の種類によつ
て異なるが、ほぼ同容量が適当であり、あまり少
ない場合には効果が少なく、反対に多いと種子の
周囲に対する酸素の供給が不足したり、あるいは
過湿気味になり発芽率が低下する場合がある。 なお、本発明による他の利点は(1)室内での理想
的な環境下で催芽させるため種子の種類により休
眠や低温などによる発芽障害を個有の性質として
持つている種子でも完全に避けることができる。
(2)催芽種子を用いて圃場に播種すると床土の品質
のバラツキや天候の不順などがあつても高い発芽
率と生育性の促進がみられる。(3)種子量が節約で
きる。(4)本発明の方法により催芽させた種子は流
体播種に極めて有効に用いることができる。 以下、実施例によつて、本発明をより具体的に
説明するが本発明はこれに限定されない。 製造例 １ 酢酸ビニル0.7モルとアクリル酸メチル0.5モル
および架橋剤としてエチレングリコールジアクリ
レート0.03モルおよび重合開始剤としてベンゾイ
ルペルオキシド0.02モル混合し、これを分散安定
剤とし部分ケン化ポリビニルアルコール３ｇと
NaCl10ｇを含む水300ml中に分散せしめ65℃で６
時間懸濁重合せしめた。次いで、上記共重合体10
ｇを200mlのメタノール中に分散し、40％KOH水
溶液60mlを添加し、60℃で６時間ケン化した。ケ
ン化度は約91モル％であつた。得られた高吸水性
高分子は直径20〜200μの球状であり、水に不溶
性で550倍の吸水率をもつている。吸水後のヒド
ロゲルの直径は160〜1600μであつた。 製造例 ２ 300mlのフラスコにソルビタンモノステアレー
ト0.9ｇをヘキサン100mlに溶解させた。一方、水
20mlとアクリル酸15ｇと水酸化ナトリウム6.7ｇ
を混合し、更に過硫酸カリウム50mgを加え、アク
リル酸ナトリウム水溶液を調製した。該アクリル
酸ナトリウム水溶液をソルビタンモノステアレー
トを溶解したヘキサン溶液に250rpmで撹拌しな
がら滴下し、撹拌しながら62℃で３時間重合させ
た。重合後過分離して80℃で10時間減圧乾燥さ
せた。得られた高吸水性高分子は直径20〜80μの
球状であり、水に不溶性で450倍の吸水率をもつ
ている。吸水後のヒドロゲルの直径は130〜560μ
であつた。 実施例 １ 製造例１および２によつて得られた高吸水性高
分子を自重の約600倍の水に投入しヒドロゲルを
形成した。あらかじめ種子を流水に10〜15時間浸
漬したのち、脱水し、つぎに種子と同容量のヒド
ロゲルを用いて手でよく混合する。均一に混合し
た種子とヒドロゲルを布袋に入れ、種子の催芽に
適した温度で放置し催芽させる。結果を第１表に
示す。 比較例 １ 実施例１と同様であるが、ヒドロゲルを混合し
て催芽させていない。

【表】 本発明の方法によれば、発芽率は高く、発芽状態
も良好であり、よつて作物の生育性も良好にな
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ あらかじめ水に浸漬させた種子と粒状の高吸
   水性高分子からなるヒドロゲルを混合して催芽さ
   せることを特徴とする種子の催芽方法。