JPS6365852B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は放熱部全面にわたつて均一かつ高温の
ふく射熱放射が得られる燃焼ふく射ストーブに関
する。

【従来技術】

従来のこの種ストーブで石油ストーブに属し、
一般に多用されてなるものが、例えば実公昭54−
44277号公報によつて開示されており、第５図に
略示しているが、燃焼筒５′内で燃焼部４′の上方
に配設した内筒としての触媒層２１からのふく射
伝熱だけによる熱交換であること、燃焼筒５′表
面からの周囲空気への自然放熱が盛んであること
とによつて、外筒である燃焼筒５′の表面温度が
低くなり、従つて、ふく射放熱量が少く、また、
熱到達距離が短いのが問題であつた。 一方、強制給排気式の石油ストーブは第５図
イ，ロに略示しているように、燃焼筒５″の表面
は周囲空気への自然放熱が盛んであり、また、燃
焼部４″の火炎に近い部分と離れた部分とで、ま
た、燃焼ガス流の偏りがあることによつて均一に
加熱され難いため表面温度が約400〜500℃と低く
なる部分が多くなり、かつふく射熱の到達距離も
短かく例えば40℃温度域がせいぜい１〜1.5ｍ離
れた個所まで位になる。 さらに第６図イに示したものは、燃焼筒５″の
全面が光を透過しない金属板からなつていて表面
は単なる耐熱塗装が施されているだけであるか
ら、人体に対し採暖に有効とされる遠赤外線の放
射が少ない欠点が加わるものである。 一方、第６図ロに示したものは、燃焼筒５″の
うち火炎によつて赤熱させたスケレトン２２の側
周部を耐熱透明ガラス筒２３に形成した構造であ
るが、耐熱ガラスは人体の採暖に有効な遠赤外線
を透過し難いために、外方から赤熱部が目視し得
ても単なる視覚的な効果に止まるものであつて第
５図イに図示の装置と大同小異であるに過ぎない
ものである。

【発明の目的】

このように従来のこの種の燃焼ふく射ストーブ
が種々の欠陥を有している実状に対処して本発明
は上記欠陥の解消をはかるべく成されたものであ
り、簡単な構造ながら採暖に有効な高温ふく射熱
放射を多量かつ全面にわたつて均一に得さしめて
暖房効率の向上をはかることを目的とする。

【発明の構成】

しかして本発明は、特に小径部と大径部とが交
互かつ上下に配列していて、斜面部が前記小径
部・大径部間に連なつて存し、燃焼ガス放出用の
小孔が前記斜面部に分散して設けられてなる波型
筒により、燃焼ふく射ストーブにおける燃焼筒の
ふく射放熱部を形成せしめて、前記小孔を、各斜
面部における孔面積合計の比較ではバーナ部に近
い下方側が小となり、小径部を挾む両側に存して
燃焼筒の凹部側で対向する相互間では並列する対
称配列となり、大径部を挾む両側に存して燃焼筒
の凸部側で対向する相互間では喰い違つた千鳥状
配列となるように配設せしめた構成を特徴とする
ものであつて、燃焼ガスを各小孔から均等に放出
することで接触伝熱がよくなると同時に周囲空気
に対する自然放熱を減少することが可能であり、
殊に小孔を燃焼筒の凹部側で対向する相互間では
対称配列となるよう配設したことによつて、吹出
し燃焼ガス同士が衝突拡散して凹部内での高温ガ
ス滞留現象が促進されるために燃焼筒におけるふ
く射放熱部の高温保持作用が促進され、また、小
孔を燃焼筒の凸部側で対向する相互間では千鳥状
配列となるよう配設したことによつて、燃焼筒内
の燃焼ガス流動が均等となつて接触伝熱作用がよ
り助長される結果、総合的にふく射熱量が増大す
るするものであつて、ここに所期の目的は十分に
達成されるに至る。

【実施例】

以下、本発明の１実施例について添付図面を参
照しつつ詳細に説明する。 第１図及び第２図は燃焼ふく射ストーブに属す
るもののうちでガス化バーナ３を備えた石油スト
ーブを例示しているが、本発明に係るストーブと
しては、この他に芯上下式の汎用形石油ストー
ブ、ガスバーナを備えたガスストーブなども包含
されるものである。 図示の石油ストーブは、油タンクを兼ねる架台
１、バーナカバー２、ガス化バーナ３、安全ガー
ド４、燃焼筒５及び天板１０を備え、さらに反射
形では反射板１１

【破線示】を付加して備えてい
る。 ガス化バーナ３は、架台１の油タンク内に貯溜
中の石油

【灯油】をフイルタ１２を介して電磁ポ
ンプ１３により汲上げてポンプ室１５に送り込
み、ポンプ室１５内のポンプによつてさらに気化
器１６に送つてここで霧状に拡散させ、モータ１
４により付勢されるフアン１７を経て気化器１６
に送り込まれた空気と霧状の石油とを混合した
後、燃焼せしめることにより、直立する燃焼筒５
の下部中央に臨ませたバーナ炎口から火炎を勢い
良く、かつ火足の長い状態で燃焼筒５内に噴炎し
得るようになつている。 前記燃焼筒５は周囲の胴部を波型筒により形成
して、これをふく射放熱部となし、ガス化バーナ
３の上部に連結してバーナ炎口を囲繞した配置と
なしている。 この燃焼筒５は第３図に拡大示しているよう
に、小径部６と大径部７とが交互に繰り返して上
下方向に配列していると共に燃焼ガス放出用の小
孔９，９を分散して有する斜面部８が前記小径部
６と大径部７との間に連なつて存しており、丸筒
あるいは多角形筒に形成される。 そして断熱材１８の遮熱板１９と天板２０とで
サンドイツチ状に挾持してなる断熱性頂板により
筒頂部を封塞する一方、下端部は図示しないがバ
ーナ保炎板との隙間を断熱処理して下方部への熱
放散を少なくし得る構造となしている。 しかして、前記小孔９，９…は、燃焼ガス入力
に適合した孔径、孔数を有するよう設けられてい
て燃焼筒５全体としての総開口面積を規定してい
るが、さらにバーナ部３のバーナ炎口に近い下方
の斜面部８が前記断熱性頂板に近い上方の斜面部
８に比して孔面積合計が小となるように小孔９，
９を穿設せしめるものであつて、このように各斜
面部８，８における孔面積合計を一様でなく適当
に増減させることによつて、燃焼筒５内のガス流
損失に見合つた小孔配列とすることが可能であ
る。 上述するような孔面積の増減変化をとる手段と
しては、等径の小孔９，９…の数を増減するか、
各斜面部８，８…について同数でかつ孔径を大小
加減するかによつて簡単に行なえるものであり、
各斜面部８，８…を上、中、下などの上下数個の
グループに区分してグループ単位に小孔９，９…
の孔面積合計を変えるようにすることは好ましい
態様である。 なお、実用的には、燃焼筒５の頂部側において
全高さ寸法に対し略々1/3の範囲の斜面部８，８
に設ける小孔９，９の孔面積を他の部分の斜面部
８，８の孔面積の２倍とすれば目的に叶うことが
実験の結果明らかとなつた。 上記小孔９，９はさらに、小径部６を挾む両側
の斜面部８，８に存して燃焼筒５の凹部側で対向
する相互間では、上下で対向するように並列する
対称配列となして配設せしめており、上段の小孔
９と下段の小孔９とから吹出した高温ガス気流が
相手方の斜面部８に向けて吹出す際に前記凹部内
で衝突した後、乱流拡散し得る如くなしている。 このように、小孔９から吹出した高温ガス気流
を、対向する斜面部８に確実に吹き当てる方向に
規定するには、小孔９，９を斜面部８の円周方向
に延びる中心線に沿つて設けたとした場合に、小
径部６と大径部７との半径差

【△ｒ】を基準とし
て大径部７のピツチ

【Ｐ】が1.0〜2.5×△ｒとな
り、かつ筒内側で対向する斜面部８相互がなす交
叉角

【θ】が10゜〜50゜となるようにすればよい。 また、前記小孔９，９は、大径部７を挾む両側
に存して燃焼筒５の凸部側で対向する相互間で
は、上下に揃わなくて互いに喰い違つた千鳥状の
配列となるように設けるものであつて、かかる配
列となしたことによつて燃焼筒５内の高温燃焼ガ
ス流で上段の小孔９と下段の小孔９とから夫々吹
出すものはガス流層が同じでなく隣り合つた状態
となるものである。 上述の構成を有する燃焼筒５を備えたストーブ
は、ガス化バーナ３を燃料供給下において燃焼運
転させるとバーナ炎口から昇る高温燃焼ガスによ
つて燃焼筒５は全周面が赤熱されて高温になる。 その際第３図及び第４図に示すように、燃焼ガ
スは前記小孔９，９を通して燃焼筒５の周りに放
出されるが、燃焼筒５の内側では上段の小孔９と
下段の小孔９とが千鳥状配列となつているので、
燃焼ガスが燃焼筒５内壁に沿つて上昇する流層は
均等なものとなる結果、接触及び伝導による伝熱
作用で燃焼筒５表面がほゞ均一な高温度となり、
ふく射熱量は増大する。 一方、燃焼筒５の外側では、上段の小孔９と下
段の小孔９とが対称配列となつているので、それ
ら小孔９，９から波型表面の凹部内に放出された
ガスは衝突した後、乱流拡散することとなり、従
つて凹部内に高温ガスが滞溜して外気と接する境
膜を形成することで、燃焼筒５表面が高温ガス雰
囲気中に存し、かつ外気による冷却作用を受けな
くなるので、均一した高温度となりふく射熱量を
高めることとなる。 燃焼筒５が発揮する作用は以上述べた通りであ
るが、該燃焼筒５を耐熱鋼板の外側表面にサンド
ブラスト処理を行なつた後に、セラミツクをコー
テイング処理あるいは溶射処理することによつて
セラミツク薄層を形成してなる表面処理鋼板から
作製することが好ましく、これによつて遠赤外線
の放射効率を向上させ、伝熱到達距離が大で暖房
性能がさらに改善される。 また、上記例とは異なり、酸化皮膜をサンドブ
ラスト処理した外側表面に形成してなる耐熱鋼板
によつて燃焼筒５を作製しても遠赤外線の放射効
率を高めることが可能であり、セラミツク薄層を
表面に有する上記例に比して材料コストの低減が
果せる点も実用面での利点として挙げられる。

【発明の効果】 つづいて本発明の効果を述べると下記の通りで
ある。 (イ) 小孔９，９から燃焼筒５の波型表面における
凹部内に放出されたガスは、対向する斜面部８
に吹き当るまでに衝突して拡散するので凹部内
に高温ガスが滞溜し易くなり、これが外気との
境膜を形成することによつて表面が高温ガス雰
囲気中にあり、かつ外気による冷却を受けない
ので、表面部の温度がより高値となり、さらに
凹部における斜面部８の相互反射によつてふく
射効率が高められるので、ふく射熱量が増えて
同一加熱能力では高さ方向の寸法を縮減してコ
ンパクトな構造とすることができる。 (ロ) 燃焼筒５の波型裏面における凸部内では、上
段の小孔９と下段の小孔９とは千鳥状配列とな
つているので、筒壁に沿つて上昇する高温ガス
は均等な流れとなり、接触及び伝導による伝熱
作用で壁面がほゞ均一に高温となり、さらにふ
く射熱量の増大がはかれる。 (ハ) 小孔９，９から吹出す高温ガスが対向する斜
面部８に直接吹き当らないので部分過熱のおそ
れがなく表面処理剤の変色、劣化を防止して耐
久性の向上が期待される。 (ニ) 燃焼筒５の表面温度が高いので、ふく射熱の
到達距離が長くなり、例えば表面温度を500〜
600℃に保持して40℃温度域を1.5〜２ｍに延長
することが可能となり、人体への有効な暖房が
果される。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の１実施例に係る一
部断面示してなる正面図及び第１図の−矢視
線に沿う平面図、第３図は第１図における燃焼筒
の部分拡大図、第４図は本発明に係る燃焼筒の要
部示展開図、第５図、第６図イ，ロは従来のスト
ーブの各例の略示正面図である。 ３……バーナ部、５……燃焼筒、６……小径
部、７……大径部、８……斜面部、９……小孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 小径部６と大径部７とが交互かつ上下に配列
   していて、斜面部８が小径部６・大径部７間に連
   なつて存し、燃焼ガス放出用の小孔９，９が前記
   斜面部８に分散して設けられてなる波型筒により
   燃焼筒５のふく射放熱部を形成せしめて、前記小
   孔９，９を、各斜面部８，８における孔面積合計
   の比較ではバーナ部３に近い下方側が小となり、
   小径部６を挾む両側に存して燃焼筒５の凹部側で
   対向する相互間では並列する対称配列となり、大
   径部７を挾む両側に存して燃焼筒５の凸部側で対
   向する相互間では喰い違つた千鳥状配列となるよ
   うに配設せしめてなることを特徴とする燃焼ふく
   射ストーブ。 ２ 燃焼ガス放出用の小孔９，９が、燃焼ガス入
   力に適合した孔径、孔数を存して各斜面部８，８
   に設けられている特許請求の範囲第１項記載の燃
   焼ふく射ストーブ。 ３ 波型筒により形成せしめた燃焼筒５のふく射
   放熱部が、耐熱鋼板の外側表面にセラミツク薄層
   を密着して有する表面処理鋼板からなる特許請求
   の範囲第１項または第２項記載の燃焼ふく射スト
   ーブ。 ４ 波型筒により形成せしめた燃焼筒５のふく射
   放熱部が、酸化皮膜を外側表面に有する耐熱鋼板
   からなる特許請求の範囲第１項または第２項記載
   の燃焼ふく射ストーブ。