JPS6363376B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は吸水性・保水性シートに関し、更に詳
しくは比較的吸水性の低い基材に非水系バインダ
ーと高吸水性ポリマー粉末のブレンドからなる塗
工液を適用し、親水性通水性素材と積層サンドイ
ツチ化することで、高度の吸水性及び保水性を有
するシートを提供するものである。 ここで言う吸水性・保水性シートとは、このも
のが水または塩等の水溶液と接した場合に速やか
に水または水溶液を吸収して膨潤し水分を移動し
ない様に保持する性質を有しているシートを意味
する。 従来生理用品、おむつ、使い捨て雑巾、ペーパ
ータオル、医療用ガーゼ等比較的高い吸水能力を
要求される物がある。又壁材・天井材などの建築
用内装材や農業用土壌保持シートもそれぞれ結露
防止や保水力の観点から高い吸水・保水性能が要
求されている。 これらの要求を満たす為に従来から、パルプの
物理的吸水性を利用したシート、あるいはCMC
等の水溶性樹脂を含有した紙等が有るが、高い吸
水性を得る為には坪量を大きく厚くする必要があ
る、あるいは製造工程において水溶性樹脂を一時
的に不溶化処理し抄紙後再度水溶性とする為に酸
及びアルカリでの中和処理を必要とするなど品質
の安定性に問題がある。 更に近年高い吸水・保水能力の要望を満足させ
るために、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポバ
ール、デンプン―ポリアクリロニトリルグラフト
重合体の加水分解物、一部架橋されたデンプン―
ポリ（メタ）アクリル酸共重合体等の水不溶性に
して、かつ大きな吸水性を有する物質が提案され
ているが、これらのほとんどが固着性の低い粉末
であるかもしくは高粘度の液体の為に基材へ適用
することが困難である。更にこれらの基材への適
用方法として、これらの吸水性物質をパルプ等に
そのまま混合・分散してシートとなす方法、ある
いはこれらの吸水性樹脂粉末をポリビニルアルコ
ール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性バ
インダーと共に粉末重量の500〜1000倍の水で分
散液として基材に塗布・含浸する方法等が提案さ
れているが、製造方法に汎用性がない、あるいは
大量の水を蒸発させる為に莫大なエネルギーを必
要とする、更には吸水膨潤した樹脂が基材から脱
落する等多くの問題点を有しているのが現状であ
る。 本発明者らは上記した事情を考慮し、高吸水
性・保水性を有するシートを得る方法について
種々検討を重ねた結果、吸水性ポリマーの粉末の
ほとんどがアルコール、炭化水素系溶剤等の非水
溶媒によつて溶解膨潤せずかつその吸水能力が維
持されるという事実に注目し、非水系バインダー
と高吸水性ポリマー粉末の混合塗工液を基材に塗
布すると共に、この基材と親水性通水性素材を積
層して、吸水性樹脂含有層をサンドイツチ化する
ことによつて、ポリマーの脱落がなくかつ高い吸
水能力を有するシートが得られることを発見し、
更にこれに印刷・塗工・ラミネートの技術を複合
することによつて本発明を完成させたものであ
る。 すなわち、本発明は、基材の片面に部分的に設
けた非水溶媒又は無溶媒の樹脂バインダーに、固
型分比でこの樹脂バインダー100重量部当たり20
重量部以上の水不溶性の吸水性ポリマー微粉末を
混合した塗工液層、および該塗工液層以外の部分
に設けた接着剤層を介して、開口径が前記塗工液
層に用いた吸水性ポリマー微粉末より小さい親水
性通水性素材を積層した吸水性・保水性シートで
ある。 図面の第１図に示すように、本発明のシートに
おいては、基材１はパターン状の接着剤層３によ
つて親水性通水性素材４に接着されており、塗工
液層２はこの三者に囲まれている。 本発明において使用される水不溶性・吸水性ポ
リマーとしてはデンプン―アクリル酸ソーダグラ
フト重合体、デンプン―アクリロニトリルグラフ
ト重合体の加水分解物、一部架橋されたデンプン
―ポリ（メタ）アクリル酸共重合体、一部架橋さ
れたデンプン―ポリメタクリル酸メチルの加水分
解物、及び上記物質の塩等のデンプン―グラフト
重合系のもの、あるいはメタクリル酸メチル―酢
酸ビニル共重合体の加水分解物に代表される架橋
合成樹脂系のもの等があげられるが、基本的には
水溶性高分子を部分架橋し、不溶化したものであ
れば良く、特に限定されるものではない。 これら吸水性ポリマーは一部繊維状で得られる
ものも有るが、本発明においては微粉末として使
用される。その粉末粒径は35Mesh以下好ましく
は100Mesh以下で5μ以上のものが良く形状は球
形に近いものがより好良である。粉末粒径が
35Mesh以上の場合、塗工液の安定性や流動性・
塗工作業性に問題が有り、更に塗布厚が大きくな
る塗布面の平滑性・均一性にかけ後の接着剤の塗
布・積層化に問題がある。又5μ以下の場合取り
扱いが困難で浮遊粒子の補集がむずかしいと共
に、粉末粒子がバインダー皮膜中に埋没してしま
い、本発明の目的とする高い吸水性が得られにく
いといつた欠点が有る。 これら水不溶性・吸水性ポリマー微粉末を混合
分散させる樹脂バインダーとしてはメタノール、
エタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸
ブチル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
類、ｎ―ヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤
等の非水溶媒をベースとする溶液状、デイパージ
ヨン状、非水エマルジヨン状の樹脂液、ウレタン
系オリゴマー等よりなる硬化性無溶媒樹脂液、あ
るいは熱可塑性樹脂の溶融物等が使用される。 樹脂バインダーとしては基本的に水不溶性であ
り例えばポリアミド系樹脂、線状熱可塑性ポリエ
ステル樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体、
環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリプロピレン、ウ
レタン等の１種またはこれらの混合物があげられ
るが、更にこれら樹脂バインダー中にポリビニル
アルコールの部分ケン化物、可溶性デンプン、カ
ルボキシメチルデンプン、酢酸ビニル―無水マレ
イン酸交互共重合体、ヒドロキシプロピルセルロ
ース等の水溶性樹脂及び又は炭酸カルシウム、ケ
イ酸カルシウム等の無機質粉末を樹脂バインダー
100部に対して20部を越えない範囲で添加するこ
とによつて、樹脂皮膜中に分散した吸水性ポリマ
ーへの通水路が得られより大きな吸水性が得られ
る。20部を越える添加は得られたシートを長時間
水と接触吸水させた場合水溶性樹脂が水中に溶け
出すおそれが有り、又塗工液の流動性・塗工作業
性に問題が生ずる。 吸水性ポリマーは樹脂バインダー100部に対し
て少く共20部以上、好ましくは50部以上混合する
ことが必要であり、20部以下の場合吸水性ポリマ
ー粉末のほとんどがバインダー皮膜中に埋没して
しまい、本発明の目的とする高い吸水性は得られ
ない。吸水性ポリマーの添加量は塗工液としての
流動性や塗工作業性及び基材への付着保持性が維
持される範囲であれば大きくすることが可能であ
り特に制限はない。 吸水性ポリマーと樹脂バインダーの混合は通常
の撹拌操作により可能であり、塗工液の安定性、
粘度・流動性・塗工作業性を改善する為に非水系
の分散剤・粘度調整剤、着色剤等の添加剤を加え
て塗工液とされる。 本発明で用いる塗工液は通常溶剤系塗工剤に用
いられる塗工方法が使用できる。本発明の目的と
する部分的な塗布パターンを得る為には印刷に用
いられるグラビア方式を採用することが最も適当
であるが、シルクスクリーン方式、ロールコート
方式も使用可能である。塗工液層２および接着剤
層３の形状としては第２図ａに示すように部分的
に独立したパターン状又は第２図ｂにストライプ
状に塗工し、塗布量としては乾燥後のバインダー
皮膜上に吸水性樹脂粒子が頭を突き出している状
態であれば特に制限はない。塗工液は塗布後乾燥
あるいは硬化あるいは冷却等によつて皮膜化し、
その表面は基本的に非接着性とする。 更にこの様にして部分的に吸水性ポリマーと樹
脂バインダー混合した塗工液層２を部分的に設け
た基材１の塗工液層２以外の部分に、耐水性の接
着剤層３を形成した後、直ちに、吸水性ポリマー
粉末より小さい開口径を有する親水性・通水性素
材４と積層し一体化させる。接着剤は格子状ある
いはストライプ状等、得られた吸水性・保水性シ
ートにおいて、吸水性ポリマーと樹脂バインダー
の混合皮膜が基材、接着剤、親水性・通水性素材
の３者で取りかこまれた形状になる様塗布する事
で吸水により膨潤したポリマーが移動あるいは脱
落せず保水性の高いシートが得られる。 本発明において使用される比較的吸水性の低い
基材は例えば紙、不織布、綿布、木材、プラスチ
ツク、金属、ガラス、石綿などシート状のもので
あれば特に制限はない。又積層すべき親水性・通
水性素材としては吸水性ポリマー粉末より小さい
開口径を有するもので連通孔径は5μ以下のもの
であり、柔軟で伸縮性のあるものが特に好まし
い。例えばステキヒトサイズ度の低い紙、不織布
あるいは布等があるが親水化処理を施こしたポリ
エチレンポリプロピレン等の通水性微多孔フイル
ムあるいは不織布等も使用され得る。 本発明において基材自身も親水性・通水性素材
を用いることによつて両面吸水性の有る吸水・保
水性シートが得られることは自明であり範囲内の
ことである。 以上詳細に述べた様に、本発明を適用すること
によつて種々の効果が得られる。例えば通常市販
されているデンプン―グラフト重合系や架橋合成
樹脂系の吸水性ポリマーは自重の３〜400倍更に
は1000倍もの純水を吸収保水できるが、本発明へ
の適用において低い塗布量でシート重量の数倍
〜数十倍というパルプ等の物理吸水では不可能と
言える高い吸水性シートが得られる。基材及び
積層素材共にプラスチツクフイルムから成る完全
耐水性でかつ高い吸水・保水性能を有するシート
が得られる。特別な装置を必要とせず通常の印
刷・塗工・ラミネート加工機を用いて簡便に作成
し得る。基材及び積層素材の選定が自由であ
り、用途に合わせて様々の風合、形状のものが得
られる等多大の効果・利点が挙げられる。 更に本発明で得られた吸水性・保水性シートは
防腐剤、殺菌剤、防黴剤、香料、脱臭剤等の水溶
性機能薬品のリリースコントロール基材としての
適用が可能であり、又本発明で得られた吸水性・
保水性シートを用いて水産物や青果物等の途剰水
分の吸収あるいはしおれ防止に使用し得る、又本
発明で得られた吸水性・保水性シートを更にベニ
ヤ板へ積層する壁紙として使用することによつて
結露のない壁材や天井材等が得られる等産業上の
利用価値も大きいものである。 以下実施例により本発明を説明するが、本発明
はこれに限定されるものではない。 〈実施例 １〉 架橋アクリル系吸水性樹脂微粉末（アクアキー
プ―4S製鉄化学工業製）の粒径40μ以下を選別し
たものを、熱可塑性線状ポリエステル樹脂（バイ
ロン＃200東洋紡績製）を酢酸エチルに溶解した
バインダー中に混合分散させ、重量固型分比で吸
水性ポリマ／バインダー樹脂＝50／100、液全体
の固型分30％の塗工液を作成し、100／in―60μ
深度の格子状パターングラビア版を用いて、ポリ
エステルフイルム（ルミラー東レ製）12μに部分
的に塗工・乾燥し、その後50／in―100μ深度の
逆格子状パターングラビア版を用いて、ポリエス
テルフイルムの非塗工部分に湿度硬化型一液性ウ
レタン接着剤（AD―339―75T東洋モートン製）
を格子状に塗布し、溶剤（酢酸エチル使用）除却
後無サイズ紙80ｇ／m²（名古屋パルプ製）とドラ
イラミネートして片面吸水性シートを得た。塗工
液の塗布量は4.5ｇ／m²、吸水性ポリマーは1.5
ｇ／m²であつた。 同様にして無サイズ紙の代わりにポリアミド系
不織布50ｇ／m²（ナイロンスパンポンド旭化成
製）及びパルプ―ポリプロピレン混抄不織布57
ｇ／m²（インパルスＫ日本紙業製）をドライラミ
ネートし片面吸水性シートを得た。ブランクとし
てパルプポリプロピレン混抄不織布とポリエステ
ルフイルム12μを上記版及び接着剤を使用して同
様に作成し、その吸水性を比較した。 その結果表―１に示すごとく良好な吸水能力を
示し、基材と素材との剥離等もなくシート形状は
良好に保たれていた。 〈実施例 ２〉 架橋デンプングラフト重合系吸水性樹脂微粉末
（サンウエツト―IM―300―MPS 三洋化成工業
製）、（粒径20〜30μにそろえたもの）を実施例１
で用いたバインダー中に混合分散させ、更にこれ
に花弁形状ケイ酸カルシウム微粉末（フローライ
トR5〜20μ徳山曹達製）をバインダー樹脂に対し
８部添加し、混合分散させ、重量固型分比で吸水
性ポリマー／バインダー樹脂＝100／100、液全体
の固型分32％の塗工液を作成し、100／in―60μ
深度のストライプ状パターングラビア版を用いて
ポリエステルフイルム12μに部分的に塗工・乾燥
し、その後50／in―100μ深度のストライプ状パ
ターングラビア版を用いて、ポリエステルフイル
ムの非塗工部分に湿度硬化型一液性ウレタン接着
剤をストライプ状に塗布し、溶剤除去後、実施例
１と同様に無サイズ紙80ｇ／m²、パルプ―ポリプ
ロピレン混抄不織布57ｇ／m²、ポリアミド系不織
布50ｇ／m²とドライラミネートし、片面吸水性シ
ートを得その吸水性を比較した。 塗工液の塗布量は4.8ｇ／m²、吸水性ポリマー
は2.3ｇ／m²であつた。その結果表―１に示すご
とく実施例１よりも更に大きな吸水能力を示すと
共に、基材と素材との剥離等もなくシート形状は
良好に保たれていた。 【表】

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本発明の実施例を示し、第１図
は吸水性・保水性シートの一部断裁した斜視図。
第２図ａ及びｂは塗工液層と接着剤層の形状を示
す説明図である。 １……基材、２……塗工液層、３……接着剤
層、４……親水性通水性素材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基材１の片面に非水溶媒又は無溶媒の樹脂バ
   インダーに、前記樹脂バインダー100重量部当り
   固型分比で20重量部以上の水不溶性の吸水性ポリ
   マー微粉末を混合した塗工液を部分的に設けた塗
   工液層２および該塗工液層２以外の部分に接着剤
   層３を設け、前記塗工液層２および接着剤層３上
   に前記塗工液層２に用いた吸水性ポリマー微粉末
   より小さい開口径の親水性通水性素材４を積層し
   てなる吸水性・保水性シート。 ２ 塗工液層２が、樹脂バインダーおよび吸水性
   ポリマー微粉末からなる塗工液に無機微粉末を添
   加した塗工液からなる第１項記載の吸水性・保水
   性シート。