JPS63615Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は保冷容器に関し、更に詳しくは予冷終
了後はワンタツチで通気孔の閉鎖が可能で、内部
の冷気を効果的に保持し、適度なクツシヨン性及
び耐水性を備えた新規な保冷箱に関するものであ
る。

今日、野菜の出荷に当つて予冷処理を行なうこ
とは一般的となつてきている。予冷の利点につい
ては品質の安定、遠隔地出荷、出荷の産地調整等
が挙げられており、予冷方法としては真空予冷、
差圧予冷、強制通風予冷が知られている。真空予
冷は野菜からの水分蒸発に伴なう蒸発熱を奪つて
冷却する方法で、極めて早く冷却できるが設備費
が高く、且つ適用品目が限定される欠点がある。
強制通風予冷は冷気をフアンにより容器に吹きつ
けて中の野菜を冷却する方法で、設備費は安いが
冷却に時間が掛り、冷却ムラが出来易いという欠
点がある。更に差圧通風予冷は特別な積荷をして
フアンにより容器の相対する２側面に圧力差を生
じさせ、容器の通気孔を通じて中の野菜の間に冷
気を通して冷却する方法で、積み上げるのにやや
手間を要する欠点はあるが、冷却時間は強制通風
に比べて短かく、また冷却ムラも比較的少なく、
設備費も真空予冷に比べて安いという利点があり
今後益々利用されるものと思われる。しかし乍ら
従来の差圧予冷では通気孔を設けたダンボール箱
が用いられており、従つて予冷後の容器内の温度
上昇が早い、野菜の水分により強度が低下する、
クツシヨン性が乏しいため輸送中の衝撃により野
菜が傷められる等の問題が存在する。また通気孔
を予冷後に閉鎖しようとしても、１個の容器当り
可成りの数の通気孔が設けられており、しかも前
記の通り、冷風が効率的に容器内を通るように工
夫されて積荷されているため、手を差し入れるに
は足場も悪く、その作業は大きな負担を強いるこ
とになり、作業性は極めて低いのが実情である。

本考案はかかる実情に鑑み、予冷後ワンタツチ
で通気孔を閉鎖し、内部の冷気を効果的に保持し
得、適度なクツシヨン性により野菜を傷めること
がなく、更に水分により強度が低下することのな
い保冷箱を提供するものである。

即ち、本考案は発泡合成樹脂からなる蓋体と容
器とからなり、前記容器の側壁に一部を残して切
り込まれた外側舌片と、これに対向し同じく一部
を残して切り込まれた内側舌片とを備え、両舌片
の対向面は相互に僅かに長めに且つ両舌片の間に
適宜間隙が存するように構成され、前記外側舌片
を押し込み前記内側舌片に掛着させることにより
閉鎖し得る構造の保冷箱を内容とするものてあ
る。

本考案を実施態様を示す図面に基づいて説明す
ると、第１図は斜視図、第２図はＡ−Ａ断面図、
第３図は外側舌片を内側舌片に掛着させた状態を
示す断面図である。

これらの図面において、本考案の保冷箱は蓋体
１と容器２とからなり、該容器２の側壁３に外側
舌片４ａとこれと対向し且つ外側舌片４ａよりも
短かい内側舌片４ｂとを備えている。外側舌片４
ａは側壁３の外側寄りに、また内側舌片４ｂは内
側寄りに立設されており、両舌片４ａ，４ｂは相
互に僅かに重なり合う程度に長目に設けられてい
る。かくして、この状態において、外側舌片４ａ
と内側舌片４ｂとの間に通気孔５が形成され、予
冷時においては一方の高圧側の通気孔５より冷気
が容器２内に導通され、他方の低圧側通気孔５よ
り排出される。予冷が終了し、内容物が所定の温
度にまで冷却されると、外側舌片４ａの先端近傍
部を押し込み、第３図に示した如く内側舌片４ｂ
に引つ掛け、通気孔５は閉鎖され、容器２内の冷
気は封じ込められる。通気孔５を再び形成させる
には、内側から外側舌片４ａを押し出すか、外側
から内側舌片４ｂを押し込むかして第２図の状態
に復せば良い。

上例において、外側舌片４ａを内側舌片４ｂと
同様に全体を同一厚みとしても良いが、図示の如
く根本部を太く、先端に向かつてテーパー状の断
面とすることにより先端近傍部はより可撓性に富
み、押し込む操作が容易であり、且つ根本部を太
くしたことにより復元反発力が大きくなり、内側
舌片に掛着後はその強い復元反発力により、強固
に内側舌片と密着するため容器内の冷気の逃散を
阻止する効果がある。更に、図示の如く外側舌片
の先端部を外側面に対して鋭角とし、内側舌片の
先端部を外側面に対して鈍角とすることにより、
両先端角度が略180度対称形となり、外側舌片と
内側舌片とが交叉する際の摩擦が小さくなり、好
都合である。

本考案の保冷箱は発泡合成樹脂からなり、特に
優れた断熱性と適度の剛性を有する発泡ポリスチ
レンが好適である。

本考案は可撓性及び断熱性を有する素材を用
い、相対し且つ適当な間隙を有する２つの内外舌
片を備えたところに特徴がある。従つて、本考案
の保冷箱は矩形に限られず、円形、楕円形、多角
形等のいずれでも良い。また内外両舌片は上記例
に限られず、上下逆に設けても良いし、左右又は
斜めに構成させても良い。また舌片の形状や数に
ついても特に制限されず所望の冷却度に応じて適
宜決定すれば良いが、相対する側壁に設けるのが
好ましい。本考案の保冷箱は野菜のみならず果実
等にも好適であり、更には予冷処理の必要な全て
の対象物に適用できる。

叙上の通り、可撓性、断熱性、クツシヨン性に
優れた発泡合成樹脂を素材とし、２つの舌片を掛
着させることにより容易に通気孔を閉鎖させ、該
掛着を解くことにより容易に開放させ得る構造と
したから、予冷後は簡単に冷気を容器内に封じ込
めることができる。予冷された内容物の昇温は素
材の優れた断熱性により抑制され、輸送中の衝撃
による内容物の損傷は素材の緩衝性により避けら
れ、更には耐水性を有するので内容物からの水分
や雨等によつて強度が低下することもなく、その
実用性は甚々大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施態様を示す斜視図、第２
図はＡ−Ａ断面図、第３図は外側舌片を内側舌片
と掛着させた状態を示す断面図である。 １……蓋体、２……容器、３……側壁、４ａ…
…外側舌片、４ｂ……内側舌片、５……通気孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 発泡合成樹脂からなる蓋体と容器とからな
   り、前記容器の側壁に一部を残して切り込まれ
   た外側舌片と、これに対向し同じく一部を残し
   て切り込まれた内側舌片とを備え、両舌片の対
   向面は相互に僅かに長めに且つ両舌片の間に適
   宜間隙が存するように構成され、前記外側舌片
   を押し込み前記内側舌片に掛着させることによ
   り閉鎖し得る構造の保冷箱。 ２ 外側舌片の先端部が外側面に対して鋭角であ
   り、内側舌片の先端部が外側面に対して鈍角で
   ある実用新案登録請求の範囲第１項記載の保冷
   箱。 ３ 外側舌片がテーパー状の断面を有する実用新
   案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の保冷
   箱。