JPH037333Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は保冷容器に関し、更に詳しくは予冷前
後で積み替えの必要がなく、従つて作業効率が高
く、予冷後は通気孔を効率的に閉鎖し得、保冷時
間の延長を可能とした新規な保冷容器に関するも
のである。

「従来技術と問題点」 今日、野菜の出荷に当つて予冷処理を行なうこ
とは一般的となつてきている。予冷の利点につい
ては品質の安定、遠隔地出荷、出荷の産地調整等
が挙げられており、予冷方法としては真空予冷、
差圧予冷、強制通風予冷が知られている。真空予
冷は野菜からの水分蒸発に伴なう蒸発熱を奪つて
冷却する方法で、極めて早く冷却できるが設備費
が高く、且つ適用品目が限定される欠点がある。
強制通風予冷は冷気をフアンにより容器に吹きつ
けて中の野菜を冷却する方法で、設備費が安いが
冷却に時間が掛り、冷却ムラが出来易いという欠
点がある。更に差圧通風予冷は特別な積荷をして
フアンにより容器の相対する２側面に圧力差を生
じさせ、容器の通気孔を通じて中の野菜の間に冷
気を通して冷却する方法で、積み上げるのにやや
手間を要する欠点はあるが、冷却時間は強制通風
に比べて短かく、また冷却ムラも比較的少なく、
設備費も真空予冷に比べて安いという利点があ
り、今後益々利用されるものと思われる。しかし
乍ら、従来の差圧予冷では通気孔を設けたダンボ
ール箱が用いられており、従つて予冷後の容器内
の温度上昇が早い、野菜の水分により強度が低下
する、クツシヨン性が乏しいため輸送中の衝撃に
より野菜が傷められる等の問題が存在する。また
通気孔を予冷後に閉鎖しようとしても、１個の容
器当り可成りの数の通気孔が設けられており、し
かも前記の通り、冷風が効率的に容器内に通るよ
うに工夫されて積荷されているため、手を差し入
れるには足場も悪く、その作業は大きな負担を強
いることになり、作業性は極めて低いのが実情で
ある。

加えて、差圧予冷にしか適用できず、保冷効
率、保冷時間が短かいため、輸送手段として航空
気保冷庫を使用せざるを得ず、従つて輸送コスト
が高くなる憾みがある。

本考案者は上記問題点を解消せんとして、予冷
後の通気孔の閉鎖が容易で且つ容器内の冷気を効
率的に保持し、適度なクツシヨン性により野菜を
傷めることがなく、更に水分により強度が低下し
ない保冷容器を開発した（実開昭59−198766号）。

上記出願は、第１図に図示せるごとく、発泡合
成樹脂からなる蓋体１と容器１０とからなり、前
記蓋体はその端部に少なくとも２カ所の略垂直に
延設された舌片２を備え、且つ前記容器１０はそ
の側壁に前記舌片２と嵌合する凹状の通気孔１１
を備えるとともに、該容器の前記通気孔１１と対
称的な側壁部の底部寄りに前記舌片２を収容し得
る様に舌片収納部１２を備えてなり、閉蓋時には
蓋体１の舌片２により容器１０の通気孔１１が閉
鎖され、開蓋時には容器下面に仰向けに置いた蓋
体１の舌片２が舌片収納部１２に収容される構造
の保冷容器を内容とするものである。

しかるに、上記の如き構造のものは、収容時に
は野菜を収容した後に先ず蓋をし、予冷時には積
み替え、蓋を容器下面に仰向けに当てがい通気孔
を開いた状態に積み直し、予冷終了後は再度積み
替え、即ち、容器下面の蓋を取り外し、容器上部
より被冠させ、舌片により通気孔を閉鎖し冷気を
容器内に封じ込めた状態で輸送、保管するという
工程を踏まざるを得ない。即ち、予冷時と予冷後
に少なくとも２度の積み替えが必要であり、作業
能率の点では問題を残している。

「問題点を解決するための手段」 本考案は上記門題を解決したもので、野菜収納
時に蓋をし積荷したままで予冷でき、予冷後も積
み替える必要のない極めて作業効率の良い保冷容
器を提案するものである。

即ち、本考案は発泡合成樹脂からなる蓋体と容
器とからなり、前記蓋体は膨出部を備え、該膨出
部には少なくとも２カ所の扉接合部を備えるとと
もに該扉接合部の垂直壁面には係合凸部又は凹部
を備え、前記容器はその側壁に少なくとも２カ所
の切り欠き状通気孔を備えるとともに、枠体を設
けて該枠体内に係合凹部又は凸部を備えた扉を摺
動自在に設け、該扉を上方に摺動させて該扉の係
合凹部又は凸部を前記蓋体の扉接合部に設けられ
た係合凸部又は凹部と係合させ前記通気孔を閉鎖
する構造の保冷容器を内容とするものである。

本考案の実施態様の一例を示す図面に基づいて
説明すると、第２図は斜視図、第３図は長さ方向
の縦断面図、第４図は巾方向の縦断面図、第５図
は扉付近の拡大図、第６図は扉付近の要部拡大断
面図である。

これらの図において、本考案の保冷容器は蓋体
２１と容器３１とからなり、該蓋体２１は容器３
１と内ハメ式に嵌合させるための膨出部２２を備
え、該膨出部２２は相対向する２辺に扉接合部２
３，２３を備えるとともに、該扉接合部２３，２
３の垂直壁面には係合凹部２４，２４が備えられ
ている。該蓋体２１の表側外周に容器３１底部を
収容嵌合させるための凸縁部２５が周設されてい
る。

一方、容器３１の側壁には、蓋体２１の扉接合
部２３，２３と嵌合する切り欠き状通気孔３２，
３２が設けられており、その外側に枠体３３，３
３が突設され、該枠体３３，３３内に扉３４，３
４が摺動可能に嵌め込まれている。該扉３４，３
４は枠体３３，３３の下方に位置するときは、第
２図、第７図に示す如く前記切り欠き状通気孔３
２，３２を閉鎖することがなく、上方にスライド
させた際には、第３図〜第６図に図示せる如く、
切り欠き状通気孔３２，３２を閉鎖するように構
成されている。該扉３４，３４の内壁面上部には
前記蓋体２２の扉接合部２３，２３に設けられた
凹部２４，２４と係合するための凸部３５，３５
が突設されている。扉３４，３４の表側には扉の
開閉操作のための把持部３６，３６が設けられて
いる。

本考案の蓋体２１及び容器３１は上記の如く構
成されているため、予冷中は、第７図に示す如く
扉３４，３４を下部に下げた状態で切り欠き状通
気孔３２，３２より冷気を通過させて野菜等の生
鮮果菜類等の被保冷物を冷却する。

予冷が終了すると、扉３４，３４を把持部３
６，３６を指で把んで上方に引き上げ、扉の凸部
３５，３５と蓋体突起部の凹部２４，２４とをそ
れぞれ係合させて、冷気を容器３１内部に封入し
た状態とする。

第８図及び第９図は、本考案の他の実施態様を
示すもので、第８図は一部切り欠き斜視図、第９
図は長さ方向の縦断面図である。これらの図にお
いて、切り欠き状通気孔３２，３２は壁の内部に
突設され、その外側、即ち、側壁に扉３４，３４
が摺動自在に嵌め込まれている。

第１０図、第１１図はそれぞれ蓋体２１と容器
３１とが外ハメ式に嵌合される構造の実施態様を
示す。

本考案の保冷容器の形状は特に限定されないが
矩形状が好ましく、通気孔は冷気の入口と出口と
少なくとも２個設ける必要があり、相対向する位
置に設けるのが通気効率が良く好都合である。ま
た保冷容器のサイズや厚みは被保冷物の種類や所
望の保冷程度に応じて適宜決定すれば良い。

本考案の保冷容器の発泡合成樹脂としては、例
えば優れた断熱性と適度の剛性を有する発泡ポリ
スチレンが好適である。

「作用・効果」 叙上の通り、本考案の保冷容器は、野菜等を
収納してトラツク等に積み込んだ後は全く積み替
えの必要がなく、扉を上下にスライドさせ開閉す
るだけで予冷及び予冷後の輸送、保管が可能で、
作業能率は極めて高い、真空予冷、強制通風予
冷、差圧予冷等いずれの方式にも好適に適用で
き、従来の段ボール製の保冷容器に比べて保冷効
率及び保冷時間を大巾に向上させることが可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案者が先に出願した保冷容器を示
す斜視図、第２〜第６図は本考案の一実施態様を
示すもので、第２図は斜視図、第３図は長さ方向
の縦断面図、第４図は巾方向の縦断面図、第５図
は扉付近の拡大図、第６図は扉付近の要部拡大断
面図、第７図は予冷中の状態を示す斜視図、第８
図及び第９図は本考案の他の実施態様を示すもの
で、第８図は一部切り欠き斜視図、第９図は長さ
方向の縦断面図、第１０図及び第１１図はそれぞ
れ本考案の更に別の実施態様を示す縦断面図であ
る。 ２１……蓋体、２２……膨出部、２３……扉接
合部、２４……係合凹部、２５……凸縁部、３１
……容器、３２……切り欠き状通気孔、３３……
枠体、３４……扉、３５……係合凸部、３６……
把持部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 発泡合成樹脂からなる蓋体と容器とからな
   り、前記蓋体は膨出部を備え、該膨出部には少
   なくとも２カ所の扉接合部を備えるとともに該
   扉接合部の垂直壁面には係合凸部又は凹部を備
   え、前記容器はその側壁に少なくとも２カ所の
   切り欠き状通気孔を備えるとともに、枠体を設
   けて該枠体内に係合凹部又は凸部を備えた扉を
   摺動自在に設け、該扉を上方に摺動させて該扉
   の係合凹部又は凸部を前記蓋体の扉接合部に設
   けられた係合凸部又は凹部と係合させ前記通気
   孔を閉鎖し得る構造の保冷容器。 ２ 蓋体及び容器が矩形状からなり、前記蓋体の
   相対する２辺に扉接合部を備え、前記容器の相
   対する２つの側壁に切り欠き状通気孔及び扉を
   備えた実用新案登録請求の範囲第１項記載の保
   冷容器。