JP3002878B1 - 発泡合成樹脂成形容器 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 冷気流通による予冷効果を高め、冷凍効率を
向上せしめると共に、内容物の視認をも容易ならしめ
る。 【解決手段】 底面と、該底面外周より起ち上がる側壁
とを有し、上面が開口された四角形状の発泡合成樹脂容
器本体１と、該容器本体の前記上面開口部を蓋止する四
角形状の蓋部材２によって構成し、容器本体１の対向す
る一方の両側壁上面と、該上面に対応する蓋部材の対向
面には互いに嵌着可能な係止部５、６、７、８を設ける
と共に、容器本体の対向する他方の両側壁と該側壁に対
応する蓋部材の両側には互いに摺動可能な構造３、４を
施した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は野菜箱、魚箱などに
使用される発泡合成樹脂製の成形容器に係り、特に冷蔵
庫内で予冷するのに適した上記成形容器に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、魚類や野菜類を収納して冷蔵庫で
保存するために魚箱、野菜箱などの発泡合成樹脂製の成
形容器が広く用いられており、これらは蓋止して送られ
て来るため、内容物を確認し、その内部状況を知見しよ
うとすれば、一々、蓋を開けて確認しなければならない
有様である。そこで、容器の内容物を視認するため蓋な
どに一部、小さな窓を設けることが行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
蓋などに小さな窓を設けたものは内部に収納した内容物
の視認はできるとしても、蓋の開閉のみによる成形容器
では野菜等を収容して冷蔵庫に予冷しようとする場合、
蓋を閉めたまま入れなければならず、折角冷蔵庫内に入
れても成形容器のもつ断熱性により冷蔵庫内の冷気流通
による効果は得ることができず、冷蔵効率上の損失を免
れなかった。

【０００４】本発明は上述の如き実状に対処し、特に蓋
の摺動と係止の併用を見出すことにより蓋を若干ずらし
て冷蔵庫に入れ、断熱保温時、蓋止係止するようにして
冷気流通による予冷効果を高め、冷凍効率を向上せしめ
ると共に、内容物の視認をも容易ならしめることを目的
とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明成形容器の特徴は、底面と、該底面外周より起
ち上がる側壁とを有し、上面が開口された四角形状の発
泡合成樹脂容器本体と、該容器本体の前記上面開口部を
蓋止する四角形状の蓋部材からなり、容器本体の対向す
る一方の両側壁上面と、該上面に対応する蓋部材の対向
面には互いに凹凸嵌着可能な係止部が設けられていると
共に、容器本体の対向する他方の両側壁上部と該側壁に
対応する蓋部材の両側部には互いに係合して所要の摺動
により容器本体内部を視認し得ると共に、容器本体内外
を連通させる通気空隙を形成する摺動可能な構造を施し
た構成にある。

【０００６】請求項２に係る発明は、上記成形容器に更
に改善を加え、互いに係合して摺動可能な構造が施され
た前記容器本体の側壁上部と、これに対する蓋部材両側
部の係合部に所要の摺動位置において容器本体内外を連
通させる通気空隙を位置をずらして設けた構成を特徴と
する。

【０００７】

【作用】上記本発明に係る成形容器は、冷凍にする前の
冷蔵段階において、魚、野菜などを収容して、蓋部材と
容器本体との係止を解き、蓋部材を稍ずらした状態で先
ず内容物の状況を確認した上、冷蔵庫に入れると、ずら
した分による連通空隙を通じて冷蔵庫内の冷気は容器内
に流入し、容器内に収容した魚、野菜等を冷蔵温度に近
づけ、冷凍前の予冷が効果的に行われる。

【０００８】そして、所定の予冷が完了し、その後の工
程に進む場合は、容器を冷蔵庫より取り出し、ずらした
分を元通りにして互いに対合する係止具を嵌着係止させ
ると、容器内部は密閉され、断熱保温下で冷蔵状態を保
持して、冷凍工程、あるいは使用段階に移送される。

【０００９】以上のように蓋部材をずらすことにより内
容物を確認し、冷気の容器内への流入を良好ならしめる
と共に、取り出し後の係止により外部の断熱効果を促す
作用を奏する。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、更に添付図面を参照し、本
発明の具体的な実施の態様を説明する。

【００１１】図１〜図３は本発明成形容器の第１実施例
に係る開放、蓋止め、摺動の各態様であり、これら図に
おいて、１は底面と、該底面の外周より起ち上がる側壁
を有し、上面が開口された四角形状の発泡ポリスチレン
の如き発泡合成樹脂よりなる箱型の容器本体、２は同容
器本体１の上記上面開口部を蓋止めする蓋部材であり、
容器本体１の対向する一方の両側壁上面と、該上面に対
応する蓋部材２の対向面には互いに嵌着して係止し合う
係止部、例えば図において右側では上下凹凸嵌着による
係止部５、６、左側では左右の凸凹鉤止嵌着による係止
部７、８が設けられている。

【００１２】ここで、互いに嵌着する凹凸は側壁全長に
わたる凹凸条でも、また複数に分割された適宜短い長さ
の凹凸条でも、あるいはスポット的に点在する複数の凹
凸であっても容器本体１と蓋部材２との係止を確実に
し、容器内部を外部より遮断状態に保持固定するもので
あれば可能である。また、図示の凹凸係止に限らず、同
様な係止固定が得られれば、適宜、変形することも差し
支えない。

【００１３】一方、３、４は前記容器本体１と蓋部材２
の夫々、前記係止部５、６、７、８を設けた側壁とは異
なる他方の各側壁において、容器本体１側で上部に、蓋
部材２側では下部又は下部内面に互いに摺動し得るよう
設けられた摺動部材であり、図示例では凸条と凹溝の嵌
合摺動による摺動部となっていて、両者の嵌合摺動によ
って摺動構造が形成されている。

【００１４】なお、図示の成形容器においては、蓋部材
２の下向き側壁において、摺動部が蓋部材２の横方向全
長にわたることなく、一方の端部に若干の隙間ａを残し
ているが、これは蓋部材３を容器本体１に対し摺動させ
たときの範囲を規定するストッパー的役割をもたせるた
めである。この隙間ａは内容物確認と、冷気の流入の有
効度を勘案して適宜大きさを選定する。

【００１５】かくして、容器本体１内に野菜、魚などを
収納し蓋部材により完全に蓋止して現地より搬送され、
あるいは現地に発送して夫々完全に蓋止した野菜、魚な
どの容器を受け取ったとき、これを冷蔵庫内に入れるに
際し、蓋部材２を所要範囲でずらすと、内容物が何であ
るか、またどのような状態であるかが確認される。そし
て、この蓋部材をずらしたまま、冷蔵庫に入れると、ず
らした隙間から庫内の冷気が流入し、内容物が冷却され
る。

【００１６】次にこの予め冷却した魚、野菜などを冷凍
に付すとき、あるいは冷蔵庫より取り出し他へ移送する
ときは、ずらした状態を元に戻し、係止部を係止すれば
断熱容器となり、冷気が維持されて効率は向上する。

【００１７】図４及び図５は本発明成形容器の第２の実
施例であり、発泡合成樹脂容器本体１と、該容器本体の
前記上面開口部を蓋止する蓋部材２からなり、容器本体
１の対向する一方の両側壁上面と、該上面に対応する蓋
部材の対向面には互いに嵌着可能な係止部５、６、７、
８が設けられ、かつ、容器本体の対向する他方の両側壁
上部と、該側壁上部に対応する蓋部材の両側部には互い
に係合して摺動可能な構造３、４が施されていることは
前記第１実施例と同様であるが、第２実施例においては
更に前記容器本体１の側壁上部の摺動部３と蓋部材２の
対応する両側摺動部４に蓋部材２が所定の範囲で摺動し
たとき、この摺動によって容器内外を連通させるよう通
気空隙９、１０が位置をずらして設けられている。この
場合は蓋部材２を摺動させることによって摺動ずれによ
る一端部の隙間の外、更に容器本体１と蓋部材２との通
気空隙９、１０の連通によって容器本体１内部と外部と
の通気交流が活発となり、更に冷蔵による予冷効果を向
上させることができる。

【００１８】以上、本発明成形容器の具体的態様につい
て説明したが、本発明は上記説明に限られるものではな
く、その目的を逸脱しない範囲において適宜、改変可能
であることは勿論である。

【００１９】

【発明の効果】本発明は以上のように、四角形状の発泡
合成樹脂容器本体と、蓋部材からなる成形容器におい
て、容器本体の対向する一方の両側壁上面と、該上面に
対応する蓋部材の対向面に互いに嵌着可能な係止部を設
けると共に、容器本体の対向する他方の両側壁と該側壁
に対応する蓋部材の両側に互いに摺動可能な構造を施し
たものであり、従来、蓋部材の開閉のみで内部に収納し
た内容物を視認するときは蓋を開けなければならないと
共に、外部との通気に際しては蓋を開け又は窓あるいは
穴を蓋部材に設ける必要があって、断熱保温効果に難点
があり、冷蔵庫内における予冷などの冷気効率的流通と
内容物の視認の双方の要求を同時に満足できるものは見
られなかったが、本発明は蓋部材の摺動により位置をず
らすのみで、内容物の視認を容易に行うことができると
共に、ずらした状態としてずらした部分の空隙を通じて
冷気の流通を容易ならしめることができるため、前記双
方の要求を同時に満足できる実用上の効果があり、しか
も、位置をずらさないときは係止部によって確実に係止
して容器内の断熱保温を充分保持し得るので、冷凍に先
立ち、冷蔵庫内で予冷する場合の如き予冷効果ならびに
その後の冷凍効率を促進する効用は極めて大きく、従来
の成形容器に比し格段の利点を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明成形容器の第１の実施例に係る蓋部材開
放時の断面図である。

【図２】図１の成形容器の蓋止め時の断面図である。

【図３】図１の成形容器の蓋部材の摺動時の断面図であ
る。

【図４】本発明の第２の実施例に係る成形容器の正面図
である。

【図５】図４の成形容器の蓋部材摺動時の正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 容器本体 ２ 蓋部材 ３、４ 摺動部 ５、７ 容器本体の係止部 ６、８ 蓋部材の係止部 ９ 容器本体の通気空隙 １０ 蓋部材の通気空隙

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底面と、該底面外周より起ち上がる側壁
   を有し、上面が開口された四角形状の発泡合成樹脂容器
   本体と、該容器本体の前記上面開口部を蓋止する四角形
   状の蓋部材からなり、容器本体の対向する一方の両側壁
   上面と、該上面に対応する蓋部材の対向面には互いに凹
   凸嵌着可能な係止部が設けられていると共に、容器本体
   の対向する他方の両側壁上部と該側壁に対応する蓋部材
   の両側部には互いに係合して所要の摺動により容器本体
   内部を視認し得ると共に、容器本体内外を連通させる通
   気空隙を形成する摺動可能な構造が施されていることを
   特徴とする発泡合成樹脂成形容器。
2. 【請求項２】 互いに係合して摺動可能な構造が施され
   た容器本体の側壁上部と蓋部材両側部の係合部には所要
   の摺動によって容器本体内外を連通させる通気空隙が位
   置をずらして設けられている請求項１記載の発泡合成樹
   脂成形容器。