JP2005104567A - 多区画保冷容器 - Google Patents

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Yoshiaki Hachiman
芳明 八幡
Takashi Yuge
尚 弓削
Masayoshi Kishi
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Abstract

【課題】 合成樹脂発泡体からなる保冷容器であって、1つの保冷容器を低温側区画と、高温側区画のごとく、保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な工業的に実用可能な容器は現在まで存在しなかった。
【解決手段】 保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体とからなる保冷容器であって、低温側区画の容器本体の側壁、底面、蓋体のいずれか又はすべての厚みを大きくすると共に、容器を該低温側区画と高温側区画とに区分する隔壁を設けてなる多区画保冷容器。更に、保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体とからなる保冷容器であって、隔壁が容器本体に着脱可能とされている多区画保冷容器を内容とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、合成樹脂発泡体からなる保冷容器に関するものであり、更に詳しくは、低温側区画と、高温側区画のごとく、保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体からなる保冷容器に関する。
ポリスチレン系樹脂等の合成樹脂発泡体からなる容器は、軽量性に富むと共に、断熱性に優れることから、ドライアイス、保冷剤、蓄冷剤や氷等の冷媒を用いた保冷容器として、魚箱、野菜容器等の各種生鮮食品の輸送容器として多用されている。
従って、これら冷媒を用いた保冷容器に関する種々の工夫は、多くの特許、実用新案等に開示されている。例えば、特許文献1では、蓄冷剤を充填した蓄冷体を複数個連接した蓄冷パックを用いて保冷容器内を複数の部屋に仕切り、飲料水を区分して収納する発明が開示されている。
特許文献2では、容器本体の中央部に氷室を隔壁により設け、その氷室両側に製品室を設けた保冷容器が開示されている。
また、特許文献3では、1つの保冷容器で複数の温度帯での保冷を可能とするため、容器側壁の厚みを上下方向で変化させた保冷容器を開示している。
更に、特許文献4では、常温、冷蔵、冷凍食品を詰め合わせて輸送するための包装技術が開示されている。その内容は、外箱の中に内箱を内装した2重包装とし、内箱の上の外箱内空間に常温室を設け、内箱の中に冷蔵室を上に、冷凍室を下にして設けた包装方法、包装箱である。しかしながら、これら包装は、断熱効果が大きい反面、在庫スペースが大きく、美粧性の印刷が困難で、規格外の設計製作コストが過大となる発泡スチロール容器でなく、段ボールおよび板紙製であることを記している。
特開平11−6674号公報(1−13頁) 実用新案登録第3030924号公報(1−4頁) 実開平5−90279号公報(1−3頁) 特開平5−229575号公報(1−7頁)
上記のように、各種の試みはあるが、断熱性能が良好である発泡スチロール製容器を利用し、1つの保冷容器を平面で見た時に仕切りを設けて2区画以上に区画し、それぞれの区画にて、保冷温度の異なる被保冷物を収納して輸送、保管等しようとする試みはなされていない。しかしながら、産地直送便、土産物箱等で、例えば、冷凍品と冷蔵品を1つの保冷容器で送りたいというような要望は非常に多い。
従来は、このような場合には、それぞれ別容器で、一方はドライアイスや低温用蓄冷剤等の冷媒を詰めて冷凍便で、他方は、保冷剤や蓄冷剤等の冷媒を詰めて冷蔵便で、別々に託送するというのが当たり前であった。これは、1つの保冷容器で、異なる保冷温度を維持するのは容易でなく、保冷容器に種々の工夫を施すと必然的に高価なものとなってしまい実用化が困難であったためである。
本発明は、コストを増大させない種々の有効な手段を用いて、上記のごとき課題を解決したものである。すなわち、
(1)保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体とからなる保冷容器であって、低温側区画の容器本体の側壁、底面、蓋体のいずれか又はすべての厚みを大きくすると共に、容器を該低温側区画と高温側区画とに区分する隔壁を設けてなる多区画保冷容器。
(2)保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体とからなる保冷容器であって、隔壁が容器本体に着脱可能とされている多区画保冷容器。
(3)隔壁が容器本体に着脱可能とされている(1)記載の多区画保冷容器。
(4)容器本体の底部及び/又は側壁に、隔壁の挿入可能な溝または突起が設けられ、区画相互の容積が変化できるようにされてなる(2)又は(3)記載の多区画保冷容器。
(5)蓋体内に、隔壁の挿入可能な溝または突起が設けられ、区画相互の容積が変化できるようにされてなる(2)〜(4)のいずれか1記載の多区画保冷容器。
(6)隔壁の密度が該容器本体の密度と異なる(1)〜(5)のいずれか1記載の多区画保冷容器。
(7)隔壁が容器本体に一体成形されており、隔壁の厚さが15mm以上である(1)記載の多区画保冷容器。
(8)隔壁に通気孔を設けてなる(1)〜(7)のいずれか1記載の多区画保冷容器。
(9)1)低温側区画の側壁上端部及び隔壁上端部に冷媒載置用板体を戴架するための凹欠を有する、又は、2)低温側区画の側壁上部近傍及び隔壁に冷媒載置用板体を戴架するための凸部を有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1記載の多区画保冷容器。
(10)1)高温側区画の側壁上端部及び隔壁に冷媒載置用板体を戴架するための凹欠を有する、又は、2)高温側区画の側壁上部近傍及び隔壁に冷媒載置用板体を戴架するための凸部を有することを特徴とする(9)記載の多区画保冷容器。
(11)1)蓋体の低温側区画下部に冷媒収納用空間を設けたこと、又は、2)蓋体の低温側区画下部及び蓋体の高温側区画下部に冷媒収納用空間を設けたことを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1記載の多区画保冷容器。
(12)低温側区画に対応する蓋体部分が上部から嵌挿可能に構成されている(9)〜(11)のいずれか1記載の多区画保冷容器。
(13)高温側区画に対応する蓋体部分が上部から嵌挿可能に構成されている(9)〜(11)に記載の多区画保冷容器。
(14)低温側区画の冷媒としてドライアイスを用いる(1)〜(13)のいずれか1記載の多区画保冷容器。
1つの保冷容器に、例えば、ドライアイスによる、−25℃〜−20℃近辺等の低温での冷凍保冷と、通常の例えば0℃〜5℃乃至7℃近辺等における冷蔵保冷というように、2以上の温度域の被保冷物を収納し、輸送することが可能となるので、産地直送便等において、安価に多種の収容物を合理的に輸送できるようになる。しかもこの保冷容器は構造が簡便であり、コスト的にも充分妥当であり、工業的に極めて有用である。なお、例えば−25℃〜−20℃と−5℃〜0℃というように冷凍温度域で2以上の温度区画とするがごときことも適宜採用可能であることは勿論である。本発明は、ドライアイス等を冷媒として達成できる低温帯(例えば−25℃〜−20℃)と保冷剤等で達成できる高温帯(例えば0℃〜10℃)との間で、適宜の2以上の温度域による多区画の保冷を可能とする。
本発明の保冷容器は、合成樹脂発泡体から成形される。ここでの合成樹脂発泡体とは、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂に発泡剤を含浸させて得られる発泡性合成樹脂を発泡成形して得られる合成樹脂発泡体である。更には、発泡性合成樹脂を経由せず溶融合成樹脂に発泡剤を添加して直接合成樹脂発泡体を得る方法でも良い。
こうした合成樹脂発泡体の内でも、ポリスチレンに代表されるスチレン系樹脂の粒子状のものに、発泡剤を含浸させて得られる発泡性スチレン系樹脂粒子を、水蒸気等の熱媒で予備発泡させた予備発泡粒子を、成形型内に充填し、水蒸気等の熱媒で型内成形して得られるスチレン系樹脂発泡体が、コストや物性の観点から、工業上最も好ましい。
そして、本発明の保冷容器は、保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体からなる。すなわち、本発明の容器は、1つの保冷容器で、より低温側での保冷を要する被保冷物を収納する低温側区画と、より高温側での保冷を要する被保冷物を収納する高温側区画というように、保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能としている。従って、低温側区画、中温側区画、高温側区画というように3区画に分割してもよいし、更に保冷温度を細かく区画出来るように分割してもよい。ただし、多区画にすればするほど、保冷容器が複雑になると共に、各区画の収容容量が低下するので、2区画又は3区画程度が最も合理的である。
以下、本発明の実施態様を図面でもって説明する。
図1は、本発明の一実施態様を示す保冷容器の断面図である。本発明の保冷容器1は、容器本体2とそれに嵌合する蓋体3とよりなる。そして、容器本体2は保冷温度の異なる2以上の区画、例えば、低温側区画Aと、高温側区画Bとに、隔壁4でもって分割可能とされている。容器本体2の側壁5の上端面には嵌合用突起8が設けられており、蓋体3の周縁下部の下端面には嵌合用凹部30が設けられている。この図1の例では、側壁5の上端面に嵌合用突起8、蓋体周縁下部の下端面には嵌合用凹部30を示したが、この凹凸関係は逆でも良い。すなわち、側壁上端面に凹部、蓋体周縁下部の下端面に突起を設けても良い。またこれらの嵌合の凹凸形状は嵌合可能であれば形状は問わない。
また、隔壁4の上端面には嵌合用凸部31と、蓋体3の天板7下部に形成されている蓋体3側隔壁4´の下端面に設けられた嵌合用凹部32とが設けられており、この嵌合用凸部31と、嵌合用凹部32とは互いに嵌合する形状となっている。そして、この場合も、凹凸関係は逆でも良く、嵌合可能であれば凹凸形状は問わない。
容器本体2の側壁5および、底面6は、低温側区画Aの側壁5a、底面6aにおいて、厚みを大きく形成しており、一方、高温側区画Bの側壁5b、底面6bの厚みを小さく形成している。これは、低温側区画における熱伝導を低く押さえて、例えば、ドライアイス、その他冷媒等での約−25℃前後の冷凍保冷温度に良好に保持させるためである。
更に、容器本体の低温側区画Aに対応し、蓋体3の天板7も厚みを大きく形成した低温側区画の天板7aと、容器本体の高温側区画Bに対応し、厚みを小さく形成された高温側区画の天板7bとからなる。低温側区画Aと高温側区画Bについて、容器本体2の側壁5および、底面6、更に蓋体3の天板7の厚みは、個々の容器に要求される保冷温度、保冷時間、保冷量、保冷物量、容器の発泡倍率、容器の周囲環境等に応じて、設計して決定される。
このように容器本体の側壁、底面、蓋体のすべての厚みを大きくするのが低温側区画の断熱性能を高めるのに最も好ましいが、必要に応じ容器本体の側壁又は底面のいずれかの厚みを高温側区画の厚みと同一とする等の変更は適宜実施できることは勿論である。また必要に応じ、蓋体の厚みを高温側区画の厚みと同一とする等の変更は適宜実施できることは勿論である。
隔壁4は、低温側区画Aと、高温側区画Bとの両区画を分割できるように底部6aと底部6b間に突起100、101を設け、両突起間に隔壁4の下部を挿入して立設させる。なお、図1の突起100、101では、突起100に比して、突起101を細く表してあるが、必ずしもこのように大きさを違わせる必要はない。そして、図2に示すごとき別の実施態様では、隔壁4を容器本体2と一体成形し、底部6から直接立設するようにしても良い。
図3に示す別の実施態様では、低温側区画Aと、高温側区画Bのそれぞれに収容する被保冷物の量に応じて、両区画の容積を変化させうるようにしてある。すなわち、突起100、101、102、103、104・・・・を、底部6内面に複数個設け、この突起100、101、102、103、104・・・・間に隔壁4の下部を挿入し、底部6から隔壁4を立設するようにしている。なお、この突起100、101、102、103、104・・・・の代わりに底部6内面に窪みを設け、隔壁4の下部を挿入して隔壁4が底部6から立設させ得る溝を複数個設けることもできる。
一方、蓋体の天板7下面には、容器本体の底部6に対応する位置に、突起110、111、112、113、114・・・・を複数個設けてある。この突起110、111、112、113、114・・・・の代わりに天板7下面に窪みを設け、隔壁4の上部を挿入し、底部6から立設された隔壁4を支持し得る溝を複数個設けることもできる。
この突起や溝は、容器の短辺に対して平行に設けるか、又は容器の短辺に対して、ある角度を持って設けても良い。又は、容器の長辺に対して平行に設けるか、あるいは、容器の長辺に対して、ある角度を持って設けても良い。更に、こうした突起を混在させることもできる。
隔壁4は、立設できるれば良いのであるから、突起に挟んで立設するには2個あればよく、両区画の容積を変化させるには4個以上あればよい。溝の場合には、1個あれば立設でき、両区画の容積を変化させるには2個以上あればよい。ここに、隔壁4を立設する方法については、突起に挟んで立設するのみではなく、底部6や天板7下面に設けた凹凸とこれに嵌合する隔壁4の最下部や最上部の凸凹により立設することもできる。よって、上述したような突起や溝に限定されず、相互に嵌合可能な何らかの凹凸形状を採用できることは勿論である。
隔壁4は、容器本体2と同一の発泡倍率とすることもできるが、異なる発泡倍率とすることもできる。容器本体2と隔壁4の発泡倍率を同一の発泡倍率とした場合には、断熱性能を高めるためには隔壁4の厚みを厚くすれば良く、伝熱性を良くするためには隔壁4の厚みを薄くすれば良い。一方、容器本体2と隔壁4の発泡倍率を異なる発泡倍率とし、隔壁4の断熱性能を高めることにより、隣接する低温側区画Aと高温側区画Bとの温度差を大きく保つことができ、また、隔壁4の断熱性能を低めることにより、低温側区画Aの冷媒の効果を高温側区画Bに効率良く伝達することも可能となる。薄い隔壁は、容器の内容積を増大させうるので好ましい態様である。図1のごとく容器本体2と一体成形されておらず、着脱可能な隔壁である場合には、隔壁4の発泡倍率を自由に選択できるので、隔壁の発泡倍率を容器本体の発泡倍率とは異なる発泡倍率としたい場合には、極めて好ましい態様である。なお、隔壁の厚みを自由に変えたい場合には、突起に挟んで隔壁を立設させたり、溝に挿入して立設させる手段よりも、容器本体2の低部6内面及び天板7下部に設けた凸凹と、隔壁4の最下部や最上部に設けた相互に嵌合する凸凹とにより立設させる方が自由度が増すので好ましい態様といえる。
また、図2のごとく、容器本体2と一体成形されている隔壁4の場合には、例えば、隔壁4の部分に発泡倍率の低い原料(例えば、発泡倍率の低い予備発泡粒子)を充填し、隔壁4以外の部分に発泡倍率の高い原料(例えば、発泡倍率の高い予備発泡粒子)を充填して、型内発泡成形することにより、隔壁4の発泡倍率が低く、容器本体の発泡倍率が高い容器とすることができるので、軽量にして、収容容積の大である経済的に優れた容器が得られる。
この図2では、隔壁4は、容器本体2と一体成形されている隔壁4と、蓋体3の天板7下部に形成されている蓋体3側隔壁4´とで構成されている。この容器本体2側隔壁4の上端面には嵌合用凸部31と、蓋体3側隔壁4´の下端面に設けられた嵌合用凹部32との嵌合により閉蓋して一体となる隔壁4が形成される。
また、図1に示す実施態様では隔壁4の上部(蓋体に近い側)には、低温側区画Aの冷気を高温側区画Bに導入する通気孔9を設けている。そして、この通気孔9は、隔壁4の上部に設けるのが好ましく、通気の効率から複数個設けるのが好ましい。この通気孔9は、低温側区画Aを保冷するドライアイスDや低温度を確保できる種類の蓄冷剤からの冷気を高温側区画Bに導入するのであるが、隔壁4の上部に設けられているので、低温側区画A内で温まった冷気が該低温側区画A内の上部に滞留し、特にドライアイスDを使用した場合には、昇華した炭酸ガスの圧力で高温側区画Bに押し出されることになり、高温側区画Bの温度はこの通気孔9から導入された冷気でもって冷却される。そして、高温側区画Bの温度は、隔壁4の厚み、発泡倍率、隔壁4上部の通気孔9の孔径、孔の数等により影響を受ける。よって、保冷温度、保冷時間、冷媒量、保冷物量、容器の周囲環境等に応じ、それら要件を設計して決める。
そして、図1の実施態様では、低温側区画Aの側壁5aの上端部、および隔壁4の上端部には凹欠10および11が設けられており、この凹欠10、11には、冷媒載置用板体15が戴架されている。冷媒載置用板体15上には、低温側区画Aの冷媒であるドライアイスDや低温度を確保できる種類の蓄冷剤を載置する。なお、図1から図3の冷媒載置用板体15は、冷媒による冷気を発散させるための貫通孔を有する例としての多孔板を記した。これは、冷媒載置用板体15が保冷容器と同様に発泡体であり、断熱性能を持つ場合には、貫通孔を有するものが好ましいからである。しかし、冷媒載置用板体15が非発泡体で伝熱性のある程度高い通常の合成樹脂等で成形されている場合には、必ずしも貫通孔を有さなくとも冷媒による冷却は可能である。
図2の実施態様では、低温側区画Aの側壁5aの上部近傍、および隔壁4の上部近傍には凸部21および22が設けられており、この凸部21、22には、冷媒載置用板体15が戴架されている。冷媒載置用板体15上には、同じくドライアイスDや低温用蓄冷剤を載置する。そして、高温側区画Bの側壁5bの上部近傍、および隔壁4の上部近傍には凸部23および24が設けられており、この凸部23、24には、冷媒載置用板体16としての多孔板が戴架されている。冷媒載置用板体16上には、高温側区画Bの設定温度に適したを保冷剤Rを載置する。なお、高温側区画Bの側壁5bの上部近傍、および隔壁4の上部近傍に設けた凸部23および24の代わりに、図1のごとき側壁5bの上端部、および隔壁4の上端部には、図1に示したごとき凹欠を設けることが出来ることは当然である。なお、この図2の実施態様では、通気孔9を設けていない例が示されている。
冷媒としてのドライアイスDから昇華して発生する炭酸ガスは、酸素に比して、発泡ポリスチレン樹脂を通しての透過性はかなり大きいので、炭酸ガスの排気については、余り留意しなくともよいとされている。
しかし、図2のごとく隔壁4の上部近傍に通気孔9を設けない場合において、低温側区画Aに充満する炭酸ガスを適当に排気したいときには、図2に示すごとく側壁5aの上部と蓋体との嵌合部分に設けた排気スリット12から容器外に排気することも出来る。なお、低温側区画Aの冷媒としてドライアイスDを使用せず、目的の低温度を確保できる種類の蓄冷剤等を用いる時には、ドライアイスDの昇華による炭酸ガスの発生はない。
図1や図2では、被保冷物を容器内に収納した後、冷媒載置用板体15や冷媒載置用板体16を側壁や隔壁に設けた凹欠10,11や凸部21,22,23,24上に載架し、閉蓋した後において、低温側区画A用のドライアイスD、蓄冷剤等の冷媒や、高温側区画B用の保冷剤R、蓄冷剤等の冷媒を、容器内に収められるように、蓋体に嵌挿可能な開閉部13a、13bを設けたる例が示されている。開閉部13a、13bは、蓋体3の天板7を矩形に切り取った形状であり、開閉部13a、13bの周辺部に段部x、yを設け、嵌挿を確実にして、使用時の脱落を防止するのが好ましい態様である。
上記の例に対し、蓋体3に冷媒収納用空間を設けた例を次に示す。この場合においては、冷媒収納用空間内に冷媒を収容した蓋体を用意しておけば、被保冷物を容器内に収納したら直に、閉蓋すれば使用できることになる。
例えば、図4は、図2に示した実施態様の変形であって、ドライアイスD、蓄冷剤、及び保冷剤R等の冷媒を、冷媒載置用板体を側壁上部近傍及び隔壁に設けた凸部に載架するのではなく、他の方法により冷媒を収容する例を示す。例えば、周縁に複数の凹凸の係止部18を設けた冷媒載置用の冷媒受け板17を用意し、更に、蓋体の周縁下部には、該冷媒載置用の冷媒受け板17の周縁に設けた複数の凹凸の係止部18と嵌合する複数の凹凸の係止部18´を設け、両係止部18、18´を挿入、係止させることにより、ドライアイスDや保冷材Rを冷媒載置用の冷媒受け板17と、蓋体の天板下部とで形成される冷媒収納用空間内に収容する。
この両係止部18、18´を挿入、係止させた状態は、蓋体裏面を表にひっくり返して図示した平面図である図5に表される。そして、この図4、図5で示される実施例では、冷媒を蓋体の天板下部に収容した後、冷媒受け板17周縁の係止部18と、蓋体周縁下部の18´を嵌合、固定して、閉蓋すると、冷媒受け板17周縁の凸部分18は、容器本体の側壁上部に載架する形で支持されることになるので輸送中に冷媒受け板17が落下してしまう恐れが無く好ましい。なお、図4に示す冷媒受け板17には、冷気を通過させる貫通孔を設けた例を開示しているが、冷媒受け板17の貫通孔は必須ではない。冷媒受け板17が容器と同じように発泡体であり、断熱性能を持つ場合には、貫通孔を有するものが好ましいが、冷媒受け板17が非発泡で伝熱性のある程度高い通常の合成樹脂等で成形されている場合には、必ずしも貫通孔を有さなくとも冷媒による冷却は可能である。図5には、容器本体の側壁上端面に設けられた嵌合用突起8に係合する蓋体裏面周縁の下端面に嵌合用凹部30が示されている。また、容器本体側の隔壁4に嵌合する、蓋体側の隔壁4´が表されている。さらに、容器本体側の隔壁4の上端面に設けられた嵌合用凸部31に係合する蓋体側の隔壁4´の下端面に設けられた嵌合凹部32も示されている。
図6は、図3に示した実施態様の容器本体の平面図を示すものであって、低温側区画Aと高温側区画Bとを区画するため、隔壁4を立設する突起100、101、102、103、104を、底部6に設けてある。そして、この突起100、101、102、103、104は、底部6から側壁5に連続して設けられた例が図示されている。しかし、隔壁4が立設出来ればよいのであって、必ずしもこれら突起は底部6から側壁5に繋がって連続している必要はなく、所々非連続で繋がっていなくとも良い。また、底部6に突起を設け、側壁5には突起を設けないこともありうる。また、側壁5に突起を設け、底部6には突起を設けないこともありうる。図6に図示したように底部6から側壁5に連続して設けられた場合には、隔壁4の立設が安定しており、かつ、隔壁4と底部6、側壁5との間の隙間の形成が防止でき、断熱が効率的になされるので最も典型的で好ましい例である。図6では、突起102と103の間に隔壁4が立設されれた例が示されている。側壁5aには、冷媒戴置用板体を戴架させるための、凸部21が、側壁5bには凸部23が設けられている。また、隔壁4には、同目的のための凸部22、24が設けられている。
隔壁4は、図7に示すように、中空部50を有する形状とすることにより断熱性能を向上させることも可能である。隔壁4にどのような形状の中空部50を設けるか、いかなる手段によって中空部50を設けるかについては、既存の形状、既存の成形方法のいずれもが使用できる。例えば、隔壁4を4a、4bの2部分に分割して成形し、それぞれの部分に設けた凸51、凹52の嵌合により形成させうる。
図8は、図7に示すのとは異なる別の隔壁4の一例を表す。この隔壁4は、上部のみ中実であって、中間部および下部は全て中空部50となっている。そして隔壁4下部を容器本体2の底部6に設けた100、101、102、103、104・・・・等の突起や溝等へ挿入させて使用することができる。
本発明の1実施態様を示す容器断面図。 本発明の他の実施態様を示す容器断面図。 本発明の他の実施態様を示す容器断面図。 本発明の他の実施態様を示す容器断面図。 図4に示す実施態様における蓋体裏面の平面図。 図3に示す実施態様における容器本体の平面図。 本発明に用いる隔壁の1例を示す断面図。 本発明に用いる隔壁の他の1例を示す断面図。
符号の説明
1 保冷容器
2 容器本体
3 蓋体
4 隔壁
4´ 蓋体側隔壁
5 側壁
A 低温側区画
B 高温側区画
5a 低温側区画の側壁
5b 高温側区画の側壁
6 底部
6a 低温側区画の底部
6b 高温側区画の底部
7 天板
7a 低温側区画の天板
7b 高温側区画の天板
D ドライアイス
R 保冷剤
8 嵌合用突起
9 通気孔
10 凹欠
11 凹欠
12 排気スリット
13 開閉部
13a 開閉部
13b 開閉部
x 段部
y 段部
15 冷媒戴置用板体
16 冷媒戴置用板体
17 冷媒受け板
18 凹凸係止部
18´凹凸係止部
21 凸部
22 凸部
23 凸部
24 凸部
30 嵌合用凹部
31 嵌合用凸部
32 嵌合凹部
50 中空部
51 凸
52 凹
100、101、102、103、・・・・ 突起
110、111、112、113、・・・・ 突起

Claims (14)

  1. 保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体とからなる保冷容器であって、低温側区画の容器本体の側壁、底面、蓋体のいずれか又はすべての厚みを大きくすると共に、容器を該低温側区画と高温側区画とに区分する隔壁を設けてなる多区画保冷容器。
  2. 保冷温度の異なる2以上の区画に分割可能な容器本体と蓋体とからなる保冷容器であって、隔壁が容器本体に着脱可能とされている多区画保冷容器。
  3. 隔壁が容器本体に着脱可能とされている請求項1記載の多区画保冷容器。
  4. 容器本体の底部及び/又は側壁に、隔壁の挿入可能な溝または突起が設けられ、区画相互の容積が変化できるようにされてなる請求項2又は3記載の多区画保冷容器。
  5. 蓋体内に、隔壁の挿入可能な溝または突起が設けられ、区画相互の容積が変化できるようにされてなる請求項2〜4のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
  6. 隔壁の密度が該容器本体の密度と異なる請求項1〜5のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
  7. 隔壁が容器本体に一体成形されており、隔壁の厚さが15mm以上である請求項1記載の多区画保冷容器。
  8. 隔壁に通気孔を設けてなる請求項1〜7のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
  9. (1)低温側区画の側壁上端部及び隔壁上端部に冷媒載置用板体を戴架するための凹欠を有する、又は、(2)低温側区画の側壁上部近傍及び隔壁に冷媒載置用板体を戴架するための凸部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
  10. (1)高温側区画の側壁上端部及び隔壁に冷媒載置用板体を戴架するための凹欠を有する、又は、(2)高温側区画の側壁上部近傍及び隔壁に冷媒載置用板体を戴架するための凸部を有することを特徴とする請求項9記載の多区画保冷容器。
  11. (1)蓋体の低温側区画下部に冷媒収納用空間を設けたこと、又は、(2)蓋体の低温側区画下部及び蓋体の高温側区画下部に冷媒収納用空間を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
  12. 低温側区画に対応する蓋体部分が上部から嵌挿可能に構成されている請求項9〜11のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
  13. 高温側区画に対応する蓋体部分が上部から嵌挿可能に構成されている請求項9〜11のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
  14. 低温側区画の冷媒としてドライアイスを用いる請求項1〜13のいずれか1項記載の多区画保冷容器。
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