JPS6358117B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は転写材及び転写方法に関するものであ
り、その目的とするところは、プラスチツク、ガ
ラス、金属等の種々の基材表面に容易に低温且つ
高速度で転写印刷を施し得る転写材及び転写方法
を提供することにある。

転写印刷方法は種々の形態、素材からなる対象
物に図柄を形成する方法として汎用されている印
刷技術である。

従来の転写方法には、いわゆる加圧転写方法及
び加熱加圧転写方法があつた。加圧転写方法は転
写材を常温で被転写体に圧接するのみで図柄を転
写する方法であるが、図柄が常時接着性を有して
いるため図柄の上に保護シートを設け、転写時に
該保護シートを剥離する手間を要するものであつ
た。又、一般に加圧転写方法に適用できる転写材
の接着剤は密着程度が不十分なものであつた。

これに対し、いわゆる加熱加圧転写方法は、感
熱接着剤よりなる接着剤層を構成した転写シート
を接着剤層が接するように被転写体表面に載置
し、基体シート側より加熱ロール等を用いて加熱
加圧し、熱伝導により接着剤層に接着性を与え、
被転写体に接着せしめる方法である。この方法に
よれば容易に堅固な図柄が転写できるため、一般
的に採用されている方法である。しかしながらこ
の方法は次のような欠点を有している。即ち基
体シート側より加熱し、接着剤層に接着性を付与
するのに時間がかかり、転写時の加熱は被転写
体にも及ぶためプラスチツク成型品等の熱変形し
易い非耐熱性基材に対しては適用できない。高
圧力を要するためこわれ易い材料等には適用でき
ないという欠点があつた。

本発明者らは以上述べたような従来の転写方法
の諸欠点を解消せんとし、種々考察研究の結果、
本発明を完成するに至つたものである。

即ち本発明は、剥離性を有する基体シート上に
接着性を有する図柄層を設けた転写材において、
使用される接着剤がスチレン系樹脂とビニルトル
エンまたはブタジエンあるいはイソプレンとの共
重合体に、ロジン及びその誘導体、またはテルペ
ン系樹脂の粘着付与剤、ジシクロヘキシルフタレ
ートまたはジフエニルフタレートの結晶性可塑剤
を加えたものであることを特徴とする転写材及び
剥離性を有する基体シート上に接着性を有する図
柄層を設けた転写材を用いた転写方法において、
使用される接着剤がスチレン系樹脂とビニルトル
エンまたはブタジエンあるいはイソプレンとの共
重合体に、ロジン及びその誘導体、またはテルペ
ン系樹脂の粘着付与剤、ジシクロヘキシルフタレ
ートまたはジフエニルフタレートの結晶性可塑剤
を加えたものである転写材を50〜200℃の温度範
囲に予熱した後、転写することを特徴とする転写
方法である。

以下本発明にかかる転写材及び転写方法につい
て更に詳しく説明する。

まず、本発明にかかる転写材について説明す
る。本発明にかかる転写材は剥離性を有する基体
シート、図柄層及び接着剤層より構成される。剥
離性を有する基体シートにはポリエチレンテレフ
タレートフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポ
リエチレンフイルム、ナイロンフイルム等にアク
リル、ポリオレフイン系の樹脂、塩化ビニル、酢
酸ビニル等を塗布して離型処理を施したものを用
いる。又、ウレタン、スチレンとブタジエンとの
共重合物等のエラストマーフイルムを基体シート
として用いることも可能であり、この場合特に不
規則な曲面を呈する被転写体に転写するのに適し
ている。

前記剥離性を有する基体シート上に設ける図柄
層は通常の印刷インキを用いてオフセツト、グラ
ビア、スクリーン印刷方法等により形成される。

図柄層上に接着剤層が形成される。接着剤とし
ては、スチレン系樹脂とビニルトルエンまたはブ
タジエンあるいはイソプレンとの共重合体に、ロ
ジン及びその誘導体、またはテルペン系樹脂の粘
着付与剤、ジシクロヘキシルフタレートまたはジ
フエニルフタレートの結晶性可塑剤を加えたもの
を用いる。該接着剤層は、常温では粘着性を有す
ることなく、加熱することによつて粘着性を帯
び、一定時間その粘着を持続し、その後固化し、
完全接着性を有する。特に、粘着付与剤としてロ
ジン及びその誘導体を用いると、接着剤層の粘着
性の持続する時間が長いものとなる。この接着剤
層はグラビア印刷方法、オフセツト印刷方法、ス
クリーン印刷方法、及びロールコート方法、バー
コート方法、グラビアオフセツト方法等を用いて
図柄層上に塗布することにより形成される。又、
本発明にかかる転写材は前記図柄層と接着剤層と
が一体的に形成されていてもよい。この場合転写
材は次のように構成される。即ち前記と同様の剥
離性を有する基体シート上に図柄層を設け、前記
接着剤をバインダーとして用いることにより図柄
層と接着剤層とが一体的である転写材である。

次に本発明にかかる転写方法について説明す
る。

まず前記転写材を50℃〜200℃の温度範囲に予
熱する。この予熱によつて転写材の接着剤層又は
接着性を有する図柄層は接着性を付与されしかる
後長時間、多くの場合１時間〜50時間、を経て硬
化する。従つて前記予熱された転写材はこの時間
を過ぎるまでに被転写体上に圧接される。この圧
接は付与された接着性によつて一時的に被転写体
上に接着するように為すものであるから低い圧力
で十分である。この接着後前記の時間を経て接着
剤は硬化し、接着剤層又は図柄層は大きな凝集力
を得ることができる。その結果、図柄は強固な密
着性を帯び、堅固な転写図柄が得られる。

本発明は以上のような転写材及び転写方法であ
るから、本発明を適用することにより、低温で転
写材を予熱をするだけで、圧接時には低圧、常温
で転写を施すことができる。従つて非常に速く転
写をすることができ、大型の被転写体や熱伝導性
のよいものに対しては特に有効である。又非耐熱
性基材のプラスチツク成型品、例えばポリエチレ
ンテレフタレート、スチロール、塩化ビニル、ア
クリルニトリルブタジエンスチレン等の成型品へ
も基材表面を損なうことなく転写することができ
るものである。更に加熱ロールを用いる必要がな
いから、パツドと呼ばれる弾性体を用いて圧接す
る、いわゆるタコ印刷においても容易に適用し得
るものである。よつて各種の基材、製品に対して
広く適用されることが期待され、産業上利用価値
の高いものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 剥離性を有する基体シート上に接着性を有す
   る図柄層を設けた転写材において、使用される接
   着剤がスチレン系樹脂とビニルトルエンまたはブ
   タジエンあるいはイソプレンとの共重合体に、ロ
   ジン及びその誘導体、またはテルベン系樹脂の粘
   着付与剤、ジシクロヘキシルフタレートまたはジ
   フエニルフタレートの結晶性可塑剤を加えたもの
   であることを特徴とする転写材。 ２ 剥離性を有する基体シート上に接着性を有す
   る図柄層を設けた転写材を用いた転写方法におい
   て、使用される接着剤がスチレン系樹脂とビニル
   トルエンまたはブタジエンあるいはイソプレンと
   の共重合体に、ロジン及びその誘導体、またはテ
   ルペン系樹脂の粘着付与剤、ジシクロヘキシルフ
   タレートまたはジフエニルフタレートの結晶性可
   塑剤を加えたものである転写材を50〜200℃の温
   度範囲に予熱した後、転写することを特徴とする
   転写方法。