JPS6351957B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、車椅子利用者が車椅子に乗つたま
ま昇降できるようにしたエスカレータに関するも
のである。

〔従来の技術〕

上記のようなエスカレータを、この発明の出願
人は、先に特願昭58―39561号（特開昭59―
167475号）として先に提案した。このエスカレー
タは、多数が踏段鎖で無端状に連結されて搬送路
を移動する踏段と、これらの踏段間の一部に組込
まれて搬送路の往路の彎曲部、傾斜部で上方に隣
接する踏段の踏板と同一高さに上昇する可動踏板
部をもつ少数の踏段とを有し、上記可動踏板部
は、左、右側縁に所定幅の固定踏板を戻して、踏
板の左右（幅）方向中央側に配置し、車椅子利用
者がエスカレータで昇降する場合に、可動踏板部
を上昇させてこれと隣接する踏段の踏板にまたが
つて車椅子を乗せるようにしている（昭和58年３
月10日出願）。そして、このエスカレータでは、
欄干のスカートパネルは通常のエスカレータと同
様に下部から上部まで平坦に配設されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、出願人が先に提案している上記エスカ
レータでは、可動踏板部が左右（幅）方向中央部
に形成されているので、踏段の左、右両側方に位
置する欄干のスカートパネル上部と上昇時の可動
踏板部の左、右側縁との間に比較的幅が広い凹部
が生じ、これらの凹部に乗客の落し物や衣服が挾
まつたり、また乗客の履物の爪先部などが挾まつ
たりし、エスカレータの走行に支障を生じ、また
は乗客が怪我をする事故が発生し易いという問題
点がある。

この発明は、上述した問題を解決するためにさ
れたもので、可動踏板部の上昇状態でも、この可
動踏板部とスカートパネルとの間に乗客の落し
物、衣服、履物の爪先部などが挾まることを防止
し、これに起因する上述のような事故の発生を防
止し、安全性を向上させ得るエスカレータを提供
することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

この発明は、スカートパネルを備えた欄干と、
複数の踏段とを有し、この複数の踏段のうちの少
なくとも１つの踏段における踏板の左右方向中央
部に、左、右側縁に所定幅の固定踏板を残して隣
接する踏段の踏板と同一高さに上昇する可動踏板
部を設けたエスカレータにおいて、上昇した上記
可動踏板部と対面する上記スカートパネルの上部
を可動踏板部と接近するようにスカートパネル下
部に対し突出させたものである。

〔作用〕

この発明におけるエスカレータでは、スカート
パネルの上部を、下部に対して可動踏板部と接近
するように突出させたので、この可動踏板部が上
昇している状態で、その左、右側縁とスカートパ
ネルとの間を所要の細隙にすることができ、この
ため、車椅子に乗つた利用者や介護者が衣服や履
物の一部などが可動踏板部とスカートパネルの上
部との間の凹部に挾まれることを防止でき、また
落し物があつても挾まれることがない。

〔実施例〕

以下、第１図ないし第６図によつてこの発明の
一実施例を説明する。

第１図中、１は主枠、２は通常の踏段、３は多
数の通常の踏段２の間に組込まれた１または数の
少ない複数の可動踏板部８がある踏段、４は上記
踏段２，３を無端状に連結して搬送路５を移動さ
せるための踏段鎖、６は踏段２，３の左、右両側
方に位置して主枠１上に立設した欄干である。

また、踏段３は、第２図から第５図に示すよう
に、主体７と可動踏板部８とを備え、主体７は、
フレーム９に固定踏板１０とライザ１１が固定さ
れ、フレーム９に軸支された踏段軸１２が踏段鎖
４に連結され、踏段軸１２の軸端部に駆動ローラ
１３が装着され、フレーム９に追従ローラ１４が
枢着されている。上記可動踏板部８は、主体７に
昇降可能に図示しない適宜の手段で装着され、主
体７のライザ１１内面に沿うライザ部１５が一体
に設けられている。また、可動踏板部８は、主体
７の固定踏板１０左、右側縁よりア、イ寸法だけ
軸方向中央側に左、右側縁が位置し、またライザ
１１よりウ寸法だけ反ライザ側にライザ部１５側
端が位置している。そして、図示省略した昇降装
置によつて使用時に隣接する通常の踏段２の踏板
と同一高さまで可動踏板部８が水平状態を保つて
上昇するように構成され（第４図、第５図参照）、
不使用時には可動踏板部８が主体７の固定踏板１
０と同一高さに下降して保持されるように構成さ
れている（第２図、第３図参照）。なお、主体７
の固定踏板１０の左、右側縁は通常の踏段２の踏
板の左、右側縁と移動方向に沿う同一垂直面上に
位置している。

上記欄干６は、第６図に示すように、化粧パネ
ル１６の幅方向両側にインナデツキ１７とアウタ
デツキ１８が配設され、上記化粧パネル１６上に
ガードレール１９を介して移動手摺２０が踏段
２，３と同期して移動されるように支持され、イ
ンナデツキ１７の下部にスカートパネル２１が固
定されている。スカートパネル２１は、下部２１
ａが踏段２，３の左、右側縁と所要の細隙２２を
有してこれらの外側方に配置され、上昇している
可動踏板部８と対面する上部２１ｂが下部２１ａ
に対して幅方向中央側すなわち可動踏板部８側に
突出している。そして、上部２１ｂの突出量は、
上昇している可動踏板部８の左、右側縁から通常
踏段２の踏板および特殊踏段３の固定踏板１０の
左、右側縁が突出する寸法とほぼ同一のエ寸法に
されていることにより、上記細隙２２とほぼ等し
い幅の細隙２３が上部２１ｂと上昇時の可動踏板
部８の左、右側縁との間に形成されるようになつ
ている。また、上部２１ｂの突出範囲は、第１
図、第６図に示すように、通常の踏段２の上端Ａ
より若干上方の点A′の軌跡と可動踏板部８の上
昇時の上端Ｂより若干上方の点B′の軌跡で囲ま
れた範囲またはこの範囲より上方、前後方向に広
くした範囲にされている。なお、第１図中、P₁，
P₂は可動踏板部８の上昇開始点を示す。

また、第６図中、２４，２５は駆動ローラ１
３、従動ローラ１４を支持するガイドレール、２
６は主枠の外装パネルである。

上述した実施例のもので、車椅子利用者が上昇
しようとする場合には、下階側でのスイツチ（図
示しない）の操作で、可動踏板部８を有する踏段
３が搬送路５の下階の往路水平部に来た時にエス
カレータの運転を停止させる。この状態で、車椅
子利用者が車椅子に乗つたまま、これを踏段３の
可動踏板部８とその前側に隣接する通常の踏段２
の踏板上に乗せる。その後、専用スイツチ（図示
しない）の操作で踏段２，３を踏段鎖４を介して
駆動させ、前側に隣接する通常の踏段２が下彎曲
部に達すると、昇降装置の動作で可動踏板部８が
固定踏板１０に対して上昇し、可動踏板部８を前
側に隣接する通常の踏段２の踏板と同一水平面に
保持しつつ踏段３と前側に隣接する通常の踏段２
が搬送路５の往路中間傾斜部に達し、この傾斜部
を上昇する。上彎曲部では昇降装置の動作で可動
踏板部８が下降し、踏段３が上階の往路水平部に
達すると、可動踏板部８が固定踏板１０および前
側に隣接する通常の踏段２の踏板と同一水平面に
位置する。この状態で、車椅子を可動踏板部８お
よび通常の踏段２の踏板から降す。

また、車椅子利用者が下降しようとする場合に
は、踏段３の可動踏板部８とその後側に隣接する
通常の踏段２の踏板上に車椅子を乗せることで、
上述した上昇時とほぼ同様にして下降することが
できる。

さらに、車椅子を用いない通常の運転時には、
昇降装置を動作させないことで、踏段３の可動踏
板部８が固定踏板１０と同一高さで移動し、普通
のエスカレータと同様に用いられる。

以上説明したように、この実施例では、踏段３
の可動踏板部８が固定踏板１０に対し上昇してい
る状態で、欄干６のスカートパネル２１の上部２
１ｂを下部２１ａに対して可動踏板部８と接近す
るように突出させたので、その左、右側縁とスカ
ートパネル２１の上部２１ｂ間が所要の細隙２３
となり、車椅子に乗つたその利用者や車椅子の近
くの踏段に乗つた介護者が衣服や履物の一部を可
動踏板部８とスカートパネル２１の上部２１ｂと
の間の凹所に挾まれることがなく、また落し物が
あつても挾まれることがない。

なお、この発明において、第７図に示すよう
に、スカートパネル２１の上部２１ｂと下部２１
ａとを別体として接合部で重ね合せ、ねじ止めま
たは溶接で固定してもよく、第８図に示すよう
に、インナデツキ１７とスカートパネル２１を一
体に形成してもよく、また図示してないが、イン
ナデツキ１７とスカートパネル上部と一体とし、
別体のスカートパネル下部をその上部に固定して
もよく、可動踏板部には必ずしもライザ部を設け
なくてもよい。

さらに、この発明の可動踏板部は、Ｘ字状リン
クで特殊踏段の主体に連結し、上記リンクを電磁
機構で伸縮させる昇降装置、エスカレータの主枠
に支持した弧状ラツクを昇降させて、特殊踏段の
主体に設けたビニオンと係脱可能に係合させ、可
動踏板部を有する踏段の移動に伴うビニオンの回
動でねじジヤツキを介して可動踏板部を昇降させ
る昇降装置など適宜の構成の昇降装置を用いるこ
とができ、あるいは通常時でも可動踏板部が固定
踏板に対し、搬送路の往路中間傾斜部で昇降する
ものでもよく、このようなものは病院などの車椅
子搬送の機会が多い場所に用いるのに好適する。

以上説明したとおり、この発明は、可動踏板部
の左、右側縁がこれを有する踏段および通常の踏
段の左、右側縁より幅方向中央側に配置されたエ
スカレータにおいて、上昇している可動踏板部と
対面する欄干のスカートパネルの上部を、スカー
トパネルの下部に対して突出させて、可動踏板部
と接近させたことにより、上昇している可動踏板
部の左、右側縁とスカートパネルの上部との間を
所要の細隙に確保することができるので、エスカ
レータ利用者の衣服、履物の一部、落し物などが
挾まれないようにすることができて安全性が向上
すると共に、エスカレータの走行に支障が生じる
ことも少ないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例によるエスカレー
タの概略側面図、第２図および第３図は可動踏板
部下降状態の踏段を示す側面図および正面図、第
４図および第５図は可動踏板部上昇状態の踏板を
示す側面図および正面図、第６図は第１図の―
線に沿う要部の拡大断面図、第７図はこの発明
のスカートパネルの変形例を示す断面図、第８図
はこの発明のスカートパネルおよびインナデツキ
の変形例を示す断面図である。 １…主枠、２…通常踏段、３…踏段、４…踏段
鎖、５…搬送路、６…欄干、７…主体、８…可動
踏板部、９…フレーム、１０…固定踏板、１１…
ライザ、１５…ライザ部、１７…インナデツキ、
２１…スカートパネル、２１ａ，２１ｂ…スカー
トパネルの下部、上部。なお、図中同一部分また
は相当部分は同一符号により示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スカートパネルを備えた欄干と、複数の踏段
   とを有し、この複数の踏段のうちの少なくとも１
   つの踏段における踏板の左右方向中央部に、左、
   右側縁に所定幅の固定踏板を残して隣接する踏段
   の踏板と同一高さに上昇する可動踏板部を設けた
   エスカレータにおいて、上昇した上記可動踏板部
   と対面する上記スカートパネルの上部を可動踏板
   部と接近するようにスカートパネル下部に対し突
   出させたことを特徴とするエスカレータ。 ２ スカートパネル上部の突出範囲を、通常の踏
   段の上端より若干上方の軌跡と可動踏板部の上昇
   時の上端より若干上方の軌跡とで囲まれた範囲以
   上にした特許請求の範囲第１項に記載のエスカレ
   ータ。