JPS6351112B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は無機質または有機質の素材もしくはそ
れらの成形品の表面に、所望の模様を付する方法
に関するものであり、その目的とするところは素
材或は成形品の付加価値を高め、優れた外観を有
する製品を得ることにある。

近年、材料のいわばハードな面、即ち材質の物
性向上も勿論であるが、より商品価値を高めるた
めのソフトな面、例えば目でみての感覚をレベル
アツプさせようとする動きが著しい。

然し、既に成形された製品または素材に対し
て、満足のゆく外観をもつた絵付け（模様付与）
の技術は必ずしも見出されてはいない。

例えば、任意の形状をもつ任意の素材からなる
成形品を印刷する方法として、水面に所望の模様
を浮べ、その模様を付するために、成形品を水面
上から模様を通して水面下に押し込み、水圧で成
形品に模様を付し、乾燥して印刷と同じ効果をも
たせる方法も知られている。

巧妙であるとはいえ、しかしながらこの方法は
生産性に問題があり得られた製品の外観も、いわ
ば平らな感じで、満足すべきものとはいえない。

また、近年、建築材料の高級化に伴つて、セメ
ント、石こうなどの水和硬化成形品に模様を付
し、付加価値を高めようとする努力も数多く試み
られている。

例えば特開昭52−52965号公報にみられるよう
に、シートに水溶性インキを用いて印刷し、シー
トを成形して所望の型とした後、水和硬化性スラ
リーを注入、硬化させると同時に、水溶性インキ
の溶解により印刷されていた模様を水和硬化層に
転写させることにより成形品に模様を付する方法
があげられる。

この方法は有利であるが、既存のこれらの方法
には重大な欠陥が存在する。

この欠陥とは前述の特開昭公報に記載の方法で
は水溶性のインキを用いているため、模様自体に
耐水性がなく、水に浸漬されると模様の消失をみ
ることがあるため、その用途は限定されたものに
ならざるを得ず、耐水性を要求される建築材料と
しては適当ではないことである。

一般に行われている絵付け方法、即ち熱転写、
昇華転写はデリケートな石模様などの場合、印刷
がボケる傾向があり、石のもつ鋭い感覚が得難い
欠点がある。

印刷版にゴム版を用いるフレキソグラビア印刷
による基材の直接も、木目は良いが石柄は同様の
欠点がある。

本発明者らは、任意の素材あるいは任意の素材
よりなる成形品に、自由に模様を付する方法につ
いて検討を行つてきたが、次の方法により問題を
解決できることを見出し、本発明を完成すること
ができた。

本発明の方法は以下に述べる種々の無機質また
は有機質素材或はそれらの成形品のうち特に素材
がセメントのように耐水性の水和硬化材料の場
合、水溶性の印刷インキを用いたのでは、たとえ
基材が耐水性であつても常に水分の影響下にあつ
ては、模様の保持が困難である場合にも自由に模
様づけができ、しかも耐水性があつて所望の場所
に利用のできる建築材料が得られることが判明し
た。

すなわち本発明は素材或は(1)成形品の表面にラ
ジカル硬化性の活性エネルギー線硬化性接着剤を
塗装し、接着剤が硬化する以前の液状或は粘着性
を有するゲル化状態の時に、該接着剤と親和性の
ある印刷インキを用いて模様を印刷したフイルム
を、印刷面が接着剤と接触するように敷設し、接
着剤を硬化させると同時にフイルム面上の印刷さ
れた模様を硬化面に転写させ、フイルムを除去し
た後、更に転写面に透明または半透明の塗料を塗
装することよりなる素材或は成形品に模様を付す
る方法に関するものである。

本発明でいうラジカル硬化性の活性エネルギー
線硬化性接着剤とは波長400mμ以下のエネルギー
線、一般には太陽光、紫外線、電子線を用いてラ
ジカル硬化する接着剤を云い、付加硬化型を含ま
ないことを意味し、以下光硬化性接着剤と呼び、
また「光硬化」とは上述の光源を用いた硬化をい
う。

すなわち代表的にいえば本発明は素材或は成形
品（第１図ａ中Ａ）の表面に光硬化性接着剤（第
１図ａ中のＢ）を塗装し、接着剤が硬化する以前
液状或は粘着性を有するゲル化状態の時に該接着
剤と親和性のある印刷インキを用いて模様（第１
図ｂ中Ｄ）を印刷したフイルム（第１図ｂ中の
Ｃ）を印刷面が接着剤と接触するように敷設し、
接着剤を硬化させると同時にフイルム面上の印刷
された模様Ｄを接着剤層に転写させ（第１図ｃ）、
フイルムを除去した後、更に転写面に樹脂（第１
図ｄ中Ｅ）を塗装することからなる。

本発明によれば、少くとも表面層が透明ないし
半透明である表面樹脂層と光硬化性接着剤層との
間に模様が付されたことになり、基材に印刷した
り、印刷紙を接着したりするものとは異なり、頗
る深味があり、外観の優れた成形品を得ることが
可能となる。

本発明が適用される有機系、無機系の素材、或
は成形品は、塗装が可能であつて、印刷フイルム
の貼布ができるものであるならば、いづれも本発
明の範囲内にある。

それらの例をあげるならば次のようになる： (i) 天然の有機系材料としては皮革、木材及びそ
の加工品、例えば合板、チツプボード、ハード
ボード、パーテイクルボードがあげられる。

(ii) 天然の無機系材料としては、金属類石材、天
然スレート、がある。

(iii) 人造の有機系材料は各種のプラスチツクス類
で、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリ
ル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリプロピレン、レジンコンクリート、ABS、
FRP（繊維強化プラスチツクス）などが代表的
といえる。

(iv) 人造の無機系材料は、例えばセメント製品、
石こう硬化物、石こうとセメントとの混合物の
硬化物、マグネシアセメント製品、珪酸カルシ
ウム製品、スレート、或は炭酸マグネシウム製
品、素焼陶器、レンガなどがあげられる。

これらの材料には表面を所望に応じて目止め塗
装したものも勿論含まれる。

必要に応じて、骨材、補強材、例えばガラス繊
維、アスベスト繊維、岩綿、有機繊維など、着色
剤などを併用できることは勿論である。

本発明でいう光硬化法による転写の利点は下記
のように速硬化性であることゝ、非反応性の溶剤
を含まないことに要約され、在来の硬化方法とは
決定的な差となつて現われる。すなわち、光によ
る硬化は秒単位であることから、何よりまづフイ
ルムに印刷された絵柄を正確に素材又は成形品に
転写できることである。

従来の硬化性樹脂を用いる場合、不飽和ポリエ
ステル樹脂を例にとると、従来の有機過酸化物を
用いると、常温の場合硬化までに普通数十分を要
するため、その間樹脂に接触している印刷フイル
ムの絵柄が崩れ易く、鮮明な柄が得られない。

また、溶剤を用いる樹脂、例えば塗料用ポリウ
レタン樹脂などでは、溶剤を含む状態でフイルム
を密着させると、溶剤の揮発が期待できないた
め、絵柄の転写は不可能である。

即ち、溶液又はゲル化状態の接着剤を基材に塗
布し、印刷フイルムを密着させて接着剤を硬化、
フイルムを剥離して硬化樹脂面に絵柄を転写する
場合、印刷インキの種類にもよるが、極力短時間
内に硬化させることが必要であり、光硬化はこの
条件に最も良く適合することができる。

その他に、速硬化であることは、生産性向上に
つながり、コストの低減に有用なものとなる。

本発明の目的に合致する光硬化性接着剤はラジ
カル硬化型のもの、即ち不飽和ポリエステル樹
脂、ビニルエステル樹脂、各種不飽和アクリレー
ト樹脂である。

これら樹脂相互の併用が可能であることは勿論
である。不飽和ポリエステル樹脂は、α―β不飽
和多塩基酸を一成分として含み、任意の多塩基酸
を一般に併用し、多価アルコールとエステル化し
て得られる不飽和アルキドを、重合性モノマーに
溶解した形のものである。

本発明に利用するために、特に組成上の制限は
ない。またビニルエステル樹脂は、１個より多い
エポキシ基を含むエポキシ樹脂と、アクリル酸ま
たはメタクリル酸との反応により、分子中にアク
リロイル基またはメタクリロイル基を１個または
それ以上含有するプレポリマーを、普通モノマー
に溶解した形のものである。

不飽和アクリレート樹脂には幾種類かある。

前述のビニルエステル樹脂も不飽和アクリレー
ト樹脂の一種であるが、習慣上独立して扱われて
いる。

不飽和アクリレート樹脂としては、アクリロイ
ル基またはメタクリロイル基を１個より多く分子
中に有する、(i)ポリエステル（含塗料用アルキ
ド）、(ii)ポリウレタン、(iii)スピロアセタール、(iv
)
メラミン樹脂、(v)ポリエーテルが代表的である。
これらはモノマーを併用するか、或はせずに利用
される。ラジカル硬化型樹脂を光硬化させるに
は、太陽光或は紫外線を用いる場合には当然のこ
とながらラジカル発生触媒が必要であり、光開始
剤が用いられ、また電子線硬化はそのままで常温
硬化が可能であり、短時間で性能の良い硬化樹脂
が得られるので、本発明には頗る適した方法であ
る。

本発明に用いる印刷用のフイルムはプラスチツ
ク系のものが適当であるが、コストを取扱性の面
からポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレ
ンテレフタレートなどが使い易い。またセロフア
ン、アセタール変性ポリビニルアルコール系フイ
ルム〔例えばビニロン（クラレ社製の商品名）〕
なども使用できる。勿論その他のフイルムも硬化
樹脂に接着して剥離し、硬化性樹脂に接した際に
溶解や大きな膨潤を起さない限り用いうる。また
印刷インキとの接着性をよくするために表面処理
したものでもよい。

本発明に用いられる印刷インキはフイルムより
も硬化性樹脂に一層親和性の大きいものであれば
よく、即ちインキとフイルムとの接着性よりも、
硬化樹脂とインキとの接着性が大きければ特に種
類を限定されることはない。

実際には、グラビア印刷、或はオフセツト印刷
などに用いられる一般の油性インキで十分に本発
明の目的を達することができる。

印刷インキに用いられるビヒクル用ポリマー又
はオリゴマー類は、有機溶媒に可溶なタイプであ
れば利用可能である。

それらの例には、例えば次の種類のものがあげ
られる。

スチレン―マレイン酸共重合体、及び第３成分
を加えたポリマー或はオリゴマー、ポリアミド樹
脂、ポリブデン、キシレン樹脂、塩化ゴム、石油
樹脂、100％アルキルフエノール樹脂、油溶性フ
エノール樹脂、ケトン樹脂、エステルガム、ロジ
ン―マレイン酸樹脂、ロジン変性―フエノール樹
脂、油変性アルキド樹脂、乾燥型天然油及び重合
油、エポキシ樹脂、セルロース誘導体。以上の他
に、水性分散液ではあるが乾燥皮膜が親油性を示
す、ポリマーラテツクス、あるいは水溶性と同時
に有機溶媒にも可溶なポリマー類、例えばメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチ
ルヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルメチルエーテルなども利用
することは可能である。

特に印刷インキには普通余り用いられていない
有機溶媒可溶なポリマーに着色剤を加えた種類の
ものも、印刷方法を選ぶか、手描きの面で利用可
能である。

更には、近年使用が増加している光硬化型のビ
ヒクルも利用できる。それらは不飽和アクリレー
ト樹脂即ち、ポリエステル―アクリレート、ビニ
ルエステル樹脂、エポキシ―アクリレート、ウレ
タン―アクリレート、スピロアセタールアクリレ
ートを中心とし、これに多価アルコールのポリア
クリレートを必要量配合し、光増感剤を加えたも
のが主である。

水溶性のみで、有機溶媒に不溶なポリマーは、
ビヒクルとしては適当ではない。それは普通のフ
イルムに印刷し難いといつたことの他に、親水性
フイルムに印刷されたものは、親油性樹脂の硬化
面には一般に付着しないからである。

但し、最初の硬化型樹脂を親水性または水溶性
タイプにしておけば、樹脂の硬化と共に転写は可
能となる。しかし、一般にこれら親水性樹脂が特
に水を或る程度含んだ状態で硬化すると、収縮が
大きくなり、クラツク、ひけ、の危険性が増大
し、実用面での優位性は困難なものとなる。

水溶性の樹脂をビヒクルに用いたインキは当然
のことながら親水性の硬化型樹脂を選ぶならば用
いることはできるが、性能上の問題点から、特に
利点は認められない。ポリビニルピロリドンのよ
うな親油性、親水性の両方を有するようなビヒク
ルを用いた印刷インキも場合により使用できる。

本発明でいう印刷とは、機械或は人手で、模様
を所望のフイルム上に描くことを意味する。

硬化後に更に上塗りを行う時に用いる樹脂と
は、硬化型と熱可塑性型とに分けられる。硬化型
樹脂としては、前述した諸タイプの他に、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂或はフエノール樹脂空気硬
化型のアルキド、ポリブタジエン樹脂、硬化型の
メラミン―アルキド樹脂なども加えられる。熱可
塑性樹脂としては、溶剤可溶で、塗膜形成性が良
く、硬度を始めとする塗膜物性が実用性を有して
いることが必要である。それらの例には、スチレ
ンの単独重合体または共重合体、ポリメチルメタ
クリレートの単独重合体または共重合体、ポリ塩
化ビニルと酢酸ビニル共重合体、更にはそれらに
無水マレイン酸を加えた共重合体、セルロースエ
ステル類などがあげられる。これらは適宜有機溶
剤溶液の形で、或は水性エマルジヨンの形で使用
される。

次に本発明の理解を助けるために、以下実施例
を示す。

実施例 １ 離型紙として王子油化製合成紙“ユポ”を敷設
した600×600×15mm³の型に、 α型半水石こう 100重量部、（以下、部という） 水 35 部、 1/4″ガラス繊維 １ 部、 ヒドロキシエチルセルローズ
0.1 部、 の混練スラリーを注入、硬化させる。

脱型後、接着剤として昭和高分子社製不飽和ス
ピロアセタール型光硬化性接着剤スピラツクＵ―
3155を0.2mm厚になるようにフローコーターで塗
装した後、30kWの出力をもつて紫外線照射機下
20cmを15ｍ／分で通過させてゲル化させた。表面
はゼリー状の粘着性であつた。

これに、スクリーン印刷によりスチレン―マレ
イン酸系共重合樹脂にケトン樹脂を併用した油性
インキでグリーン系カシミールオニツクス調に模
様を印刷したポリエチレンテレフタレートフイル
ムをローラーで圧着しながら均一に接着させる。

次で、再び同装置を用い、５ｍ／分のスピード
で通過させて、一旦、樹脂を硬化さる。

フイルムを剥離すると、オニツクス模様は完全
に塗膜面に転写される。

更に、フローコーターにより0.2mm厚になるよ
うに同一樹脂を塗装した後、出力50kWをもつて
紫外線照射装置下20cmを５ｍ／分で通過させる。

表面硬度5H、耐汚染性、耐シガレツト性があ
り、深みのある模様のカシミールオニツクス調の
人造大理石が得られた。

実施例 ２ 第２図に示す異形断面〓〓型（100cm×50cm、
H₁＝H₂＝10cm、Ｔ＝３cm）の基材型に、 白色ポルトランドセメント 85部、 白色無水石こう 15部、 白色珪砂 100部、 メルメント（商品名、昭和電工製、メラミン樹
脂系セメント減水剤） １部、 水 60部、 耐アルカリ性ガラス繊維 ３部、 の混合スラリーを注入、凝結後、３時間放置して
から70〜75℃に３時間蒸気養生した後、室温で放
置した。

光硬化性接着剤としてビニルエステル樹脂（昭
和高分子社製リポキシSP―1509）をロール塗装
し、太陽光下に２〜３分放置して流動性をもつた
粘着状とする。これにロジン―マレイン酸樹脂を
主体とするビヒクルとする油性インキでポリプロ
ピレンフイルム上にチボリマーブル様の模様をス
クリーン印刷したものを密着、実施例１で用いた
と同じ条件で光硬化させる。

硬化後、フイルムを剥離すると完全に模様が塗
膜上に転写された基材が得られた。

更に、上塗りとして関西ペイント社製硬化型ポ
リウレタン塗料アクリツク2026GLクリヤーをス
プレーで70μ厚に塗装した。

１日後、研磨すると美麗な模様が浮上つた感じ
の成形品が得られた。

実施例 ３ 小野田セメント社製厚さ15mm、300×300の白色
珪酸カルシウム板上にモノマーを含まない光硬化
型ビニルエステル樹脂接着剤として昭和高分子社
製リポキシVR―77 100部に光増感剤としてチバ
社のイルガキユア＃651を１部加え酢酸エチル50
部に均一に溶解した樹脂溶液をスプレーで厚さ約
0.3mmに塗装し、室内で３時間風乾すると、酢酸
エチルは揮発除去され、表面粘着性の塗膜が得ら
れる。

これに、実施例２で使用したチボリマーブルを
印刷したフイルムを圧着した後、30kWの出力を
もつ紫外線照射機下20cmを３ｍ／分で通過し、硬
化させた。

フイルムを剥離すると、珪酸カルシウム板上に
チボリマーブル模様の転写された板が得られた。

これに、関西ペイント社製硬化型ポリウレタン
塗料アクリツク2026GLクリヤーを約70μ厚にスプ
レー塗装し、硬化後バフ仕上げをした。

深みのある模様を有する化粧珪酸カルシウム板
が得られた。

実施例 ４ 300×300×５mm³の透明ポリカーボネート板に、
光硬化性接着剤として、昭和高分子社製スピロア
セタール型不飽和アクリレート樹脂スピラツクＵ
―3163を0.2mmにコーテイングした後、ポリエチ
レンテレフタレートフイルムに朝顔の花模様を油
変性アルキド系の油性インキを用いてスクリーン
印刷したものを圧着し、30kWの出力をもつ紫外
線照射装置下30cmを５ｍ／分で通過、硬化させ
た。

フイルムを除去すると、花模様が転写されたポ
リカーボネート板が得られた。

得られたポリカーボネート板の表面硬度は5H、
花模様が浮び上つてみえる美麗な成形板となつ
た。

更に同一配合樹脂で0.5〜0.6mm厚になるように
塗装、前記と同一条件で光硬化した後、研磨、バ
フ掛けを行つて表面仕上げをすると、天然のウオ
ルナツト材そのままにみえる美麗な、耐汚染性、
耐シガレツト性の良好な化粧板が得られた。

実施例 ５ 日本ハードボード社製炭酸マグネシウム板を
300×300mm²に切断し、光硬化性ビニルエステル樹
脂接着剤として昭和高分子社製リポキシSP―
1509を0.2mm厚に塗装した後、ポリエチレンテレ
フタレートフイルムにローズレツドの木目模様を
ロジン変性フエノール樹脂系の油性インキで印刷
したものを圧着し、30kWの出力をもつ紫外線照
射ランプ下30cmの距離を５ｍ／分で通過させて硬
化させる。

フイルムをはがすと木目模様が転写された炭酸
マグネシウム板が得られる。

次で、同社製の不飽和ポリエステル樹脂、リゴ
ラツク＃2025C 100部、メチルエチルケトンパー
オキシド1.5部、ナフテン酸コバルト0.5部の混合
樹脂をスプレーで0.2〜0.3mm厚になるように塗装
し、室温で硬化させた。

硬化後＃600のサンドペーパーで水研ぎし、バ
フ研摩した。

表面硬度3H、つやがあつて美麗な、ややくす
んだローズレツド調の外観をもつ化粧板が得られ
た。

実施例 ６ 光硬化性接着剤として、昭和高分子社製ビニル
エステル樹脂VR―77を70部、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート25部、アクリル酸５部、
ベンゾフエノン１部の混合樹脂を、実施例１に用
いたグリーンカシミールオニツクス模様の印刷フ
イルム上に0.2mm厚になるように塗装し、更にポ
リエチレンフイルムで覆つてから、目に無害の
370ｍμの紫外線を含む1kWサンランプ５個を用
いて照射距離20cmで２〜３分照射してゲル化させ
る。ゼリー状の粘着フイルムが得られる。これは
光照射しない限り、半年以上安定である。

300mm×300mm×５mmのアルミニウム板上に印刷
フイルムをポリエチレンフイルムを除いて圧着し
た後、出力30kWの紫外線照射装置下20cmを、５
ｍ／分の速度で通過させて硬化する。

硬化後フイルムを剥すと、樹脂面にカシミール
模様が転写されたアルミニウム板が得られる。

これに更に、関西ペイント製アクリルラツカー
として、アクリツクGL2026（イソシアナート系硬
化剤を除いた熱可塑性タイプのみ）を0.1mm厚に
塗装し、乾燥後、バフ仕上げした。美麗なカシミ
ールオニツクス模様の付されたアルミニウム板が
得られた。

実施例 ７ 厚さ５mmのスレート板を300×300mmに切断し、
ビニルエステル樹脂接着剤として昭和高分子社製
リポキシVR77を0.2〜0.3mm厚になるように塗装
した後、ポリビニルアルコール系のビニロンフイ
ルムにアクリル樹脂系エマルジヨンを着色した印
刷インキで濃色の赤、黒、黄３色の水玉模様を印
刷したものを密着させ、ブアン・デ・グラーフ型
電子線加速機を用いて４メガラドのエネルギーを
加え、硬化させた。

フイルムを除去すると、模様が転写されてい
た。これに更にVR77を0.1〜0.2mm厚になるよう
にハケ塗りし、同装置で２メガラドの線量で硬化
させた。

水玉模様が浮き上つてみえる化粧スレート板が
得られた。電子線照射の下では黒のような紫外線
透過不能な模様の下の樹脂も完全に硬化し、模様
を転写できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の製造工程の説明図で、第２図
は実施例２で使用した基材の斜視図である。 図中：Ａ…基材、Ｂ…光硬化性接着剤、Ｃ…フ
イルム、Ｄ…印刷模様、Ｅ…樹脂。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 素材或は成形品の表面にラジカル硬化性の活
   性エネルギー線硬化性接着剤を塗装し、接着剤が
   硬化する以前の液状或は粘着性を有するゲル化状
   態の時に、該接着剤と親和性のある印刷インキを
   用いて模様を印刷した印刷フイルムを、印刷面が
   接着剤と接触するように敷設し、接着剤を活性エ
   ネルギー線硬化させると同時にフイルム面上の印
   刷された模様を硬化面に転写させフイルムを除去
   した後、更に転写面に透明又は半透明の樹脂を塗
   装することよりなる、素材或は成形品に模様を付
   する方法。