JPS6349530Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、潤滑オイルを封入したギア室など
にオイルを注入するための小型エンジンのオイル
注入装置に関する。

自動２輪車などのエンジンおよびその伝導系に
は、ギアあるいは軸受など潤滑オイルを必要とす
る部分を密封して、オイルを封入したオイル室が
多く存在する。第１図は、例えば、ユニツトスイ
ング型自動２輪車の２サイクルエンジンの一部を
示し、この２サイクルエンジンにはクランクバラ
ンサおよびその駆動ギアを囲んでオイル室１が構
成される。クランクバランサ２はクランク室３の
外側に並設され、同じくクランク室３から突出し
たクランク軸４上のドライブギア５に噛合うドリ
ブンギア６によつて駆動される。クランク軸４の
さらに外側方にはスイングケース７に収容された
Ｖプーリ伝導機構のドライブＶプーリ８が軸支さ
れる。クランク室３は吸入、圧縮機能を必要と
し、スイングケース７は乾式で用いられ、その間
に位置するクランクバランサ装置ではバランサ軸
９のベアリング１０およびドライブ、ドリブンギ
ア５，６の噛合部に潤滑用オイルを必要とする関
係上、上記オイル室１が独立し、オイルを封入す
るように設定される。このオイル室１はエンジン
各部の潤滑用に供するオイルのタンクあるいはそ
の一部として用いることもある。

このようなオイル室では、温度変化による内圧
変化を防ぐためブリーザが設けられる。ブリーザ
はオイル室に隣接したところにある程度の容量を
確保したブリーザ室を置き、その中を迷路形状に
したり、ユニオンを打込むなどして、オイルの吹
出しを防止している。またオイル注入口は直接オ
イルを注入できるようにオイル室の上部に設ける
のが普通である。これら２つの別装置を上記のよ
うなオイル室１に設置するには、スペース上窮屈
で設計上の自由度が小さく、コスト上、生産性上
不利は免れなかつた。

この考案は、上記のような点を改善し、２つの
装置を１つにまとめて構造の簡素化を図ることを
目的とし、ブリーザ機能を兼備した小型エンジン
のオイル注入装置を提供するものである。

以下この考案の実施例に就いて説明する。

第２図は前記第１図に示したユニツトスイング
型エンジンクランクバランサ用オイル室１にこの
考案を実施した場合の概略レイアウト図で、詳細
構造は変らないので省略する。

先ず、オイル室１に、封入するオイルレベル１
１より高く、オイルの飛沫が掛りにくい位置にオ
イル供給口１２を備える。オイル室１の外側から
云えば、スイングケース７内に開口するのが好ま
しい。このオイル供給口１２にホース１３の先端
を接続する。一方、スイングケース７の後部上面
にオイル注入口１４を設置し、上記ホース１３の
始端を接続し、両口１２，１４をスイングケース
７内で連絡する。オイル注入口１４にはフイラプ
ラグ１５を嵌着する。このフイラプラグ１５は、
第３図に示すように、貫孔１７を設けたプラグ部
１６と、その上面および周面に隙間１９を設けた
カバー部１８よりなり、カバー部１８下面に細孔
２０があいている。またプラグ部１６の上面や周
面には適宜突条２１を設け、隙間１９断面形状に
ラビリンス効果が与えられるようにする。

以上の構成により、オイル注入口１４は本来の
作用を持つと同時にオイル室１内がホース１３、
貫孔１７、隙間１９、細孔２０を介して大気に開
放しているので、内部温度の変化に伴う圧力変化
を防ぐ。フイラプラグ１５はオイル室１の真上で
なく遠く離れた位置にあるので、オイルの吹出す
おそれが少く、また長いホース１３の内容量がブ
リーザ室として作用する。

このように、この考案に係る小型エンジンのオ
イル注入装置は、ホースを用いてオイル室から離
れた位置に設置し、フイラプラグに大気開放用の
穴を設けたもので、本来のオイル注入と同時にブ
リーザとしての機能を兼備し、従来のブリーザ室
が省略できて構造が簡素化され、コストダウン、
生産性向上に役立ち、また注入作業のしやすい場
所に注入口を設定することができる。

また、この小型エンジンのオイル注入装置はオ
イル室に形成されるオイル供給口をスイングケー
ス７内に開口させ、このオイル供給口より横方向
に離間しかつ高い位置のスイングケースにオイル
注入口を設置してこのオイル注入口にフイラプラ
グを設けたので、フイラプラグからのオイルの吹
き出しを有効的に防止でき、さらに上記オイル注
入口とオイル供給口とをホースで連結したから、
ホースがスイングケース内のデツトスペースを利
用して有効的に収容される。したがつて、ホース
が外部に露呈し、干渉等の問題が生じることがな
いとともに、このホース内に充分な容積のブリー
ザ室を確保することができる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動２輪車のユニツトスイング型エン
ジンの一部を示す縦断後面図、第２図はユニツト
スイング型エンジンに実施したこの考案の側面レ
イアウト図、第３図はフイラプラグの拡大した縦
断面図である。 １……オイル室、１１……オイルレベル、１２
……オイル供給口、１３……ホース、１４……オ
イル注入口、１５……フイラプラグ、２０……細
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 封入するオイルのレベルより高い位置でオイル
   室にオイル供給口を開口し、上記オイル室の側方
   にスイングケースを備えた自動２輪車等の小型エ
   ンジンのオイル注入装置において、前記オイル供
   給口をスイングケース内に開口し、このオイル供
   給口より横方向に離間しかつ高い位置のスイング
   ケースにオイル注入口を設置し、前記オイル供給
   口とオイル注入口をスイングケース内に配置され
   るホースで連結すると共に、オイル注入口に嵌着
   するフイラプラグに大気開放の細孔を形成したこ
   とを特徴とする小型エンジンのオイル注入装置。