JPS6319530Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 考案の目的 (1) 産業上の利用分野 本考案は水平型エンジンにおいて、そのクラン
ク室と動弁カム室とを連通する通気装置に関する
ものである。

(2) 従来の技術 一般に内燃エンジンにおいて、クランク室と、
動弁カム室間の通気は、エンジン本体に形成した
比較的大径の潤滑オイルのリターン通路を利用し
て行うか、あるいはクランク室と動弁カム室とを
連通する通気通路、たとえば通気チユーブにより
行うようにしている。

(3) 考案が解決しようとする問題点 ところがシリンダの軸線が略水平に配置される
水平型エンジンでは、その構造上エンジン本体に
形成される潤滑オイルのリターン通路を通気通路
として利用することができず、また通気チユーブ
を用いると部品点数が増してコスト高になるばか
りでなく、前記通気チユーブがエンジン本体周囲
のスペースを占有してデツトスペースを多くし、
エンジンが嵩張るという問題があつた。

そこで本考案は、クランク室と動弁カム室とを
オイル溜室およびエンジン本体に形成される通気
通路を介して連通し、しかも前記通気通路がクラ
ンク室内の圧力変動をうけることが殆どなく、か
つオイル溜室内のオイルによつて塞がれることが
ないようにして所期の通気機能を円滑、確実に奏
するようにした、構成簡単な水平型エンジンの通
気装置を提供することを目的とするものである。

Ｂ 考案の構成 (1) 問題点を解決するための手段 本考案によれば、前記目的達成のためエンジン
本体のエンジン軸線を略水平に配置した水平型エ
ンジンにおいて、前記エンジン本体の下部に形成
されるオイル溜室内を小孔を穿設したバツフルプ
レートを以て、エンジン本体のシリンダ側の第１
室と、そのクランクケース側の第２室とに区画
し、前記第１室の上部をエンジン本体に形成した
通気通路を介して動弁カム室に連通し、また前記
第２室の上部をクランク室に連通する。

(2) 作用 上記構成によれば、クランク室と動弁カム室と
は、エンジン本体下のオイル溜室、およびエンジ
ン本体に形成した通気通路を介して連通される。

(3) 実施例 以下、図面により本考案を車両用エンジンに実
施した実施例について説明する。

直列水平型４サイクルエンジンは、そのシリン
ダ軸線Ｌ−Ｌが略水平に、かつ車両の前後方向に
沿うように、該車両に搭載される。

前記エンジンのエンジン本体Ｅは、シリンダブ
ロツク１と、その一端面に重合結着されるシリン
ダヘツド２とを備え、シリンダブロツク１は、シ
リンダ３とクランクケース半部４とを有し、この
クランクケース半部４に軸受キヤツプ５を一体に
結着してクランクケース６が形成される。

通常のようにシリンダ３には、ピストン７が摺
動自在に嵌合され、このピストン７はコンロツド
８を介してクランクケース６に回転自在に支持さ
れるクランク軸９に連動される。シリンダヘツド
３には、前記ピストン７の頂面に対面して燃焼室
１０が形成され、そこに点火栓１１が設けられ
る。またシリンダヘツド２には、吸、排気弁１
２，１３を作動する動弁装置１４が設けられ、こ
の動弁装置１４は、シリンダヘツド２上の動弁カ
ム室１５に設けられる。

前記シリンダヘツド２とクランクケース６の下
部には、オイルパン１６が結着され、エンジン本
体Ｅの下部にオイル溜室１７が形成され、このオ
イル溜室１７内には、所定量の潤滑オイル１８が
貯留され、この潤滑オイル１８は、通常のように
クランク軸９で駆動されるオイルポンプ（図示せ
ず）により、エンジン本体Ｅの各被潤滑部に強制
給油される。

前記オイル溜室１７内において、シリンダ３の
下部とオイルパン１６の底面間には、該オイル溜
室１７内を横切るように上下方向にのびるバツフ
ルプレート１９が設けられ、このバツフルプレー
ト１９は、オイル溜室１７内をシリンダ３側の第
１室１７₁とクランクケース６側の第２室１７₂と
に区画する。

また前記クランクケース６の、オイル溜室１７
の第２室１７₂と対面する底壁２０は、クランク
室２１と前記第２室１７₂とを区画する。

前記第１室１７₁の上部には、潤滑オイルの戻
りポート２２が開口され、この戻りポート２２は
シリンダヘツド２に形成した潤滑回路の戻り通路
２３に連通される。

前記バツフルプレート１９の上下には、上、下
部小孔２４，２５が穿設され、それらの小孔２
４，２５はオイル溜室１７の、第１室１７₁と第
２室１７₂とを互いに連通する。そして上部小孔
２４は両室１７₁，１７₂間の息つきを、また前記
下部小孔２５は潤滑オイルの自由な流通を許容す
る。

前記クランク室２１の底壁２０の中央部には、
通孔２６が穿設され、この通孔２６は、クランク
室２１とオイル溜室１７間の息つきを許容する。
前記通孔２６はバツフルプレート１９と第２室１
７₂の後壁間の中央附近に設けるのが望ましい。

エンジン本体Ｅのシリンダ３とシリンダヘツド
２とにわたつて通気通路２７が形成され、この通
気通路２７の上端は、前記動弁カム室１５に開口
され、またその下端は、前記第１室１７₁の最上
部に開口される。

次に本考案の実施例の作用について説明する。

クランク室２１は通孔２６を介して第２室１７
_２の空間部に連通し、第２室１７₂と第１室１７₁
の空間部はバツフルプレート１９の上部小孔２４
を通して連通し、さらに第１室１７₁の空間部と
動弁カム室１５とは、エンジン本体Ｅに形成した
通気通路２７を介して連通されるので、クランク
室２１と動弁カム室１５とは、オイル溜室１７の
空間部および通気通路２７を介して相互に連通
し、それらの間に自由な通気作用が行われる。

ところで第２，３図に示すように車両が急加、
減速走行してエンジン本体に急加、減速度がはた
らいたり、傾斜地を走行したりすれば、オイル溜
室１７内の潤滑オイルは前方あるいは後方に偏
り、潤滑オイルの油面は前上りあるいは後上りに
傾斜する。この場合もし前記バツフルプレート１
９がないと仮定すれば、第２，３図鎖線に示すよ
うに油面の最上位置は高くなり、通気通路２７の
開口下端が潤滑オイル１８で閉塞され、前記通気
作用が一時的に妨げられる機会が多くなる懸念を
生じるが、前記バツフルプレート１９の存在によ
つて第２図実線に示すように潤滑オイル１８の油
面の最上位置を低位に保つことができ、通気通路
２７は潤滑オイル１８によつて閉塞されることが
殆どない。また通気通路２７はクランク軸９の回
転によるクランク室２１の圧力変動の影響をうけ
ることが殆どないので、前記通気作用は円滑、的
確に行われる。

Ｃ 考案の効果 以上のように本考案によれば、エンジン本体の
下部のオイル溜室内を小孔を穿設したバツフルプ
レートを以て、エンジン本体のシリンダ側の第１
室と、そのクランクケース側の第２室とに区画
し、前記第１室の上部をエンジン本体に形成した
通気通路を介して動弁カム室に連通し、また前記
第２室の上部をクランク室に連通したので、クラ
ンク室と動弁カム室とをオイル溜室およびエンジ
ン本体に形成した通気通路を介して連通してそれ
らの空間の通気作用を行わしめることができ、部
品点数を削減してコストダウンを図ることがで
き、また従来の通気チユーブを無くしてエンジン
本体外周のデツドスペースを少なくしエンジン本
体周囲に設けられる補機類のレイアウトや取付を
容易にする等エンジン本体周囲のスペースを有効
に利用することができる。

また通気通路はクランク軸の回転によるクラン
ク室内の圧力変動をうけることが殆どなく、しか
も潤滑オイルによつて塞がれることもないので、
クランク室と動弁カム室間の通気作用を円滑、確
実に行わしめることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の一実施例を示すもので、第
１図は本考案装置を備えた水平型エンジンのエン
ジン本体概略縦断面図、第２，３図は潤滑オイル
の油面の傾斜状態を示す第１図の部分断面図であ
る。 Ｅ……エンジン本体、１５……動弁カム室、１
７……オイル溜室、１７₁，１７₂……第１、第２
室、１９……バツフルプレート、２１……クラン
ク室、２４，２５……上、下部小孔、２７……通
気通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン本体Ｅのシリンダ軸線を略水平に配置
   した水平型エンジンにおいて、前記エンジン本体
   Ｅの下部に形成されるオイル溜室１７内を小孔２
   ４，２５を穿設したバツフルプレート１９を以
   て、エンジン本体Ｅのシリンダ３側の第１室１７
   _１と、そのクランクケース６側の第２室１７₂とに
   区画し、前記第１室１７₁の上部をエンジン本体
   Ｅに形成した通気通路２７を介して動弁カム室１
   ５に連通し、また前記第２室１７₂の上部をクラ
   ンク室２１に連通したことを特徴とする水平型エ
   ンジンの通気装置。