JPS6345819Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、トロイダル巻線を施した誘導電動機
の固定子に用いる絶縁体に関するものである。

近年、電動機の小型軽量化に伴なつて薄型化の
要求が強まつており誘導電動機に関してもその要
求に応えるべく種々の提案がなされている。例え
ば、固定子コアの直径を大きくして、固定子コ
アの積層厚を薄くし、軸方向の幅を減少させる方
法、固定子コアからはみ出したコイルエンド部
分を小さく整形する方法、巻線を固定子コアの
径方向のスロツトにおさめた固定子を用いる、い
わゆる軸方向ギヤツプ方式等が良く知られてい
る。しかし、の方法では、電動機の外径が大き
くなり、の方法ではコイルエンドの整形にきわ
めて手数がかかつてコスト高となり、また、の
方法では電動機の外径がかなり大となりまた高出
力の電動機には適さないなど、それぞれ問題があ
つた。そこで、本出願人は、先に薄型化の方法と
してトロイダル巻線を施した誘導電動機すなわち
環状継鉄の内周から多数の歯部が軸心方向に放射
状に突設されてなる固定子コアの歯部間における
スロツト毎に、継鉄部を横断するように巻線を施
すことにより、従来と同じ積層厚で全体の厚みを
大幅に低減した誘導電動機を提案している。

一般に、固定子コアと、これに施す巻線との間
は、絶縁する必要があるが、従来の誘導電動機に
おいては、第１図に示すようにインナーロータ形
の場合、固定子コア１の内周面（アウターロータ
形の場合は外周面）に設けた複数のスロツト４の
間に線を挿通して、巻線２を施しているので、巻
線２は固定子コア１の継鉄部３を横断せずスロツ
ト４の内周面にのみ接触しておりその部分だけを
縁すればよい。したがつて絶縁物としては、スロ
ツト４の形状とほぼ同様な二つ割の筒体５，６を
スロツトに挿入して用いている。ところが、本出
願人が先に提案しているスロツト毎に継鉄部を横
断した巻線、すなわちトロイダル巻線を施した誘
導電動機の固定子の場合には、第２図に示すよう
に巻線７がスロツト４の内周面９の他、固定子コ
ア１の外周１０、継鉄側面１１、歯部側面１２等
に接触するため、これらの部分をも絶縁する必要
があるため手数がかかるという問題があつた。

本考案は、上記に鑑みなされたもので、固定子
コアへの装着が容易で確実に絶縁を行なえる誘導
電動機用絶縁体を提供するものである。

以下に本考案を図面に示す実施例により説明す
る。第３図において、１３は本考案に係る絶縁体
を示し、一側が開放した中空殻状をなし、１４は
固定子コアの外周部１０を覆う環状の外壁であつ
て、これの内側に固定子コアの継鉄側面１１を覆
うフランジ状の水平部１５を延設している。１６
は固定子コアの歯部側面１２を覆う放射部であつ
て、該水平部１５より所要間隔ごとに内方に向つ
て放射状に突設している。さらに、固定子コアの
環状継鉄および歯部によるスロツト壁面９を覆う
Ｕ字形の内壁１７を該水平部１５および放射部１
６の内方端を除く側縁より下方に連設している。

このように、形成された絶縁体１３の一対を、
第４図に示すように、夫々の開放側部が相対向す
るよう固定子コア１の両側面より嵌着して、固定
子コアの巻線を施す部分の全体を覆い、各スロツ
ト内側から継鉄部外周にわたつて巻線を施す。こ
のような絶縁体１３は、上記のように取扱いが容
易でありまた外壁１４をはじめとする各絶縁物が
一体に形成されているため確実に絶縁が行なえ
る。

なお、絶縁体１３の高さ、すなわち、外壁１４
および内壁１７の図における下方への長さは固定
子コアの積層厚の略半分程度が望ましい。すなわ
ち、一対の絶縁体を固定子コアの両側より嵌合し
て用いるため前記のように形成すると同一形状の
絶縁体を用いることができるからである。また、
絶縁体１３は固定子コア１の側面全体を覆うよう
一体に形成することができるし、また円周方向に
複数個に分割してもよい。

第５図ないし第７図に、それぞれ本考案の他の
実施例を示す。第５図は上記絶縁体の各放射部１
６の両周縁部から水平部１５にかけて、相隣接す
るスロツトに巻装させた各巻線相互が接触しない
ようにするため、放射状にフランジ１８，１８を
突設したものである。このような絶縁体は、固定
子コアに簡単に嵌合できるとともに、スロツトに
対応する継鉄部に巻線する際、コイル両側が崩れ
るのを防ぎ整つた巻線が行なえ、さらにコイル相
互間の絶縁を行なうことができる。この場合フラ
ンジ１８は、必ずしも放射部１６の周縁部まで設
ける必要はなく第６図に示すように水平部１５に
のみ設けてもよい。さらに、第７図に示すよう
に、放射部１６および水平部１５より一つのフラ
ンジ１９を突出しても同様に目的を達することが
できる。

以上のように、本考案に係る絶縁体において
は、巻線と固定子コアとを確実に絶縁することが
できるとともに、一体に形成された絶縁体を、固
定子コアの側方から嵌合させる等により、まとめ
て固定子コアに被嵌させることができ、固定子コ
アとコイルとの間を絶縁させる作業もきわめて容
易に行えるようになり、また、絶縁体自体も一体
としてまとめて成形することができ、この製造が
容易になると共にその製造コストも低減され、安
価で、安定した性能を有する薄型の誘導電動機を
提供することができる。また、水平部にフランジ
を設けることによりコイル相互間の絶縁も確実、
かつ容易に行なえるという特徴を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の誘導電動機の固定子を示す斜視
図、第２図はトロイダル巻線、すなわち環状継鉄
を横断して径方向に巻線を施した固定子を示す一
部欠截斜視図、第３図は本考案の一実施例を示す
一部欠截斜視図、第４図は上記の実施例を被嵌し
た固定子を示す一部欠截斜視図、第５図ないし第
７図はそれぞれ本考案の他の実施例を示す一部欠
截斜視図である。 １……固定子コア、９……スロツト壁面、１０
……外周、１１……継鉄側面、１２……歯部側
面、１３，２０，２１，２２……絶縁体、１４…
…外壁、１５……水平部、１６……放射部、１７
……内壁、１８，１９……フランジ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 環状継鉄の内周に多数の歯部が軸心方向に放
   射状に突設されてなる固定子コア１に対し前記
   歯部間のスロツト位置毎に環状継鉄を横断して
   径方向の巻線７を施してなる誘導電動機におい
   て、前記固定子コア１に被嵌させる絶縁体であ
   つて、 一側方に開放した中空殻状をなし、固定子コ
   ア１の外周１０を覆う環状の外壁１４と、前記
   外壁１４より内方に向つて延設され継鉄側面１
   １を覆う水平部１５と、該水平部１５より内方
   に向つて放射状に突出しかつ歯部側面１２を覆
   う放射部１６と、前記水平部１５および前記放
   射部１６の側縁より折曲延設され環状継鉄及び
   歯部によるスロツト壁面９を覆う横断面Ｕ字形
   状の内壁１７とを、一体に形成されてなること
   を特徴とする誘導電動機用絶縁体。 ２ 前記水平部１５の上に、相隣接するスロツト
   位置毎に巻装される各巻線７の間を隔するフラ
   ンジ１８，１９を放射状に突設してなる実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の誘導電動機用絶
   縁体。