JPS6259538B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、薄型の誘導電動機に関するものであ
る。

従来より、誘導電動機における固定子の回転磁
界をつくる巻線は固定子コアの回転子との対向面
側に形成されたスロツトにおさめられている。

例えば第１図〜第３図のように筒状の固定子コ
ア６の内側に所要数のスロツト７が設けられ、二
つのスロツト７，７を一組として巻線８がその二
つのスロツト７，７に渡つておさめられているも
ので、スロツト７からスロツト７への渡りの部分
である所謂コイルエンド部分８ａが固定子コア６
の両側よりはみ出した状態となつており、通常前
記コイルエンド部分８ａは緊縛手段等により整形
される。このような固定子１は固定子コア６の積
厚ｌ１にコイルエンド部分８ａのはみ出し寸法ｌ
２が加わつて全体として軸方向にかなり大きな幅
を持つことになり、これを備えた誘導電動機も第
４図のごとき幅あるいは厚みをもつ。

近年、電動機の小型軽量化に伴つて薄型化の要
求が強くなつてきており、特に固定子コアに多数
のスロツトを有する誘導電動機においても、その
要求に応えるべく種々の提案がなされている。例
えば、固定子コアの積厚を薄くして径を大きく
すること、あるいは固定子コアからはみ出した
コイルエンド部分をできるだけ小さく整形するこ
とが検討されているが、いずれの場合にもコイル
エンド部分を小さく整形するには限度があり、固
定子コアの積厚の割にはさほど薄型化に寄与でき
ないものである。殊に前記の場合には電動機の
外径が大となる欠点がある。また巻線を固定子
コアの径方向のスロツトにおさめた固定子を用い
る軸方向ギヤツプ（アキシヤルギヤツプ）方式を
採用することも提案されているが、この場合スロ
ツトからスロツトへ渡るコイルエンド部分が固定
子コアの径方向外方へ出るため電動機の外径がか
なり大となり、しかも構造上高出力の電動機には
必ずしも適さないという欠点がある。

さらに、上記の方法はいずれも巻線のワ
ニス処理、コイルエンド部分の整形等の必要から
固定子の製作コストが高くつき、特に極数が２
極、４極と少ない場合には巻線のコイルエンド部
分が長くなり、巻線として用いる銅線の無駄が多
くなる。

そこで、本発明では、固定子コアに多数のスロ
ツトを有する誘導電動機として、特に固定子コア
の各スロツト毎にトロイダル状の巻線を施すこと
により、従来と同じコア積厚でもつて固定子全体
の厚みを従来のものより大幅に小さくして、誘導
電動機の薄型化を促進しかつ材料節減と効率アツ
プを図ろうとしたものである。

特に、誘導電動機は、巻線への通電によつて生
じる回転磁界の磁束が内側の回転子部分に流れる
ことによつて回転子が回転するものであるが、固
定子コアの継鉄部にトロイダル状の巻線を施した
場合、固定子コアの外側にも巻線が存するため
に、この巻線への通電によつて生じる磁界の磁束
が磁路を形成する継鉄部から歯部を経て回転子方
向に流れる一方、外方へも流れ易くなつており、
そのため外側に鋼鉄製等の磁性材料よりなるフレ
ームが存すると、継鉄部から外側フレーム部分へ
の磁束漏洩が多くなつて、回転子部分に流れる磁
束が少なくなり、その結果回転効率が低下する等
の問題が生じるので、本発明はこの点をも配慮し
てなしたものである。

すなわち、本発明は、固定子コアの内周に多数
のスロツトを有し、この固定子コアの各スロツト
毎にトロイダル状の巻線を施すとともに、固定子
の外周側に非磁性体よりなるフレームを備え、前
記固定子をこのフレームにより保持したことを特
徴とし、誘導電動機として、薄型軽量化を促進で
き、しかも磁束が外周側のフレーム部分に漏洩す
るおそれのない優れたものを提供しようとするも
のである。

次に本発明の実施例を第５図〜第１０図に基い
て説明する。

第５図は本発明に係る誘導電動機の概略を示
し、１１は固定子、１２は回転子、１３，１３は
回転子１２の軸１４を支承する軸受、１５はケー
シングとなるフレームの部分を示す。

しかして本発明における固定子１１は、第６図
〜第９図のように、環状もしくは筒状の固定子コ
ア１６が内周側に多数形成された軸方向のスロツ
ト１７を隔設する歯部１９とその外周の継鉄部２
０とからなり、前記各スロツト１７毎に継鉄部２
０を横断方向に巻回するようにトロイダル状の巻
線１８が施されてなる。前記固定子コア１６と巻
線とは何らかの手段で絶縁されている。さらに前
記の固定子１１の外周側に備えたフレーム１５は
非磁性体により形成されており、固定子１１はこ
のフレーム１５部分により保持されている。

第５図および第７図、第８図の実施例の場合、
固定子１１は、固定子コア１６の外周に出ている
巻線１８を埋込むように固定子１１の少なくとも
回転子１２との対向面を残して樹脂モールド２１
により前記巻線１８と固定子コア１１とを成形固
定しており、特に第５図の場合はこの樹脂モール
ド２１をもつて前記フレーム１５の部分をも一体
構成している。この場合、固定子１１とフレーム
部分の一体性に優れるとともに、巻線１８の保護
効果に優れる。

また前記の樹脂モールドを採用しない場合は、
第９図のように非磁性体により別に形成したフレ
ーム１５に固定子１１を定着するもので、前記固
定子コア１６の外周所要個所に巻線１８より高い
突起３３を設けておき、該突起３３をフレーム１
５に対して嵌着手段等により定着すればよい。

上記の固定子１０は、歯車１９と継鉄部２０と
が一体形成された環状をなす固定子コア１６に直
接トロイダル状巻線装置をもつて巻線するほか、
前記固定子コア１６を２分割等の複数に分割形成
しておき、その分割コアの各スロツト毎に絶縁層
を介して巻線した後、分割コア同士を接合するこ
とにより、固定子１１を製作することができる。
環状の固定子コア１６に巻線するより分割コアに
巻線するほうが能率的である。前記いずれの場合
にも、固定子コア１６と巻線１８との絶縁手段と
して、固定子コア１６あるいは分割コアのうち少
なくとも巻線１８が施される部分に絶縁材料を塗
装して形成するか、または合成樹脂等の絶縁材料
をもつてコア形状に対応した形状でかつ固定子コ
ア１６の軸方向に二つ割の分割形に形成し第１０
図および第１１図のような絶縁被嵌体２２，２２
を、固定子コア１６に被着させておくこともでき
る。特に前記絶縁被嵌体２２，２２には、巻線状
態を良好にするつば２３を設けておくことがで
き、さらにつば２３に口出線用の導電部材を設け
ておくことができる。

なお固定子コア１６のスロツト１７毎にトロイ
ダル状の巻線１８を施した固定子１１は上記のほ
か種々の方法で巻線し製作することができる。

本発明は、固定子コアの回転子との内周に巻線
が入る多数のスロツトと該スロツトを隔設する歯
部とを有してなる固定子を備えた遊動電動機であ
るにも拘らず、特に固定子１１が上記したように
固定子コア１６の各スロツト１７毎に継鉄部２０
を巻回するトロイダル状の巻線１８を施したもの
であるから、従来の巻線収納方式の固定子を備え
たものに比し、固定子のコア積厚ｌ１が同じで
も、トロイダル状の巻線１８が固定子コア１６に
絶縁材料を介して密に添着した状態となつて、コ
イルエンド部分１８ａにおいても巻厚分しか固定
子コア１６からはみ出さないため、そのはみ出し
寸法ｌ２は従来の数分の１となり（第３図および
第８図参照）、従つて巻線を含めた固定子全体の
厚みは従来のものよりかなり薄く、延いては誘導
電動機そのものも従来のものよりも大幅に薄型化
できる。

また本発明の場合、固定子１１の巻線１８を固
定子コア１６の継鉄部２０に添着状態に巻装して
あるので、スロツト内の銅線は整層巻に近くな
り、従つてスロツト面積も小さくて良いことにな
り、スロツト１７を従来のスロツト深さに比較し
て浅くすることができ、これだけ固定子１１の外
径を拡径せずともその内径および回転子１２の外
径を大きくし得て、両者の対向面積を拡大するこ
とができ、これによつてエヤーギヤツプの磁束密
度が下がり、エヤーギヤツプの所要アンペアター
ンが減少し電流が減少するので、従来の固定子と
同量の材料でもつて高効率の電動機が得られる。
また極数の少ない２極、４極の場合には、コイル
エンド部分が長くならざるを得ない従来の固定子
に比し、巻線１８としての銅線使用量が減少する
とともに、一次側の抵抗損が減少するため、さら
に効率アツプできる。

しかも前記固定子１１の少なくとも外周を包被
するフレーム１５を非磁性体により形成してなる
ものであるから、固定子コア１６の外側にも巻線
１８が存するにも拘らず、巻線１８への通電によ
つて生じる回転磁界の磁束が外側のフレーム部分
に漏洩、つまりは回転子の回転に寄与する磁束が
減少するのを防止でき、電動機の効率低下を惹起
するおそれがない。またフレーム１５が非磁性体
よりなるものであるから、固定子コアとの間に絶
縁層を介在させる必要がなく、固定子とフレーム
部分との組合せ構成が容易であり、トロイダル状
に巻装した巻線１８の遊動等のおそれもなく、ワ
ニス処理やコイルエンド部分の整形処理の必要が
ないこと、および多スロツトでも巻線作業が容易
なこと等とも相俟つて、トロイダル状の巻線を施
した誘導電動機の実施が容易となり、その製作コ
ストの低下に寄与できる。

以上のように本発明は、誘導電動機の薄型化を
促進できるとともに、磁束の外周側への漏洩のお
それのない高効率の非常に優れた誘導電動機を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の誘導電動機の固定子を示す斜視
図、第２図は同固定子の巻線状態を示す展開図、
第３図は同固定子の一部断面図、第４図は従来の
誘導電動機の略示縦断面図、第５図は本発明の一
実施例を示す略示縦断面図、第６図は本発明にお
いて用いる固定子の巻線構造を示す略示正面図、
第７図は同固定子の実施例を示す一部欠截斜視
図、第８図は同固定子の一部の断面図、第９図は
本発明の他の実施例を示す断面図、第１０図およ
び第１１図は絶縁被嵌体を例示する一部の斜視図
である。 １１……固定子、１２……回転子、１５……フ
レーム、１６……固定子コア、１７……スロツ
ト、１８……巻線、１９……歯部、２０……継鉄
部、２１……樹脂モールド、２２……絶縁被嵌
体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転子の周囲に固定子が配され、固定子は、
   固定子コアの内周に歯部によつて隔設された多数
   のスロツトを有し、この固定子コアの各スロツト
   毎の継鉄部にトロイダル状の巻線を施すととも
   に、この固定子の少なくとも外周を包被するフレ
   ームを非磁性体により形成して、固定子をこのフ
   レームにより保持してなることを特徴とする誘導
   電動機。