JPS6345331Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、水性インキ用のボールペンチツプの
改良に関し、詳細には、ボール抱持孔の直下に連
通するインキ誘導孔部分にインキがより多量に溜
まるインキ溜りを形成し、もつてインキ出を良孔
とすることをねらいとしたものである。

従来より、第５図に示す如く水性インキ使用の
ボールペンチツプＣにおいて、インキ導出部材Ｄ
先端と該導出部材を挿入した挿入孔Ｅ底面との間
に、僅かの隙間Ｆを形成し、該隙間にインキを溜
めておくと、筆記時、該インキがインキ誘導孔Ｇ
を通つてボールに送り出されるとき、該隙間内が
瞬間的に減圧状態になり、軸筒インキ室からのイ
ンキがインキ導出部材を通つてよく吸引されるの
でインキ切れを生ぜず、早書きの場合もインキの
供給がスムースであり、良好なインキ出が得られ
ることは知られている。然し、上記隙間形成は、
インキ導出部材の挿入位置程度により決まる為、
どの製品も均一な巾になる様バラツキなく製造す
ることは極めて困難なことであつた。その為、例
えば実公昭55−20551号公報の如く、インキ導出
部材挿入孔の内周に段部を形成し、インキ導出部
材を該段部に当接させてインキ溜りとなる隙間を
形成する構造も開示されているが、インキ導出部
材としては、繊維集束体、樹脂押出成形物、樹脂
多孔質体など変形可能な材質から成つている為、
チツプに挿入する押し込み力が僅かでも大きい
と、インキ導出部材の端面中央部が隙間内に容易
に入り込んでしまい、結果として品質にバラツキ
を生じ一定品質のボールペンが得られにくいとい
う点は尚、解消されないでいた。

本考案は以上の問題点を解消する構造を提供せ
んとするもので、以下図面に従がつて詳細に説明
する。

本考案のボールペンチツプＡは、第１図に示す
如く、前チツプ部材１と後チツプ部材２の２部材
を圧入、接着、熔着など適宜手段により一体化す
ることにより構成されている。まず前チツプ部材
１の構造を詳細に説明すると、前部（図で左側を
いう）にはボールＢを回動自在に抱持するボール
抱持孔３が設けられ、該抱持孔３に連通して、第
２−ａ図に示す如く中心孔４１とその周囲の放射
状溝４１ａ，４１ｂ，４１ｃ，４１ｄとよりなる
インキ誘導孔４が形成され、それに連続してイン
キ誘導孔４より大径のインキ溜りとなる凹部６が
形成されている。かつ後部には後述の後チツプ２
の前部小径部２１と嵌合する大径孔１１が設けら
れている。後チツプ部材２はその前部を小径部２
１となし、第３−ａ図に示す如く中心孔５１と、
その周囲の放射状溝５１ａ，５１ｂ，５１ｃ，５
１ｄとからなるインキ誘導孔５が形成され、該イ
ンキ誘導孔５に連通して繊維集束体、樹脂押出成
形物、樹脂多孔質体などよりなるインキ導出部材
７が挿入されるインキ導出部材挿入孔８が形成さ
れている。上記した前チツプ部材１と後チツプ部
材２はその大径孔１１と小径部２１を圧入、接
着、熔着その他の適宜手段により一体化すると、
両チツプ部材に形成したインキ誘導孔４，５の境
目には、前チツプ部材１に形成した凹部６によつ
てインキ溜りが形成されることとなる。

以上の如く、本考案においては、前後両チツプ
部材を一本化したとき、形成されるインキ誘導孔
の中間部に凹部６によるインキ溜りが形成される
ので、従来の如く、インキ導出部材の先端部にイ
ンキ溜りが形成されるのと異なり、設計通りの寸
法のインキ溜りが確実に形成されるので、品質の
一定したボールペンチツプを製造することが出
来、インキ出に関してバラツキのないボールペン
チツプを得ることが出来る。

尚、前チツプ部材１と後チツプ部材２を別個に
造るので各々に形成するインキ誘導孔の形状は、
第２−ｂ，−ｃ図、第３−ｂ，−ｃ図に例示する如
く溝の数の変更、或いは複数の透孔によるものな
ど適宜変更し得、これらを適宜組合せることも可
能であり、勿論、他の形状でも差しつかえない。

したがつて、前チツプ部材のボール抱持孔には
ボールが填入されるので、ボール受座面の耐久性
を増す為、インキ誘導孔の面積を少なくする一
方、後チツプ部材のインキ誘導孔はインキ導出部
材よりのインキをよりスムースに導びくべく、前
チツプのインキ誘導孔に較べて毛細管力をより強
くする形状にして、両者を組み合せることもでき
る。

又、第４図に示す如く、後チツプ部材２′の前
記に凹部６′を形成してもよく、又、前後両チツ
プ部材に凹部を形成しても要は両チツプを一体化
することによつてインキ誘導孔の中間部境目にイ
ンキ溜りが形成されていればよいものである。

更に前後チツプ部材は、共に合成樹脂でも金属
でも或いは前チツプ部材が金属で後チツプ部材が
合成樹脂でも又はその逆でもよく、更に、前チツ
プ部材と後チツプ部材は他のリング状部材を介し
て一体化せしめインキ溜りを形成してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２−
ａ図は第１図のＸ−Ｘ線横断面図、第２−ｂ，−
ｃ図は第２−ａ図に相当する他の実施例、第３−
ａ図は第１図のＹ−Ｙ線横断面図、第３−ｂ，−
ｃ図は第３−ａ図に相当する他の実施例、第４図
は他の実施例を示す断面図、第５図は従来例を示
す断面図である。 Ａ……ボールペンチツプ、１，１′……前チツ
プ部材、２，２′……後チツプ部材、３……ボー
ル抱持孔、４，５……インキ誘導孔、６……凹部
によるインキ溜り、７……インキ導出部材、８…
…インキ導出部材挿入孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボール抱持孔とインキ導出部材挿入孔との間を
   インキ誘導孔にて連通したボールペンチツプにお
   いて、当該ボールペンチツプはインキ誘導孔の長
   手方向中間部を境目として前チツプと後チツプの
   二部材より構成されており、両者を一体化したと
   きインキ誘導孔境目にインキ誘導孔より大径の凹
   部よりなるインキ溜りが形成されることを特徴と
   するボールペンチツプ。