JPS6216837B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は軸筒先端にボールを抱持したボールチ
ツプを取り付け、軸筒内の水溶性インキをボール
チツプのインキ流出溝よりボールに導出して筆記
するようにした水溶性インキボールペンのボール
チツプ、更に詳細には、インキ流出溝構造に関す
る。

（従来技術とその問題点） 従来の水溶性インキボールペンのボールチツプ
は第５図、第６図に示すように、合成樹脂製のボ
ールチツプ本体１の先端にボール抱持部１ａを形
成し、後部のインキ流出孔１ｂよりのインキを、
ボール抱持部１ａの底部のボール受座１ｃに設け
られ、中心孔１ｄと複数個の同一巾１ｍの放射状
溝１ｅとよりなるインキ流出溝１ｆを介して先端
のボール１１にインキを導出していたが、インキ
切れが生じ筆記不能になるという現象が生じ、こ
れを筆記可能にする為、軸筒後方を把持して強く
振るなどしているのが実情である。このインキ切
れは、筆記中並びに使用初めに生ずるが、その原
因を種々検討したところ、放射状溝１ｅの巾ｍが
同一であること並びに放射状溝１ｅがその軸方向
全長に亘つて直線状或いはチツプの後方に向つて
次第に狭くなるようテーパー面になつていること
に起因することが判明した。即ち、放射状溝１ｅ
が、このような構造であると、放射状溝１ｅにお
ける毛細管作用が十分に働かず、早い筆記におい
て筆記速度にインキ流出速度が十分対応しなかつ
たり、或いは、放射状溝に平均的に紙粉がつまつ
たり、不使用時に放射状溝１ｅ内のインキがイン
キ流出孔１ｂに戻つてしまつたりする（一般にイ
ンキ下りという）為である。

又、これらの問題を少しでも解消せんとする
為、近年、放射状溝の巾ｍを中心に向つて次第に
狭くなるようにしたものも見られるが、未だ十分
なものとは云えなかつた。

本発明は使用時は軸筒内の水溶性インキをイン
キ流出溝よりボールに円滑に導出しインキ切れが
なく、又、不使用時においても常にインキ流出溝
にインキが充満され、使用に際して直ちにボーに
インキが導出するようなボールペンチツプを提供
することを目的としている。

（問題点を解決するための手段） そこで、本発明は上述したようなインキ切れを
解消する為には、放射状溝において毛細管作用を
強力に働かせ、且つ、その毛細管作用もボールに
向つて次第に強く、又、軸心に向つて次第に強く
しなければならないとの結論に達し本発明を完成
したものである。即ち、本発明は合成樹脂よりな
る本件先端のボール抱持部の底部のボール受座に
軸方向に沿つて複数個の放射状溝を設けてインキ
流出孔と連通せしめてなる水溶性インキボールペ
ンのボールチツプにおいて、該放射状溝の巾は軸
心に向つて次第に狭くなるようにすると共に、該
溝の底部を後方に向つて次第に拡開する如くなし
た水溶性インキボールペンのボールチツプを要旨
とするものである。

（実施例） 以下、添付図面に従つて本発明を詳細に説明す
る。第１図、第２図は本発明の第１の実施例を示
すもので、合成樹脂製のボールチツプ本体１０の
先端にボール１１を抱持する抱持部１０ａを形成
し、その底部には先端部をはなして同一巾の長い
放射状リブ１０ｂを、軸方向に沿つて等間隔に一
体に形成し、又、その軸心方向先端が後方に向つ
て逆テーパーになつている。この長い放射状リブ
１０ｂ間に先端部をはなして同一巾の短い放射状
リブ１０b′を軸方向に沿つて等間隔に一体に形成
し、長短リブ１０ｂ，１０b′によつてボール受座
となし、長短リブ１０ｂ，１０b′の間に放射状溝
１０ｃを形成する。この放射状溝１０ｃは中心孔
１０ｅと連通し、又、軸心に向つて次第に巾狭と
なつている。更に、放射状溝１０ｃの底部１０
c′は後方に向つて次第に拡開するテーパー面とな
つている。１０ｄは軸筒のインキ室（図示せず）
よりインキを導出する為のインキ流出孔であり、
一般的には、インキを中継する例えば繊維束など
のような多孔質体或いは細杆体などの中継芯１２
の先端部が挿入せられており、前記長い放射状リ
ブ１０ｂの後端が該インキ流出孔１０ｄまで延び
ている。

第３図、第４図は本発明の第２の実施例を示す
もので、合成樹脂製のボールチツプ本体２０の先
端にボール２１を抱持する抱持部２０ａを形成
し、その底部には同一巾の長い放射状リブ２０ｂ
を軸方向に沿つて等間隔に形成し、その先端を一
体に結合して中心受部２０b″となし、この長リ
ブ２０ｂ間に先端をはなして同一巾の短い放射状
リブ２０b′を軸方向に沿つて等間隔に一体に形成
し、この長短リブ２０ｂ，２０b′及び中心受部２
０b″をボール受座となし、長短リブ２０ｂ，２
０b′の間に放射状溝２０ｃを形成する。この放射
状溝２０ｃは軸心に向つて次第に巾狭となつてい
る。更に、放射状溝２０ｃの底部２０c′は後方に
向つて次第に拡開するテーパー面となつている。
２０ｄは軸筒のインキ室よりインキを導出する為
のインキ流出孔であり、一般的には中継芯２２の
先端部が挿入せられており、上記実施例と同様長
い放射状リブ２０ｂの後端が該インキ流出孔２０
ｄまで延びている。このように、第１の実施例と
第２の実施例とは、本発明の最も重要な点である
放射状溝が軸心に向つて次第に巾狭となつている
こと並びに放射状溝の底部が後方に向つて次第に
拡開するテーパー面となつていることにおいては
全く同じであり、異なる点は、第２の実施例がボ
ール受部の摩耗或いは強度低下を極力防止する為
に、長いリブの先端を一体に結合した中心受部を
ボール受座となした点である。

（効果） 本発明によれば放射状溝は軸心に向つて次第に
巾狭になつているので、放射状溝内に於て軸心に
近づく程毛細管作用が強く、従つて、インキはボ
ール中心に向つてインキ溝内より円滑に導出し、
又、放射状溝の外方部は巾を広くしたので筆記中
紙がボールでこすられて紙粉が放射状溝に入つた
としても、平均的につまることなく、巾の狭い部
分につまるのみであるので、目づまりによるイン
キ切れも生ぜず、更に、放射状溝の底部は後方に
向つて次第に拡開しているのでインキ流出孔内の
インキは放射状溝のテーパー面に沿つて円滑にボ
ールに向つて流下するのでインキ切れを生ずるこ
とがない。このように本発明においては、放射状
溝を特別な構造となし、毛細管作用が軸心並びに
ボールに向つて次第に強くなしたので、使用時並
びに不使用時において、放射状溝に常にインキが
充満せられインキ切れを解消することができると
いう水溶性インキボールペンに於ける大きな効果
を有するものである。

尚、本発明において、ボールチツプ本体を合成
樹脂製となしたが、ボール抱持部、ボール受座、
放射状溝の部分を合成樹脂製とし、これを金属管
体中に嵌合せしめてもよく、又、第１実施例にお
いて、短い放射状リブを全て長い放射状リブとな
すこともでき、更に、放射状溝の数としても複数
であればよいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例正断面図、第２
図は第１図のＡ−Ａ平断面図、第３図は本発明の
第２の実施例正断面図、第４図は第３図のＡ−Ａ
平断面図、第５図は従来のボールチツプの正断面
図、第６図は第５図のＡ−Ａ平断面図である。 １０，２０……ボールチツプ本体、１０ａ，２
０ａ……ボール抱持部、１０ｂ，２０ｂ……長い
放射状リブ、１０b′，２０b′……短い放射状リ
ブ、２０b″……中心受部、１０ｃ，２０ｃ……
放射状溝、１０c′，２０c′……放射状溝底部、１
０ｄ，２０ｄ……インキ流出孔、１２，２２……
中継芯、１１，２１……ボール。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 合成樹脂よりなる本体先端のボール抱持部の
   底部のボール受座に軸方向に沿つて複数個の放射
   状溝を設けてインキ流出孔と連通せしめてなる水
   溶性インキボールペンのボールチツプにおいて、
   該放射状溝の巾は軸心に向つて次第に狭くなるよ
   うにすると共に、該溝の底部を後方に向つて次第
   に拡開する如くなした水溶性インキボールペンの
   ボールチツプ。 ２ ボール抱持部の底部に、同一巾の放射状リブ
   を軸方向に沿つて等間隔に形成し、そのリブ間の
   放射状溝が軸心に向つて次第に狭くなる如くなし
   た特許請求の範囲第１項記載の水溶性インキボー
   ルペンのボールチツプ。 ３ ボール抱持部の底部に、先端をはなして同一
   巾の長い放射状リブを軸方向に沿つて等間隔に形
   成し、その間に先端をはなして同一巾の短い放射
   状リブを軸方向に沿つて等間隔に形成し、長短リ
   ブ間の放射状溝巾が軸心に向つて次第に狭くなる
   如くなした特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   の水溶性インキボールペンのボールチツプ。 ４ ボール抱持部の底部に先端を結合して同一巾
   の長い放射状リブを軸方向に沿つて等間隔に形成
   し、その間に先端をはなして同一巾の短い放射状
   リブを軸方向に沿つて等間隔に形成し、長短リブ
   間の放射状溝が中心に向つて次第に狭くなる如く
   なした特許請求の範囲第１項記載の水溶性インキ
   ボールペンのボールチツプ。 ５ 少なくとも長い放射状リブの後端がインキ流
   出孔内まで延びている特許請求の範囲第３項又は
   第４項記載の水溶性インキボールペンのボールチ
   ツプ。