JPS6139585Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、インクを貯溜するための中綿を使
用しないで直接インク室にてインクを貯溜するサ
インペン等の筆記具におけるインク流量調節用コ
レクタの改良に係るものである。

一般にこの種のコレクタは、筆記時にインク室
のインクをペン芯まで円滑に誘導する機能と、イ
ンク室から溢出した過量のインクを保溜する機能
とを有しており、インク誘導溝部に配設されるイ
ンク誘導捧には毛管作用によりインクがインク室
からペン芯へ流出するインク溝と、インク室から
ペン芯へ流出したインクと交替してインク室へ空
気を流入する通気路とから成る空気溝が設けられ
ており、また、コレクタにはインク室から溢出し
たインクを収容する櫛状のインク保溜溝が設けら
れている。そして、このように構成される従来の
コレクタは、インク室の温度、気圧が変化して、
インク室の空気が膨張し、その膨張した空気量に
相当するインクがインク室から溢出した場合、そ
の溢出したインクを毛管作用で吸入するインク保
溜溝の吸入力が強いことと、溢出したインクがペ
ン芯へ流出することを阻止するペン芯側部におけ
る抵抗力が強いことにより、溢出したインクがペ
ン芯からボタ落ちする以前にインク保溜溝へ流れ
込んで保溜されてインクのペン芯からのボタ落ち
を防止するようになつており、またその後、イン
ク室内の温度や気圧が変化する前の状態に戻る
と、インク保溜溝に保溜されたインクがインク誘
導溝を経てインク室に流入するようになつてい
る。したがつて、一般にコレクタは、インク室の
空気の膨張により溢出したインクをインク保溜溝
の容量一杯まではインクを保溜し、コレクタの通
気溝からインクが流出し、軸筒の外に出る心配は
ない。

しかしながら、この構造のものについては、軸
方向に強い衝撃が加わると、一部のインクはコレ
クタのインク保溜溝で保持できなくなり、通気溝
から軸筒の外に流出してしまうという問題があ
る。この問題を解決する手段としては、通気溝か
らの流出を阻止するためにコレクタの後方部に位
置する軸筒に通気孔を設けてコレクタ内がインク
で一杯になるまでインクの流出を防止する方法が
考えられるが、この方法ではペン芯の先端と通気
孔とが離れてしまい、不使用時にインクの蒸発を
防止するためのキヤツプによる密閉が複雑とな
り、確実な密閉が困難となるという欠点がある。
このような従来技術としては、例えば、実開昭51
−84645号公報等があつたが、これら技術によつ
ても前記の問題点を解消することは困難であつ
た。

この考案は、上記問題を解決することを企図し
てなされたもので、軸方向の衝撃力に対するペン
芯からのボタ落ちを防止することができるととも
に、不使用時のキヤツプによる密閉性を良好にし
て長期の保存及び寿命の増大を図れるようにした
ことを特徴とする筆記具におけるインク流量調節
用コレクタを提供しようとするものである。

以下にこの考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図ないし第５図はこの考案の第一実施例を
示すもので、図中、１は軸筒であつて、その後部
はインクを貯溜するインク室２が形成され、また
前方部には溢出インクを保溜するこの考案のコレ
クタ３が収納され、このコレクタ３の中にはイン
クをペン芯４に送るインク誘導捧５が挿入され、
このインク誘導捧５の先端に接続されるペン芯４
にインク室２内のインクが送給されるようになつ
ている。この場合、ペン芯４は、パイプ６と口金
７とによつて軸筒１に保持されており、口金７に
設けられた一対の軸方向の凹溝７′，７′と軸筒１
とで通気孔８が構成され、この通気孔８はキヤツ
プ９の内部に設けられた中キヤツプ９′によつて
ペン芯４と共に密閉されるようになつている。

前記コレクタ３は、第５図に示すように、ほぼ
円筒形状をなし、その中心には前記インク誘導捧
５を挿入するコレクタ軸３ａを嵌装し、また、軸
方向の両端には円板状の前フランジ３ｂと後フラ
ンジ３ｃが設けられ、これら両フランジ３ｂと３
ｃとの間には多数の羽３ｄ，３ｄ…が互いに平行
に列設されて各羽間にそれぞれインク保溜溝３
ｅ，３ｅ…が形成されている。なおこの場合、各
羽３ｄには共通して比較的狭い放射状の溢出溝３
ｆが設けられており（第３図参照）、この溢出溝
３ｆは前記コレクタ軸３ａの中間部に設けられた
スリツト３ｇを介してインク誘導捧５の誘導溝部
と連通され、また、この溢出溝３ｆと対向する部
位において、各羽３ｄには共通する扇状に切り欠
かれた開口部３ｈが設けられており、この開口部
３ｈにおける前記コレクタ軸３ａから一対の壁３
ｉ，３ｉ…が突設され、これら壁３ｉ，３ｉと軸
筒１の内径とで通気路１０が構成されている。こ
の場合、壁３ｉ，３ｉは軸方向に沿つて対峙状に
形成されており、通気路１０は前フランジ３ｂの
切欠部開口端から後フランジ３ｃ付近まで延在し
ている。

一方、通気路１０の両側には前記開口部３ｂと
通気路１０の壁３ｉ及び軸筒１の内壁とでインク
保溜室１１，１１が形成され、このインク保溜室
１１は前記インク保溜溝３ｅと連通して、インク
保溜量の増大を図れるようにしてある。

第６図はこの考案の第二実施例を示すもので、
開口部３ｈ内に通気用パイプ１２を配設するとと
もに、このパイプ１２の一端を前フランジ３ｂに
貫通して一体的に形成した場合である。この場
合、前フランジ３ｂとパイプ１２とを一体成形し
てコレクタ本体に組み付けるか、又は前フランジ
３ｂにパイプ１２を圧入してもよい。

また、第７図ないし第９図はこの考案の第三実
施例を示すもので、開口部３ｈにおいて、軸筒１
の内壁から対峙する一対の壁１ａ，１ａを突設
し、これら壁１ａ，１ａとコレクタ軸３ａの内周
面とで通気路１０を形成した場合である。

なお、第二及び第三実施例において、その他の
部分は第一実施例と同じであるので、同一部分に
は同一符号を付してその説明は省略する。

本考案は叙上のように、軸筒１に形成されたイ
ンク室内２のインクをペン芯側へ供給するインク
誘導溝と、インク室からペン芯へ流出したインク
と交替してインク室へ空気を流入する通気路１０
と、前記インク室から溢出するインクを収容する
櫛状の保溜溝３ｅとを具備するものであつて、前
記保溜溝３ｅを形成する羽３ｄの一部を扇状に切
り欠いて開口部３ｈを形成すると共に、該開口部
３ｈ内において一対の壁３ｉを軸方向に沿つて対
峙させ、これら壁３ｉと軸筒１又はコレクタ軸３
ａとで通気路１０を沿設して成るため、インク室
から溢出するインクが通気路を介して流出するこ
となく、インク保溜溝及びインク保溜室内に保溜
してインクのボタ落ちを防止することができ、し
かも、軸方向の衝撃に対しても十分耐え得るイン
ク保溜量を有し、また、軸筒の側面に通気孔を設
けることなく、ペン芯の先端部付近に通気孔を設
けるため、不使用時の密閉性も良くインクの乾燥
防止が確実となり長期の保存が可能でしかも寿命
の増大が図れるなどの優れた効果が得られ、その
利用価値は顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第一実施例を示す筆記具の
縦断面図、第２図ないし第４図はそれぞれ第１図
の−，−及び−線に沿う断面図、第
５図は第一実施例におけるコレクタの斜視図、第
６図は第二実施例におけるコレクタの斜視図、第
７図はこの考案の第三実施例を示す筆記具の要部
縦断面図、第８図及び第９図はそれぞれ第７図の
−及び−線に沿う断面図である。 １……軸筒、１ａ……壁、２……インク室、３
……コレクタ、３ａ……コレクタ軸、３ｂ……前
フランジ、３ｃ……後フランジ、３ｄ……羽、３
ｅ……インク保溜溝、３ｆ……溢出溝、３ｇ……
スリツト、３ｈ……開口部、３ｉ……壁、４……
ペン芯、５……インク誘導捧、６……パイプ、７
……口金、７′……凹溝、８……通気孔、９……
キヤツプ、９′……中キヤツプ、１０……通気
路、１１……インク保溜室、１２……通気用パイ
プ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 軸筒に形成されたインク室内のインクをペン
   芯側へ供給するインク誘導溝と、インク室から
   ペン芯へ流出したインクと交替してインク室へ
   空気を流入する通気路と、前記インク室から溢
   出するインクを収容する櫛状の保溜溝とを具備
   するものであつて、前記保溜溝を形成する羽の
   一部を扇状に切り欠いて開口部を形成すると共
   に、該開口部内において一対の壁を軸方向に沿
   つて対峙させ、これら壁と軸筒又はコレクタ軸
   とで通気路を沿設して成る筆記具におけるイン
   ク流量調節用コレクタ。 (2) 通気用パイプにより前記通気路を形成して成
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の筆記具
   におけるインク流量調節用コレクタ。 (3) 前記通気路の両側における開口部によつて保
   溜溝と連通するインク保溜室を形成して成るこ
   とを含む実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   筆記具におけるインク流量調節用コレクタ。