JPH034554Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はインキを中綿等に吸蔵させないで直接
貯溜するインキタンクを有し、又インキタンク内
の空気が温度上昇等の原因によつて膨張した場合
にインキタンクから押し出されるインキを筆先部
や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保
溜するインキ保溜体を付設した筆記具のキヤツプ
と軸筒の改良に関する。

（従来の技術） 従来の斯る方式の筆記具の軸筒１のキヤツプ２
の嵌合構造は第５図に示す如きである。即ちキヤ
ツプ２の内部には中キヤツプ３の如き軸筒１に対
する密着部が設けられて筆先部４と空気孔５とを
外気から遮断して密封し筆先部４の乾燥や空気孔
５からのインキの蒸発を防止している。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の従来の構造では、筆先部４を下にしてキ
ヤツプ２を嵌合する場合、軸筒１はその外面が中
キヤツプ３内面に密接してからも多少の距離だけ
圧入して固定されることになるので中キヤツプ３
内の空気が若干圧縮され、その分だけ空気孔５か
らインキ保溜体６を通つてインキタンク内に気泡
として侵入しその分だけインキが溢出してインキ
保溜体６に保溜される。又逆に軸筒１からキヤツ
プ２を外す場合、中キヤツプ３内の空気は上記の
現象とは逆に減圧されることになり、そのためイ
ンキタンク内のインキは多少引き出されやはりイ
ンキ保溜体６に保溜される。このようにキヤツプ
２の着脱の度にインキ保溜体６のインキ保溜量が
増加していき最後には保溜能力を超過して空気孔
５からインキが吹き出すという欠点があつた。

本考案の目的は斯る従来品の欠点を解消した筆
記具を提供することである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するものとして、イ
ンキタンクにインキ保溜体を付設したインキ直接
貯溜方式の筆記具軸筒の空気孔の位置する外周面
に空気孔の後方位置までのびる所要数の通気孔を
設け、又キヤツプ内部には空気孔位置に密着する
閉塞部を設けると共に筆先部を没入遮断する非吸
水性の弾性体を内装して成る筆記具を提供するも
のである。

（作用） 本考案の筆記具では、軸筒１に対しキヤツプを
嵌合した場合でも密着部の内部空間は外気とは通
気溝により連通されることになるので、キヤツプ
の着脱時に空気が圧縮されたり又は減圧すること
が防止されることになる。又このままでは筆先部
の乾燥や空気孔からのインキの蒸発が防止できな
いことになるが、キヤツプ内部には筆先部を没入
遮蔽する非吸水性の弾性体と空気孔位置に密着す
る閉塞部が夫々設けられているので筆先部の乾燥
防止や空気孔からのインキの蒸発防止も手当てさ
れることになる。

（実施例） 第１図乃至第４図に図示した本考案の実施例に
ついて図面に基づき以下説明する。

第１図及び第２図は第１実施例を示すもので筆
記具本体はその軸筒１の後端内部をインキタンク
７となしその前方には外周面に多数の周溝８…と
その周溝を連通させる縦溝９を有するインキ保溜
体６が装着されインキ保溜体６の中心部に軸方向
に開通する縦孔１０にはインキ誘導棒１１が貫通
されインキ誘導棒１１の先端には口金１２に保持
されたチツプ１３が連結され軸筒１の先端テーパ
部４には空気孔５が開設されこの空気孔５の位置
する軸筒１の外周面の所要位置に前端が空気孔５
よりも前方に位置し後端も空気孔５よりも後方位
置まで達する軸方向の数条の通気溝１５が形成さ
れて構成されている。即ち通常の筆記をなす場合
はインキタンク７よりインキ誘導棒１１を介して
チツプ１３の筆先部４へインキが供給されるが温
度上昇等の原因によりインキタンク７の空気が膨
張してインキが若干押し出されるとそのインキは
インキ保溜体６の後端の溢出孔１６に入つて縦溝
９を介して各周溝８に保溜される。次にキヤツプ
２はその内孔奥部に筒状の中キヤツプ３を突設し
中キヤツプ３の内孔奥部には更に小径孔１７が形
成されて境界の段部１８には筒状でその先端面１
９の肉厚が幾分大きい非吸水性の弾性体２０が内
装されて構成されている。そして筆記具本体をキ
ヤツプ内に挿入した場合はその筆先部４は中キヤ
ツプ３内に収容され中キヤツプ３の開口端内面の
テーパ状の閉塞部２１は軸筒１の空気孔５の位置
に密着し又筆先部４は弾性体２０の位置まで到達
しその先端面１９に完全に没入するよう寸法設定
されている。

第３図及び第４図は第２実施例を示すもので上
記の第１実施例との相違点について説明すると、
まず筆記具本体の空気孔５は軸筒１の先端テーパ
部１４の位置ではなくその後方位置の平行軸部の
先端位置に設け、通気溝１５はその前端が先端テ
ーパ部１４にかかりその後端は空気孔５より幾分
後方位置まで達するように設け、又キヤツプ２は
中キヤツプを設けることなくその内周面に軸筒１
の空気孔５位置に密着する閉塞部２１を設け、内
孔奥部には筒部２２を突設してその内部に弾性体
２０を装填して構成されている。

（考案の効果） 本考案は上述した構成及び作用を有するもので
あつて、キヤツプ内の空気と外気とを通気溝によ
つて連通させると共に筆先部の乾燥や空気孔から
のインキの蒸発の防止の手当にも成功したので、
キヤツプの機能を損なうことなくキヤツプの着脱
に伴ない生じていたキヤツプ内の気圧変化をも解
消することができ、それによつてインキ保溜体へ
のインキの蓄積を防止して保溜量の超過によるイ
ンキのボタ落ちが有効に防止できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の第１実施例を示
し、第１図は縦断面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線
横断面図、第３図及び第４図は本考案の第２実施
例を示し、第３図は縦断面図、第４図は第３図Ｂ
−Ｂ線横断面図である。又第５図は従来例の縦断
面図である。 １……軸筒、２……キヤツプ、３……中キヤツ
プ、４……筆先部、５……空気孔、６……インキ
保溜体、７……インキタンク、８……周溝、９…
…縦溝、１０……縦孔、１１……インキ誘導棒、
１２……口金、１３……チツプ、１４……先端テ
ーパー部、１５……通気溝、１６……溢出孔、１
７……小径孔、１８……段部、１９……弾性体、
２１……閉塞部、２２……筒部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インキタンクにインキ保溜体を付設したインキ
   直接貯溜方式の筆記具軸筒の空気孔の位置する外
   周面に空気孔の後方位置までのびる所要数の通気
   溝を設け、又キヤツプ内部には空気孔位置に密着
   する閉塞部を設けると共に筆先部を没入遮蔽する
   非吸水性の弾性体を内装して成る筆記具。