JPH025993Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はインキを中綿等を使用しないで直接貯
溜するタンクと、タンクから過剰溢出するインキ
を一時的に保溜するインキ保溜体とを備えた筆記
具に被着するキヤツプに関するものである。

（従来の技術及び考案が解決しようとする問題
点） 従来、インキを直接タンクに貯溜させる方式の
筆記具には、消費されるインキと置換してタンク
内に入つた空気が温度上昇等により膨張してイン
キを過剰にタンクから溢出させた場合にその過剰
分を一時的に保溜するインキ保溜体を備えたもの
がある。そして斯様な筆記具に被着されるキヤツ
プは、その内面に筆記具のペン先及び空気孔を外
気から遮蔽するシール部を有するとともに、その
内面と軸筒外面との隙間がデザイン上又は機能上
（例えばがたつきを抑えるため）から極めて微小
に設定されているのが普通である。

そして斯るキヤツプを軸筒に対し被着させる場
合、その被着過程でキヤツプ内孔部の空気はキヤ
ツプ内面と軸筒外面との隙間から外部に逃げ出す
ことになるが、被着速度が速いと前述した様にキ
ヤツプ内面と軸筒外面との隙間が極めて小さいた
め逃げ切れずキヤツプ内孔部の空気が圧縮される
ことなる。従つてこの圧縮された空気が空気孔を
通つてタンク内に入り込みタンク内のインキを溢
出させてインキ保溜体に入り込ませる。又、キヤ
ツプを軸筒から外す場合、その過程でキヤツプ内
空間が拡大して外気が入り込むことになるが、前
述した様にキヤツプ内面と軸筒外面との隙間が極
めて小さいためキヤツプ内空間の拡大に対し外気
の流入が追従しきれず、キヤツプ内空間は一時的
に減圧状態となる。

従つてタンク内のインキが引き出されて同様に
インキ保溜体に保溜される。このようにキヤツプ
の着脱の毎にインキ保溜体にはインキが蓄積され
ることになり、最後にはインキ保溜体の保溜能力
が限界となりインキは空気孔等から外部に溢出す
る問題があつた。

本考案の目的は斯る問題点を解決することであ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決するために、軸筒内
にインキを直接貯溜するタンクと当該タンクから
過剰溢出するインキを保溜するインキ保溜体を備
えた筆記具に被着するキヤツプに於て、被着させ
た状態で筆記具軸筒の空気孔のやや後方位置に密
着してペン先及び空気孔を外気から遮蔽するシー
ル部のやや後方位置にキヤツプ内面と外面とを連
通する排気孔を設けたことを特徴とする筆記具の
キヤツプを提供するものである。

（実施例及び作用） 図は本考案実施例の縦断面を示したものであ
り、以下図面に基づき当該実施例を作用とともに
詳述する。

筆記具の軸筒１はその先端テーパー部１ａに空
気孔２を開設し、内孔の先端部にインキ保溜体３
を装着しその後方空間をインクタンク４としてい
る。軸筒１の先端口にはペン先５を固定した口プ
ラ６が嵌着され、口プラ６の中心孔には軸方向の
インキ誘導溝７を有するインキ誘導棒８の先端部
が挿入されペン先５と接続している。インキ誘導
棒８はインキ保溜体３の中心孔９を貫通してその
後方のインキタンク４まで達し、インキタンク４
からペン先５までインキを導通する。インキ保溜
体３は外周面に軸方向に垂直な多数の保溜溝１０
…を有し、これら保溜溝１０…は軸方向の縦溝１
１によつて連通され、縦溝１１の後端部と中心孔
９が溢出溝１２によつて連通されている。消費さ
れたインキと置換してインキタンク４に入つた空
気が温度上昇等によつて膨張するとその膨張分だ
けインキタンク４から押し出されたインキはまず
インキ保溜体３の中心孔９の後端部に入り込み、
そこから溢出溝１２を通つて縦溝１１に入り各保
溜溝１０…に保溜されることになる。キヤツプ１
３には軸筒１に被着された場合に軸筒１の空気孔
２のやや後方位置、即ちテーパ部１ａの後方に続
く平行軸部１ｂの先端部に気密に密着するシール
部１４即ち内面突起が周設しており、このシール
部１４のやや後方位置に排気孔１５が設けられて
いる。排気孔１５の数は１つでも又複数でも自由
である。従つてキヤツプ１３を被着する場合、キ
ヤツプ内の空気はキヤツプ内面と軸筒外面の狭い
隙間１６を通つてキヤツプ後端口から逃げ出すま
でもなく、この排気孔１５を通つて即刻外部に逃
げ出すことが可能となりキヤツプ内の空気の圧縮
が抑止される。同様にキヤツプ１３を外す場合も
即刻排気孔１５を通つてキヤツプ内に空気が入る
ことになるのでキヤツプ内空間の減圧を回避でき
るようになる。

（考案の効果） 本考案は上述した構造及び作用を有するもので
あつて、キヤツプ内面と軸筒外面との隙間がデザ
イン上及び機能上の要請から微小に抑えられて
も、キヤツプの着脱時にキヤツプ内空気が圧縮さ
れたりキヤツプ内空間が減圧されたりすることが
回避され、よつてインキ保溜体に対するインキの
蓄積を抑止し、空気孔等からのインキの溢出を防
止することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示したもので、キヤツプ
被着状態の筆記具先端部の縦断面図である。 １…軸筒、１ａ…テーパ部、１ｂ…平行軸部、
２…空気孔、３…インキ保溜体、４…インキタン
ク、５…ペン先、６…口プラ、７…インキ誘導
溝、８…インキ誘導棒、９…インキ保溜体の中心
孔、１０…保溜溝、１１…縦溝、１２…溢出溝、
１３…キヤツプ、１４…シール部、１５…排気
孔、１６…隙間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸筒内にインキを直接貯溜するタンクと当該タ
   ンクから過剰溢出するインキを保溜するインキ保
   溜体を備えた筆記具に被着するキヤツプに於て、
   被着させた状態で筆記具軸筒の空気孔のやや後方
   位置に密着してペン先及び空気孔を外気から遮蔽
   するシール部のやや後方位置にキヤツプ内面と外
   面とを連通する排気孔を設けたことを特徴とする
   筆記具のキヤツプ。